JP2013136094A - 鋼材の溶接構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接部に疲労き裂などの疲労損傷が発生することを確実に抑制することのできる鋼材の溶接構造物を提供する。
【解決手段】鋼材の溶接構造物Aには、溶接ビード3と隣接する母材1の表面に打撃痕形成用工具6を用いて打撃痕5を形成するハンマーピーニング又は超音波衝撃処理が施されている。打撃痕形成用工具6は、先端に、平坦でかつ半径が1.5mm以上3.0mm以下の円形で形成された打撃痕形成面7を有する。打撃痕5は、溶接ビード3の止端4より母材1側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満で溶接ビード3に沿って連続的に形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、鋼橋などの鋼材の溶接構造物に関する。
近年、鋼橋の老朽化に伴い腐食や疲労に伴う損傷事例の報告が増加している。これらの防止には、まず検査体制を確立することが必要であるが、特に疲労損傷の場合は、通過車両などの作用外力を軽減したり、設計製作の面から溶接品質を向上させたりすることが重要である。
鋼橋などの溶接構造物では、割れなどの欠陥が溶接部に生じたり、溶接ビードの形状が不適で応力集中が溶接ビードの止端(溶接ビードを形成する溶接金属の表面が金属製部材(母材)の表面と交わる境界)に発生したりすると、繰り返し応力による影響と溶接残留応力の影響が重畳して疲労き裂が溶接部に発生しやすくなり、疲労破壊をもたらす場合がある。
このような疲労破壊を抑制するため、特許文献1〜3には、溶接ビードの止端部に圧縮残留応力を導入して溶接部の疲労強度を向上させる方法が記載されている。
特許文献1には、溶接部の疲労強度向上方法およびそれを用いた溶接構造物に関し、溶接ビードの止端近傍を超音波振動しながら打撃して塑性変形させる加工装置により、特定寸法の溝を所定の打撃条件で加工することで高速に作業者の熟練度に依存しないで安心して疲労強度を向上させることが記載されている。
また、特許文献2には、レーザ衝撃ピーニング方法に関し、レーザ光源からのパルスレーザビームを使用して、表面の薄層、もしくはプラズマを形成する表面のコーティングを瞬間的に気化させてその爆発力により表面の一部に局所的に圧縮力を発生させる方法で、ガスタービンエンジンのファン動翼に圧縮残留応力を導入させることが記載されている。
更に、特許文献3には、溶接継手の疲労特性改善打撃処理方法及びその装置に関し、先端が特定寸法の打撃ピンを用いて、溶接止端に打撃痕による特定寸法の溝部が形成されるように鋼材表面を圧縮して溶接部に圧縮残留応力を導入することが記載されている。
また、非特許文献1には、ハンマーピーニング及びTIG処理による高強度鋼(SM570)の溶接継手部の疲労強度向上法に関し、ハンマーピーニングを施すと疲労強度が低下する場合があるため、溶接止端の応力集中や残留応力を低減させる新たなハンマーピーニング法について検討した結果が記載されている。
特開2006−175512号公報 特開2006−159290号公報 特開2010−29897号公報
IMPROVING FATIGUE STRENGTH OF WELD JOINTS BY HAMMER PEENING TIG−DRESING:Kengo ANAMI、Chitoshi MIKI、Hideki TANI、Haruhito YAMAMOTO,Structual Eng./Earthquake Eng.、JSCE、VoL.7、No.1、57s−68s、2000 April
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、溶接ビードの止端部に圧縮残留応力を導入する手段として、チップを超音波振動させて溶接ビードの止端部に特定寸法の溝を加工する装置を用いるため、従来の空気圧でチップを駆動する装置と比較すると高価で入手も困難という問題点がある。
また、特許文献2に記載の方法は、溶接ビードの止端部に圧縮残留応力をレーザ衝撃ピーニングにより導入する方法であるため、素材の前処理が必要で、且つ装置が高価で大きく、鋼橋などの大形溶接構造物に適用することが難しいという問題点がある。
