JP2011232206A - 欠陥評価装置および欠陥評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】部材に生じた欠陥の進展寿命を適切に評価する欠陥評価装置を提供する。
【解決手段】この欠陥評価装置は、溶接部の部材の形状、運転サイクルの時間的変化を表す対応データを記憶する第1の記憶部と、部材に生じた欠陥を表す欠陥条件データを記憶する第2の記憶部とを備え、対応データと欠陥条件データに基づいて、疲労およびクリープによるき裂進展量を算出し、このき裂進展量から溶接部の欠陥寿命を評価する。
【選択図】図1
【解決手段】この欠陥評価装置は、溶接部の部材の形状、運転サイクルの時間的変化を表す対応データを記憶する第1の記憶部と、部材に生じた欠陥を表す欠陥条件データを記憶する第2の記憶部とを備え、対応データと欠陥条件データに基づいて、疲労およびクリープによるき裂進展量を算出し、このき裂進展量から溶接部の欠陥寿命を評価する。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶接構造物の欠陥進展を評価する欠陥評価装置および欠陥評価方法に関する。
近年、一般的な高温機器における欠陥(き裂)の進展寿命評価方法としては、疲労き裂やクリープき裂に対して応力拡大係数や修正J積分によって、き裂進展の評価を行うものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、上記した先行技術には、2つの材料で同一の修正J積分に対して得られたき裂進展速度の値が大きい場合、必ずしも同一の進展状態ではないことがあり、き裂進展寿命では逆に小さい場合がある。このため、材料間のき裂進展特性を比較する場合には実際のき裂と整合せず、大きな障害となるという問題がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、部材に生じた欠陥の進展寿命を適切に評価することができる欠陥評価装置および欠陥評価方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために本発明の欠陥評価装置は、溶接構造物の溶接部の部材の形状と、温度、圧力および回転速度の時間的変化の組み合わせを表す対応データを記憶する第1の記憶部と、前記部材の欠陥寸法、温度に対する線膨張係数、板厚および振動周波数の組み合わせを表す欠陥条件データを記憶する第2の記憶部と、前記記憶された対応データと欠陥条件データに基づいて、応力解析を行って前記欠陥に加えられる応力の時間的変化を求め、この求めた応力の時間的変化に基づいて、前記欠陥に加えられる振動応力および平均応力の時間的変化を求める解析部と、前記求められた振動応力の時間的変化、前記記憶された欠陥寸法および振動周波数に基づいて、疲労き裂進展量の時間的変化を算出するとともに、前記求められた平均応力の時間的変化、前記記憶された欠陥寸法および板厚に基づいて、クリープき裂進展量の時間的変化を算出する進展量算出部と、前記算出した疲労き裂進展量の時間的変化、クリープき裂進展量の時間的変化および前記記憶された所定部材の欠陥寸法に基づいて、欠陥の増大量を算出する増大量算出部と、を具備することを特徴とする。
また、本発明の欠陥評価方法は、入力部が、選定された高温溶接構造物の溶接部の評価対象としての所定部材の形状および前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データを入力するステップと、抽出部が、記憶部に記憶された高温溶接構造物の溶接部の部材の形状、温度、圧力および回転速度の時間的変化の組み合わせを表す複数の対応データから、前記入力された所定部材の形状、前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データの組み合わせに応じた対応データと、前記部材の欠陥寸法、温度に対する線膨張係数、板厚および振動周波数の組み合わせを表す複数の欠陥条件データから、前記入力された所定部材の形状、前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データの組み合わせに応じた欠陥条件データと、を抽出するステップと、解析部が、前記抽出された対応データと欠陥条件データに基づいて、応力解析を行って前記欠陥に加えられる応力の時間的変化を求め、この求めた応力の時間的変化に基づいて、前記欠陥に加えられる振動応力および平均応力の時間的変化を求めるステップと、進展量演算部が、前記求められた振動応力の時間的変化、前記抽出された欠陥寸法および振動周波数に基づいて、疲労き裂進展量の時間的変化を算出するとともに、前記求められた平均応力の時間的変化、前記抽出された欠陥寸法および板厚に基づいて、クリープき裂進展量の時間的変化を算出するステップと、増大量算出部が、前記算出された疲労き裂進展量の時間的変化、クリープき裂進展量の時間的変化および前記抽出された所定部材の欠陥寸法に基づいて、欠陥の増大量を算出するステップと、評価部が、前記算出された欠陥の増大量に応じて、前記溶接部の欠陥寿命を評価するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、部材に生じた欠陥の進展寿命を適切に評価することができる。
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一つの実施の形態に係る欠陥評価装置10の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一つの実施の形態に係る欠陥評価装置10の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、高温溶接構造物の欠陥を評価する欠陥評価装置10は、運転履歴データベース(以下、「運転履歴DB」という)11、材料強度データベース(以下、「材料強度DB」という)12、データ入力部13、運転履歴抽出部14、欠陥条件データ抽出部15、FEM解析部16、応力拡大係数算出部17、欠陥寿命判断部18、交換決定部19、表示部20を備える。この実施形態の欠陥評価装置10は、運転履歴DB11、材料強度DB12に記憶されたデータに基づいて評価対象となるガスタービン機器に用いられる高温機器の溶接部の欠陥寿命を評価する。
なお、評価対象としては、たとえば高温機器のケーシング部及びロータの溶接部などの蒸気の流入などによって振動の発生する部材が対象となる。
運転履歴DB11は、評価対象となるガスタービン機器における高温溶接構造物の溶接部の部材の形状と、動作時の使用温度、使用圧力および回転速度の時間的変化とを含む高温機器データなどの複数の対応データを記憶する。なお、この時間的変化とは、起動時、定常運転時および停止時の機器が将来運転状態となる際の一連の運転サイクルの時間的変化を示すものである。また、この対応データには、設計時に設計した機器の寿命(以下、「設定寿命時間」という)なども含まれる。この運転履歴DB11は、溶接構造物の溶接部の部材の形状と、温度、圧力および回転速度の時間的変化との組み合わせを表す対応データを記憶する第1の記憶部として機能する。
材料強度DB12は、部材における欠陥寸法a(aは個数nで、a1〜an)、稼動時間tk、欠陥の存在する部材における温度に対する破壊靱性Kc、線膨張係数、この部材の板厚(部材幅)W、ロータの回転や蒸気の流入によって部材(欠陥)に発生する振動周波数f、部材の形状によって決まる関数(パラメータ)F、部材の材料によって決まる関数(パラメータ)C,α,β,lなどからなる複数の欠陥条件データを記憶する。なお、欠陥寸法aは、実測された各欠陥nの長さを示す。ここでは、たとえば後述する母材1,2およびこれら母材1,2が溶着された溶着金属それぞれの部材の欠陥寸法、破壊靱性、線膨張係数、板厚、初期稼動時間および振動周波数、各種パラメータを記憶する。この材料強度DB12は、部材の欠陥寸法、温度に対する線膨張係数、板厚および振動周波数の組み合わせを表す欠陥条件データを記憶する第2の記憶部として機能する。
