JP4396682B2 - 積層コンデンサ、および積層コンデンサの製造方法 - Google Patents

積層コンデンサ、および積層コンデンサの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、等価直列インダクタンス(ESL)を大幅に低減した積層コンデンサと、その製造方法に係り、特にデカップリングコンデンサなどとして用いられる積層コンデンサと、その製造方法に関する。
近年、LSIなどの集積回路に供給用の電源においては低電圧化が進む一方で負荷電流は増大している。
従って、負荷電流の急激な変化に対して電源電圧の変動を許容値内に抑えることが非常に困難になっている。このため、デカップリングコンデンサ(例えば2端子構造の積層セラミックコンデンサ)が電源に接続されるようになっている。そして、負荷電流の過渡的な変動時に、この積層セラミックコンデンサからCPU等のLSIに電流を供給して、電源電圧の変動を抑えるようにしている。
しかし、今日のCPUの動作周波数の一層の高周波数化に伴って、負荷電流の変動はより高速且つ大きなものとなり、デカップリングコンデンサ自身が有している等価直列インダクタンス(ESL)が、電源電圧の変動に大きく影響するようになった。
つまり、従来の積層セラミックコンデンサではESLが高いことから、負荷電流iの変動に伴って、上記と同様に電流電圧Vの変動が大きくなり易かった。
これは、負荷電流の過渡時における電圧変動が下記の式1で近似され、ESLの高低が電源電圧の変動の大きさと関係するからである。そして、この式1から、ESLの低減が電源電圧を安定化することに繋がるとも言える。
dV=ESL・di/dt …式1
ここで、dVは過渡時の電圧変動(V)であり、iは電流変動量(A)であり、tは変動時間(秒)である。
ESLの低減を図った積層コンデンサとして、下記の特許文献1に示す積層コンデンサが知られている。この積層コンデンサによれば、寄生インダクタンスの低減を図ることができ、結果としてESLの低減を図ることができる。しかしながら、さらにESLの低減が求められている。
さらにESLを低減させた積層コンデンサとしては、多端子積層コンデンサが知られている。この多端子積層コンデンサでは、外部端子電極を多くすることにより、一つの内層用導体層の中で方向が異なる電流の流れを実現することができる。その結果、さらにESLを低減することが可能である。
しかしながら、多端子コンデンサでは、内層用導体層のパターンを複数用意する必要があったり、外部端子電極の数が多くなり、その製造コストが高くなるという課題を有している。
特許文献2においては、2端子コンデンサが示されている。この2端子コンデンサは、内層部の導体層と、積層方向において内層部を挟み込むダミー導体層とを有し、ダミー導体層同士、およびダミー導体層と端子電極とが、誘電体層中の金属粒子を介して接続されている。しかし、特許文献2の2端子コンデンサにおいては、誘電体層中の金属粒子は、端子電極の剥離を防止するためのものであり、ESL低減の効果は充分に得られらない。
特開2003−51423号公報 特開2006−60147号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、多端子電極とすることなく、低製造コストで、ESLを大幅に低減することができる積層コンデンサと、該積層コンデンサの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る積層コンデンサは、
複数の誘電体層が積層されて形成される略直方体形状の誘電体素体と、
前記誘電体素体において、第1内層用導体層および第2内層用導体層が、積層方向において互いに重複するように前記誘電体層を介して交互に積層され、コンデンサの内部電極回路が形成されている内層部と、
前記誘電体素体において、前記積層方向における前記内層部の両端面の少なくともいずれかに隣接し、複数の第1外層用導体層および第2外層用導体層が、前記積層方向において互いに重複しないように前記誘電体層を介して積層されている外層部と、
前記誘電体素体の側面のうち、少なくとも、前記積層方向に対して平行な第1側面に形成され、前記第1内層用導体層および前記第1外層用導体層と接続される第1端子電極と、
前記誘電体素体の側面のうち、少なくとも、前記第1側面と対向する第2側面に形成され、前記第2内層用導体層および前記第2外層用導体層と接続される第2端子電極と、を有し、
前記外層部に位置する前記誘電体層が、該誘電体層と隣接する一対の前記第1外層用導体層あるいは一対の前記第2外層用導体層と重複する領域において、該誘電体層と隣接する一対の該第1外層用導体層同士あるいは一対の該第2外層用導体層同士を、前記積層方向において互いに接続させる複数のピンホール導体部を有する。
本発明に係る積層コンデンサにおいては、外層部において、第1外層用導体層および第2外層用導体層が、積層方向において重複しないように誘電体層を介して積層されている。よって、第1端子電極の電位が、第2端子電極に対して高い場合においては、第1端子電極から第1外層用導体層に対して、電流が分流すると共に、第2外層用導体層から第2端子電極へ向けて電流が流れ込む。一方、第2端子電極の電位が、第1端子電極に対して高い場合においては、第2端子電極から第2外層用導体層に対して、電流が分流すると共に、第1外層用導体層から第1端子電極へ向けて電流が流れ込む。このように、いずれの場合においても、端子電極から導体層へ流れる電流を分流することによって、積層コンデンサ全体のESLを軽減することができる。また、外層部が第1および第2外層用導体層をそれぞれ複数有することによって、各端子電極から外層用導体層へ電流を分流させる効果を増大させることができる。すなわち、複数の第1外層用導体層および第2外層用導体層が、並列接続された複数のインダクタ成分として機能し、積層コンデンサ全体のESLを軽減することができる。
また、外層部に位置する誘電体層が、該誘電体層と隣接する一対の第1外層用導体層同士あるいは一対の第2外層用導体層同士を、積層方向において互いに接続させる複数のピンホール導体部を有する。その結果、ピンホール導体部を介して、一対の第1外層用導体層間あるいは一対の第2外層用導体層間において、積層方向に電流が多枝にわたって分流される。さらには、外層部に位置する全第1外層用導体層間あるいは全第2外層用導体層間にわたって、電流を分流させることができる。その結果、積層コンデンサ全体のESLを更に低減することができる。
また、本発明においては、第1あるいは第2外層用導体層同士を無数のピンホール導体部によって接続することによって、全外層用導体層同士を積層方向において貫通するスルーホール導体部によって接続する場合に比べて、より多枝にわたって電流を分流させることができ、積層コンデンサ全体のESLを、より低減することができる。
すなわち、本発明に係る積層コンデンサによれば、積層コンデンサの大幅な低ESL化が図られて、電源電圧の振動を抑制できるようになり、デカップリングコンデンサなどとして好適に用いられることができる。
好ましくは、前記ピンホール導体部のピンホール径が、1〜10μmである。また、好ましくは、前記ピンホール導体部のピンホール径が、ピンホール導体部を形成するためにピンホール内へ充填される導電材の粒子径よりも大きい。なお、本願発明において、ピンホール径とは、ピンホール導体部が形成された誘電体層の面方向におけるピンホール導体部の直径を意味する。
ピンホール径を、1〜10μmの範囲内とすることによって、ピンホール導体部の形成工程において、ピンホール内へ導電材を、充分かつ緻密に充填することができる。その結果、ピンホール導体部が誘電体層を完全に貫通する。よって、誘電体層に隣接する一対の第1外層用導体層同士あるいは一対の第2外層用導体層同士を電気的に接続でき、電流を充分に分流できる。その結果、積層コンデンサ全体のESLを低減することができる。
好ましくは、前記ピンホール導体部の総横断面積が、該ピンホール導体部が接続する前記第1外層用導体層または第2外層用導体層の総面積に対して、30〜50%である。なお、ピンホール導体部の総横断面積とは、1つの誘電体層に形成された複数のピンホール導体部の面積(積層方向に垂直な面方向の面積)の合計値を意味する。
ピンホール導体部の総横断面積(電流の流路断面積)を上記範囲内とすることによって、第1外層用導体層間または第2外層用導体層間で電流を充分に分流することができ、積層コンデンサ全体のESLを充分に低減できる。また、外層部の誘電体層を形成するグリーンシートの強度を充分なものとすることができる。
好ましくは、複数の前記ピンホール導体部を有する前記誘電体層の前記積層方向および該積層方向に対して垂直な平面方向において、複数の前記ピンホール導体部がランダムに配置されている。
誘電体層において無数のピンホール導体部をランダムに配置に配置することによって、外層用導体層間で電流を多枝にわたり、多様な方向へ分流させることができる。これは、ピンホール導体部に比べて寸法が大きく、数が限られるスルーホール導体部等によっては得られない作用効果である。また、誘電体層において無数のピンホール導体部をランダムに配置に配置することによって、誘電体層と、該誘電体層に隣接する第1および2外層用導体層との密着強度を向上させることができる。
好ましくは、前記第1端子電極が、前記第1側面と、前記誘電体素体の側面のうち、該第1側面に隣接し、前記積層方向に対して平行な第3および第4側面に跨がって形成され、
前記第2端子電極が、前記第2側面と、前記誘電体素体の側面のうち、該第2側面に隣接し、前記積層方向に対して平行な前記第3および第4側面に跨がって形成されている。
好ましくは、前記第1内層用導体層が、前記誘電体素体の前記第1側面と、前記第3および第4側面に跨がって引き出され、前記第1端子電極に接続される第1リード部を有し、
前記第2内層用導体層が、前記誘電体素体の前記第2側面と、前記第3および第4側面に跨がって引き出され、前記第2端子電極に接続される第2リード部を有する。
好ましくは、前記第1外層用導体層が、前記第1側面と、前記第3および第4側面に跨がって引き出され、前記第1端子電極に接続される第3リード部を有し、
前記第2外層用導体層が、前記第2側面と、前記第3および第4側面に跨がって引き出され、前記第2端子電極に接続される第4リード部を有する。
第1端子電極が、第1、第3、および第4側面の3側面に跨がって形成され、第2端子電極が、第2、第3、および第4側面に跨がって形成されている。このように、それぞれ誘電体素体の3側面に跨って形成された各端子電極に対して各導体層が接続されることによって、各端子電極と各導体層との間に流れる電流の流路断面積が大きくなる。その結果、積層コンデンサ全体のESLを軽減することができる。
