JP6699221B2 - 試験片の製造方法、試験片および応力腐食割れ試験方法 - Google Patents
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(1)アミン環境下で鋼材に引張応力が作用するのに伴い、腐食とすべりによって新生面が生じる。
(2)その新生面が溶解して小さな亀裂となり、さらに亀裂先端で応力が集中して新たな新生面が生じることで、亀裂が成長し割れに至る。
t1≧7.0−0.0028×YS ・・・(1)
ここで、YSは、前記供試材の降伏応力(MPa)である。
t1≧18×L2+23×L ・・・(2)
ここで、Lは、試験期間に亘って試験片を腐食環境に曝す場合の試験片の減肉量(mm)である。
t1≧7.0−0.0028×YS ・・・(3)
ここで、YSは、前記供試材の降伏応力(MPa)である。
溶接部へのピーニング処理では、例えば、振動するピンを溶接部の止端に押し当てながら、その止端に沿って移動させることにより、表面を打撃する。これに伴って表面が深さ0.1〜0.7mm程度で凹み、表層(例えば深さ数mm程度の範囲)に圧縮残留応力が発生する。圧縮残留応力と釣り合うように、表層より深い部分に、引張残留応力が発生する。このような残留応力分布であるので、試験片の厚さが薄いと、試験片が大きく変形して反る(後述の図2A参照)。また、試験片は、ピーニング処理での打撃によっても変形するので、この変形によっても反りが助長される。
前述の通り、ピーニング処理をSCCの防止対策として実用化するには、ピーニング処理によるSCCの防止効果を確認するための試験が必要である。ピーニング処理によるSCCの防止効果は、圧縮残留応力の付与によって発揮される。このため、SCC試験で試験片を腐食環境に曝している間に、圧縮残留応力が付与された部分が消失しない条件とするのが好ましい。
図4A〜図4Dは、本実施形態の試験片の製造方法による手順例を模式的に示す正面図である。そのうちの図4Aは溶接前、図4Bは溶接後、図4Cは機械加工後、図4Dはピーニング処理後をそれぞれ示す。
t1≧7.0−0.0028×YS ・・・(1)
ここで、YSは、供試材20の降伏応力(MPa)である。
t1≧18×L2+23×L ・・・(2)
ここで、Lは、試験期間に亘って試験片を腐食環境に曝す場合の試験片の減肉量(mm)である。
t1≧8.9×e1.7L−1.7 ・・・(4)
ここで、eは、自然対数の底である。
図5Aおよび図5Bは、本実施形態の試験片の構成例を示す模式図である。そのうちの図5Aは上面図、図5Bは正面図である。
本実施形態の応力腐食割れ試験方法は、前述の本実施形態の製造方法によって試験片を製造する工程と、その試験片に応力を付与する工程と、その応力が付与された試験片を腐食環境に曝す工程と、を含む。このような本実施形態の応力腐食割れ試験方法では、試験片の厚さt1(mm)が前記(1)式を満足する。すなわち、試験片の厚さが前述の反り防止限界厚さ以上である。このため、ピーニング処理による試験片の反りが抑制されており、所望の応力を試験片に付与可能である。したがって、所望の応力を試験片に付与した状態で、SCC試験を行うことができ、ピーニング処理によるSCCの防止効果を確認できる。
前記図4A〜図4Dに示す手順で供試材20を作製し、その供試材20を試験片として用いた。各試験例(試験No.1〜6)では、第1の鋼板21および第2の鋼板22には同一の鋼板を用いた。具体的には、引張強さTSが485〜550MPa級の溶接構造用圧力容器用鋼板を用いた。第1の鋼板21および第2の鋼板22の寸法は、厚さ40mm、幅250mm、長さ250mmとした。
いずれの試験例でも、上述の手順によって得られた試験片に、前記図6に示すダブルベンドビームによって所望の曲げ応力を付与した。ダブルベンドビームにおいて、対となる2枚の試験片10のうち、一方の試験片は、上述の手順によって得られた試験片とし、他方の試験片は、ピーニング処理を省略し、それ以外の条件はピーニング処理を施した試験片と同じとした。たわみ量を測定しながらナット53を締め込むことにより、試験片10の第2表面10bの応力を所望の応力にした。
腐食環境:CO2ガスを飽和させたリーンアミン環境