データ入力部13は、たとえばキーボードやマウスなどからなり、ユーザによって選定されたCAD(Computer Aided Design)データなど、たとえばガスタービン機器の高温溶接構造物の溶接部の評価対象としての所定部材の形状、この所定部材に生じた欠陥を示す属性データのモデルを入力するとともに、その中から選定された評価対象の欠陥を示すデータを入力する。なお、この欠陥を示す属性データとしては、実測された欠陥の形状、長さ、進行方向などが含まれる。このデータ入力部は、選定された評価対象としての所定部材の形状および前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データを入力する入力部として機能する。
運転履歴抽出部14は、運転履歴DB11に記憶された複数の対応データから、選定入力されたデータ(部材の形状、選定入力された欠陥を示す属性データ)に応じた高温機器データや設定寿命時間などである対応データを抽出する。この欠陥条件データ抽出部15は、前記第1記憶部に記憶された複数の対応データから、前記入力された所定部材の形状と前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データとの組み合わせに応じた対応データを抽出する抽出部として機能する。
欠陥条件データ抽出部15は、材料強度DB12に記憶された複数の欠陥条件データから、入力された部材の欠陥を示す属性データに応じた欠陥条件データを抽出する。この運転履歴抽出部14は、第2の記憶部に記憶された複数の欠陥条件データから、前記入力された所定部材の形状と前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データとの組み合わせに応じた欠陥条件データを抽出する抽出部として機能する。
FEM(Finite Element Method)解析部16は、運転履歴DB11から抽出された高温機器データ、運転データおよび材料強度DB12から抽出された欠陥条件データのうちの振動周波数、線膨張係数に基づいて有限要素法の解析を行い、欠陥に加えられる応力の時間的変化(稼動単位時間の応力σ)を求める。このFEM解析部16は、欠陥の存在する部材に対して運用の定常時および起動・停止の非定常時の使用温度における応力解析を行って、対象部材における応力σの時間的変化を得る。なお、この応力σの時間的変化は、起動時、定常時、停止時までの単位時間毎の応力の時間的変化を示すものであるが、これに限らず応力の時間的変化を一定とすることも可能である。
また、このFEM解析部16は、得られた応力σを、平均応力σmとして実測した振動応力σaによって、単位時間における応力振動の最大値σmaxおよび最小値σminを定めることができる。
σmax=σm+σa
σmin=σm−σa
このFEM解析部16は、記憶された対応データと欠陥条件データとに基づいて、応力解析を行って前記欠陥に加えられる応力の時間的変化を求め、この求めた応力の時間的変化に基づいて、前記欠陥に加えられる振動応力および平均応力の時間的変化を求める解析部として機能する。
σmax=σm+σa
σmin=σm−σa
このFEM解析部16は、記憶された対応データと欠陥条件データとに基づいて、応力解析を行って前記欠陥に加えられる応力の時間的変化を求め、この求めた応力の時間的変化に基づいて、前記欠陥に加えられる振動応力および平均応力の時間的変化を求める解析部として機能する。
応力拡大係数算出部17は、FEM解析部16で求めた振動応力σaと平均応力σm、対応データおよび欠陥条件データに基づいて、稼動単位時間の欠陥の増大量Δaを算出する。すなわち、この応力拡大係数算出部17は、求めた振動応力σa、抽出された欠陥条件データ(たとえば欠陥寸法および振動周波数)に基づいて疲労き裂進展量を算出する。また、この応力拡大係数算出部17は、求めた平均応力σm、抽出された欠陥条件データ(たとえば欠陥寸法および板厚)に基づいて、クリープき裂進展量を算出する。さらに、この応力拡大係数算出部17は、この算出した疲労き裂進展量、クリープき裂進展量および抽出された所定部材の欠陥寸法に基づいて、選定された欠陥の増大量を算出する。
この応力拡大係数算出部17は、求められた振動応力の時間的変化、前記記憶された欠陥寸法および振動周波数に基づいて、疲労き裂進展量を算出するとともに、前記求められた平均応力の時間的変化、前記記憶された欠陥寸法および板厚に基づいて、クリープき裂進展量を算出する進展量算出部として機能する。さらに、この応力拡大係数算出部17は、算出した疲労き裂進展量、クリープき裂進展量および前記記憶された所定部材の欠陥寸法に基づいて、欠陥の増大量を算出する増大量算出部として機能する。
図2は、代表的な高温機器の起動停止および定常運転における機器の負荷とそれに対応する応力の変化を示す図である。
図2に示すように、大きな変化をしているのは平均応力σmであり、起動・停止時に大きな変化があると同時に、定常運転時においても応力緩和によりなだらかな変化を示している。これらの平均応力の変化に加えて、各運転状態では機器の振動による振動応力σaを伴っている。この振動応力σaは解析から求める値であるが、実測データとして得ることもできる。
図2に示すように、大きな変化をしているのは平均応力σmであり、起動・停止時に大きな変化があると同時に、定常運転時においても応力緩和によりなだらかな変化を示している。これらの平均応力の変化に加えて、各運転状態では機器の振動による振動応力σaを伴っている。この振動応力σaは解析から求める値であるが、実測データとして得ることもできる。
まず、この応力拡大係数算出部17は、単位時間における応力解析結果から振動応力σaを得て、振動応力σaによる疲労き裂進展量Δa1を、
として算出する。例えば溶着金属についてはC=1.16×10-6、α=3、β=1.64程度に定められる。この疲労き裂進展量は、振動応力より算出される応力拡大係数範囲ΔKを基に求めるが、き裂進展量は平均応力σmや温度により変化するため、解析結果より得られるこれらの値を用いて求める。応力拡大係数範囲ΔK、応力比R=σmin/σmaxとするとき裂進展速度da/dNは、
da/dN=f・C・ΔKα・Rβ
と表記される式によってその値を決定することができる。ここで、応力拡大係数範囲ΔKは、振動応力σaより
として、応力比R=σmin/σmaxはR=(σm-σa)/ (σm+σa)で求めることができる。また、稼動単位時間のき裂進展量Δa1は、き裂進展速度da/dNに相当する。
として算出する。例えば溶着金属についてはC=1.16×10-6、α=3、β=1.64程度に定められる。この疲労き裂進展量は、振動応力より算出される応力拡大係数範囲ΔKを基に求めるが、き裂進展量は平均応力σmや温度により変化するため、解析結果より得られるこれらの値を用いて求める。応力拡大係数範囲ΔK、応力比R=σmin/σmaxとするとき裂進展速度da/dNは、
da/dN=f・C・ΔKα・Rβ
と表記される式によってその値を決定することができる。ここで、応力拡大係数範囲ΔKは、振動応力σaより
として、応力比R=σmin/σmaxはR=(σm-σa)/ (σm+σa)で求めることができる。また、稼動単位時間のき裂進展量Δa1は、き裂進展速度da/dNに相当する。
