JP5503608B2 - 円筒形金属素材の疲労破壊評価方法 - Google Patents

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本発明は、金属素材で成る円筒形試験材の両端部を拘束し、前記円筒形試験材に曲げ負荷或いはねじり負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させ、円筒形金属素材の内面に発生する疲労破壊を再現させる円筒形金属素材の疲労破壊評価方法に関するものである。
従来から機械構造物には多くの円筒形金属素材が用いられているが、円筒形金属素材の外面についての表面性状の品質管理は目視等で容易にできるものの、円筒形金属素材の内面については目視等で確認できず表面性状の品質管理が非常に行いにくいという問題があった。その結果、円筒形金属素材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が大きすぎる場合等には、機械構造物の使用条件、使用環境によっては、円筒形金属素材の内面を起点とする破壊が発生する可能性がある。特に円筒形金属素材の曲がり形状部においては、その内面に大きな曲げ応力やねじり応力が加わり、図4に示すように、その内面を起点とする疲労破壊2が発生する可能性がより高くなる。
従って、円筒形金属素材の内面を起点とする疲労特性を事前に把握することが機械構造物の安全性を高める上で重要になる。しかしながら、図3に示すように、単に円筒形金属素材を模した円筒形試験材1の両端部を試験機治具3で拘束し、その円筒形試験材1に対して曲げ負荷或いはねじり負荷を加えただけでは、円筒形試験材1の内面よりも先に外面から疲労破壊2が発生することになり、機械構造物の円筒形金属素材の内面に発生する疲労破壊を再現することはできなかった。
以上説明したような実情から、簡便且つ精度良く円筒形金属素材の内面の疲労特性を評価できる試験手法を開発することが従来からの課題となっていた。
円筒形金属素材の疲労特性を評価する試験手法としては、特許文献1記載のパイプ等の曲げ疲労試験方法が提案されているが、この試験方法は、供試材であるパイプ等の棒材の端部に外嵌する部分を有し、且つその外嵌部の肉厚が棒材の中央部に向かって薄くなるように外周にテーパーを施した短柱状の曲げ治具を棒材の両端に嵌着し、該曲げ治具における外嵌部以外の部分に繰り返し曲げモーメントをかける試験方法である。
しかしながらこの提案は、供試材であるパイプ等の棒材の端部を曲げ治具で拘束して曲げ疲労試験を行った場合、その拘束部等に先に破壊が発生することを防止しようとした提案であって、機械構造物の円筒形金属素材の内面に発生する疲労破壊を再現することを目的とした提案ではない。
また、特許文献2により、実管回転曲げ疲労試験機の実管試験片取りつけ用装置に関する提案がなされているが、この提案も特許文献1と同様に、回転曲げ疲労試験の際に実管の拘束部に破壊が発生することを防止しようとした提案に過ぎない。
特開昭62−174630号公報 実開平2−135846号公報
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたもので、機械構造物の円筒形金属素材の内面に発生する疲労破壊を確実に再現させることができ、簡便且つ精度良く円筒形金属素材の内面の疲労特性を評価することができる円筒形金属素材の疲労破壊評価方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、金属素材で成る円筒形試験材の両端部を拘束し、前記円筒形試験材に繰り返し曲げ負荷或いはねじり負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させ、円筒形金属素材の内面に発生する疲労破壊を再現させる円筒形金属素材の疲労破壊評価方法であって、前記円筒形試験材の中央部の外径を両端の拘束部の外径の90%以下とすると共に、前記中央部の外径と内径の比を(外径/内径)≦2とし、且つ、前記中央部の素材厚さを1mm以上とし、前記円筒形試験材の中央部の外表面に前記金属素材の引張強度の25%以上、その外表面より0.8mm深さの位置に前記金属素材の引張強度の2.5%以下の圧縮残留応力を負荷した状態とし、前記円筒形試験材に、繰り返し曲げ負荷或いはねじり負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させ、その疲労破壊が生じた繰り返し曲げ負荷の条件或いはねじり負荷の条件を基に円筒形金属素材の疲労破壊特性を評価することを特徴とする円筒形金属素材の疲労破壊評価方法である。
