JP5121593B2 - 機器寿命評価方法および機器寿命評価システム - Google Patents

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Description

本発明は、機器寿命評価技術に属し、特に、機器寿命評価方法および機器寿命評価システムに関する。
たとえば、高温機器である蒸気タービンにおいては、高速で流動する高温蒸気によって回転力を得ているため、特に高温の蒸気が流入する部位にあっては損傷或いは変形が生じやすい。近年の発電プラントの大容量化に伴い、タービン作動流体量の増大や高温高圧化する傾向にある。このため、これら高温高圧の蒸気にさらされている機器にあっては、高温高圧下で作用する応力により材料自体の劣化と共に様々な亀裂や変形が引き起こされ、機器全体の破壊が懸念される。そのため、従来、機器の損傷特にクリープ疲労損傷を評価する方法が提案されてきた(たとえば、特許文献1、2、3参照)。
特開2002-156325号公報 特開平7-5086号公報 特開2007-256042号公報
従来の機器寿命評価技術では、クリープボイドや硬さなどの非破壊的な方法或いはFEM解析などの解析的な方法が用いられ、クリープ変形による損傷の分散が無視されていた。すなわち、従来の機器寿命評価技術では、瞬間的な局部的評価に基づき機器のクリープ損傷が評価され、疲労損傷との重畳効果については評価されていなかった。このため、近年の発電プラント大容量化など機器使用環境の過酷化とも相俟って、機器寿命評価の高精度化が求められていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、クリープ疲労損傷による機器の構造損傷を高精度に行うことができ、もって高精度の機器寿命評価を行える機器寿命評価方法および機器寿命評価システムを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る機器寿命評価方法では、クリープ或いは疲労に基づく機器の構造損傷による機器寿命を評価する機器寿命評価方法において、クリープ或いは疲労に基づく機器の構造損傷を微小亀裂の進展とみなして、この微小亀裂の進展を予測することにより、機器寿命の評価を行う処理をコンピュータに実行させる機器寿命評価方法であり、前記微小亀裂の進展は、繰り返し非弾性ひずみを、塑性変形に基づくひずみとクリープ変形に基づくひずみとに分け、前記各ひずみの変化と亀裂長さの1/2乗との積として算出されたひずみ拡大係数、に従って予測されるものであり、このひずみ拡大係数に従って前記機器寿命の評価を行うことを特徴とする。
また、本発明に係る機器寿命評価システムでは、クリープ或いは疲労に基づく機器の構造損傷による機器寿命を評価する演算部を備えた機器寿命評価システムにおいて、前記演算部は、クリープ或いは疲労に基づく機器の構造損傷を微小亀裂の進展とみなして、この微小亀裂の進展を予測することにより、機器寿命の評価を行い、前記微小亀裂の進展は、繰り返し非弾性ひずみを、塑性変形に基づくひずみとクリープ変形に基づくひずみとに分け、前記各ひずみの変化と亀裂長さの1/2乗との積として算出されたひずみ拡大係数、に従って予測され、前記演算部は、このひずみ拡大係数に従って前記機器寿命の評価を行うことを特徴とする。
本発明によれば、クリープ疲労損傷による機器の構造損傷を高精度に行うことができ、もって高精度の機器寿命評価を行える。
本発明に係る機器寿命評価システムおよび機器寿命評価方法の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は機器寿命評価システムの第1実施形態を示すシステム構成図である。
本実施形態の機器寿命評価システム10は、図1に示すように、演算装置11と、運転履歴データベース12と、表面性状データベース13と、入力装置14と、表示装置15と、を備える。なお、機器寿命評価システム10は、パーソナルコンピュータを用いて構成される。
