JP4392726B2 - 非水電解液および非水電解液二次電池 - Google Patents
非水電解液および非水電解液二次電池 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、フッ素化カーボネートを含む非水電解液に関し、さらに詳しくは、安全性に優れ、かつ充放電特性に優れた非水電解液二次電池を提供しうる非水電解液に関する。
【0002】
また、本発明は、このような非水電解液を含む非水電解液二次電池に関する。
【0003】
【発明の技術的背景】
近年、アルカリ金属の酸化・還元反応を利用した二次電池が盛んに研究されている。特にリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料を負極に使用し、リチウムと金属との複合酸化物を正極に使用した電池は、リチウムイオン電池と呼ばれ、小型で、軽量であり、かつエネルギー密度が高いため、急速に利用分野が拡大している。ところで、カメラ一体型VTR、携帯電話、ラップトップコンピュータ等の新しいポータブル電子機器が次々出現する中、このようなポータブル電子機器のさらなる機能向上を達成するため、リチウムイオン電池には、エネルギー密度を高めたり、放電電流を大きくするなどの性能向上が望まれている。
【0004】
このようなリチウムイオン電池において、正極と負極との間のリチウムイオンのやり取りを行うために、非水電解液が用いられている。リチウムイオン電池は、電極の電位が高いため、水を溶媒とするものでは、加水分解してしまうため、通常、非水溶媒に、アルカリ金属塩を溶解したものが使用されている。
【0005】
非水溶媒としては、アルカリ金属塩を溶解しやすく、かつ電気分解しにくい極性非プロトン性の有機溶媒が使用されており、代表的なものとして、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類、γ−ブチロラクトン、ぎ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソランなどのエーテル類などが挙げられる。また溶解されるアルカリ金属塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiOSO2CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2OCH2CF3)2、LiC(SO2CF3)3などのリチウム塩が挙げられる。
【0006】
このような非水電解液には、使用される電池の放電性能を向上させるため、導電性が高く、粘度が低いことが望まれる。また、充放電を繰り返すことによって、電池性能が劣化しないように、正極・負極に対して、化学的かつ電気化学的に安定であることが望まれている。
【0007】
また、このような非水電解液の多くは可燃性であるため、電池から非水電解液が漏液したときに、着火爆発したり、燃焼したりすることも想定され、非水電解液の安全性の向上も望まれている。
【0008】
このため、たとえば、非水電解液に難燃性のリン酸エステルを添加するもの(特開平8-22839号公報参照)、ハロゲン化合物を使用するもの(特開昭63-248072号公報参照)などが提案されている。ハロゲン化合物のうち、とくにフッ素化合物は、電気化学的安定性が高く、かつ引火点が高い(特開平7-6786号公報参照)などの性質を有している。
【0009】
また、電池に万が一の事故が起こり、電池内部でショートしたり、過充電によって電解液が電気分解したり、あるいは外部からの高温に晒されたりしたときに、電池に貯えられたエネルギーが熱として放出され、いわゆる熱暴走が起こる場合がある。このため、市販の電池では、過充電防止、過電流防止、内部温度上昇時のセパレータによるシャットダウンなどの対策が充分に図られているが、非水電解液にも、さらに安全性を向上させることが望まれている。
【0010】
電池が熱暴走に至るプロセスは、何らかの原因で、電極と電解液との化学反応が開始する温度に上昇し、この化学反応の発熱速度が、電池の放熱速度を上まったときに、発熱による温度上昇がとまらなくなり、熱暴走にいたるということが知られている。このような熱暴走を起こりにくくするには、電解液と電極との発熱速度を低下させることが有効な対策となる。
【0011】
以上のような事情を鑑み、本発明者らは、上記課題を達成するべく、鋭意検討したところ、特定の比率で、フッ素化カーボネートと、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合することによって、発熱速度を大きくする原因の1つであった正極と電解液との反応速度が小さく、しかも伝導性が高い電解液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、安全性に優れ、かつ伝導度が高く、粘度が低い非水電解液および該非水電解液を含む非水電解液二次電池を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明に係る非水電解液は、
[A]フッ素化カーボネートと、環状カーボネートと、鎖状カーボネートとを含み、
(i)環状カーボネートの含有量が2〜63モル%であり、
(ii)鎖状カーボネートの含有量が2〜63モル%であり、
(iii)フッ素化カーボネートの含有量が35〜96モル%である非水溶媒と、
[B]電解質とからなることを特徴としている。
【0014】
環状カーボネートは、炭素数が2〜5のアルキレン基を含むカーボネート化合物であり、
鎖状カーボネートは、炭素数が1〜5の炭化水素基を含むカーボネート化合物であることが好ましい。
【0015】
さらに、前記環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種であり、
鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートから選ばれる少なくとも1種であり、かつ
電解質は、LiPF6、LiBF4、LiOSO2R1、
【0016】
【化2】
【0017】
(R1〜R8は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基である)