更に、特許文献3に記載の方法は、溶接ビードの止端部に圧縮残留応力をハンマーピーニングにより導入する方法であるが、先端の曲率半径が2〜10mmの打撃ピンを母材表面に溶接金属に触れないように押し当てて圧縮残留応力を導入する方法であるため、圧縮残留応力を導入することが難しいという問題点がある。
また、非特許文献1には、ハンマーピーニングを施すと疲労強度が低下する場合があるため、溶接止端の応力集中や残留応力を低減させる新たなハンマーピーニング法について検討した結果が記載されているが、ハンマーピーニングは、通常、作業者がピーニング工具を工具先端が溶接ビードの止端に斜め上方から当たるように持って行われる。このため、母材1の表面上にリブ2を直立させた面外ガセット継手(溶接構造物A、図4参照)にハンマーピーニングを施した場合、溶接ビード3の止端4の近傍に応力集中となる深い溝が形成され、溶接ビード3の止端4の近傍から疲労き裂が発生するおそれがある。
従って、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接部に疲労き裂などの疲労損傷が発生することを確実に抑制することのできる鋼材の溶接構造物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る鋼材の溶接構造物は、溶接ビードと隣接する母材の表面に打撃痕形成用工具を用いて打撃痕を形成するハンマーピーニング又は超音波衝撃処理を施された、鋼材の溶接構造物であって、前記打撃痕形成用工具は、先端に、平坦でかつ半径が1.5mm以上3.0mm以下の円形で形成された打撃痕形成面を有し、前記打撃痕は、前記溶接ビードの止端より前記母材側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満で前記溶接ビードに沿って連続的に形成されていることを特徴としている。
なお、円形で形成された打撃痕形成面の円形の定義として、長径/短径の比が、1〜1.1であれば、略円形として使用できる。長径の向きは、溶接線に対して特に規定しない。
また、本発明のうち請求項2に係る鋼材の溶接構造物は、請求項1記載の鋼材の溶接構造物において、前記打撃痕形成用工具は、前記打撃痕形成面に対する垂直方向において傾斜する側面を有する円錐台形状に形成されていることを特徴としている。
更に、本発明のうち請求項3に係る鋼材の溶接構造物は、請求項1又は2記載の鋼材の溶接構造物において、前記打撃痕形成用工具は、前記打撃痕形成面の周囲に0.15mm以上0.50mm以下の曲率半径で円弧状に湾曲する面取り部を有することを特徴としている。
また、本発明のうち請求項4に係る鋼材の溶接構造物は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の鋼材の溶接構造物において、前記打撃痕が、前記溶接ビードの止端より前記母材側に0.5mm離れた位置から3mmまでの領域に形成されていることを特徴としている。
加えて、本発明のうち請求項5に係る鋼材の溶接構造物は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の鋼材の溶接構造物において、前記打撃痕は、前記溶接ビードの止端より前記母材側に0.5mm離れた位置から3mmまでの領域に最大深さが0.1mm以上0.5mm未満で形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、溶接ビードの止端近傍に300MPaを越える圧縮残留応力を導入することが可能となるので、溶接部に疲労き裂などの疲労損傷が発生することを確実に抑制することができる鋼材の溶接構造物が得られる。
本発明に係る鋼材の溶接構造物において、ハンマーピーニング又は超音波衝撃処理を施す際に用いられる打撃痕形成用工具の一例を示す斜視図である。 図1に示す打撃痕形成用工具を示し、(a)は図1におけるXZ平面に沿って切断した断面図、(b)は図1におけるYZ平面に沿って切断した断面図、(c)は底面図である。 打撃痕形成用工具の変形例を示し、(a)は図1におけるXZ平面に沿って切断した断面図、(b)は図1におけるYZ平面に沿って切断した断面図、(c)は底面図である。 図1に示す打撃痕形成用工具により母材の表面に形成された打撃痕を示す図である。 鋼板の表面上にリブが直立した状態で溶接された溶接部を示す図である。 円形をなす球面状の打撃痕形成面が先端に形成された打撃痕形成用工具を示す図である。 