好ましくは、前記第3および第4側面において、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第3リード部の幅をW3とし、
前記第3および第4側面において、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第4リード部の幅をW4とし、
前記第3および第4側面において、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第1端子電極の幅をL3とし、
前記第3および第4側面において、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第2端子電極の幅をL4とした場合に、
W3<L3、かつ、W4<L4である。
W3<L3、かつ、W4<L4とすることによって、第1および第2外層用導体層が、第3および第4側面に露出することを防止できる。
好ましくは、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第3および第4側面の幅をW0とした場合に、
0.15≦W3/W0≦0.45、かつ、0.15≦W4/W0≦0.45、
である。
W3/W0、およびW4/W0が小さ過ぎると、各端子電極から各外層用導体層へ分流する電流が小さくなり、コンデンサのESLを充分に低減することができない。また、W3/W0、およびW4/W0が大き過ぎると、各外層用導体層が誘電体素子本体12の第3または第4側面に露出したり、あるいは、対向する第1および第2外層用導体層が互いに接触する恐れがある。そこで、W3/W0、およびW4/W0を上記範囲内とすることによって、これらの不具合を防止し、コンデンサのESLを低減することができる。
好ましくは、前記第1内層用導体層には、前記第1側面に沿う位置で、前記第1端子電極とは接続されない第1隙間パターンが形成してある。
本発明に係る積層コンデンサでは、第1内層用導体層の第1リード部に対して第1隙間パターンが形成される。このため、第1リード部は、第1内層用導体層の本体部分から誘電体素体における第1長手方向側面と短手方向側面とが交差する二つの角部に引き出される一対の分岐リードパターンを有することになる。このため、各第1内層用導体層では、それぞれの分岐リードパターンの角部から、それぞれ対角線の角部に向かう電流の流れが形成され、それらの流れが、第1内層用導体層の本体部分で同一面内で交差することになる。
その結果、電流が交差する個所で磁界を相殺する作用が生じ、これに伴って、積層コンデンサ自体が持つ寄生インダクタンスを小さくでき、等価直列インダクタンスを低減する効果が生じる。
また、第1隙間パターンを有する第1内層用導体層と、第2内層用導体層の2種類の導体層をそれぞれ誘電体素体内に複数配置することで、静電容量が高まるだけでなく磁界を相殺する作用がさらに大きくなり、インダクタンスがより大幅に減少してESLが一層低減される。
前記第1外層用導体層には、前記第1側面に沿う位置で、前記第1端子電極とは接続されない第1外層用隙間パターンが形成してあってもよい。また、前記第2外層用導体層には、前記第2側面に沿う位置で、前記第2端子電極とは接続されない第2外層用隙間パターンが形成してあってもよい。
好ましくは、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第1および第2側面の幅が、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第3および第4側面の幅より大きい。
すなわち、本発明では、第1端子電極と第2端子電極とが長手方向(第1、2側面)に形成される。すなわち、第1端子電極と第2端子電極とが短手方向(第1および第2側面が対向する方向)で相互に向かい合う。その結果、端子間距離(第1端子電極と第2端子電極との距離)が短くなり、コンデンサにおける電流流路が短くなる点においても、低ESL化を図ることができる。また、誘電体素体の長手方向の各側面に沿って、第1端子電極および第2端子電極を形成するために、第1リード部に第1隙間パターンを形成したとしても、各リード部と各端子電極との接続長さを十分に確保することができる。
好ましくは、前記第1端子電極が、前記第1側面と、前記誘電体素体の側面のうち、該第1側面に隣接し、前記積層方向に対して垂直な第5側面および/または第6側面に跨がって形成され、
前記第2端子電極が、前記第2側面と、前記誘電体素体の側面のうち、該第2側面に隣接し、前記積層方向に対して垂直な前記第5側面および/または前記第6側面に跨がって形成されている。
好ましくは、前記積層方向に対して垂直な方向において、前記第5側面および/または前記第6側面における前記第1端子電極の幅が、前記第1外層用導体層の幅より大きく、
前記積層方向に対して垂直な方向において、前記第5側面および/または前記第6側面における前記第2端子電極の幅が、前記第2外層用導体層の幅より大きい。すなわち、積層方向に対して垂直な面方向においては、第1外層用導体層の面領域が、第1端子電極の面領域によって完全に被覆され、第2外層用導体層の面領域が、第2端子電極の面領域によって完全に被覆されることが好ましい。
本願発明では、誘電体層において、第1外層用導体層および第2外層用導体層と重複する領域にのみ、ピンホール導体部が形成されている。従って、第5側面および/または第6側面において、第1端子電極の幅を、第1外層用導体層の幅より大きくすることによって、第1外層用導体層、および該第1外層用導体層と接続された全ピンホール導体部が、第1端子電極によって被覆される。同様に、第5側面および/または第6側面において、第2端子電極の幅を、第2外層用導体層の幅より大きくすることによって、第2外層用導体層、および該第2外層用導体層と接続された全ピンホール導体部が、第2端子電極によって被覆される。その結果、誘電体素体の第5側面および/または第6側面に、第1外層用導体層、第2外層用導体層、およびピンホール導体部が露出することを防止できる。したがって、積層コンデンサの製造工程において、ピンホール導体部からコンデンサ内部へ、水分、導電材等の不純物が浸入することも防止できる。
好ましくは、前記第5側面および/または前記第6側面に形成された前記第1端子電極と、前記第1外層用導体層とが、該第1端子電極と該第1外層用導体層との間に位置する前記誘電体層が有する複数の前記ピンホール導体部によって接続され、
前記第5側面および/または前記第6側面に形成された前記第2端子電極と、前記第2外層用導体層とが、該第2端子電極と該第2外層用導体層との間に位置する前記誘電体層が有する複数の前記ピンホール導体部によって接続される。
第1端子電極と、第1外層用導体層とが、複数のピンホール導体部によって接続されることによって、第1端子電極と、第1外層用導体層との間で、電流を分流することができる。同様に、第2端子電極と、第2外層用導体層とが、複数のピンホール導体部によって接続されることによって、第2端子電極と、第2外層用導体層との間で、電流を分流することができる。その結果、積層コンデンサ全体のESLを低減することができる。
本願発明に係る積層コンデンサの製造方法は、
内層用グリーンシートを形成する工程と、
前記第1内層用導体層および前記第2内層用導体層を形成する工程と、
複数のピンホールを有する外層用グリーンシートを形成する工程と、
複数の前記第1外層用導体層および前記第2外層用導体層を形成する工程と、
複数の前記ピンホールを導電材で充填して、複数の前記ピンホール導体部を形成する工程と、
複数の前記第1外層用導体層および前記第2外層用導体層を、前記積層方向において互いに重複しないように、前記外層用グリーンシートを介して積層し、外層積層部を形成する工程と、
前記第1内層用導体層および前記第2内層用導体層を、前記積層方向において互いに重複するように前記内層用グリーンシートを介して交互に積層し、内層積層部を形成する工程と、
前記内層積層部における前記内層用グリーンシートの積層方向の両端面の少なくともいずれかに積層された前記外層積層部を有する積層体を所定の寸法に切断してグリーンチップを形成する工程と、
前記グリーンチップを焼成して前記誘電体素体を形成する工程と、
前記誘電体素子本体に前記第1端子電極および前記第2端子電極を形成する工程と、を有する。
好ましくは、前記ピンホール導体部は、前記第1外層用導体層または前記第2外層用導体層を、前記外層用グリーンシートの表面に積層して形成する際に同時に形成される。たとえば外層用グリーンシートの表面に印刷法により第1外層用導体層または前記第2外層用導体層を形成する場合には、これらの導体層を形成するための導電性ペーストが外装用グリーンシートのピンホールに入り込み、ピンホール導体部が同時に形成される。すなわち、本願発明に係る積層コンデンサの製造方法においては、第1外層用導体層および第2外層用導体層の形成と、ピンホール導体部の形成とを、同時に行うこともできる。
好ましくは、前記外層積層部を形成した後に連続して前記内層積層部を形成する。さらに好ましくは、前記内層積層部を形成した後に連続して前記外層積層部を形成する。積層体を形成するためのグリーンシートの積層工程は、外層積層部と内層積層部とで、ブロックごとに区別して積層しても良いが、これらを区別しないで、連続して行うことが好ましい。
なお、本発明においては、第1内層用導体層と第2内層用導体層とは、相対的な概念であり、第1内層用導体層と第2内層用導体層とは逆であっても良い。また、その他の「第1…」および「第2…」に関しても同様である。第1外層用導体層と第2外層用導体層とについても同様である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層コンデンサの斜視図、
図2は、図1に示す積層コンデンサの概略断面図、
図3(A)および図3(B)は、それぞれ図2に示す第1内層用導体層および第2内層用導体層の平面図、
図4は、図2に示す第1外層用導体層および第2外層用導体層の平面図、
図5は、本発明の第1実施形態に係る積層コンデンサにおける、内層部の第1および第2内層用導体層、外層部の第1および第2外層用導体層、およびピンホール導体部がそれぞれ有する機能を示す回路図、
図6(A)および図6(B)は、それぞれ本発明の第2実施形態に係る積層コンデンサにおける第1内層用導体層および第2内層用導体層の平面図、
図7(A)〜図7(D)は、それぞれ本発明の第3実施形態に係る積層コンデンサにおける第1〜第4内層用導体層の平面図、
図8は、本発明の第4実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2外層用導体層の平面図、
図9は、本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサの斜視図、
