JP4407215B2 - 交流−交流直接変換器の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交流から交流に直接変換する交流−交流直接変換器の制御装置に関し、特に電源電圧の0.866倍以上の電圧を直接変換器から出力する場合において、出力電圧に重畳される低周波の脈動成分の抑制と、負荷として電動機を駆動する際のトルク脈動の低減に効果的な制御装置に関するものである。
図8は、交流−交流直接変換器として代表的なマトリクスコンバータ50の制御装置を示しており、以下ではこのマトリクスコンバータ50を例にとって従来技術を説明する。
なお、図8において、50sはマトリクスコンバータ50を構成する双方向スイッチ(例えば、それぞれ2個の半導体スイッチング素子を逆並列接続して構成される)、R,S,Tは交流入力端子、U,V,Wは交流出力端子である。
マトリクスコンバータの制御方式の一つとして、仮想直流リンク電圧を考慮した仮想AC/DC/AC方式がある。仮想AC/DC/AC方式については、後述する非特許文献1によって既に公知になっており、この方式を図8に適用した場合の動作の概要を以下に説明する。
仮想AC/DC/AC方式は、マトリクスコンバータ内にPWM整流器とインバータとからなる回路を想定し、両者のスイッチング関数を合成してマトリクスコンバータの出力電圧パルスパターンを得る方式である。
ここで、仮想整流器側の制御は、図8に示すマトリクスコンバータ50の回路構成から電源短絡を許容しないので、電流形PWM整流器と等価になり、仮想インバータ側の制御はPWM電圧形インバータと等価になる。
図8において、仮想整流器側は、入力電流指令から、仮想整流器パルス演算手段52により仮想の電流形PWM整流器のPWMパルスを生成する。
一方、仮想インバータ側は、出力周波数指令を積分手段55により積分して出力電圧の角度指令を求め、出力電圧指令と角度指令とから交流電圧指令演算手段54により、交流出力電圧指令を求める。そして、交流電圧指令から仮想インバータパルス演算手段53により仮想インバータのPWMパルスを生成する。
こうして得られた仮想整流器のPWMパルスと仮想インバータのPWMパルスとをPWMパルス合成手段51に入力してスイッチング関数を合成し、マトリクスコンバータ50のPWMパルスを生成する。このPWMパルスにより双方向スイッチをオンオフすることにより、マトリクスコンバータ50は任意の周波数及び大きさを有する交流電圧を出力する。
次に、図9は、マトリクスコンバータの出力電圧範囲を示したものである。
マトリクスコンバータでは、入力電圧各相の正方向及び負方向の電圧を発生することができる。マトリクスコンバータは、電源電圧を双方向スイッチにより直接スイッチングして電圧を出力するので、PWM制御により電圧を出力できる範囲は、6相交流の包絡線範囲内(図9の斜線範囲内であり、以下ではPWM可能範囲ともいう)となる。従って、所望の出力電圧が得られる出力電圧指令の範囲は、最大で電源電圧の0.866倍となる。
電源電圧の0.866倍を超える電圧を出力する場合、前記PWM可能範囲の制約から、図9の太線で示すように出力電圧にひずみが生じる。このひずみは、インバータ出力周波数の基本波の周辺に発生する低周波数成分である。
負荷に電動機が接続されている場合には、上記ひずみによりトルクの脈動が発生して騒音発生や電動機を破壊する原因になる。また、電流も増加するため、電動機の損失が増加して異常過熱となる場合や、スイッチング素子などの故障を引き起こす恐れもある。
そこで本出願人は、上述した出力電圧のひずみが出力電圧波形を正負非対称にする点に着目し、特願2002−299119号(本願の出願時において未だ出願公開されておらず、以下では先願という)として、電源電圧から生成した直接変換器の仮想直流リンク電圧の大きさに応じて、直接変換器の出力電圧波形の正負面積が等しくなるように出力電圧の周波数または振幅を制御する手段を備えた直接変換器を出願した(上記先願の請求項2等)。
