JP5844551B2 - 溶接継手の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼橋など優れた疲労特性が要求される鋼構造物に好適な溶接継手で、溶接部に新たな応力集中部となる変形を与えずに圧縮残留応力を導入し疲労強度を向上させたものに関する。
近年、鋼橋の老朽化に伴い腐食や疲労に伴う損傷事例の報告が増加している。これらの防止にはまず検査体制を確立することが必要であるが、特に疲労損傷の場合は、通過車両などの作用外力を軽減したり、設計製作面からの溶接品質の向上が重要である。
溶接部は、割れなどの欠陥が存在したり、止端の形状が不適で応力集中部となると繰り返し応力に溶接残留応力の影響が重畳して疲労ノッチが発生しやすく、疲労破壊をもたらす場合があるため、その防止のため種々の観点からの提案がなされている。
特許文献1は、溶接部の疲労強度向上方法およびそれを用いた溶接構造物に関し、溶接止端の近傍を超音波振動しながら打撃して塑性変形させる加工装置で、特定寸法の溝を所定の打撃条件で加工することで高速に作業者の熟練度に依存しないで安定して疲労強度を向上させることが記載されている。
特許文献2は、レーザ衝撃ピーニング方法に関し、レーザ光源からのパルスレーザビームを使用して、表面の薄層もしくはプラズマを形成する表面のコーティングを瞬間的に気化させてその爆発力により表面の一部に局所的に圧縮力を発生させる方法で、ガスタービンエンジンのファン動翼に圧縮残留応力を導入させることが記載されている。
特許文献3は、溶接継手の疲労特性改善打撃処理方法及びその装置に関し、先端が特定寸法の打撃ピンを用いて、溶接止端に打撃痕による特定寸法の溝部が形成されるように鋼板表面を圧縮して溶接部に圧縮残留応力を導入することが記載されている。
非特許文献1は、ハンマーピーニング及びTIG処理による高強度鋼(SM570)の溶接継手部の疲労強度向上法に関し、ハンマーピーニングを施すと疲労強度が低下する場合があるため、溶接止端の応力集中や残留応力を低減させる新たなハンマーピーニング法について検討した結果が記載されている。
通常、ハンマーピーニングは、作業者が手持ちのピーニング装置を溶接止端にチップ先端(チップは振動端子、チッパーとも言う)が斜め上方から当たるように持って、ピーニング装置の荷重を溶接止端に預けるようにして作業を行い作業負荷を軽減している。
そのため、図13に示す母材1にリブ2を直立させた面外ガセット継手にハンマーピーニングを施した場合、ピーニング装置のチッパー5の先端により溶接止端に応力集中箇所となる深い溝(打撃痕)が形成され、溶接ビード3の先端部から疲労き裂7が発生する場合がある。
非特許文献1にはハンマーピーニングの前にグラインダで溶接止端の一部を予め研削すると疲労ノッチの発生防止に有効であることが紹介され、ハンマーピーニングを3パス程度の複数回行うことを提案している。
特開2006−175512号公報 特開2006−159290公報 特開2010−29897号公報
IMPROVING FATIGUE STRENGTH OF WELDED JOINTS BY HAMMER PEENING TIG−DRESSING:Kengo ANAMI、Chitoshi MIKI、Hideki TANI、Haruhito YAMAMOTO、Structual Eng./Earthquake Eng.、JSCE、Vol.17、NO.1、57s−68s、2000 April)
ところで、溶接構造物を製造する際、作業環境、作業能率および溶接継手性能を考慮した溶接方法が選定され、溶接部の疲労強度向上のため、特許文献1等に記載の溶接部の疲労強度向上方法が施されるが、疲労特性に優れた溶接継手の特徴が明確であれば、溶接方法の選定と同様に最適な疲労強度向上方法を選定することが可能となる。
