JP5059224B2 - 部品の疲労破壊評価装置、部品の疲労破壊評価方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents

部品の疲労破壊評価装置、部品の疲労破壊評価方法、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、部品の疲労破壊評価装置、部品の疲労破壊評価方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に、繰り返し荷重を受ける機械部品の内部の疲労を評価するために用いて好適なものである。
従来から、繰り返し荷重を受ける機械部品(金属部品等)については疲労破壊を防止するための設計が行われることが多い。このような部品の疲労に対する許容応力の決定のための従来の典型的な手法として、ばねについては非特許文献1に記載の手法がある。通常、素材の疲労特性としては、鋼種ごとに許容応力が決められているので、非特許文献1に記載の手法では、これを用いて許容応力を定めるようにしている。しかし、許容応力が決められていない鋼種や特殊なものについては、許容応力を別途定めることになる。いずれにしてもばねの疲労試験の結果の実績に基づいて得られた疲労強度に適当な安全係数をかけることで許容応力が決められている。また、その他の機械部品についても実物での試験結果をもとに許容応力が定められることが多い。しかし、実験が困難な形状の部品については平滑丸棒試験片の回転曲げ等の疲労試験片を用いた疲労試験の結果からその疲労強度を求め、形状による応力集中を考慮して部品としての疲労強度を推定することになる。この際、作用応力の平均が疲労特性に大きく影響することが考えられる場合には、修正グッドマン線図などの平均応力の効果を推定できる方法を用いて部品の疲労き裂発生部(応力振幅が最大となる部位)の平均応力を考慮して、求めた疲労試験片の疲労強度(疲労限)から部品の疲労強度を推定し、これに適当な安全率を与えることで部品の疲労設計を行う。また、この手法では、部品に作用する応力として、疲労破壊の危険度の最も高い部位の応力だけを評価している。
また、非特許文献2では、機械部品の疲労強度を推定する式として、材料内部に存在している介在物の寸法と硬さのみから機械部品の疲労強度を求める式が提案されている。また、非特許文献2では、機械部品の応力比の影響を考慮して機械部品の疲労強度を補正する式も提案されている。更に、溶接疲労強度に影響する材料内部に存在している介在物の最大寸法(最大介在物寸法)とその確率分布(最大介在物分布)とを極値統計処理により定式化する手法も提案されている。
ばね技術協会編、「ばね」、第3版、丸善、1982年、p.379−p.389 村上敬宜著、「金属疲労 微小欠陥と介在物の影響」、養賢堂、2008年12月25日、OD版第1版、p.94−p.112 JISR1625 ファインセラミックスの強さデータのワイブル統計解析法 腐食 防食協会編, 小若正倫他著、「装置材料の寿命予測入門−極値統計の腐食への適用−」、丸善、1985年 加瀬滋男著、「信頼性データのまとめ方−二重指数分布の活用法−」、オーム社、1984年、p.57−p.82 Stuart Coles著、「An Introduction to Statistical Modeling of Extreme Values」、Springer−Verlag London Limited、2001年、p.43−p.53、p.55−p.56
ところで、例えば、ばね等に用いられる高強度鋼では、介在物等を起点として、機械部品の内部から疲労破壊が生じることがある。このような疲労破壊は、より大きな寸法の介在物がより高い存在確率を示す材料でできた部品の方が、破壊力学の観点からより低い応力で、またより小さい回数の繰り返し負荷により破壊することが知られている。また、機械部品では、応力が高い領域が広いものの方が、その領域中に存在しうる最大介在物寸法が大きくなるため、疲労強度が低下することになる。また、機械部品は引張・圧縮・ねじり・曲げなど多様な応力を受け、場所ごとに応力条件が異なる上に、熱処理やショットピーニング等によって部品の内部に残留応力が導入されると、機械部品の内部応力が無負荷状態でも場所ごとに異なることになり、繰り返し負荷を受けた際の応力比や平均応力に影響を及ぼす。したがって、機械部品の疲労を評価するためには、体積効果(介在物の分布)と、機械部品内部の応力の分布との両方の影響を考慮する必要がある。
しかしながら、非特許文献1で示されている安全率は、理論的な根拠に基づくものではなく、経験的に定められている。このため、機械部品の疲労を正確に評価することが困難である。更に、非特許文献1に記載の技術では、機械部品の疲労設計を行うに際し、体積効果の影響も、機械部品内部の応力の分布の影響も十分に考慮しているとはいえない。
また、非特許文献2では、機械部品の疲労強度を求める式と、極値統計処理による最大介在物寸法及び最大介在物分布の定式化とにより、一様な応力下で疲労破壊現象に影響を及ぼす体積効果を考慮して、機械部品の疲労設計を行うことが可能である。しかしながら、非特許文献2に記載の技術でも、体積効果と、機械部品内部の応力の分布との両方の影響を考慮して機械部品の疲労設計を行うことはできない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、機械部品の内部に存在する介在物の分布と、機械部品内部の応力の分布との双方を考慮して機械部品の疲労設計を行えるようにすることを目的とする。
本発明の疲労破壊評価装置は、繰り返し荷重を与えたときの機械部品の内部の疲労を評価する部品の疲労破壊評価装置であって、前記機械部品の内部に存在する介在物のうち、基準体積中で最大である介在物の形状を平面に投影して得られる介在物の断面積の平方根をとった値、又は、前記機械部品の内部に存在する介在物のうち、基準体積中で最大である介在物の形状を所定の図形に近似させた場合の当該図形の代表的な寸法から得られる介在物の断面積の推定値の平方根をとった値である介在物寸法の値を複数入力し、入力した複数の介在物寸法に基づいて、前記介在物寸法の前記機械部品における最大値分布が一般極値分布に従うものとして、前記介在物寸法の確率分布関数を導出する最大寸法介在物分布関数導出手段と、前記介在物寸法と、前記機械部品の硬さ又は前記機械の部品の材料の強度と、前記機械部品の応力比の値をそれぞれ入力し、前記機械部品に存在する介在物を起点とする疲労強度であって、繰り返し負荷する所定の荷重の所定の繰り返し数に対する疲労強度として、前記介在物寸法と、前記機械部品の硬さ又は前記機械の部品の材料の強度と、前記機械部品の応力比とで表される疲労強度の式に、入力した値を代入して、前記機械部品の内部の各位置における当該疲労強度を導出する推定疲労強度導出手段と、予め設定された荷重条件で繰り返し荷重を前記機械部品に与えたときに前記機械部品の各位置に作用する作用応力の応力振幅を導出する作用応力導出手段と、前記推定疲労強度導出手段により導出された疲労強度と、前記作用応力導出手段により導出された作用応力の応力振幅とを比較した結果に基づいて、前記機械部品の領域のうち、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさを導出する疲労強度超過領域導出手段と、前記介在物寸法の確率分布関数と、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさとの積に基づいて、前記機械部品の内部の疲労を評価するための指標を導出する指標導出手段と、前記指標導出手段により導出された指標を出力する指標出力手段と、を有することを特徴とする。
本発明の疲労破壊評価方法は、繰り返し荷重を与えたときの機械部品の内部の疲労を、コンピュータを用いて評価する部品の疲労破壊評価方法であって、前記機械部品の内部に存在する介在物のうち、基準体積中で最大である介在物の形状を平面に投影して得られる介在物の断面積の平方根をとった値、又は、前記機械部品の内部に存在する介在物のうち、基準体積中で最大である介在物の形状を所定の図形に近似させた場合の当該図形の代表的な寸法から得られる介在物の断面積の推定値の平方根をとった値である介在物寸法の値を複数入力し、入力した複数の介在物寸法に基づいて、前記介在物寸法の前記機械部品における最大値分布が一般極値分布に従うものとして、前記介在物寸法の確率分布関数を導出する最大寸法介在物分布関数導出工程と、前記介在物寸法と、前記機械部品の硬さ又は前記機械の部品の材料の強度と、前記機械部品の応力比の値をそれぞれ入力し、前記機械部品に存在する介在物を起点とする疲労強度であって、繰り返し負荷する所定の荷重の所定の繰り返し数に対する疲労強度として、前記介在物寸法と、前記機械部品の硬さ又は前記機械の部品の材料の強度と、前記機械部品の応力比とで表される疲労強度の式に、入力した値を代入して、前記機械部品の各位置における当該疲労強度を導出する推定疲労強度導出工程と、予め設定された荷重条件で繰り返し荷重を前記機械部品に与えたときに前記機械部品の内部の各位置に作用する作用応力の応力振幅を導出する作用応力導出工程と、前記推定疲労強度導出工程により導出された疲労強度と、前記作用応力導出工程により導出された作用応力の応力振幅とを比較した結果に基づいて、前記機械部品の領域のうち、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさを導出する疲労強度超過領域導出工程と、前記介在物寸法の確率分布関数と、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさとの積に基づいて、前記機械部品の内部の疲労を評価するための指標を導出する指標導出工程と、前記指標導出工程により導出された指標を出力する指標出力工程と、を有することを特徴とする。
本発明のコンピュータプログラムは、前記部品の疲労破壊評価方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、介在物寸法の確率分布関数と、作用応力の応力振幅が疲労強度を超える部品の領域の大きさとの積に基づいて、機械部品の内部の疲労を評価するための指標を導出するようにした。したがって、機械部品の内部に存在する介在物の分布と、機械部品内部の応力の分布との双方を考慮して機械部品の疲労設計を行うことができる。