この先願によれば、入力電圧の0.866倍以上の電圧を出力する際に、以下の数式1に示すように仮想の直流リンク電圧Vdcを演算し、数式2に示すようにマトリクスコンバータの出力電圧の瞬時周波数f**を調節して出力電圧波形の正負の面積を等しくすることにより、トルクの脈動を低減することが可能になった。
Figure 0004407215
Figure 0004407215
ただし、数式1において、Srp,Ssp,Stpは仮想PWM整流器の上アームのスイッチング関数(1でスイッチオン、0でスイッチオフ)、Srn,Ssn,Stnは、仮想PWM整流器の下アームのスイッチング関数(上アームとは逆論理)を表し、vrs,vst,vtrは電源の線間電圧を示す。
また、数式2において、Vdcavgは仮想の直流リンク電圧の平均値、fは補正前の出力周波数指令を示す。
伊藤里絵、高橋勲,「仮想直流リンク電圧を考慮したマトリクスコンバータの制御法」平成13年電気学会全国大会論文集,社団法人電気学会,平成13年発行
前述した先願に記載された発明によれば、出力電圧の正負の面積を等しくすることでトルクの脈動を低減することができる。
しかしながら、前述の数式1、数式2に基づいて仮想の直流リンク電圧Vdcを演算し、更に出力電圧の瞬時周波数f**を演算するためには、スイッチングによって上下アームのスイッチング関数S,S,Sが変化するたびに仮想直流リンク電圧Vdcを演算する必要があり、高速な演算器と高精度な電圧検出器とを必要としてコストを上昇させる原因となる。
そこで本発明は、マトリクスコンバータを代表とする交流−交流直接変換器において、電源電圧の0.866倍を超えるような電圧を出力する場合でも、高速の演算器や高精度の電圧検出器を要することなく出力電圧のひずみを低減して電動機駆動時のトルクの脈動を抑制することができる制御装置を提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、半導体スイッチング素子を用いて交流電力を交流電力に直接変換する交流−交流直接変換器において、
電源電圧を検出する手段と、
この手段により検出した電源電圧に同期する入力電流指令を演算する手段と、
前記入力電流指令を用いて前記直接変換器の仮想直流リンク電圧を演算する手段と、
前記仮想直流リンク電圧の脈動周波数成分を抽出すると共にこの周波数成分を用いて周波数補正係数を演算する手段と、
前記周波数補正係数により前記直接変換器の出力電圧指令の周波数を制御する手段と、
を備えたものである。
請求項2に記載した発明は、上記請求項1において、
出力電圧指令が電源電圧に起因する出力可能範囲を超える場合に、仮想直流リンク電圧と前記出力電圧指令とを用いて前記出力可能範囲内の出力電圧指令を演算し、この出力電圧指令に対応する仮想直流リンク電圧を再度演算する手段を備え、
この手段により演算した仮想直流リンク電圧からその脈動周波数成分を抽出するものである。
請求項3に記載した発明は、半導体スイッチング素子を用いて交流電力を交流電力に直接変換する交流−交流直接変換器において、
前記直接変換器の入力電流指令から演算した仮想直流リンク電圧の脈動分及び平均値に基づき負荷としての電動機の磁束軸電流の変化分がゼロとなるように演算された補正量を用いて、前記直接変換器の出力周波数指令を補正する手段と、
この手段により補正された出力周波数指令と、前記電動機の磁束を制御する出力電圧成分としての磁束軸電圧指令と、前記電動機のトルクを制御する出力電圧成分としてのトルク軸電圧指令から出力電圧指令を合成する座標変換手段と、
前記出力電圧指令が電源電圧に起因する出力可能範囲を超える場合に、前記仮想直流リンク電圧の脈動に応じて磁束軸電圧を変動させ、トルク軸電圧が一定になるように前記直接変換器の出力電圧指令の周波数を制御する手段と、を備えたものである。
更に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載した交流−交流直接変換器の制御装置において、出力電圧指令の周波数を制御する手段を、出力電圧指令の位相角を制御する手段としたものである。