から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る非水電解液二次電池は、
前記非水電解液と、
負極活物質として金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化スズ、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化チタン、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能なシリコンのいずれかを含む負極と、
正極活物質として、リチウムと遷移金属との複合酸化物を含む正極とからなる。
【0019】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る非水電解液および非水電解液二次電池について具体的に説明する。
【0020】
[非水電解液]
本発明に係る非水電解液は、フッ素化カーボネートと環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含む非水溶媒と、電解質とからなる。
【0021】
まず非水電解液を構成する各成分について説明する。
フッ素化カーボネート
本発明では、フッ素化カーボネートとしては、下記一般式[1]または[2]で表される化合物が好ましく使用される。
【0022】
【化3】
【0023】
式[1]中、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、一方が1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数が1〜4の炭化水素基であり、
他方が炭素数1〜4の炭化水素基、または1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された1〜4の炭化水素基である。なお、このような炭化水素基には、酸素、窒素などのヘテロ原子を含有する基も含まれる。
【0026】
一般式[1]で表されるフッ素化カーボネートとしては、メチルトリフルオロエチルカーボネート、ジトリフルオロエチルカーボネート、メチルペンタフルオロプロピルカーボネート、メチルヘキサフルオロイソプロピルカーボネート、エチルトリフルオロエチルカーボネート、メチルペンタフルオロプロピルカーボネートなどが挙げられる。
【0027】
このようなフッ素化カーボネートは、物理的に安全で、熱分解されにくく、難燃性で電気化学的な酸化・還元を受けにくいという特性を有している。
環状カーボネート
本発明で使用される環状カーボネートとしては、たとえば下記一般式[3]で表されるカーボネート類が挙げられる。
【0028】
【化5】
【0029】
ここで、R4、R5は互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、直鎖状,分枝状,環状のアルキル基、または水素の一部または全部を塩素または臭素の少なくとも1種で置換したハロゲン置換アルキル基を示す。直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を挙げることができる。分枝状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基などが挙げられる。また、環状炭酸エステルとしては、上記式[3]で表される5員環化合物のみならず6員環化合物であってもよい。
【0030】
このような環状カーボネートとして、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、2,4-ペンチレンカーボネート、1,3-ペンチレンカーボネートなどが挙げられる。またプロピレンカーボネートなどのメチル基の水素の一部または全部を塩素、臭素の少なくとも1種で置換したハロゲン置換環状カーボネートも使用することができる。
【0031】
本発明では、環状カーボネートとして、炭素数が2〜5のアルキレン基を含むものが好ましく、特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。
【0032】
このような環状カーボネートは2種以上を混合して使用することもできる。
鎖状カーボネート
鎖状カーボネートとしては、下記一般式[4]で表されるカーボネート類が挙げられる。
【0033】
【化6】
【0034】
式[4]中、R6、R7は、互いに同一でも異なっていても良く、直鎖状、分枝状、環状のアルキル基、または水素の一部または全部をフッ素、塩素、臭素の少なくとも1種で置換したハロゲン置換アルキル基である。
【0035】
このような鎖状炭酸炭酸エステルとして、具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジn-プロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどが挙げられる。
【0036】
このような鎖状カーボネートのうち、本発明では、炭素数が1〜5の炭化水素基を含む鎖状カーボネートが好ましく、とくにジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートが好ましい。
【0037】
他の溶媒
本発明に係る非水電解液では、非水溶媒として、上記以外の他の溶媒を含んでいてもよく、他の溶媒としては、
γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、3-メチル-γ-ブチロラクトン、2-メチル-γ-ブチロラクトンなどの環状エステル、
蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、吉草酸メチルなどの鎖状エステル、
1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチル-1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソランなどの環状エーテル、
1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどの鎖状エーテル、