特許文献3には、耐疲労特性に優れた溶接構造物が記載され、疲労き裂発生危険部の溶接部として好ましい溶接部が開示されているが、実構造物に適用した場合に当該溶接部を得るための装置の入手困難性や施工能率が懸念される。また、特許文献3記載の打撃処理方法は、先端曲率半径が金属材料の厚さの1/2以下かつ2〜10mmの打撃ピンを用い、打撃ピンが打撃中に溶接金属に触れない範囲までの母材金属材料表面に打撃痕を与えるものであるが、効率的に圧縮残留応力を導入するのは困難である。
また、特許文献1記載の超音波によるピーニング方法は使用する装置が従来の空気圧でチップを駆動する装置と比較すると高価で入手も困難である。特許文献2記載のレーザ衝撃ピーニング方法は、素材の前処理が必要で、且つ装置が高価で大きく、鋼橋製造に適用することは難しい。
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、疲労特性に優れた溶接継手を提供することを目的とする。
本発明者らは溶接継手の疲労強度を向上させるため、特に疲労き裂が発生しやすい止端部の溶接による引張残留応力を軽減させる方法について鋭意検討し、ハンマーピーニングによる打撃痕を溶接止端より母材側に離した場合に、打撃による最大の圧縮残留応力を溶接止端に導入することが可能なことを見出した。本発明は上記知見をもとに更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は
1.ハンマーピーニングまたは超音波衝撃処理された、鋼材の溶接継手であって、振動端子によって溶接ビードに沿って鋼材表面に連続形成された打撃痕を有し、前記振動端子は、その先端部が、進行方向直角断面の頂部が曲率半径:1mm以上10mm以下の円弧状で、進行方向に1mm以上10mm以下の長さを有し、前記打撃痕は、前記振動端子によって、溶接止端より母材側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満に形成されたことを特徴とする溶接継手。
2.前記振動端子は、その先端部が、進行方向直角断面の頂部が3mm以下の直線部の両端に曲率半径0.1mm以上2mm以下の面取り部を有し、進行方向に1mm以上10mm以下の長さを有することを特徴とする1記載の溶接継手。
3.前記振動端子は、その先端部が、進行方向直角断面の頂部が短径が1mm以上の楕円形の長径側の円弧状で、進行方向に1mm以上10mm以下の長さを有することを特徴とする1記載の溶接継手。
4.前記打撃痕は、前記振動端子によって、溶接止端より母材側に0.5mm離れた位置から5mmまでの領域に形成することを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載の溶接継手。
本発明によれば、溶接部の疲労強度に優れた溶接継手が得られ、産業上、極めて有用である。
本発明に係る溶接継手により疲労特性が向上する原理を説明する概略図。 本発明に係る溶接継手の打撃に用いる振動端子のX、Y、Z方向を説明する図 本発明に係る溶接継手の打撃に用いる振動端子を説明する図で(a)はXZ断面、(b)はYZ断面の形状を示す図。 本発明に係る溶接継手の打撃に用いる他の振動端子を説明する図で(a)はXZ断面、(b)はYZ断面の形状を示す図。 本発明に係る溶接継手の打撃に用いる他の振動端子を説明する図で(a)はXZ断面、(b)はYZ断面の形状を示す図。 種々の先端部の形状を有する振動端子の効果を示す図で、(a)は先端部の形状、(b)はFEM解析結果によるX方向の残留応力と変形部中央からの距離の関係を示す図。 溶接止端と打撃痕の位置関係を示す平面図。 実施例の試験体の平面図。 実施例((a)は先端部の形状、(b)は振動端子の形状と残留応力測定結果を示す図)。 実施例に用いた2体の溶接継手の寸法形状及び打撃痕の測定位置を示し、(a)は上面図、(b)は側面図。 2体の溶接継手について、図10(a)に示す回し溶接部近傍の断面形状が得られる位置(長さ75mmのリブの長さ方向の端部の位置)で、溶接金属から母材にかけてレーザ変位計を用いて0.5mmピッチで測定した断面の履歴を示す図で、(a)、(b)は各溶接継手での測定結果を示す。 図11(a)、(b)に溶接部の断面形状を示した2体の溶接継手の疲労試験結果を示す図。 ハンマーピーニングにより止端に生じる欠陥を説明する図。
