JP6747416B2 - 打撃痕形成用工具および溶接継手の作製方法 - Google Patents

打撃痕形成用工具および溶接継手の作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼橋などの優れた疲労特性が要求される鋼構造物に好適な溶接継手を形成するための、打撃痕形成用工具および溶接継手の作製方法に関するものである。
近年、鋼橋の老朽化に伴い腐食や疲労に伴う損傷事例の報告が増加している。これらの防止には、まず検査体制を確立することが必要であるが、特に、疲労損傷の場合は、通過車両などの作用外力を軽減するだけでは足りずに、設計製作面からの溶接品質の向上が重要である。
また、溶接部は、割れなどの欠陥が存在して溶接止端の形状が不適切な場合に、応力集中が生じやすい。その結果、繰り返し応力と溶接残留応力の影響とが重畳して疲労ノッチが発生し、疲労破壊をもたらす場合がある。そこで、疲労破壊の防止のために、種々の観点から提案がなされている。
例えば、特許文献1には、溶接部の疲労強度向上方法およびそれを用いた溶接構造物に関し、溶接止端の近傍を超音波振動しながら打撃して塑性変形させる加工装置を用いて、特定寸法の溝を所定の打撃条件で加工することで、高速に、作業者の熟練度に依存しなくとも安定して溶接構造物の疲労強度を向上させられる技術が記載されている。
特許文献2には、レーザ衝撃ピーニング方法に関し、レーザ光源からのパルスレーザビームを使用して、表面の薄層もしくはプラズマを形成する表面のコーティングを瞬間的に気化させてその爆発力により表面の一部に局所的に圧縮力を発生させる方法で、ガスタービンエンジンのファン動翼に圧縮残留応力を導入することが記載されている。
特許文献3には、ハンマーピーニング処理方法およびそれを用いた溶接継手の製造方法に関する技術が記載され、ハンマーピーニング処理を施して、溶接継手部の疲労強度向上を図るための打撃端子およびそれを用いる方法およびその方法を用いた疲労強度特性に優れる溶接継手を提供する技術が記載されている。
他方、非特許文献1には、ハンマーピーニングおよびTIG処理による高強度鋼(SM570)の溶接継手部の疲労強度向上に関し、ハンマーピーニングを施した場合に、上述したような疲労き裂が発生して溶接部の疲労強度が低下する問題に対し、溶接止端の応力集中や残留応力を低減させるための新たなハンマーピーニング法について検討した結果が記載されている。
すなわち、ハンマーピーニングを施す前に、グラインダで溶接止端の一部を予め研削することおよびハンマーピーニングを3パス程度の複数回行うことが疲労ノッチの発生防止に有効であると記載されている。
特開2006−175512号公報 特開2006−159290号公報 特開2012−228732号公報
IMPROVING FATIGUE STRENGTH OF WELDED JOINTS BY HAMMER PEENING TIG−DRESSING:Kengo ANAMI、Chitoshi MIKI、Hideki TANI、Haruhito YAMAMOTO、Structual Eng./Earthquake Eng.、JSCE、Vol.17、NO.1、57s−68s、2000 April) 図解溶接用語辞典、日刊工業、昭和46年9月20日第4版53頁
溶接構造物を製造する際には、作業環境、作業能率および溶接継手性能を考慮した溶接方法が選定され、溶接部の疲労強度向上のため、上掲した特許文献1等に記載の溶接部の疲労強度向上方法が施される。また、疲労特性に優れた溶接継手の特徴が明確であれば、溶接方法の選定と同様に最適な疲労強度向上方法を選定することが可能となる。
しかしながら、特許文献1記載のハンマーピーニング方法をはじめとするピーニングおよび従来適用されてきたグラインダを用いた止端処理では、作業時間をある程度以上要するという問題がある。
また、特許文献2記載のレーザ衝撃ハンマーピーニング方法は、素材の前処理が必要で、かつ装置が高価で大きいため、鋼橋の製造に適用することは難しいという問題がある。
他方、特許文献3には、耐疲労特性に優れた溶接構造物が記載され、疲労き裂発生危険部の溶接部として好ましい溶接部が開示されており、疲労特性の向上が示されているものの、やはり作業時間が若干多く必要であるという問題が残っている。
