JP4392337B2 - 超音波打撃装置を用いた加工方法および構造物 - Google Patents
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Description
例えば、橋梁の橋桁などの鋼構造物において、特に疲労によって損傷を受ける部位における疲労亀裂に関する耐久性を高め、長寿命化を図るようにした疲労寿命向上処理法およびその処理法を用いて造られた構造物に関する。
さらに、自動車の足回り部分などの金属溶接製品、および、自動車のホイールなどの加工によって引っ張り応力が生じた部位、の疲労寿命向上処理法およびその処理法を用いて造られた構造物にも適用できる。
また、自動車用に使われる条鋼の疲労寿命向上などの非溶接構造物部品にも使用可能な処理法、およびその処理法を用いて造られた構造物に関する。
1)グラインディングは、止端の形状を応力集中の小さい形に成形する方法であるが、この方法は、しばしば、削り過ぎが起きるとかえって疲労強度を落とす。
2)TIG処理は、アークで止端部を再溶解させて止端部を滑らかにする方法であるが、この方法は熟練が必要である。
溶接金属が温度低下に伴って収縮する時に、母材による拘束が抵抗として作用するため、引張残留応力が母材に導入される。
この引張残留応力が疲労性能を低下させることが知られている。逆に圧縮残留応力は疲労性能を向上させることが知られており、
その為に、鋼材の表面に対して圧縮残留応力を与える方法が検討されている。以下にその具体例と問題点を述べる。
1) ショットピーニングは、金属表面に圧縮残留応力を導入する方法であるが、チャンバーを要するので、大型の構造物には適用できないという問題点があった。
2) ハンマー・ピーニングは大型構造物に適用することができるが、反動と騒音が大きく、作業性が悪いという問題点があった。
3) レーザーピーニングは、水中でプラズマを発生させる方法であるが、プラズマを発生させるために大掛かりな設備が必要となるという問題点があった。
超音波打撃処理は、超音波を用いてピンを駆動させてピーニング処理を行う方法であり、反動が少なくて作業性が良く、圧縮残留応力を導入する平均溝深さも深いという特徴がある。
また、特開2004−66311号公報には、重ね合わせした端部を溶接した後に、疲労強度向上の為に、打撃する平均溝幅について規定されている。 この文献の中には溶接部の応力を圧縮応力に変えることが記載されているが、その大きさと打痕形状との関係は明確ではなかった。
しかし、通常、溶接線に対して直角方向の作用応力で疲労が生じることが多い。
従って、従来の機械的なピーニング処理方法においては、十分な大きさの圧縮応力が導入されていないために直角方向の疲労特性があまり改善されていない場合があり、更なる改善が必要であった。
例えば、IIW Document XIII−2005-04では溝の長手方向の残留応力、および直角方向の残留応力値が示されているが、直角方向の圧縮残留応力は長手方向の圧縮残留応力の約半分である。
特に、溶接方向と直角方向に導入する圧縮残留応力の絶対値を大きくして、溶接止端部の周辺に生じている、溶接線の方向と直角方向の残留応力の改善を課題とする。
さらに、溶接線の方向と直角方向の残留応力の改善するための、超音波打撃処理により生じる製品表面についた打痕のパターンについても提案することを課題とする。
1)微視的に見ると、打撃を金属表面に与えるピンにより加工された、金属表面の円形部 の縁の部分に、圧縮残留応力の絶対値が大きい部分が同心円状に形成されており、そ の円形部の中央部分は比較的小さくなる。
2)したがって、疲労を改善したい部位の圧縮応力は、ピンで加工された、その圧縮残留 応力の絶対値が大きい同心円状部分を含んだ溝の平均溝幅と平均溝深さに影響される 。
3)更に、ピンにより加工された、圧縮残留応力が大きい同心円状の縁部分が重なるよう に、2条以上の筋をつけて加工すると、この筋と直角方向の圧縮残留応力の絶対値が 増加する。この重なり度合いも圧縮残留応力の大きさを決める。
4)この方向の圧縮応力を増加させるには、(同心円状の縁部分が重なる部分が多い方が 良いので、)製品の表面についた打痕が2条以上の列が見える様に加工すると、直角 方向の圧縮残留応力を効果的に導入できる。
(1)材料表面に超音波打撃処理を施して残留応力を改善する超音波打撃装置を用いた加工方法であって、
