JP2007303264A - 鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造 - Google Patents

鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造 Download PDF

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Abstract

【課題】梁端部におけるエネルギー吸収能力を充分に確保し得る有効適切な鉄骨梁と鉄骨柱との接合構造を提供する。
【解決手段】鉄骨梁2と鉄骨柱1との間にダンパー機能を有するブラケット3を介在させる。ブラケットを、鉄骨柱に固定した上下のフランジ4と、それらフランジの間に設けた鋼板からなるシヤパネル5を有するものとして、その曲げ剛性および曲げ耐力を鉄骨梁よりも大きく設定するとともに、シヤパネルを鉄骨梁に先行させてせん断降伏させるように設定する。ブラケットの基部および先端部の2箇所に対して鉄骨梁の端部をそれぞれピン接合することによって、ブラケットを介して鉄骨梁端を鉄骨柱に対して構造力学的に剛接合する。鉄骨梁をH形鋼からなる本体部とチャンネル形鋼からなる接合端部により構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は鉄骨造建物に係わり、鉄骨梁を鉄骨柱に対してダンパー機能を有するブラケットを介して接合するための構造に関する。
周知のように、一般に鉄骨造の建物では梁降伏先行形となるように設計が行われ、梁端部での塑性変形によるエネルギー吸収能力が要求されることから、たとえば特許文献1に示されるように梁端部に塑性ヒンジを形成するためのブラケットを介して梁と柱とを接合することが行われる。
また、たとえば特許文献2には、梁としてのH形鋼の端部のウェブ自体をせん断降伏させることでエネルギー吸収効果を得る構造が提案されている。
特開平11−140978号公報 特開2005−330679号公報
しかし、特許文献1に示されるものは単に梁と同断面のブラケットを介して梁を柱に対して接合するものであるので、ブラケットによるエネルギー吸収効果を必ずしも充分に得られない場合がある。
また、最近の設計手法ではより高強度化の鋼材を使用する傾向にあるが、そのような高強度の鋼材では塑性変形能力は逆に低下するので、特許文献2に示されるように梁自体を塑性変形させるという設計手法は採用し難いものである。
上記事情に鑑み、本発明は、梁端部におけるエネルギー吸収能力を充分に確保し得る有効適切な接合構造を提供することを目的としている。
本発明は、鉄骨梁を鉄骨柱に対して接合するための構造であって、それら鉄骨梁と鉄骨柱との間にダンパー機能を有するブラケットを介在させ、該ブラケットを、鉄骨柱に固定した上下のフランジと、それらフランジの間に設けた鋼板からなるシヤパネルを有するものとして、該ブラケット全体の曲げ剛性および曲げ耐力を鉄骨梁よりも大きく設定するとともに、そのシヤパネルを鉄骨梁に先行させてせん断降伏させるように設定し、該ブラケットの基部および先端部の2箇所に対して前記鉄骨梁をせん断力を伝達可能な状態でそれぞれピン接合することによって、該鉄骨梁をブラケットを介して鉄骨柱に対して構造力学的に剛接合してなることを特徴とする。
本発明におけるブラケットや鉄骨梁の構成は任意であるが、たとえばブラケットの構成要素であるシヤパネルの基端部を鉄骨柱に溶接し、該シヤパネルの基部および先端部の2箇所において、シヤパネルの両面に鉄骨梁となる対のチャンネル形鋼のウェブをそれぞれ当て板を介してボルト締結することが考えられる。
あるいは、ブラケットの構成要素であるシヤパネルをダンパーユニットとして鉄骨梁としてのH形鋼の端部両側に配置して、該ダンパーユニットの基部を鉄骨柱に対してシヤープレートおよび当て板を介してボルト締結するとともに、該ダンパーユニットの上下をブラケットの構成要素である上下のフランジに対してボルト締結し、鉄骨梁としてのH形鋼の端部をブラケットの構成要素である接合プレートを介して鉄骨柱に対して接合プレートを介してボルト締結するとともに、該H形鋼の側部に溶接した縦リブに対して前記ダンパーユニットの先端部をボルト締結することも考えられる。