本発明の実施形態を示し、部品の疲労破壊評価装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、部品の疲労破壊評価装置の機能的な構成の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、累積確率と、介在物寸法との関係の一例を概念的に示す図である。 本発明の実施形態を示し、部品の疲労破壊評価装置の動作の流れの一例を説明するフローチャートである。 本発明の実施例1を示し、コイルばねの素線表面からの距離と、コイルばねの残留応力の応力振幅との関係を示す図である。 本発明の実施例1を示し、累積確率及び基準化変数と、介在物寸法との関係を示す図である。 本発明の実施例1を示し、疲労強度の応力振幅及びせん断応力の応力振幅と、コイルばねの素線表面からの距離との関係を示す図である。 本発明の実施例1を示し、確率分布関数を表すグラフと、面積割合と介在物寸法との関係を示す関数を表すグラフと、確率分布関数とこの関数とを掛け合わせた関数を表すグラフとを示す図である。 本発明の実施例1を示し、指標と公称最大せん断応力との関係を示す図である。 本発明の実施例1を示し、疲労破壊試験の結果から得られた、破断本数と、最大せん断応力との関係を示す図である。 本発明の実施例2を示し、丸棒試験片の表面からの距離と、丸棒試験片の残留応力の応力振幅との関係を示す図である。 本発明の実施例2を示し、指標及び破断本数と、試験片表面応力振幅との関係を示す図である。 本発明の実施例3を示し、指標及び破断本数と、試験片表面応力振幅との関係を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
<部品(機械部品)の疲労破壊評価装置のハードウェア構成>
図1は、部品の疲労破壊評価装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図1に示すように、部品の疲労破壊評価装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、PD(Pointing Device)104と、HD(Hard Disk)105と、表示装置106と、スピーカ107と、通信I/F(Interface)108と、システムバス109とを有している。
CPU101は、部品の疲労破壊評価装置100における動作を統括的に制御するものであり、システムバス109を介して、部品の疲労破壊評価装置100の各構成部(102〜108)を制御する。
ROM102は、CPU101の制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やオペレーティングシステムプログラム(OS)、CPU101が後述する処理を実行するために必要なプログラム等を記憶する。
RAM103は、CPU101の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU101は、処理の実行に際して、ROM102から必要なコンピュータプログラム等や、HD105から必要な情報等をRAM103にロードし、当該コンピュータプログラム等や当該情報等の処理を実行することで各種の動作を実現する。
PD104は、例えば、マウスやキーボード等からなり、操作者が必要に応じて、製品搬送作業量予測装置100に対して操作入力を行うための操作入力手段を構成する。
HD105は、各種の情報やデータ、ファイル等を記憶する記憶手段を構成する。
表示装置106は、CPU101の制御に基づいて、各種の情報や画像を表示する表示手段を構成する。
スピーカ107は、CPU101の制御に基づいて、各種の情報に係る音声を出力する音声出力手段を構成する。
通信I/F108は、CPU101の制御に基づいて、外部装置とネットワークを介して各種の情報等の通信を行う。
システムバス109は、CPU101、ROM102、RAM103、PD104、HD105、表示装置106、スピーカ107及び通信I/F108を相互に通信可能に接続するためのバスである。
<部品の疲労破壊評価装置>
図2は、部品の疲労破壊評価装置100の機能的な構成の一例を示す図である。
図2において、部品の疲労破壊評価装置100は、最大寸法介在物分布関数導出部201と、推定疲労強度導出部202と、作用応力振幅導出部203と、疲労強度超過領域導出部204と、指標導出部205と、疲労強度超過体積確率出力部206とを有している。
<最大寸法介在物分布関数導出部201>
最大寸法介在物分布関数導出部201は、疲労設計を行う対象の機械部品(以下の説明では「疲労設計を行う対象の機械部品」を必要に応じて「部品」と略称する)の介在物寸法√areamax[μm]の確率分布を導出する。部品の介在物寸法√areamaxは、所謂「ルートエリア」と称されるものであり、部品の或る領域(基準体積)に存在する介在物の形状を平面に投影した場合の投影面積のうち、投影面積が最大である介在物の当該投影面積の平方根(√)をとった値である。しかしながら、現実的にはこのような面積を正確に求めることは困難であるため、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、この値は、部品の或る領域(基準体積)に存在する介在物のうち、最大の介在物の形状を四角形や楕円形などの簡単な図形(形状)に近似させてその図形の代表的な寸法から介在物の投影面積を推定して求め、この面積の平方根としても良い。具体例として、部品の或る領域(基準体積)で最大である介在物の形状を楕円形に近似した場合には、その長径と短径との積の平方根をとった値を介在物の投影面積の推定値としてもよい。
尚、本明細書において、√Xとは、X1/2(Xの1/2乗)。例えば、√areamaxはareamax 1/2を示す。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、部品の介在物寸法√areamaxの最大値分布が一般極値分布に従うものとしている。
よって、部品の介在物寸法√areamaxの累積確率F(√areamax)は、以下の(1a)式及び(1b)で表される。
F(√areamax)=exp[−{1+ξ((√areamax−λ)/α)}-1/ξ] ξ≠0の場合・・・(1a)
F(√areamax)=exp[−exp{−(√areamax−λ)/α}] ξ=0の場合・・・(1b)
また、部品の介在物寸法√areamaxの確率分布関数f(√areamax)は、以下の(2a)式、(2b)式で表される。尚、部品の介在物寸法√areamaxの確率分布関数f(√areamax)は、(1)式を部品の介在物寸法√areamaxで微分することにより得られる。
f(√areamax)=(1/α){1+ξ((√areamax−λ)/α)}-1/ξ-1・exp[−{1+ξ((√areamax−λ)/α)}-1/ξ] ξ≠0の場合・・・(2a)
f(√areamax)=(1/α)exp[−(√areamax−λ)/α−exp{−(√areamax−λ)/α}] ξ=0の場合・・・(2b)
(1)式及び(2)式において、αは尺度パラメータであり、λは位置パラメータであり、ξは形状パラメータである。尚、以下の説明では、「部品の介在物寸法√areamaxの累積確率Fj(√areamax)」を必要に応じて、「累積確率F(√areamax)」と称する。また、「部品の介在物寸法√areamaxの確率分布関数f(√areamax)」を必要に応じて「確率分布関数f(√areamax)」と称する。また、「部品の介在物寸法√areamax」を必要に応じて「最大介在物寸法√areamax、又は介在物寸法√areamax」と称する。
図3は、累積確率F(√areamax)及び基準化変数y(=−ln(−ln(F)))と、部品の介在物寸法√areamaxとの関係の一例を概念的に示す図である。基準化変数yは、累積確率F(√areamax)の二重対数をとった値に対応する(後述する(3)式、(4)式を参照)。
図3を参照しながら、尺度パラメータα、位置パラメータλ、及び形状パラメータξの概要について説明する。
図3において、形状パラメータξが0(ξ=0)となる場合、最大介在物確率分布関数は、グラフ301のように直線となる。このグラフ301は、(1b)式に対応する。(1b)式は、Gumbel(グンベル)型と呼ばれる極値分布を表すものである。(1b)式は、例えば、最大介在物寸法√areamaxの実測値の数が少ない場合に使用される。
形状パラメータξが負の値(ξ<0)となる場合、最大介在物確率分布関数は、グラフ302aのようになる。グラフ302aに示すように、形状パラメータξが負の値(ξ<0)であることは、最大介在物寸法√areamaxの値が頭打ちとなることを表す。このグラフ302aは、(1a)式のうち、形状パラメータξが負の値(ξ<0)となるものに対応する。(1a)式のうち、形状パラメータξが負の値(ξ<0)となるものは、Weibull(ワイブル)型と呼ばれる極値分布である。
一方、形状パラメータξが正の値(ξ>0)となる場合、最大介在物確率分布関数は、グラフ302bのようになる。グラフ302bに示すように、形状パラメータξが正の値(ξ>0)であることは、部品の或る領域(基準体積中)に、最大介在物寸法√areamaxが大きな介在物が稀に存在していることを表す。このグラフ302bは、(1a)式のうち、形状パラメータξが正の値(ξ>0)となるものに対応する。(1a)式のうち、形状パラメータξが正の値(ξ>0)となるものは、Frechet(フィレッシェ)型と呼ばれる極値分布である。
また、図3において、尺度パラメータαの値が(グラフ301に対応するものの値に比べて)大きくなると、最大介在物確率分布関数は、グラフ303aのようになる。グラフ303aでは、グラフ301に比べて傾きが急になっている。グラフ303aに示すように、尺度パラメータαの値が大きくなることは、部品の基準体積(を有する領域)のそれぞれから抽出される最大介在物寸法√areamaxの値が近い値になることを表す(部品の基準体積(を有する領域)のそれぞれから同じような値の最大介在物寸法√areamaxが抽出されることを表す)。
一方、尺度パラメータαの値が(グラフ301に対応するものの値に比べて)小さくなると、最大介在物確率分布関数は、グラフ303bのようになる。グラフ303bでは、グラフ301に比べて傾きが緩やかになっている。グラフ303bに示すように、尺度パラメータαの値が小さくなることは、部品の基準体積(を有する領域)のそれぞれから抽出される最大介在物寸法√areamaxの値がばらつくことを表す。