機器寿命評価システム10の演算装置11は、クリープ疲労損傷に基づく機器寿命評価処理を実行する演算部を有する。運転履歴データベース12および表面性状データベース13は、この機器寿命評価処理を実行するために必要な初期値などのパラメータを記録するものであり、大容量記録装置を用いて構成される。入力装置14は、演算装置11に対するデータ入力・選択を支援するものであり、ポインティングデバイスやキーボードを用いて構成される。表示装置15は、演算装置11による機器寿命評価処理の結果表示などに供される。
以下、機器寿命評価システム10の演算部にて実行される機器寿命評価処理について説明する。
図2は機器寿命評価システム10の演算部にて実行される機器寿命評価処理の流れを示すフローチャートである。以下、この機器寿命評価処理における各ステップについて説明する。
ステップS101は、寿命評価の対象となる高温機器を選定するステップである。この高温機器の選定は、機器寿命評価システム10のオペレータにより入力装置14を介して行われる。
ステップS102は、ステップS101で選定された高温機器の部材形状、温度、圧力、回転数などの高温機器データを運転履歴データベース12(図1参照)から取得するステップである。
ステップS103は、ステップS101で選定された高温機器の起動・停止や連続運転時間などの運転履歴データを運転履歴データベース12(図1参照)から取得するステップである。
ステップS104は、ステップS102およびステップS103で取得した機器データおよび運転履歴データに基づき、ステップS102で選定された機器について有限要素法(以下、FEM)により応力とひずみの解析を実施する。
ステップS105は、ステップS104の解析の結果に基づき、ひずみや応力が高い部材の注目評価部位に対し、負荷変動時のひずみ変化Δεpを算出するステップである。なお、負荷変動によるひずみ変化Δεpとしては、起動停止時の非定常熱応力や遠心力などがある。
ステップS106は、ステップS104の解析の結果に基づき、ひずみや応力が高い部材の注目評価部位に対し、定常負荷時のひずみ変化Δεcを算出するステップである。なお、定常負荷時のひずみ変化Δεcとしては、一定負荷状態での熱応力、遠心力、圧力などがある。
ここで、ステップS105ならびにステップS106で算出されるひずみ変化の特性について説明する。負荷変動によるひずみ変化Δεpは、機器の全寿命に至って同一荷重下で発生するひずみに関しては大きな変化はない。一方、定常負荷時のひずみ変化Δεcは、クリープ変形の時間に対する非線形性がある。すなわち、定常負荷時のひずみ変化Δεcは、初期に生ずるひずみに関しては大きくなるが時間の経過と共に次第に小さくなる傾向がある。このように、負荷変動によるひずみ変化Δεpや定常負荷時のひずみ変化Δεcは、時間依存性を考慮して算出する必要がある。
図3は機器の被荷重部位で見られる負荷と応力の応答性を示す模式図である。機器の最初の起動時にあっては、応力と共にひずみが上昇して塑性変形が起こる。定常負荷状態にあっては、遠心力などの荷重は一定であるが定常負荷によりクリープ変形が生ずるため、局部的に応力が低下する応力緩和現象の現れと共にクリープひずみ変化Δεcが生ずる。運転停止時にあっては、応力やひずみが低下して圧縮側で塑性変形することにより、負荷変動に基づくひずみ変化Δεpが生ずる。
図4は応力ひずみサイクルを応力ひずみ線図上に示した図である。負荷の初期状態では、ひずみが絶えず変化しているため閉じた曲線にならないものの寿命の半分以降の繰り返しにおいてはほぼ一定とみなすことができる。このため、図4では応力ひずみのループを閉じた曲線で示している。応力とひずみは、図4に示すように、機器の起動時にあっては共に圧縮状態にあり、起動時に作用する負荷により引張側の値となって一定の応力ひずみ状態となる。やがて負荷が一定になると、ひずみが一定となると共にクリープ変形が進行することにより、応力が低下すると共に応力の低下分だけクリープひずみ変化Δεcが発生する。次の機器停止時においては、応力およびひずみは、共に大きく低下する。なお、負荷変動によるひずみ変化Δεpは、応力ひずみループの非弾性ひずみ変化からクリープひずみ変化Δεcを除いた値となる。