図10(A)および図10(B)は、それぞれ本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2内層用導体層の平面図、図10(C)は、本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2外層用導体層の平面図、
図11(A)および図11(B)は、それぞれ本発明の第6実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2内層用導体層の平面図、図11(C)および図11(D)は、本発明の第6実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2外層用導体層の平面図、
図12は、本発明の実施例および比較例に係るインピーダンス特性を表すグラフである。
第1実施形態
(積層コンデンサ)
本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ(以下単に、積層コンデンサと言う)10の全体構成について説明する。図1に示すように、積層コンデンサ10は、誘電体層であるセラミックグリーンシートを複数枚積層した積層体を焼成することで得られた直方体状の焼結体である誘電体素体12を有する。
誘電体素体12は、第1側面12Aと、それに対向する第2側面12Bを有する。また、誘電体素体12は、第1側面12Aおよび第2側面12Bに隣接し、誘電体層の積層方向Zに対して平行であり、かつ、互いに対向する第3側面12Cおよび第4側面12Dを有する。
本実施形態においては、好ましくは、図1に示すように、誘電体層の積層方向Zに対して垂直な方向(X方向)における第1側面12Aおよび第2側面12Bの幅L0が、誘電体層の積層方向Zに対して垂直な方向(Y方向)における第3側面12Cおよび第4側面12Dの幅W0より大きい。
以下、本実施形態の説明においては、第1側面12Aを第1長手方向側面12A、第2側面12Bを第2長手方向側面12B、第3側面12Cを第3短手方向側面12C、第4側面12Dを第4短手方向側面12D、と記す。
誘電体素体12の外面には、第1長手方向側面12A、二つの短手方向側面12Cおよび12D、積層方向Zに対して垂直な第5側面12Eおよび第6側面12Fの5つの側面に跨がって、第1端子電極31が形成される。また、誘電体素体12の第2長手方向側面12B、二つの短手方向側面12Cおよび12D、第5側面12Eおよび第6側面12Fの5つの側面に跨がって、第2端子電極32が形成される。
一対の端子電極31および32は、相互に絶縁されるように、素体12の対向する短手側側面12Cおよび12Dにおいて、Y方向に沿って幅W4で離間してある。この幅W4は、好ましくは0.3〜0.5mmである。
本実施形態に係る積層コンデンサ10は、直方体(六面体形状)である誘電体素体12の6つの側面12A〜12Fの全てに、端子電極31,32がそれぞれ配置される2端子構造の積層コンデンサになっている。
図2は、図1に示す積層コンデンサ10を、短手方向側面12Cおよび12Dに対して平行に切断した断面図である。図2に示すように、積層コンデンサ10の第1端子電極31および第2端子電極32は、それぞれ、基板側電極端子13Aおよび13Bを介して、回路基板15上に接続される。
積層コンデンサ10は、内層部17および外層部19aおよび19bを有する。外層部19aおよび19bは、内層部17の両端面に隣接するように位置する。
内層部17においては、第1内層用導体層21および第2内層用導体層22が、積層方向Zにおいて互いに重複するように誘電体層12aを介して交互に積層され、コンデンサの内部電極回路が形成されている。本実施形態では、誘電体層12aに間に挟まれる形で、誘電体素体12内に3枚ずつの第1および第2内層用導体層21、22が交互に配置されている。なお、これら内層用導体層21、22の材質としては、卑金属材料であるニッケル、ニッケル合金、銅、或いは、銅合金が考えられるだけでなく、これらの金属を主成分とする材料が考えられる。
外層部19aおよび19bにおいては、複数の第1外層用導体層23および第2外層用導体層25が、積層方向Zにおいて互いに重複しないように誘電体層12aを介して積層されている。なお、これら外層用導体層23、25の材質としては、前述の内層用導体層21、22と同様のものを用いればよい。
第1端子電極31には、第1内層用導体層21および第1外層用導体層23が接続されている。また、第2端子電極32には、第2内層用導体層22および第2外層用導体層25が接続される。
回路基板15側に位置する外層部19bにおいては、誘電体層12aが、該誘電体層12bと隣接する一対の第1外層用導体層23および一対の第2外層用導体層25と重複する領域において、複数のピンホール導体部20を有する。この複数のピンホール導体部20は、該誘電体層12aと隣接する一対の第1外層用導体層23同士あるいは一対の第2外層用導体層25同士を、積層方向Zにおいて互いに電気的に接続する。
好ましくは、第5側面12Eに形成された第1端子電極31と、第1外層用導体層23とが、第1端子電極31と第1外層用導体層23との間に位置する誘電体層12aが有する複数のピンホール導体部20によって接続されている。また、好ましくは、第5側面12Eに形成された第2端子電極32と、第2外層用導体層25とが、第2端子電極32と第2外層用導体層25との間に位置する誘電体層が有12aが有する複数のピンホール導体部20によって接続される。
第1端子電極31と、第1外層用導体層23とが、複数のピンホール導体部20によって接続されることによって、第1端子電極31と、第1外層用導体層23との間で、電流を分流することができる。同様に、第2端子電極32と、第2外層用導体層25とが、複数のピンホール導体部20によって接続されることによって、第2端子電極32と、第2外層用導体層25との間で、電流を分流することができる。その結果、積層コンデンサ全10体のESLを低減することができる。
好ましくは、積層方向Zに対して垂直なX方向およびY方向のいずれにおいても、第5側面12Eおよび第6側面12Fにおける第1端子電極31の幅が、第1外層用導体層23の幅より大きい。すなわち、XY面方向においては、第1外層用導体層23の面領域が、第1端子電極31の面領域によって完全に被覆されることが好ましい。
好ましくは、積層方向Zに対して垂直なX方向およびY方向のいずれにおいても、第5側面12Eおよび第6側面12Fにおける第2端子電極32の幅が、第2外層用導体層25の幅より大きい。すなわち、XY面方向においては、第2外層用導体層25の面領域が、第2端子電極32の面領域によって完全に被覆されることが好ましい。
外層部19bでは、誘電体層12aにおいて、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25と重複する領域にのみ、ピンホール導体部20が形成されている。従って、第5側面12Eにおいて、第1端子電極31の幅を、第1外層用導体層23の幅より大きくすることによって、第1外層用導体層23、および該第1外層用導体層23と接続された全ピンホール導体部20が、第1端子電極31によって被覆される。同様に、第5側面12Eにおいて、第2端子電極32の幅を、第2外層用導体層25の幅より大きくすることによって、第2外層用導体層25、および該第2外層用導体層25と接続された全ピンホール導体部20が、第2端子電極32によって被覆される。その結果、誘電体素体12の第5側面12Eおよび第6側面12Fに、第1外層用導体層23、第2外層用導体層25、およびピンホール導体部20が露出することを防止できる。よって、積層コンデンサ10の製造工程において、ピンホール導体部20からコンデンサ内部へ、水分、導電材等の不純物が浸入することを防止できる。
図3(A)および図3(B)は、それぞれ図2に示す第1内層用導体層21および第2内層用導体層23を、積層方向Zから観察した平面図である。図3に示すように、第1内層用導体層21および第2内層用導体層22は、誘電体素体12の長手方向Xに沿って細長く延びる。
図3(A)の第1内層用導体層21は、誘電体層12aの外形形状に合わせた形状を持ち、誘電体層12aの周囲端部から所定の絶縁隙間パターン43で離れている本体部分21aを有する。この内層用導体層本体部分21aがコンデンサの一方の電極を構成する部分である。第1内層用導体層21は、この本体部分21aと一体的に同一平面上に形成され、誘電体素体12の相互に隣り合う三つの側面(第1長手方向側面12A,第3短手方向側面12C,第4短手方向側面12D)に跨がって引き出される第1リード部21Lをさらに有する。この第1リード部21Lにおいて、第1内層用導体層21と、第1端子電極31とが接続されている。
図3(B)の第2内層用導体層22は、誘電体層12aの外形形状に合わせた形状を持ち、誘電体層12aの周囲端部から所定の絶縁隙間パターン44で離れている第2内層用導体層本体部分22aを有する。この第2内層用導体層本体部分22aがコンデンサの他方の電極を構成する部分である。第2内層用導体層22は、この第2内層用導体層本体部分22aと一体的に同一平面上に形成され、誘電体素体12の相互に隣り合う三つの側面(第2長手方向側面12B,第3短手方向側面12C,第4短手方向側面12D)に跨がって引き出される第2リード部22Lをさらに有する。この第2リード部22Lにおいて、第2内層用導体層22と、第2端子電極32とが接続されている。
図4は、図2の第1外層用導体層23および第2外層用導体層25を、積層方向Zから観察した平面図である。図4に示すように、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25は、誘電体素体12の長手方向Xに沿って細長く延びる。なお、本実施形態においては、図4に示すように、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25は、絶縁隙間パターン45を挟んで、積層方向Zに垂直な同一平面上に配置されている。よって、同一平面上に配置された第1外層用導体層23と第2外層用導体層25とは通電しない。
なお、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25は、積層方向Zにおいて互いに重複しない限り、必ずしも同一平面上に位置しなくても良い。
第1外層用導体層23は、該第1外層用導体層23と一体的に同一平面上に形成され、誘電体素体12の相互に隣り合う三つの側面(第1長手方向側面12A,第3短手方向側面12C,第4短手方向側面12D)に跨がって引き出される第3リード部23Lを有する。第3リード部23Lにおいて、第1外層用導体層23は、第1端子電極31と接続されている。