また、図3において、位置パラメータλの値が(グラフ301に対応するものの値に比べて)大きくなると、最大介在物確率分布関数は、グラフ304aのようになる。グラフ304aでは、グラフ301に比べて、累積確率F(√areamax)が0であるときの最大介在物寸法√areamaxの値が大きくなっている。グラフ304aに示すように、位置パラメータλの値が大きいことは、部品の基準体積(を有する領域)のそれぞれに、平均的に大きな寸法の介在物が存在することを表す。
一方、位置パラメータλの値が(グラフ301に対応するものの値に比べて)小さくなると、最大介在物確率分布関数は、グラフ304bのようになる。グラフ304bでは、グラフ301に比べて、累積確率F(√areamax)が0であるときの最大介在物寸法√areamaxの値が小さくなっている。グラフ304bに示すように、位置パラメータλの値が小さいことは、部品の基準体積(を有する領域)のそれぞれに、平均的に小さな寸法の介在物が存在することを表す。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、これら尺度パラメータαと位置パラメータλと形状パラメータξとを導出することにより、確率分布関数f(√areamax)を導出する。最も簡単な形状パラメータξが0(ξ=0)の場合における、尺度パラメータαと位置パラメータλの導出は、極値統計グラフを作成することにより実現できる。この方法は、例えば、「村上敬宜著、『金属疲労 微小欠陥と介在物の影響』、養賢堂、2008年12月25日、OD版第1版、p.245−p.248」に記載されている。以下、その方法を簡単に説明する。
まず、1つ又は複数の部品のn個の同一寸法の断面のそれぞれについて、最大介在物寸法√areamaxを測定する。ここで、nは、2以上の整数であり、後述する尺度パラメータαと位置パラメータλ(又は尺度パラメータαと位置パラメータλと形状パラメータξ)を導出するために必要な数が適宜選択される。また、断面の取り方は特に限定されない。最大寸法介在物分布関数導出部201は、これらn個の介在物寸法√areamaxの値を、オペレータの操作や、外部装置との通信等に基づいて取得する。
また、最大介在物寸法√areamaxを測定するためのその他の方法として、同形状の疲労試験片を複数本用いて疲労試験を行い、その破面に表れる疲労破壊の起点となった介在物寸法を疲労試験片の高応力領域の体積に対する最大介在物寸法√areamaxとして評価し、同様の取り扱いをすることも可能である。これは、繰り返し応力の条件が同じであれば、小さい介在物よりも、大きな介在物を起点として疲労き裂が先に発生するためである。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、以下の(3)式、(4)式から、それぞれのj(1〜n)に対して、累積確率Fj(√areamax,j)と、基準化変数yj[−]とを計算する。
j(√areamax,j)={j/(n+1)}・・・(3)
j=−ln[−ln{j/(n+1)}] ・・・(4)
また、ここでの累積確率Fjの取り方は平均ランク法として説明しているが、メジアン・ランク法や対称ランク法など、実験結果の確率分布に応じて累積確率Fjの取り方を変えてもよい。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、n個の介在物寸法√areamax,jを小さいものから順に並べる(最も小さい介在物寸法を√areamax,1とし、最も大きい介在物寸法を√areamax,nとする)。そして、最大寸法介在物分布関数導出部201は、介在物寸法√areamaxを横軸の値とすると共に、累積確率F(√areamax)と基準化変数yとを縦軸の値として、最尤法(非特許文献3を参照)やMVLUE法(非特許文献4、5を参照)又は最小二乗法等を用いて、これらの関係を示す最大介在物確率分布関数を推定する。そして、最大寸法介在物分布関数導出部201は、推定した最大介在物確率分布関数の傾きから尺度パラメータαを導出すると共に、最大介在物確率分布関数の横軸の位置から位置パラメータλを導出する。
一方、形状パラメータξが0でない(ξ≠0)場合には、例えば特許文献6の第55頁〜第56頁に示されている尤度関数を用いた最尤法により、尺度パラメータα、位置パラメータλ、及び形状パラメータξの導出が可能である。つまり、(1a)式の関数形に対応した尤度関数からその対数尤度関数を作成し、この尤度関数の値が最大になる尺度パラメータα、位置パラメータλ、及び形状パラメータξを導出することができる。尚、この方法は、形状パラメータξが0である(ξ=0)場合についても適用可能である。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、n個の介在物寸法√areamaxの測定値に対して、前述した手法でパラメータフィッティングを行って、尺度パラメータαと位置パラメータλ(又は、尺度パラメータαと位置パラメータλと形状パラメータξ)を導出する。最大寸法介在物分布関数導出部201は、(1a)式及び(1b)式のうち、オペレータにより予め設定されている式を使用して、n個の介在物寸法√areamaxの測定値に最も合うパラメータを導出することができる。また、最大寸法介在物分布関数導出部201は、(1a)式及び(1b)式の双方を使用した上で、n個の介在物寸法√areamaxの測定値に最も合うパラメータを導出することもできる。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、例えば、CPU101が、ROM102に記憶されているプログラムを実行して、PD104に対する操作内容の識別や、通信I/Fを介した外部装置との通信等を行うと共に必要なデータをHD105等から読み出して、尺度パラメータαと位置パラメータλ(又は、尺度パラメータαと位置パラメータλと形状パラメータξ)を導出してRAM103等に記憶することにより実現される。
<推定疲労強度導出部202>
本実施形態では、部品内に存在する介在物を起点とする疲労強度であって、部品に所定の荷重を繰り返し負荷したときの所定の繰り返し数に対する疲労強度の応力振幅σw[N/mm2]は、介在物寸法√areamaxと、ビッカース硬さHvと、応力比R[−]の関数で表されるものとする。尚、以下の説明では、「鋼材等の部品内に存在する介在物を起点とする疲労強度であって、部品に所定の荷重を繰り返し負荷したときの所定の繰り返し数に対する疲労強度の応力振幅σw」を必要に応じて「疲労強度の応力振幅σw」と略称する。
本実施形態では、部品に繰り返し負荷する荷重の所定の繰り返し数を107回程度と想定して、以下の(5)式のように、疲労強度の応力振幅σwを表すものとする。
σw={1.56×(Hv+120)/(√areamax1/6}×{(1−R)/2}γ ・・・(5)
尚、この(5)式は本来、疲労限を推定する式であるが、研究当時の試験機の能力などを考慮して107回程度での疲労強度の式として用いる。
(5)式において、Hvはビッカース硬さである。また、Rは応力比であり、以下の(6)式で表される。また、γは硬度の影響乗数であり、以下の(7)式で表される。
R=(σm−σw)/(σm+σw) ・・・(6)
γ=0.226+Hv/10000 ・・・(7)
(6)式において、σmは、部品の平均応力の応力振幅[N/mm2]である。
ビッカース硬さHvと介在物寸法√areamaxの値は、部品を構成する材料の試験の結果から得られる。また、部品の平均応力σmと応力比Rの値は、部品に負荷する荷重と部品の寸法とから得られる。本実施形態では、応力比Rとして、部品内部の各位置での相当応力の応力比、又は、部品内部の各位置での主応力の変動が最大となる方向での主応力の応力比を採用する。これらの何れを採用するかは、部品等に応じて適宜決定することができる。
推定疲労強度導出部202は、オペレータによる操作等に基づいて、これらの値を入力して(5)式の計算を行って、所定の繰り返し数の所定の繰り返し荷重を部品に与えたときの当該部品の内部の各位置での疲労強度の応力振幅σwをその位置での応力比Rに対して導出する。
本実施形態では、このような疲労強度の応力振幅σwを、介在物寸法√areamaxと、部品の位置と使用応力条件とに応じて値が変わる応力比Rとをそれぞれ異ならせて複数導出する。これにより、部品の内部に存在する介在物の介在物寸法√areamax毎、部品の位置毎に、疲労強度の応力振幅σwを導出することができる。
尚、本実施形態では、(5)式により疲労強度の応力振幅σwを導出するようにしたが、疲労強度の応力振幅σwは、介在物寸法√areamaxと、ビッカース硬さHvと、応力比Rの関数で表されるようにしていれば、必ずしも(5)式で示されるものでなくてもよい。例えば、「松本ら著『ショットピーニングした浸炭歯車用鋼の回転曲げ疲労強度に及ぼす介在物の影響』、日本機械学会材料力学講演会論文集、No.900−86、1990年、p.275−p.277」に記載されているように、以下の(8)式で疲労強度の応力振幅σwを表すようにしてもよい。
σw={1.56×(Hv+120)/(√areamax1/6}−0.5×σm ・・・(8)
尚、(8)式では、応力比Rではなく、部品の平均応力の応力振幅σmを用いて疲労強度の応力振幅σwを表現している。しかしながら、(6)式に示すように、部品の平均応力の応力振幅σmは、疲労強度の応力振幅σwと応力比Rとを使って表現できるので、(8)式は、応力比Rの関数であることと等価である。この他、(5)式や(8)式に示す係数を変更することもできる。
また、(5)式や(8)式に示すビッカース硬さHvは、部品の材料の強度[N/mm2]と相関関係がある。よって、ビッカース硬さHvの代わりに、部品の材料の強度を用いて疲労強度の応力振幅σwを表すようにしてもよい。また、(5)式や(8)式は鉄鋼材料に関する一般的な式であるため、これらの式を修正し、応力比、硬さ、介在物寸法をパラメータにして、評価対象材料の疲労特性に合わせた関数を作成して用いればさらなる高精度化が可能である。
推定疲労強度導出部202は、例えば、CPU101が、ROM102に記憶されているプログラムを実行して、PD104に対する操作内容の識別等を行うと共に必要なデータをHD105等から読み出して、疲労強度の応力振幅σwを導出し、RAM103等に記憶することにより実現される。
<作用応力振幅導出部203>