図3は、疲労き裂進展速度データの一例を示す図である。
一般的にはき裂進展速度da/dNは、両対数上において2直線で表される。傾斜領域におけるき裂進展速度da/dNの特性は上式のようになり、一定のΔKに対してき裂進展速度を与えることができる。この傾斜領域の下限値となるのが下限界応力拡大係数範囲ΔKthである。すなわち、この値ではき裂進展速度は急激に低下し、この値以下ではき裂進展速度を与えることができない。このため下限界応力拡大係数範囲ΔKth以下の応力拡大係数範囲であれば疲労によるき裂進展はないと考えられる。
一般的にはき裂進展速度da/dNは、両対数上において2直線で表される。傾斜領域におけるき裂進展速度da/dNの特性は上式のようになり、一定のΔKに対してき裂進展速度を与えることができる。この傾斜領域の下限値となるのが下限界応力拡大係数範囲ΔKthである。すなわち、この値ではき裂進展速度は急激に低下し、この値以下ではき裂進展速度を与えることができない。このため下限界応力拡大係数範囲ΔKth以下の応力拡大係数範囲であれば疲労によるき裂進展はないと考えられる。
しかし、これらのき裂進展特性は平均応力(応力比R)によって変化し、応力比Rが大きい場合にはき裂進展データがそのまま増大する傾向にある。このため、ある応力比の条件でき裂進展が無いと判断される場合、たとえば図3の下限界応力拡大係数範囲ΔKth1によって点線で示す応力拡大係数範囲ΔKでのき裂進展が無いと判断される場合でも、平均応力が大きくなり、応力比が増大すると、たとえば下限界応力拡大係数範囲ΔKth2によって点線で示す応力拡大係数範囲ΔKでのき裂は、き裂進展領域に移行することもある。なお、図3において、下限界応力拡大係数範囲ΔKth1は応力比Rが小さい場合を、また下限界応力拡大係数範囲ΔKth2は応力比Rが大きい場合を示す。
次に、この応力拡大係数算出部17は、この間の平均応力σmより単位時間におけるクリープによるき裂進展量Δa2
を求める。ここで、D=C・σnWlで求めることができる。クリープき裂進展量についても平均応力σmより応力拡大係数Kを算出して求めるが、温度とともに部材の公称応力σや部材幅(板厚)Wによっても変化するため、これらの値を解析結果より求めて算出する。
を求める。ここで、D=C・σnWlで求めることができる。クリープき裂進展量についても平均応力σmより応力拡大係数Kを算出して求めるが、温度とともに部材の公称応力σや部材幅(板厚)Wによっても変化するため、これらの値を解析結果より求めて算出する。
図4は、応力拡大係数Kとき裂進展速度da/dtの関係の一例を示す図である。この図4では、部材幅W1での公称応力σ1,σ2,σ3の時の応力拡大係数Kとき裂進展速度da/dtの関係を示している。
図4に示すように、き裂進展速度da/dtは、応力拡大係数K、公称応力σおよび部材幅Wの関係によって変化する。なお、公称応力σとは、荷重を初期断面積で割った値である。そこで、応力拡大係数K、公称応力σおよび部材幅Wの3つのパラメータを基にしてき裂進展速度を求める。すなわち、ある硬さHVにおけるき裂進展速度da/dtは、
da/dt=C・KmσnWl …(3)
と表記される式によってその値を決定することができる。この評価式を用いて初期き裂長さaからの単位時間におけるき裂進展解析を行う。詳細には初期き裂aにおける応力拡大係数K、公称応力σ、部材幅Wを算出して、単位時間の間に進展するき裂の進展量Δaを算出する。ここで、単位時間の間に進展するき裂の進展量Δaは、da/dtに相当する。そして、初期き裂長さ(欠陥寸法)aにこのき裂の進展量Δaを加えたa+Δaを新たに次のき裂長さaとして求める。
da/dt=C・KmσnWl …(3)
と表記される式によってその値を決定することができる。この評価式を用いて初期き裂長さaからの単位時間におけるき裂進展解析を行う。詳細には初期き裂aにおける応力拡大係数K、公称応力σ、部材幅Wを算出して、単位時間の間に進展するき裂の進展量Δaを算出する。ここで、単位時間の間に進展するき裂の進展量Δaは、da/dtに相当する。そして、初期き裂長さ(欠陥寸法)aにこのき裂の進展量Δaを加えたa+Δaを新たに次のき裂長さaとして求める。
この求めたき裂長さaを式(2)に代入して、平均応力σmよる単位時間のクリープき裂進展量Δa2を求める。
なお、式(3)における応力拡大係数Kを算出する方法としてはいくつかの方法があるが、最も容易な方法は影響関数法と呼ばれている方法であり、き裂がない状態での応力分布が求まれば、仮想的にき裂が存在した時の応力拡大係数を算出することができる。さらに、有限要素法によって解析モデルにき裂を生成することによって、解析モデルエネルギー状態が変化することからも算出できる仮想き裂進展法やき裂面における相対変位から求める変位法を適用することもできる。
図5は評価部材の表面に深さb、表面長さ2aの半楕円状のき裂が存在した場合の応力拡大係数を算出する方法を示す図である。
この場合、一般的には応力拡大係数Kは、
となる。ここでg(σ)は応力分布に関する関数、F(a,b,H)はき裂形状に関する関数を示し、Hは部材の厚さを示す。なお、関数F(a,b,H)は、式(1)、(2)に示したFに相当する。例えば、図5の様な引張応力場においてき裂の最も深い位置に対する関数Fは以下の式で表される。ここでμ=b/a、λ=b/t、ν: ポアソン比を表す。
となる。ここでg(σ)は応力分布に関する関数、F(a,b,H)はき裂形状に関する関数を示し、Hは部材の厚さを示す。なお、関数F(a,b,H)は、式(1)、(2)に示したFに相当する。例えば、図5の様な引張応力場においてき裂の最も深い位置に対する関数Fは以下の式で表される。ここでμ=b/a、λ=b/t、ν: ポアソン比を表す。
図6は、き裂進展距離と応力の関係を示す図である。
g(σ)は、図6に示すようにき裂の進展方向に算出し多項式近似した応力分布σ=h(X)の係数より決定される。応力分布が一定値Cである場合にはg(σ)=Cとなる。F(a,b,H)はき裂の楕円形状や大きさによって変化する値で、従来から用いられているハンドブック等で与えられている。図5に示されたき裂は一例であり、これまでの破壊力学に関する成果として様々なき裂形状について関数が与えられているので、最適なモデルを選択して適用できる。
g(σ)は、図6に示すようにき裂の進展方向に算出し多項式近似した応力分布σ=h(X)の係数より決定される。応力分布が一定値Cである場合にはg(σ)=Cとなる。F(a,b,H)はき裂の楕円形状や大きさによって変化する値で、従来から用いられているハンドブック等で与えられている。図5に示されたき裂は一例であり、これまでの破壊力学に関する成果として様々なき裂形状について関数が与えられているので、最適なモデルを選択して適用できる。
図7は、き裂面における相対変位から求める変位法を示す図である。
図7に示すように、き裂面における相対変位から求める変位法を適用することもできる。この方法では有限要素法によってき裂部分について詳細なメッシュを作成し、荷重負荷時にき裂が開口した際のき裂面上の相対変位から応力拡大係数を求める方法であり、応力拡大係数Kは
で与えられる。ここでG=E/2(1+ν) E:ヤング率、ν:ポアソン比、ro:き裂先端からの距離、Δu:相対変位量である。実際には解析精度の関係でき裂面上で多くの点で上記の値を求め、き裂先端に外挿して算出することになる。この方法は破壊力学の基礎式から求められるものであるため、得られる値の精度が高いが、詳細な解析モデルを作成しなければならないため、重要なき裂に対して実施するのが望ましい。