第2外層用導体層25は、該第2外層用導体層25と一体的に同一平面上に形成され、誘電体素体12の相互に隣り合う三つの側面(第2長手方向側面12B,第3短手方向側面12C,第4短手方向側面12D)に跨がって引き出される第4リード部25Lを有する。第4リード部25Lにおいて、第2外層用導体層25は、第2端子電極32と接続されている。
図4に示すように、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25には、これら導体層と、隣接する誘電体層と12aが重複する領域において、複数のピンホール導体部20が接続されている。
好ましくは、ピンホール導体部20のピンホール径が、1〜10μmである。また、好ましくは、ピンホール導体部20のピンホール径が、ピンホール導体部20を形成するためにピンホール内へ充填される導電材(金属粒子)の粒子径よりも大きい。
ピンホール径を、1〜10μmの範囲内とすることによって、ピンホール導体部20の形成工程において、ピンホール内へ導電材を、充分かつ緻密に充填することができる。その結果、ピンホール導体部20が誘電体層aを完全に貫通する。よって、誘電体層12aに隣接する一対の第1外層用導体層23同士あるいは一対の第2外層用導体層25同士を電気的に接続でき、電流を充分に分流できる。その結果、積層コンデンサ10全体のESLを低減することができる。
好ましくは、ピンホール導体部20の総横断面積が、該ピンホール導体部20が接続する第1外層用導体層23または第2外層用導体層25の総面積に対して、30〜50%である。なお、ピンホール導体部20の総横断面積とは、1つの誘電体層12aに形成された複数のピンホール導体部20の面積(積層方向Zに垂直なXY面方向の面積)の合計値を意味する。
ピンホール導体部20の総横断面積(電流の流路断面積)を上記範囲内とすることによって、第1外層用導体層23間または第2外層用導体層25間で電流を充分に分流することができ、積層コンデンサ10全体のESLを充分に低減できる。また、外層部19bの誘電体層12aを形成する外層用グリーンシートの強度を充分なものとすることができる。
好ましくは、複数のピンホール導体部20を有する誘電体層12aの積層方向およZびXY平面方向において、複数のピンホール導体部20がランダムに配置されている。
誘電体層12aにおいて無数のピンホール導体部20をランダムに配置に配置することによって、外層用導体層間で電流を多枝にわたり、多様な方向へ分流させることができる。これは、ピンホール導体部20に比べて寸法が大きく、数が限られるスルーホール導体部(ホール径50μm程度)等によっては得られない作用効果である。また、誘電体層12aにおいて無数のピンホール導体部20をランダムに配置に配置することによって、誘電体層12aと、該誘電体層に隣接する第1、2外層用導体層23,25との密着強度を向上させることができる。
好ましくは、図4に示すように、短手方向Yにおける第3リード部23Lの幅、第4リード部25Lの幅、第1端子電極31の幅、および第2端子電極32の幅を、それぞれ、W3、W4、L3、およびL4とした場合に、W3<L3、かつ、W4<L4である。
W3<L3、かつ、W4<L4とすることにおって、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25が、第3短手方向側面12Cおよび第4短手方向側面12Dに露出することを防止できる。
好ましくは、短手方向Yにおける第3短手方向側面12Cおよび第4短手方向側面12Dの幅をW0とした場合に、0.15≦W3/W0≦0.45、かつ、0.15≦W4/W0≦0.45である。
W3/W0、およびW4/W0が小さ過ぎると、各端子電極から各外層用導体層へ分流する電流が小さくなり、コンデンサのESLを低減する効果が充分には得られない。また、W3/W0、およびW4/W0が大き過ぎると、各外層用導体層が誘電体素体12の側面に露出したり、あるいは、対向する第1および第2外層用導体層23、25が互いに接触する恐れがある。そこで、W3/W0、およびW4/W0を上記範囲内とすることによって、これらの不具合を防止し、積層コンデンサ10のESLを低減することができる。
次に、本実施形態に係る積層コンデンサ10の作用を説明する。
積層コンデンサ10においては、図2に示すように、外層部19a、19bにおいて、それぞれ第1外層用導体層23および第2外層用導体層25が、積層方向Zにおいて互いに重複しないように誘電体層12aを介して積層されている。また、第1外層用導体層23と、第2外層用導体層25とは通電しない。よって、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25は、コンデンサにおける内部電極としての機能(蓄電機能)を有さないダミー電極である。
ここで、例えば、第1端子電極31の電位が、第2端子電極32に対して高い場合においては、第1端子電極31から第1外層用導体層23に対して、電流が分流する。同時に、第2外層用導体層25から第2端子電極32へ向けて電流が流れ込む。一方、第2端子電極32の電位が、第1端子電極31に対して高い場合においては、第2端子電極32から第2外層用導体層25に対して、電流が分流する。同時に、第1外層用導体層23から第1端子電極31へ向けて電流が流れ込む。
本実施形態に係る積層コンデンサ10においては、上述のいずれの場合においても、端子電極からダミー電極である各外層用導体層へ向けて、電流が分流される結果、積層コンデンサ10全体のESLを軽減することができる。
また、積層コンデンサ10においては、第1端子電極31が、第1長手方向側面12A,第3短手方向側面12C,第4短手方向側面12Dの3側面に跨がって形成されている。同様に、第2端子電極32が、第2長手方向側面12B,第3短手方向側面12C,第4短手方向側面12Dの3側面に跨がって形成されている。このように、それぞれ誘電体素体12の3側面に跨って形成された各端子電極に対して各外層用導体層が接続されることによって、各端子電極と各外層用導体層との間に流れる電流の流路断面積が大きくなる。その結果、積層コンデンサ10全体のESLを軽減することができる。
また、外層部19bに位置する誘電体層12が、該誘電体層12aと隣接する一対の第1外層用導体層23同士あるいは一対の第2外層用導体層25同士を、積層方向Zにおいて互いに電気的に接続させる複数のピンホール導体部20を有する。その結果、ピンホール導体部20を介して、一対の第1外層用導体層23間あるいは一対の第2外層用導体層25間において、積層方向Zに電流が多枝にわたって分流される。さらには、外層部19bに位置する全第1外層用導体層23間あるいは全第2外層用導体層25間にわたって、電流を分流させることができる。その結果、積層コンデンサ10全体のESLを更に低減することができる。
図5は、上述した内層部17の第1および第2内層用導体層21、22、および外層部19bの第1および第2外層用導体層23、25、およびピンホール導体部20がそれぞれ有する機能を回路図で表したものである。図5に示すように、図2に示す内層部17は、図5に示すコンデンサ回路17aと、コンデンサ回路17a自身が有するインダクタンス成分17bとで表される。また、図2に示す外層部19bにおける3つの第1外層用導体層23は、図5に示す複数の並列接続された第1インダクタ成分23aとして表される。同様に、外層部19bにおける3つの第2外層用導体層25は、図5に示す複数の並列接続された第2インダクタ成分25aとして表される。
第1端子電極31に第1インダクタ成分23aを接続させることによって、第1端子電極全体におけるインダクタンスを減少させることができる。同様に、第2端子電極32に第2インダクタ成分25aを接続させることによって、第2端子電極全体におけるインダクタンスを減少させることができる。このように第1および第2端子電極31、32が有する端子電極全体のインダクタンスを減少させることによって、積層コンデンサ10全体におけるESLを減少させることができる。
さらには、第1インダクタ成分23aに対応する複数の第1外層用導体層23は、互いに複数のピンホール導体部20によって接続されている。また、第2インダクタ成分25aに対応する複数の第2外層用導体層25も、互いに複数のピンホール導体部20によって接続されている。その結果、全第1外層用導体層23間あるいは全第2外層用導体層25間にわたって、ピンホール導体部20を介して電流を分流させることができる。その結果、第1および第2端子電極31、32が有する端子電極全体のインダクタンスを減少させ、積層コンデンサ10全体のESLを更に低減することができる。
なお、図2に示す2つの外層部19a,19bのうち、内層部17を挟んで回路基板15の反対側に位置する外層部19aにおいては、電流が流れない。従って、外層部19aはESLの低減には寄与しないので、必須ではない。
本実施形態においては、外層部19a、19bにおいて、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25が、積層方向Zにおいて重複しないように誘電体層12aを介して積層されている。よって、第1端子電極31から、第1外層用導体層23に対して、電流が分流し、第2外層用導体層25から、第2端子電極32に対して、電流が流れ込む。あるいは、第2端子電極32から、第2外層用導体層25に対して、電流が分流し、第1外層用導体層23から、第1端子電極31に対して、電流が流れ込む。このように、端子電極から各外層用導体層へ電流を分流することによって、積層コンデンサ10全体のESLを軽減することができる。
本実施形態においては、外層部12bに位置する誘電体層12aが、該誘電体層12aと隣接する一対の第1外層用導体層23同士あるいは一対の第2外層用導体層25同士を、積層方向Zにおいて互いに接続させる複数のピンホール導体部20を有する。その結果、ピンホール導体部20を介して、一対の第1外層用導体層23間あるいは一対の第2外層用導体層25間において、積層方向Zに電流が多枝にわたって分流される。さらには、外層部19bに位置する全第1外層用導体層23間あるいは全第2外層用導体層25間にわたって、電流を分流させることができる。その結果、積層コンデンサ10全体のESLを更に低減することができる。
本実施形態においては、第1端子電極31が、第1長手方向側面12A、第3短手方向側面12Cd、および第4短手方向側面12Dの3側面に跨がって形成され、第2端子電極32が、第2長手方向側面12B、第3短手方向側面12C、および第4短手方向側面12Dに跨がって形成されている。このように、それぞれ誘電体素体12の3側面に跨って形成された各端子電極に対して各外層用導体層が接続されることによって、各端子電極と各外層用導体層との間に流れる電流の流路断面積が大きくなる。その結果、積層コンデンサ10全体のESLを軽減することができる。