請求項2記載の発明は、前記円筒形試験材に繰り返し曲げ負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させるときに、前記円筒形試験材の両端の拘束部の外面曲げ応力振幅が前記金属素材の引張強度の25%以上、且つ、前記拘束部の素材厚さが2.5mm以下である場合には、前記拘束部の空洞内部に変形抑制治具を嵌入した状態で、前記円筒形試験材に繰り返し曲げ負荷を加えて前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させることを特徴とする請求項1記載の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法である。
請求項3記載の発明は、前記円筒形試験材に繰り返しねじり負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させるときに、前記円筒形試験材の両端の拘束部の外面せん断応力振幅が前記金属素材の引張強度の50%以上、且つ、前記拘束部の素材厚さが2.5mm以下である場合には、前記拘束部の空洞内部に変形抑制治具を嵌入した状態で、前記円筒形試験材に繰り返しねじり負荷を加えて前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させることを特徴とする請求項1記載の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法である。
本発明の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法によると、機械構造物の円筒形金属素材の内面に発生する疲労破壊を、先に外面から疲労破壊が発生してしまうことなく、確実に再現させることができ、簡便且つ精度良く円筒形金属素材の内面の疲労特性を評価することができる。
本発明の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法により回転曲げ疲労試験を実施している状態を示し、(a)は正面図、(b)は円筒形試験材の端面を示す側面図である。 請求項2または3記載の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法により回転曲げ疲労試験を実施している状態を示し、(a)は変形抑制治具を透視して示す正面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。 従来からの円筒形金属素材の疲労破壊評価方法により回転曲げ疲労試験を実施している状態を示す正面図である。 円筒形金属素材の曲がり形状部においてその内面を起点とする疲労破壊が発生する位置を示すための円筒形金属素材の断面図である。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
本発明の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法は、例えば、図1に示すように、鉄、銅、アルミニウム等の金属素材で成る円筒形試験材1の両端部を、試験機治具3で拘束し、その円筒形試験材1に繰り返し曲げ負荷或いはねじり負荷を加えることで、その円筒形試験材1の内面に、図4に示すような位置を起点とする疲労破壊2を発生させ、機械構造物の円筒形金属素材1Aの内面に発生する疲労破壊2を再現させる方法である。
この疲労破壊評価方法に用いる円筒形試験材1は、両端の拘束部1a,1aとその中間に位置する中央部1bとより構成される。両端の拘束部1a,1aと中央部1bの長さは、図1に示す実施形態の場合は、略1:1:1の比率であり、円筒形試験材1の全長や直径によっても異なるが、中央部1bの長さは20〜30mmとすることが好ましい。
また、円筒形試験材1の中央部1bの外径を、両端の拘束部1a,1aの外径の90%以下とする。更には、中央部1bの外径と内径の比を、(外径/内径)≦2とし、且つ、中央部1bの素材厚さを1mm以上とする。
本発明の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法では、このような形状の円筒形試験材1に対し、事前に中央部の外表面に金属素材の引張強度の25%以上、その外表面より0.8mm深さの位置に金属素材の引張強度の2.5%以下の圧縮残留応力を負荷した状態とした上で、円筒形試験材1に、繰り返し曲げ負荷或いはねじり負荷を加えることで円筒形試験材1の内面に疲労破壊2を発生させ、機械構造物の円筒形金属素材の内面に発生する疲労破壊2を再現させる。