ステップS107は、初期亀裂長さ(ai)を表面性状データベース13(図1参照)から取得し、ステップS101で選定した高温機器に対し、亀裂長さとして初期亀裂長さを設定するステップである。このステップS107では、機器の使用初期の段階から亀裂が存在するとの仮定の下、表面の粗さや検出された欠陥の大きさなどを基に初期亀裂長さ(ai)を設定する。
ステップS108は、初期値を設定するステップである。このステップS108では、初期値として、亀裂長さ(a=ai)、起動回数(N=1)、限界亀裂長さ(af)、を設定する。
ステップS109は、負荷変動時すなわち機器の起動に伴う遠心力や非定常熱応力によるひずみ変化Δεpにより微小亀裂進展量Δa,p=C(Δεp√(πa))mを求めるステップである。
ステップS110は、ステップS109で求めた微小亀裂進展量を初期亀裂長さ(a=ai)に加算して起動後の亀裂長さ(a)を求めるステップである。
ステップS111は、定常負荷時の一定遠心力、熱応力の負荷状態において応力緩和によって生じるクリープひずみ変化Δεcに基づき、微小亀裂進展量Δa,c=D(Δεc√(πa))nを求めるステップである。
ステップS112は、テップS109で求めた微小亀裂進展量を起動後の亀裂長さに加算して定常負荷後の亀裂長さ(a)を得るステップである。
ステップS113は、ステップS110およびステップS112で求めた亀裂長さ(a)が、ステップS108で設定した限界亀裂長さ(af)を超えるか否か(Yes/No)を判定するステップである。
ステップS114は、ステップS114で<No>と判定した場合に実行するステップである。このステップS114では、限界亀裂長さ(af)を超えたときの起動停止回数を機器寿命(Nf)として設定するステップである。
ステップS115は、ステップS113で<No>と判定した場合に実行するステップであり、ステップS119に移行して亀裂進展量算出に関わるループ処理を実行するステップである。
従来、弾性変形過程の亀裂進展は、応力拡大係数と呼ばれる、応力範囲と亀裂長さの1/2乗の積(応力範囲×√亀裂長さ)で与えられるパラメータで評価され、場合によっては非弾性変形状態まで拡張して適用されてきた。しかしながら、応力範囲は、低サイクル疲労の下ではほとんど変化しないものの破断回数により大きく変化する。このため、ひずみ変化と破断回数との関係を用いて、ひずみ変化が支配的な状態での亀裂進展を、ひずみ変化と亀裂長さの1/2乗(ひずみ変化×√亀裂長さ)の積で与えられるひずみ拡大係数と呼ばれるパラメータで評価することが検討されてきた。
本実施形態にあっては、ひずみ変化と亀裂長さの1/2乗の積で与えられるパラメータをクリープひずみにまで適用し、機器構造が受けるひずみ履歴を考慮した寿命評価を行うようにしている。すなわち、繰り返し非弾性ひずみを、塑性変形およびクリープ変形に基づくひずみに分けて、ひずみ変化と亀裂長さの1/2乗の積で定義された、ひずみ拡大係数を算出する。そして、この拡大係数に従って亀裂進展を予測する。以下、具体的に説明する。
図5は塑性ひずみ変化Δεpに対応したひずみ拡大係数Δεp√(πa)及び亀裂進展速度da/dNならびにクリープひずみ変化Δεcに対応したひずみ拡大係数Δεc√(πa)及び亀裂進展速度da/dNの関係を示す図である。塑性ひずみ変化Δεpの特性は、通常の低サイクルの繰り返し疲労による塑性ひずみ変化Δεpと破断回数Nfの特性から決定でき、両者を対数上で直線近似した傾きの逆数値の正値が図5の直線の傾きmとなる。なお、クリープひずみ変化Δεcの特性は、低サイクル疲労の結果を基にして決定された塑性ひずみ変化Δεpの特性を考慮して決定され、直線の傾きnが求められる。さらに、微小亀裂進展量Δa、PおよびΔa、tの定義C,Dについては、この図5の実験式によって求められ、たとえば、ひずみ拡大係数Δε√(πa)が1のときの値を定数C,Dとして定められる。