このように、本実施形態に係る積層コンデンサ10によれば、積層コンデンサ10の大幅な低ESL化が図られて、電源電圧の振動を抑制できるようになり、デカップリングコンデンサなどとして好適に用いられることができる。
(積層コンデンサの製造方法)
次に、第1実施形態に係る積層コンデンサ10の製造方法について説明する。なお、本実施形態に係る積層コンデンサ10の製造方法は、以下に示す方法に限定されない。
内層用グリーンシートの形成
まず、支持シートの表面に、グリーンシート用スラリーを塗布して、内層用グリーンシートを形成する。内層用グリーンシートは、完成後の積層コンデンサ10(図2)において、内層部17における誘電体層12aとなる。
内層用グリーンシートの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、ドクターブレード法、ノズルコート法などが例示される。なお、形成後のグリーンシートは、必要に応じて乾燥させる。
グリーンシート用スラリーは、主成分として、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのセラミック粉体を含む。さらには、副成分として、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類元素、ガラス組成物などがグリーンシート用スラリーに含まれる。これらセラミック粉体および副成分と、溶剤、分散剤、可塑剤、バインダ等とを混合し、これを分散処理することによって、内層グリーンシート用スラリーを得る。
溶剤としては、特に限定されないが、グリコール類、アルコール、ケトン類、エステル類、芳香族類などが例示される。具体的には、テルピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソボニルアセテートなどが用いられる。
分散剤としては、特に限定されないが、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー分散剤が例示される。
可塑剤としては、特に限定されないが、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
バインダとしては、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール等のブチラール系樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体からなる有機質、またはエマルジョンなどが例示される。
支持シートの材質は、剥離時の適当な柔軟性と、支持体としての剛性とを持つものであれば特に限定されないが、通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルムなどが用いられる。
外層用グリーンシートおよびピンホールの形成
次に、支持シートの表面に、グリーンシート用スラリーを塗布して、外層用グリーンシートを形成する。外層用グリーンシートは、完成後の積層コンデンサ10において外層部19bにおける誘電体層12aとなる。
外層用グリーンシートの形成に用いる原材料の種類は、上述した内層用グリーンシートの場合とほぼ同様である。したがって、以下では、外層用グリーンシートの形成法と、内層用グリーンシートの形成法との相違点のみについて説明し、両者の共通点に関する説明は省略する。
外層用グリーンシートには、後工程においてピンホール導体部20を形成するために、ピンホールを形成する。
ピンホールの形成法としては、特に限定されず、以下に示す方法が挙げられる。
例えば、グリーンシート用スラリーの主成分として、内層用グリーンシートの場合に比べて、粒径が大きく、形状が粗いセラミック粉体(チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等)を用いる。その結果、グリーンシートに含まれるセラミック粉体間に、微小な隙間、すなわちピンホールが形成される。
あるいは、グリーンシート用スラリーに含まれるバインダ、溶剤等の組成、これらの含有量を調整することによって、グリーンシートに意図的に欠陥(穴)を形成してもよい。この欠陥がピンホールとして機能する。
あるいは、内層用グリーンシートに比べて、外層用グリーンシートの厚さを薄くしても良い。外層用グリーンシートの厚さを薄くすることによって、グリーンシートに意図的に欠陥(穴)が形成する。この欠陥がピンホールとして機能する。
好ましくは、外層用グリーンシートに形成されるピンホール径が、1〜10μmである。また、好ましくは、ピンホール径が、ピンホール導体部を形成するためにピンホール内へ充填される導電材(金属粒子)の粒子径よりも大きい。
本実施形態では、ピンホール径を、1〜10μmの範囲内とすることによって、上述の不具合を防止し、積層コンデンサ10全体のESLを低減することができる。
内層用導体層の形成
次に、内層用グリーンシートの表面に、内層用電極ペーストを所定のパターン状に塗布し、焼成前の第1内層用導体層21(図3(A))および第2内層用導体層22(図3(B))を形成する。
各内層用導体層の形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、たとえば内層用電極ペーストを用いたスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法などの厚膜形成方法、あるいは蒸着、スパッタリングなどの薄膜法が例示される。なお、形成後の内層用導体層は、必要に応じて乾燥させる。
内層用電極ペーストは、導電材、溶剤、分散剤、可塑剤、バインダ、添加物粉末などを、ボールミルなどで混練し、スラリー化することによって得られる。
導電材としては、特に限定されないが、通常、Cu,Cu合金、Ni又はNi合金等や、Ag,Ag−Pd合金、In−Ga合金等を用いる。
溶剤としては、特に限定されないが、ターピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテートなどが例示される。
分散剤としては、特に限定されないが、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー分散剤が例示される。
可塑剤としては、特に限定されないが、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
バインダとしては、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチルセルロース樹脂などが例示される。
添加物粉末としては、グリーンシートに含まれるセラミック粉体と同じ組成を有する共材が挙げられる。共材は、焼成過程において導電材の焼結を抑制する。
外層用導体層およびピンホール導体部の形成
次に、外層用グリーンシートの表面に、外層用電極ペーストを所定のパターン状に塗布し、第1外層用導体層23(図4)および第2外層用導体層25(図4)を形成する。以下では、外層用導体層の形成法と内層用導体層の形成法との相違点についてのみ説明し、他の説明は省略する。
各外層用導体層の形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されないが、好ましくは、外層用電極ペーストを用いたスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法を用いる。
ピンホールを有する外層用グリーンシートに、導電材を含む外層用電極ペーストを印刷塗布することによって、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25が形成されると同時に、ピンホールが外層用電極ペースト(導電材)で充填され、ピンホール導体部20も形成される。すなわち、本実施形態に係る積層コンデンサの製造方法においては、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25の形成と、ピンホール導体部20の形成とを、同時に行うことができる。
好ましくは、外層用電極ペーストに含まれる導電材(金属粒子)の粒径が、ピンホール径よりも小さい。導電材の粒径を、ピンホール径よりも小さくすることによって、ピンホールを隙間無く充填して、外層用グリーンシート(後の誘電体層12a)を完全に貫通するピンホール導体部20を形成することができる。
なお、形成後の各外層用導体層は、必要に応じて乾燥させる。
余白パターン層の形成
なお、各グリーンシートの表面に各導体層を形成した後(またはその前)に、各グリーンシートの表面において各導体層が形成されていない余白部分に余白パターン層用ペーストを塗布して、各導体層と同じ厚さを有する余白パターン層を形成する。その結果、各導体層と、各グリーンシートとの間の段差を解消することができる。
余白パターン層は、各導体層あるいは各グリーンシートと同様の方法によって形成することができる。なお、形成後の余白パターン層は、必要に応じて乾燥させる。
余白パターン層用ペーストとしては、通常、グリーンシート用ペーストと同様のペーストを用いる。
積層体の形成
次に、第1内層用導体層21および第2内層用導体層22が形成された内層用グリーンシート(以下、内層積層体ユニットと記す)から、支持シートを剥離する。次に、内層積層体ユニット同士を複数積層する。積層においては、一方の内層積層体ユニットにおける内層用グリーンシートが、他方の内層積層体ユニットにおける第1内層用導体層21および第2内層用導体層22の表面に接するように、複数の内層積層体ユニット同士を次々と積層する。また、積層においては、第1内層用導体層21と第2内層用導体層22とが互いに重複するように内層用積層体ユニット同士を積層する。その結果、内層積層部が得られる。内層積層部は、完成後の積層コンデンサ10(図2)において、内層部17となる。
次に、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25が形成された外層用グリーンシート(以下、外層積層体ユニットと記す)から、支持シートを剥離する。次に、外層積層体ユニット同士を複数積層する。積層においては、一方の外層積層体ユニットにおける外層用グリーンシートが、他方の外層積層体ユニットにおける第1外層用導体層23および第2外層用導体層25の表面に接するように、複数の外層積層体ユニット同士を次々と積層する。また、積層においては、第1外層用導体層23と第2外層用導体層25とが互いに重複しないように外層用積層体ユニット同士を積層する。その結果、外層積層部が得られる。外層積層部は、完成後の積層コンデンサ10において、外層部19b(図2)となる。