次に、円筒形試験材1の中央部1bの外径等の数値限定理由について説明する。
(円筒形試験材の中央部の外径が両端の拘束部の外径の90%以下)
円筒形試験材1の両端の拘束部1a,1aには応力集中が発生するため、図3に示すような従来からの円筒形金属素材の疲労破壊評価方法では、曲げ負荷或いはねじり負荷を加えると、試験機治具3で拘束した位置を起点とする疲労破壊2が発生する。このように、試験機治具3で拘束した位置を起点とする疲労破壊2が発生した場合、機械構造物の円筒形金属素材1Aの内面に発生する疲労破壊2を再現することができなくなる。
そこで、円筒形試験材1の中央部1bの外径を、両端の拘束部1a,1aの外径より小さくすることで、円筒形試験材1の中央部1bの発生応力を拘束部1aの発生応力より大きくすることができ、円筒形試験材1の中央部1bにおいて疲労破壊2を発生させることが可能となる。
円筒形試験材1の中央部1bの発生応力を両端の拘束部1a,1aの発生応力より大きくするためには、円筒形試験材1の中央部1bの外径を両端の拘束部1a,1aの外径より十分に小さくする必要があり、実験検討により、円筒形試験材1の中央部1bの発生応力を両端の拘束部1a,1aの発生応力より大きくするためには、円筒形試験材1の中央部1bの外径を拘束部1aの外径の90%以下とする必要があることを見出した。円筒形試験材1の中央部1bの外径を拘束部1aの外径の90%以下とすることで、筒形試験材1の中央部1bで疲労破壊2を発生させることが可能となる。
(円筒形試験材の中央部の外径と内径の比を(外径/内径)≦2、円筒形試験材の中央部の外表面に金属素材の引張強度の25%以上の圧縮残留応力を負荷)
一般に、円筒形試験材1に対し曲げ変形或いはねじり変形を加えると、円筒形試験材1の中央部1bの内面の応力よりも外面の応力の方が大きくなり、円筒形試験材1の中央部1bの外表面を起点とする疲労破壊2が発生することが考えられる。
このように、円筒形試験材1の中央部1bの外表面を起点とする疲労破壊2が発生することを防止する策として、円筒形試験材1の中央部1bの外表面を起点とする亀裂発生に対する抵抗を高める手法と、円筒形試験材1の中央部1bの外面応力と内面応力の差を低減させる手法を採用することが考えられる。前の手法を採用する場合は、円筒形試験材1の外面に圧縮応力を加えることが有効であり、後の手法を採用する場合は、円筒形試験材1の外径と内径の差を低減させることが有効である。
以上のような見解をもとに、円筒形試験材1の中央部1bの内表面を起点とする疲労破壊2が発生する条件について、実験検討を行った結果、円筒形試験材1の中央部1bの外表面に金属素材の引張強度の25%以上の圧縮残留応力を負荷させた状態とし、それに加え、円筒形試験材1の中央部1bの外径と内径の比を、(外径/内径)≦2とすることで、円筒形試験材1の中央部1bの内表面を起点とする疲労破壊2が安定して発生することを見出した。
(円筒形試験材の外表面より0.8mm深さ位置に金属素材の引張強度の2.5%以下の圧縮残留応力を負荷、円筒形試験材の中央部の板厚を1mm以上)
円筒形試験材1の中央部1bの外表面に圧縮残留応力を加える手法としてショットピーニングなどの手法を採用することが考えられるが、円筒形試験材1の中央部1bの外表面に圧縮残留応力を負荷すると、その圧縮残留応力が外表面だけでなく円筒形試験材1の中央部1bのより深い位置まで影響を及ぼすことになる。しかしながら、この圧縮残留応力が円筒形試験材1の中央部1bの一定の深さ以上にまで影響を及ぼした場合、円筒形試験材1の中央部1bの内表面を起点とする疲労破壊2が発生しにくい状況となる。また、円筒形試験材1の中央部1bの板厚が薄すぎた場合、円筒形試験材1の中央部1bの内表面にまで圧縮残留応力の影響を及ぼすことになり、このような場合は、材料の疲労特性を評価することができなくなる。
ここでは、ショットピーニングによる圧縮残留応力の板厚方向の分布調査を行い、円筒形試験材1の中央部1bの板厚を1mm以上とし、且つ、円筒形試験材1の中央部1bの外表面より0.8mm深さの位置の圧縮残留応力を金属素材の引張強度の2.5%以下とすることで、円筒形試験材1の中央部1bの外表面に加えた圧縮残留応力の影響を回避できることを見出した。
尚、実験検討により、円筒形試験材1の中央部1bの外表面に金属素材の引張強度の25%以上、その外表面より0.8mm深さの位置に金属素材の引張強度の2.5%以下の圧縮残留応力を負荷した状態とするためのショットピーニングの条件を検討したところ、ショットピーニングを1段目と2段目に分け、且つ、1段目と2段目のショットピーニングを以下に例示する条件等で実施すれば良いことを確認した。