すなわち、出力電圧指令の周波数を時間積分すれば出力電圧指令の位相角が得られる。従って、請求項1〜3において、出力電圧指令の周波数を制御する手段として、この周波数を積分して求めた位相角を制御する手段を用いても、出力電圧のひずみやトルク脈動の低減といった効果を得ることができる。
本発明によれば、マトリクスコンバータ等の交流−交流直接変換器によって電源電圧の0.866倍を超えるような範囲の電圧を出力させる場合でも、高速な演算器や高精度な検出器を要することなく出力電圧のひずみを低減することができる。これにより、負荷として電動機を駆動する場合にもトルクの脈動を抑制することができ、騒音の発生や効率の低下、電動機や半導体スイッチング素子の異常過熱、破壊等を未然に防止する安価な制御装置を実現することができる。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示しており、図8と同一の構成要素には同一の参照符号を付して詳述を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
図1において、マトリクスコンバータ50の各相入力電圧はPLL(フェーズロックドループ)回路等の電源電圧位相検出手段2に入力され、その検出位相は入力電流指令演算手段3に加えられている。入力電流指令演算手段3には外部から入力電流指令(振幅指令)が入力されていると共に、この演算手段3から出力される電源電圧に同期した入力電流指令は仮想整流器パルス演算手段52に入力され、かつ、直流リンク電圧演算手段4にも入力されている。
直流リンク電圧演算手段4により演算された仮想直流リンク電圧は周波数補正係数演算手段5に入力され、この演算手段5により演算された周波数補正係数は乗算手段6において出力周波数指令と乗算され、その結果が積分手段55に入力されている。積分手段55により演算される出力電圧の角度指令は、従来技術と同様に出力電圧指令と共に交流電圧指令演算手段54に入力されている。
以下では、図2を参照しながら、本実施形態の主要な部分である入力電流指令演算手段3、直流リンク電圧演算手段4及び周波数補正係数演算手段5の動作を中心に説明する。
マトリクスコンバータでは、直流リンク部が存在しない。そこで、以下の手順(1),(2)に従ってスイッチング1サイクル当たりの平均の仮想直流リンク電圧を求める。ここで、スイッチング1サイクルとは、キャリア比較方式によるPWM発生方法ではキャリア1周期分であり、空間ベクトルによるPWM発生方法では、出力ベクトルを一巡出力する周期に相当する。
(1)入力電流指令演算手段3では、電源電圧の検出位相を入力力率指令と加算手段3aにて合成し、その出力に基づいて、三相正弦波発生手段3bにより電源電圧に同期した各相の入力電流指令を求める。
(2)直流リンク電圧演算手段4は、図2に示すように入力電流指令から絶対値検出手段4aにより絶対値を検出すると共に、最大値検出手段4bによりそれらの最大値を求め、逆数演算手段4cによってスイッチング1サイクル当たりの平均の仮想直流リンク電圧を求める。
以下に、図2に示す直流リンク電圧演算手段4によってスイッチング1サイクル当たりの平均の仮想直流リンク電圧が得られる理由について説明する。
仮想整流器のスイッチは、電流指令に基づいてそれぞれスイッチングしており、仮想整流器の電流指令i ,i ,I と出力される直流リンク電圧のスイッチング1サイクル当たりの平均値との関係は、入力力率を1とし、仮想直流リンク電流の指令値をidc と仮定した時に、数式3によって表される。
Figure 0004407215
仮想整流器のスイッチング回数を低減するために、入力電流指令の全波整流に相当するリプルを仮想直流リンク電流に重畳するとすれば、仮想直流リンク電圧は入力電流指令の全波整流の逆数となる。このため、図2に示す如く、三相正弦波発生手段3bから出力される入力電流指令を絶対値検出手段4a、最大値検出手段4bに順次入力して全波整流に相当するリプル分を検出し、逆数演算手段4cにより逆数を求めて仮想直流リンク電圧を検出する。
すなわち、本実施形態では、前述した先願のように仮想整流器側のスイッチング関数ではなく、仮想整流器の入力電流指令から仮想直流リンク電圧を求めている。