本発明は鋼材の溶接継手であって、溶接金属や溶接止端を除いた、溶接止端周辺の鋼材表面に、溶接ビードに沿って打撃痕を連続形成することによって、溶接止端部に圧縮の残留応力を導入することを特徴とする。以下の説明において止端(溶接止端ということもある。)は部材の面と溶接金属の表面との交線とする(図解溶接用語辞典日刊工業昭和46年9月20日第4版)。
図1は本発明に係る溶接継手により疲労特性が向上する原理を説明するための概略図で、母材1にリブ2を廻し溶接で溶接した溶接継手の側面図を示す。溶接ビード3の止端4から距離d離れた母材1の表面が、母材表面と垂直方向に幅Bのチップ(図示しない)で母材表面が加圧されて塑性変形(点線で表示)を生じた打撃痕となっている。
母材1の表面において打撃痕の位置(止端4からの距離dで規定)は、幅Bのチップにより打撃痕を形成する際、母材1に生じる圧縮残留応力が止端4の溶接による引張残留応力を打消して、その結果、止端4が圧縮残留応力を有するように、規定する。打撃痕が止端に接して形成される場合(距離d=0)でも圧縮残留応力を止端に導入することが可能なため本発明範囲内とする。
本発明に係る溶接継手では、止端4での引張残留応力に及ぼす、打撃痕を形成する際に母材1に生じる圧縮残留応力の影響の指標として、母材表面を加圧して、母材表面に打撃痕を形成するために用いる振動端子の形状と、溶接止端より母材側の領域における打撃痕の最大深さを用いる。尚、本発明に係る溶接継手では、溶接止端を含めて溶接ビードを打撃しないことを原則とするが、作業開始直前および直後の調整などで溶接ビードに塑性変形を与えない程度に一時的に打撃することは差し支えない。
図3〜5に振動端子の先端の形状を示す。図2はこれらの図におけるX方向、Y方向を説明する図で、X方向は打撃の進行方向と直角方向、Y方向は打撃の進行方向とする。
図3に示す振動端子は、振動端子の先端部が、進行方向(Y方向)に対して直角となる断面(XZ断面)において、頂部に曲率半径(r):1mm以上10mm以下の円弧状の外周部を有し(図3(a))、進行方向(Y方向)に1mm以上10mm以下の長さ(b)を有する、略蒲鉾形状のものである(図3(b))。
頂部に円弧状の外周部を有する振動端子の場合、円弧の曲率半径が1mm未満では止端に応力集中部となる変形が形成される可能性があり、一方、10mm超えの場合は接触面積が大きくなり、止端に十分な圧縮残留応力を付与することができないため、曲率半径(r):1mm以上10mm以下とする。
図4は、本発明の他の例に係る振動端子の形状を示し、振動端子の先端部が、進行方向(Y方向)に対して直角となる断面(XZ断面)において、頂部に3mm以下の直線部aの両端に曲率半径(r)0.1mm以上2mm以下の面取り部を備えた外周部を有し(図4(a))、進行方向(Y方向)に1mm以上10mm以下の長さ(b)を有する略蒲鉾形状のものである(図4(b))。本発明例の振動端子の先端は平坦な矩形部となっている。
頂部の一部に直線部aのある外周部を有する振動端子の場合、その両側に打撃によるき裂発生を防止するため面取り部を設けることが必要となる。面取り部の曲率半径(r)が0.1mm未満では、面取り部により止端に応力集中部となる変形が形成される可能性があり、一方、2mmを超えると接触面積が大きくなり、止端に十分な圧縮残留応力を付与することができないため、曲率半径0.1mm以上2mm以下の面取り部とする。
面取り部によっても、圧縮残留応力が付与されるので、矩形部の直線部aの長さは3mm以下とする。矩形部の直線部aの長さが3mm超えの場合、止端に応力集中部となる変形が形成される。
