JP2008275466A - 高温機器の寿命評価装置、高温機器の寿命評価方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープ損傷量と疲労損傷量とを算出するための評価部位を個々に設定して高精度で寿命を評価することができる高温機器の寿命評価装置、高温機器の寿命評価方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】高温機器の寿命評価装置10は、対象部品の選定情報を収得する選定情報収得手段21と、演算条件を収得する演算条件収得手段22と、演算条件および定常的負荷荷重または過渡的負荷荷重のデータから応力を算出する応力算出手段23と、演算条件、応力および破断時間データからクリープ損傷量を算出するクリープ損傷量算出手段24と、演算条件、応力および疲労寿命データから疲労損傷量を算出する疲労損傷量算出手段25と、クリープ損傷量、疲労損傷量および限界損傷データから損傷量を判定する損傷量判定手段26と、損傷量から対象部品の寿命を判定する寿命判定手段27とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】高温機器の寿命評価装置10は、対象部品の選定情報を収得する選定情報収得手段21と、演算条件を収得する演算条件収得手段22と、演算条件および定常的負荷荷重または過渡的負荷荷重のデータから応力を算出する応力算出手段23と、演算条件、応力および破断時間データからクリープ損傷量を算出するクリープ損傷量算出手段24と、演算条件、応力および疲労寿命データから疲労損傷量を算出する疲労損傷量算出手段25と、クリープ損傷量、疲労損傷量および限界損傷データから損傷量を判定する損傷量判定手段26と、損傷量から対象部品の寿命を判定する寿命判定手段27とを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、火力発電プラント、原子力発電プラントなどで使用される高温機器の寿命を評価する高温機器の寿命評価装置、高温機器の寿命評価方法およびプログラムに関する。
高温機器である蒸気タービンでは、高速で流動する蒸気によって回転力を得ているため、高温の蒸気が流入する機器には運転に伴って多くの損傷が生じる。一般的な蒸気タービンでは、高温高圧になった蒸気は、高圧タービンや中圧タービンの各段落で温度、圧力を低下させながらタービン動翼を介してタービンロータに回転力を与えている。すなわち、蒸気タービンの原動力は、蒸気によって得ており、タービン動翼を介してタービンロータに伝達される。近年の発電プラント等では、高効率化や大容量化の要求に伴って、使用する蒸気の温度や圧力は益々高くなり、流量は益々増大する。
このため、これら高温高圧の蒸気に晒されている機器においては、高温下で構成部品に加わる応力によっても材料自体の劣化とともに様々な損傷を引き起こし、局部的にき裂を生じ、発生したき裂が原因となり機器全体の破壊を引き起こすことがあった。
図26は、代表的な高温機器であるタービンロータ600に植設された動翼601を示す斜視図である。この動翼601は、運転中、絶えず高温高圧の蒸気に晒されると同時に、タービンロータの回転に伴う遠心力によって一定荷重を受ける。この荷重は、複雑な形状の動翼601の各部位に過大な応力を発生させるとともに、高温で長時間使用されるため、クリープ変形を生じさせ、タービンロータ600や動翼601に多大な損傷を与え、場合によっては重大な変形やき裂を生じさせることがあった。
このため、これまで様々な方法で、材料の損傷、特にクリープ損傷を評価する方法が提案されている。
図27は、微視欠陥の長さとクリープ損傷との関係を示す図である。従来のクリープ損傷を評価する方法では、図27に示す、高温で使用される耐熱合金に対して組織に発生する長さ10μm以下の空孔である微視欠陥の形態とクリープ損傷率の関係からクリープ損傷を評価している(例えば、特許文献1参照。)。
図28は、クリープボイド個数密度と寿命比との関係を示す図である。従来のクリープ損傷を評価する方法では、図28に示す、焼き戻しマルテンサイト鋼の多軸応力試験により得られた試験結果であるクリープボイド個数密度と寿命比の関係からクリープ損傷を評価している(例えば、特許文献2参照。)。
図29は、音速比増加量とクリープ損傷率との関係を示す図である。従来のクリープ損傷を評価する方法では、蒸気タービンのタービンロータに超音波を当て、タービンロータの音速値を測定して未使用材の音速値との比から求められる音速比増加量を算出し、図29に示す、音速比増加量とクリープ損傷率との関係からクリープ損傷率を算出している(例えば、特許文献3参照。)。
図30は、電子線後方散乱像のパターンクオリティと寿命消費率との関係を示す図である。従来のクリープ損傷を評価する方法では、図30に示す、電子線後方散乱像のパターンクオリティが高くなるほど短寿命となる関係を用いて、焼き戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷を評価している(例えば、特許文献4参照。)。
図31は、従来のクリープ損傷評価方法におけるフローチャートである。この従来のクリープ損傷評価方法では、疲労寿命とクリープ寿命に材料の脆化が影響を与えるとして、疲労損傷をき裂長さで、クリープ損傷をキャピティ密度で評価している。そして、粒界溝深さから評価される脆化がそれぞれの限界値を与えることによって、脆下を考慮した評価がなされている(例えば、特許文献5参照。)。
図32は、従来のクリープ損傷を算出する方法におけるフローチャートである。この従来のクリープ損傷を算出する方法は、硬さからクリープ損傷を算出する方法である。ここでは、一般的には明確ではない初期の硬さを用いることなく、損傷部と無負荷加熱材について一定の時間間隔で測定した硬さの低下量から残余寿命を求めている(例えば、特許文献6参照。)。
また、上記した非破壊試験データを用いてクリープ損傷や機器の寿命を評価する方法の他に、解析的に寿命を評価する方法も数多く開示されている。例えば、図33は、材料寿命データの揺らぎを考慮することによって寿命を評価する方法におけるフローチャートである。この従来の寿命評価方法は、代表的な方法であり、材料寿命データとして高温の一定荷重による変形データ、破断に対するデータとしてクリープ破断データ、繰返しのひずみに対するデータとして低サイクル疲労データを用いて、それぞれクリープ損傷および疲労損傷を算出し、寿命を評価している(例えば、特許文献7参照。)。
特許第2568637号公報
特開2003−315251号公報
特開2003−270220号公報
特開2003−185603号公報
特許第3009698号公報
特許第3533517号公報
特開平6−94589号公報
上記した従来の寿命評価方法では、硬さ、ボイドまたは音速を計測するなどの非破壊試験、局部的な破壊試験、または有限要素法(FEM)解析によって得られる様々なデータに基づいて寿命評価がなされていた。
しかしながら、従来の寿命評価方法において寿命評価に用いるデータはあくまで試験片等を用いて実験室で得られたクリープ損傷に対するもので、評価範囲もクリープボイドや硬さなど局部的に限定されるものであり、解析的に評価する場合でも高応力部として評価範囲は限定される。さらに、寿命評価結果において、試験片レベルでは試験片全体に均一にクリープ損傷が生ずるために寿命評価精度は高いものの、実際の機器では、かなりのクリープ損傷を生じていると判定されながら、実際にはクリープ損傷による破断が生じた例はほとんどないのが実情である。
一方、クリープ損傷とは異なり疲労損傷に関しては、高サイクル疲労によって振動を生ずる部品が想定外の部位から短時間で破断する例が数多く見られる。疲労やクリープは、材料に損傷を与える損傷の形態の一つであり、双方とも高温機器の寿命評価においては非常に重要な因子であるが、それぞれの特性から評価方法は異なる。例えば、疲労損傷は、局部的に応力変化が集中し、その最も高くなる部位に局部的にき裂を発生して、それを伝播して破断に至らせるが、クリープ損傷では、損傷が集中する場合はまれであり、絶えず損傷を分散させる傾向にある。疲労損傷においては、大きな材料の変形を伴うことなく損傷が蓄積するため、損傷過程において周囲の大きな応力状況の変化がなく、損傷が蓄積する初期の応力状態が継続されてき裂発生に至る。