図7に示すように、き裂面における相対変位から求める変位法を適用することもできる。この方法では有限要素法によってき裂部分について詳細なメッシュを作成し、荷重負荷時にき裂が開口した際のき裂面上の相対変位から応力拡大係数を求める方法であり、応力拡大係数Kは
で与えられる。ここでG=E/2(1+ν) E:ヤング率、ν:ポアソン比、ro:き裂先端からの距離、Δu:相対変位量である。実際には解析精度の関係でき裂面上で多くの点で上記の値を求め、き裂先端に外挿して算出することになる。この方法は破壊力学の基礎式から求められるものであるため、得られる値の精度が高いが、詳細な解析モデルを作成しなければならないため、重要なき裂に対して実施するのが望ましい。
図8は、有限要素法においてき裂を生成した解析モデルを示す図である。
図8に示すように有限要素法においてき裂を生成した解析モデルを用いることによって、エネルギー状態が変化することから応力拡大係数を算出することができる。この方法は仮想き裂進展法と呼ばれ、き裂長さaであったき裂が、微小長さδaだけき裂進展した場合、δaの部分の材料が微小量vだけ変位して応力σyの状態から開放されることによるエネルギー変化(エネルギー開放率)Gを用いて、応力拡大係数Kは、
ここでE’=E(平面応力)、またはE’=E/(1-ν2)(平面ひずみ)である。エネルギー開放率は有限要素法で容易に算出されるため、本方法は比較的簡単な解析モデルでも容易に応力拡大係数を求めることができるが、複雑に荷重が負荷する場合には求められた応力拡大係数がどのようなモードによるものかを判別しにくい。
図8に示すように有限要素法においてき裂を生成した解析モデルを用いることによって、エネルギー状態が変化することから応力拡大係数を算出することができる。この方法は仮想き裂進展法と呼ばれ、き裂長さaであったき裂が、微小長さδaだけき裂進展した場合、δaの部分の材料が微小量vだけ変位して応力σyの状態から開放されることによるエネルギー変化(エネルギー開放率)Gを用いて、応力拡大係数Kは、
ここでE’=E(平面応力)、またはE’=E/(1-ν2)(平面ひずみ)である。エネルギー開放率は有限要素法で容易に算出されるため、本方法は比較的簡単な解析モデルでも容易に応力拡大係数を求めることができるが、複雑に荷重が負荷する場合には求められた応力拡大係数がどのようなモードによるものかを判別しにくい。
そして、稼動単位時間後のき裂進展量は、初期き裂長さaにΔa1とΔa2を加算した値
a=a+Δa1+Δa2 …(4)
となる。
a=a+Δa1+Δa2 …(4)
となる。
次に、応力拡大係数算出部17は、式(4)に基づいて、応力拡大係数Kを算出する。この応力拡大係数Kは、下限界応力拡大係数で、
で求まる。寸法の増大したき裂を部材モデル上で表示部20に表示するとともに、このき裂に対して応力拡大係数Kを算出する。き裂の表示はき裂の成長をそのまま把握できるだけでなく、き裂先端が溶接各部のどの部材に近接しているかを確認して、き裂が成長し易い部材を選んで進めることができる。
で求まる。寸法の増大したき裂を部材モデル上で表示部20に表示するとともに、このき裂に対して応力拡大係数Kを算出する。き裂の表示はき裂の成長をそのまま把握できるだけでなく、き裂先端が溶接各部のどの部材に近接しているかを確認して、き裂が成長し易い部材を選んで進めることができる。
図9は、欠陥の進展する様子を表示した一例を示す図である。
図9に示すように、初期欠陥が溶着金属内に存在していた場合にも、欠陥(き裂)が進展するに従いその先端が溶着金属と母材の境界に達した場合、どちらに進展するかは進展抵抗の違いによって決定される。
図9に示すように、初期欠陥が溶着金属内に存在していた場合にも、欠陥(き裂)が進展するに従いその先端が溶着金属と母材の境界に達した場合、どちらに進展するかは進展抵抗の違いによって決定される。
図10は、溶着金属と母材のクリープき裂進展速度のデータの一例を示す図である。
図10に示すように、同一の応力拡大係数に対して溶着金属に比べて母材の方がき裂進展速度が大きい場合には、き裂は、溶着金属と母材の境界を超えて母材側に進展することになる。また、溶着金属に比べて母材の方がき裂進展速度が小さい場合には、き裂は溶着金属内で進展することになる。
図10に示すように、同一の応力拡大係数に対して溶着金属に比べて母材の方がき裂進展速度が大きい場合には、き裂は、溶着金属と母材の境界を超えて母材側に進展することになる。また、溶着金属に比べて母材の方がき裂進展速度が小さい場合には、き裂は溶着金属内で進展することになる。
より正確には、母材と溶着金属の境界には母材が溶接時の熱により金属組織的に変化した熱影響部(HAZ)と呼ばれる層があり(後述する図12参照)、この部分のき裂進展特性も考慮する必要がある。またき裂進展の方向性は単に材料のき裂進展特性の相違だけで決定されず、溶接部の各部に生ずる応力の相違によっても影響される。
図11は、母材30、溶着金属31、熱影響部32でのクリープき裂進展の試験を説明するための図である。図12は、図11の一部を拡大した一部拡大図である。
図11、図12に示すように、母材30と溶着金属31間には、熱影響部(HAZ)32が形成されるとともに、この母材30と溶着金属31間にV溝35を設ける。さらに、このV溝35の先端に切欠36を形成し、1[t]の加重を与えて熱影響部32に初期のき裂40を生じさせる。ここで、母材30は、たとえば12Cr鋼またはCrMoV鋼である。
図11、図12に示すように、母材30と溶着金属31間には、熱影響部(HAZ)32が形成されるとともに、この母材30と溶着金属31間にV溝35を設ける。さらに、このV溝35の先端に切欠36を形成し、1[t]の加重を与えて熱影響部32に初期のき裂40を生じさせる。ここで、母材30は、たとえば12Cr鋼またはCrMoV鋼である。
図13は、母材30、溶着金属31、熱影響部32での応力拡大係数Kとき裂進展速度da/dtの関係を示す図である。
この図13では、母材30に比べて溶着金属31の方がき裂進展速度が大きい場合を示しており、熱影響部32に生じたき裂は、初期段階から溶着金属31側に移動して進展する特性を示している。また、図12の試験結果でも明らかなように、切欠36の先端に生じたき裂40は、熱影響部32から大きく溶着金属31側に逸れて進展している。このように、き裂進展速度の異なる材料の境界のき裂は、き裂進展速度の大きい方の部材に進展することとなる。
この図13では、母材30に比べて溶着金属31の方がき裂進展速度が大きい場合を示しており、熱影響部32に生じたき裂は、初期段階から溶着金属31側に移動して進展する特性を示している。また、図12の試験結果でも明らかなように、切欠36の先端に生じたき裂40は、熱影響部32から大きく溶着金属31側に逸れて進展している。このように、き裂進展速度の異なる材料の境界のき裂は、き裂進展速度の大きい方の部材に進展することとなる。
図14は、2種類の母材1,2を接合した溶接部における熱応力の発生を示す図である。
図14に示すように、母材1が母材2に比べて、線膨張係数が大きく、溶着金属としてはその中間的な線膨張係数である場合、温度上昇とともに母材1の熱膨張を母材2が抑制することとなるため、圧縮応力の熱応力が発生するとともに、母材2にはその逆の作用により引張の熱応力が発生する。厳密には初期状態やその他の負荷荷重により変化し、その正確な値は有限要素解析によって求められる。この場合には溶着金属に生じた欠陥は、母材1より母材2の方に進展し易いことが応力解析の結果から求められ、その結果は応力拡大係数に反映して評価できる。たとえば、母材1の材質はCrMoV鋼、母材2の材質は12Cr鋼からなる。