また、外層用グリーンシートがピンホール導体部20を有さないこと以外は、上述の外層積層部と同様の構造を有するダミー外層積層部を形成する。ダミー外層積層部は、完成後の積層コンデンサ10において、外層部19a(図2)となる。
次に、内層積層部において、積層方向Zに対して垂直な両端面に、外層積層部およびダミー外層積層部を積層し、さらに加熱、加圧処理を行うことによって、積層体を形成する。
グリーンチップの形成
次に、積層体を所定の寸法に切断して、グリーンチップを形成する。次に、得られたグリーンチップを固化乾燥させ後、水バレル等によって、グリーンチップを研磨し、グリーンチップの角部に丸み(R)をつける。研磨後のグリーンチップは、洗浄し、乾燥させる。
誘電体素体の形成
次にグリーンチップに対して、脱バインダ処理、焼成処理、およびアニール処理を行うことによって、誘電体素体12(図1、2)を形成する。
次に、得られた誘電体素体12に対して、研磨処理を行う。この研磨処理によって、誘電体素体12の第1長手方向側面12、第3短手方向側面12C、および第4短手方向側面12Dにおいて、焼成及び熱処理によって酸化した第1内層用導体層21および第1外層用導体層23の端部を除去し、酸化していない金属部分を各側面に露出させる。同様に、研磨処理によって、誘電体素体12の第2長手方向側面12B、第3短手方向側面12C、および第4短手方向側面12Dにおいて、焼成及び熱処理によって酸化した第2内層用導体層22および第2外層用導体層25の端部を除去し、酸化していない金属部分を各側面に露出させる。
研磨処理後の誘電体素体12は、洗浄し、乾燥させる。
端子電極の形成
次に、誘電体素体12の第1長手方向側面12A、短手方向側面12Cおよび12D、第5側面12Eおよび第6側面12Fの5つの側面に跨がって、第1端子電極31を形成するる。また、誘電体素体12の第2長手方向側面12B、短手方向側面12Cおよび12D、第5側面12Eおよび第6側面12Fの5つの側面に跨がって、第2端子電極32を形成する。
各外端子電極は、通常、下地層、中間めっき層、および外側めっき層の3層から構成される。
まず、誘電体素体12に対して下地層を形成する。下地層は、誘電体素体12の各側面に、電極ペースト膜(Ag,Cu等)を塗布し、これに焼き付け処理を行うことで形成される。
次に、誘電体素体12に形成された下地層の表面に中間めっき層を形成する。中間めっき層は、NiまたはNi合金膜等で構成され、無電解めっき法により形成される。
次に、中間めっき層の表面に、外側めっき層を形成することによって、図1、2に示す積層コンデンサ10が完成する。なお、外側めっき層は、電解めっき法により形成され、SnあるいはSn合金のめっき層で構成される。
本実施形態に係る積層コンデンサの製造方法は、上述したように、ピンホールを有する外層用グリーンシートに外層用電極ペーストを印刷塗布することによって、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25が形成されると同時に、ピンホールが導電材ペーストで充填され、ピンホール導体部20も形成される。すなわち、本実施形態においては、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25の形成と、ピンホール導体部20の形成とを、同時に行うことができる。
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下では、第1実施形態と第2実施形態とに共通する事項については説明を省略し、両実施形態の相違点についてのみ説明する。
図6(A)に示すように、本実施形態では、第1内層用導体層21の第1リード部には、第1長手方向側面12Aに沿う中央位置で、第1端子電極31とは接続されない第1隙間パターン41が形成してある。このため、第1リード部は、第1内層用導体層21の本体部分21aから誘電体素体12における第1長手方向側面12Aと短手方向側面12C,12Dとが交差する二つの角部に引き出される一対の分岐リードパターン21bを有することになる。
誘電体素体12の短手方向Yの幅をW0とした場合に、第1リード部の分岐リードパターン21bにおける短手方向Yの幅W1は、W1/W0の比が0.15〜0.45の範囲、好ましくは0.25〜0.40の範囲にあるように決定される。
また、誘電体素体12の長手方向Xの幅をL0とした場合に、第1隙間パターン41の長手方向幅をL1は、L1/L0の比が0.2〜0.5の範囲、好ましくは0.3〜0.45の範囲にあるように決定される。
本実施形態では、第1隙間パターン41は、誘電体素体12における第1長手方向側面12Aの長手方向Xの中央位置に形成される。絶縁隙間パターン43は、素子本体12における第2長手方向側面12Bと、短手方向側面12C,12Dに連続して跨るように形成され、その隙間パターン43の長手方向の両端部は、第1リード部の分岐リードパターン21bに接触している。本実施形態では、第1内層用導体層21の平面パターンは、誘電体素体12の長手方向Xの中間位置を通る中心線に対して線対称なパターンである。
第1隙間パターン41の隙間幅W2は、絶縁隙間43の隙間幅W5と同程度であり、好ましくは100〜200μm程度である。これらの電極幅W2,W5が小さすぎると、各端子電極31または32との絶縁性が不十分になるおそれがあり、大きすぎると、本体部分21aの面積を狭め、コンデンサとしての能力を低下させる恐れがある。
図6(B)に示すように、本実施形態では、第2内層用導体層22の第2リード部には、第2長手方向側面12Bに沿う中央位置で、第2端子電極32とは接続されない第2隙間パターン42が形成してある。このため、第2リード部は、第2内層用導体層22の本体部分22aから誘電体素体12における第2長手方向側面12Bと短手方向側面12C,12Dとが交差する二つの角部に引き出される一対の分岐リードパターン22bを有することになる。
この実施形態では、第2内層用導体層22aのパターン形状は、第1内層用導体層21aをXY平面上で180度回転させたパターンであり、同様な寸法関係(L0,L1,W1,W0,W2,W5)を有する。
上述した寸法関係から、2種類の第1および第2内層用導体層21および22にそれぞれ形成してある分岐リードパターン21bおよび22b同士は、誘電体層12aの積層方向Zに投影して相互に重ならない位置関係となっている。それぞれの本体部分21a、22a相互は、誘電体層12aの積層方向Zに投影して相互に重なり、誘電体層12aを介してコンデンサを構成している。
次に、本実施形態に係る積層コンデンサ10の作用を説明する。
本実施形態に係る積層コンデンサ10によれば、複数の誘電体層が積層されて直方体形状に形成される誘電体素体12内に、それぞれ誘電体層間に挟まれる形で、二種類の内部導体層21、22が交互に配置されている。これら二種類の内部導体層21、22は、誘電体層の積層方向に投影して相互に重ならない位置関係で、それぞれ誘電体素体12の三つの側面に跨がって引き出される構造となっている。また、二つの端子電極31、32が、それぞれ誘電体素体12の三つの側面に跨がって誘電体素体12の外側に配置されていて、二種類の内部導体層21、22の何れか一方に、これら二つの端子電極31、32がそれぞれ接続されている。
しかも本実施形態に係る積層コンデンサ10では、第1内層用導体層21の第1リード部に対して第1隙間パターン41が形成される。このため、第1リード部は、第1内層用導体層21の本体部分21aから誘電体素体12における第1長手方向側面12Aと短手方向側面12C,12Dとが交差する二つの角部に引き出される一対の分岐リードパターン21bを有することになる。このため、各第1内層用導体層21では、それぞれの分岐リードパターン21bの角部から、それぞれ対角線の角部に向かう電流の流れが形成され、それらの流れが、第1内層用導体層21の本体部分21aで同一面内で交差することになる。
また同様に、各第2内層用導体層22では、それぞれの分岐リードパターン22bの角部から、それぞれ対角線の角部に向かう電流の流れが形成され、それらの流れが、第2内層用導体層22の本体部分22aで同一面内で交差することになる。
その結果、電流が交差する個所で磁界を相殺する作用が生じ、これに伴って、積層コンデンサ10自体が持つ寄生インダクタンスを小さくでき、等価直列インダクタンスを低減する効果が生じる。
また、本実施形態では、第1端子電極31と第2端子電極32とが短手方向Yで相互に向かい合うために、端子間距離が短くなり、その点でも、低ESL化を図ることができる。また、第1および第2長手方向側面12A,12Bのそれぞれに沿って、第1端子電極31および第2端子電極32を形成するために、各リード部に隙間パターン41,42を形成したとしても、各リード部の分岐リードパターン21b,22bと各端子電極31,32との接続長さを十分に確保することができる。
さらに、本実施形態では、二種類の第1および第2内部導体層21,22をそれぞれ誘電体素体12内に複数配置することで、静電容量が高まるだけでなく磁界を相殺する作用がさらに大きくなり、インダクタンスがより大幅に減少してESLが一層低減される。
第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態を、図7(A)〜図7(D)に基づき説明する。なお、以下では、第1および2実施形態と、第3実施形態とに共通する事項については説明を省略し、上述の実施形態と第3実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態では、第2実施形態における第2内部導体層22を、図7(B)および図7(D)に示す第2内層用導体層322および図7(D)に示す第2内部導体層323の2種類に代えた以外は、第1実施形態と同様にして積層コンデンサを構成してある。
本実施形態では、図7(A)に示す第2実施形態と同じ第1内層用導体層21の下に、誘電体層12aを介して図7(B)に示す第2内層用導体層322を積層し、第2内層用導体層322の下に、誘電体層12aを介して図7(C)に示す第2実施形態と同じ第1内層用導体層21を積層する。そして、その第1内層用導体層21の下に、誘電体層12aを介して図7(D)に示す第2内部導体層323を積層する。その下は、上述した図7(A)〜図7(D)に示す導体層21,322,21,323の積層の繰り返しとなる。
本実施形態では、一方の第2内層用導体層322は、第2実施形態における第2内部導体層の本体部分22aに対応する内部導体層本体部分322aと、分岐リードパターン22bに対応する単一のリードパターン322bとを有する。単一のリードパターン322bは、第2長手方向側面12Bと第4短手方向側面12Dとが交差する角部に位置する第2端子電極32にのみ接続してある。