図6は機器の運転状態に応じた亀裂進展の模式図である。亀裂は機器の起動停止や定常運転時に除々に進展し、機器は寿命に近づく。初期亀裂長さ(a=ai)は、たとえば0.001mm程度、限界亀裂長さafとしては1mm程度を設定する。なお、この初期亀裂長さおよび限界亀裂長さは、亀裂進展特性が得られる試験片を基に決定されるものであり、機器の部材の表面性状や検出される欠陥に応じて設定される。
図7は起動停止に伴う塑性ひずみ変化Δεpのみが負荷された場合と定常運転状態でクリープひずみ変化Δεcが加わった場合における起動停止回数に応じた亀裂進展の模式図である。起動停止を繰り返した場合の機器寿命Nf2より、定常運転状態でクリープひずみを生じた場合の機器寿命Nf1の方が短寿命となる。この機器寿命に関わる傾向は、定常運転の継続時間により変化し、機器の負荷履歴を考慮した寿命評価が反映されたものである。
ところで、負荷状態の機器構造に対する亀裂進展量を求めるために必要な塑性ひずみ変化やクリープひずみは、FEM解析結果から得ることができる。しかし、機器の形状が複雑になるほど負荷履歴も複雑なものとなる。このため、クリープ疲労などによる損傷が最も大きい部位を特定し、そのひずみ量を得る作業は困難な場合がある。
本実施形態にあっては、非弾性解析で得られるミーゼス相当非弾性ひずみが負荷に応じて増加することに注目しており、クリープ疲労などによる損傷が最も大きい部位を特定し且つその部位における亀裂進展量を容易に得ることができる。なお、ミーゼス相当非弾性ひずみは、常に正の値となるもので、応力変化や時間経過と共に増加する量である。
図8は機器運転の負荷変動に応じたミーゼス相当非弾性ひずみの変化を示す図である。機器の最初の起動時には、応力の増大に伴って部分的に塑性変形することによりミーゼス相当塑性ひずみが生じる。これが機器起動時の塑性ひずみ変化Δεpとなる。
定常運転時は、クリープ変形が生じるがこれがミーゼス相当非弾性ひずみとなって算出される。このミーゼス相当非弾性ひずみが上記ステップS106における定常運転時のクリープひずみ変化Δεcとなる。機器の停止時は、起動時とは逆に、応力変化が生じるがミーゼス相当塑性ひずみは常に正値であるため、ミーゼス相当塑性ひずみは更に増大することになる。しかし、ミーゼス相当塑性ひずみの増大は、機器の起動時とほぼ同一となるため、塑性ひずみ変化Δεpはその平均値で与えることができる。すなわち、FEM解析で得られるミーゼス相当非弾性ひずみをひずみ分布として算出することにより、損傷が最も大きくなる部位を特定する。そして、特定した部位を対象として、亀裂進展量から損傷量を算出し、機器寿命を予測する。
(効果)
機器寿命評価システム10は、クリープ或いは疲労に基づく機器構造の損傷を微小亀裂の進展とみなして、この微小亀裂の進展を予測することで機器寿命の評価を行うように構成される。すなわち、機器構造の損傷の累積過程を微小亀裂が進展していく過程として捉え、機器構造のひずみから得られるひずみ拡大係数をパラメータとして用いてクリープ疲労損傷による機器寿命が評価される。このため、変動負荷による塑性ひずみとクリープ疲労の重畳効果を考慮して機器寿命を評価できる。
また、機器寿命評価システム10では、従来の線形損傷則のように機器寿命が疲労損傷およびクリープ損傷の単純和に基づき評価されるのではなく、機器の負荷履歴が考慮されて機器寿命が評価される。このため、実際の機器の運転形態に即したひずみ変化に基づいて機器寿命が評価される。したがって、機器寿命評価システム10によれば、クリープ疲労損傷による機器の構造損傷を高精度に行うことができ、もって高精度の機器寿命評価を行える。