図14に示すように、母材1が母材2に比べて、線膨張係数が大きく、溶着金属としてはその中間的な線膨張係数である場合、温度上昇とともに母材1の熱膨張を母材2が抑制することとなるため、圧縮応力の熱応力が発生するとともに、母材2にはその逆の作用により引張の熱応力が発生する。厳密には初期状態やその他の負荷荷重により変化し、その正確な値は有限要素解析によって求められる。この場合には溶着金属に生じた欠陥は、母材1より母材2の方に進展し易いことが応力解析の結果から求められ、その結果は応力拡大係数に反映して評価できる。たとえば、母材1の材質はCrMoV鋼、母材2の材質は12Cr鋼からなる。
そこで、欠陥条件データ抽出部15は、溶着金属に生じたき裂が母材との境界に達したか否か判断する。そして、欠陥条件データ抽出部15は、このき裂が境界に達した場合には、材料強度DB12に記憶されている複数の欠陥条件データの中からこの境界側の母材に関係する欠陥条件データを抽出する。たとえば、欠陥条件データ抽出部15は、各パラメータを含む溶着金属の欠陥条件データを、き裂の生じる母材の欠陥条件データに変更する。
応力拡大係数算出部17は、この変更された欠陥条件データに基づいて、式(1)〜式(4)を計算してき裂の稼動単位時間の増大量を求め、さらにこの求めた稼動単位時間の増大量に基づいて、式(5)の応力拡大係数Kを計算する。
欠陥寿命判断部18は、応力拡大係数算出部17で算出された応力拡大係数Kに基づいて欠陥寿命を評価する。すなわち、欠陥寿命判断部18は、単位時間後の温度における部材の破壊靱性Kcと比較して、小さい場合には稼動時間を単位時間だけ増して、再度FEM解析結果による評価を繰り返す。この破壊靭性Kcは、脆性破壊が始まる破壊靭性である。応力拡大係数Kが、この破壊靭性Kcと等しいか大きくなると、き裂は極めて速い速度で伝播し、瞬間的に破断に至ることとなる。そこで、応力拡大係数Kが、この破壊靱性Kcと等しいか大きくなった時は、その時点における稼動時間tkを欠陥の進展寿命時間tfとすることができる。この欠陥寿命判断部18は、進展量算出部が算出した欠陥の増大量に応じて、前記溶接部の欠陥寿命を評価する評価部として機能する。
図15は、破壊靱性の温度依存性データの一例を示す図である。
図15に示すように、破壊靱性Kcは、部材の材料により異なるが、温度とともに上昇する傾向があって、室温付近の温度では非常に低い場合がある。このため、稼動中の高温で非破壊として許容されたき裂に対しても、次の起動時の低温度で同程度の負荷が作用した場合には、破壊領域となって許容されない場合がある。欠陥の進展寿命時間tfが設計時に設定された機器の設定寿命時間tLに比べて大きければ、欠陥は、機器の設定寿命時間tL内に破壊に至るほどは成長しないこととなり、残留が許容される。しかし、欠陥の進展寿命時間tfが、機器の設定寿命時間tLよりも小さい場合には、許容中に破断に至るまで成長することとなり、この欠陥を除去する必要がある。
図15に示すように、破壊靱性Kcは、部材の材料により異なるが、温度とともに上昇する傾向があって、室温付近の温度では非常に低い場合がある。このため、稼動中の高温で非破壊として許容されたき裂に対しても、次の起動時の低温度で同程度の負荷が作用した場合には、破壊領域となって許容されない場合がある。欠陥の進展寿命時間tfが設計時に設定された機器の設定寿命時間tLに比べて大きければ、欠陥は、機器の設定寿命時間tL内に破壊に至るほどは成長しないこととなり、残留が許容される。しかし、欠陥の進展寿命時間tfが、機器の設定寿命時間tLよりも小さい場合には、許容中に破断に至るまで成長することとなり、この欠陥を除去する必要がある。
交換決定部19は、欠陥の進展寿命時間tfに基づいて、欠陥の生じた部材を除去するか否か判断する。交換決定部19は、求められた進展寿命時間tfが設計時の機器の設定寿命時間tLより大きいか否か判断し、この判断結果に基づいて、欠陥の生じた部材の除去、つまり交換を決定する。すなわち、この交換決定部19は、求められた欠陥の進展寿命時間tfが機器の設定寿命時間tLより大きい場合、許容欠陥と判断する。また、この交換決定部19は、欠陥の進展寿命時間tfが機器の設定寿命時間tLと等しいか小さい場合、欠陥除去と判断する。
表示部20は、液晶表示装置などからなり、評価対象となる部材およびこの部材に生じた欠陥の形状を表示する。この表示部は、応力拡大係数算出部17で算出されたき裂の増加量に基づいて、この欠陥の状態を表示することができる。
以下、図16を参照してこの欠陥評価装置10の動作を説明する。
図16は、図1に示した欠陥評価装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
図16は、図1に示した欠陥評価装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
図16において、まずデータ入力部13から、ユーザによって選定されたCADなどの高温溶接機器の部材の欠陥の検査結果である欠陥検査データ(部材形状やその他に欠陥を示す属性データのモデル)から、評価対象として選定された1つの欠陥検査データを入力する(ステップS101)。
次に、運転履歴抽出部14は、運転履歴DB11から、この入力データに応じた評価対象となる高温溶接機器の部材形状、使用温度、使用圧力および回転速度などの高温機器データを抽出するとともに、これまでの運転履歴から、起動時、停止時および定常運転時の機器データの変化を示す運転履歴、設定寿命時間tLのデータを抽出する(ステップS102)。
そして、欠陥条件データ抽出部15は、材料強度DB12から、この入力データに応じた欠陥対象となる欠陥の欠陥寸法a、初期稼動時間tk、破壊靱性Kc、線膨張係数、板厚W、振動周波数f、各種パラメータC,F,α,β,lなどからなる欠陥条件データを抽出する(ステップS103)。
次に、この抽出された高温機器データ、運転履歴、設計寿命および欠陥条件データに基づいて、FEM解析部16は有限要素法の解析を行い、稼動単位時間の応力σを求める(ステップS104)。すなわち、このFEM解析部16は、高温機器データ、運転履歴、設計寿命、欠陥条件データのうちの欠陥の生じた部材の振動周波数、線膨張係数に基づいて、有限要素法の解析を行う。
そして、応力拡大係数算出部17は、この求まった稼動単位時間の応力σ、抽出された欠陥条件データに基づいて、単位時間単位おける振動応力σaによる疲労き裂進展量Δa1および平均応力σmによるクリープき裂進展量Δa2を、式(1)、式(2)によって算出する。さらに、欠陥の大きさaを式(4)によって算出し、この算出された欠陥の大きさaを式(5)に代入して、応力拡大係数Kを算出する(ステップS105)。
次に、表示部20は、この算出された欠陥の増大量に基づいて、欠陥の長さを算出し(ステップS106)、評価対象となる部材およびこの部材に生じた欠陥の形状や長さを表示する(ステップS107)。
次に、この表示された欠陥形状や長さに基づいて、欠陥が溶着金属と母材間の境界に達したかどうか判断する(ステップS108)。ここでは、CADによって欠陥の形状、長さ、進行方向などが表示され、また溶着金属や母材の幅は予め分かっているので、欠陥が境界に達しているか否か判断することができる。
ここで、欠陥が境界に達していない場合(ステップS108のNoの場合)、応力拡大係数算出部17は、算出した応力拡大係数Kと抽出された単位時間後の温度における評価対象部材の破壊靭性Kcと比較する(ステップS109)。
ここで、応力拡大係数Kが、評価対象部材の破壊靭性Kcより小さい場合(ステップS109のYesの場合)稼動時間tkを単位時間だけ増して(ステップS110)、ステップS104のFEM解析を再度行い、上記動作を繰り返す。