作用応力振幅導出部203は、予めオペレータにより設定された荷重条件Pで繰り返し荷重を部品に与えたときに当該部品の各位置に作用する作用応力の応力振幅σを導出する。尚、以下の説明では、「予めオペレータにより設定された荷重条件Pで繰り返し荷重を部品に与えたときに当該部品の各位置に作用する作用応力の応力振幅σ」を必要に応じて、「部品の各位置に作用する作用応力の応力振幅σ」又は「作用応力の応力振幅σ」と略称する。ここで、荷重条件Pは、部品にどのような繰り返し荷重を与えるのかを示すものである。
作用応力振幅導出部203は、部品の形状、荷重条件P、及び部品を構成する材料の強度(例えば、引張強さ、降伏応力、及び加工硬化特性)といった部品の情報を入力する。作用応力振幅導出部203は、これらの部品の情報を、オペレータの操作や、外部装置との通信等に基づいて取得する。
そして、作用応力振幅導出部203は、取得した部品の情報を用いて、予めオペレータにより設定された荷重条件Pで繰り返し荷重を部品に与えたときの部品の各位置(所定の位置)での各応力成分の変化を導出する。部品の各位置での各応力成分の変化は、例えば、FEM(Finite Element Method)やBEM(Boundary element method)を用いた解析を行ったり、材料力学による手法を用いた計算を行ったりすることにより導出することができる。また、部品に対して、熱処理や塑性加工やショットピーニング処理等が施されており、無負荷の状態(荷重をかけていない状態)でも部品に内部応力が発生していることがある。この内部応力は、例えば、X線による残留応力測定と電解研磨とを交互に行う方法などで測定することができる。材料力学による手法を用いて予めオペレータにより設定された荷重条件Pで繰り返し荷重が与えられたときの部品の各位置での各応力成分の変化に、この無負荷状態での内部応力を足し合わせることにより、この無負荷状態での内部応力についても考慮した疲労設計をすることができる。
そして、作用応力振幅導出部203は、以上のようにして導出した部品の各位置での各応力成分の変化から、作用応力の応力振幅σとして、例えば、部品内部の各位置での相当応力の振幅、又は、部品内部の各位置での主応力の変動が最大となる方向での主応力の振幅を採用する。これらの何れを採用するかは、部品等に応じて適宜決定することができる。
本実施形態では、このような作用応力の応力振幅σを、部品の位置を異ならせて複数導出する。これにより、部品の位置毎に、作用応力の応力振幅σを導出することができる。
尚、部品に与える荷重振幅の最大値から最小値を引いた値に基づく相当応力の1/2を作用応力の応力振幅σとしても、部品に与える荷重振幅の最大値に基づく相当応力から当該荷重振幅の最小値に基づく相当応力を引いた値の1/2を作用応力の応力振幅σとしてもよい。
作用応力振幅導出部203は、例えば、CPU101が、ROM102に記憶されているプログラムを実行して、PD104に対する操作内容の識別や、通信I/Fを介した外部装置との通信等を行うと共に必要なデータをHD105等から読み出して、作用応力の応力振幅σを導出し、RAM103等に記憶することにより実現される。
<疲労強度超過領域導出部204>
疲労強度超過領域導出部204は、「部品の各位置での疲労強度の応力振幅σw」と、「予めオペレータにより設定された荷重条件Pにおける部品の各位置での作用応力の応力振幅σ」とを読み出す。そして、疲労強度超過領域導出部204は、同一の位置におけるこれらの値を比較する。そして、疲労強度超過領域導出部204は、予めオペレータにより設定された荷重条件Pで荷重をかけた場合に、部品の各位置において、作用応力の応力振幅σが、疲労強度の応力振幅σwを超える「部品の領域」の大きさS(P,√areamax)を導出する。尚、以下の説明では、「予めオペレータにより設定された荷重条件Pで荷重をかけた場合に、部品の各位置において、作用応力の応力振幅σが、疲労強度の応力振幅σwを超える『部品の領域』の大きさS(P,√areamax)」を必要に応じて「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」と称する。
「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」は、体積[mm3]で表される。ただし、部品を構成する部材の延設方向に垂直な方向から当該部材を切った断面の各位置における応力の状態が、どの断面でも同じであると見なせる場合には、「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」は面積[mm2]で表すことができる。これに、部品を構成する部材の延設方向の長さを掛ければ、体積の情報が得られるからである。このような部品の一例としてコイルばねがある。部品がコイルばねである場合、部品を構成する部材の延設方向は、コイルばねを構成する素線の周回方向(螺旋方向)となる。また、「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」を面積で表した場合には、作用応力の応力振幅σが、疲労強度の応力振幅σwの大きさを超える領域の面積を、当該領域を含む断面の断面積で割った値[−]で「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」を表すようにしてもよい。
疲労強度超過領域導出部204は、「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」を、各介在物寸法√areamaxにおいて導出することにより、「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」を、各介在物寸法√areamaxのそれぞれに対して導出する。
疲労強度超過領域導出部204は、例えば、CPU101が、ROM102に記憶されているプログラムを実行して、必要なデータをRAM103やHD105等から読み出して、「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」を導出し、RAM103等に記憶することにより実現される。
<指標導出部205>
指標導出部205は、最大寸法介在物分布関数導出部201により導出された「尺度パラメータαと位置パラメータλ」を(2)式に代入して確率分布関数f(√areamax)を設定する。そして、指標導出部205は、以下の(9)式の計算を行って、指標FS(P)を導出する。
FS(P)=∫f(√areamax)・S(P,√areamax)d√areamax ・・・(9)
(8)式において、積分範囲は、介在物寸法√areamaxの確率分布が存在している範囲全域である。ただし、必ずしも介在物寸法√areamaxの確率分布が存在している範囲全域を指標FS(P)の計算対象にする必要はない。例えば、作用している応力が低いため疲労破壊が問題にならない部位(領域)については計算してもしなくも、そのことによる指標FS(P)の値の違いは誤差の範囲であるので、そのような部位については、指標FS(P)の計算対象から外すようにしてもよい。
この指標FS(P)は、(ある残留応力が存在している条件下で)予めオペレータにより設定された荷重条件Pで荷重をかけた場合に部品のある部位に繰り返し作用する作用応力の応力振幅σに対する「部品の危険領域(体積又は面積)」の大きさを示す指標となる。(8)式に示すように、確率分布関数f(√areamax)と、「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」とを掛け合わせることにより、「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」を、介在物の存在確率を考慮して表現することができる。例えば、複数の条件で得られた指標FS(P)の値を比較し、指標FS(P)の値が最も小さい条件の部品を、疲労破壊の可能性が小さい部品と判断することができる。このように、指標FS(P)の値を小さくすることで、疲労に関する材料の強度、介在物の確率分布特性、部品を使用するときの応力の条件、及び残留応力の確率分布特性を総合的に考慮して、疲労破壊の可能性が小さい部品を設計することができる。ここで、危険領域とは、その部位での作用応力σが疲労強度の応力振幅σwの大きさを超える領域をいう。
尚、本実施形態では、指標FS(P)を導出するようにしたが、必ずしも指標FS(P)を導出する必要はない。例えば、確率分布関数f(√areamax)と、S(P,√areamax)とを掛け合わせて、部品の介在物寸法√areamaxの関数fsを導出し、この関数fsの最大値を前述した指標としてもよい。
指標導出部205は、例えば、CPU101が、ROM102に記憶されているプログラムを実行して、必要なデータをRAM103やHD105等から読み出して、指標FS(P)を導出し、RAM103等に記憶することにより実現される。
<指標出力部206>
指標出力部206は、指標導出部205で導出された指標FS(P)の値を、オペレータによる指示に基づいて、表示装置に表示したり、外部装置に送信したり、記憶媒体に記憶したりする。
指標出力部206は、例えば、CPUが、ROM102に記憶されているプログラムを実行して、RAM103等に記憶されている指標FS(P)の値を表示するための表示データを生成して表示装置に106に出力したり、RAM103等に記憶されている指標FS(P)を通信I/F108を介して外部装置に送信したり、RAM103等に記憶されている指標FS(P)をHD105や図示しない可搬型の記憶媒体に記憶したりすることにより実現される。
次に、図4のフローチャートを参照しながら、部品の疲労破壊評価装置100の動作の流れの一例を説明する。
まず、ステップS1において、最大寸法介在物分布関数導出部201は、確率分布関数導出処理を実行する。具体的に、最大寸法介在物分布関数導出部201は、n個の介在物寸法√areamaxの値を取得して、累積確率Fj(√areamax,j)と、基準化変数yjとを計算し、累積確率Fj(√areamax,j)及び基準化変数yjと介在物寸法√areamaxとの関係を示す最大介在物確率分布関数を推定し、推定した最大介在物確率分布関数から尺度パラメータαと位置パラメータλ(又は尺度パラメータαと位置パラメータλと形状パラメータξ)を導出する。
