以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のチップ成形機M1は、図1・3に示すように、溶接ガン1のシャンク3・4に嵌め込まれた一対の電極チップ6(6A・6B)を成形するものである。溶接ガン1は、図示しない多関節の溶接ロボットのア−ムの先端に保持されるサーボガンとしており、このサ−ボガン1は、汎用のものであり、一対の電極チップ6A・6Bを、エンコーダを内蔵させたサ−ボモータ2により移動させるように保持するとともに、相互に接近させる位置制御機能を備えて構成されている。また、サ−ボガン1は、演算機能を備えて、サ−ボモ−タ2の回転数制御・トルク制御を行なって、電極チップ6A・6Bの位置制御や加圧力制御等を行なえるものである。
電極チップ6A・6Bは、溶接時のワークに接触させる先端側が、円形の先端面6aと、この先端面6aの縁(角部)6bから円柱状の元部6d側にかけて拡径する拡径部6cと、を備えて構成されている。第1実施形態の場合、先端面6aは、半径R1を40mmとした略平面状の球面とし、拡径部6cは、半径R2を8mmとした球面状として、先端面6aの直径dを6mm、元部6d側の直径Dを16mmとしている(図3参照)。
チップ成形機M1は、溶接ロボットの作動によるサーボガン1の稼動範囲内に配設されて、図1〜3に示すように、支持フレーム10、ガイドブロック14、ギヤケース16、駆動モータ22、及び、成形本体部26、を備えて構成されている。
サーボガン1の稼動範囲内に配設された支持フレ−ム10には、上下にブラケット11・12が配設されている。上下のブラケット11・12の間には、左右両側に、上下方向に沿って配置されたガイドロッド13・13が配設されている。各ガイドロッド13の上下の略中間位置には、水平方向に配設されるガイドブロック14が、元部側の位置で、ガイドロッド13の軸方向に沿う上下方向に摺動可能に配設されている。また、ガイドブロック14の元部側における上下面には、各ガイドロッド13の周囲に外装された計4個の圧縮コイルばね15が当接している。これらのばね15の伸縮によって、ガイドブロック14が、成形時の電極チップ6A・6Bの軸方向への移動に追従して、移動可能に、支持フレ−ム10に保持されることとなる。
ガイドブロック14の先端側には、上下のアッパプレート18とロアプレート19とからなるギヤケース16が配設され、先端側のプレート18・19間には、ベアリング20・20を介在させて、成形本体部26の回転基盤27が、配設されている。アッパプレート18の上面側や側面側は、カバー17によって覆われている。
ギヤケース16の元部側の下面には、回転基盤27を回転駆動可能な駆動モータ22が配設されている。駆動モータ22には、駆動軸22aに、ギヤ24に噛合するギヤ23が配設され、ギヤ24には、回転基盤27の歯車部29が噛合されている。
成形本体部26は、図2〜5に示すように、ホルダ32と、ホルダ32を保持する回転基盤27と、を備えて構成されている。ホルダ32は、アッパカバー33、ロアカバー35、及び、ホルダ本体41、から構成されて、カッタ48、成形ローラ52、及び、成形ローラ58、を保持している。
回転基盤27は、図2〜5に示すように、筒部28と、筒部28の外周面に円板状に突設されてギヤ24に噛合する歯車部29と、を備えて構成されている。ホルダ32を保持する回転基盤27は、駆動モータ22の駆動力をギア23・24・歯車部29を経て伝達されて回転する回転中心軸Oを、成形時の電極チップ6A・6Bの軸心Cと、一致させるように、配設されている。筒部28は、その軸方向を上下方向に沿わせ、かつ、その軸心を回転中心軸Oに一致させるように、配設されている。そして、回転基盤27は、歯車部29の上下の筒部28の外周面に、ベアリング20・20を配設させて、ギヤケース16に回動可能に支持されている。回転基盤27の回転方向は、成形時のチップ6A・6Bの軸心Cの周方向(軸回り方向)であり、第1実施形態の場合、図5に示すように、水平方向に沿って、反時計方向に回転する。勿論、回転基盤27に保持されたホルダ32は、回転基盤27と一致する回転中心軸Oで、反時計方向に回転する。
さらに、筒部28は、内周側に長円形の開口を有した貫通孔28aを備えて構成され、上端面における貫通孔28aの周縁には、円板状のアッパカバー33を嵌合可能な凹溝28bが、形成されている。凹溝28bの底面には、ホルダ32を回転基盤27に固定するためのねじ30(図2参照)を締結させるねじ孔(図示せず)が、形成されている。
アッパカバー33は、図2〜4・6に示すように、中央に円形の開口の挿入孔33aを備えた円環状として、外周縁の2箇所に、ホルダ32を成形本体部26に固定するためのねじ30を挿通させる取付孔33bを、配設させている。挿入孔33aの周囲には、2箇所に、上下方向に貫通する連結孔33cが、配設されるとともに、4箇所に、上下方向に貫通する肉盗み孔33dが、配設されている。さらに、挿入孔33aの周囲には、二つの軸支孔33e・33fと一つの嵌合孔33gとが、上下方向に貫通して形成されている。