例えば、後述する実施例において示しているような、引張強度1000MPa以上2000MPa以下の鋼材を使用した円筒形試験材の疲労評価をする場合には、ショットピーニングの条件は、1段目のショットピーニングを、ショット粒径:φ0.5〜1mm、投射速度:75〜100m/sec、投射時間:40〜60secとし、2段目のショットピーニングを、ショット粒径:φ0.3〜1mm、投射速度:30〜75m/sec、投射時間:40〜60secとすることである。
以上説明した円筒形金属素材1Aの疲労破壊評価方法により、機械構造物の円筒形金属素材1Aの内面に発生する疲労破壊を、先に外面から疲労破壊が発生してしまうことなく、試験で確実に再現させることができ、簡便且つ精度良く円筒形金属素材1Aの内面の疲労特性を評価することができる。
しかし、円筒形試験材1に加える曲げ負荷或いはねじり負荷を大きくして実験を行う場合、円筒形試験材1の拘束部1aのすべりを防止するために、より大きな圧力を加えて拘束部1aを拘束することになる。このような方法で実験を行った場合、条件によれば、拘束部1aがその大きな圧力により変形してしまうことがあり、中央部1bの内面からよりも先に拘束部1aの内面から亀裂が発生してしまう可能性があることを否定できない。
そこで実験による検討を行った結果、その条件は、円筒形試験材1に繰り返し曲げ負荷を加える場合と、円筒形試験材1に繰り返しねじり負荷を加える場合で、異なることが分かった。
円筒形試験材1に曲げ負荷を加えるときの前記条件は、円筒形試験材1の両端の拘束部1aの外面曲げ応力振幅が、金属素材の引張強度の25%以上であり、且つ、その拘束部1aの素材厚さが2.5mm以下の場合である。
一方、円筒形試験材1にねじり負荷を加えるときの前記条件は、円筒形試験材1の両端の拘束部1aの外面せん断応力振幅が金属素材の引張強度の50%以上であり、且つ、その拘束部1aの素材厚さが2.5mm以下の場合である。
上記した夫々の条件を満足する場合、円筒形試験材1の拘束部1aのすべりを防止するために、より大きな圧力でその拘束部1aを拘束すると、その大きな圧力によって拘束部1aが変形してしまうことが考えられ、中央部1bの内面からより先に拘束部1aの内面から亀裂が発生してしまう可能性がある。しかしながら、図2に示すように、拘束部1aの空洞1c内部に変形抑制治具4を嵌入すれば、外部からの大きな圧力による拘束部1aの変形を抑制することができる。その結果、拘束部1aの内面から亀裂が発生することを防止でき、確実に中央部1bの内面から亀裂を発生させることができる。すなわち、拘束部1aの空洞1c内部に変形抑制治具4を嵌入することで、円筒形金属素材1Aの内面に発生する疲労破壊を確実に再現させることができる。
この変形抑制治具4は、円柱状の軸部4aと頭部4bより形成されている。軸部4aの径は、円筒形試験材1の拘束部1aの空洞1cの内径より例えば0.01mm程度小さいだけであり、拘束部1aの空洞1c内部にこの変形抑制治具4の軸部4aを嵌入することで、外部からの大きな圧力による拘束部1aの変形を抑制することができる。また、この軸部4aの先端は半球状であり、変形抑制治具4と空洞1c内面との境界に形状不連続を生じにくくしている。一方、頭部4bは、変形抑制治具4が必要以上に拘束部1aの空洞1c内部に入り込んでしまうことを防止するためのストッパーの役割をなし、軸部4aより大径であることが条件であるが、図2に示す実施形態では、円筒形試験材1の拘束部1aと同じ大きさの円形断面形状である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1および表2に示すA〜L、a〜fの各種条件の円筒形試験材を作製し、JIS Z 2274に示す回転曲げ疲労試験およびねじり疲労試験を実施した。尚、円筒形試験材の中央部の長さは全て25mmとした。
円筒形試験材を作製した後に、下記の条件でショットピーニングを施し、円筒形試験材に圧縮残留応力を負荷した。尚、ショットピーニングには鋼球を用いた。
ショットピーニング条件(A,B,C,D,F,G,H,I,J,L,a,b,c,d,e,f)
1段目:ショット粒径φ0.8mm、投射速度88m/sec、投射時間:50sec
2段目:ショット粒径φ0.3mm、投射速度50m/sec、投射時間:50sec
ショットピーニング条件(E,K)
1段目:ショット粒径φ0.8mm、投射速度88m/sec、投射時間:10sec
2段目:ショット粒径φ0.3mm、投射速度50m/sec、投射時間:10sec