また、応力拡大係数Kが、評価対象部材の破壊靭性Kcと等しいか大きくなった場合(ステップS109のNoの場合)、欠陥寿命判断部18は、その時点における稼動時間tkを欠陥の進展寿命時間tf=tkとする(ステップS111)。そして、交換決定部19が、この欠陥の進展寿命時間tfが設定寿命時間tLより大きいか否か判断する(ステップS112)。
ここで、この欠陥の進展寿命時間tfが設定寿命時間tLより大きい場合(ステップS112のYesの場合)、この欠陥は、設定寿命時間tL内に破壊に到るほど成長しないこととなるので、許容欠陥と判断する(ステップS113)。また、この欠陥の進展寿命時間tfが設定寿命時間tLと等しいか小さい場合(ステップS112のYesの場合)、この欠陥は、設定寿命時間tL内に破壊に到ることとなるので、この欠陥を除去する必要があると判断する(ステップS114)。
また、ステップS108で、欠陥が境界に達した場合(ステップS108のYesの場合)、応力拡大係数算出部17は、応力拡大係数Kの算出に用いる欠陥条件データを、たとえば溶着金属の欠陥条件データから母材の欠陥条件データに変更し、ステップS104に戻ってFEM解析や応力拡大係数Kの計算を繰り返す。つまり、FEM解析では、高温機器データ、運転履歴、設計寿命、欠陥が進展した母材の線膨張係数に基づいて、解析が行われる。応力拡大係数の算出では、欠陥が進展した母材の欠陥条件データに基づいて、算出が行われる。
すなわち、本実施形態の欠陥評価装置では、欠陥を選定し、その欠陥が生じた部材に対して温度・応力分析を行って、単位時間における振動応力による疲労き裂進展量と平均応力によるクリープき裂進展量を求める。このクリープき裂進展量においては、温度とともに部材の公称応力と部材幅によっても応力拡大係数が変化するので、初期き裂における応力拡大係数、公称応力、部材幅の3つのパラメータを基にして、単位時間に進展するき裂の進展量を算出し、初期き裂長さにこのき裂の進展量を加えた値を次のき裂長さとして、応力拡大係数を算出する。そして、この算出した応力拡大係数を、この部材の破壊靭性と比較し、応力拡大係数が破壊靭性より大きくなった場合、その時点における稼動時間を欠陥の進展寿命とすることができる。さらに、このき裂の進展寿命と設定寿命時間を比較して、欠陥の生じた部材の交換を決定する。
このように、本実施形態では、き裂進展寿命解析を行い、解析されたき裂の進展寿命と設計寿命を比較することにより、高温溶接構造物の部材に生じた欠陥の進展寿命を適切に評価することができる。
(実施形態2)
図17は、複数の欠陥の合体評価を説明するための図であり、図18は、合体条件を説明するための図である。
図17は、複数の欠陥の合体評価を説明するための図であり、図18は、合体条件を説明するための図である。
図17に示すように、本実施形態は、2つの欠陥が近接している場合、2つの欠陥を一つの合体した欠陥として評価するものである。
たとえば、近傍の欠陥同士では、一方の欠陥の存在が他方の欠陥の応力拡大係数に影響を与えて、応力拡大係数が増大し、それぞれ単独の評価した場合に比べて、場合によっては大きな誤差を生ずる場合がある。
この場合には、き裂は2つの欠陥を合体させて1つの欠陥として評価することにより、より適切な寿命評価が可能となる。合体させるか否かの判断は、たとえば図18の例では、き裂の間隔Sと大きな方の欠陥の代表寸法dの値の比較から行う。
一般的には、S<0.5dの時に2つのき裂が合体されると、き裂の進展速度が早まり、実際の進展量と、算出された進展量が異なる状態が生じる。そこで、このS<0.5dを合体の条件とする。き裂の合体は、欠陥が表面直下の極表面に近い位置に存在する場合にも適用でき、実際にはき裂が外表面に出ていない場合でも、表面に開口する欠陥として取り扱うことにより、より適切な寿命評価が可能となる。
このように、本実施形態では、合体条件に基づいて、近傍の欠陥を合体させて1つの欠陥とみなして評価するので、一方の欠陥の存在が他方の欠陥の応力拡大係数に影響を与えることがなくなり、より適切な寿命評価が可能となる。
(実施形態3)
図19は、運転時間と材料の硬さ変化の関係を説明する概略図であり、図20は、材料の硬さにおける応力拡大係数とき裂進展速度の関係を示す図である。
本実施形態では、材料の経年劣化による強度特性の変化を考慮してより正確にき裂進展寿命を算出することである。
図19は、運転時間と材料の硬さ変化の関係を説明する概略図であり、図20は、材料の硬さにおける応力拡大係数とき裂進展速度の関係を示す図である。
本実施形態では、材料の経年劣化による強度特性の変化を考慮してより正確にき裂進展寿命を算出することである。
図19に示すように、母材(12Cr鋼、CrMoV鋼)、溶着金属では、運転時間の増大とともに材料の硬さHVが低下する様子を示すが、材料の硬さHVは、機器の使用環境である高温度や負荷応力によって低下する傾向がある。無負荷では、ほぼ一定の傾向で時間とともに硬さHVが低下する。硬さとともにき裂進展寿命に影響を与えるき裂進展特性も変化し、たとえばクリープき裂進展速度では、図20に示すように硬さの低下とともに同一の応力拡大係数Kでのき裂進展速度は増加する。ここで、材料の硬さHV1が一番柔らかい状態を示し、次いでHV2,HV3の順で硬い状態を示す。このため、き裂進展寿命を算出する時間に合わせて、き裂の進展速度データに硬さの変化を考慮することによって、より正確なき裂進展寿命を算出することができる。
すなわち、式(3)において、材料の硬さ(HV)に応じてパラメータCの値を変えてき裂進展速度da/dtを、
da/dt=C(HV)・KmσnWl
求める。なお、欠陥条件データとしては、運転時間における材料の硬さに応じたパラメータCを追加する。また、図20は、クリープき裂進展速度の例であるが、疲労き裂進展速度についても同様に硬さの低下とともに増大の傾向にあるため同様に考慮する必要がある。
da/dt=C(HV)・KmσnWl
求める。なお、欠陥条件データとしては、運転時間における材料の硬さに応じたパラメータCを追加する。また、図20は、クリープき裂進展速度の例であるが、疲労き裂進展速度についても同様に硬さの低下とともに増大の傾向にあるため同様に考慮する必要がある。
このように、本実施形態では、経年変化する材料の硬さを考慮してき裂進展速度の変化を寿命評価に加えるので、より適切な寿命評価が可能となる。
(実施形態4)
強度の時間変化については、き裂進展特性だけでなく、き裂の限界特性にも影響を与える。図21は、運転時間と破面遷移温度(FATT)と呼ばれる材料の靭性を表すパメータの関係の一例を示す図である。図22は、破壊靭性と(評価温度−破面遷移温度)の関係の一例を示す図である。なお、この図21、図22は、12Cr鋼の実測データである。
強度の時間変化については、き裂進展特性だけでなく、き裂の限界特性にも影響を与える。図21は、運転時間と破面遷移温度(FATT)と呼ばれる材料の靭性を表すパメータの関係の一例を示す図である。図22は、破壊靭性と(評価温度−破面遷移温度)の関係の一例を示す図である。なお、この図21、図22は、12Cr鋼の実測データである。
図21に示すように、破面遷移温度は、破壊する温度が変化した場合に破面の特徴が脆性から延性、またはその逆に変化した場合の境界となる温度を与えるものである。すなわち、図21の特性において、破面遷移温度が運転時間とともに高温に変化するということは、運転時間とともに材料が脆化して初期状態では比較的低温で脆性破壊していた材料が、運転時間とともに脆性破壊が高温でも生ずるようになることを示す。このため、運転の初期状態では比較的破壊靱性の高かった温度でも、運転時間が長くなると、同一温度の破壊靱性は低下し、限界き裂長さの低下を引き起こす。なお、CrMoV鋼および溶着金属においても、12Cr鋼と同様の特性を得ることができる。