スルホランなどのような含イオウ化合物を挙げることができる。
【0038】
これらの溶媒は、1種または2種以上を混合して使用することができる。
電解質
本発明で使用される電解質としては、通常、非水電解液用電解質として使用されているものであれば、特に限定されることなく使用することができる。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiAlCl6、Li2SiF6、LiOSO2R1、
【0039】
【化7】
【0040】
(R1〜R8は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基である)などのリチウム塩、およびこれらのリチウムが他のアルカリ金属に置換されたアルカリ金属塩などが挙げられる。これらは、1種または2種以上混合して使用することができる。
【0041】
これらのうち、特に、LiPF6、LiBF4、LiOSO2R1、
【0042】
【化8】
【0043】
が好ましい。
このような電解質は、通常、0.1〜3.0モル/リットル、好ましくは0.5〜2.0モル/リットルの濃度で、非水電解液中に含まれていることが望ましい。
【0044】
非水電解液の溶媒組成
本発明に係る非水電解液では、非水溶媒として、以上のようなフッ素化カーボネートと、環状カーボネートと、鎖状カーボネートとを含み、
(i)環状カーボネートの含有量が2〜63モル%、好ましくは10〜55モル%であり、
(ii)鎖状カーボネートの含有量が2〜63モル%、好ましくは5〜50モル%であり、
(iii)フッ素化カーボネートの含有量が35〜96モル%、好ましくは40〜85モル%である非水溶媒が使用される。
【0045】
環状カーボネートおよび鎖状カーボネートの含有量が上記範囲にあると、電解液の伝導度が向上し、これを利用した電池の特性も優れたものになる。
また、フッ素化カーボネートの含有量が上記範囲にあると、電解液の伝導度を実用レベル以上であり、かつ正極と電解液との反応性が低く、電池の安全性を向上させることができる。
【0046】
上記のような溶媒組成の非水電解液は、充電状態にある正極と混合したときの最大発熱速度が、フッ素化カーボネートを含んでいない非水電解液と比べて、約1/10以下に低下している。
【0047】
なお、最大発熱速度は、発熱反応(本発明では、正極と非水電解液との反応)における、最大の発熱速度を表し、同条件で最大発熱速度を測定した場合、最大発熱速度が小さいものは温度上昇が緩やかで安全である。これに対し、最大発熱速度が大きいものは、温度上昇が急激であり、たとえば充分な冷却設備が備えていないと、発熱速度が吸熱速度を上回り、反応物質が熱暴走するという危険性を含んでいる。
【0048】
このような最大発熱速度は、アクセレレーティングカロリーメータ(以後、ARCと称す)を用いて、測定される。なおARCは、反応性化学物質の危険性を評価する手法の1つである(Thermochimica Acta,37(1980),1-30)。ARCは、反応性物質を徐々に昇温し、反応性物質から発生する反応熱を検知すると、周囲の温度を反応性物質の温度上昇と一致させて上昇させ、反応性物質を擬断熱状態におくものであり、これによって、反応性物質の自己発熱分解が忠実に再現される。
【0049】
非水電解液二次電池
本発明に係る非水電解液二次電池は、
前記非水電解液と、
負極活物質として金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能なシリコン、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化チタン、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化スズのいずれかを含む負極と、
正極活物質として、リチウムと遷移金属との複合酸化物を含む正極とから構成される。
【0050】
このような非水電解液二次電池は、たとえば円筒型非水電解液二次電池に適用できる。円筒型非水電解液二次電池は、図1に示すように負極集電体9に負極活物質を塗布してなる負極1と、正極集電体10に正極活物質を塗布してなる正極2とを、非水電解液を注入されたセパレータ3を介して巻回し、巻回体の上下に絶縁板4を載置した状態で電池缶5に収納してなるものである。電池缶5には、電池蓋7が封口ガスケット6を介してかしめることにより取り付けられ、それぞれ負極リード11および正極リード12を介して負極1あるいは正極2と電気的に接続され、電池の負極あるいは正極として機能するように構成されている。なおセパレータは多孔性の膜である。
【0051】
この電池では、正極リード12は、電流遮断用薄板8を介して電池蓋7との電気的接続が図られていてもよい。このような電池では、電池内部の圧力が上昇すると、電流遮断用薄板8が押し上げられ変形し、正極リード12が上記薄板8と溶接された部分を残して切断され、電流が遮断される。
【0052】
このような負極1を構成する負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化スズ、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能なシリコン、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化チタンのいずれを用いることができる。これらのうちで、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料を用いることが好ましい。このような炭素材料としてはグラファイトでも非晶質炭素でもよく、活性炭、炭素繊維、カーボンブラック、メソカーボンマイクロビーズ等あらゆる炭素材料を用いることができる。
【0053】
また正極2を構成する正極活物質としては、LiCoO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiNixCo(1-x)O2等のリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、V2O5などを用いることができる。
【0054】