前記超音波打撃装置は、超音波打撃を材料表面に与える複数本のピンが一列に配列され、該ピンの配列方向と傾斜した方向にピンを走査して材料表面を超音波打撃処理するものであって、前記ピンの配列方向と該ピンの走査方向とのなす角度は、1本のピンの打撃により材料表面に盛り上がって生じる縁と、該ピンと隣接するピンの打撃により材料表面に盛り上がって生じる縁と、が重なり合う角度であり、残留応力を改善させたい方向に対して直角方向の材料表面上に、前記複数本のピンを走査して超音波打撃処理による複数条の加工帯を形成し、該加工帯の中に少なくとも加工帯と直角方向に3箇所以上の縁を形成させることを特徴とする超音波打撃装置を用いた加工方法。
(2)前記残留応力を改善させたい方向に対して直角方向の材料表面上に、平均溝幅(mm)と平均溝深さ(mm)が、平均溝幅×平均溝深さ>0.05 mm2 ・・・( 式1 )
である加工帯を形成することを特徴とする(1)に記載の超音波打撃装置を用いた加工方法。ここに、平均溝幅および平均溝深さの単位は(mm)
(3)前記加工帯が、溶接方向に平行で、溶接止端部を含む部分であることを特徴とする(1)または(2)に記載の超音波打撃装置を用いた加工方法。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の加工方法により材料の表面上に超音波打撃処理を施したことを特徴とする構造物。
1)直角方向に導入された圧縮応力が、その加工帯の平均溝幅と平均溝深さ、及び打痕のつき方を見るとおよそ推定できるので、加工帯を確認することで、処理が計画通りに行われたかがチェックできる。
2)加工処理が、溝の幅と深さを指定すれば達成できる。従って、作業者の加工処理の習熟度にあまり左右されずに同じような結果を得ることが出来る。
図1は、本発明における超音波打撃装置を用いた加工方法を例示する図である。
図1において、例えばT字型に組み合わされた金属板1および金属板2は、溶接金属3により隅肉溶接されており、4は溶接止端部、5は金属板表面に平行な隅肉脚長W、6は振動端子、7は振動端子の直径D、Bは打撃範囲を示す。
疲労が生じる箇所に圧縮応力が入っていると、疲労寿命が向上する。
このとき、引張残留応力が最も大きい溶接止端部4を含む部分を打撃し、導入されている圧縮残留応力の絶対値が大きいほどその疲労強度向上効果は大きいものと考えられる。
しかし、従来から行われている、超音波打撃処理方法では、実験してみると、
打撃加工により処理方向(溶接線方向)と、この方向に直角方向(図1に示すC方向)では、その圧縮残留応力の値に差が有り、直角方向の圧縮残留応力の絶対値は、長手方向の圧縮残留応力の絶対値よりも小さいことが判った。
超音波打撃処理方法では、
1)超音波で駆動したピンにより加工された部分は圧縮残留応力になるが、図2に示すように加工部分を微視的に見ると、圧縮残留応力は、超音波で駆動したピンにより加工された鋼材表面の加工部分(図2の場合には、加工部分は円形部)の縁の部分に多く形成される。
2)超音波で駆動したピンで加工された部分は上記の円部の重なり部で示される。この場合に、処理方向に沿った方向の円部は加工が重なるので、縁の部分は消え、一方、処理方向に直角の方向は縁が連なった形で残存する.この場合には、処理方向に沿った方向の加工部の重なり度合いが、処理方向に直角の方向よりも大きいので、処理方向に沿った方向の圧縮残留応力の絶対値は、直角方向の圧縮残留応力の絶対値よりも大きい。
A)処理方向に直角の方向での圧縮残留応力の値は、この方向での各部所の圧縮応力の累積値(ただし合計ではない)になるので、一つには、全体の変形である平均溝幅と平均溝深さに関係する。
B)縁の部分の圧縮残留応力の絶対値は高くなる。
C)この縁の部分が列状につながると、圧縮残留応力の絶対値の大きい部分が列状につながり、この方向の圧縮残留応力の絶対値が更に大きくなる。
D)この現象を溶接方向に直角方向に発生している引張り歪みを改善する為の加工処理に用いる場合には、溶接止端部に溶接方向に平行方向に3箇所以上の縁を有する2条以上の加工筋を形成させて、加工方向に直角方向の圧縮残留応力を導入して、上記の引張り歪みを低減させるか、圧縮残留応力にすることが有効である。
これらの考え方を基礎に、図3に示すように、4本のピンを並べた超音波打撃装置を用いて、直径D=3mmのインデンターを用いて、処理方向に動かして、多条の溝を形成した場合に、どの様に残留応力が導入できるか検討した。