正方形をなす平面状の打撃痕形成面が先端に形成された打撃痕形成用工具を示す図である。 打撃痕形成面の形状が矩形の打撃痕形成用工具を用いて母材表面に打撃痕を形成した場合と打撃痕形成面の形状が円形の打撃痕形成用工具を用いて母材表面に打撃痕を形成した場合とを比較して示す写真である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る鋼材の溶接構造物において、ハンマーピーニング又は超音波衝撃処理を施す際に用いられる打撃痕形成用工具の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示す打撃痕形成用工具を示し、(a)は図1におけるXZ平面に沿って切断した断面図、(b)は図1におけるYZ平面に沿って切断した断面図、(c)は底面図である。
先ず、鋼材の溶接構造物A(図4参照)において、ハンマーピーニング又は超音波衝撃処理を施す際に用いられる打撃痕形成用工具6は、SM570等の高強度鋼から形成されているとともに、図1及び図2に示すように、先端に打撃痕形成面7を形成している。この打撃痕形成面7は、溶接ビード3(図4参照)と隣接する母材1の表面に打撃痕5を形成するためのものである。打撃痕形成面7は、図2に示すように、平坦でかつ半径が1.5mm以上3.0mm以下、即ち直径Dが3.0mm以上6.0mm以下の円形で形成されている。
このように、打撃痕形成用工具6の先端に形成された打撃痕形成面7を平坦としたのは、平坦でないと、母材1側に形成された打撃痕5の深さ及び幅(打撃痕形成用工具7の移動方向である図4において紙面に対して直交する方向に直交する方向の長さ)にばらつきを生じるからである。また、打撃痕形成面7を半径が1.5mm以上3.0mm以下の円形としたのは、半径が1.5mm未満の場合には、形成された打撃痕5の深さ及び幅にばらつきが生じ、形状が安定して得られない。一方、半径が3.0mmより大きい場合には、打撃痕形成面7の面積が大きくなるため、母材1に対して十分な深さの打撃痕5を形成することができなくなり、溶接ビード3の止端4の近傍への圧縮残留応力導入による疲労強度向上効果が小さくなるからである。
また、打撃痕形成用工具6は、図2に示すように、打撃痕形成面7に対する垂直方向において傾斜する側面を有する円錐台形状に形成されている。このように、打撃痕形成用工具6を円錐台形状とすることにより、度重なる打撃によって、工具の形状を保つことができるという効果を奏する。
更に、打撃痕形成用工具6としては、図2に示す形状に限らず、図3に示すように、打撃痕形成面7に対する垂直方向において傾斜する側面を有する円錐台形状に形成されるとともに、打撃痕形成面7の周囲に0.15mm以上0.50mm以下の曲率半径rで円弧状に湾曲する面取り部8を形成したものを用いてもよい。
ここで、面取り部8の曲率半径rを0.15mm以上0.50mm以下とした理由は以下の理由からである。すなわち面取り部8の曲率半径rが0.15mm未満では、打撃痕5の底の端部に応力が集中しやすい状態になるからである。また、面取り部8の曲率半径rが0.50mmを超えると母材1の表面に接触する打撃痕形成面7の接触面積が大きくなるため、母材1に対して十分な深さの打撃痕5を形成することができなくなり、溶接ビード3の止端4の近傍への圧縮残留応力導入による疲労強度向上効果が小さくなるからである。
このような打撃痕形成用工具6を用いてハンマーピーニング又は超音波衝撃処理を施す際には、図4において、母材1とリブ2とを溶接した溶接ビード3と隣接する母材1の表面に、打撃痕形成用工具6を垂直に押し当てて打撃し、打撃痕形成用工具6を溶接線方向(図4における紙面に対して直交する方向、図1における矢印Y方向)に相対的に移動させ、前記打撃痕形成用工具6による打撃と前記打撃痕形成用工具6の移動を繰り返して当該表面に打撃痕5を形成する。
つまり、打撃痕形成面7が溶接ビード3の止端4と隣接するように打撃痕形成用工具6の位置を調整した後、打撃痕形成用工具6の打撃痕形成面7を母材1の表面に垂直に押し当てて打撃し、溶接ビード3の止端4より母材1側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満の打撃痕5を形成する。
