JP2006017602A - 構造物の疲労強度推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 構造物の疲労強度を簡便に推定する。
【解決手段】 疲労評価の着目部20の亀裂20aの応力拡大係数を有限要素法にて算出する。着目部20に作用するのと同じ荷重による応力分布が略一様で疲労強度を公称応力で評価可能な部位を、公称応力部30として定める。着目亀裂20aを公称応力部30に仮想的に移入したときの該仮想移入亀裂30aの応力拡大係数を有限要素法にて算出する。そして、着目部20aの疲労強度と応力拡大係数の積と、公称応力部30の疲労強度と応力拡大係数の積とが、互いに等しい一定の大きさになるとの仮定に基づいて、着目部20の疲労強度を推定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば鋼構造物等の疲労強度を推定する方法に関する。
近年、鋼製橋脚隅角部や鋼床版の溶接部において、溶接きずを起点とした疲労亀裂が多数検出されており、その補修・補強が重要な課題となっている。既設鋼構造物の補修・補強を実施するうえで、対象となっている溶接部の疲労強度を把握することは不可欠である。
疲労設計指針(非特許文献1参照)には、継手の疲労強度等級が規定されている。この疲労設計指針は、過去の膨大な実験データを整理してまとめられたものであるが、適切に品質管理された(非破壊検査等により等級あるいは要求性能が保証された)継手に対して適用されるものであり、要求性能を満足していない溶接きずや疲労損傷等を有する継手に対しては適用できない。継手が溶接きずや疲労損傷を有する場合、その等級を決定するのは容易でない。
溶接きずや疲労亀裂を溶接補修により完全に除去できない場合、非特許文献1の指針では、
(A)荷重条件等を適切に評価した(実構造物に近いモデルを用い、実構造物に近いレベルで荷重・環境条件を設定した)疲労試験により疲労強度を確認するものとしている。
また、非特許文献2では、
(B)継手の疲労強度評価の補助的手段として、破壊力学の手法を用いた疲労亀裂進展解析法に基づく評価法を推奨している。
新設構造物の疲労設計では、通常、継手の等級に基づき照査され、上記の(A)や(B)の検討を行う必要は特にない。一方、既設構造物では、点検の結果、溶接きずや疲労損傷等が検出された場合、その状況に応じて(A)又は(B)を実施しなければならない。すなわち、上記(A)のように、可能な限り実構造物に近いモデルを用いて疲労試験を実施し、疲労強度(等級)を評価するか、もしくは上記(B)のように、着目部に対し有限要素法などの数値解析法を適用し、破壊力学の手法を用いて亀裂進展解析を実施してS−N(応力範囲−繰返し数)線図を得、このS−N線図から、所要の繰返し数に対応する疲労強度を求める必要がある。
しかし、上記(A)の、実構造に近いモデルを用いた疲労試験を実施する場合、
(a)所定の溶接きずや疲労損傷を再現することは容易でない。
(b)荷重・環境条件等を実構造に合わせることは容易でない。
(c)疲労試験により疲労強度(等級)を設定するためには、複数本の試験体を用意する必要があるが、通常、そのようなことは非常に困難である。
また、上記(B)の、破壊力学の手法を用いて亀裂進展解析を行なう場合、
(d)溶接きずや疲労損傷を有する継手や構造部材に対し、有限要素法(FEM)などの数値解析を数ケース実施するのは困難なことではないが、非特許文献2の指針で指摘されているように、100ステップ以上もの解析を実施することは非常に煩雑な作業であり、容易ではない。
(e)2次元、3次元亀裂を対象とした場合、亀裂の進展経路を予測する必要があるが、混合モード下における亀裂の進展を予測することは容易でない。
(f)応力拡大係数範囲ΔKを算出し、亀裂伝播速度とΔKを積分してS−N線図を求めることは容易でない。
このように、上記の(A)(B)を実施するのは、非常に煩雑であり、容易でない。
非特許文献2では、破壊力学の手法を用いた疲労亀裂進展解析法を提案しているが、継手の疲労強度に関する研究としては、対象とする部位の最大応力に対応した応力集中係数に基づくものが多い。疲労強度減少係数は、応力集中係数がほぼ2までは鋼種に関係なく一対一対応する。したがって、継手の応力集中係数を評価することにより、母材の疲労強度から継手の疲労強度を算出することができる。しかし、2を超えると、両係数の間に対応関係が成立せず、応力集中係数を用いて継手の疲労強度を推定することができない。溶接継手については、溶接止端部の局所的な応力あるいはひずみの集中を扱うことを避け、構造的要因のみによる応力集中を考慮したホットスポット応力に基づく疲労寿命の評価法が展開されているが、一意的に決定されない曖昧な部分があり、継手の疲労強度を推定する指標として用いるのは難しい。