また、ロアカバー35は、図2〜4・6に示すように、中央に円形の開口の挿入孔35aを備えた略円環状として、挿入孔35aの周囲には、2箇所に、上下方向に貫通する連結孔35cが、配設されるとともに、4箇所に、上下方向に貫通する肉盗み孔35dが、配設されている。さらに、挿入孔35aの周囲には、二つの軸支孔35e・35fと一つの嵌合孔35gとが、上下方向に貫通して形成されている。
挿入孔33a・35aは、電極チップ6A・6Bの成形時には、その軸心を、成形時の電極チップ6A・6Bの軸心Cと一致させて、内径寸法X(図3参照)を、所定回数の溶接作業を行って変形したチップ6A・6Bを挿通可能な寸法を確保し、かつ、成形時のチップ6A・6Bの元部6dを孔33a・35aの内周面によって支持可能に、元部6dの外径寸法Dに近似した寸法(X=D+0.5〜1.5mm)としている。第1実施形態の場合、内径寸法Xは、16mm+1mmとして、17mmとしている。
また、アッパカバー33とロアカバー35との二つずつの連結孔33c・35cは、相互に、成形時のチップ6A・6Bの軸心Cに沿って、一致する位置に、配設され、それぞれ、ホルダ本体41のねじ孔41aに締結されるねじ40(図2・5参照)が、挿通される。これらのねじ40は、アッパカバー33とロアカバー35とを、ホルダ本体41の上下面に固定させて、ホルダ32を一体的に形成するために、配設されている。
さらに、アッパカバー33とロアカバー35との軸支孔33e・35eは、保持軸37の両端を嵌合させるように、成形時のチップ6A・6Bの軸心Cに沿って、一致する位置に、配設されている。また、アッパカバー33とロアカバー35との軸支孔33f・35fは、保持軸38の両端を嵌合させるように、成形時のチップ6A・6Bの軸心Cに沿って、一致する位置に、配設されている。保持軸37は、その軸回り方向に成形ローラ52を回動自在として保持するものであり、保持軸38は、その軸回り方向に成形ローラ58を回動自在として保持するものである。
さらにまた、アッパカバー33とロアカバー35との嵌合孔33g・35gは、位置決めピン39の両端を嵌合させるように、成形時のチップ6A・6Bの軸心Cに沿って、一致する位置に、配設されている。
ホルダ本体41は、図3〜6に示すように、成形時のチップ6A・6Bの先端側を収納可能に凹む収納凹部42を、上下面のそれぞれの中央に配置させている。さらに、ホルダ本体41には、各ねじ40を締結させるためのねじ孔41aと、位置決めピン39を挿通させる嵌挿孔41bと、が上下方向に貫通するように、配設されている。
さらに、ホルダ本体41には、収納凹部42の領域を含んで、カッタ48を配設させるための配設孔43が、上下方向に貫通して配設されている。配設孔43に配設されるカッタ48は、回転中心軸Oと直交する方向に形成される取付孔44(図5・6参照)を利用したねじ50止めにより、ホルダ本体41に取り付けられている。取付孔44は、カッタ48の取付孔48d(図6・7参照)を貫通してねじ50の軸部50bを締結させるねじ孔44aと、ねじ50の頭部50aを挿通させる挿通孔44bと、から構成されている。
また、ホルダ本体41は、収納凹部42の領域を含んで、大小二つの略扇状に開口した収納孔45・46(図5・14参照)が、上下方向に貫通されている。収納孔45には、成形ローラ52が収納され、収納孔46には、成形ローラ58が収納されている。さらに、収納孔45は、カッタ48の切刃49の部分を露出させるように、配設されており、カッタ48によりチップ6A・6Bを切削した際の切粉A(図3・14参照)を排出させる排出孔としての役目も果たしている。
カッタ48は、図3・6〜9に示すように、ホルダ32の回転中心軸Oと直交する方向に厚さ方向を配設させるとともに回転中心軸O側に接近するにつれて幅寸法を狭める略ホームベース形の板状としている。そして、カッタ48は、切刃49を、回転時に電極チップ6A・6Bの先端面6aと拡径部6cの先端面6a近傍の縁6b付近とを切削可能に、各電極チップ6A・6Bの軸直交方向の投影状態における軸心C付近から軸直交方向の片側に延びるように、すなわち、ホルダ32の回転中心軸Oと直交する方向でホルダの回転中心軸Oを通り、かつ、回転中心軸Oに沿った方向の両縁48a・48b側に、配設させて構成されている。換言すれば、カッタ48は、回転中心軸O側の上下の縁48a・48b側に、電極チップ6A・6Bにおける軸心Cの軸直交方向での投影形状の凹部48eを設けて、形成され、その厚さ方向の縁48a・48b側に、切刃49を設けている。また、カッタ48は、凹部48eから離れた上下方向の中央付近に、ホルダ32にねじ50止めするための取付孔48dを備えるとともに、取付孔48dに連なるように、スリット48cが、カッタ48の外周縁から水平方向に沿って配設されている。なお、スリット48cは、カッタ48をワイヤカッタにより形成する際に、取付孔48dを、カッタ48の外周縁の加工時に、同時に形成できるようにするために、配設されている。