これに対して、クリープ損傷においては、損傷過程において絶えずクリープ変形による応力変化を生じている。最初の負荷において高応力となった部位は、高応力であるがために他の部位よりクリープ変形を生じやすくなるため、高応力部のクリープ変形により自らの高応力状態を回避して応力を低下させる結果となる。このため、初期の応力状態からクリープ寿命を診断した場合には、常に短寿命側の安全側の寿命評価を行うことになる。また、一定部位での損傷は、変形を生じない疲労損傷については経時的に直線的に損傷が累積するが、変形を伴うクリープ損傷は経時的に常に非線形に変化している。そのため、瞬間的なある時点での評価は疲労損傷に対しては適切であるが、クリープ損傷に対しては大きな誤差を生ずることになる。
また、非破壊的なデータに基づいて寿命評価を行う場合でも、高応力部位から得られたデータに基づいて寿命を評価した場合には、初期の短時間における損傷過程で生じたデータを用いるために解析的に評価した結果と同様な結果となり、常に安全側の寿命評価を行うことになる。これは、精度の高い非破壊的な方法を用いた場合でも、その時点での局部的な評価を行う限り評価精度の向上は望めない。
上記したように、従来の寿命評価方法では、クリープ変形による損傷の分散を無視して、瞬間的な局部的評価データを用いて高温機器のクリープ損傷を評価していたため、常に短寿命側の安全側の寿命評価となっていた。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、クリープ損傷量と疲労損傷量とを算出するための評価部位を個々に設定して評価するとともに、クリープ損傷の損傷過程におけるクリープ変形による応力変化を考慮して、高精度で寿命を評価することができる高温機器の寿命評価装置、高温機器の寿命評価方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の高温機器の寿命評価装置は、高温機器の対象部品の選定情報を収得する選定情報収得手段と、前記選定情報収得手段によって収得された対象部品に対応する演算条件を収得する演算条件収得手段と、少なくとも、高温機器の対象部品における各評価部位に定常的に負荷される定常的負荷荷重および過渡的に負荷される過渡的負荷荷重のデータ、応力とクリープ破断時間との関係を示す破断時間データ、疲労寿命に係るデータおよび前記対象部品が損傷するクリープ損傷量と疲労損傷量との関係を示す限界損傷データを格納する演算データベースと、前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、および前記演算データベースに格納された定常的負荷荷重のデータまたは過渡的負荷荷重のデータに基づいて、応力を算出する応力算出手段と、前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、前記応力算出手段によって算出された応力、および前記演算データベースに格納された破断時間データに基づいて、クリープ損傷量を算出するクリープ損傷量算出手段と、前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、前記応力算出手段によって算出された応力、および前記演算データベースに格納された疲労寿命に係るデータに基づいて、疲労損傷量を算出する疲労損傷量算出手段と、前記クリープ損傷量算出手段で算出されたクリープ損傷量、前記疲労損傷量算出手段で算出された疲労損傷量および前記演算データベースに格納された限界損傷データに基づいて、損傷量を判定する損傷量判定手段と、前記損傷量判定手段によって判定された損傷量に基づいて、前記対象部品の寿命を判定する寿命判定手段とを具備することを特徴とする。
本発明の高温機器の寿命評価方法は、高温機器の寿命を評価する高温機器の寿命評価装置における寿命評価方法であって、高温機器の対象部品の選定情報を選定情報収得手段が収得する選定情報収得ステップと、前記選定情報収得手段が収得した対象部品に対応する演算条件を演算条件収得手段が収得する演算条件収得ステップと、前記演算条件収得手段が収得した演算条件、および演算データベースに格納された、高温機器の対象部品における各評価部位に定常的に負荷される定常的負荷荷重のデータまたは過渡的に負荷される過渡的負荷荷重のデータに基づいて、応力算出手段が応力を算出する応力算出ステップと、前記演算条件収得手段が収得した演算条件、前記応力算出手段が算出した応力、および前記演算データベースに格納された、応力とクリープ破断時間との関係を示す破断時間データに基づいて、クリープ損傷量算出手段がクリープ損傷量を算出するクリープ損傷量算出ステップと、前記演算条件収得手段が収得した演算条件、前記応力算出手段が算出した応力、および前記演算データベースに格納された疲労寿命に係るデータに基づいて、疲労損傷量算出手段が疲労損傷量を算出する疲労損傷量算出ステップと、前記クリープ損傷量算出手段が算出したクリープ損傷量、前記疲労損傷量算出手段が算出した疲労損傷量および前記演算データベースに格納された、前記対象部品が損傷するクリープ損傷量と疲労損傷量との関係を示す限界損傷データに基づいて、損傷量判定手段が損傷量を判定する損傷量判定ステップと、前記損傷量判定手段が判定した損傷量に基づいて、寿命判定手段が前記対象部品の寿命を判定する寿命判定ステップとを具備することを特徴とする。
本発明のプログラムは、高温機器の寿命を評価する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記コンピュータを、高温機器の対象部品の選定情報を収得する選定情報収得手段と、前記選定情報収得手段によって収得された対象部品に対応する演算条件を収得する演算条件収得手段と、少なくとも、高温機器の対象部品における各評価部位に定常的に負荷される定常的負荷荷重および過渡的に負荷される過渡的負荷荷重のデータ、応力とクリープ破断時間との関係を示す破断時間データ、疲労寿命に係るデータおよび前記対象部品が損傷するクリープ損傷量と疲労損傷量との関係を示す限界損傷データを格納する演算データベースと、前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、および前記演算データベースに格納された定常的負荷荷重のデータまたは過渡的負荷荷重のデータに基づいて、応力を算出する応力算出手段と、前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、前記応力算出手段によって算出された応力、および前記演算データベースに格納された破断時間データに基づいて、クリープ損傷量を算出するクリープ損傷量算出手段と、前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、前記応力算出手段によって算出された応力、および前記演算データベースに格納された疲労寿命に係るデータに基づいて、疲労損傷量を算出する疲労損傷量算出手段と、前記クリープ損傷量算出手段で算出されたクリープ損傷量、前記疲労損傷量算出手段で算出された疲労損傷量および前記演算データベースに格納された限界損傷データに基づいて、損傷量を判定する損傷量判定手段と、前記損傷量判定手段によって判定された損傷量に基づいて、前記対象部品の寿命を判定する寿命判定手段として機能させることを特徴とする。
上記した高温機器の寿命評価装置、高温機器の寿命評価方法およびプログラムによれば、クリープ損傷量を評価すべき定常的負荷荷重と、疲労損傷量を評価すべき過渡的負荷荷重を明確に区分し、それぞれ個々に評価されたクリープ損傷量および疲労損傷量の結果に基づいて、高温機器の寿命を評価することができる。
本発明の高温機器の寿命評価装置、高温機器の寿命評価方法およびプログラムによれば、クリープ損傷量と疲労損傷量とを算出するための評価部位を個々に設定して評価するとともに、クリープ損傷の損傷過程におけるクリープ変形による応力変化を考慮して、高精度で寿命を評価することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の高温機器の寿命評価装置10の主要な構成を示す機能ブロック図である。なお、高温機器の寿命評価装置10(以下、寿命評価装置10という)は、例えば火力発電プラント、原子力発電プラントなどに備えられ、各プラントを構成する高温機器の寿命を評価するものである。