図4に示した振動端子は、振動端子の先端に矩形部を有するので、先端が球状や円弧状のものに比べて、より少ない打撃回数で同一箇所を繰返し打撃することが可能で、能率良く、安定して深い打撃痕形状が得られる。
図5は、本発明の他の例に係る振動端子の形状を示し、振動端子の先端部が、進行方向(Y方向)に対して直角となる断面(XZ断面)において、頂部に楕円形長径側の円弧状の外周部を有し、前記楕円形の短径(r1)が1mm以上で(図5(a))、進行方向(Y方向)に1mm以上10mm以下の長さを有する略蒲鉾形状に形成されたものである(図5(b))。
頂部に楕円形の長径側の円弧状の外周部を有する振動端子の場合、楕円形の短径(r1)が1mm未満では長径側の円弧状の外周部による打撃で、止端に応力集中部となる変形が形成されるため、楕円形の短径(r1)は1mm以上とする。
図3〜5に示した振動端子はいずれも進行方向(Y方向)に1mm以上10mm以下の長さを有する。
1mm未満の長さでは、止端に圧縮残留応力を付与することが出来ず、一方、10mm超えの長さの場合は、止端に応力集中部となる変形が形成されるため、1mm以上、10mm以下とする。
図6に振動端子の先端部の形状が圧縮残留応力に及ぼす影響を調査した結果を示す。先端部が、図6に示す(1)(図の丸数字1を指し、以下同じとする)、(2)、(3)、(4)の形状の振動端子モデルを用い、母材(平板、降伏強さ294MPa・引張強さ445MPaの12mm厚鋼板)表面に対して振動端子の中心軸が垂直となるようにして、振動端子モデルに負荷を与えて母材を0.1mm押し込み、母材表面側に凹の変形を与えた後、負荷を解除した場合をシミュレートして応力分布をFEM解析で求めたものである。図6(b)の横軸は、振動端子中心軸からの距離、縦軸は残留応力を示す。
(1)、(2)の振動端子は先端部の頂部がXZ断面(打撃進行方向に直角な断面)において、半径4.5mmの円弧状の外周部を有し、YZ断面(打撃進行方向の断面)の長さを1の振動端子は9mm、(2)の振動端子は4mmとした。
(3)の振動端子は、先端部が、XZ断面(打撃進行方向に直角な断面)において、頂部に1mmの直線部の両端に曲率半径0.5mmの面取り部を備えた外周部を有し、YZ断面(打撃進行方向の断面)の長さを9mmとした。(4)の振動端子は先端部が曲率半径3mmの半球状とした。
図より、振動端子((1)、(2)、(3))の場合、先端部が半球状の振動端子((4))よりも、変形部中央(振動端子の軸中心)から離れた位置でも大きな圧縮残留応力を付与することが可能で、より効率的に止端の残留応力(引張残留応力)を軽減することが可能である。特にその先端に矩形部を有する(3)の振動端子では、最も圧縮残留応力が大きく、先端が球状や円弧状のものに比べて、より少ない打撃回数で同一箇所を繰返し打撃することが可能で、能率良く、安定して深い打撃痕形状が得られる。
図6より、XZ断面の形状が異なる振動端子((1)、(2)は半径4.5mmの円弧状、(3)は頂部に1mmの直線部の両端に曲率半径0.5mmの面取り部)のいずれでも、変形部の端(x≒0.8mm)から約0.5mm離れた位置で大きな圧縮残留応力が発生しており、その最大値は、打撃部中央から2mm近傍すなわち打撃部の端(x≒0.8mm)から1mm近傍に位置している。
また、図より、先端部が半球状の振動端子((4))の場合、打撃中心(XZ断面の幅中心)から5mm離れた位置で圧縮残留応力が導入されなくなるが、(1)、(2)、(3)の振動端子の場合、打撃中心から5mm離れた位置においても100〜200MPa程度の圧縮残留応力を導入することが可能である。従って、打撃痕は振動端子の溶接止端側の端部がX方向(図2で定義する)で溶接止端より母材側に0.5mm離れた位置から5mmまでの領域に形成することが好ましい。特に、圧縮残留応力の大きい範囲を考慮すると、振動端子の溶接止端側側の端部がX方向(図2で定義する)で溶接止端より母材側に0.5mm離れた位置から2mmまでの領域に形成することが好ましい。但し、打撃痕(変形部)の端でも圧縮残留応力(−50MPa程度)が発生しているので、本発明は溶接止端より母材側に5mmまでの領域に打撃痕を形成するものとする。