なお、凹部48eは、チップ6の先端面6aから、縁6bを経て、拡径部6cまでのエリアに対応するように形成されている。さらに、切刃49における拡径部6cに対応して弧面状に形成されているエリアの長さ寸法(高さ寸法)L0(図7・15参照)は、第1実施形態では、3.416mm、形成されているものの、チップ6を切削する実際のエリアは、先端面6aを切削する端面部49aと、拡径部6cにおける縁6bの近傍を切削する縁部49bとしており、拡径部6cの全域を切削するように、設定されてはいない。第1実施形態の場合、成形ローラ52・58との配置位置の調整により、切刃49のチップ6の切削エリアが設定されており、縁部49bで切削するエリアは、成形完了後のチップ6の縁6bから、0.359mmの長さ寸法(高さ寸法)L1(図15参照)分、軸心Cに沿って、拡径部6cの領域に、入ったエリアとしている。また、先端面6a側を切削する端面部49aは、切刃49が、カッタ48の板厚方向の縁48a・48b側に、形成されているため、縁部49bから連なる回転中心軸Oまでの領域となり、回転中心軸Oを越えるエリア49dでは、逆方向の回転方向でチップ6と接触することから、チップ6を切削できない。
また、カッタ48は、ホルダ本体41の配設孔43に取り付けられた際、切刃49が、収納凹部42から突出するように、形成されている。
成形ローラ52は、図4〜6・10・11・14・15に示すように、保持軸37に、回動自在に保持されて、収納孔(排出孔)45内に配設されている。保持軸37は、ホルダ本体41にねじ40止めされるアッパカバー33とロアカバー35との各軸支孔33e・35eに、両端を支持されて、回転中心軸Oに沿うように、配置されている。そして、成形ローラ52は、ホルダ32の回転時に、接近した電極チップ6A・6Bに押し付けられて、各々の拡径部6cを成形可能な成形面53、を回転中心軸Oに沿う両端側に有した樽形状としている。成形面53は、保持軸37の直交方向での投影形状を、電極チップ6A・6Bの成形後の拡径部6cの外形形状に対応する本体部分54と、本体部分54に連なって、拡径部6cから離れるように、保持軸37の軸方向の中央側に向かいつつ、回転時のカッタ48の両縁48a・48bの切刃49間の回転領域に重なるように(第1実施形態の場合には、切刃49間の回転領域内に進入するように)、漸次、ホルダ32の回転中心軸O側に接近する延長部分55と、を備えて構成されている。第1実施形態の場合、延長部分55は、保持軸37の直交方向での投影形状を、直線状として、保持軸37の直交方向での投影形状としての本体部分54における接線方向に延びて、配設されている。
この延長部分55の回転中心軸Oに沿う長さ寸法L2(図10・15参照)は、第1実施形態の場合、0.78mmとしている。
また、成形面53における本体部分54は、保持軸37の直交方向での投影形状として、延長部分55に連なってチップ6の拡径部6cの半径R2寸法に対応する弧面の弧面部分54aと、弧面部分54aからローラ52の両端側に直線状に延びるテーパ部分54bと、を備えて構成されている。第1実施形態の場合、本体部分54の弧面部分54aの回転中心軸Oに沿った長さ寸法L4は、2.928mmとし、テーパ部分54bの回転中心軸Oに沿った長さ寸法L3は、3.35mmとしている。
成形ローラ58は、成形ローラ52より小径としており、電極チップ6の拡径部6cを成形するものの、回転するカッタ48の切刃49の回転領域(長さ寸法L1の切削領域)内に進入する延長部分を備えておらず、主に、拡径部6cの支持を行うような押えローラとしての役目を果たすものであり、図4〜6・12〜15に示すように、保持軸38に、回動自在に保持されて、収納孔46内に配設されている。保持軸38は、ホルダ本体41にねじ40止めされるアッパカバー33とロアカバー35との各軸支孔33f・35fに、両端を支持されて、回転中心軸Oに沿うように、配置されている。そして、成形ローラ58は、ホルダ32の回転時に、接近した電極チップ6A・6Bに押し付けられて、各々の拡径部6cの一部を成形可能な成形面59、を回転中心軸Oに沿う両端側に有した樽形状としている。成形面59は、保持軸37の直交方向での投影形状を、電極チップ6A・6Bの成形後の拡径部6cの外形形状に対応する本体部分60を設けて、構成されている。
なお、この成形ローラ58も、本体部分60は、チップ6の拡径部6cの半径R2寸法に対応する弧面の弧面部分60aと、弧面部分60aからローラ58の両端側に直線状に延びるテーパ部分60bと、を備えて構成されている。ちなみに、テーパ部分60bの回転中心軸Oに沿った長さ寸法は、ローラ52の長さ寸法L3と等しく設定され、弧面部分60aの回転中心軸Oに沿った長さ寸法L5は、第1実施形態の場合、1.664mmとしている。
また、カッタ48、及び、成形ローラ52・58の高さ寸法Hは、ホルダ本体41に締結されたアッパ・ロアカバー33・35の間の寸法と等しく、第1実施形態の場合、20.0mmとしている。