回転曲げ疲労試験の試験結果を表1に示す。
Figure 0005503608
A〜Cは発明例であり、いずれの場合でも円筒形試験材の内面に疲労破壊が発生した。これら発明例のうちでは、円筒形試験材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が最も大きい発明例Aが、破断寿命が最も短く、円筒形試験材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が最も小さい発明例Cが、破断寿命が最も長い結果となった。この試験結果は、円筒形金属素材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が破断寿命に影響を及ぼしていることを示す結果である。
Dは円筒形試験材の中央部の外径と内径の比(外径/内径)が2.5と大きすぎる比較例、Eは円筒形試験材の中央部の外表面の圧縮残留応力が金属素材の引張強度の21%と小さすぎる比較例、Fは円筒形試験材の中央部の板厚(素材厚さ)が0.5mmと薄すぎる比較例である。
その結果、比較例Dでは円筒形試験材の中央部の応力が十分に大きくならず拘束部において破断した。比較例Eでは、円筒形試験材の中央部の外表面の破壊抵抗が十分に大きくならず中央部の外表面において破断した。
比較例Fでは、円筒形試験材の中央部の板厚(素材厚さ)が薄すぎるため、中央部の内表面にまで圧縮残留応力の影響が及ぶこととなり、発明例Bよりも円筒形金属素材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が大きかったにも関わらず、発明例Bよりも疲労寿命が大きいという相矛盾した結果が得られた。すなわち、比較例Fのような円筒形試験材を用いた試験では正確な試験結果が得られないことが分かる。
a〜cは発明例であるが、請求項2記載の変形抑制治具を用いた場合に得られる効果を確認するための回転曲げ疲労試験の試験結果を示す。発明例aは、拘束部の外面曲げ応力振幅が金属素材の引張強度の25%以上となっているが、拘束部の板厚(素材厚さ)が2.5mmを超えているため、中央部の内面から破壊が発生している。
一方、発明例b,cは、拘束部の外面曲げ応力振幅が金属素材の引張強度の25%以上で、なお且つ拘束部の板厚(素材厚さ)が2.5mmであり、発明例bは、変形抑制治具を用いなかった事例、発明例cは、変形抑制治具を拘束部の空洞内部に嵌入して試験を行った事例である。その結果、変形抑制治具を用いた発明例cの方が変形抑制治具を用いなかった発明例bより破断寿命が長いという結果が得られた。疲労破壊は基本的に中央部の内面から発生するが、試験を重ねた結果、変形抑制治具を用いなかった発明例bでは、中央部の内面より先に拘束部の内面から破壊が発生することがあるという結果を得ることができた。
以上の試験結果から、円筒形試験材の両端の拘束部の外面曲げ応力振幅が金属素材の引張強度の25%以上、且つ、拘束部の板厚(素材厚さ)が2.5mm以下である場合には、疲労破壊が中央部の内面より先に拘束部の内面から破壊が発生する可能性があるが、変形抑制治具を用いることで、確実に疲労破壊を中央部の内面から発生させることができるということを確認できた。
ねじり疲労試験の試験結果を表2に示す。
Figure 0005503608
G〜Iは発明例であり、いずれの場合でも円筒形試験材の内面に疲労破壊が発生した。これら発明例のうちでは、円筒形試験材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が最も大きい発明例Gが、破断寿命が最も短く、円筒形試験材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が最も小さい発明例Iが、破断寿命が最も長い結果となった。この試験結果は、円筒形金属素材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が破断寿命に影響を及ぼしていることを示す結果である。
Jは円筒形試験材の中央部の外径と内径の比(外径/内径)が2.5と大きすぎる比較例、Kは円筒形試験材の中央部の外表面の圧縮残留応力が金属素材の引張強度の20%と小さすぎる比較例、Lは円筒形試験材の中央部の板厚が0.5mmと薄すぎる比較例である。
その結果、比較例Jでは円筒形試験材の中央部の応力が十分に大きくならず拘束部において破断した。比較例Kでは、円筒形試験材の中央部の外表面の破壊抵抗が十分に大きくならず中央部の外表面において破断した。