図3において、0(ゼロ)はピンを処理方向に対して平行に並べた場合を示し、Xはピンを処理方向に対して垂直に2mm傾斜させて並べた場合を示し、Yはピンを処理方向に対して垂直に4mm傾斜させて並べた場合を示し、Zはピンを処理方向に対して垂直に5mm傾斜させて並べた場合を示す。
UIT装置(AppliedUitrasonic社製):周波数27kHz
ピンの直径:3mm
出力パワー:機器と機器の設定値に依存する。
UIT装置では、装置についている回転するつまみで1〜9まで調整できるが絶対値は不明であった。
<残留応力の測定>
残留応力は、X線回折により応力をsin2ψ-2θ法を用いて測定した。測定に用いた装置はリガク(株)のMSF-2Mを用い、X線の管球はCr、検出器はシンチレーション計測器を用い、電圧は30kV、電流は10mA、回折線の測定方法に並傾法を用い、X線の入射方法にψ一定法を用い、入射角ψは0度、15度、30度、45度の4点について、検出器を151度〜161度までの範囲について3sec/ step 、ステップ間隔0.25度でステップ操作をして測定し、ピークの決定には半値幅法を用いた。応力測定においては、フェライトの[211]回折面を利用し、物理定数として吸収係数850.4、ヤング率21000kgf/mm2、ポアッソン比0.28、応力定数-32.44を用いた。測定領域は1mm(処理方向に垂直な方向)×6mm(処理方向)について測定を行った。
<打痕形状の測定>
打痕形状の測定は、テーラーホブソン(株)のForm Talysurf Series S2Fを用いて測定した。測定は打痕の条と垂直方向について、任意の3箇所の打痕の表面凹凸形状を測定し、平均溝幅(mm)および、平均溝深さ(mm)を求めた。ここで、平均溝幅および平均溝深さは以下のように算出した。図4においてX軸は材料表面内で打痕の条の垂直方向、Y軸は表面垂直方向にとっている。図4のように打痕の凹凸形状計測後、その凹凸形状から、処理両端近傍で最も高い点A,Bを決定し、さらに、溝中でもっとも低い点C(図4)を決定し、両端の2点A,BのX座標の差を溝幅とし、また両端A,BのY座標のうち、より大きなY座標(図4では点A)と、最も低い点(図4ではC)のY座標の差を溝深さとし、これら上記測定3箇所(3断面)について平均したものを平均溝幅、平均溝深さとした。
この様な、加工面で、縁の箇所数を数えるには以下の様にする。
例えば、2条の打痕の列が、見られる場合には、任意(ランダム)に、処理方向に直角方向に10本の直線を引いた場合に、縁が3個見られる部分が70%以上の場合を「2条の打痕の列を明確に形成できる」とする.
なお、図における処理条件Yは前述のピンの配置(図3)を示す。
図6の横軸に示す平均溝幅(mm)が大きくなるほど、加工帯に垂直方向の圧縮残留応力(kgf/mm2)の絶対値が大きくなっている。
この図では、幅と残留応力の相関が見られるが、Zの値がずれている。
なお、図における0、X,Y,Zは前述(図3)のピンの配置を示す。
また、各々のピンの配列において、左から、5秒/200mmの条件、10秒/200mmの条件、20秒/200mmに相当する。
図7の横軸に示す平均溝深さ(mm)が大きくなるほど、加工帯に垂直方向の圧縮残留応力(kgf/mm2)の絶対値が大きくなっているが、図6と図7からは、平均溝深さよりも平均溝幅が効いているように見える。
なお、図における0、X,Y,Zは前述のピンの配置を示す。
図8は、本発明における平均溝幅×平均溝深さと残留応力の関係を示す図である。
図8の横軸に示す平均溝幅×平均溝深さ(mm2)が大きくなるほど、圧縮残留応力(kgf/mm2)の絶対値が大きくなっている。
なお、図における0、X,Y,Zは前述のピンの配置を示す。
1)直角方向の残留応力は平均幅X深さで整理すると、相関が見られる。
2)一条で溝をつけるよりも、2条以上の溝をつけたほうが、残留応力が高い。
ことがわかる。
例えば、27kHz、10秒/200mmの条件で、1条の打痕を付け、縁が2箇所の場合には、平均溝幅×平均溝深さが0.21mm2程度で残留応力が−14kgf/mm2程度(図8の0type)であったが、同じ27kHz、10秒/200mmの条件で、2条の筋を付けて、縁が4箇所の場合には、平均溝幅×平均溝深さが0.23程度であっても−32.6kgf/mm2の残留応力が導入され(図8のXtype)、同じ27kHz、10秒/200mmの条件で、3条の筋を付けて、縁が4箇所の場合には、平均溝幅×平均溝深さが0.32mm2程度でー44.6kgf/mm2(図8のYtype)の残留応力が、処理方向と直角方向に導入される.