この材料の脆化を考慮する方法としては、図22に示すように、評価温度(使用温度)から破面遷移温度を減じた値(T−FATT)をパラメータとし、この(T−FATT)と破壊靭性Kcとの関係を示すデータを、欠陥条件データとして記憶する。そして、部材の材料と使用温度に応じて、適切な破壊靭性Kc(図22のデータ)を抽出することができる。
このように、本実施形態では、材料の脆化による破壊靭性の低下を寿命評価に加えるので、より適切な寿命評価が可能となる。この結果、材料の脆化の有無に依らず統一的な評価が可能となるため、運転時間による破面遷移温度の変化を予測することによって材料の靭性の変化を考慮したき裂の限界特性の評価が可能となる。
(実施形態5)
溶接によって生じた残留応力や熱応力などの定常運転時の応力の応力変化を材料のクリープ変形を基にして簡易的に評価することによって解析が困難なクリープ解析を回避することができる。
図23は、一定温度でのクリープ破断時間と応力の関係を示す図である。図24は、一定温度でのクリープ破断時間と最小クリープ速度の関係を示す図である。なお、図23、図24は、CrMoV鋼における550[℃]での特性を示すものである。
溶接によって生じた残留応力や熱応力などの定常運転時の応力の応力変化を材料のクリープ変形を基にして簡易的に評価することによって解析が困難なクリープ解析を回避することができる。
図23は、一定温度でのクリープ破断時間と応力の関係を示す図である。図24は、一定温度でのクリープ破断時間と最小クリープ速度の関係を示す図である。なお、図23、図24は、CrMoV鋼における550[℃]での特性を示すものである。
図24に示すように、一定温度(550[℃])での応力とクリープ破断時間の関係は、ばらつきも小さく近似曲線も良好であるから、この近似曲線に基づきクリープ破断時間を得る。さらに、この得られたクリープ破断時間を基に、図25に示す関係から、微小時間Δt後の応力変化Δσは、
Δσ= E・Δt・εmin
となる。ここで、Eは、ヤング率である。稼動単位時間の応力σ=σ−Δσとなるので、さらに次の微小時間後の応力を求めることによって定常運転時における応力変化を算出することができる。
Δσ= E・Δt・εmin
となる。ここで、Eは、ヤング率である。稼動単位時間の応力σ=σ−Δσとなるので、さらに次の微小時間後の応力を求めることによって定常運転時における応力変化を算出することができる。
図25は、一定温度におけるクリープ破断時間と応力の関係の実測データ(長時間保持試験のデータ)を示す図である。なお、図25は、CrMoV鋼における550[℃]での特性を示すもので、クリープ破断時間は対数表示されている。
図25に示すように、短時間試験データ(点線)から長時間の応力を推定すると、約700時間で応力が零になる。この場合は、実測データ(実線)と比較すると、長時間の応力を過小評価することとなる。
一方、最小クリープ速度からの推定結果(一点鎖線)は、初期では応力を高めに評価するが、約20時間以降ではほぼ実測データと一致する傾向を示した。
このように、本実施形態では、クリープ破断特性(図23参照)と最小クリープひずみ速度特性(図24参照)を得ることによって、定常運転中の残留応力、熱応力、遠心応力などの時間的変化を応力σ=σ−Δσによって簡易的に求めることができる。
このように、本実施形態では、クリープ破断特性(図23参照)と最小クリープひずみ速度特性(図24参照)を得ることによって、定常運転中の残留応力、熱応力、遠心応力などの時間的変化を応力σ=σ−Δσによって簡易的に求めることができる。
(実施形態6)
図26は、クリープ変形曲線と温度の関係を示す図である。
図26に示すように、クリープ変形は、高温になるほど変形量が大きくなり、通常の鉄鋼材料では400〜450[℃]でクリープ変形はほとんど生じなくなる。このため、この温度以下となる評価温度ではクリープき裂進展評価を回避することができることになり、き裂進展解析を一定として簡略化することができる。
図26は、クリープ変形曲線と温度の関係を示す図である。
図26に示すように、クリープ変形は、高温になるほど変形量が大きくなり、通常の鉄鋼材料では400〜450[℃]でクリープ変形はほとんど生じなくなる。このため、この温度以下となる評価温度ではクリープき裂進展評価を回避することができることになり、き裂進展解析を一定として簡略化することができる。
ここで、たとえばクリープ変形は、0.4Tm(絶対温度で融点の0.4)以上の温度で問題となるので、12Cr鋼のロータでは融点が1506[℃]であるため、クリープが問題になるのは、
(1506+273)×0.4=711.6[K]
711.6−273≒438[℃]
438[℃]以上となる。したがって、12Cr鋼の場合には438[℃]未満では、クリープき裂進展評価を一定として回避することができる。
(1506+273)×0.4=711.6[K]
711.6−273≒438[℃]
438[℃]以上となる。したがって、12Cr鋼の場合には438[℃]未満では、クリープき裂進展評価を一定として回避することができる。
このように、本実施形態では、温度が400〜450[℃]以下ではクリープき裂進展評価を回避することができるので、き裂進展解析を簡略化して簡易的にき裂寿命を評価することができる。
図27は、想定き裂のき裂進展評価による溶接部位の決定方法を説明するための図である。
機器の設計段階では、溶接部にき裂を想定してそのき裂進展寿命を求めることによって、どの程度のき裂進展寿命があるかを判断して、最良の溶接部位を設定する。この溶接部位を、図27に示す高温の溶接部41や応力集中部位に想定した場合には、欠陥からのき裂は早期に進展する。
機器の設計段階では、溶接部にき裂を想定してそのき裂進展寿命を求めることによって、どの程度のき裂進展寿命があるかを判断して、最良の溶接部位を設定する。この溶接部位を、図27に示す高温の溶接部41や応力集中部位に想定した場合には、欠陥からのき裂は早期に進展する。
そこで、これらの部位を避けた溶接部位、たとえば図27に示す低温の溶接部42を設定した方のが、溶接欠陥が生じた場合には優位となる。すなわち、本発明に係るき裂寿命の欠陥評価装置を用いて、設計段階で想定したき裂の進展寿命を評価し、欠陥寿命時間が設定寿命時間と等しいか小さい場合、設定寿命時間内に破壊に到るので、低温の溶接部や応力集中の少ない所に想定した欠陥の生じた部材を用いるようにする。
このように、高温溶接機器の設計段階で溶接部に想定欠陥を設定し、機器の製作前にこの想定欠陥のき裂進展寿命を、本発明に係る欠陥評価装置を用いて評価することにより、想定欠陥の生じた部材を最良の溶接部に設定することが可能となる。
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。例えば実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1,2,30…母材、10…欠陥評価装置、11…運転履歴DB、12…材料強度DB、13…データ入力部、14…運転履歴抽出部、15…欠陥条件データ抽出部、16…解析部、17…応力拡大係数算出部、18…欠陥寿命判断部、19…交換決定部、20…表示部、31…溶着金属、32…熱影響部、35…溝、36…切欠、40…き裂、41,42…溶接部、Δa…き裂進展量、a…欠陥寸法、C,F,α,β,l…パラメータ、f…振動周波数、K…応力拡大係数、Kc…破壊靭性、W,W1…部材幅(板厚)。