次に、図1における周波数補正係数演算手段5は、図3に示す構成により周波数補正係数を求める。
直流リンク電圧は数式3によって変動しているが、仮想インバータ側の変調率が0.866を越えない範囲では低周波脈動は発生しない。しかし、出力電圧が入力電圧の0.866倍を超える領域になると、仮想直流リンク電圧が不足するため、出力電圧にリプルが発生する。このリプルは数式3に起因して現れるので、平均的に数式3によって近似することができる。
従って、仮想直流リンク電圧からリプル周波数成分を抽出し、これを仮想直流リンク電圧の平均値により除算して周波数補正係数kを求め、この補正係数kにより出力周波数指令を補正することとした。
すなわち、図3における平均値演算手段5bは、スイッチング1サイクル当たりの平均的な仮想直流リンク電圧の平均値Vdcavg を求めると共に、特定周波数抽出手段5a及び加算手段5cは、リプル周波数成分を含むスイッチング1サイクル当たりの平均的な直流リンク電圧Vdc を算出し、除算手段5dが数式4の演算を行って周波数補正係数kを算出する。ここで、例えば特定周波数抽出手段5aはバンドパスフィルタにより、平均値演算手段5bはローパスフィルタによりそれぞれ構成されている。
Figure 0004407215
そして、この周波数補正係数kを図1の乗算手段6にて元の出力周波数指令に乗じることにより、数式5に示す如く補正後の出力周波数指令fref’を得る。
ここで、周波数補正係数kは出力周波数を瞬時的に変動させるものであり、出力電圧の基本周波数が変化するわけではない。
Figure 0004407215
このように、出力電圧が電源電圧の0.866倍を超えるPWM可能範囲外では直流リンク電圧が不足して出力電圧にひずみが発生するため、数式4の周波数補正係数kを用いて出力周波数を低くすることで、出力電圧を補償する。
なお、以上の方法により出力電圧波形の正負の面積を等しくすることができ、これによってトルクの脈動を抑制することができる。その原理について簡単に述べると、トルクTは一次磁束ベクトルφと一次電流ベクトルiとの外積で表され、数式6となる。
Figure 0004407215
ここで、磁束は一次電圧を積分すれば得られる。すなわち、一次電圧の時間積が一定となれば、トルクは一定となる。そこで、電圧にひずみが生じても一次電圧の一周期の正負の面積を等しくして時間積を一定とすれば、トルクは一定となる。以上より、マトリクスコンバータの出力電圧の正負の面積を等しくすることで電動機のトルクの脈動を抑制可能である。
なお、図1の実施形態では、入力電流指令を演算するために電源電圧の位相を検出して電源電圧に同期した信号を得ているが、実際に電源電圧検出器を設けて電圧を検出し、入力電流指令の演算に用いても良い。
また、本実施形態では、仮想直流リンク電圧を整流器側の電流指令と仮想直流リンク電流指令より求めたが、インバータ側の電圧指令と負荷電流より仮想直流リンク電流を演算し、仮想直流リンク電圧を求めてもよい。
図10、図11は、マトリクスコンバータにより電源電圧の0.866倍以上(1.0倍)の電圧を出力して誘導電動機を駆動した時のシミュレーション結果を示しており、図10は出力周波数を補正しない場合、図11は本実施形態による前記周波数補正係数kを用いて出力周波数を補正した場合である。各図の上段から、出力トルク、入力相電流、出力相電流、出力トルクの周波数解析結果、入力相電流の周波数解析結果を示している。
出力周波数を補正しない図10の場合には、出力トルクに脈動が生じているが、本実施形態によれば、出力トルクの脈動が抑制されていることがわかる。
次に、図4は本発明の第2実施形態を示すブロック図であり、図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
図4においては、直流リンク電圧演算手段4の出力側にPWM可能範囲電圧指令演算手段7が設けられ、その出力が周波数補正係数演算手段5に入力されている。また、PWM可能範囲電圧指令演算手段7には、交流電圧指令演算手段54からの出力電圧指令が入力されている。