そして、第1実施形態の場合、図14に示すように、成形ローラ52・58の各保持軸37・38とカッタ48の切刃49とが、ホルダ32の回転中心軸周りで、120°ずつずれて、配置されている。勿論、成形ローラ52と成形ローラ58とを保持する保持軸37・38の軸心は、ホルダ32の回転中心軸Oから同一半径RO(第1実施形態の場合、12.15mm)に配置され、カッタ48の切刃49は、ホルダ32の回転中心軸Oと直交する方向でホルダの回転中心軸Oを通るように、配置されている。
さらに、ホルダ32の回転時における回転中心軸Oの軸直交方向での切刃49と成形ローラ52との投影形状では、図15に示すように、切刃49の縁部49bの上端49cが、成形ローラ52の成形面53における本体部分54と延長部分55との境界部位53aと一致するように、すなわち、カッタ48の切刃49における電極チップ6を切削する部位49a・49bが、回転中心軸Oから、成形ローラ52の成形面53における本体部分54と延長部分55との境界部位53aまで、配設されている。
第1実施形態のチップ成形機M1の使用状態について説明すると、所定回数のスポット溶接を行った後、溶接ロボットが、サーボガン1をチップ成形機M1の近傍に配置させるとともに、電極チップ6A・6Bを、ホルダ32の挿入孔33a・35aの上下で、上下方向に沿って対向させるように配置させる。すると、それに対応させて、チップ成形機M1は、駆動モータ22を回転駆動させる。
そして、サーボガン1が作動されて、チップ6A・6Bを、ホルダ32内に挿入させるように、相互に接近させて、収納凹部42側に押し付ける。すると、成形ローラ52は、ホルダ32とともに電極チップ6A・6Bの軸回り方向に回転しつつ、成形面53を、一対の電極チップ6A・6Bの拡径部6cに押圧させて、成形面53の本体部分54の形状どおりに、電極チップ6A・6Bの拡径部6cを成形し、また、カッタ48が、切刃49の端面部49aと縁部49bとによって、電極チップ6A・6Bの先端面6aと拡径部6cにおける先端面6a近傍の縁6b付近とを切削して、形成する。
その際、成形ローラ52の両端側の成形面53が、保持軸37の軸直交方向での投影形状として、電極チップ6A・6Bの成形後の拡径部6cの外形形状に対応する本体部分54だけでなく、本体部分54との境界部位53aを越えて、保持軸37の軸方向に沿った中央側に延び、回転時のカッタ48の両縁の切刃49間におけるチップ6A・6Bを切削する回転領域に重なる延長部分55を、備えている。そのため、成形時に、成形ローラ52の成形面53が、電極チップ6A・6Bの拡径部6cを塑性変形させつつ成形する際、塑性変形時に発生するチップ材料の余肉S(図15参照)を、本体部分54から延長部分55にかけて押し出し、その押し出された余肉Sが、カッタ48の切刃49における端面部49aと縁部49bとで切削されることから、電極チップ6A・6Bの先端側、すなわち、先端面6aとその縁の角部6bと、を、精度良く、所定形状に成形できる。
すなわち、カッタ48に対する成形面53の回転軌跡として、図15に示すように、縁部49bの上端49cと、本体部分54と延長部分55との境界部位53aと、が一致していることから、カッタ48の切刃49における縁部49bで切削するチップ材料の余肉Sは、成形ローラ52の成形面53における本体部分54から延長部分55に押し出されて、回転中心軸Oに沿う長さ寸法L1分、切削されることとなる。
また、カッタ48が、一つだけ使用されて、二つの成形ローラ52・58間の一箇所に配置され、そして、カッタ48の切刃49が、各電極チップ6A・6Bの軸直交方向の投影状態における軸心C付近から軸直交方向の片側に延びるように、ホルダ32の回転中心軸Oと直交する方向でホルダ32の回転中心軸Oを通って配設されるとともに、回転中心軸Oに沿った方向の両縁48a・48b側に、配設され、さらに、成形ローラ52の成形面53における本体部分54から境界部位53aを越えて延長部分55に押し出されたチップ材料の余肉Sを切削するように配設されているだけであり、成形ローラ52・58の成形面53・59による成形に支障を生ずるように電極チップ6A・6Bを支持しないことから、電極チップ6A・6Bの先端面6a付近を迅速に切削できる。
勿論、この成形時、電極チップ6A・6Bの先端における先端面6a側を切削しているものの、拡径部6cの大部分は、切削していないことから、切削屑の発生を極力抑えることができ、すなわち、電極チップ6A・6Bの消費量を抑えて、電極チップ6の成形を行うことができる。
そして、カッタ48の切刃49で切削された際の切粉Aは、ホルダ32に設けられている排出孔45から、肉盗み孔35dを経て、円滑に落下して排出されることから、切粉Aによる傷付けが防止されて、成形後、電極チップ6A・6Bは、奇麗で寸法精度の良好な切削面を、確保することができる。
したがって、第1実施形態のチップ成形機M1では、縁の角部6bを含めた先端面6aの寸法精度を確保でき、かつ、切削屑の発生を極力抑えて、迅速に一対の電極チップ6A・6Bを使用可能に成形(再生)することができる。