Claims (11)
- 溶接構造物の溶接部の部材の形状と、温度、圧力および回転速度の時間的変化との組み合わせを表す対応データを記憶する第1の記憶部と、
前記部材の欠陥寸法、温度に対する線膨張係数、板厚および振動周波数の組み合わせを表す欠陥条件データを記憶する第2の記憶部と、
前記記憶された対応データと欠陥条件データに基づいて、応力解析を行って前記欠陥に加えられる応力の時間的変化を求め、この求めた応力の時間的変化に基づいて、前記欠陥に加えられる振動応力および平均応力の時間的変化を求める解析部と、
前記求められた振動応力の時間的変化、前記記憶された欠陥寸法および振動周波数に基づいて、疲労き裂進展量の時間的変化を算出するとともに、前記求められた平均応力の時間的変化、前記記憶された欠陥寸法および板厚に基づいて、クリープき裂進展量の時間的変化を算出する進展量算出部と、
前記算出した疲労き裂進展量の時間的変化、クリープき裂進展量の時間的変化および前記記憶された所定部材の欠陥寸法に基づいて、欠陥の増大量を算出する増大量算出部と、
を具備することを特徴とする欠陥評価装置。 - 前記第1の記憶部は、前記部材の推定寿命をさらに含む前記対応データを記憶し、
前記欠陥評価装置が、前記進展量算出部が算出した欠陥の増大量に応じて、前記溶接部の欠陥寿命を評価する評価部を、
さらに具備することを特徴とする請求項1記載の欠陥評価装置。 - 近接する複数の欠陥を合体させて1つの欠陥とする合体部を、
さらに具備することを特徴とする請求項1または2記載の欠陥評価装置。 - 前記第2の記憶部は、前記部材の硬さを含んだ前記欠陥条件データをさらに記憶し、
前記進展量算出部は、前記求められた振動応力の時間的変化、前記記憶された欠陥寸法、振動周波数および部材の硬さに基づいて、疲労き裂進展量の時間的変化を算出するとともに、前記求められた平均応力の時間的変化、前記記憶された欠陥寸法、板厚および硬さに基づいて、クリープき裂進展量の時間的変化を算出する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の欠陥評価装置。 - 前記進展量算出部は、クリープ破断時間に対する最小クリープ速度に基づいて、応力的変化を算出し、前記算出した応力的変化に基づいて、前記クリープき裂進展量の時間的変化を算出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の欠陥評価装置。 - 前記進展量算出部は、前記使用温度が所定値以下の場合、前記クリープき裂進展量の時間的変化を一定とする
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の欠陥評価装置。 - 選定された評価対象としての所定部材の形状および前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データを入力する入力部と、
前記第1および第2の記憶部に記憶された複数の対応データおよび欠陥条件データから、前記入力された所定部材の形状と前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データとの組み合わせに応じた対応データおよび欠陥条件データを抽出する抽出部と、
をさらに具備し、
前記解析部は、前記抽出された対応データと欠陥条件データに基づいて、応力解析を行って前記欠陥に加えられる応力の時間的変化を求め、この求めた応力の時間的変化に基づいて、前記欠陥に加えられる振動応力および平均応力の時間的変化を求める
ことを特徴とする請求項1または2記載の欠陥評価装置。 - 前記算出された欠陥の増大量に応じて、前記欠陥の寸法を求めるとともに、前記求めた欠陥の寸法に応じて、前記欠陥が前記溶接部の2つの部材間の境界に到ったことを判断する境界判断部を、
さらに具備し、
前記抽出部は、前記き裂が前記部材間の境界に到ると、前記2つの部材のうちのき裂進展速度の大きい部材の前記欠陥条件データを抽出する
ことを特徴とする請求項7記載の欠陥評価装置。 - 前記増大量算出部が算出した欠陥の増大量に基づいて、前記部材の応力拡大係数を算出する係数算出部を、
さらに具備し、
前記第2の記憶部は、使用温度または前記使用温度と破面遷移温度との差分に対する破壊靱性をさらに含む欠陥条件データを記憶し、
前記評価部は、前記算出された応力拡大係数が前記破壊靭性と等しいか大きくなった時の前記運転履歴に基づいて、前記溶接部の欠陥寿命を判断する
ことを特徴とする請求項7または8記載の欠陥評価装置。 - 前記入力部は、前記溶接部内の評価対象としての所定部材の材形状および前記所定部材に想定された欠陥の寸法を示す属性データを入力し、
前記欠陥評価装置は、
前記寿命判断部の判断結果に基づいて、前記所定部材の溶接部の使用場所を決定する使用決定部を、
さらに具備することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の欠陥評価装置。 - 入力部が、選定された高温溶接構造物の溶接部の評価対象としての所定部材の形状および前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データを入力するステップと、
抽出部が、記憶部に記憶された高温溶接構造物の溶接部の部材の形状と、温度、圧力および回転速度の時間的変化との組み合わせを表す複数の対応データから、前記入力された所定部材の形状、前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データの組み合わせに応じた対応データと、前記部材の欠陥寸法、温度に対する線膨張係数、板厚および振動周波数の組み合わせを表す複数の欠陥条件データから、前記入力された所定部材の形状、前記所定部材に生じた欠陥の寸法を示す属性データの組み合わせに応じた欠陥条件データと、を抽出するステップと、
解析部が、前記抽出された対応データと欠陥条件データに基づいて、応力解析を行って前記欠陥に加えられる応力の時間的変化を求め、この求めた応力の時間的変化に基づいて、前記欠陥に加えられる振動応力および平均応力の時間的変化を求めるステップと、
進展量演算部が、前記求められた振動応力の時間的変化、前記抽出された欠陥寸法および振動周波数に基づいて、疲労き裂進展量の時間的変化を算出するとともに、前記求められた平均応力の時間的変化、前記抽出された欠陥寸法および板厚に基づいて、クリープき裂進展量の時間的変化を算出するステップと、
増大量算出部が、前記算出された疲労き裂進展量の時間的変化、クリープき裂進展量の時間的変化および前記抽出された所定部材の欠陥寸法に基づいて、欠陥の増大量を算出するステップと、
評価部が、前記算出された欠陥の増大量に応じて、前記溶接部の欠陥寿命を評価するステップと、
を含むことを特徴とする欠陥評価方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2020030074A (ja) * | 2018-08-21 | 2020-02-27 | トヨタ自動車株式会社 | 機械的接合部の疲労寿命予測方法 |
CN111033211A (zh) * | 2017-08-30 | 2020-04-17 | 三菱日立电力系统株式会社 | 剩余寿命评价方法及保养管理方法 |
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2010
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