PWM可能範囲電圧指令演算手段7は、PWM可能範囲(前述した如く、図9に斜線で示した電源電圧の0.866倍の範囲)を超える出力電圧指令からPWM可能範囲内の仮想直流リンク電圧を再度演算して、周波数補正係数演算手段5に出力する。そして、周波数補正係数演算手段5は前記同様に周波数補正係数を演算し、出力周波数指令を補正する。
図5は、PWM可能範囲電圧指令演算手段7の構成を示しており、図4の交流電圧指令演算手段54から入力された各相の出力電圧指令を直流リンク電圧演算手段4から入力された仮想直流リンク電圧によりそれぞれ除算する除算器7aと、この出力に上下限を設ける上下制限手段7bと、その出力を出力電圧位相に基づきベクトル回転してPWM可能範囲内の出力電圧に対応する仮想直流リンク電圧を求めるベクトル回転演算手段7cとを備えている。
以下に、PWM可能範囲を超える出力電圧指令からPWM可能範囲内の出力電圧に対応する仮想直流リンク電圧を演算する方法について説明する。
まず、キャリアと比較される各相の電圧指令は、数式7に示すように、各相の交流出力電圧指令vuout,vvout,vwoutをスイッチング1サイクル当たりの平均的な仮想直流リンク電圧指令Vdc (仮想直流リンク電流の逆数)により除算して求められる。この除算は図5の除算手段7aにより実行される。
Figure 0004407215
数式7は、仮想直流リンク電圧Vdc で規格化されているので、v ,v ,v の絶対値が1を超える部分がPWM可能範囲外の電圧指令となる。そこで、図5の上下制限手段7bによりPWM可能範囲外の電圧を取り除き、PWM可能範囲内のみの電圧指令から仮想直流リンク電圧を再度演算する。こうして演算された仮想直流リンク電圧は、PWM可能範囲外を取り除かれた分だけ、余分なリプルを含むことになる。
このように、上下制限手段7bによりPWM可能範囲外の電圧を取り除いてPWM可能範囲内のみとした電圧指令v **,v **,v **は、出力電圧指令v ,v ,v から数式8にて求められる。
Figure 0004407215
数式8において、y=limit(x)は、x>1でy=1、x<−1でy=−1、−1≦x≦1でy=xの関数である。
数式8より求めた電圧指令に基づいて仮想直流リンク電圧を再度演算するには、出力電圧指令v **,v **,v **を、v の角度θを基準として回転座標変換すればよい。すなわち、数式9にて回転座標変換を行えばよく、これらの処理は図5のベクトル回転演算手段7cにより実行される。
Figure 0004407215
数式9により求めたv’が最終的な仮想直流リンク電圧となる。その後、v’を用いて第1実施形態と同様に周波数補正係数を求め、次いで出力周波数を補正すればよい。
すなわち、本実施形態では、数式9を用いて回転座標変換を行うことにより、PWM可能範囲内の出力電圧に対応する仮想直流リンク電圧を求めることができる。
次に、図6は本発明の第3実施形態を示すブロック図であり、図1,図4と異なる部分を中心に説明する。
図6の実施形態では、電動機を駆動する際の磁束を制御する出力電圧成分である磁束軸電圧(d軸電圧)Vと、それに直交して電動機のトルクを制御する出力電圧成分であるトルク軸電圧(q軸電圧)Vとを用いて、トルクが一定となるように出力電圧ベクトルの位相角を補正する。
図6において、マトリクスコンバータ50の出力側には三相電流検出手段8が設けられ、その出力側には、三相電流検出値から負荷電動機の磁束位置θを基準として座標変換を行い、トルク軸電流(q軸電流)iを求める座標変換手段9が接続されている。
また、仮想インバータパルス演算手段53の前段には座標変換手段10が設けられ、この座標変換手段10には、d軸電圧指令V 及びq軸電圧指令V と、後述する加算手段12から出力される補正後の位相角が入力されている。
d軸電圧指令V 、q軸電圧指令V 、電動機のq軸電流i、及び、直流リンク電圧演算手段4からの仮想直流リンク電圧は出力電圧補正角演算手段11に入力され、その出力は加算手段12に入力されていると共に、出力周波数指令が積分手段55に入力され、その出力である角度指令が前記加算手段12に入力されている。