さらに、第1実施形態の場合には、成形ローラ52・58の各保持軸37・38とカッタ48の切刃49とを、ホルダ32の回転中心軸O周りで、120°ずつずらして配置させて、カッタ48と成形ローラ52・58とを、ホルダ32に保持させている。
そのため、成形中の一対の電極チップ6A・6Bを、ホルダ32の回転中心軸O周りで、120°ずつに均等に離して、カッタ48の切刃49・成形ローラ52・58の成形面53・59の線当たりする部位で、三点支持するように、安定して支持することができて、成形する電極チップ6A・6Bにおける縁の角部6bを含めた先端面6aを再生する寸法精度を確保して、電極チップ6A・6Bのぶれを効率的に抑えて成形できる。
なお、第1実施形態のチップ成形機M1において、成形ローラ58を、本体部分54と延長部分55とを有した成形面53を備える成形ローラ52に、変更しもよい。
さらに、第1実施形態では、成形ローラ52の延長部分55が、拡径部6cから離すように延ばして、回転時のカッタ48の両縁48a・48bの切刃49間の回転領域内に進入するように配設されており、軸心Cに沿った電極チップ6A・6Bの領域においては、延長部分55に対応する部位、すなわち、拡径部6cにおける縁(角部)6b近傍付近は、成形ローラ52による成形領域とはならず、容易にチップ材料が押し出され易い領域となり、かつ、カッタ48による切削領域となることから、切削効率が良好となって、チップ成形(再生)の一層の迅速処理が可能となる。
ちなみに、第1実施形態のように、成形面53の延長部分55を、回転時のカッタ48の両縁48a・48bの切刃49間の回転領域内に進入させるように、配設させる場合では、カッタ48の切刃49における縁部49bで切削する拡径部6cの長さ寸法は、長すぎれば、電極チップ6の切削量が大きくなり、短すぎれば、縁部49bの上端49c付近の上方近傍の拡径部6cに、余肉Sの切削残りの突条を発生させてしまうことから、長さ寸法L1(カッタ48におけるチップ先端面6aを切削する切刃49の端面部49aから、成形ローラ52の成形面53における本体部分54と延長部分55との境界部位53aまで、の高さ寸法)は、0.1〜0.8mm、望ましくは、0.2〜0.5mm、確保するように設定することが好ましい。
また、成形面に延長部分を備えた成形ローラを、ホルダの回転中心軸周りに略放射状に三個以上配設させてもよく、図16〜19に示す第2実施形態のチップ成形機M2のように、四個の成形ローラ92を使用してもよい。この第2実施形態のチップ成形機M2では、第1実施形態のホルダ32と相違し、成形本体部26Aのホルダ72が四個の成形ローラ92を保持し、また、成形する電極チップ66(図20・21参照)の先端側の寸法が、第1実施形態の電極チップ6と若干相違している。そして、チップ成形機M2では、第1実施形態と同様に、溶接ロボットの作動によるサーボガン1の稼動範囲内に配設されて、支持フレーム10、ガイドブロック14、ギヤケース16、駆動モータ22、及び、成形本体部26A、を備えて構成されており(図1参照)、上記の相違点の他は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同様な部位・部材には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。
第2実施形態で成形(再生)する電極チップ66(66A・66B)は、溶接時のワークに接触させる先端側が、円形のエリアの先端面66aと、この先端面66aの縁(角部)66bから円柱状の元部66d側にかけて拡径する拡径部66cと、を備えて構成されている。第2実施形態の場合、先端面66aは、半径R1を30mmとした略平面状の球面とし、拡径部66cは、半径R2を7.9mmとした球面状として、先端面66aの直径dを5.9mm、元部66d側の直径Dを16mmとしている(図21参照)。
成形本体部26Aは、図16〜19に示すように、ホルダ72と、ホルダ72を保持する回転基盤27と、を備えて構成されている。ホルダ72は、アッパカバー73、ロアカバー75、及び、ホルダ本体81、から構成されて、カッタ88と四個の成形ローラ92とを保持している。回転基盤27は、筒部28と、筒部28の外周面に円板状に突設されてギヤ24に噛合する歯車部29と、を備えて構成されている。ホルダ72を保持する回転基盤27は、第1実施形態と同様に、駆動モータ22の駆動力をギア23・24・歯車部29を経て伝達されて回転する回転中心軸Oを、成形時の電極チップ66A・66Bの軸心Cと、一致させるように、配設されて、その回転方向は、成形時のチップ66A・66Bの軸心Cの周方向(軸回り方向)であり、第2実施形態の場合、図16に示すように、水平方向に沿って、反時計方向に回転する。勿論、回転基盤27に保持されたホルダ72は、回転基盤27と一致する回転中心軸Oで、反時計方向に回転する。回転基盤27における略十字形の板状のアッパカバー73を嵌合可能な凹溝28bの底面には、ホルダ72を回転基盤27に固定するためのねじ30(図16・18参照)を締結させるねじ孔28cが、形成されている。