寿命評価装置10は、本発明に係る寿命評価方法を実行する機能を実現すべく書き換え可能メモリなどのプログラムデータベース20に格納されたプログラムを制御手段30により実行するコンピュータ等によって構成される。この制御手段30は、内部での種々の演算処理を実行するCPU等の演算手段、システム情報等が記憶されたROM等の不揮発性メモリや更新可能に情報を記憶するRAM等の半導体メモリで構成された記憶手段、および内部での種々の動作や外部との情報授受を司る制御手段等を有する。また、制御手段30は、入出力インターフェース40からの入力やインストールされたプログラムの内容等に応じて様々な情報処理を実行するものとなっており、後述の動作における各種演算の処理を実行したり、各構成部を制御する中核を担う。
また、寿命評価装置10は、コンピュータ等が一般に備えられるキーボードやポインティング・デバイス等で構成される、使用者等による文字入力や選択入力等を受け付けて制御手段30等へ供給する入出力インターフェース40を備えている。さらに、寿命評価装置10は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等で構成される、制御手段30による制御の下で所定の情報表示をする表示手段60を備えている。また、寿命評価装置10は、ハードディスク等の記憶手段で構成される、プログラムデータベース20や演算データベース50等を備えている。そして、上記した各構成部は、システムバス70で接続されている。
次に、プログラムデータベース20に格納された各種機能手段について説明する。
プログラムデータベース20には、選定情報収得手段21、演算条件収得手段22、応力算出手段23、クリープ損傷量算出手段24、疲労損傷量算出手段25、損傷量判定手段26、寿命判定手段27の機能手段が格納されている。
選定情報収得手段21は、入出力インターフェース40等によって入力された、例えば高温機器を構成する対象部品の選定情報等の情報を収得する。対象部品の選定情報として、例えば、プラント名称、高温機器部品名、対象部品名等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、対象部品の一例として、動翼、タービンロータ、座金を介してボルトによって締結されるネジ締結体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
演算条件収得手段22は、入出力インターフェース40等によって入力された、選定情報収得手段によって収得された対象部品に対応する演算条件を収得する。演算条件として、例えば、対象部品に対する初期応力σ0、使用温度T、運転時間tf、高温機器の起動停止の繰り返し回数n等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、対象部品等によってこれらの演算条件が所定の条件に定められる場合には、これらの演算条件は、例えば、対象部品等に対応させてデータベース等に予め格納し、必要に応じてこのデータベース等から情報を参照すればよい。この場合には、演算条件収得手段22を設ける必要はなくなる。
応力算出手段23は、高温機器の対象部品における各評価部位に、定常的に荷重が負荷される場合、すなわち定常的負荷荷重を受ける場合、および過渡的に荷重が負荷される場合、すなわち過渡的負荷荷重を受ける場合のそれぞれの場合おいて、各評価部位に発生する応力を算出する。ここで、定常的負荷荷重を受ける場合には、応力算出手段23は、演算条件収得手段22によって収得された演算条件および、演算データベース50に格納された定常的負荷荷重のデータに基づいて応力を算出する。一方、過渡的負荷荷重を受ける場合には、応力算出手段23は、演算条件収得手段22によって収得された演算条件および演算データベース50に格納された過渡的負荷荷重のデータに基づいて応力を算出する。なお、定常的負荷荷重を受けるのは、例えば、高温機器が定常運転されているときなどであり、過渡的負荷荷重を受けるのは、高温機器の起動時や停止時などである。
ここで、定常的負荷荷重のデータとして、例えば、遠心力、圧力、締結力等が挙げられ、過渡的負荷荷重のデータとして、例えば、非定常熱応力、遠心力、圧力等が挙げられ、これらは、寿命評価を行う対象部品に応じて適宜変更される。また、遠心力および圧力は、定常運転状態では定常的負荷荷重であるが、起動時や停止時には、起動または停止に伴う過渡的な荷重変化と考えられるので、過渡的負荷荷重となる。
また、各評価部位は、対象部品に応じて予め設定されている。また、定常的負荷荷重を受ける場合において、変位により定常的負荷荷重が与えられ、初期状態が繰り返し負荷されないときには、クリープ損傷が局所的に累積しないので評価部位を評価断面として、応力算出手段23において、この評価断面における平均応力が算出される。一方、初期状態が繰り返し負荷されるときには、応力が平均化することなく最大応力部にクリープ損傷が蓄積するため、評価部位をその最大応力部である局所部位として、応力算出手段23において、この局所部位における局所応力が算出される。また、過渡的負荷荷重を受ける場合には、応力が平均化することなく最大応力部に疲労損傷が蓄積するため、評価部位をその最大応力部である局所部位として、応力算出手段23において、この局所部位における局所応力が算出される。
また、演算データベース50は、寿命評価に係る演算を実行するために必要なデータを収納し、例えば、少なくとも、高温機器の対象部品における各評価部位に定常的に負荷される定常的負荷荷重および過渡的に負荷される過渡的負荷荷重のデータ、応力とクリープ破断時間との関係を示す破断時間データ、疲労寿命に係るデータおよび対象部品が損傷するクリープ損傷量と疲労損傷量との関係を示す限界損傷データ等を収納する。なお、演算データベース50に収納されるデータはこれら以外のデータも必要に応じて収納することができる。
クリープ損傷量算出手段24は、演算条件収得手段22によって収得された演算条件、応力算出手段23によって算出された応力、および演算データベース50に格納された、応力とクリープ破断時間の関係を示す破断時間データに基づいて、クリープ損傷量を算出する。具体的には、クリープ損傷量算出手段24は、算出された応力に基づいてクリープ破断時間trを算出し、運転時間tfをそのクリープ破断時間trで除してクリープ損傷量を算出する。
疲労損傷量算出手段25は、演算条件収得手段22によって収得された演算条件、応力算出手段23によって算出された、過渡的負荷荷重を受ける場合における局所応力、および演算データベース50に格納された疲労寿命に係るデータに基づいて、疲労損傷量を算出する。具体的には、疲労損傷量算出手段25は、算出された局所応力に基づいて算出された、疲労判断する繰り返し回数である疲労寿命で、起動および停止の回数nを除すことで算出する。なお、疲労損傷量は、荷重の繰返しにより常に線形で損傷量が累積するため、局所的な線形損傷の和によって容易に評価することができる。
損傷量判定手段26は、クリープ損傷量算出手段24で算出されたクリープ損傷量、疲労損傷量算出手段25で算出された疲労損傷量および演算データベース50に格納された限界損傷データに基づいて損傷量を判定する。具体的には、損傷量判定手段26は、限界損傷データに基づいて、クリープ損傷量と疲労損傷量とから限界損傷量を算出し、この限界損傷量に対する、クリープ損傷量と疲労損傷量とから求まる損傷量の割合を算出する。
寿命判定手段27は、損傷量判定手段26によって判定された損傷量に基づいて、対象部品の寿命を判定する。具体的には、寿命判定手段27は、損傷量判定手段26によって算出された限界損傷量に対する、クリープ損傷量と疲労損傷量とから求まる損傷量の割合に基づいて、対象部品の余寿命を算出する。この余寿命を判定する際、寿命判定手段27は、損傷量判定手段26によって判定された損傷量に基づいて、この損傷量において、クリープ損傷量および疲労損傷量のいずれが支配的かを判定する。そして、疲労損傷量が支配的であると判定した場合、またはクリープ損傷量が支配的であると判定し、かつクリープ損傷量が局所応力を用いて算出されている場合には、き裂は、最大応力や最大ひずみとなる局部に限定して発生したものとする。すなわち、き裂が進展し破断するまでのき裂進展寿命が余寿命となる。一方、クリープ損傷量が支配的であると判定し、かつクリープ損傷量が平均応力を用いて算出されている場合には、き裂は、評価断面全体に発生したものとする。すなわち、き裂が評価断面全体に発生しているので、き裂進展寿命はないものとされる。