さらに、非特許文献1に記載の技術であっても、予め研削することを要し、またハンマーピーニングを複数回行うことなど、施工能率の点で問題が残っている。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、ハンマーピーニング処理を施して、溶接継手の疲労強度向上とそれに要する作業時間の効率化を両立させるための打撃痕形成用工具および溶接継手の作製方法を提供することを目的とする。
発明者らは、溶接継手の疲労強度向上とそれに要する作業時間の効率化を両立させるために、特に疲労き裂が発生しやすい溶接止端部についてその特性を鋭意検討した。その結果、溶接止端部の応力集中を低減させると同時に溶接による引張残留応力を軽減させる手段、すなわちハンマーピーニング処理による打撃端子の形状を略蒲鉾形状にすることで、空気圧振動方式の簡単な装置であっても止端部形状の改善と溶接部への圧縮残留応力の導入とを同時に実現できることを見出した。
本発明は、上記に加えて、疲労亀裂発生後の進展抑制の観点から疲労特性向上に必要な最低限のピーニング処理を検討した結果、ピーニングによる打撃痕の間隔を10.0mm以下とすることにより、応力拡大係数範囲がおおよそ15MPa√m以下のレベルでの疲労亀裂発生後の進展抑制により、溶接継手の疲労特性向上が可能であることを見出した。
本発明は、上記した知見に基づきなされたものであり、本発明の要旨構成は次のとおりである。
[1] 溶接ビードと隣接する母材の表面に打撃痕を形成するハンマーピーニング処理に用いる打撃痕形成用工具であって、
該打撃痕形成用工具の先端部は、
打撃の進行方向に対する直角断面での曲率半径が1mm以上10mm以下の半円状の外周部を有し、前記進行方向に1mm以上10mm以下の長さを有する、半円柱状の形状を有するものを、前記進行方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて複数並べたものであることを特徴とする打撃痕形成用工具。
[2] (A)前記[1]に記載の打撃痕形成用工具、
(B)前記(A)の打撃痕形成用工具において、前記半円柱状の形状を有するものを前記進行方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて複数並べたものに替えて、前記半円柱状の形状を有するものを前記進行方向に1個備えた打撃痕形成用工具、
(C)前記(B)の打撃痕形成用工具において、前記半円柱状の形状を有するものに替えて、曲率半径が1mm以上10mm以下の半球の形状を有するものを備えた打撃痕形成用工具、
の内のいずれかの打撃痕形成用工具を用いて、
溶接ビードの止端を含む領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満の打撃痕を溶接ビードに沿って異なる箇所に複数回打撃することによって、打撃痕の端間の長さが0.5mm以上で10.0mm以下となるように形成することを特徴とする溶接継手の作製方法。
本発明の打撃痕形成用工具およびこれを用いた溶接継手の作製方法によれば、短い作業時間で容易に溶接部の疲労強度改善効果が得られる。産業上、極めて有用な技術である。
疲労特性を向上するハンマーピーニング処理方法を説明する図である。 本発明に係る溶接継手の打撃に用いる打撃端子の形状(その1)を示す図である。 本発明に係る溶接継手の打撃に用いる打撃端子の形状(その2)を示す図である。 本発明に係る溶接継手の打撃に用いる打撃端子の形状(その3)を示す図である。 本実施例に用いた打撃端子の先端の形状(その1)を示す図である。 本実施例に用いた打撃端子の先端の形状(その2)を示す図である。 本実施例で用いた溶接継手を示す図である。 疲労試験による破断後の溶接継手を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を模式的に示している。そのために、各構成要素の寸法比率などが実際と異なる場合がある。
本発明は、溶接ビードの溶接止端部に、打撃痕形成用工具(以下、打撃端子とも称する)を押し付けながら、打撃端子を溶接線方向に移動操作する、いわゆるハンマーピーニング処理を施すにあたって、溶接継手の疲労強度向上とそれに要する作業時間の効率化を両立させるための打撃痕形成用工具および溶接継手の作製方法を提供するものである。なお、本発明の説明において、止端または溶接止端は、母材の面と溶接金属の表面との交線を意味する(非特許文献2参照)。