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態の機器寿命評価システム10における機器寿命評価処理を変形した例である。本実施形態の機器寿命評価処理にあっては、機器の定常運転時に生じるクリープひずみを、応力負荷時の最小クリープ速度から算出することにより、機器寿命の評価が行われる。
図9および図10は、クリープひずみを簡易に算出する方法の説明図である。先ず、材料のクリープ破断特性から定常運転の初期応力σにおける使用温度Tでのクリープ破断時間trを取得する。破断時間は温度により変化するが、温度と破断時間を統合したラーソンミラーパラメータP=T(C+logtr)などのパラメータを用いることによりマスターカーブでの評価が可能となる。なお、ラーソンミラーパラメータは、異なる温度におけるクリープ破断データ(負荷と破断時間の関係)を統一的に整理するためのパラメータとして用いられる。このラーソンミラーパラメータにおいて、Tは絶対温度(K),trは破断時間(h),Cは材料定数であり多くの耐熱鋼では20前後の値となる。このパラメータと負荷応力の関係が試験温度によらずに1つの関係式で表されることを利用し、高温短時間のクリープ破断データから、より低温長時間のクリープ破断寿命を予測することができるようになる。
ここで、クリープ破断時間trとクリープ変形における最小クリープ速度εminには、両対数線図上で傾きが−1となる関係(Monkman−Grant則)があることが知られている。このため、このMonkman−Grant則から初期応力σoにおける最小クリープ速度εminを得ることができる。クリープひずみは、最小クリープ速度εminと微小時間Δtの積となり、応力緩和量Δσはクリープひずみが全て弾性応力に置き換えられると仮定したうえで最小クリープ速度εmin、微小時間Δtおよびヤング率Eの積として与えられる。
最小クリープ速度とは材料が一定応力でクリープ変形する場合の最も変形速度が小さい場合の変形速度であるため、得られたひずみ速度は応力緩和量が最も小さいものとして評価される。しかし、構造部材は起動停止などを繰り返して使用されるため、稼動中の評価にあっては、最小クリープ速度を用いた方法において大きな誤差を生じることはない。
図10は定常運転時のクリープひずみを簡易に算出する手順を示す図である。初期状態からΔt時間後の計算時間t=Δtにおいて応力はσo−Δσ、クリープひずみについては0→Δεcとなる。次の微小時間Δtにおいても同様な計算を行うが、その初期値は、応力についてはσo→σo−Δσ、クリープひずみについては0→Δεc、計算時間tについては0→Δtに変えて計算を実行する。この計算を計算時間tが始めに設定した運転時間thに達するまで繰り返し実施する。このとき、微小時間は全て同一時間に統一する必要はなく、緩和応力が過度に大きくならないように設定すれば良い。一般に、応力が大きいほど小さく設定する必要があるが、応力緩和量が小さくなる低応力では比較的大きな時間であってもそれほど大きな誤差を生じることはない。すなわち、緩和応力がほぼ一定となるように微小時間を設定すれば良い。この繰返し計算終了後の応力が部材の定常運転最終応力となり、加算されたクリープひずみが最終的に定常運転中のクリープひずみとなる。機器は起動停止を繰り返して使用されるため、稼動中の中間状態を評価する場合にあっては最小クリープ速度を用いることで誤差を低減できるようになる。
また、図11は塑性ひずみを簡易に算出する方法の説明図である。この方法にあっては、機器の起動停止に伴う塑性ひずみが、弾性解析による応力と、応力ひずみ線図および応力ひずみの集中を算出可能な計算式とを用いて取得され、機器寿命の評価が行われる。この方法は、起動停止時の応力ひずみ変化は弾塑性解析により得ることができるが、弾性解析の結果しか得られない場合に有効である。以下、具体的に説明する。すなわち、弾性解析で見かけ上応力σeが降伏応力を越えた状態となった場合に、例えば引張試験から得られる応力ひずみ曲線σ=f(ε)と、例えばε・σ=σe/Eのように定義される関係とにより、その交点から塑性変形状態のひずみεを得ることができる。得られたひずみから弾性ひずみ成分を除くことにより起動停止時の塑性ひずみεpが取得される。このように、一定の運転状態が繰り返される場合は、クリープひずみ変化と塑性ひずみ変化を簡易な方法で得ることができ、クリープ疲労損傷による機器寿命評価を簡易に行えるようになる。