次に、ステップS2において、推定疲労強度導出部202は、疲労強度導出処理を実行する。具体的に、推定疲労強度導出部202は、ビッカース硬さHv、介在物寸法√areamax、部品の平均応力σm、及び応力比Rの値を取得して、(5)式の計算を行うことにより、部品に所定の荷重を繰り返し負荷したときの所定の繰り返し数に対する疲労強度の応力振幅σwを導出する。
次に、ステップS3において、作用応力振幅導出部203は、作用応力振幅導出処理を実行する。具体的に、作用応力振幅導出部203は、部品の情報を取得し、取得した部品の情報を用いて、予めオペレータにより設定された荷重条件Pで繰り返し荷重を部品に与えたときの部品の各位置での各応力成分の変化を導出し、導出した部品の各位置での各応力成分の変化から、予めオペレータにより設定された荷重条件Pで繰り返し荷重を部品に与えたときに当該部品の各位置に作用する作用応力の応力振幅σを導出する。
次に、ステップS4において、疲労強度超過領域導出部204は、疲労強度超過領域導出処理を実行する。具体的に、疲労強度超過領域導出部204は、「部品の各位置での疲労強度の応力振幅σw」と「予めオペレータにより設定された荷重条件Pにおける部品の各位置での作用応力の応力振幅σ」のうち、同一の位置における値を比較して、「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」を導出する。
次に、ステップS5において、指標導出部205は、指標導出処理を実行する。具体的に、指標導出部205は、ステップS1で導出された「尺度パラメータαと位置パラメータλ」を(2)式に代入して確率分布関数f(√areamax)を設定し、設定した確率分布関数f(√areamax)と、ステップS4で導出された「部品の領域の大きさS(P,√areamax)」とを(9)式に与えて、指標FS(P)を導出する。
次に、ステップS6において、指標出力部206は、指標出力処理を実行する。具体的に、指標出力部206は、ステップS5で導出された指標FS(P)の値を、オペレータによる指示に基づいて、表示装置に表示したり、外部装置に送信したり、記憶媒体に記憶したりする。
以上のように本実施形態では、部品の介在物寸法√areamaxの確率分布関数f(√areamax)と、予めオペレータにより設定された荷重条件Pで荷重をかけた場合に、部品の各位置にいて、作用応力の応力振幅σが疲労強度の応力振幅σwの大きさを超える「部品の領域」の大きさS(P,√areamax)との積を、介在物寸法√areamaxの確率分布が存在している評価範囲全域を積分範囲として、部品の介在物寸法√areamaxで積分した指標FS(P)を導出するようにした。部品の内部に存在する介在物の確率分布(大きさ毎の存在確率)と、部品内部の応力の分布との双方を考慮して部品の疲労設計を行うことができる。よって、疲労破壊を判定するための部品の疲労破壊を、従来よりも合理的に評価することが可能になる。
例えば、低強度鋼では介在物が疲労破壊に結びつくことは少なく、応力条件が厳しい部位でのみ疲労破壊が起こることが多いため、その部位の応力条件のみを評価すれば部品の疲労特性を予測することができる。これに対し、例えば、高張力鋼では、介在物から疲労き裂が生じるため、介在物の大きさがどのように分布するのかが、部品の疲労破壊を評価する場合には重要になる。すなわち、応力が大きくても介在物がなければ壊れにくく、応力が低くても大きな介在物が存在する場合には壊れる可能性がある。本実施形態では、介在物の確率分布(確率分布関数f(√areamax))と、部品の領域の大きさS(P,√areamax)との双方を変数として有する指標FS(P)を導出するので、特に、高張力鋼を用いた部品の疲労設計を、従来よりも格段に合理的に行うことができる。
[実施例1]
次に、本発明の実施例について説明する。まず、実施例1として、作用応力の応力振幅σが、せん断応力の応力振幅τa(r)である場合の実施例を説明する。
本実施例では、部品として、その表面に圧縮残留応力が導入されているコイルばねを用いた。コイルばねを構成する材料として、強度1800[MPa]級(ビッカース硬さHv=627)の高張力ばね鋼を用いた。この材料は、その内部に存在する介在物を起点とする疲労破壊が起こることが知られている材料である。ここで、せん断応力の応力振幅τa(r)のrは、コイルばねの素線の中心から、コイルばねの円周方向への距離を示す。
本実施例では、この材料で、線径が3.3[mm]、外径が22[mm]、巻き数が30及び6のコイルばねを作成した。これらのコイルばねのそれぞれに、同様のショットピーニング処理を施し、コイルばねの表面に残留応力を導入した。
図5は、コイルばねの素線表面からの距離(深さ)と、コイルばねの残留応力の応力振幅との関係を示す図である。本実施例では、図5に示す残留応力501がコイルばねに導入されている。
前述した材料で形成したコイルばねと同様の材料を用いて軸力によって疲労試験ができるように平行部の直径が3.3[mm]の丸棒疲労試験片を40本作成した。尚、この丸棒疲労試験片にはショットピーニングによる残留応力導入処理は行わない。この40本の丸棒疲労試験片(素材疲労試験片)を用いて応力比R=−1の疲労試験を行った。そして、40本の疲労試験片の断面のそれぞれについて、介在物寸法√areamaxを測定した。ここでは、疲労破壊部の起点となっている介在物の形状を破断面に投影し楕円で近似した面積の平方根をとったものを、介在物寸法√areamaxとして測定した。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、このようにして測定された介在物寸法√areamax,jを入力し、(3)式及び(4)式から、累積確率Fj(√areamax,j)と、基準化変数yjとを計算する。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、入力した介在物寸法√areamax,jを小さいものから順に並べ、介在物寸法√areamaxを横軸の値とすると共に、累積確率F(√areamax)と基準化変数yとを縦軸の値として、最尤法による直線近似を用いて、これらの関係を示す最大介在物確率分布関数を推定する。
図6は、累積確率F(√areamax)及び基準化変数yと、介在物寸法√areamaxとの関係を示す図である。本実施例では、図6に示す最大介在物確率分布関数(直線)601が得られた。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、最大介在物確率分布関数601から、尺度パラメータαと位置パラメータλとを導出した。ここでは、図6に示すように、入力した介在物寸法√areamaxをリニアで表示、累積確率F(√areamax)を二重対数で表示すると、直線的な分布が得られたため、この分布は、形状パラメータξが0(ξ=0)、つまりGumbel型の極値分布と考え、(1b)式を用いて、最大介在物確率分布関数のパラメータを推定した。
本実施例では、コイルばねに定荷重振幅を繰り返し与えて当該コイルばねを使用した際の当該コイルばねの疲労破壊の可能性について検討した。
本実施例では、荷重条件P(最大せん断応力がばね表面の公称最大せん断応力τmaxとなり、且つ、最小せん断応力がばね表面の公称最大せん断応力τmaxの1/4となるようにコイルばねの伸縮方向に荷重をかけるという荷重条件)に基づいて作用応力の応力振幅σの(コイルばねにおける)分布を導出すると共に、残留応力の(コイルばねにおける)分布を入力してこれらを合成することによって、コイルばねの内部応力の応力振幅を求め、その分布から、コイルばねの内部の各位置における、最大主応力の平均と振幅とを求め、更に、それらから、応力比Rを求めるようにした。本実施例では、コイルばねには、繰り返し荷重による繰り返しねじりと残留応力だけが働くとし、且つ、残留応力σrは素線の半径方向には働かないとして、最大主応力の最大σp1と最小σp2は、それぞれ以下の(10)式、(11)式で表されるものとする。また、応力比Rは、以下の(12)式で表されるものとする。
疲労強度導出部202は、その大きさの介在物が存在する可能性と、評価する部材の応力レベルとを考慮して疲労強度を超える可能性のある介在物寸法√areamaxを想定し、介在物寸法√areamaxを10[μm]から50[μm]の範囲で0.5[μm]〜1[μm]の間隔で異ならせて、当該介在物寸法√areamaxである場合に(12)式で与えられる応力比Rと、ビッカース硬度Hvとを(5)式に代入することにより疲労強度の応力振幅σwを導出した。
σp1={(σ1+σθ)/2}+√[{(σ1−σθ)/2}2+τ2]=σr+τ ・・・(10)
σp2={(σ1+σθ)/2}+√[{(σ1−σθ)/2}2+(τ/4)2]=σr+τ/4 ・・・(11)
R=(σr+τ/4)/(σr+τ) ・・・(12)
(10)式〜(12)式において、σ1は、コイルばねの軸方向の応力振幅[N/mm2]であり、σθは、コイルばねの周方向の応力振幅[N/mm2]であり、τは、コイルばねのせん断応力[N/mm2]を示しており、コイルばねの素線の軸心からの距離の関数として表せる。
本実施例の作用せん断応力の応力振幅τa(r)は相当応力による作用応力の応力振幅σに書き直すと、以下の(13)式となる。作用応力振幅導出部203は、この(13)式により、作用応力の応力振幅σを導出する。
σ=√3・(σp1−σp2)/2=√3・(τ−τ/4)/2=(3/4)・√3・τa(r) ・・・(13)
図7は、以上のようにして推定疲労強度導出部202により導出された疲労強度の応力振幅σw、及び作用応力振幅導出部203により導出された作用応力の応力振幅σと、コイルばねの素線表面からの距離との関係を示す図である。図7は、コイルばねの表面でのある公称最大せん断応力τで導出された「疲労強度の応力振幅σwのグラフ701と作用応力の応力振幅σのグラフ702」とを示している。本実施例では、最大せん断応力が、コイルばねの表面での公称最大せん断応力τmax(850[MPa]、900[MPa]、950[MPa]、1000[MPa])であり、且つ、最小せん断応力が、コイルばねの表面での公称最大せん断応力τmaxの1/4(212.5[MPa]、225[MPa]、237.5[MPa]、250[MPa])である場合の作用せん断応力の応力振幅τa(r)のそれぞれについて、図7に示すような作用応力の応力振幅σを導出した。