(1)、(2)、(3)の振動端子の先端部を、進行方向直角断面(XZ断面)の頂部が短径が1mm以上の楕円形における長径側の円弧状とするとより圧縮残留応力が広い範囲で分布して好ましい。
打撃時は、振動端子先端の長辺側を止端に平行に打撃するのが好ましい。止端に平行な部分が長くなるほど、圧縮残留応力が広い範囲で分布するからである。
打撃痕は、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満とする。底部までの最大深さが0.03mm未満の場合は、止端に十分な圧縮残留応力を付与することができず、0.50mm以上では打撃痕周辺の塑性変形が過大となり新たな応力集中源となる可能性があるためである。上記打撃痕深さの範囲内であれば、母材強度が変化しても、溶接止端の引張残留応力を軽減する圧縮残留応力と、打撃痕から離れた位置で圧縮残留応力が最大値となる分布状態が得られる。
尚、本発明に係る溶接継手では、溶接止端を含めて溶接ビードを打撃しないように、振動端子の先端部の形状と溶接止端より母材側に5mm、より好ましくは溶接止端より母材側に0.5mm離れた位置から5mmまでの領域内において打撃痕を形成する位置を適宜組み合わせる。
例えば、(1)、(2)の振動端子の場合、打撃中心(XZ断面の幅中心)を溶接止端より母材側に0.5mmの位置とすると、幅が9mmのままでは振動端子の一部が溶接止端より溶接金属側となり溶接止端を覆うようになる。
頂部の形状を保ったまま、図3のように頂部付近で幅をつめることが可能であるが溶接止端形状によっては溶接止端を打撃することになるので、溶接止端より母材側に5mm、より好ましくは溶接止端より母材側に0.5mm〜5mmまでの領域内で、溶接止端を打撃しない位置を選定して溶接止端に沿って連続的に打撃する。
図7は溶接止端4と打撃痕6の位置関係を示す平面図で、本発明は、打撃痕6が溶接止端4から母材1側に5mm以内であれば溶接止端4との距離によらず圧縮残留応力を溶接止端4に導入できるので、溶接方向における溶接止端4の形状に沿うことなく、当該範囲内に直線状に打撃痕6を形成することが可能で作業能率が向上する。
溶接止端から母材側に5mm離れた位置を打撃する場合は、振動端子先端の母材側の辺を母材側5mmの位置として打撃するので、打撃痕は母材側5mmより更に母材側に形成されることになる。この場合であっても、振動端子先端の母材側の長辺を溶接止端側とすることが好ましい。また、打撃痕が母材側5mmから更に打撃痕の幅だけ母材側に形成されても本発明の作用効果は損なわれない。
また、図6に示す関係を本発明範囲内で種々に押し込み量を変えた場合について予め求めておくと、実作業で打撃痕を形成する打撃力の調整と打撃する位置の選定が容易となり好ましい。
振動端子5で母材表面を加圧する前に、止端4と母材1の境界部にグラインダ研削などでr部を設けると母材表面の変形を止端4に及ばさずに、より大きな圧縮残留応力を止端4に導入させることが可能で好ましい。打撃痕は、互いが一部または全てが重なるように複数回の打撃によって形成することが好ましい。また、本発明による作用効果は、ハンマーピーニングまたは超音波衝撃処理のいずれであっても得られる。
頂部の一部が扁平(直線部)で、その両側に打撃によるき裂発生を防止するため面取り部を有する振動端子(以下、先端形状Aの振動端子)と、先端部が半球状の振動端子(以下、先端形状Bの振動端子)を用いて、幅150mm×長さ300mm×板厚12mmの母材(SM400)に、ハンマーピーニング(空気圧約6kg/cm、周波数90Hz、移動速度0.25mm/秒による)を振動端子を垂直に繰り返し打撃して行った(図8)。