次に、打撃痕形成用工具6の打撃痕形成面7を母材1の表面から引き離した後、打撃痕形成用工具6を溶接ビード3の溶接線方向に所定距離だけ移動させる。そして、再び打撃痕形成用工具6の打撃痕形成面7を母材1の表面に垂直に押し当てて打撃し、母材1の表面に打撃痕5を形成し、この打撃痕形成用工具6による打撃と打撃痕形成用工具6の移動とを繰り返して、複数の打撃痕5を溶接ビード3に沿って連続的に形成する。
これにより、複数の打撃痕5が、母材1とリブ2とを溶接した溶接ビード3の止端4より母材1側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満で形成された溶接構造物Aが得られる。
ここで、打撃痕5が、溶接ビード3の止端4より母材1側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満で形成することとしたのは、次の理由による。打撃痕5の最大深さが溶接ビード3の止端4より母材1側に5mmを超えて形成されると、止端近傍に圧縮残留応力が十分導入されないからである。
また、打撃痕5の最大深さが0.03mm以上0.50mm未満でとしたのは、打撃痕5の最大深さが0.03mmよりも浅いと止端近傍に圧縮残留応力が十分導入されないからであり、0.50mm以上であると、引張負荷時に打撃底に応力が集中して疲労き裂発生の起点となるからである。
なお、打撃痕5は、溶接ビード3の止端4より母材1側に0.5mm離れた位置から3mmまでの領域に形成されていると、一層好ましい。この理由は、止端近傍への圧縮残留応力の導入が十分に為されるからである。
また、打撃痕5が、溶接ビード3の止端4より母材1側に0.5mm離れた位置から3mmまでの領域において、最大深さが0.1mm以上0.5mm未満で形成されているとより一層好ましい。この理由は、止端近傍への圧縮残留応力の導入が十分に為されるからである。
本発明者らは、表1(実施例1〜8、比較例1〜6)に示す先端形状を有する打撃痕形成用工具を用いて、12mm厚×100mm×300mmの鋼板にハンマーピーニング(空気圧:約0.588MPa(約6kg/cm)、周波数:90Hz、移動速度:0.25mm/秒による)で溶接線に沿って100mmの長さにわたって溶接ビードの止端より母材側に5mmまでの領域において打撃痕の最大深さが0.03mm〜0.50mmとなるように打撃痕形成用工具を垂直に繰り返し打撃した後、打撃痕5の端部(止端4側の端部)から1mm離れた位置の残留応力をX線により測定した。X線を用いた残留応力測定は、ビーム径1mmφで行った。試験結果を表1に示す。
表1の実施例1〜4は、溶接ビード3と隣接する母材1の表面に、溶接ビード3の止端4より母材側に5mmまでの領域において最大深さが0.03mm以上0.50mm未満の打撃痕5を打撃痕形成面7の直径Dが3mm、4mm、5mm、6mmの打撃痕形成用工具6により溶接ビード3に沿って連続的に形成した場合を示している。
また、表1の実施例5〜8は、溶接ビード3と隣接する母材1の表面に、溶接ビード3の止端4より母材側に5mmまでの領域において最大深さが0.03mm以上0.50mm未満の打撃痕5を打撃痕形成面7の直径Dが3mm、4mm、5mm、6mm、面取り部8の曲率半径rが0.15mm、0.20mm、0.50mmの打撃痕形成用工具6により溶接ビード3に沿って連続的に形成した形成した場合を示している。
一方、表1の比較例1〜3は図6に示す打撃痕形成用工具10の先端に円形(直径D:2mm、3mm、4mm)の打撃痕形成面11が球面状(曲率半径r:1.5mm、2mm、4mm)に形成されたものを用いて打撃痕5を溶接ビード3と隣接する母材1の表面に形成した場合を示し、比較例4、5は図7に示す打撃痕形成用工具12の先端に正方形(1辺の長さL:3mm、5mm)の打撃痕形成面13が平面状に形成されたものを用いて打撃痕5を溶接ビード3と隣接する母材1の表面に形成した場合を示している。比較例6は打撃痕の最大深さが0.03mm未満の場合を示す。
なお、表1のRaは打撃痕5の最大深さを示すものである。
実施例1〜8と比較例1〜6を比較すると、比較例1〜6では打撃痕5により溶接ビード3の止端4の近傍に導入される圧縮残留応力が60MPa〜270MPaであるのに対し、実施例1〜8では打撃痕5により溶接ビード3の止端4の近傍に導入される圧縮残留応力が300MPa〜330MPaとなることがわかる。