比較例Lでは、円筒形試験材の中央部の板厚が薄すぎるため、中央部の内表面にまで圧縮残留応力の影響が及ぶこととなり、発明例Hよりも円筒形金属素材の内面の表面粗さ(表面凹凸の差)が大きかったにも関わらず、発明例Hよりも疲労寿命が大きいという相矛盾した結果が得られた。すなわち、比較例Lのような円筒形試験材を用いた試験では正確な試験結果が得られないことが分かる。
d〜fは発明例であるが、請求項3記載の変形抑制治具を用いた場合に得られる効果を確認するための回転曲げ疲労試験の試験結果を示す。発明例dは、拘束部の外面せん断応力振幅が金属素材の引張強度の50%以上となっているが、拘束部の板厚(素材厚さ)が2.5mmを超えているため、中央部の内面から破壊が発生している。
一方、発明例e,fは、拘束部の外面せん断応力振幅が金属素材の引張強度の50%以上で、なお且つ拘束部の板厚(素材厚さ)が2.5mmであり、発明例eは、変形抑制治具を用いなかった事例、発明例fは、変形抑制治具を拘束部の空洞内部に嵌入して試験を行った事例である。その結果、変形抑制治具を用いた発明例fの方が変形抑制治具を用いなかった発明例eより破断寿命が長いという結果が得られた。疲労破壊は基本的に中央部の内面から発生するが、試験を重ねた結果、変形抑制治具を用いなかった発明例eでは、中央部の内面より先に拘束部の内面から破壊が発生することがあるという結果を得ることができた。
以上の試験結果から、円筒形試験材の両端の拘束部の外面せん断応力振幅が金属素材の引張強度の50%以上、且つ、拘束部の板厚(素材厚さ)が2.5mm以下である場合には、疲労破壊が中央部の内面より先に拘束部の内面から破壊が発生する可能性があるが、変形抑制治具を用いることで、確実に疲労破壊を中央部の内面から発生させることができるということを確認できた。
1…円筒形試験材
1a…拘束部
1b…中央部
1c…空洞
1A…円筒形金属素材
2…疲労破壊
3…試験機治具
4…変形抑制治具
4a…軸部
4b…頭部

Claims (3)

  1. 金属素材で成る円筒形試験材の両端部を拘束し、前記円筒形試験材に繰り返し曲げ負荷或いはねじり負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させ、円筒形金属素材の内面に発生する疲労破壊を再現させる円筒形金属素材の疲労破壊評価方法であって、
    前記円筒形試験材の中央部の外径を両端の拘束部の外径の90%以下とすると共に、前記中央部の外径と内径の比を(外径/内径)≦2とし、且つ、前記中央部の素材厚さを1mm以上とし、
    前記円筒形試験材の中央部の外表面に前記金属素材の引張強度の25%以上、その外表面より0.8mm深さの位置に前記金属素材の引張強度の2.5%以下の圧縮残留応力を負荷した状態とし、
    前記円筒形試験材に、繰り返し曲げ負荷或いはねじり負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させ、その疲労破壊が生じた繰り返し曲げ負荷の条件或いはねじり負荷の条件を基に円筒形金属素材の疲労破壊特性を評価することを特徴とする円筒形金属素材の疲労破壊評価方法。
  2. 前記円筒形試験材に繰り返し曲げ負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させるときに、
    前記円筒形試験材の両端の拘束部の外面曲げ応力振幅が前記金属素材の引張強度の25%以上、且つ、前記拘束部の素材厚さが2.5mm以下である場合には、
    前記拘束部の空洞内部に変形抑制治具を嵌入した状態で、前記円筒形試験材に繰り返し曲げ負荷を加えて前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させることを特徴とする請求項1記載の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法。
  3. 前記円筒形試験材に繰り返しねじり負荷を加えることで前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させるときに、
    前記円筒形試験材の両端の拘束部の外面せん断応力振幅が前記金属素材の引張強度の50%以上、且つ、前記拘束部の素材厚さが2.5mm以下である場合には、
    前記拘束部の空洞内部に変形抑制治具を嵌入した状態で、前記円筒形試験材に繰り返しねじり負荷を加えて前記円筒形試験材の内面に疲労破壊を発生させることを特徴とする請求項1記載の円筒形金属素材の疲労破壊評価方法。
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