また、鉄骨梁を本体部とその先端部に締結した接合端部により構成し、該接合端部の先端部を前記ブラケットの2箇所に対してピン接合することによって剛接合することも考えられる。
その場合には、鉄骨梁の本体部をH形により構成するとともに、鉄骨梁の接合端部をそのH形鋼を両側から挟み込む対のチャンネル形鋼により構成し、本体部としてのH形鋼と接合端部としてのチャンネル形鋼のウェブどうしおよびフランジどうしを当て板を介してボルト締結して剛接合することが好適である。
本発明によれば、鉄骨梁に作用するせん断力が「てこの原理」により拡大されてブラケットに伝達されてシヤパネルをせん断降伏させ、それによってシヤパネルにダンパー機能を発揮させて優れたエネルギー吸収効果が得られる。また、大地震時においても鉄骨柱および鉄骨梁による主架構自体は塑性変形せずに弾性を維持するので主架構の損傷が生じることはないし、シヤパネルがせん断降伏した後も鉄骨梁が鉄骨柱に対して単純支持された状態となって鉄骨梁の荷重支持能力は失われないから、自ずとフェイルセーフ機構を構成したものとなる。
まず、本発明の基本構造と基本原理について図1を参照して説明する。
図1に模式的に示すように、本発明では鉄骨柱1に対して鉄骨梁2をブラケット3を介して接合するものであるが、その前提として鉄骨柱1および鉄骨梁2はいずれも大地震時にも降伏せずに弾性を維持するものとする。
ブラケット3はせん断降伏により履歴ダンパーとして機能するシヤパネル(詳細後述)を有するものであって、そのブラケット3全体の曲げ剛性および曲げ耐力は鉄骨梁2よりも大きく設定されているが、ブラケット3のシヤパネルが鉄骨梁2に先行してせん断降伏するように設定されている。
そして、ブラケット3の基部および先端部の2箇所に対して鉄骨梁2の端部がそれぞれボルトを介してピン接合されることにより、鉄骨柱1に対する鉄骨梁2の接合形態は構造力学的に剛接合とされる。また、それぞれのピン接合位置では鉄骨柱1やブラケット3に対する鉄骨梁2のシヤパネル面内方向の相対回転が許容されている。
このような接合構造によれば、鉄骨梁2の中央部でのせん断力をQ,ブラケット3の長さ(鉄骨柱1からの突出寸法)Lとすると、ブラケット3の端部に生じる剪断力
=(M/L)+Q
となって鉄骨梁2の中央部での剪断力Qよりも数倍も大きなものとなる(長期応力の影響は一般に小さいから、ここでは無視する)。
つまり、この接合構造はいわば「てこの原理」を利用した「せん断力拡大伝達機構」を形成していて、鉄骨梁2に作用するせん断力を拡大してブラケット3に伝達させることによりシヤパネルをせん断降伏させ、それによってシヤパネルにダンパー機能を発揮させてエネルギー吸収効果を得るものである。
したがって本発明の接合構造によれば、単に梁のせん断力をそのまま(拡大することなく)ブラケットに作用させて降伏させる場合に比べて格段にエネルギー吸収能力を高めることが可能である。
なお、この場合、ブラケット3の負担せん断力にブラケット3の長さLを乗じることで見かけ上の梁端モーメントが決定され、その梁端モーメントMはシヤパネルのせん断降伏により頭打ちとなるから、鉄骨梁2が弾性を維持しても梁端に塑性ヒンジが生じたのと同じ応力状態となる。
そして、この接合構造では大地震時においても鉄骨柱1および鉄骨梁2による主架構自体は塑性変形せずに弾性を維持するので主架構の損傷が生じることはないし、シヤパネルがせん断降伏した後も鉄骨梁2が鉄骨柱1に対して単純支持された状態となって鉄骨梁2の荷重支持能力は失われないから自ずとフェイルセーフ機構を構成したものとなる。
以上の原理による本発明の接合構造の具体的な第1実施形態を図2〜図3に示す。本第1実施形態は角形鋼管からなる鉄骨柱1に対して対のチャンネル形鋼からなる鉄骨梁2をブラケット3を介して接合するようにしたものである。
本第1実施形態におけるブラケット3は、上下のフランジ4と、それら上下のフランジ4間に設けられたシヤパネル5からなる。
上下のフランジ4は鉄骨柱1に溶接されたダイヤフラムと一体に形成されていて、そのダイヤフラムから周囲各方向に放射状に突出するように(図示例では4方向に突出するように十字状に)形成されている。シヤパネル5は低降伏点鋼からなる矩形平板状の鋼板であって、その基端が鉄骨柱1に対して溶接されているとともに、その上下がそれぞれ上下のフランジ4とそれと一体のダイヤフラムに溶接されている。