一般に、打撃端子を溶接線方向に移動操作する、いわゆるハンマーピーニング処理の手法においては、溶接部の疲労亀裂が発生しやすい箇所(例えば廻し溶接部)の全体に処理を施すものであるが、この手法は若干作業時間を要する。そこで、本発明者らは、あえて間隔を空けて打撃することにより、作業時間を短縮し、疲労亀裂は非ピーニング箇所から発生するものの、ピーニング箇所およびその周辺に導入された圧縮残留応力によってその進展を抑制することにより、溶接継手の疲労寿命を向上させる手法を提案するものである。
本発明で対象とする母材、リブおよび溶接金属は、従来公知の溶接継手に用いられているものであれば、そのいずれもが適用できる。また、一の部材に他の部材を溶接して取り付けた溶接継手に対して、本発明は幅広く適用することが可能であるが、その使用箇所の構造や負荷状況などから、疲労き裂が発生し易い溶接部および溶接ビードを有する溶接継手を対象とすれば、本発明の効果が一段と発揮される。なお、上記した溶接部等は、例えば、橋梁においては橋桁と橋脚との溶接部、船舶においては船側の縦通肋骨部材と側板との溶接部などが挙げられるが、これに限られるものでない。
図1は、疲労特性を向上するハンマーピーニング処理方法を説明する図である。母材1に、リブ2を廻し溶接で溶接した際の溶接継手部を、溶接線方向に対して垂直な断面で示した。図中、1は母材、2はリブ、3は溶接ビード、4は止端、および8は打撃痕をそれぞれ表す。
同図より、溶接ビード3の止端4に対して、所定の角度で打撃端子を押し付けることによって、母材および溶接金属が押し込み力によって加圧されて塑性変形(図中、楕円の破線で表示)の生じた打撃痕8が形成されていることが分かる。
図2は、本発明に係る溶接継手の打撃に用いる打撃端子の形状(その1)を示す図である。また、図3は、本発明に係る溶接継手の打撃に用いる打撃端子の形状(その2)を示す図である。さらに、図4は、本発明に係る溶接継手の打撃に用いる打撃端子の形状(その3)を示す図である。
それぞれ、斜視図(A)のみならず、X−Z断面図(B)、およびY−Z断面図(C)を示している。なお、ここではX方向は打撃の進行方向と直角な方向(溶接線方向に直角な方向)、Y方向は打撃の進行方向(溶接線方向に平行な方向)、Z方向はY方向およびX方向と直角な方向と定義される。X方向、Y方向およびZ方向を説明する図もここには併記される。以下に説明するX方向、Y方向およびZ方向はこの定義に従っている。
図2は、打撃端子の先端部が、略蒲鉾形状または半円柱状(図2(C))の打撃端子を示す。進行方向(Y方向)に対して直角(垂直)となる断面(X−Z断面)において、aの長さを有する頂部に、曲率半径r:1mm以上10mm以下の半円状の外周部(図2(B))を有するものであって、かつ進行方向(Y方向)に1mm以上10mm以下の長さbを有する。
上記の長さaは、5〜9.5mmの範囲が好適である。これは、母材および止端側の広い範囲に打撃することができ、溶接部における止端形状の平滑化に有利だからである。
また上記の曲率半径rは、1mm以下の場合には、溶接ビード3の止端4の近傍に応力集中が発生し易い変形が形成される。一方、10mm超の場合には、打撃の際の打撃端子と止端4との接触面積が大きくなり過ぎてしまい、止端部に十分な圧縮残留応力を導入することができない。従って、曲率半径rは1mm以上10mm以下とする。
同様に上記の長さbは1mm以上10mm以下とする。1mm未満では溶接ビード3の止端4の近傍に応力集中部となる変形が生じやすくなり、10mmを超えると母材1の表面に接触する接触面積が大きくなって接触面積当たりの作用応力が小さくなり、溶接ビード3の止端4の近傍に十分な圧縮残留応力を付与することができなくなるためである。
図3は、上述した図2に示す打撃端子の先端部を進行方向(Y方向)に所定の間隔を隔てて2個並べた、打撃端子を示す。進行方向(Y方向)に対して直角(垂直)となる断面(X−Z断面)において、aの長さを有する頂部に、曲率半径rで長さbを有する略蒲鉾形状または半円柱状のものと、曲率半径rで長さb3を有する略蒲鉾形状または半円柱状のものとを、間隔bを進行方向(Y方向)に隔てて並べる。曲率半径r、長さbおよびbについては、上記と同様の理由で1mm以上10mm以下である。