試験片はX線による残留応力測定に供した。X線を用いた残留応力測定は、ビーム径1mmφで行った。図9に振動端子の形状と残留応力測定結果を示す。先端形状Aの振動端子は、残留応力が圧縮側となっている範囲が約4mmあるが、先端形状Bの振動端子では、残留応力が圧縮側となっている範囲が約1.5mmと狭くなっている。
次に、溶接継手を作成し、本発明法によりハンマーピーニングを施した後、疲労試験を実施した。図10は溶接継手の寸法形状及び打撃痕の測定位置を示し、(a)は上面図、(b)は側面図を示す。溶接継手は、280A−32V−25cpmの溶接条件にて2体を作製した。
各溶接継手に対して、先述の先端形状Aの振動端子を用いて、ハンマーピーニング(空気圧約6kg/cm、周波数90Hz、移動速度0.25mm/秒による)を振動端子を垂直に繰り返し打撃して行い、打撃痕の寸法を測定した。
打撃痕の寸法は、図10(a)に示すように回し溶接部近傍の断面形状が得られる位置(長さ75mmのリブの長さ方向の端部の位置)で、溶接金属から母材にかけてレーザ変位計を用いて0.05mmピッチで測定した。
図11(a)、(b)に2体の各溶接継手で得られた溶接部の断面形状をそれぞれ示す。各溶接継手について,疲労試験(周波数3〜5Hz)を行った結果を図12に示す。先端形状Aの振動端子を使ったものは,溶接ままの継手(図中、比較例)に比べて疲労寿命の向上が見られた。
1 母材
2 リブ
3 溶接ビード
4 止端
5 チッパー
6 打撃痕
7 疲労亀裂

Claims (4)

  1. ハンマーピーニングまたは超音波衝撃処理された、鋼材の溶接継手の製造方法であって、振動端子によって溶接ビードに沿って鋼材表面に連続形成された打撃痕を有し、
    前記振動端子は、その先端部が、進行方向直角断面の頂部が曲率半径:1mm以上10mm以下の円弧状で、進行方向に1mm以上10mm以下の長さを有し、進行方向と平行な垂直断面の頂部の形状が矩形状であり、
    前記打撃痕は、前記振動端子によって、溶接止端より母材側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満に形成されたことを特徴とする溶接継手の製造方法。
  2. ハンマーピーニングまたは超音波衝撃処理された、鋼材の溶接継手の製造方法であって、振動端子によって溶接ビードに沿って鋼材表面に連続形成された打撃痕を有し、
    前記振動端子は、その先端部が、進行方向直角断面の頂部が3mm以下の直線部の両端に曲率半径0.1mm以上2mm以下の面取り部を有し、進行方向に1mm以上10mm以下の長さを有し、
    前記打撃痕は、前記振動端子によって、溶接止端より母材側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満に形成されたことを特徴とする溶接継手の製造方法
  3. ハンマーピーニングまたは超音波衝撃処理された、鋼材の溶接継手の製造方法であって、振動端子によって溶接ビードに沿って鋼材表面に打撃痕を連続形成し、
    前記振動端子は、その先端部が、進行方向直角断面の頂部が短径が1mm以上の楕円形の長径側の円弧状であり、進行方向に1mm以上10mm以下の長さを有し、
    前記打撃痕は、前記振動端子によって、溶接止端より母材側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満に形成されたことを特徴とする溶接継手の製造方法
  4. 前記打撃痕は、前記振動端子によって、溶接止端より母材側に0.5mm離れた位置から5mmまでの領域に形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の溶接継手の製造方法。
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