疲労強度超過領域導出部204は、「コイルばねの素線表面からの各距離での疲労強度の応力振幅σwと荷重条件Pにおけるコイルばねの素線表面からの各距離での作用応力の応力振幅σ」の「同一の位置における値」を比較して、荷重条件Pで繰り返し荷重をかけた場合に、素線各位置において、作用応力の応力振幅σが疲労強度の応力振幅σwを超える「コイルばねの領域の面積S(P,√areamax)」を導出する。具体的に説明すると、図7において、疲労強度超過領域導出部204は、疲労強度の応力振幅σwを示すグラフ701と、作用応力の応力振幅σを示すグラフ702とを比較し、前述した荷重条件Pでコイルばねの伸縮方向に繰り返し荷重をかけた場合に、作用応力の応力振幅σが疲労強度の応力振幅σwを超える「コイルばねの素線表面からの距離の範囲703」を素線各位置で導出する。そして、疲労強度超過領域導出部204は、コイルばねの素線をその素線の周回方向(螺旋方向)に直交する方向から切ったときの当該素線の断面において、コイルばねの素線表面からの距離の範囲703の領域の面積を、面積S(P,√areamax)として導出する。
前述したように、介在物寸法√areamaxを10[μm]から50[μm]の範囲で0.5[μm]〜1[μm]の間隔で異ならせたときの疲労強度の応力振幅σwが導出される。よって、本実施例では、1つの公称最大せん断応力τに対し、疲労強度の応力振幅σwを導出するために採用した介在物寸法√areamaxの数だけ、面積S(P,√areamax)が導出される。
指標導出部205は、最大寸法介在物分布関数導出部201によって図6に示す最大介在物確率分布関数601から導出された「尺度パラメータαと位置パラメータλ」を(2)式に代入して確率分布関数f(√areamax)を設定する。そして、指標導出部205は、介在物寸法√areamax毎の面積Sから、面積Sと介在物寸法√areamaxとの関係を示す関数S(√areamax)を導出する。そして、指標導出部205は、確率分布関数f(√areamax)とこの関数S(√areamax)とを掛け合わせた関数fS(√areamax)を導出する。
図8は、確率分布関数f(√areamax)を表すグラフ801と、面積割合sと介在物寸法√areamaxとの関係を示す関数s(√areamax)を表すグラフ802と、確率分布関数f(√areamax)とこの関数s(√areamax)とを掛け合わせた関数fs(√areamax)を表すグラフ803とを示す図である。ここで、面積割合sは、面積S(P,√areamax)を、コイルばねの素線をその素線の周回方向(螺旋方向)に直交する方向から切ったときの当該素線の断面の断面積S0[μm2]で割った値である。
指標導出部205は、関数fS(√areamax)を、介在物寸法√areamaxの確率分布が存在している範囲全域を積分範囲として、部品の介在物寸法√areamaxで積分する。そして、指標導出部205は、積分した結果(すなわち、図8のグラフ803の面積と、前記素線の断面の断面積S0[μm2]とを掛け合わせた値を、コイルばねの素線をその素線の周回方向(螺旋方向)に積分した値)を、コイルばねの素線をその素線の周回方向に直交する方向から切ったときの当該素線の全体積で割った値に100を掛けた値を、指標FS(P)[%]として導出した。この指標FS(P)は、前述したばね表面の公称最大せん断応力τmaxから定まるせん断応力の応力振幅でコイルばねの伸縮方向に107回繰り返し荷重をかけた場合に素線の各位置に繰り返し作用するせん断応力の応力振幅τa(r)に対する「コイルばねの危険面積」の大きさを示す指標である。
ここで、面積S(P,√areamax)は、部品(コイルばね)の大きさに比例して変動し得る。本実施例では、巻き数が30及び6のコイルばねを作成している。そこで、巻き数が30のコイルばねについては、積分した結果(すなわち図8のグラフ803の面積)を、コイルばねの素線をその素線の周回方向に直交する方向から切ったときの当該素線の断面の断面積S0で割った値に5を掛けた値を指標FS(P)として導出した。一方、巻き数が5のコイルばねについては、前述したように、積分した結果(すなわち図8のグラフ803の面積)を、コイルばねの素線をその素線の周回方向に直交する方向から切ったときの当該素線の断面の断面積S0で割った値を指標FS(P)として導出した。
そして、本実施例では、以上の指標FS(P)の導出を、ばね表面での公称最大せん断応力τmaxが、850[MPa]、900[MPa]、950[MPa]、1000[MPa]のそれぞれについて行った。
図9は、指標FS(P)とばね表面での公称最大せん断応力τmaxとの関係を示す図である。図9において、グラフ901が、巻き数が30のコイルばねについてのグラフであり、グラフ902が、巻き数が6のコイルばねについてのグラフである。
次に、前述したコイルばねと同一のコイルばねについて疲労破壊試験を行った。
まず、コイルばねの表面の最大せん断応力を1000[MPa]にすると共に、最小せん断応力を250[MPa]として、107[回]の繰り返し載荷試験を行った。その結果、巻き数が30のコイルばねでは、30本中30本が破断した。一方、巻き数が6のコイルばねでは、30本中6本が破断した。
次に、コイルばねの表面の最大せん断応力を950[MPa]にすると共に、最小せん断応力を237.5[MPa]として、107[回]の繰り返し載荷試験を行った。その結果、巻き数が30のコイルばねでは、30本中6本が破断した。一方、巻き数が6のコイルばねでは、30本中1本が破断した。
次に、コイルばねの表面の最大せん断応力を900[MPa]にすると共に、最小せん断応力を225[MPa]として、107[回]の繰り返し載荷試験を行った。その結果、巻き数が30のコイルばねでは、60本中1本が破断した。一方、巻き数が6のコイルばねでは、60本中0本が破断した。
次に、コイルばねの表面の最大せん断応力を850[MPa]にすると共に、最小せん断応力を212.5[MPa]として、107[回]の繰り返し載荷試験を行った。その結果、巻き数が30のコイルばねでは、60本中0本が破断した。一方、巻き数が6のコイルばねでは、60本中0本が破断した。
図10は、以上の疲労破壊試験の結果から得られた、破断本数と、最大せん断応力τmaxとの関係を示す図である。図10において、グラフ1001が、巻き数が30のコイルばねについてのグラフであり、グラフ1002が、巻き数が6のコイルばねについてのグラフである。
図9と図10から、最大せん断応力τmaxが900[MPa]を境にして、指標FS(P)と破断本数が共に急激に大きくなる傾向となっており、指標FS(P)と破断本数とが同じ傾向を示すことが分かる。よって、指標FS(P)によって、コイルばねの介在物を起点とする疲労折損頻度の傾向を予測することができることが分かる。
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。実施例2では、曲げモーメントを負荷しつつ、回転させ、軸心から表面方向に大きくなる軸方向引張の繰り返し応力を発生させる回転曲げ試験を行った場合の実施例を説明する。
本実施例では、その表面に圧縮残留応力が導入されている丸棒試験片を用いた。丸棒試験片を構成する材料として、JISでばね鋼として規定されているSUP12(シリコンクロム鋼)を用いた。この材料のビッカース硬さHvは550である。
本実施例では、この材料で、平行部の長さが10[mm]及び50[mm]、平行部の径が4[mm]、掴み部の径が12[mm]の丸棒試験片を作成した。これらの丸棒試験片のそれぞれに、同様のショットピーニング処理を施し、丸棒試験片の表面に残留応力を導入した。
図11は、丸棒試験片の表面からの距離(深さ)と、丸棒試験片の残留応力の応力振幅との関係を示す図である。本実施例では、図11に示す残留応力1101が丸棒試験片に導入されている。
前述した材料で形成した「試験片くびれ部の直径が3[mm]の超音波疲労試験用の砂時計形試験片」を30本作成した。尚、この砂時計形試験片にはショットピーニングによる残留応力導入処理は行わない。これら30本の砂時計形試験片(素材疲労試験片)を用いて超音波疲労試験を行った。そして、30本の疲労試験片の断面のそれぞれについて、介在物寸法√areamaxを測定した。ここでは、疲労破壊部の起点となっている介在物の形状を破断面に投影し楕円で近似した面積の平方根をとったものを、介在物寸法√areamaxとして測定した。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、このようにして測定された介在物寸法√areamax,jを入力し、(3)式及び(4)式から、累積確率Fj(√areamax,j)と、基準化変数yjとを計算する。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、入力した介在物寸法√areamax,jを小さいものから順に並べ、介在物寸法√areamaxを横軸の値とすると共に、累積確率F(√areamax)と基準化変数yとを縦軸の値として、最小二乗法を用いて、これらの関係を示す最大介在物確率分布関数を推定する。ここでは、入力した介在物寸法√areamaxをリニアで表示し、累積確率F(√areamax)を二重対数で表示すると、(実施例1と同様に)直線的な分布が得られたため、この分布は、形状パラメータξが0(ξ=0)、つまりGumbel型の極値分布であると考え、(1b)式を用いて、最大介在物確率分布関数のパラメータを推定した。その結果、尺度パラメータαとして2.9が導出され、位置パラメータλとして19が導出された。
本実施例では、試験片表面応力振幅が、690[MPa]、720[MPa]、750[MPa]となるように、小野式回転曲げ試験機により、3000[rpm]の回転数で回転曲げ試験を行うという荷重条件Pで回転曲げ試験を行った。推定疲労強度部202は、その大きさの介在物が存在する可能性と、評価する部材の応力レベルとを考慮して疲労強度を超える可能性のある介在物寸法√areamaxを想定し、介在物寸法√areamaxを7[μm]から65[μm]の範囲で1[μm]の間隔で異ならせて、当該介在物寸法√areamaxである場合に(14)式で与えられる応力比Rと、ビッカース硬度Hv(=550)とを(5)式に代入することにより疲労強度の応力振幅σwを導出した。また、作用応力振幅導出部203は、前述した荷重条件Pで丸棒試験片に繰り返し荷重を与えた場合の「各介在物寸法√areamax、丸棒試験片の各位置における作用応力σの応力振幅」を導出した。
R={−x×(σsuf/2)+σrs(x)}/{x×(σsuf/2)+σrs(x)} ・・・(14)