加算手段12から出力された補正後の角度指令は、出力電圧ベクトルの位相角として前記座標変換手段10に入力される。
この実施形態において、出力電圧補正角演算手段11は、仮想直流リンク電圧の脈動分と、仮想直流リンク電圧の平均値とからq軸電流iの変化分がゼロとなるように補正角を調節演算する。そして、求められた補正角を加算手段12にて出力電圧の角度指令に加え、座標変換手段10は、補正後の角度指令を出力電圧ベクトルの位相角として、d軸電圧指令V 及びq軸電圧指令V を交流出力電圧指令に変換し、仮想インバータパルス演算手段53に出力する。
以下に、本実施形態において出力電圧ベクトルの位相角を調整することで電動機のトルクリプルを低減できる理由を説明する。
図7は、位相角の調整による出力電圧ベクトルの状態を説明するためのものであり、図7(a)は出力電圧ベクトルのq軸電圧成分が変動している状態、図7(b)は一定の状態を示している。
図9に示したようにPWM可能範囲外で電圧を出力する場合、出力電圧ベクトルが例えば、図7(a)のごとく変動したと仮定する。トルクは、数式6に示したように磁束と電流との外積であるが、図7(a)では磁束を制御するd軸電圧Vだけでなく、トルクを制御するq軸電圧Vも変動するため、大きなトルク脈動が発生する。
そこで本実施形態では、出力電圧補正角演算手段11により、仮想直流リンク電圧の脈動に応じてd軸電圧Vを変動させ、図7(b)のごとくq軸電圧Vが一定となるように補正角を演算し、この補正角を加算手段12にて元の角度指令に加算することにより出力電圧ベクトルの位相角をθ,θ,θのように変動させる。
出力電圧ベクトルが大きい場合、例えば、図7(a)において出力電圧ベクトルがAの位置にある場合には、出力周波数指令を下げて出力電圧ベクトルの角度を図7(b)のθのように操作することによりd軸電圧を増加させ、q軸電圧を低下させる。逆に、出力電圧ベクトルが小さい場合、例えば、図7(a)において出力電圧ベクトルがCの位置にある場合には、出力周波数指令を上げて出力電圧ベクトルの角度を図7(b)のθのように操作することによりd軸電圧を減少させ、q軸電圧を増加させる。
この結果、図7(b)のごとくq軸電圧Vは一定となり、q軸電流iも一定となる。
つまり、q軸電圧及びq軸電流が一定になるように補正角を演算し、この補正角を元の角度指令に加算して出力電圧ベクトルの位相角を制御すれば、トルクの脈動を抑制することが可能になる。
d軸電圧Vと磁束の伝達関数は、電動機の二次側時定数を有するローパスフィルタとなるため、d軸電圧の変動が発生しても、変動する周期より二次側時定数が十分長ければ前記変動は減衰するため、トルクに与える影響は小さくなる。
すなわち、出力電圧補正角演算手段11は、電動機のq軸電流iの変化分をゼロにするように補正角を演算する。例えば、図6に示したように三相電流検出手段8により得られた電流から電動機の磁束位置θを基準として座標変換手段9によりトルク軸電流iを求め、求めたiの変化分をゼロにするように補正角度を演算する。なお、この演算手段11にはPI調節器を用いてもよい。
また、出力電圧補正角演算手段11により補正される角度指令は、仮想直流リンク電圧の脈動に依存するので、仮想直流リンク電圧の脈動分と仮想直流リンク電圧の平均値から補正角度を求めてもよい。
他にも、電動機のトルクを直接検出し、このトルク脈動をゼロにするように補正角を求めてもよいし、電動機の電力を演算して有効電力分の脈動をゼロにするように補正角を求めてもよい。
また、ここでは出力電圧ベクトルの位相角調整手段を磁束成分のd軸とそれに直交するトルク成分のq軸とからなる直交二軸の座標系で構成したが、これらのd−q軸の座標上で行わなくともよい。例えば、磁束との位相誤差があるため効果は減少するが、簡単化のために出力電圧ベクトルを基準とする直交二軸の座標上でもよい。
なお、図1、図4の実施形態では、所望の出力電圧指令を得るために出力周波数指令を補正し、また、図6の実施形態では出力周波数指令を積分して得た位相角を補正しているが、前述した如く、周波数と位相角との置換は容易であるから、周波数及び位相角の何れを補正対象とする場合も本発明は包含するものである。