これにより、本実施形態のブラケット3は上下のフランジ4とシヤパネル5とによるH形断面の突出部が鉄骨柱1の周囲に放射状に突出する形態で形成されたものとなっており、上述したようにそのブラケット3全体の曲げ剛性および曲げ耐力が鉄骨梁2よりも大きくなるように、また、ブラケット3のシヤパネル5が鉄骨梁2よりも先行してせん断降伏するように、上下のフランジ4の断面寸法およびシヤパネル5としての低降伏点鋼の寸法と強度が適正に設定されている。
本実施形態における鉄骨梁2は、対のチャンネル形鋼2aが背中合わせとされて要所が綴り材6により連結された組立梁であって、各チャンネル形鋼2aの先端部がシヤパネル5を両側から挟持する状態でブラケット3に接合されているが、その接合はシヤパネル5の基部と先端部との2箇所においてそれぞれ上下方向に配列した複数(図示例では各6本)のボルト群により当て板7を介してボルト締結することで行われている。これにより、鉄骨柱1に対するブラケット3を介しての鉄骨梁2の接合形態は構造力学的には剛接合とされているが、想定規模を超える地震時においては鉄骨柱1やブラケット3に対する鉄骨梁2のシヤパネル面内方向の相対回転は拘束されることなく許容されるものとなっている。
なお、鉄骨梁2としてのチャンネル形鋼2aの先端部はブラケット3を構成している上下のフランジ4間に挿入されることになるが、上記のように鉄骨梁2のシヤパネル面内方向の回転を許容するべく、各チャンネル形鋼2aとフランジ4との間には若干のクリアランスが確保されている。同時に、シヤパネル5の周囲は当て板7と上下のフランジ4により拘束されて補剛されているので、その内側に明確なせん断変形領域が形成されて理想的なせん断降伏を生じさせることができるものとなっている。
本第1実施形態によれば、上述したように鉄骨梁2のせん断応力が「てこの原理」により拡大されてシヤパネル5に作用し、そのシヤパネル5のせん断降伏による優れたダンパー効果、すなわちエネルギー吸収効果が得られる。
勿論、シヤパネル5としての低降伏点鋼の寸法(板厚、高さ、長さ)や材種の設定によりそれが負担する応力を自由にかつ幅広く調節することが可能であり、その塑性変形能力を充分に高く設定しておけば大地震でも破壊されることがなく、したがって大地震時後にもシヤパネル5を交換する必要はまず生じない。
また、主架構はもとよりブラケット3もシヤパネル5以外は降伏せずに弾性を維持するので、地震後の残留変形は小さいものとなる。特に、シヤパネル5として用いる低降伏点鋼のせん断降伏ひずみγは1.6×10−3程度であるので、ブラケット3の長さLがたとえば600mmである場合にはその先端部での降伏時の鉛直変位は僅か1mm程度に過ぎず、したがってシヤパネル5が降伏し始める程度の中規模地震を受けた際に想定される床スラブの変形も僅かであって、ひび割れが生じるような被害を生じることはないといえる。
そして、本第1実施形態では、シヤパネル5として単なる矩形平板状の低降伏点鋼を採用しているので、ブラケット3の加工を容易にかつ安価に行い得るし、鉄骨柱1に対してダイヤフラムを兼ねるフランジ4とシヤパネル5とを溶接する以外は全てボルト締結のみで組み立てることができるので現場溶接を無くすことも可能であり、現場作業の効率化、省力化を図ることができる。勿論、ブラケット3の高さは鉄骨梁2の梁成寸法よりもわずかに大きい程度の範囲内で納めることができるから、そのブラケット3を設置するために格別のスペースを確保する必要はないし、ブラケット3を設置するがために有効階高や有効天井高が低くなるようなこともない。
次に、図4〜図6を参照して第2実施形態を説明する。
本第2実施形態は、シヤパネル5を組み込んだダンパーユニット10を採用し、2つのダンパーユニット10を上下のフランジ4間に間隔をおいて固定してそれら上下のフランジ4と左右のダンパーユニット10によって箱状のブラケット3を形成し、そのブラケット3の内部に鉄骨梁2としてのH形鋼2bの端部を挿入して、その先端部をブラケット3の基部と先端部の2箇所においてそれぞれボルト群によって実質的にピン接合するようにしたものである。
すなわち、本第2実施形態におけるブラケット3は、第1実施形態におけるものと同様の上下のフランジ4と、左右一対のダンパーユニット10とを主体とし、かつ、それらダンパーユニット10を鉄骨柱1に対してボルト締結するためのシヤプレート11と、鉄骨梁2としてのH形鋼2bのウェブを鉄骨柱1に対してボルト締結するための接合プレート12とによって構成されている。