なお、上記した寿命評価装置10における各種機能手段21〜27は、上記したように、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜なプログラムデータベース20等の記憶装置に格納したプログラムとして実現してもよいし、ハードウェアとして実現してもよい。プログラムとして実現する場合には、本発明の寿命評価装置10の制御手段30がプログラム実行に合わせてプログラムデータベース20より該当するプログラムを制御手段30のメモリ等に読み出して、これを実行することとなる。
次に、寿命評価装置10の動作について図を参照して説明する。
図2は、高温機器の寿命評価装置10の動作を示したフローチャートである。図3は、高温機器の寿命評価装置10の動作におけるクリープ損傷量を算出するための動作を示したフローチャートである。図4は、高温機器の寿命評価装置10の動作における疲労損傷量を算出するための動作を示したフローチャートである。図5は、クリープ損傷量の評価部位を説明するための動翼植込み部の断面図である。図6は、クリープ損傷量の評価部位を説明するためのT字型の動翼植込み部の断面図である。図7は、クリープ損傷量の評価部位を説明するためのケーシングの斜視図であり、図8は、クリープ損傷量の評価部位を説明するためのケーシング内面からみたときの平面図である。図9は、クリープ損傷量の評価部位を説明するためのケーシング肉厚部における断面を示す図である。図10は、クリープ損傷量の評価部位を説明するための蒸気弁の断面を示す図である。
まず、寿命評価装置10は、入出力インターフェース40から高温機器の対象部品に係る情報が入力されたか否かを判定する(ステップS101)。
ステップS101の判定で、対象部品に係る情報が入力されていないと判定した場合(ステップS101のNo)には、寿命評価装置10は、処理をステップS101に戻す。
一方、ステップS101の判定で、対象部品に係る情報が入力されたと判定した場合(ステップS101のYes)には、寿命評価装置10は、制御手段30によって選定情報収得手段21を機能させ、対象部品に係る情報を収得する(ステップS102)。なお、寿命評価装置10は、対象部品に係る情報を制御手段30のRAM等に記憶する。この対象部品の選定情報には、例えば、プラント名称、高温機器部品名、対象部品名等が含まれる。
続いて、寿命評価装置10は、制御手段30によって演算条件収得手段22を機能させ、収得した対象部品に対応する演算条件を、例えば、予め設定されたデータベース等から収得する(ステップS103)。なお、演算条件は、入出力インターフェース40から入力された情報であってもよい。また、寿命評価装置10は、演算条件に係る情報を制御手段30のRAM等に記憶する。演算条件として、例えば、対象部品に対する初期応力σ0、使用温度T、運転時間tf、高温機器の起動停止の繰り返し回数n等を収得する。
続いて、寿命評価装置10は、制御手段30によってクリープ損傷量算出手段24を機能させ、クリープ損傷量を算出する(ステップS104)。
ここで、図3を参照してステップS104におけるクリープ損傷量を算出する動作を説明する。
寿命評価装置10は、演算データベース50から、ステップS102で収得した対象部品に対応する定常的負荷荷重のデータを収得する。この定常的負荷荷重のデータとして、例えば、遠心力、圧力、締結力等を収得する。また、寿命評価装置10は、定常的負荷荷重のデータを制御手段30のRAM等に記憶する。そして、寿命評価装置10は、収得した対象部品が、変位により定常的負荷荷重が与えられ、初期状態が繰り返し負荷される部品か否かを判定する(ステップS200)。初期状態が繰り返し負荷される部品として、例えば、座金を介してボルトによって締結されるネジ締結体などが挙げられる。
ステップS200の判定で、初期状態が繰り返し負荷されない部品であると判定した場合(ステップS200のNo)、すなわちクリープ損傷が局所的に累積しない部品であると判定した場合には、対象部品に応じて設定された評価部位である評価断面における平均応力を算出する(ステップS201)。なお、クリープ損傷量の評価は、平均応力が最も大きくなる評価断面によって評価するの好ましい。また、この平均応力が最大となる評価断面の設定は、例えばFEM解析における結果等に基づいて行われ、特に対象部品の形状が複雑な場合に有効である。また、この場合には、定常的な負荷状態におけるFEM解析結果に基づいて、ミーゼス相当応力が相対的に高い断面を評価断面とすることが好ましい。
例えば、図5に示すタービン動翼300の植込み部301においては、2つの部位で評価断面を想定することができる。第1の評価断面は、遠心力がほぼ垂直に断面に負荷するネック評価断面302であり、第2の評価断面は、遠心力がせん断力として作用するフック評価断面303である。フック評価断面303は、後述する疲労損傷評価に用いるフック評価点とは必ずしも重なり合うことはなく、個別に設定する必要がある。このフック評価断面303では、遠心力によって生じたせん断応力によってクリープ損傷量を評価する。ここで、通常のクリープ強度で評価するには、せん断応力をミーゼス相当応力に換算して平均応力を算出する。この場合におけるせん断応力は、純粋せん断応力であるため、せん断応力に3の平方根を乗ずることにより相当応力が得られる。上記した2つの評価断面でのクリープ強度を比較して、クリープ強度の低い断面でのクリープ破断時間によりクリープ損傷量を評価することが好ましい。
また、図6に示すT型植込み部310を有する場合にも、上記した図5に示すタービン動翼300の植込み部301の場合と同様に、遠心力がほぼ垂直に断面に負荷するネック評価断面311と、遠心力がせん断力として作用するフック評価断面312が設定できる。また、図7および図8に示すタービンケーシング315では、蒸気圧力による内圧や高温蒸気による熱応力が主要な応力となり、蒸気配管316がタービンケーシング315に入り込む部位間の最も応力が高く部分を評価断面317とすることが好ましい。図8に示すように、この評価断面317は、2つの蒸気配管の間に位置するため、この評価断面317では、内圧による周方向応力と高温蒸気による熱応力が最も大きくなる。また、図9および図10に示すように、タービンケーシング315や蒸気弁320においては、最も肉厚が薄い部分に評価断面318、321を設定することが好ましい。タービンケーシング315や蒸気弁320には、各部位にコーナが設けられ、局部的に内圧や熱応力の集中が生じるが、クリープ損傷を評価する評価断面の設定においては、局部的な応力集中は無視し、断面平均応力の大小によって最も重要な評価断面を決定する。
ここで、評価断面における平均応力は、対象部品に応じて予め演算データベース50に格納されていてもよい。また、評価断面における平均応力は、例えば次に示すように算出することができる。図11は、単純平均(相加平均)により平均応力を算出する方法を説明するための図である。図12は、積分平均を用いて平均応力を算出する方法を説明するための図である。図13は、面積の重み付けをした積分平均により平均応力を算出する方法を説明するための図である。図14は、温度分布を有する場合における平均応力を算出する方法を説明するための図である。図15は、複雑な応力状態の部品や実部品を用いて、有限要素法解析や断続的な非破壊的評価法を適用することにより平均応力を算出する方法を説明するための図である。
平均応力は、図11に示すように、内壁400と外壁401との間における応力を単純に相加平均することで算出されてもよい。なお、この平均応力の算出方法は、簡易であるが、得られた結果は、全体的な分布を考慮すると高めの応力なるため、短寿命側の寿命評価となる。
また、平均応力は、図12に示すように、内壁400から外壁401に応力が線分上に分布するとして分割した応力に、該応力に対応する分割された距離を乗じて算出される面積、すなわち積分値を、内壁400から外壁401の距離で除して算出されてもよい。この積分平均応力は、単純平均応力に比べて小さな値となるが、応力形状から見ると妥当な値が得られる。