(14)式においてxは、丸棒試験片の中心からの距離[mm]であり、σsufは、丸棒試験片の表面での公称最大応力の応力振幅[N/mm2]であり、σrs(x)は、距離xにおける残留応力の応力振幅[N/mm2]である。
そして、疲労強度超過領域導出部204は、「丸棒試験片の表面からの各距離での疲労強度の応力振幅σwと荷重条件Pにおける丸棒試験片の表面からの各距離での作用応力の応力振幅σ」の値を比較して、荷重条件Pで繰り返し荷重をかけた場合の各位置での作用応力の応力振幅σが疲労強度の応力振幅σwを超える「丸棒試験片の領域の体積S(P,√areamax)」を導出する。本実施例では、1つの試験片表面応力振幅に対し、疲労強度の応力振幅σwを導出するために採用した介在物寸法√areamaxと対応して、体積S(P,√areamax)が導出される。尚、以下の説明では、「体積S(P,√areamax)」を「体積S」、「S(√areamax)」と称することがある。
指標導出部205は、最大寸法介在物分布関数導出部201によって導出された「尺度パラメータαと位置パラメータλ」を(2)式に代入して確率分布関数f(√areamax)を設定する。そして、指標導出部205は、介在物寸法√areamax毎の体積Sから、体積Sと介在物寸法√areamaxとの関係を示す関数S(√areamax)を導出する。そして、指標導出部205は、確率分布関数f(√areamax)とこの関数S(√areamax)とを掛け合わせた関数fS(√areamax)を導出する。指標導出部205は、関数fS(√areamax)を、介在物寸法√areamaxの確率分布が存在している範囲全域を積分範囲として、部品の介在物寸法√areamaxで積分する。そして、指標導出部205は、積分した結果を、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片の当該平行部の体積で割った値に100を掛けた値を、指標FS(P)[%]として導出した。このように本実施例では、平行部の長さが10[mm]、50[mm]の丸棒試験片に対する指標FS(P)として、平行部の長さが相対的に小さい(平行部の長さが10[mm]の)丸棒試験片の当該平行部の体積で正規化した値を導出する。また、この指標FS(P)は、前述した試験片表面応力振幅で107回繰り返し荷重をかけて回転曲げ試験を行った場合に丸棒試験片の各位置に繰り返し作用する作用応力σに対する「丸棒試験片の危険体積」の大きさを示す指標である。
そして、本実施例では、以上の指標FS(P)の導出を、試験片表面応力振幅が、690[MPa]、720[MPa]、750[MPa]のそれぞれの場合について行った。
次に、前述した丸棒試験片と同一の丸棒試験片について前述した条件で回転曲げ試験を行った。
まず、丸棒試験片の表面の応力振幅を690[MPa]として、107[回]の繰り返し回転曲げ試験を行った。その結果、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片では、30本中0本が破断した(1本も破断しなかった)。一方、平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片では、30本中0本が破断した(1本も破断しなかった)。
次に、丸棒試験片の表面の応力振幅を720[MPa]として、107[回]の繰り返し回転曲げ試験を行った。その結果、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片では、30本中1本が破断した。一方、平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片では、30本中5本が破断した。
次に、丸棒試験片の表面の応力振幅を720[MPa]として、107[回]の繰り返し回転曲げ試験を行った。その結果、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片では、30本中4本が破断した。一方、平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片では、30本中16本が破断した。
図12は、以上のようにして得られた、指標FS(P)及び破断本数と、試験片表面応力振幅との関係を示す図である。図12において、グラフ1201が、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片における指標FS(P)を示し、グラフ1202が、平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片における指標FS(P)を示す。また、グラフ1203が、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片における破断本数を示し、グラフ1204が平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片における破断本数を示す。
図12に示すように、グラフ1201及びグラフ1203の傾向と、グラフ1202及びグラフ1204の傾向は概ね一致している。したがって、回転曲げ試験による疲労破壊の結果を指標FS(P)により推定可能であり、破壊に及ぼす丸棒試験片の体積の影響も明確にできることが分かる。
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。本実施例では、実施例2と同様に、曲げモーメントを負荷しつつ、回転させ、軸心から表面方向に大きくなる軸方向引張の繰り返し応力を発生させる回転曲げ試験を行った場合の実施例を説明する。
本実施例でも、その表面に実施例2とほぼ同等の圧縮残留応力が導入されている丸棒試験片を用いた。丸棒試験片を構成する材料は実施例2と同様の規格材を用いた。ただし、実施例2で使用した材料のビッカース硬さHvは550であるのに対し、この材料のビッカース硬さHvは530である。
本実施例でも、この材料で、平行部の長さが10[mm]及び50[mm]、平行部の径が4[mm]、掴み部の径が12[mm]の丸棒試験片を作成した。これらの丸棒試験片のそれぞれに、同様のショットピーニング処理を施し、丸棒試験片の表面に実施例2と同様の残留応力を導入した(図11を参照)。
前述した材料で形成した「試験片くびれ部の直径が3[mm]の超音波疲労試験用の砂時計形試験片」を30本作成し、これら30本の砂時計形試験片(素材疲労試験片)を用いて超音波疲労試験を行い、最大寸法介在物分布関数の導出を行った。
実施例2と同様に、これら30本の疲労試験片の断面のそれぞれについて、介在物寸法√areamaxを測定した。ここでは、疲労破壊部の起点となっている介在物の形状を破断面に投影し楕円で近似した面積の平方根をとったものを、介在物寸法√areamaxとして測定した。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、このようにして測定された介在物寸法√areamax,jを入力し、(3)式及び(4)式から、累積確率Fj(√areamax,j)と、基準化変数yjとを計算する。
最大寸法介在物分布関数導出部201は、入力した介在物寸法√areamax,jを小さいものから順に並べ、介在物寸法√areamaxを横軸の値とすると共に、累積確率F(√areamax)と基準化変数yとを縦軸の値として、これらの関係を示す最大介在物確率分布関数を推定する。実施例2では、最大介在物確率分布関数の推定を、ξ=0として最小二乗法を用いて直線近似を行ったが、本実施例では、最大介在物確率分布関数の推定を、最尤法を用いて行った。また、ここでは、入力した介在物寸法√areamaxをリニアで表示し、累積確率F(√areamax)を二重対数で表示すると、最大介在物寸法√areamaxが頭打ちになっていく傾向が見られたため、この分布は、形状パラメータξが負の値(ξ<0)、つまりWeibull型の極値分布であると考え、(1a)式を用いて、最大介在物分布関数のパラメータを推定した。その結果、尺度パラメータαとして3.2が導出され、位置パラメータλとして23が導出され、形状パラメータξとして−0.1が導出された。
本実施例では、試験片表面応力振幅が、650[MPa]、680[MPa]、710[MPa]となるように、小野式回転曲げ試験機により、3000[rpm]の回転数で回転曲げ試験を行うという荷重条件Pで回転曲げ試験を行った。推定疲労強度部202は、実施例2と同様に、介在物寸法√areamaxを7[μm]から65[μm]の範囲で1[μm]の間隔で異ならせて、当該介在物寸法√areamaxである場合に(14)式で与えられる応力比Rと、ビッカース硬度Hv(=530)とを(5)式に代入することにより疲労強度の応力振幅σwを導出した。また、作用応力振幅導出部203は、前述した荷重条件Pで丸棒試験片に繰り返し荷重を与えた場合の「各介在物寸法√areamax、丸棒試験片の各位置における作用応力σの応力振幅」を導出した。
そして、疲労強度超過領域導出部204は、「丸棒試験片の表面からの各距離での疲労強度の応力振幅σwと荷重条件Pにおける丸棒試験片の表面からの各距離での作用応力の応力振幅σ」の値を比較して、荷重条件Pで繰り返し荷重をかけた場合の各位置での作用応力の応力振幅σが疲労強度の応力振幅σwを超える「丸棒試験片の領域の体積S(P,√areamax)」を導出する。本実施例でも、実施例2と同様に、1つの試験片表面応力振幅に対し、疲労強度の応力振幅σwを導出するために採用した介在物寸法√areamaxの数だけ、体積S(P,√areamax)が導出される。尚、以下の説明では、「体積S(P,√areamax)」を「体積S」、「S(√areamax)」と称することがある。
指標導出部205は、最大寸法介在物分布関数導出部201によって導出された「尺度パラメータαと位置パラメータλ」を(2)式に代入して確率分布関数f(√areamax)を設定する。そして、指標導出部205は、介在物寸法√areamax毎の体積Sから、体積Sと介在物寸法√areamaxとの関係を示す関数S(√areamax)を導出する。そして、指標導出部205は、確率分布関数f(√areamax)とこの関数S(√areamax)とを掛け合わせた関数fS(√areamax)を導出する。指標導出部205は、関数fS(√areamax)を、介在物寸法√areamaxの確率分布が存在している範囲全域を積分範囲として、部品の介在物寸法√areamaxで積分する。そして、指標導出部205は、積分した結果を、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片の当該平行部の体積で割った値に100を掛けた値を、指標FS(P)[%]として導出した。このように本実施例でも、第2の実施例と同様に、平行部の長さが10[mm]、50[mm]の丸棒試験片に対する指標FS(P)として、平行部の長さが相対的に小さい(平行部の長さが10[mm]の)丸棒試験片の当該平行部の体積で正規化した値を導出する。