アッパカバー73は、中央に円形の開口の挿入孔73aを備えて、外周縁の2箇所に、ホルダ72を成形本体部26Aに固定するためのねじ30を挿通させる取付孔73bを、配設させている。アッパカバー73の外周縁付近には、4箇所に、上下方向に貫通する連結孔73cが、配設され、また、各連結孔73cからずれた外周縁の4箇所には、上下方向に貫通する肉盗み孔73dが、配設されている。さらに、アッパカバー73には、挿入孔73aの周囲に、四つの軸支孔73eが上下方向に貫通して形成されている。
また、ロアカバー75は、中央に円形の開口の挿入孔75aを備えて、取付孔73b付近を備えていない状態のアッパカバー73と同じ形状の板状としている。ロアカバー75には、アッパカバー73の各連結孔73cと一致する4箇所に、上下方向に貫通する連結孔75cが、配設されるとともに、アッパカバー73の各肉盗み孔73dと一致する外周縁の4箇所に、上下方向に貫通する肉盗み孔75dが、配設されている(図19参照)。さらに、挿入孔75aの周囲には、アッパカバー73の各軸支孔73eと一致する位置に、四つの軸支孔75eが上下方向に貫通して形成されている(図19参照)。
挿入孔73a・75aは、電極チップ66A・66Bの成形時には、その軸心を、成形時の電極チップ66A・66Bの軸心Cと一致させて、内径寸法X(図18参照)を、所定回数の溶接作業を行って変形したチップ66A・66Bを挿通可能な寸法を確保し、かつ、成形時のチップ66A・66Bの元部66dを孔73a・75aの内周面によって支持可能に、元部66dの外径寸法Dに近似した寸法(X=D+0.5〜1.5mm)としている。第2実施形態の場合、第1実施形態と同様に、内径寸法Xは、16mm+1mmとして、17mmとしている。
また、アッパカバー73とロアカバー75との四つずつの連結孔73c・75cには、それぞれ、ホルダ本体81のねじ孔81aに締結されるねじ80(図16参照)が挿通されて、これらのねじ80により、アッパカバー73とロアカバー75とが、ホルダ本体81の上下面に固定されている。
さらに、アッパカバー73とロアカバー75との軸支孔73e・75eは、四個の成形ローラ92を回動自在に保持する保持軸77の両端を嵌合させている。
ホルダ本体81は、4個の成形ローラ92を収納する一つの収納孔85を、中央の位置で、上下方向に貫通させた略楕円筒状に形成され、端面には、各ねじ80を締結させるためのねじ孔81aが所定位置に形成されている。また、収納孔85の周囲には、カッタ88の両端をそれぞれ嵌合させて配設させるための配設孔83・83が、上下方向に貫通して配設されている。なお、4個の成形ローラ92を収納する収納孔85は、カッタ88によりチップ66A・66Bを切削した際の切粉A(図23参照)を排出させる排出孔としての役目も果たしている。
カッタ88は、図18・20・21に示すように、ホルダ72の回転中心軸Oと直交する方向に厚さ方向を配設させた略鼓形の板状としいる。すなわち、カッタ88は、ホルダ72の回転中心軸Oに沿った両縁に、電極チップ66A・66Bの先端面66aや拡径部66cを収納可能な凹部88eを設けた略鼓形の板状としている。そして、カッタ88の切刃89は、回転時に電極チップ66A・66Bの先端面66aと拡径部66cの先端面66a近傍の縁66b付近とを切削可能に、各電極チップ66A・66Bの軸直交方向の投影状態における軸心C付近から軸直交方向の片側に延びるように、すなわち、凹部88eの周縁におけるホルダ72の回転中心軸Oから離れる片側にだけに、配設されて、そして、ホルダ72の回転中心軸Oと直交する方向でホルダの回転中心軸Oを通り、かつ、回転中心軸Oに沿った方向の両縁88a・88b側に、配設させて構成されている。換言すれば、切刃89の設けられていない凹部88eの周縁は、回転中心軸Oの近傍に、さらに凹む凹部88fを設けられて構成され、そして、凹部88f側の凹部88eの周縁は、電極チップ66A・66Bの拡径部66cを支持可能な支持面90としている。なお、この支持面90は、後述する回転時の成形ローラ92の成形面93における本体部分94の投影形状(成形ローラ92の保持軸77の軸直交方向の投影形状)と同じ外形形状としている。
また、切刃89は、電極チップ66の先端面66aを切削する端面部89aと、拡径部66cにおける縁66bの近傍を切削する縁部89bと、を備えて構成されて、縁部89bの端末(上端)89cからカッタ88における回転中心軸Oに沿った上下の端面側にかけては、拡径部66cから直線状に離れるようにテーパ状に形成されて、拡径部66cの全域を切削するように、設定されてはいない。第2実施形態の場合、成形ローラ92の配置位置の調整により、切刃89のチップ66の切削エリアが設定されており、縁部89bで切削するエリアは、成形完了後のチップ66の縁66bから、1.743mmの長さ寸法(高さ寸法)L1(図20・24参照)分、軸心Cに沿って、拡径部66cの領域に、入ったエリアとしている。また、先端面66a側を切削する端面部89aは、切刃89が、カッタ88の板厚方向の縁88a・88b側に、形成されているため、縁部89bから連なる回転中心軸Oまでの領域となり、回転中心軸Oを越えるエリア89dでは、逆方向の回転方向でチップ66と接触することから、チップ66を切削できない。但し、回転中心軸Oを越えるように切刃89を設けずに、回転中心軸Oの位置までとして端面部89aを構成する場合には、チップ66の先端面66aの中央に、未切削部分を生じさせる虞れがあることから、実施形態のように、回転中心軸Oを越えるように端面部89aは、形成されることが望ましい。