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態の機器寿命評価システム10における機器寿命評価処理を変形した例である。本実施形態の機器寿命評価処理にあっては、微小亀裂の進展を、温度や圧力その他の機器使用環境に応じた異なる亀裂進展特性に基づいて予測することによって機器寿命の評価を行う。
図12は機器使用環境を考慮した機器寿命評価の説明図である。この機器寿命評価は、図12に示すようにして、機器使用環境により異なった亀裂進展特性を取得することで可能となる。この機器寿命評価によれば、機器使用環境に応じた機器寿命評価が可能となり、高精度な機器寿命評価を行うことができる。
[第4実施形態]
第4実施形態は、第1実施形態の機器寿命評価システム10における機器寿命評価処理を変形した例である。本実施形態の機器寿命評価処理にあっては、機器の表面性状を考慮して機器寿命評価を行う。
図13は機器の表面性状を考慮した機器寿命評価の説明図である。この機器寿命評価は、図13に示すようにして、機器の表面性状を考慮して初期亀裂長さを変更することにより機器寿命評価を行う。一般に、寿命評価の対象機器或いはその構造によっては、表面に亀裂状の欠陥や表面粗さが顕著な場合がある。また、これらの欠陥や表面粗さは、実機と試験片とで異なるのが一般的である(図13参照)。しかしながら、この機器寿命評価によれば、表面性状の差異を初期亀裂長さとして加味して評価されるので、高精度な機器寿命評価を行うことができる。
[第5実施形態]
第5実施形態は、第1実施形態の機器寿命評価システム10における機器寿命評価処理を変形した例である。本実施形態の機器寿命評価処理にあっては、図14に示すようにして塑性ひずみ変化およびクリープひずみ変化に応じた亀裂進展特性を設定し、この亀裂進展特性に基づき機器寿命評価を行う。すなわち、塑性ひずみ変化とクリープひずみ変化に対応した亀裂進展特性に加え、塑性ひずみ変化とクリープひずみ変化の積から把握される亀裂進展特性をも用いて機器寿命評価を行う。このため、塑性ひずみ変化とクリープひずみ変化の相乗効果によって生ずる亀裂の進展までも考慮でき、高精度な機器寿命評価を行うことができる。なお、図15に示すように、初期亀裂が限界亀裂長さに至って巨視的な亀裂が判定されたときであっても、破断現象が判定されるまで、その巨視的な亀裂の進展評価を継続するようにしても良い。
構造寿命評価システムの第1実施形態を示すシステム構成図。 構造寿命評価システムの演算部にて実行される構造寿命評価処理の流れを示すフローチャート。 機器の被荷重部位で見られる負荷と応力の応答性を示す模式図。 応力ひずみサイクルを応力ひずみ線図上に示した図。 塑性ひずみ変化Δεpに対応したひずみ拡大係数Δεp√(πa)及び亀裂進展速度da/dNならびにクリープひずみ変化Δεcに対応したひずみ拡大係数Δεc√(πa)及び亀裂進展速度da/dNの関係を示す図 機器の運転状態に応じた亀裂進展の模式図。 起動停止に伴う塑性ひずみ変化Δεpのみが負荷された場合と定常運転状態でクリープひずみ変化Δεcが加わった場合における起動停止回数に応じた亀裂進展の模式図。 機器運転時の負荷変動に応じたミーゼス相当非弾性ひずみの変化を示す図。 クリープひずみを簡易に算出する方法の説明図。 クリープひずみを簡易に算出する手順を示す図。 塑性ひずみを簡易に算出する方法の説明図。 機器使用環境を考慮した機器寿命評価の方法の説明図。 機器の表面性状を考慮した機器寿命評価の説明図。 塑性ひずみ変化およびクリープひずみ変化に応じて亀裂進展特性を設定した機器寿命評価の説明図。 破断現象が判定されるまで機器寿命評価を継続したときの亀裂進展を示す図。