そして、本実施例でも、実施例2と同様に、以上の指標FS(P)の導出を、試験片表面応力振幅が、690[MPa]、720[MPa]、750[MPa]のそれぞれの場合について行った。
次に、前述した丸棒試験片と同一の丸棒試験片について前述した条件で回転曲げ試験を行った。
まず、丸棒試験片の表面の応力振幅を650[MPa]として、107[回]の繰り返し回転曲げ試験を行った。その結果、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片では、30本中0本が破断した(1本も破断しなかった)。一方、平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片では、30本中0本が破断した(1本も破断しなかった)。
次に、丸棒試験片の表面の応力振幅を680[MPa]として、107[回]の繰り返し回転曲げ試験を行った。その結果、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片では、30本中1本が破断した。一方、平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片では、30本中5本が破断した。
次に、丸棒試験片の表面の応力振幅を710[MPa]として、107[回]の繰り返し回転曲げ試験を行った。その結果、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片では、30本中5本が破断した。一方、平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片では、30本中18本が破断した。
図13は、以上のようにして得られた、指標FS(P)及び破断本数と、試験片表面応力振幅との関係を示す図である。図13において、グラフ1301が、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片における指標FS(P)を示し、グラフ1302が、平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片における指標FS(P)を示す。また、グラフ1303が、平行部の長さが10[mm]の丸棒試験片における破断本数を示し、グラフ1304が平行部の長さが50[mm]の丸棒試験片における破断本数を示す。
図13に示すように、グラフ1301及びグラフ1303の傾向と、グラフ1302及びグラフ1304の傾向は概ね一致している。したがって、回転曲げ試験による疲労破壊の結果を指標FS(P)により推定可能であり、破壊に及ぼす丸棒試験片の体積の影響も明確にできることが分かる。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、又はかかるプログラムを伝送する伝送媒体も本発明の実施の形態として適用することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体などのプログラムプロダクトも本発明の実施の形態として適用することができる。前記のプログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100 部品の疲労破壊評価装置
201 最大寸法介在物分布関数導出部
202 推定疲労強度導出部
203 作用応力振幅導出部
204 疲労強度超過領域導出部
205 指標導出部
206 指標出力部

Claims (7)

  1. 繰り返し荷重を与えたときの機械部品の内部の疲労を評価する部品の疲労破壊評価装置であって、
    前記機械部品の内部に存在する介在物のうち、基準体積中で最大である介在物の形状を平面に投影して得られる介在物の断面積の平方根をとった値、又は、前記機械部品の内部に存在する介在物のうち、基準体積中で最大である介在物の形状を所定の図形に近似させた場合の当該図形の代表的な寸法から得られる介在物の断面積の推定値の平方根をとった値である介在物寸法の値を複数入力し、入力した複数の介在物寸法に基づいて、前記介在物寸法の前記機械部品における最大値分布が一般極値分布に従うものとして、前記介在物寸法の確率分布関数を導出する最大寸法介在物分布関数導出手段と、
    前記介在物寸法と、前記機械部品の硬さ又は前記機械の部品の材料の強度と、前記機械部品の応力比の値をそれぞれ入力し、前記機械部品に存在する介在物を起点とする疲労強度であって、繰り返し負荷する所定の荷重の所定の繰り返し数に対する疲労強度として、前記介在物寸法と、前記機械部品の硬さ又は前記機械の部品の材料の強度と、前記機械部品の応力比とで表される疲労強度の式に、入力した値を代入して、前記機械部品の各位置における当該疲労強度を導出する推定疲労強度導出手段と、
    予め設定された荷重条件で繰り返し荷重を前記機械部品に与えたときに前記機械部品の内部の各位置に作用する作用応力の応力振幅を導出する作用応力導出手段と、
    前記推定疲労強度導出手段により導出された疲労強度と、前記作用応力導出手段により導出された作用応力の応力振幅とを比較した結果に基づいて、前記機械部品の領域のうち、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさを導出する疲労強度超過領域導出手段と、
    前記介在物寸法の確率分布関数と、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさとの積に基づいて、前記機械部品の内部の疲労を評価するための指標を導出する指標導出手段と、
    前記指標導出手段により導出された指標を出力する指標出力手段と、
    を有することを特徴とする部品の疲労破壊評価装置。
  2. 前記指標導出手段は、前記介在物寸法の確率分布関数と、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさとの積を、前記介在物寸法の確率分布が存在している範囲全域を積分範囲として、部品の介在物寸法で積分した値を前記指標として導出することを特徴とする請求項1に記載の部品の疲労破壊評価装置。
  3. 前記作用応力は、前記機械部品の各位置での相当応力の振幅、又は、前記機械部品の各位置での主応力の変動が最大となる方向での主応力の振幅であり、
    前記応力比は、前記機械部品の各位置での相当応力の応力比、又は、前記機械部品の各位置での主応力の変動が最大となる方向での主応力の応力比であることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品の疲労破壊評価装置。
  4. 繰り返し荷重を与えたときの機械部品の内部の疲労を、コンピュータを用いて評価する部品の疲労破壊評価方法であって、
    前記機械部品の内部に存在する介在物のうち、基準体積中で最大である介在物の形状を平面に投影して得られる介在物の断面積の平方根をとった値、又は、前記機械部品の内部に存在する介在物のうち、基準体積中で最大である介在物の形状を所定の図形に近似させた場合の当該図形の代表的な寸法から得られる介在物の断面積の推定値の平方根をとった値である介在物寸法の値を複数入力し、入力した複数の介在物寸法に基づいて、前記介在物寸法の前記機械部品における最大値分布が一般極値分布に従うものとして、前記介在物寸法の確率分布関数を導出する最大寸法介在物分布関数導出工程と、
    前記介在物寸法と、前記機械部品の硬さ又は前記機械の部品の材料の強度と、前記機械部品の応力比の値をそれぞれ入力し、前記機械部品に存在する介在物を起点とする疲労強度であって、繰り返し負荷する所定の荷重の所定の繰り返し数に対する疲労強度として、前記介在物寸法と、前記機械部品の硬さ又は前記機械の部品の材料の強度と、前記機械部品の応力比とで表される疲労強度の式に、入力した値を代入して、前記機械部品の各位置における当該疲労強度を導出する推定疲労強度導出工程と、
    予め設定された荷重条件で繰り返し荷重を前記機械部品に与えたときに前記機械部品の内部の各位置に作用する作用応力の応力振幅を導出する作用応力導出工程と、
    前記推定疲労強度導出工程により導出された疲労強度と、前記作用応力導出工程により導出された作用応力の応力振幅とを比較した結果に基づいて、前記機械部品の領域のうち、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさを導出する疲労強度超過領域導出工程と、
    前記介在物寸法の確率分布関数と、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさとの積に基づいて、前記機械部品の内部の疲労を評価するための指標を導出する指標導出工程と、
    前記指標導出工程により導出された指標を出力する指標出力工程と、
    を有することを特徴とする部品の疲労破壊評価方法。
  5. 前記指標導出工程は、前記介在物寸法の確率分布関数と、前記作用応力の応力振幅が前記疲労強度を超える領域の大きさとの積を、前記介在物寸法の確率分布が存在している範囲全域を積分範囲として、部品の介在物寸法で積分した値を前記指標として導出することを特徴とする請求項4に記載の部品の疲労破壊評価方法。
  6. 前記作用応力は、前記機械部品の各位置での相当応力の振幅、又は、前記機械部品の各位置での主応力の変動が最大となる方向での主応力の振幅であり、
    前記応力比は、前記機械部品の各位置での相当応力の応力比、又は、前記機械部品の各位置での主応力の変動が最大となる方向での主応力の応力比であることを特徴とする請求項4又は5に記載の部品の疲労破壊評価方法。
  7. 請求項4〜6の何れか1項に記載の部品の疲労破壊評価方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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