本発明の第1実施形態を示すブロック図である。 図1の主要部を示す構成図である。 図1の主要部を示す構成図である。 本発明の第2実施形態を示すブロック図である。 図4の主要部を示す構成図である。 本発明の第3実施形態を示すブロック図である。 第3実施形態の動作を説明するための出力電圧ベクトルの状態を示す図である。 従来技術を示すマトリクスコンバータの制御装置のブロック図である。 マトリクスコンバータの出力電圧範囲を示す図である。 従来技術によるシミュレーション結果を示す波形図である。 本発明の第1実施形態によるシミュレーション結果を示す波形図である。
符号の説明
2:電源電圧位相検出手段
3:入力電流指令演算手段
3a:加算手段
3b:三相正弦波発生手段
4:直流リンク電圧演算手段
4a:絶対値検出手段
4b:最大値検出手段
4c:逆数演算手段
5:周波数補正係数演算手段
5a:特定周波数抽出手段
5b:平均値演算手段
5c:加算手段
5d:除算手段
6:乗算手段
7:PWM可能範囲電圧指令演算手段
7a:除算手段
7b:上下制限手段
7c:ベクトル回転演算手段
8:三相電流検出手段
9:座標変換手段
10:座標変換手段
11:出力電圧補正角演算手段
12:加算手段
50:マトリクスコンバータ
51:PWMパルス合成手段
52:仮想整流器パルス演算手段
53:仮想インバータパルス演算手段
54::交流電圧指令演算手段
55:積分手段

Claims (4)

  1. 半導体スイッチング素子を用いて交流電力を交流電力に直接変換する交流−交流直接変換器において、
    電源電圧を検出する手段と、
    この手段により検出した電源電圧に同期した入力電流指令を演算する手段と、
    前記入力電流指令を用いて前記直接変換器の仮想直流リンク電圧を演算する手段と、
    前記仮想直流リンク電圧の脈動周波数成分を抽出すると共にこの周波数成分を用いて周波数補正係数を演算する手段と、
    前記周波数補正係数により前記直接変換器の出力電圧指令の周波数を制御する手段と、
    を備えたことを特徴とする交流−交流直接変換器の制御装置。
  2. 請求項1に記載した交流−交流直接変換器の制御装置において、
    出力電圧指令が電源電圧に起因する出力可能範囲を超える場合に、仮想直流リンク電圧と前記出力電圧指令とを用いて前記出力可能範囲内の出力電圧指令を演算し、この出力電圧指令に対応する仮想直流リンク電圧を再度演算する手段を備え、
    この手段により演算した仮想直流リンク電圧からその脈動周波数成分を抽出することを特徴とする交流−交流直接変換器の制御装置。
  3. 半導体スイッチング素子を用いて交流電力を交流電力に直接変換する交流−交流直接変換器において、
    前記直接変換器の入力電流指令から演算した仮想直流リンク電圧の脈動分及び平均値に基づき負荷としての電動機の磁束軸電流の変化分がゼロとなるように演算された補正量を用いて、前記直接変換器の出力周波数指令を補正する手段と、
    この手段により補正された出力周波数指令と、前記電動機の磁束を制御する出力電圧成分としての磁束軸電圧指令と、前記電動機のトルクを制御する出力電圧成分としてのトルク軸電圧指令から出力電圧指令を合成する座標変換手段と、
    前記出力電圧指令が電源電圧に起因する出力可能範囲を超える場合に、前記仮想直流リンク電圧の脈動に応じて磁束軸電圧を変動させ、トルク軸電圧が一定になるように前記直接変換器の出力電圧指令の周波数を制御する手段と、
    を備えたことを特徴とする交流−交流直接変換器の制御装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載した交流−交流直接変換器の制御装置において、
    出力電圧指令の周波数を制御する手段を、出力電圧指令の位相角を制御する手段としたことを特徴とする交流−交流直接変換器の制御装置。
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