符号の説明
10…機器寿命評価システム,11…演算装置,12…運転履歴データベース,
13…表面性状データベース,14…入力装置,15…表示装置。

Claims (10)

  1. クリープ或いは疲労に基づく機器の構造損傷による機器寿命を評価する機器寿命評価方法において、
    クリープ或いは疲労に基づく機器の構造損傷を微小亀裂の進展とみなして、この微小亀裂の進展を予測することにより、機器寿命の評価を行う処理をコンピュータに実行させる機器寿命評価方法であり、
    前記微小亀裂の進展は、繰り返し非弾性ひずみを、塑性変形に基づくひずみとクリープ変形に基づくひずみとに分け、前記各ひずみの変化と亀裂長さの1/2乗との積として算出されたひずみ拡大係数、に従って予測されるものであり、
    このひずみ拡大係数に従って前記機器寿命の評価を行うことを特徴とする機器寿命評価方法。
  2. ミーゼス相当非弾性ひずみに基づいて、ひずみ分布を取得し、
    前記ひずみ分布に基づき、機器の各部位のうち構造損傷が最も大きくなる部位を特定し、
    前記特定した部位の構造損傷を対象として、前記機器寿命の評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の機器寿命評価方法。
  3. 起動停止と定常運転を繰り返す機器を対象とし、
    前記機器の定常運転時に生じるクリープひずみを、応力負荷時の最小クリープ速度から算出することを特徴とする請求項に記載の機器寿命評価方法。
  4. 起動停止と定常運転を繰り返す機器を対象とし、
    前記機器の起動停止に伴う塑性ひずみを、弾性解析による応力と、応力ひずみ線図および応力ひずみの集中を算出可能な計算式とを用いて取得することを特徴とする請求項に記載の機器寿命評価方法。
  5. 機器の初期亀裂長さと限界亀裂長さを設定しておき、
    前記機器寿命の評価を、初期亀裂長さが限界亀裂長さを超えた場合に機器が寿命に達したと判定することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の機器寿命評価方法。
  6. 前記初期亀裂長さを、機器の初期欠陥や表面粗さその他の機器の表面性状に応じて設定することを特徴とする請求項に記載の機器寿命評価方法。
  7. 前記微小亀裂の進展を、温度や圧力その他の機器使用環境に応じた異なる亀裂進展特性に基づいて予測することを特徴とする請求項1に記載の機器寿命評価方法。
  8. 前記微小亀裂の進展を、塑性ひずみ変化とクリープひずみ変化の積を用いて予測することを特徴とする請求項1に記載の機器寿命評価方法。
  9. 前記機器寿命の評価において初期亀裂が限界亀裂長さに至って巨視的な亀裂を判定したとき、破断現象が判定されるまで、その巨視的な亀裂に対し亀裂進展の予測を継続することを特徴とする請求項に記載の機器寿命評価方法。
  10. クリープ或いは疲労に基づく機器の構造損傷による機器寿命を評価する演算部を備えた機器寿命評価システムにおいて、
    前記演算部は、クリープ或いは疲労に基づく機器の構造損傷を微小亀裂の進展とみなして、この微小亀裂の進展を予測することにより、機器寿命の評価を行い、
    前記微小亀裂の進展は、繰り返し非弾性ひずみを、塑性変形に基づくひずみとクリープ変形に基づくひずみとに分け、前記各ひずみの変化と亀裂長さの1/2乗との積として算出されたひずみ拡大係数、に従って予測され、
    前記演算部は、このひずみ拡大係数に従って前記機器寿命の評価を行うことを特徴とする機器寿命評価システム。
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