また、平均応力は、図13に示すように、応力の作用する部分の面積と応力の積分値を平均化することで算出されてもよい。例えば、図13に示すように、円筒状の厚肉容器の場合には、円筒状の厚肉部の断面を内周から外周に複数の環状部に区分し、各区分の平均応力に各区分における面積を乗じ、各区分における平均応力に面積を乗じた値を加算、すなわち各区分について積分し、その加算値(積分値)を厚肉部の断面積で除して平均応力を算出する。図13に示すように、内壁400に最大応力が発生していた場合にも、その作用する面積は、外壁401側に比べて小さいため、荷重の平均値を与えるという意味において最適な積分平均応力となる。
上記した3つの平均応力の算出方法を、適用する部位と状態に応じて適宜選択して適用することで、高精度に平均応力を算出することができる。なお、最も簡易な単純平均応力であっても、比較的薄肉の容器の場合には十分な精度が得られるため、必ずしも常に複雑な方法を適用する必要はない。
また、図14に示すように、内壁400から外壁401への評価断面にわたって、応力が変化するとともに、温度分布を有している場合には、ほぼ温度が一定となる領域を特定し、この領域における応力を平均化することで、平均応力を算出することが好ましい。この場合には、温度がほほ一定となる領域について寿命評価が行なわれる。なお、大きく温度が変動する場合には、局所的な最大応力部における局所的なクリープ損傷量の評価となる。この平均応力の算出方法では、温度が一定でない場合においても、高精度に平均応力を算出することができ、様々な高温機器に対してこの算出方法を適用することが可能となる。
さらに、応力が複雑に変化してクリープ損傷量の評価断面が特定できない場合には、図15に示すように、代表的な評価断面について短時間のFEM解析を実施し、得られた応力変化傾向を外挿して長時間使用した状態における評価応力を推定し、これを平均応力としてもよい。また、この評価応力に基づいて、評価断面を特定してもよい。なお、硬さやボイドなどの非破壊的な手法によるクリープ損傷評価においても、同一部位について断続的に評価することにより、クリープ損傷量が非線形曲線で推移する傾向を得ることにより、最終的な寿命評価を行うことができる。このように、精度の高いFEM解析や非破壊損傷評価を適用することにより、長時間の応力状態や損傷状態を推定し、容易にクリープ損傷量の評価を行うことができる。
続いて、寿命評価装置10は、演算条件収得手段22で収得された対象部品に対応する、例えば使用温度T、運転時間tfなどの演算条件、および演算データベース50に格納された、応力とクリープ破断時間の関係を示す破断時間データに基づいて、ステップS201において算出された評価断面における平均応力に対するクリープ損傷量を算出する(ステップS202)。
ここで、図16に、応力とクリープ破断時間との関係を示した図を示す。クリープ損傷量を算出する際、まず、図16に示された応力とクリープ破断時間との関係であるクリープ破断特性を用いて、使用温度Tでの平均応力におけるクリープ破断時間trを算出する。クリープ破断時間trは温度により変化するが、温度とクリープ破断時間trを統合したラーソンミラーパラメータ(P=T(C+logtr))等のパラメータを用いることによりマスターカーブでの評価が可能となる。なお、Cは、材料によって決まる定数である。そして、クリープ損傷量は、運転時間tfをクリープ破断時間trで除して(tf/tr)算出される。
ここで、クリープ損傷量の評価において、評価断面における平均応力、および平均応力が最も大きくなる評価断面によって評価するのが好適な理由を説明する。図17は、評価断面における応力分布の変化を示す図である。図18は、最大応力部と最小応力部の応力の時間変化を説明するための図である。図19は、高応力部における応力とクリープ損傷量の変化を示す図である。図20は、実機模擬部品によるクリープ破断試験の結果と単軸クリープ破断試験の結果を比較した図である。
図17に示すように、初期状態においては、内圧や熱応力により発生する応力は、局部的な応力集中によって、最大応力や最小応力となる部分を有する。なお、図17では、横軸の左端の評価断面の位置において最大応力となり、横軸の右端の評価断面の位置において最小応力となっている。また、高温で初期状態の負荷が継続すると、最大応力部のクリープ変形が進行し、応力は低下する傾向となる。一方、低応力部は、高応力部分の負荷を分担するため応力が上昇する傾向となる。長時間にわたり一定の負荷状態が継続すると、最終的には評価断面に沿って応力はほぼ均一な分布となる。例えば、図18に示すように、高応力部において初期状態における応力は高いものの、短時間で急激に低下し、一定の応力となる。一方、低応力部の応力は、初期状態の応力から徐々に応力が高くなり、高応力部の応力と同程度の応力に収斂する。この収斂する応力がこの評価断面での平均応力であり、この応力でクリープ損傷量を評価することにより、簡易ながら精度の高いクリープ寿命を評価することができる。
また、例えば、図19に示すように、通常の非破壊的な方法等によりクリープ損傷量を評価する場合には、高応力の最も損傷の大きい部分に対して、局部的にクリープ損傷量の評価を行う。このため、評価結果の精度が高く、正確にその時点でのクリープ損傷量が評価されたとしても、損傷量の時間に対する変化は線形変化でないため、初期状態と評価結果を線形として推定して得た寿命評価結果は、必ず実寿命に比べて短寿命となる(図19の点線参照)。具体的には、ある時点でのクリープ損傷量が1/2であっても、寿命消費速度は時間に対して変化するため寿命消費は1/2ではなく、それの値以下となる。
また、図20に示すように、羽根植込み部を模擬した試験片やケーシングを模擬した厚肉円筒試験片に対して、遠心力を模擬した引張力や蒸気による内圧を負荷した試験を実施し、それぞれ平均応力が最も高くなる評価断面に沿って平均応力を評価した場合、単軸のクリープ破断データとよく一致する。一方、最大応力で評価した場合には、常に短寿命側の推定となり、実寿命と大きなずれを生じている。また、この結果から、評価断面に沿った平均応力によるクリープ損傷量の評価は、簡易ではあるが、時間に対して非線形で変化するクリープ損傷量を線形で評価できる方法であることがわかる。また、クリープ損傷量の評価においては、平均応力が最も大きくなる評価断面によって評価するのが好適であることもわかる。
次に、図3に示す、ステップS200の判定で、初期状態が繰り返し負荷される部品であると判定した場合(ステップS200のYes)、すなわちクリープ損傷が局所的に累積する部品であると判定した場合には、対象部品に応じて設定された評価部位である局所部位における局所応力を算出する(ステップS203)。
クリープ損傷量は、一定変位により定常負荷を与える負荷形態で、初期の負荷形態が繰り返し負荷される場合には、最大応力部位に限定されるため、対象部品に応じて設定された最大応力部位となる局所部位における局所応力を算出する。なお、この平均応力が最大となる局所部位の設定は、例えば、FEM解析における結果等に基づいて行われる。また、局所部位における局所応力は、対象部品に応じて予め演算データベース50に格納されていてもよい。また、局所部位における局所応力は、FEM解析の結果を用いたり、形状が比較的単純な場合には、局所応力を求める公式(応力集中算出式)等によって算出してもよい。
ここで、上記したように、初期状態が繰り返し負荷される部品として、例えば、座金を介してボルトによって締結されるネジ締結体などが挙げられる。図21は、ボルト325によって上蓋326が取り付けられた蒸気弁320の断面を示す図である。このボルト325には、取り付け時の締結力と蒸気の内圧に抗して長時間にわたり引張荷重が負荷されている。また、形状的にネジにより荷重を伝えているため、そのネジ底327には応力の集中により過大な応力が発生する。このボルト325に対してもクリープ損傷量の評価断面として、ネジ底327を含む断面を設定でき、蒸気弁を分解し、再組立することなく初期の組立状態で使用する場合には、前述した平均応力によってクリープ損傷量を評価することができる。一方、ネジ締結体はボルトによる締結構造を有し、通常、メンテナンスによる定期的な分解と再組立が行われる。このように変位型の定荷重負荷で初期状態が繰返し負荷される場合には、応力が平均化することなく最大応力部にクリープ損傷が蓄積し、この最大応力部のみにき裂328が発生し、進展してボルト325の破断に至ることがある。