試験溶液:モノエタノールアミンを20質量%含む水溶液
溶液温度:70〜80℃
試験期間:3ヶ月〜12ヶ月
ピーニング処理後の試験片の反りおよびSCC試験後の溶接部の割れについて評価を行った。その結果を、表1に併せて示す。表1の「試験片の反りの評価」欄における記号の意味は、以下の通りである。
○(良):試験片の反り量が0.2mm以下であったことを示す。
×(不可):試験片の反り量が0.2mmを超えたことを示す。
○(良):2枚の試験片のうち、ピーニング処理を施した試験片では割れの発生がなく、ピーニング処理を施さなかった試験片では割れが発生したことを示す。
×(不可):2枚の試験片のいずれでも割れが発生したことを示す。
試験No.5では、機械加工後かつピーニング処理前の供試材の厚さ(試験片の厚さ)を反り防止限界厚さ未満とし、その結果、ピーニング処理後に反りが発生した。このため、ダブルベンドビームにより所望の表面応力を付与することができなかったので、SCC試験を中止した。
12:第2の鋼板、 13:溶接部、 13a:打撃痕、 13b:ビード、
20:供試材、 20a:第1表面、 20b:第2表面、 21:第1の鋼板、
22:第2の鋼板、 23:溶接部、 23a:打撃痕、 23b:ビード、
23c:止端、 30:第1治具、 31:本体、 31a:支持部、
31b:ねじ穴、 31c:第1の平板部、 31d:第2の平板部、
32:ボルト、 50:第2治具、 51:本体、 51a:支持部、
51b:切り欠き、 52:ねじ棒、 53:ナット、 54:球面座金、
60:試験片、 70:ピン
Claims (7)
- 応力腐食割れ試験に用いられる試験片の製造方法であって、
当該製造方法は、
長手方向の中間に溶接部を有し、かつ、厚さt1(mm)が下記(1)式を満足する供試材を準備する工程と、
前記供試材の片側表面から前記溶接部にピーニング処理を施す工程と、を含む、試験片の製造方法。
t1≧7.0−0.0028×YS ・・・(1)
ここで、YSは、前記供試材の降伏応力(MPa)である。 - 請求項1に記載の試験片の製造方法であって、
前記供試材を準備する工程は、前記供試材を構成する鋼板同士を溶接することによって前記溶接部を形成する工程と、前記溶接部が形成された前記供試材の厚さt1(mm)が前記(1)式を満足するように、前記供試材の片側の第1表面に機械加工を施す工程と、を含み、
前記ピーニング処理が、前記第1表面の反対側の第2表面側から施される、試験片の製造方法。 - 請求項1または2に記載の試験片の製造方法であって、
前記供試材を準備する工程では、前記厚さt1(mm)が、前記(1)式に加え、下記(2)式を満足する、試験片の製造方法。
t1≧18×L2+23×L ・・・(2)
ここで、Lは、試験期間に亘って試験片を腐食環境に曝す場合の試験片の減肉量(mm)である。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の試験片の製造方法であって、
前記ピーニング処理は、超音波衝撃処理である、試験片の製造方法。 - 応力腐食割れ試験に用いられる試験片であって、
当該試験片は、長手方向の中間に溶接部を有し、
前記試験片の厚さt1(mm)が下記(3)式を満足し、
前記試験片の厚さ方向の片側に位置する第1表面は、機械加工面であり、
前記溶接部は、前記第1表面の反対側の第2表面に打撃痕を有する、試験片。
t1≧7.0−0.0028×YS ・・・(3)
ここで、YSは、前記試験片を構成する鋼板の降伏応力(MPa)である。 - 応力腐食割れ試験方法であって、
当該試験方法は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって試験片を製造する工程と、
前記試験片に応力を付与する工程と、
前記応力が付与された前記試験片を腐食環境に曝す工程と、を含む、応力腐食割れ試験方法。 - 請求項6に記載の応力腐食割れ試験方法であって、
前記応力を付与する工程では、ダブルベンドビームによって前記試験片に前記応力を付与する、応力腐食割れ試験方法。
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