このことは、処理方向に直角方向に縁が重なるように加工すれば、1条の打痕に比べて、処理方向と直角方向の圧縮残留応力の絶対値が増加することを意味している。
パワー9の場合は、処理角度X,Y,Zについて、またパワー6とパワー3の場合は、処理角度Yについて、右から、5秒/200mmの条件、10秒/200mmの条件、20秒/200mmに相当する。
図9より同じパワー(power9)においても処理角度をX,Y,Zと変えた場合、グラフの傾きが変わっていることがわかる。
これは、同じ、幅×深さの整理においても、前記のように、縁の密度の違いによるものと考えられる。すなわち、縁密度の高くなるものほど傾きが図9において小さくなっている。
また、図9より、上記処理角度の傾きをYに固定し、Powerを3,6,9(無次元)と変えた場合、powerの小さいものほど、グラフの傾きが小さくなっていることがわかる。これは、処理におけるpowerが大きいほど、形状変形により導入される残留応力損失の効果が大きくなるものによると考えられる。
また、このグラフより(十分な塑性変形を与えられる範囲において)Powerをより小さくしていくと、傾きが限りなく0に近づくことが容易に予想できる。
以上により、図9より、-15kgf/mm2以下の応力を導入するには、平均溝幅×平均溝深さの平均が0.05mm2以上であれば良いことがわかる。
パワーによって加工の程度が変わる。
上記における無次元のpowerの確認は、処理のpinサイズ3mmのものについて、1条の処理を行ったものについて、平均溝幅×平均溝深さの測定値を持って定義するものとする。たとえば、3mm pinを用いて、power9で1条の処理を20cm/10secについて行った場合、平均溝幅×平均溝深さ=0.2mm2であった。
このことから、別の装置で加工しても、1列処理の場合の平均溝幅×平均溝深さが0.2mm2である場合には、同等のパワーであると推定出来る。
他のパワーの値も同様に推定する。
これらの実験から、
1.加工方向と直角方向の残留応力の絶対値を大きくするには、1条の加工をするよりも、2条以上の加工をするほうが有効であること。
2.同じ加工方法では、残留応力の大きさは、加工溝の平均幅と平均深さの積が大きくなると圧縮残留応力の絶対値が大きくなること。
3.材料に入力するパワーが小さいほど、加工溝の平均幅と平均深さの積が小さくなるが、圧縮残留応力の絶対値は大きくなること。
がわかった。
また、加工目的によっては、残留応力と共に、加工形状によって応力集中を低減しようとする考え方もある。
その場合には、パワーの大きさを適切に選択することで加工形状による応力集中を低減するとともに、残留応力を適切な量にも設定出来る。
溝の形成方法、装置:超音波打撃装置(UIT)、直径D=3mmピン
鋼構造材の溶接部、処理前の処理方向に直角方向の残留応力40kgf/mm2、処理後の処理方向に直角方向の目標残留応力 −15kgf/mm2以下、
処理すべき平均溝幅X平均溝深さ>0.05mm2
施工すると、平均溝幅×平均溝深さ=0.32mm2の溝ができた。打痕のパターンは3条の打痕の列と4箇所の列状に連なった縁が明確に認められた。また、処理により処理前の残留応力は開放され、さらに圧縮の残留応力が導入され、処理後の処理方向に直角方向の残留応力は-44.6kgf/mm2であり目標を達成できた。
<発明例2>
溝の形成方法、装置:超音波打撃装置(UIT)、直径D=5mmピン
鋼構造材の溶接部、処理前の処理方向に直角方向の残留応力40kgf/mm2、処理後の処 理方向に直角方向の目標残留応力 −15kgf/mm2以下、
処理すべき平均溝幅X平均溝深さ>0.05mm2
施工すると、平均溝幅×平均溝深さ=0.051mm2の溝ができた。打痕のパターンは2条の打痕の列と3箇所の縁が認められた。処理後の処理方向に直角方向の残留応力はー15.1kgf/mm2でありほぼ目標を達成できた。
<発明例3>
溝の形成方法、装置:超音波打撃装置(UIT)、直径D=3mmピン