図22は、ネジ締結体におけるクリープ損傷が局部的に累積する過程を説明する図である。図22に示すように、ネジ底に生じた高応力は、時間の経過とともに応力緩和して応力が低下するが、十分に低下して平均的な応力分布となる以前に、分解および組立が実施されると、組立直後に初期の高応力状態が再現される。この過程が繰り返されることにより、ネジ底の高応力状態は緩和されることなく維持され、クリープ損傷が局部的に蓄積される。すなわち、このような状態で使用される場合には、高応力部のみにクリープ損傷が累積するとして、局所応力である高応力部の応力を用いてクリープ寿命を評価する必要がある。
続いて、寿命評価装置10は、演算条件収得手段22で収得された対象部品に対応する、例えば使用温度T、運転時間tfなどの演算条件、および演算データベース50に格納された、応力とクリープ破断時間の関係を示す破断時間データに基づいて、ステップS203において算出された局所部位における局所応力に対するクリープ損傷量を算出する(ステップS202)。
ここで、上記したネジ締結体の場合、クリープ損傷量は、ネジ底の高応力が応力緩和により低下する過程でのクリープ破断時間trに対する運転時間tfの比から算出される。また、クリープ損傷は、例えば、非破壊検査により検出可能な大きさとすることにより、安全側にその範囲を決めることができる。
なお、ここで、図23には、起動または停止による応力変化の持続性を示す。図23に示すように、ケーシングの内圧による応力のように、蒸気タービンの起動または停止により内圧が変化しても、応力の変化過程に変動を生ずるものの、全体としてクリープ変形過程を継続している場合には、初期の高応力状態が再現されることがなく、上記したクリープ損傷の局部的な累積は生じない。そのため、このような場合には、局所部位における局所応力に対するクリープ損傷量を算出するのではなく、前述した評価断面における平均応力に対するクリープ損傷量を算出する方が好適である。
続いて、図2に示すように、寿命評価装置10は、制御手段30によって疲労損傷量算出手段25を機能させ、疲労損傷量を算出する(ステップS105)。
ここで、図4を参照してステップS105における疲労損傷量を算出する動作を説明する。
寿命評価装置10は、演算データベース50から、ステップS102で収得した対象部品に対応する過渡的負荷荷重のデータを収得する。過渡的負荷荷重のデータとして、例えば、非定常熱応力、遠心力、圧力等を収得する。また、寿命評価装置10は、過渡的負荷荷重のデータを制御手段30のRAM等に記憶する。過渡的負荷荷重のデータである、遠心力、圧力は、定常運転状態では定常荷重であるが、起動停止に伴う過渡的な荷重変化とすると過渡的な荷重となる。この過渡的な荷重に対しては疲労に伴う損傷を考慮する必要があるため、これらの過渡的な荷重により発生する局所部位における応力やひずみを算出する(ステップS210)。なお、疲労損傷量の評価は、応力やひずみが最も大きくなる局所部位によって評価するの好ましい。また、この局所部位の設定は、例えば、FEM解析における応力やひずみの計算結果等に基づいて行われ、上記した局所部位における応力やひずみは、このFEM解析における応力やひずみの計算結果等が用いられる。
例えば、図5に示すタービン動翼300において、植込み部301には遠心力や蒸気力による荷重が負荷される。この負荷のうち主要な荷重である遠心力によって生ずる最大応力はフック評価点304として表示したフックコーナ部の応力集中部であり、繰返しの遠心力の負荷によりこの部分には疲労き裂が発生し、羽根植込み部の破断を生ずることになる。このため、植込み部301の場合には、疲労損傷を考慮しなければならない部位としてフック評価点304が挙げられる。
続いて、寿命評価装置10は、演算データベース50から、ステップS102で収得した対象部品に対応する疲労寿命に係るデータを収得する。そして、寿命評価装置10は、高温機器の起動または停止に伴って、例えば遠心力などが発生する場合には、遠心力により発生する応力やひずみの変動によって疲労破断する繰返し回数である疲労寿命を、疲労寿命に係るデータから収得する。そして、この収得した疲労寿命で、起動および停止の回数nを除すことによって、各局所部位における疲労損傷量を算出する(ステップS211)。
ここで、起動または停止の回数が増加するに伴って、疲労損傷量は線形的に増大し、また、定期的な起動または停止であれば、疲労損傷量は時間に対しても線形的に増大する。上記したように、一般的にはFEM解析により、各荷重の荷重変化によって生ずる応力やひずみを求めて、その応力やひずみに基づいて疲労損傷量を算出するが、例えば、疲労損傷量を局部的に評価できる非破壊的な手法があればこれを用いて評価してもよい。
続いて、図2に示すように、寿命評価装置10は、制御手段30によって損傷量判定手段26を機能させ、損傷量を判定する(ステップS106)。
図24は、対象部品が損傷するクリープ損傷量と疲労損傷量との関係を示す限界損傷線を示す図である。
寿命評価装置10は、ステップS104で算出されたクリープ損傷量およびステップS105で算出された疲労損傷量に基づいて損傷量を判定する。具体的には、寿命評価装置10は、ステップS104で算出されたクリープ損傷量に対するステップS105で算出された疲労損傷量の割合を算出する。すなわち、図24を用いて説明すると、ステップS104で算出されたクリープ損傷量とステップS105で算出された疲労損傷量とから定まる点(図24の丸印)を特定し、原点とその点を結んだ直線の傾きを算出する。続いて、図24に示された限界損傷線を示すための限界損傷データに基づいて、ステップS104で算出されたクリープ損傷量に対するステップS105で算出された疲労損傷量の割合で変化したときの、限界損傷線上におけるクリープ損傷量と疲労損傷量を算出する。すなわち、図24を用いて説明すると、原点と点(図24の丸印)を結んだ直線が限界損傷線と交わる点(図24の四角印)におけるクリープ損傷量および疲労損傷量を算出する。そして、算出された限界損傷線上におけるクリープ損傷量と疲労損傷量とから定まる限界損傷量と、ステップS104で算出されたクリープ損傷量とステップS105で算出された疲労損傷量とから定まる対象部品の損傷量との関係から、対象部品の現状の損傷量が限界損傷量に達するまでの猶予損傷量を算出する。具体的には、例えば、限界損傷量におけるクリープ損傷量を0.5とした場合、対象部品の現状の損傷量におけるクリープ損傷量が0.2のときには、クリープ損傷量に関しては、限界損傷量におけるクリープ損傷量に対して猶予損傷量におけるクリープ損傷量は0.3となる。なお、ここで、図24の横軸で1としているのは、疲労損傷量を0としたときのクリープ損傷量による限界損傷量であり、図24の縦軸で1としているのは、クリープ損傷量を0としたときの疲労損傷量による限界損傷量である。また、疲労損傷量に関しても、クリープ損傷量の場合と同様に、猶予損傷量における猶予損傷量を算出する。
続いて、寿命評価装置10は、制御手段30によって寿命判定手段27を機能させ、ステップS106において判定された損傷量において、クリープ損傷量が支配的であるか否かを判定する(ステップS107)。
ここで、クリープ損傷量が支配的である場合とは、クリープ損傷量が疲労損傷量よりも大きい場合、具体的は、クリープ損傷量が0.5で、疲労損傷量が0.2などの場合が例示できる。一方、クリープ損傷量が支配的でない場合、すなわち疲労損傷量が支配的である場合とは、疲労損傷量がクリープ損傷量よりも大きい場合、具体的は、クリープ損傷量が0.1で、疲労損傷量が0.3などの場合が例示できる。なお、クリープ損傷量と疲労損傷量とが同じ場合には、クリープ損傷量が支配的であると判定する。
ここで、限界損傷量に達した段階で、き裂発生となるが、支配的となる損傷によって発生するき裂の範囲が異なり、疲労損傷量が支配的な場合には、き裂は最大応力や最大ひずみとなる局所部位に限定される。この場合には、さらにき裂が進展して破断するまでのき裂進展寿命を考慮することができる。一方、クリープ損傷が支配的な場合には、限界損傷量に達した段階で、き裂は評価断面の全体に発生し、対象部品は評価断面で破損する。この場合には、き裂進展寿命はない。