単一のリードパターン322bのみを形成するために、内部導体層本体部分322aの周囲には、リードパターン322b以外の部分で連続している絶縁隙間パターン344を形成している。
また他方の第2内部導体層323は、第2実施形態における第2内部導体層の本体部分22aに対応する内部導体層本体部分323aと、分岐リードパターン22bに対応する単一のリードパターン323bとを有する。単一のリードパターン323bは、第2長手方向側面12Bと第3短手方向側面12Cとが交差する角部に位置する第2端子電極32にのみ接続してある。
単一のリードパターン323bのみを形成するために、内部導体層本体部分323aの周囲には、リードパターン323b以外の部分で連続している絶縁隙間パターン345を形成している。
本実施形態に係る積層コンデンサにおいては、第1内部導体層21では、第2実施形態と同様な交差電流が流れることが期待できる。また、2種類の第2内層用導体層322および323では、それぞれ単一のリードパターン322bまたは323bを通る対角線上の電流の流れが実現される。2種類の第2内層用導体層322および323相互間では、電流の流れが交差する。
したがって、第2実施形態と比較すれば、第2内層用導体層322または323の各同一面内では、交差する電流が形成されないが、第1内部導体層21では、第2実施形態と同様な交差電流が流れることが期待できる。その結果、第2実施形態よりは多少劣るが、ほぼ同様な作用効果が期待できる。
第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態を説明する。なお、以下では、上述の実施形態と第4実施形態とに共通する事項については説明を省略し、上述の実施形態と第4実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態においては、図8に示すように、第1外層用導体層23には、第1長手方向側面12Aに沿う位置で、第1端子電極31とは接続されない第1外層用隙間パターン80が形成してあってもよい。また、第2外層用導体層25には、第2長手方向側面12Bに沿う位置で、第2端子電極32とは接続されない第2外層用隙間パターン82が形成してあってもよい。
第1外層用導体層23および第2外層用導体層25を形成する工程においては、通常、第1外層用導体層23および第2外層用導体層25の電極パターンが並進対称的に多数形成された外層用電極シートを、グリーンシートを介して積層した後に切断する工程が必要となる。この積層体の切断後において、第1外層用隙間パターン80および第2外層用隙間パターン82が所定位置に配置されているか否かを確認することによって、個々の第1外層用導体層23および第2外層用導体層25が正確に切り出されたか否かを確認することができ、また積層ずれを防止できる。
このような第4実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態を説明する。なお、以下では、第1〜4実施形態と第5実施形態とに共通する事項については説明を省略し、上述の実施形態と第5実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態においては、図9に示すように、第1端子電極31が、第1長手方向側面12Aと、該第1長手方向側面12Aに隣接し、積層方向Zに対して垂直な第5側面12Eおよび第6側面12Fとの3側面に跨がって形成されている。また、第2端子電極32が、第2長手方向側面12Bと、該第2長手方向側面12Bに隣接し、積層方向Zに対して垂直な第5側面12Eおよび第6側面12Fとの3側面に跨がって形成されている。
図10(A)に示すように、第1内層用導体層21は、第1内層用導体層本体部分21aと、この本体部分21aと一体的に同一平面上に形成され、誘電体素体12の第1長手方向側面12Aのみに引き出される第1リード部21Lとを有する。この第1リード部21Lを介して、第1内層用導体層21と、第1端子電極31とが、第1長手方向側面12Aにおいて接続されている。
図10(B)に示すように、第2内層用導体層22は、第2内層用導体層本体部分22aと、この本体部分22aと一体的に同一平面上に形成され、誘電体素体12の第2長手方向側面12Bのみに引き出される第2リード部22Lとを有する。この第2リード部22Lを介して、第2内層用導体層22と、第2端子電極32とが、第2長手方向側面12Bにおいて接続されている。
図10(C)に示すように、第1外層用導体層23は、該第1外層用導体層23と一体的に同一平面上に形成され、誘電体素体12の第1長手方向側面12Aのみに引き出される第3リード部23Lを有する。この第3リード部23Lを介して、第1外層用導体層23と、第1端子電極31とが、第1長手方向側面12Aにおいて接続されている。
図10(C)に示すように、第2外層用導体層25は、該第2外層用導体層25と一体的に同一平面上に形成され、誘電体素体12の第2長手方向側面12Bのみに引き出される第4リード部25Lを有する。第4リード部25Lを介して、第2外層用導体層25と、第2端子電極32とが、第2長手方向側面12Bにおいて接続されている。
このような第5実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
第6実施形態
次に、本発明の第6実施形態を説明する。なお、以下では、第1〜5実施形態と第6実施形態とに共通する事項については説明を省略し、上述の実施形態と第6実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態においては、図11(A)〜(D)に示すように、X方向における第1側面12Aおよび第2側面12Bの幅L0が、Y方向における第3側面12Cおよび第4側面12Dの幅W0より小さい。このような場合においても、第1実施形態とほぼ同様な作用効果が期待できる。
なお、図11(D)に示すように、第1外層用導体層923には、第1側面12Aに沿う位置で、第1端子電極931とは接続されない第1外層用隙間パターン980が形成してあってもよい。また、第2外層用導体層925には、第2側面12Bに沿う位置で、第2端子電極932とは接続されない第2外層用隙間パターン982が形成してあってもよい。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明に係る積層コンデンサでは、内層用導体層の積層数は、特に限定されず、数十あるいは数百としても良い。また、本発明では、第1隙間パターンおよび第2隙間パターンは、必ずしも長手方向に沿って連続せず、断続的に形成しても良い。
上述した本実施形態においては、図2に示すように、誘電体素体12が、2つの外層部19a,19bを有する。この2つの外層部のうち、内層部17を挟んで回路基板15の反対側に位置する外層部19aにおいては、電流が流れない。従って、外層部19aはESLの低減に寄与しないので、必須ではない。しかし、誘電体素体12が外層部19aを有することによって、外層部19aと外層部19bとが、内層部17を挟んで対称的に位置する。すなわち、誘電体素体12がバランスの取れた形状を有することができる。その結果、誘電体素体12の焼成時に、誘電体素体12が変形することを防止できる。また、誘電体素体12が外層部19aを有することによって、図2の積層コンデンサ10を回路基板15に対して、上下反転させた場合でも、積層コンデンサ10を機能させることが可能となる。
上述の実施形態においては、外層積層部および内層積層部をそれぞれ個別に作製したが、外層積層部を形成した後に連続して内層積層部を形成してもよい。さらに、内層積層部を形成した後に連続して、もう一つの外層積層部を形成してもよい。すなわち、積層体を形成するためのグリーンシートの積層工程は、外層積層部と内層積層部とで、ブロックごとに区別して積層しても良いが、これらを区別しないで、連続して行ってもよい。
次に、本発明をさらに具体的な実施例に基づき説明するが、本発明は、この実施例に限定されない。この実施例では、インピーダンスアナライザを使用して、Sパラメータからインピーダンスへ換算し、以下の各コンデンサ試料のESLをそれぞれ求めた。
まず、各コンデンサ試料の内容を説明する。図1に示す第1実施形態に係る2端子型積層コンデンサをサンプルEx1とした。また、ピンホール導体部20を有さないこと以外は、サンプルEx1と同様にして製造されたコンデンサをサンプルCex1とし、各サンプルのESLをそれぞれ求めた。
そして、この結果として、各サンプルのインピーダンス特性を測定した。その結果を図12に示す。図12のグラフに示すように、高周波側では、サンプルEx1の方がサンプルCex1よりもインピーダンスの値は小さくなることが確認された。また、ESLを求めたところ、サンプルEx1ではESLが98pHであり、サンプルCex1では、ESLが122pHであった。つまり、本発明の実施形態によるサンプルEx1において、ESLが大幅に低減されることが確認された。
なお、このESLは、2πf=1/√(ESL・C)の式より求められるものであり、fは自己共振周波数で、Cは静電容量である。
ここで用いた各試料の寸法としては、図3、4に示す寸法において、L0=1.6mmであり、W0が0.8mmであり、W1、W3、W4がそれぞれ0.25mmであり、W5が0.15mmであった。内層用導体層の積層数は、合計で25層であり、静電容量は、0.1μFであった。
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。 図2は、図1に示す積層コンデンサの概略断面図である。 図3(A)および図3(B)は、それぞれ図2に示す第1内層用導体層および第2内層用導体層の平面図である。 図4は、図2に示す第1外層用導体層および第2外層用導体層の平面図である。 本発明の第1実施形態に係る積層コンデンサにおける、内層部の第1および第2内層用導体層、外層部の第1および第2外層用導体層、ピンホール導体部がそれぞれ有する機能を示す回路図である。 図6(A)および図6(B)は、それぞれ本発明の第2実施形態に係る積層コンデンサにおける第1内層用導体層および第2内層用導体層の平面図である。 図7(A)〜図7(D)は、それぞれ本発明の第3実施形態に係る積層コンデンサにおける第1〜第4内層用導体層の平面図である。 図8は、本発明の第4実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2外層用導体層の平面図である。 図9は、本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。 図10(A)および図10(B)は、それぞれ本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2内層用導体層の平面図、図10(C)は、本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2外層用導体層の平面図である。 図11(A)および図11(B)は、それぞれ本発明の第6実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2内層用導体層の平面図、図11(C)および図11(D)は、それぞれ本発明の第6実施形態に係る積層コンデンサにおける第1および第2外層用導体層の平面図である。 図12は、本発明の実施例および比較例に係るインピーダンス特性を表すグラフである。