鋼製品の加工部、処理前の処理方向に直角方向の残留応力30kgf/mm2、処理後の処 理方向に直角方向の目標残留応力 −15kgf/mm2以下、
処理すべき平均溝幅X平均溝深さ>0.05mm2
施工すると、平均溝幅×平均溝深さ=0.057mm2の溝ができた。打痕のパターンは3条の打痕の列と4箇所の縁が認められた。処理後の処理方向に直角方向の残留応力はー15.4kgf/mm2でありほぼ目標を達成できた。
<発明例4>
溝の形成方法、装置:超音波打撃装置(UIT)、直径D=3mmピン
鋼構造材の溶接部、処理前の処理方向に直角方向の残留応力40kgf/mm2、処理後の処 理方向に直角方向の目標残留応力 −15kgf/mm2以下、
処理すべき平均溝幅X平均溝深さ>0.05mm2
施工すると、平均溝幅×平均溝深さ=0.065mm2の溝ができた。打痕のパターンは3条の打痕の列と4箇所の列状に連なった縁が明確に認められた。処理後の処理方向に直角方向の残留応力は-30.2kgf/mm2であり目標を達成できた。
溝の形成方法、装置:超音波打撃装置(UIT)、直径D=3mmピン
鋼製品の加工部、処理前の処理方向に直角方向の残留応力30kgf/mm2、処理後の処 理方向に直角方向の目標残留応力 −15kgf/mm2以下。
一条の溝を形成する施工すると、平均溝幅×平均溝深さ=0.10mm2の溝ができた。打痕のパターンは1条の列が認められた。処理後の処理方向に直角方向の残留応力はー14.0kgf/mm2であり目標を達成できなかった。
<比較例2>
溝の形成方法、装置:超音波打撃装置(UIT)、直径D=3mmピン
鋼構造材の溶接部、処理前の処理方向に直角方向の残留応力40kgf/mm2、処理後の処 理方向に直角方向の目標残留応力 −15kgf/mm2以下、
処理すべき平均溝幅X平均溝深さ>0.05mm2。
事前に処理条件を検討せずに施工すると、平均溝幅×平均溝深さ=0.032mm2の溝ができた。打痕のパターンは3条の打痕の列と4箇所の列状に連なった縁が明確に認められた。処理後の処理方向に直角方向の残留応力は-10.2kgf/mm2であり目標を達成できなかった。
Claims (4)
- 材料表面に超音波打撃処理を施して残留応力を改善する超音波打撃装置を用いた加工方法であって、
前記超音波打撃装置は、超音波打撃を材料表面に与える複数本のピンが一列に配列され、該ピンの配列方向と傾斜した方向にピンを走査して材料表面を超音波打撃処理するものであって、
前記ピンの配列方向と該ピンの走査方向とのなす角度は、1本のピンの打撃により材料表面に盛り上がって生じる縁と、該ピンと隣接するピンの打撃により材料表面に盛り上がって生じる縁と、が重なり合う角度であり、
残留応力を改善させたい方向に対して直角方向の材料表面上に、前記複数本のピンを走査して超音波打撃処理による複数条の加工帯を形成し、該加工帯の中に少なくとも加工帯と直角方向に3箇所以上の縁を形成させることを特徴とする超音波打撃装置を用いた加工方法。 - 前記残留応力を改善させたい方向に対して直角方向の材料表面上に、平均溝幅(mm)と平均溝深さ(mm)が、
平均溝幅×平均溝深さ>0.05 mm2 ・・・( 式1 )
である加工帯を形成することを特徴とする請求項1に記載の超音波打撃装置を用いた加工方法。
ここに、平均溝幅および平均溝深さの単位は(mm) - 前記加工帯が、溶接方向に平行で、溶接止端部を含む部分であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波打撃装置を用いた加工方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の加工方法により材料の表面上に超音波打撃処理を施したことを特徴とする構造物。
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JP2006167724A (ja) | 2006-06-29 |
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