ダンパーユニット10は第1実施形態と同様に低降伏点鋼による鋼板からなる矩形平板状のシヤパネル5を主体として、その上下および先端側の三方にそれぞれ鋼製の枠材10a、10bが溶接されたものであって、シヤパネル5の基部が上記のシヤプレート11に対して当て板7を介してボルト締結され、上下の枠材10aが上下のフランジ4に対してボルト締結されることで、上下のフランジ4とともに箱状のブラケット3を構成するものである。
そして、ダンパーユニット10をシヤプレート5へ接合するに先立ち鉄骨梁2を搬入し、そのウェブの先端を接合プレート12に対して一群のボルトによりボルト締結し、鉄骨梁2の側部に溶接されている縦リブ13にダンパーユニット10の先端側の枠材10bを一群のボルトによりボルト締結する。
これにより、鉄骨梁2の先端部はブラケット3の構成要素である接合プレート12を介して鉄骨柱1に対して実質的にピン接合されるとともに、同じくブラケット3の構成要素であるダンパーユニット10の先端部に対しても縦リブ13を介して実質的にピン接合されている。
本第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、せん断降伏によりダンパーとして機能するシヤパネル5を有するブラケット3に対して、鉄骨梁2が2箇所において相対回転可能な状態でピン接合されることで鉄骨梁2は鉄骨柱1に対して構造力学的に剛接合となっている。したがって第1実施形態と同様に鉄骨梁2のせん断応力がてこの原理により拡大されてシヤパネル5に伝達され、そのシヤパネル5のせん断降伏による優れたダンパー効果、すなわちエネルギー吸収効果が得られるものである。
そして、第1実施形態に比べてブラケット3の構成がやや複雑ではあるものの、2枚のシヤパネル5を有するものであるので、全体としてエネルギー吸収効果をより高める設計が可能である。
図7〜図8は第3実施形態を示すものである。本第3実施形態では、鉄骨梁2をH形鋼21からなる本体部と、そのH形鋼21の先端部に接合端部として一体に締結した対のチャンネル形鋼22により構成しており、接合端部としてのチャンネル形鋼22の先端部をブラケット3に対して2箇所でピン接合したものである。
すなわち、上記第1実施形態においては鉄骨梁2の全長をチャンネル形鋼2aにより構成し、上記第2実施形態では鉄骨梁2の全長をH形鋼2bにより構成していたのに対し、本第3実施形態においては鉄骨梁2をH形鋼21とチャンネル形鋼22とを組み合わせることで構成している。そして、対のチャンネル形鋼22の基端部によってH形鋼21の先端部を両側から挟み込んだ状態で双方のウエブどうしおよびフランジどうしをそれぞれ当て板23を介して多数のボルトにより締結することによって双方を構造力学的に確実に剛接合し、この鉄骨梁2全体に作用するせん断力をブラケット3に対して支障なく伝達できるものとなっている。
なお、図示しているように、対のチャンネル形鋼22のウェブの間、およびH形鋼21のウェブと当て板23との間には、必要に応じて適宜のスペーサ24を介在させれば良く、またH形鋼21およびチャンネル形鋼22には必要に応じて適宜位置に補強リブ25を設ければ良い。さらに、必要に応じてブラケット3の先端に補強板30を設けることも好ましい。
また、上記第1〜第2実施形態においてはブラケット3の2箇所に対する鉄骨梁2の接合を多数(図示例では各6本)のボルト群により行っていたが、本第3実施形態においては各2本ずつ全4本の少数のボルトのみで接合するようにしており、それによって図1に示したような「てこの原理」を利用したせん断力拡大伝達機構が第1〜第2実施形態の場合に比べてより効果的に構成されたものとなっており、鉄骨梁2に作用するせん断力を確実に拡大してブラケット3に伝達することにより充分なるダンパー効果が得られるものとなっている。
なお、上記のように鉄骨梁2をブラケット3に対して2箇所でピン接合することによるせん断力拡大伝達機構が有効に形成されるためには上述したように鉄骨梁2とブラケット3との上下方向の相対回転が許容される必要があり、そのためには上下方向の相対変位を確実に拘束しつつ水平方向の多少の相対変位は許容することが好ましいことから、それらのボルトを通すためのボルト孔は水平方向にやや長いルーズホールとしておくことが好ましい。このことは本第3実施形態のみならず上記の第1〜第2実施形態の場合における各群のボルトについても同様である。