符号の説明
10… 積層コンデンサ
12… 誘電体素体
12a… 誘電体層
12A… 第1(長手方向)側面
12B… 第2(長手方向)側面
12C… 第3(短手方向)側面
12D… 第4(短手方向)側面
12E… 第5側面
12F… 第6側面
17… 内層部
19a,19b… 外層部
20… ピンホール導体部
21,921… 第1内層用導体層
21a,921a… 内層用導体層本体部分
21L… 第1リード部
21b… 分岐リードパターン
22,923… 第2内層用導体層
22a,923a… 内層用導体層本体部分
22L… 第2リード部
22b… 分岐リードパターン
23,923… 第1外層用導体層
23L,923L… 第3リード部
25,925… 第2外層用導体層
25L,925L… 第4リード部
31… 第1端子電極
32… 第2端子電極
41… 第1隙間パターン
42… 第2隙間パターン
43,44、45… 絶縁隙間パターン

Claims (15)

  1. 複数の誘電体層が積層されて形成される略直方体形状の誘電体素体と、
    前記誘電体素体において、第1内層用導体層および第2内層用導体層が、積層方向において互いに重複するように前記誘電体層を介して交互に積層され、コンデンサの内部電極回路が形成されている内層部と、
    前記誘電体素体において、前記積層方向における前記内層部の両端面の少なくともいずれかに隣接し、複数の第1外層用導体層および第2外層用導体層が、前記積層方向において互いに重複しないように前記誘電体層を介して積層されている外層部と、
    前記誘電体素体の側面のうち、少なくとも、前記積層方向に対して平行な第1側面に形成され、前記第1内層用導体層および前記第1外層用導体層と接続される第1端子電極と、
    前記誘電体素体の側面のうち、少なくとも、前記第1側面と対向する第2側面に形成され、前記第2内層用導体層および前記第2外層用導体層と接続される第2端子電極と、を有し、
    前記外層部に位置する前記誘電体層が、該誘電体層と隣接する一対の前記第1外層用導体層あるいは一対の前記第2外層用導体層と重複する領域において、該誘電体層と隣接する一対の該第1外層用導体層同士あるいは一対の該第2外層用導体層同士を、前記積層方向において互いに接続させる複数のピンホール導体部を有し、
    前記第1端子電極が、前記第1側面と、前記誘電体素体の側面のうち、該第1側面に隣接し、前記積層方向に対して平行な第3および第4側面に跨がって形成され、
    前記第2端子電極が、前記第2側面と、前記誘電体素体の側面のうち、該第2側面に隣接し、前記積層方向に対して平行な前記第3および第4側面に跨がって形成され、
    前記第1外層用導体層が、前記第1側面と、前記第3および第4側面に跨がって引き出され、前記第1側面に沿って細長く長方形状に形成され、
    前記第2外層用導体層が、前記第2側面と、前記第3および第4側面に跨がって引き出され、前記第2側面に沿って細長く長方形状に形成され、
    前記第3および第4側面において、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第1外層用導体層の幅をW3とし、
    前記第3および第4側面において、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第2外層用導体層の幅をW4とし、
    前記第3および第4側面において、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第1端子電極の幅をL3とし、
    前記第3および第4側面において、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第2端子電極の幅をL4とした場合に、
    W3<L3、かつ、W4<L4であり、
    前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第3および第4側面の幅をW0とした場合に、
    0.15≦W3/W0≦0.45、かつ、0.15≦W4/W0≦0.45、
    であることを特徴とする積層コンデンサ。
  2. 前記ピンホール導体部のピンホール径が、1〜10μmであり、
    前記ピンホール導体部の総横断面積が、該ピンホール導体部が接続する前記第1外層用導体層または第2外層用導体層の面積に対して、30〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
  3. 複数の前記ピンホール導体部を有する前記誘電体層の前記積層方向および該積層方向に対して垂直な平面方向において、複数の前記ピンホール導体部がランダムに配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層コンデンサ。
  4. 前記第1端子電極が、前記第1側面と、前記誘電体素体の側面のうち、該第1側面に隣接し、前記積層方向に対して垂直な第5側面および/または第6側面に跨がって形成され、
    前記第2端子電極が、前記第2側面と、前記誘電体素体の側面のうち、該第2側面に隣接し、前記積層方向に対して垂直な前記第5側面および/または前記第6側面に跨がって形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層コンデンサ。
  5. 前記第5側面および/または前記第6側面に形成された前記第1端子電極と、前記第1外層用導体層とが、該第1端子電極と該第1外層用導体層との間に位置する前記誘電体層が有する複数の前記ピンホール導体部によって接続され、
    前記第5側面および/または前記第6側面に形成された前記第2端子電極と、前記第2外層用導体層とが、該第2端子電極と該第2外層用導体層との間に位置する前記誘電体層が有する複数の前記ピンホール導体部によって接続されることを特徴とする請求項に記載の積層コンデンサ。
  6. 前記第1内層用導体層が、前記誘電体素体の前記第1側面と、前記第3および第4側面に跨がって引き出され、前記第1端子電極に接続される第1リード部を有し、
    前記第2内層用導体層が、前記誘電体素体の前記第2側面と、前記第3および第4側面に跨がって引き出され、前記第2端子電極に接続される第2リード部を有することを特徴とする請求項のいずれかに記載の積層コンデンサ。
  7. 前記積層方向に対して垂直な方向において、前記第5側面および/または前記第6側面における前記第1端子電極の幅が、前記第1外層用導体層の幅より大きく、
    前記積層方向に対して垂直な方向において、前記第5側面および/または前記第6側面における前記第2端子電極の幅が、前記第2外層用導体層の幅より大きいことを特徴とする請求項に記載の積層コンデンサ。
  8. 前記第1内層用導体層には、前記第1側面に沿う位置で、前記第1端子電極とは接続されない第1隙間パターンが形成してあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層コンデンサ。
  9. 前記第1外層用導体層には、前記第1側面に沿う位置で、前記第1端子電極とは接続されない第1外層用隙間パターンが形成してあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層コンデンサ。
  10. 前記第2外層用導体層には、前記第2側面に沿う位置で、前記第2端子電極とは接続されない第2外層用隙間パターンが形成してあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層コンデンサ。
  11. 前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第1および第2側面の幅が、前記誘電体層の前記積層方向に対して垂直な方向における前記第3および第4側面の幅より大きいことを特徴とする請求項10のいずれかに記載の積層コンデンサ。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の積層コンデンサを製造する方法であって、
    内層用グリーンシートを形成する工程と、
    前記第1内層用導体層および前記第2内層用導体層を形成する工程と、
    複数のピンホールを有する外層用グリーンシートを形成する工程と、
    複数の前記第1外層用導体層および前記第2外層用導体層を形成する工程と、
    複数の前記ピンホールを導電材で充填して、複数の前記ピンホール導体部を形成する工程と、
    複数の前記第1外層用導体層および前記第2外層用導体層を、前記積層方向において互いに重複しないように、前記外層用グリーンシートを介して積層し、外層積層部を形成する工程と、
    前記第1内層用導体層および前記第2内層用導体層を、前記積層方向において互いに重複するように前記内層用グリーンシートを介して交互に積層し、内層積層部を形成する工程と、
    前記内層積層部における前記内層用グリーンシートの積層方向の両端面の少なくともいずれかに積層された前記外層積層部を有する積層体を所定の寸法に切断してグリーンチップを形成する工程と、
    前記グリーンチップを焼成して前記誘電体素体を形成する工程と、
    前記誘電体素子本体に前記第1端子電極および前記第2端子電極を形成する工程と、を有する積層コンデンサの製造方法。
  13. 前記ピンホール導体部は、前記第1外層用導体層または前記第2外層用導体層を、前記外層用グリーンシートの表面に積層して形成する際に同時に形成される請求項12に記載の積層コンデンサの製造方法。
  14. 前記外層積層部を形成した後に連続して前記内層積層部を形成することを特徴とする請求項12または13に記載の積層コンデンサの製造方法。
  15. 前記内層積層部を形成した後に連続して前記外層積層部を形成することを特徴とする請求項1214のいずれかに記載の積層コンデンサの製造方法。
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