この場合、1回のハンマーピーニング処理で2箇所への打撃が可能となり、作業時間をほぼ半分に短縮でき、作業効率を高めることを狙ったものである。ここでは、略蒲鉾形状または半円柱状の先端部を2個並べたもの示しているが、更なる作業効率の向上を狙って2個以上並べるようにしてもよい。さらに、打撃の進行方向に対する直角断面での曲率半径が1mm以上10mm以下の半円状の外周部を有していれば、略蒲鉾形状または半円柱状に限らず、球形または楕円体のものを使用することも可能である。
さらに、図4は、直径aの円柱の先端部に曲率半径rの半球を有する打撃端子を示している。曲率半径rは、上記と同様の理由で1mm以上10mm以下である。図4では、直径a=曲率半径r×2のように図示しているが、半球である先端部以外はこれに限るものでない。例えば、四角柱のようにしてもよい。
本発明に用いる打撃端子は、前述した形状以外、従来公知の打撃端子を用いることができるが、例えば、工具鋼など、引張強さが1000MPa以上のものを挙げることができる。
本発明に用いる打撃の装置は、従来公知の溶接部の打撃用装置を用いることができるが、フラックスチッパーのように、従来の空気圧で端子を駆動する装置を用いると、設備に要するコストが低減できるために望ましい。
本発明では、溶接ビードの止端を含む領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満の打撃痕8を溶接ビードに沿って異なる箇所に複数回打撃することによって、その打撃痕8の端間の長さが0.5mm以上で10.0mm以下となるように溶接継手を形成する。打撃痕8の最大深さを0.03mm以上0.50mm未満とした理由は、打撃痕8の最大深さが0.03mm未満では溶接ビードの止端4の近傍に十分な圧縮残留応力を付与することが困難となり、打撃痕8の最大深さが0.50mm以上になると打撃痕周辺の塑性変形が過大となって新たな応力集中部が発生する可能性があるため、打撃痕8の最大深さを0.03mm以上0.50mm未満とした。
打撃痕8の端間の長さを0.5mm以上で10.0mm以下とした理由は、以下のとおりである。端間の長さが0.5mm未満であると、隣接した打撃痕の間に膨らみができて応力集中が大きくなり、所定の疲労特性が得られなくなるからである。一方、端間の長さが10.0mmを越えると、非ピーニング箇所を起点として発生した疲労亀裂の圧縮残留応力による進展特性効果が著しく小さくなる。
本発明の実施形態では、全て打撃端子を止端にねらい、溶接金属と母材の双方に打撃痕を形成するようにハンマーピーニングを施しているが、母材側のみに打撃痕を形成するようにハンマーピーニングを施しても、前述と同様の機構により、ほぼ同等の効果が得られる。
図5は、本実施例に用いた打撃端子の先端の形状(その1)を示す図である。また、図6は、同じく本実施例に用いた打撃端子の先端の形状(その2)を示す図である。いずれも本実施例に用いた打撃端子(試験No.1〜10)の形状・寸法を示している。
図5には、上から(試験No.2、4、5、6)、(試験No.1)、および(試験No.3)について、X−Z断面図、Y−Z断面図、および斜視図それぞれ示している。なお、試験No.2、4、5、6については、図に示すように、打撃の進行方向(Y方向)に対する直角断面(X方向)での曲率半径が4.5mmで進行方向(Y方向)に5mmの長さを有する半円柱状の形状となっており、図2に示す打撃端子の形状(その1)と形状は同じであるが、後述するように実施の形態がそれぞれ異なっている。
また、試験No.1については、上記試験No.2、4、5、6と同じ半円柱状の形状を進行方向に5mmの間隔を空けて並べ進行方向に合計15mmの長さを有する。これは図3に示す打撃端子の形状(その2)と同じタイプの打撃端子形状である。試験No.2の外観写真を図8に示す。複数の打撃痕が間隔をあけて存在している。
さらに、試験No.3については、直径9mmの円柱の先端部に曲率半径4.5mmの半球を有する。これは図4に示す打撃端子の形状(その3)と同じタイプの打撃端子形状である。
図6の試験No.7、10については、図5の試験No.3の打撃端子より形状を小さくした、直径6mmの円柱の先端部に曲率半径3mmの半球を有する打撃端子の形状である。
また、図6の試験No.8については、打撃の進行方向(Y方向)に対する直角断面(X方向)での曲率半径が1.5mmで進行方向(Y方向)に5mmの長さの半円柱状の打撃端子の形状であり、上記試験No.2、4、5、6と比べて、曲率半径を小さくしている。