さらに、このカッタ88は、ホルダ本体81の配設孔83・83に回転中心軸Oの軸直交方向に離れた両端側を嵌合させて、回転中心軸Oに沿った上下両端面をアッパカバー73とロアカバー75とに挟まれて、ホルダ本体81に保持されることとなる。
各成形ローラ92は、図16・17・19・22に示すように、保持軸77に、回動自在に保持されて、収納孔(排出孔)85内に配設されている。保持軸77は、ホルダ本体81にねじ80止めされるアッパカバー73とロアカバー75との各軸支孔73e・75eに、両端を支持されて、回転中心軸Oに沿うように、配置されている。そして、各成形ローラ92は、回転中心軸Oを中心として、略90度ずつずれた略放射状の位置に配置されている。また、各成形ローラ92は、ホルダ72の回転時に、接近した電極チップ66A・66Bに押し付けられて、各々の拡径部66cを成形可能な成形面93、を回転中心軸Oに沿う両端側に有した樽形状としている。成形面93は、保持軸77の直交方向での投影形状を、電極チップ66A・66Bの成形後の拡径部66cの外形形状に対応する本体部分94と、本体部分94に連なる延長部分95と、を備え構成されている。延長部分95は、第2実施形態の場合、拡径部66cの領域における先端面66aの縁66bの手前部分まで延ばすとともに、回転時のカッタ88の両縁88a・88bにおける切刃89の縁部89bの上端89c付近の回転領域と一致させるように、保持軸77の軸方向の中央側に向かいつつ、ホルダ72の回転中心軸O側に接近するように配設されている。第2実施形態の場合、延長部分95の回転中心軸Oに沿う長さ寸法L2(図22・24参照)は、0.53mmとしている。
また、成形面93における本体部分94は、保持軸77の直交方向での投影形状として、延長部分95に連なってチップ66の拡径部66cの半径R2寸法に対応する弧面の弧面部分94aと、弧面部分94aからローラ92の両端側に直線状に延びるテーパ部分94bと、を備えて構成されている。第2実施形態の場合、本体部分94の弧面部分94aの回転中心軸Oに沿った長さ寸法L4は、1.636mmとし、テーパ部分94bの回転中心軸Oに沿った長さ寸法L3は、3.379mmとしている。
さらに、カッタ88と各成形ローラ92との高さ寸法Hは、ホルダ本体81に締結されたアッパ・ロアカバー73・75の間の寸法と等しく、第1実施形態と同様に、場合、20.0mmとしている。
そして、第2実施形態の場合、図23に示すように、各成形ローラ92を保持する保持軸77の軸心は、ホルダ72の回転中心軸Oから同一半径RO(第2実施形態の場合、12mm)に配置され、カッタ88の切刃89は、ホルダ72の回転中心軸Oと直交する方向でホルダの回転中心軸Oを通るように、配置されている。
さらに、ホルダ72の回転時における回転中心軸Oの軸直交方向での切刃89と各成形ローラ92との投影形状では、図24に示すように、切刃89の縁部89bの上端89cが、成形ローラ92の成形面93における本体部分94と延長部分95との境界部位93aと一致するように、すなわち、カッタ88の切刃89における電極チップ66を切削する部位89a・89bが、回転中心軸Oから、成形ローラ92の成形面93における本体部分94と延長部分95との境界部位93aまで、配置されている。
第2実施形態のチップ成形機M2でも、使用時、駆動モータ22を作動させるとともに、サーボガン1を作動させて、チップ66A・66Bを、ホルダ72内に挿入させるように、相互に接近させれば、各成形ローラ92が、ホルダ72とともに電極チップ66A・66Bの軸回り方向に回転しつつ、成形面93を、一対の電極チップ66A・66Bの拡径部66cに押圧させて、成形面93の本体部分94の形状どおりに、電極チップ66A・66Bの拡径部66cを成形し、また、カッタ88が、切刃89の端面部89aと縁部89bとによって、電極チップ66A・66Bの先端面66aと拡径部66cにおける先端面66a近傍の縁66b付近とを切削して、形成する。