なお本発明に係る非水電解液二次電池は、電解液として以上説明した非水電解液を含むものであり、電池の形状および形態等は前記図1に限定されず、コイン型、あるいは角型などであってもよい。
【0055】
【発明の効果】
本発明に係る非水電解液は、フッ素化カーボネートを含み、かつ特定の溶媒組成の非水溶媒を使用しているので、正極との反応による発熱速度が低く、安全性に優れている。またこのような非水電解液は、伝導性が高く、しかも電解質の分離することなどがない。このため、本発明に係る非水電解液は、リチウムイオン二次電池用の電解質として好適に使用することができる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例により何等限定されるものではない。
【0057】
【参考例1】
最大発熱速度測定用正極の作製
LiCoO2とPVDF(ポリフッ化ビニリデン)とグラファイトとを、91:3:6の重量比となるように混合し、N−メチルピロリドンでスラリー状としたものアルミ箔に塗布し、乾燥したのちプレスして正極を作製した。こうして得られた正極と、Li負極と、充電用非水電解液(プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとが体積比1:1で混合された溶媒にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの)を使用して、4.4Vで定電圧充電を行った。充電したのち、2時間経ったときの電位は4.38Vであった。この電極を、充分に洗浄・乾燥して、最大発熱速度測定用正極を作製した。
【0058】
電解液の調製
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネートとメチルトリフルオロエチルカーボネート(MFEC)とを、所定の比率となるように混合した非水溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなるように溶解させ、非水電解液を調製した。
【0059】
最大発熱速度測定
アルゴン雰囲気下で、上記調製した非水電解液0.3mlと最大発熱速度測定用正極1.00gとを混合して測定サンプルを作製した。
【0060】
測定は、COLUMBIA SCIENTIFIC社のARC (Accelerating Rate Calorimeter)を使用して、定法によって行った。測定温度範囲は、40〜350℃とした。
なお、発熱速度とは、単位時間あたりのサンプルの自己温度上昇分を表し、最大発熱速度とは、測定期間中の発熱速度の最大値をいう。
【0061】
結果を表1に示す。
【0062】
【参考例2、実施例3および比較例1〜3】
非水溶媒の溶媒組成を表1に示すようにした以外は、参考例1と同様に非水電解液を調製し、最大発熱速度を測定した。
【0063】
結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
上記表1から明らかなように、フッ素化カーボネートを40モル%以上含む非水溶媒からなる非水電解液は、最大発熱速度が低くなっている。
【0066】
【参考例4】
電解液の調製
参考例1と同様に、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネートとメチルトリフルオロエチルカーボネート(MFEC)とを、所定比率となるように混合した非水溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなるように溶解させ、非水電解液を調製した。
【0067】
得られた非水電解液について、伝導度を測定した。
電解液の伝導度
伝導度は、東亜電波工業社製CM-40S電波計を用いて、測定周波数3kHzで測定した。
【0068】
結果を表2に示す。
【0069】
【実施例5,6、8〜10、参考例7、比較例4】
非水溶媒の溶媒組成を表2に示すようにした以外は、参考例1と同様に非水電解液を調製し、伝導度を測定した。
【0070】
結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
上記表2から明らかなように、非水溶媒中の環状カーボネートおよび鎖状カーボネートの量が、5モル%以上であると、伝導性の高い非水電解液が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非水電解液二次電池の一実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・・負極
2・・・・正極
3・・・・セパレータ
4・・・・絶縁板
5・・・・電池缶
6・・・・封口ガスケット
7・・・・電池蓋
8・・・・電流遮断用薄板
9・・・・負極集電体
10・・・・正極集電体
11・・・・負極リード
12・・・・正極リード
Claims (4)
- [A]フッ素化カーボネートと、環状カーボネートと、鎖状カーボネートとを含み、(i)環状カーボネートの含有量が2〜63モル%であり、(ii)鎖状カーボネートの含有量が2〜63モル%であり、(iii)フッ素化カーボネートの含有量が60〜96モル%(ただし(i)〜(iii)の合計は100モル%を越えない)であり、フッ素化カーボネートが、下記一般式[1]で表される化合物である非水溶媒と、
[B]電解質とからなることを特徴とする非水電解液。 - 環状カーボネートが、炭素数が2〜5のアルキレン基を含むカーボネート化合物であり、鎖状カーボネートが、炭素数が1〜5の炭化水素基を含むカーボネート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液と、負極活物質として金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化スズ、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化チタン、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能なシリコンのいずれかを含む負極と、正極活物質として、リチウムと遷移金属との複合酸化物を含む正極とからなる非水電解液二次電池。
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