さらに、図6の試験No.9については、上記試験No.1と比べて、曲率半径4.5mmと同じであるが、3mmの長さの半円柱を3mmの間隔を隔てて並べ進行方向に合計9mmの長さとしている点が異なる。
図7は、本実施例で用いた溶接継手を示す図である。平行部幅:80mm×長さ:500mm×板厚:14mmの母材(軟鋼)と、75mm×50mmのリブ(軟鋼)に廻し溶接(ワイヤーMXZ200−1.2Φ、100%CO、240A−30V−40CPM、10.8KJ/cm)を施した角回し溶接継手を本実施例で用いた。
この溶接継手の止端に、図5および6で示した打撃端子によるハンマーピーニングを、空気圧:約6kg/cm、周波数:90Hzの各条件を固定条件とし、母材に対する打撃の角度(以下、打撃角度という)を45〜70°(度)の範囲内で、溶接金属と母材の双方に打撃痕を形成するように施した。なお、打撃角度は、透明プラスチック製の分度器を脇に置いて、目視で確認した。そして、一つの回し部あたりのハンマーピーニング作業時間についても計測を行った。
さらに、破断寿命を示す破断回数(応力範囲:200〜250MPa)は、疲労試験機に母材1の両端をチャッキングし、リブ2の長手方向に繰返し応力(応力比:0.1,周波数:5〜10Hz)を与えることにより求めた。なお、本発明では、破断回数が応力範囲:200MPaにおいて400,000回を超えていることが良好であるとした。
以下の表1に、測定結果を示す。ここでは打撃痕の曲率半径(止端半径)の平均値、打撃痕の最大深さ、打撃痕間の最大間隔、一つの回し部あたりの打撃箇所数とハンマーピーニング作業時間、応力範囲、破断寿命を示している。なお、試験No.1〜10までをそれぞれ発明例1〜10としているが、グラインダ仕上げを行ったものを比較例A1〜A4、さらに溶接したままのものを比較例B1〜B3を比較例として上げている。比較例A3については、破断寿命は発明例と同等となっているが、1つの廻し部あたりの処理に要する作業時間が2倍以上となっている。本発明は、優れた破断寿命と作業時間の効率化を同時に達成させるものである。
表1より、応力範囲が250MPa以下で、発明例は、従来のグラインダ処理および溶接したままの溶接継手よりも破断寿命が向上していることが分かる。
ここで、試験No.1とNo.9に記載の端子を用いた場合、打撃痕間の最大間隔が、端子間の間隔よりも短くなっているが、これはピーニング施工時の端子の振動などによって打撃範囲が前後したことによる。
さらに、溶接後の作業時間についても、発明例はいずれも従来のグラインダ処理よりも短くすることができることを確認できた。
1 母材
2 リブ
3 溶接ビード
4 止端
8 打撃痕

Claims (2)

  1. 溶接ビードと隣接する母材の表面に打撃痕を形成するハンマーピーニング処理に用いる打撃痕形成用工具であって、
    該打撃痕形成用工具の先端部は、
    打撃の進行方向に対する直角断面での曲率半径が1mm以上10mm以下の半円状の外周部を有し、前記進行方向に1mm以上10mm以下の長さを有する、半円柱状の形状を有するものを、前記進行方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて複数並べたものであることを特徴とする打撃痕形成用工具。
  2. (A)請求項1に記載の打撃痕形成用工具、
    (B)前記(A)の打撃痕形成用工具において、前記半円柱状の形状を有するものを前記進行方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて複数並べたものに替えて、前記半円柱状の形状を有するものを前記進行方向に1個備えた打撃痕形成用工具、
    (C)前記(B)の打撃痕形成用工具において、前記半円柱状の形状を有するものに替えて、曲率半径が1mm以上10mm以下の半球の形状を有するものを備えた打撃痕形成用工具、
    の内のいずれかの打撃痕形成用工具を用いて、
    溶接ビードの止端を含む領域において、最大深さが0.03mm以上0.50mm未満の打撃痕を溶接ビードに沿って異なる箇所に間隔を空けて複数回打撃することによって、打撃痕の端間における前記溶接ビードの止端の長さが0.5mm以上で10.0mm以下となるように形成することを特徴とする溶接継手の作製方法。
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