なお、限界損傷量に達したと判断されるときでも、クリープ損傷が局所部位に限定される場合には、き裂進展寿命を考慮することができる。図25は、限界損傷領域でのき裂の発生とその後のき裂進展過程を説明するための図である。図25に示すように、クリープ損傷が局所部位に限定される場合には、この限定部のみについてき裂390が発生するものとして、その後の完全破断までのき裂進展寿命を考慮することができる。
ステップS107の判定で、クリープ損傷量が支配的でないと判定した場合(ステップS107のNo)には、上記したように、き裂は最大応力や最大ひずみとなる局所部位に限定されるので、寿命評価装置10は、このき裂が進展して破断するまでの寿命、すなわちき裂進展寿命を算出する(ステップS108)。なお、き裂進展寿命は、公知な方法で算出することができる。例えば、応力拡大係数や修正J積分をパラメータとした方法により算出することができる。また、演算データベース50にき裂進展寿命に係るデータを予め収納し、このき裂進展寿命に係るデータを用いてき裂進展寿命を算出してもよい。この際、寿命評価装置10の表示手段60には、例えば、評価されたき裂進展寿命の結果に係る情報等が表示される。
一方、ステップS107の判定で、クリープ損傷量が支配的であると判定した場合(ステップS107のYes)には、上記したように、限界損傷量に達した段階では、き裂進展寿命はないと判定されるので、寿命評価装置10は、ステップS106で算出した猶予損傷量に基づいて、対象部品の寿命を判定する(ステップS109)。具体的には、予寿命は、「余寿命=運転時間×(1−クリープ損傷量)/クリープ損傷量」から算出され、例えば、クリープ損傷量が0.7、運転時間が7万時間の場合には、余寿命は3万時間となる。上記式により猶予損傷量に基づいて、対象部品の寿命を判定する。この際、寿命評価装置10の表示手段60には、例えば、評価された対象部品の寿命に係る情報等が表示される。
上記した一実施の形態の高温機器の寿命評価装置10によれば、高温機器の対象部品の評価部位ごとに負荷する主要な荷重を定常的に負荷される荷重(定常的負荷荷重)と過渡的に負荷される荷重(過渡的負荷荷重)に分類することができる。そして、クリープ損傷量を評価すべき定常的負荷荷重と、疲労損傷量を評価すべき過渡的負荷荷重を明確に区分し、それぞれ個々に評価されたクリープ損傷量および疲労損傷量の結果に基づいて寿命を評価することができる。また、それぞれの損傷量の発生する範囲を明確にすることによって、損傷量の相互作用が生ずる範囲を明らかにすることができる。
また、過渡的負荷荷重に対しては疲労損傷量を考慮し、過渡的負荷荷重により発生する応力やひずみをできるだけ局所評価点でとらえて、各局所評価点における疲労損傷を算出することができる。
また、高温機器の寿命評価装置10によれば、応力分布と損傷速度の変化により、応力分布と損傷量が平準化されるという実験的事実を用いることによって、評価断面に沿った平均応力を設定し、この応力によってクリープ損傷量を評価することができる。これによって、寿命評価を簡易で、精度よく行うことができる。また、クリープ損傷量を平均応力で評価することにより、局所的には非線形で累積するクリープ損傷量を時間に対しては線形で累積する量に変換することができる。これによって、限界損傷量と比較する場合の限界寿命評価や残余寿命評価を容易に行うことができる。また、高温機器の寿命評価装置10では、最大応力や非破壊的な手法によって得られた損傷評価パラメータを用いて寿命を安全側の短寿命に評価する従来の寿命評価方法の欠点を回避し、高精度に寿命を評価することができる。
また、高温機器の寿命評価装置10によれば、定常的負荷荷重によってクリープ損傷量を評価する際、一定変位により定常負荷を与える負荷形態で、初期の負荷形態が繰り返し負荷される場合には、クリープ損傷量を最大応力部位に限定して評価することができる。すなわち、クリープ損傷量はクリープ変形により平均化しやすいものではあるが、対象部品の負荷形態によっては、局所的に高応力状態が持続し、クリープ損傷量が局所的に累積することもあり、このような場合においても、高精度に寿命を評価することができる。このように、負荷形態に応じてクリープ損傷評価における応力の平均化とクリープ損傷の累積範囲を適正化して評価することにより、寿命評価を簡易で高精度に行うことができ、高温機器の安全運用に大いに貢献することができる。また、高温機器の寿命評価装置10によって評価可能な対象部品の適用範囲を広げることができる。
さらに、高温機器の寿命評価装置10によれば、限界損傷量に基づいて、現状のクリープ損傷量および疲労損傷量から損傷量を判定し、猶予損傷量を算出することができる。このように、損傷量の評価において、クリープ損傷量と疲労損傷量が生ずる損傷範囲を明確にすることによって、損傷の相互作用による寿命の低下する範囲と限界損傷量を明示することができる。また、寿命判定において、損傷量においてクリープ損傷量および疲労損傷量のいずれが支配的かを判定することで、限界損傷量に達した段階でのき裂の発生する範囲を明らかにすることができる。
10…高温機器の寿命評価装置、20…プログラムデータベース、21…選定情報収得手段、22…演算条件収得手段、23…応力算出手段、24…クリープ損傷量算出手段、25…疲労損傷量算出手段、26…損傷量判定手段、27…寿命判定手段、30…制御手段、40…入出力インターフェース、50…演算データベース、60…表示手段、70…システムバス。
Claims (21)
- 高温機器の対象部品の選定情報を収得する選定情報収得手段と、
前記選定情報収得手段によって収得された対象部品に対応する演算条件を収得する演算条件収得手段と、
少なくとも、高温機器の対象部品における各評価部位に定常的に負荷される定常的負荷荷重および過渡的に負荷される過渡的負荷荷重のデータ、応力とクリープ破断時間との関係を示す破断時間データ、疲労寿命に係るデータおよび前記対象部品が損傷するクリープ損傷量と疲労損傷量との関係を示す限界損傷データを格納する演算データベースと、
前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、および前記演算データベースに格納された定常的負荷荷重のデータまたは過渡的負荷荷重のデータに基づいて、応力を算出する応力算出手段と、
前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、前記応力算出手段によって算出された応力、および前記演算データベースに格納された破断時間データに基づいて、クリープ損傷量を算出するクリープ損傷量算出手段と、
前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、前記応力算出手段によって算出された応力、および前記演算データベースに格納された疲労寿命に係るデータに基づいて、疲労損傷量を算出する疲労損傷量算出手段と、
前記クリープ損傷量算出手段で算出されたクリープ損傷量、前記疲労損傷量算出手段で算出された疲労損傷量および前記演算データベースに格納された限界損傷データに基づいて、損傷量を判定する損傷量判定手段と、
前記損傷量判定手段によって判定された損傷量に基づいて、前記対象部品の寿命を判定する寿命判定手段と
を具備することを特徴とする高温機器の寿命評価装置。 - 前記クリープ損傷量算出手段は、前記対象部品に、変位により前記定常的負荷荷重が与えられ、初期状態が繰返し負荷されない場合には、前記評価部位を評価断面とし、前記定常的負荷荷重に対して該評価断面の断面積を用いて算出された平均応力に基づいてクリープ損傷量を算出し、前記対象部品に、変位により前記定常的負荷荷重が与えられ、初期状態が繰返し負荷される場合には、前記評価部位を局所部位とし、前記定常的負荷荷重に対して前記局所部位について算出された局所応力に基づいてクリープ損傷量を算出することを特徴とする請求項1記載の高温機器の寿命評価装置。
- 前記評価断面が、ミーゼス相当応力の平均応力が最も高い断面であることを特徴とする請求項2記載の高温機器の寿命評価装置。
- 前記疲労損傷量算出手段が、前記評価部位を局所部位とし、前記過渡的負荷荷重に対して該局所部位について疲労損傷量を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価装置。