本第3実施形態においては、鉄骨梁2を本体部としのてH形鋼21と接合端部としてのチャンネル形鋼22とにより構成したので、その施工も図8(a)〜(b)に示す手順で効率的に行うことができる。
すなわち、その施工に際しては、鉄骨柱1に対して予め溶接したブラケット3に対して、まず(a)に示すように接合端部としてのチャンネル形鋼22を装着し、次いで(b)に示すようにチャンネル形鋼22に対してH形鋼21をボルト締結すれば良く、それにより第1〜第2実施形態のように鉄骨梁2全体を揚重してブラケット3に位置決めして接合する場合に比べて作業性を改善でき、施工精度も充分に確保することができる。
なお、ブラケット3を鉄骨柱1に溶接するに先立って予めチャンネル形鋼22をブラケット3も装着しておくことも考えられるし、鉄骨柱1を工場製作する際にブラケット3を一体に溶接するとともにそのブラケット3に対してチャンネル形鋼22を工場にて装着することも考えられる。
次に、図9〜図11は第4実施形態を示すものである。これは、第3実施形態を基本としつつ、ブラケット3の2箇所に対する鉄骨梁2の接合を複数のボルトによることなくピン機構40によって文字どうりピン接合するようにしたもので、上記各実施形態に比べてさらに単純にして明解なせん断力拡大伝達機構が構成されたものである。
ピン機構40としては、たとえば図10に示すように短円柱状の鋼材ピン41を主体としてその両端部外側に押さえ板42を装着して溶接するものや、図11に示すように略8角形断面の鋼材ピン41の両端面に対して押さえ板42の中心孔の内周縁部を溶接する形式のものが好適に採用可能であり、いずれにしても少なくともいずれか一方の押さえ板42を鋼材ピン41を装着してから溶接すれば良い。
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでは勿論なく、たとえばブラケット3の構成やブラケット3に対する鉄骨梁2の接合の形態は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、つまり「てこの原理」を利用して鉄骨梁2に作用するせん断力をダンパーとして機能するブラケット3に拡大して伝達させるように構成する限りにおいて、任意の設計的変更が可能であることは言うまでもない。
たとえば、上記実施形態は、鉄骨梁2としてチャンネル形鋼2aによる組立梁、H形鋼2b、H形鋼21とチャンネル形鋼22とを組み合わせたものを用いたが、鉄骨梁2はそれらに限るものではないし、鉄骨柱1としても角形鋼管柱のみならず円形鋼管柱やH形鋼等の形鋼による通常の鉄骨柱はもとより、コンクリート充填鋼管柱とすることも勿論可能である。
また、上記各実施形態ではシヤパネル5を低降伏点鋼からなる矩形平板状のものとしたが、シヤパネル5は鉄骨梁2よりも先行してせん断降伏する鋼板であれば良く、そのように設定する限りはシヤパネル5の形状や寸法、素材は任意であってたとえば通常の軟鋼を採用することも可能であり、その場合にはダンパー効果はやや低下するもののコスト削減を図ることが可能である。
本発明の基本構造と基本原理を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態の要部を示す図であり、(a)は側面図((b)におけるa−a矢視図)、(b)は平断面図((a)におけるb−b矢視図)、(c)は正断面図((a)におけるc−c矢視図)である。 同、組立図である。 本発明の第2実施形態の要部を示す図であり、(a)は側断面図((b)におけるa−a矢視図)、(b)は平断面図((a)におけるb−b矢視図)、(c)は正断面図((a)におけるc−c矢視図)である。 同、他の要部を示す図であり、(a)は側面図(図4(b)におけるVa−Va矢視図)、(b)は正断面図((a)におけるb−b矢視図)である。 同、組立図である。 本発明の第3実施形態の要部を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平断面図((a)におけるb−b矢視図)、(c)は正断面図((a)におけるc−c矢視図)、(d)は正断面図((a)におけるd−d矢視図)である。 同、施工手順を示す図であり、(a)は鉄骨梁の接合端部としてのチャンネル形鋼をブラケットに接合する状態、(b)は鉄骨梁の本体部としてのH形鋼をチャンネル形鋼に接合する状態を示す図である。 本発明の第4実施形態の要部を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平断面図((a)におけるb−b矢視図)、(c)は正断面図((a)におけるc−c矢視図)である。 同、ピン機構の一例を示す図である。 同、ピン機構の他の例を示す図である。