したがって、実施例1〜8のように、打撃痕形成用工具6が、先端に、平坦でかつ半径が1.5mm以上3.0mm以下の円形で形成された打撃痕形成面7を有し、打撃痕5が、溶接ビード3の止端4より母材1側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満で溶接ビード3に沿って連続的に形成されていることで、溶接ビード3の止端4の近傍に300MPaを超える圧縮残留応力を導入することが可能となるので、鋼橋などの溶接構造物の溶接部に疲労き裂などの疲労損傷が発生することを確実に抑制することができる。
また、実施例5〜8のように、打撃痕形成用工具6が、打撃痕形成面7の周囲に0.15mm以上0.50mm以下の曲率半径で円弧状に湾曲する面取り部8を有することで、打撃痕5の周囲に応力集中が発生することを防止することができる。
また、本発明者らは、図5に示す溶接継手を溶接電流:280A、溶接電圧:32V、溶接速度:28cpmの溶接条件にて試験片として作製し、打撃痕形成面の形状が矩形(3×4mm)の打撃痕形成用工具及び打撃痕形成面の形状が円形(半径1.5mm、直径3.0mm)の打撃痕形成用工具をそれぞれ用いて、ハンマーピーニング(空気圧:約0.588MPa(約6kg/cm)、周波数:90Hz、移動速度:0.25mm/秒による)で打撃痕形成用工具を垂直に繰り返し打撃した。図8に、打撃痕形成面の形状が矩形の打撃痕形成用工具を用いて母材表面に打撃痕を形成した場合と打撃痕形成面の形状が円形の打撃痕形成用工具を用いて母材表面に打撃痕を形成した場合とを比較して示す写真を示す。
その結果、打撃痕形成面の形状が矩形(3×4mm)の打撃痕形成用工具を用いて母材表面に打撃痕を形成した場合は、図8(b)に示すように、溶接止端の線と打撃痕の端線との間に1.8mmの隙間が発生した。これに対し、打撃痕形成面の形状が円形(直径:3.0mm)で平面状の打撃痕形成用工具を用いて母材表面に打撃痕を形成した場合は、図8(a)に示すように、溶接止端の線と打撃痕の端線との間に隙間は見られず、溶接止端の線と打撃痕の端線との間に隙間を発生させることなく止端より母材側に0.5mm〜3mmまでの領域において打撃痕を形成できることを確認できた。
1…母材
2…リブ
3…溶接ビード
4…止端
5…打撃痕
6,10,12…打撃痕形成用工具
7,11,13…打撃痕形成面
8…面取り部
A…鋼材の溶接構造物

Claims (5)

  1. 溶接ビードと隣接する母材の表面に打撃痕形成用工具を用いて打撃痕を形成するハンマーピーニング又は超音波衝撃処理を施された、鋼材の溶接構造物であって、
    前記打撃痕形成用工具は、先端に、平坦でかつ半径が1.5mm以上3.0mm以下の円形で形成された打撃痕形成面を有し、前記打撃痕は、前記溶接ビードの止端より前記母材側に5mmまでの領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満で前記溶接ビードに沿って連続的に形成されていることを特徴とする鋼材の溶接構造物。
  2. 前記打撃痕形成用工具は、前記打撃痕形成面に対する垂直方向において傾斜する側面を有する円錐台形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の鋼材の溶接構造物。
  3. 前記打撃痕形成用工具は、前記打撃痕形成面の周囲に0.15mm以上0.50mm以下の曲率半径で円弧状に湾曲する面取り部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の鋼材の溶接構造物。
  4. 前記打撃痕が、前記溶接ビードの止端より前記母材側に0.5mm離れた位置から3mmまでの領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の鋼材の溶接構造物。
  5. 前記打撃痕は、前記溶接ビードの止端より前記母材側に0.5mm離れた位置から3mmまでの領域に最大深さが0.1mm以上0.5mm未満で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の鋼材の溶接構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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