その際、各成形ローラ92の両端側の成形面93が、保持軸77の軸直交方向での投影形状として、電極チップ66A・66Bの成形後の拡径部66cの外形形状に対応する本体部分94だけでなく、本体部分94に連なって、回転時のカッタ88の両縁の切刃89間の回転領域に一致するように重なり、保持軸77の軸方向の中央側に向かいつつ、漸次、ホルダ72の回転中心軸O側に接近する延長部分95を、備えている。そのため、成形時に、成形ローラ92の成形面93が、電極チップ66A・66Bの拡径部66cを塑性変形させつつ成形する際、塑性変形時に発生するチップ材料の余肉S(図24参照)を、本体部分94から延長部分95にかけて押し出し、その押し出された余肉Sが、カッタ88の切刃89における端面部89aと縁部89bとで切削されることから、電極チップ66A・66Bの先端側、すなわち、先端面66aとその縁の角部66bと、を、精度良く、所定形状に成形できる。
すなわち、この第2実施形態でも、カッタ88に対する成形面93の回転軌跡として、図24に示すように、縁部89bの上端89cと、本体部分94と延長部分95との境界部位93aと、が一致していることから、カッタ88の切刃89における縁部89bで切削するチップ材料の余肉Sは、成形ローラ92の成形面93における本体部分94から延長部分95に押し出されて、縁部89bによって切削されることとなる。
また、カッタ88が、一つだけ使用されて、四個の成形ローラ92間の一箇所に配置され、そして、カッタ88の切刃89が、各電極チップ66A・66Bの軸直交方向の投影状態における軸心C付近から軸直交方向の片側に延びるように、ホルダ72の回転中心軸Oと直交する方向でホルダ72の回転中心軸Oを通って配設されるとともに、回転中心軸Oに沿った方向の両縁88a・88b側に、配設され、さらに、成形ローラ92の成形面93における本体部分94から境界部位93aを越えて延長部分95に押し出されたチップ材料の余肉Sを切削するように配設されているだけであり、成形ローラ92の成形面93による成形に支障を生ずるように電極チップ66A・66Bを支持しないことから、電極チップ66A・66Bの先端面66a付近を迅速に切削できる。
勿論、この成形時、電極チップ66A・66Bの先端における先端面66a側を切削しているものの、拡径部66cの大部分は、切削していないことから、切削屑の発生を極力抑えることができ、すなわち、電極チップ66A・66Bの消費量を抑えて、電極チップ66の成形を行うことができる。
そして、カッタ88の切刃89で切削された際の切粉Aは、ホルダ72に設けられている排出孔85の切刃89の回転方向側の部位から、肉盗み孔75dを経て、円滑に落下して排出されることから、切粉Aによる傷付けが防止されて、成形後、電極チップ66A・66Bは、奇麗で寸法精度の良好な切削面を、確保することができる。
したがって、第2実施形態のチップ成形機M2でも、縁の角部66bを含めた先端面66aの寸法精度を確保でき、かつ、切削屑の発生を極力抑えて、迅速に、一対の電極チップ66A・66Bを使用可能に成形(再生)することができる。
さらに、第2実施形態の場合には、成形時の電極チップ66が、ホルダ72の回転中心軸O周りに略放射状に配置された四個の各成形ローラ92の成形面93における線当たり部位で支持されることとなり、一層、ぶれることなく安定して支持され、成形する電極チップ66における縁66bを含めた先端面66aを再生する寸法精度を、一層、向上させることができる。
なお、延長部分を有した成形面を備えた成形ローラは、三個以上使用することが望ましく、図25・26に示すように、三個の成形ローラ92を使用するように成形本体部26Bを構成してもよい。
また、第2実施形態では、成形ローラ92の延長部分95が、拡径部66cの領域における先端面66aの縁66bの手前部分まで延ばすとともに、回転時のカッタ88の両縁88a・88bの切刃89の回転領域と一致させるように配設させている。このような構成では、軸心Cに沿った電極チップ66の領域においては、延長部分95に対応する部位は、成形ローラ92の延長部分95による成形領域となるとともに、カッタ88による切削領域となることから、成形領域から切削領域に連続的に連なって、奇麗な面の拡径部66cを得ることができる。
なお、第2実施形態の延長部分95の長さ寸法(高さ寸法)L2に関し、長すぎれば、重なるカッタ88の切刃89における縁部89bで切削する切削領域を大きくすることとなって、電極チップ66の切削量が大きくなり、短すぎれば、縁部89bの上端89c付近の上方近傍の拡径部66cに、余肉Sの切削残りの突条を発生させてしまうことから、長さ寸法(高さ寸法)L2は、0.1〜1.0mm、望ましくは、0.2〜0.7mm、確保するように設定することが好ましい。そして、この場合のカッタ88の切刃89における縁部89bで切削するエリアの長さ寸法(高さ寸法)L1は、短すぎれば、成形ローラ92の延長部分95の長さを確保し難くなり、長すぎれば、電極チップ66の切削量が大きくなることから、0.2〜3.0mm、望ましくは、0.5〜2.0mm、確保することが好ましい。
また、第1・2実施形態では、カッタ48・88の切刃49・89におけるチップ先端面6a・66aを切削する端面部49a・89aを曲面状に形成したが、チップ先端面6a・66aが平坦面であれば、端面部89aを直線状としても良い。