符号の説明
1 鉄骨柱
2 鉄骨梁
2a チャンネル形鋼
2b H形鋼
3 ブラケット
4 フランジ
5 シヤパネル
6 綴り材
7 当て板
10 ダンパーユニット
10a 枠材
10b 枠材
11 シヤプレート
12 接合プレート
13 縦リブ
21 H形鋼(鉄骨梁の本体部)
22 チャンネル形鋼(鉄骨梁の接合端部)
23 当て板
24 スペーサ
25 補強リブ
30 補強板
40 ピン機構
41 鋼材ピン
42 押さえ板

Claims (5)

  1. 鉄骨梁を鉄骨柱に対して接合するための構造であって、
    それら鉄骨梁と鉄骨柱との間にダンパー機能を有するブラケットを介在させ、
    該ブラケットを、鉄骨柱に固定した上下のフランジと、それらフランジの間に設けた鋼板からなるシヤパネルを有するものとして、該ブラケット全体の曲げ剛性および曲げ耐力を鉄骨梁よりも大きく設定するとともに、該ブラケットのシヤパネルを鉄骨梁に先行させてせん断降伏させるように設定し、
    該ブラケットの基部および先端部の2箇所に対して前記鉄骨梁をせん断力を伝達可能な状態でそれぞれピン接合することによって、該鉄骨梁をブラケットを介して鉄骨柱に対して構造力学的に剛接合してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
  2. 請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、
    ブラケットの構成要素であるシヤパネルの基端部を鉄骨柱に溶接し、該シヤパネルの基部および先端部の2箇所において、シヤパネルの両面に鉄骨梁としての対のチャンネル形鋼のウェブをそれぞれ当て板を介してボルト締結してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
  3. 請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、
    ブラケットの構成要素であるシヤパネルをダンパーユニットとして鉄骨梁としてのH形鋼の端部両側に配置して、該ダンパーユニットの基部を鉄骨柱に対してシヤープレートおよび当て板を介してボルト締結するとともに、該ダンパーユニットの上下をブラケットの構成要素である上下のフランジに対してボルト締結し、鉄骨梁としてのH形鋼の端部をブラケットの構成要素である接合プレートを介して鉄骨柱に対してボルト締結するとともに、該H形鋼の側部に溶接した縦リブに対して前記ダンパーユニットの先端部をボルト締結してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
  4. 請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、
    鉄骨梁を本体部とその先端部に締結した接合端部により構成し、該接合端部の先端部を前記ブラケットの2箇所に対してピン接合することによって剛接合してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
  5. 請求項4記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、
    鉄骨梁の本体部はH形鋼からなるとともに、鉄骨梁の接合端部は本体部を両側から挟み込む対のチャンネル形鋼からなり、本体部としてのH形鋼と接合端部としてのチャンネル形鋼のウェブどうしおよびフランジどうしを当て板を介してボルト締結して剛接合してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
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