- 前記寿命判定手段が、前記損傷量判定手段で判定された損傷量において、前記クリープ損傷量および前記疲労損傷量のいずれが支配的であるかを判定し、該判定結果に基づいて寿命を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価装置。
- 前記応力算出手段が、前記対象部品の壁部の両端面間の厚さ方向における応力を相加平均して平均応力を算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価装置。
- 前記応力算出手段が、前記対象部品の壁部の両端面間の厚さ方向における応力を積分し、該積分値を前記壁部の両端面間の距離で除して平均応力を算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価装置。
- 前記応力算出手段が、応力に該応力が作用する負荷面積を乗じた値を、各負荷面積に対して積分し、該積分した値を全負荷面積で除して平均応力を算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価装置。
- 前記評価断面において温度分布を有する場合において、前記応力算出手段が、該温度分布がほぼ一定となる領域において前記平均応力を算出することを特徴とする請求項2記載の高温機器の寿命評価装置。
- 応力が複雑に変化して前記評価断面が特定できない場合において、前記応力算出手段が、代表的な評価点について有限要素法解析により短時間の経時的な応力変化を解析し、該解析結果を外挿して評価応力を算出することを特徴とする請求項2記載の高温機器の寿命評価装置。
- 高温機器の寿命を評価する高温機器の寿命評価装置における寿命評価方法であって、
高温機器の対象部品の選定情報を選定情報収得手段が収得する選定情報収得ステップと、
前記選定情報収得手段が収得した対象部品に対応する演算条件を演算条件収得手段が収得する演算条件収得ステップと、
前記演算条件収得手段が収得した演算条件、および演算データベースに格納された、高温機器の対象部品における各評価部位に定常的に負荷される定常的負荷荷重のデータまたは過渡的に負荷される過渡的負荷荷重のデータに基づいて、応力算出手段が応力を算出する応力算出ステップと、
前記演算条件収得手段が収得した演算条件、前記応力算出手段が算出した応力、および前記演算データベースに格納された、応力とクリープ破断時間との関係を示す破断時間データに基づいて、クリープ損傷量算出手段がクリープ損傷量を算出するクリープ損傷量算出ステップと、
前記演算条件収得手段が収得した演算条件、前記応力算出手段が算出した応力、および前記演算データベースに格納された疲労寿命に係るデータに基づいて、疲労損傷量算出手段が疲労損傷量を算出する疲労損傷量算出ステップと、
前記クリープ損傷量算出手段が算出したクリープ損傷量、前記疲労損傷量算出手段が算出した疲労損傷量および前記演算データベースに格納された、前記対象部品が損傷するクリープ損傷量と疲労損傷量との関係を示す限界損傷データに基づいて、損傷量判定手段が損傷量を判定する損傷量判定ステップと、
前記損傷量判定手段が判定した損傷量に基づいて、寿命判定手段が前記対象部品の寿命を判定する寿命判定ステップと
を具備することを特徴とする高温機器の寿命評価方法。 - 前記クリープ損傷量算出ステップにおいて、前記クリープ損傷量算出手段は、前記対象部品に、変位により前記定常的負荷荷重が与えられ、初期状態が繰返し負荷されない場合には、前記評価部位を評価断面とし、前記定常的負荷荷重に対して該評価断面の断面積を用いて算出された平均応力に基づいてクリープ損傷量を算出し、前記対象部品に、変位により前記定常的負荷荷重が与えられ、初期状態が繰返し負荷される場合には、前記評価部位を局所部位とし、前記定常的負荷荷重に対して前記局所部位について算出された局所応力に基づいてクリープ損傷量を算出することを特徴とする請求項10記載の高温機器の寿命評価方法。
- 前記評価断面が、ミーゼス相当応力の平均応力が最も高い断面であることを特徴とする請求項11記載の高温機器の寿命評価方法。
- 前記疲労損傷量算出ステップにおいて、前記疲労損傷量算出手段が、前記評価部位を局所部位とし、前記過渡的負荷荷重に対して該局所部位について疲労損傷量を算出することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価方法。
- 前記寿命判定ステップにおいて、前記寿命判定手段が、前記損傷量判定手段で判定された損傷量において、前記クリープ損傷量および前記疲労損傷量のいずれが支配的であるかを判定し、該判定結果に基づいて寿命を判定することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価方法。
- 前記応力算出ステップにおいて、前記応力算出手段が、前記対象部品の壁部の両端面間の厚さ方向における応力を相加平均して平均応力を算出することを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価方法。
- 前記応力算出ステップにおいて、前記応力算出手段が、前記対象部品の壁部の両端面間の厚さ方向における応力を積分し、該積分値を前記壁部の両端面間の距離で除して平均応力を算出することを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価方法。
- 前記応力算出ステップにおいて、前記応力算出手段が、応力に該応力が作用する負荷面積を乗じた値を、各負荷面積に対して積分し、該積分した値を全負荷面積で除して平均応力を算出することを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項記載の高温機器の寿命評価方法。
- 前記評価断面において温度分布を有する場合において、前記応力算出ステップにおいて、前記応力算出手段が、該温度分布がほぼ一定となる領域において前記平均応力を算出することを特徴とする請求項11記載の高温機器の寿命評価方法。
- 応力が複雑に変化して前記評価断面が特定できない場合において、前記応力算出ステップにおいて、前記応力算出手段が、代表的な評価点について有限要素法解析により短時間の経時的な応力変化を解析し、該解析結果を外挿して評価応力を算出することを特徴とする請求項11記載の高温機器の寿命評価方法。
- 高温機器の寿命を評価する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
高温機器の対象部品の選定情報を収得する選定情報収得手段と、
前記選定情報収得手段によって収得された対象部品に対応する演算条件を収得する演算条件収得手段と、
少なくとも、高温機器の対象部品における各評価部位に定常的に負荷される定常的負荷荷重および過渡的に負荷される過渡的負荷荷重のデータ、応力とクリープ破断時間との関係を示す破断時間データ、疲労寿命に係るデータおよび前記対象部品が損傷するクリープ損傷量と疲労損傷量との関係を示す限界損傷データを格納する演算データベースと、
前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、および前記演算データベースに格納された定常的負荷荷重のデータまたは過渡的負荷荷重のデータに基づいて、応力を算出する応力算出手段と、
前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、前記応力算出手段によって算出された応力、および前記演算データベースに格納された破断時間データに基づいて、クリープ損傷量を算出するクリープ損傷量算出手段と、
前記演算条件収得手段によって収得された演算条件、前記応力算出手段によって算出された応力、および前記演算データベースに格納された疲労寿命に係るデータに基づいて、疲労損傷量を算出する疲労損傷量算出手段と、
前記クリープ損傷量算出手段で算出されたクリープ損傷量、前記疲労損傷量算出手段で算出された疲労損傷量および前記演算データベースに格納された限界損傷データに基づいて、損傷量を判定する損傷量判定手段と、
前記損傷量判定手段によって判定された損傷量に基づいて、前記対象部品の寿命を判定する寿命判定手段として機能させることを特徴とするプログラム。
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