非特許文献3では、微小きずの形状と寸法が疲労強度に及ぼす影響を検討し、疲労強度が亀裂伝播停留限界であることを考慮して、微小亀裂や微小きずを含む部材の疲労強度を下限界応力拡大係数範囲により予測できることを明らかにしている。また、材質パラメータであるビッカース硬さと、亀裂やきずの寸法と形状を表すパラメータとして亀裂やきずを最大主応力方向に投影した面積の平方根を用い、下限界応力拡大係数範囲を推定できることを明らかにしている。そして、下限界応力拡大係数範囲を介して疲労強度をビッカース硬さと微小きずの投影面積の平方根から推定できるものとし、種々の検討を行なっている。非特許文献4では、この研究成果を活用し、溶接継手の疲労強度を応力拡大係数により推定できることを明らかにしている。
特許文献1は、非特許文献3をベースとし、実測データを基にした疲労強度の評価法を展開している。
特開2002−48693号公報 「鋼道路橋の疲労設計指針」pp.9-24、2002(社)日本道路協会刊 「鋼構造物の疲労設計指針・同解説」pp.51-56、pp.249-259、pp.281-291、1993(社)日本鋼構造協会刊 「金属疲労微小欠陥と介在物の影響」pp.33-72、1993村上敬宜著、養賢堂刊 「溶込み不足つき角継手の疲労強度について」溶接学会論文集、Vol.19、No.13、pp.564-569、2001
本発明は、構造物の疲労強度をより簡便に推定できる方法を提案することを目的とする。
発明者は、上記非特許文献3、4の研究成果等を基に考察を重ねた結果、亀裂の応力拡大係数と疲労強度との積は、その亀裂の形状・寸法が同じであれば形成場所に拘わらず、一定と予測されるとの知見を得た。すなわち、同一構造物中において、亀裂が、例えば継手部に形成されていようが母材に形成されていようが、応力拡大係数と疲労強度の積をとると、ある一定の大きさになると予測される。
本発明に係る構造物の疲労強度推定方法は、かかる知見に基づいてなされたものであり、
(イ)疲労評価の着目部(第1部位)に実際に形成され又は仮想的に形成した着目亀裂(実際の亀裂を仮想的に進展させたものも含む)の応力拡大係数Kを求める工程と、
(ロ)前記着目部に作用するのと同じ荷重による応力分布が略一様で疲労強度を公称応力σf0で評価可能な部位を公称応力部(第2部位)として定め、前記着目亀裂を前記公称応力部に仮想的に移入したとき(すなわち、前記着目部には亀裂が無いものとする一方、前記着目亀裂と同一形状・寸法の亀裂を前記公称応力部に仮想的に形成したとき)の該仮想移入亀裂の応力拡大係数Kを求める工程と、
(ハ)前記着目部の疲労強度σf1と応力拡大係数Kの積σf1・Kと、前記公称応力部の疲労強度σf2と応力拡大係数Kの積σf2・Kとが、互いに等しい一定の大きさになるとの仮定に基づいて、すなわち、次式(1)が成立するとの仮定に基づいて、前記着目部の疲労強度σf1を推定する工程と、
を実行することを特徴とする。
σf1・K=σf2・K(=一定) 式(1)
ここで、着目亀裂の応力拡大係数Kと仮想移入亀裂の応力拡大係数Kは、それぞれ例えば有限要素法等の数値解析を行うことにより算出することができる。有限要素法による数値解析には、破壊力学の公知手法(応力外挿法、変位外挿法、接続外挿法、特異要素法、仮想亀裂進展法、経路独立J積分法等)を適用することができる。また、公称応力部の疲労強度σf2は、当該公称応力部を構成する部材の公称応力σf0を用いることができる。すなわち、
σf2=σf0 式(2)
とすることができる。この結果、着目部の疲労強度を簡便に推定することができる。
着目部は、一般に、応力集中が起き応力分布が一様でない部位(例えば継手部)に設定される。公称応力部は、例えば母材上の継手部から離れた位置に設定される。
発明者は、更に、混合モード(2次元、3次元)への拡張を考察した。しかるに、亀裂進展に伴うポテンシャルエネルギーの変化を示すエネルギー解放率Gと応力拡大係数Kは、以下の関係がある。
G=K/E’ 式(3)
ここで、E’は、平面応力状態において、
E’=E 式(4)
であり、平面ひずみ状態において
E’=E/(1−ν) 式(5)
である。なお、Eは、ヤング率であり、νは、ポアソン比である。
また、混合モードにおけるエネルギー解放率Gは、次式で表すことができる。
G=(KI /E’)+(KII /E’)+(KIII /(2μ)) 式(6)
ここで、KIは、開口モード単独の応力拡大係数であり、KIIは、面内剪断モード単独の応力拡大係数であり、KIIIは、面外剪断モード単独の応力拡大係数であり、μは、剪断弾性係数であり、
μ=E/(2(1+ν)) 式(7)
である。これら式(3)〜(7)より、混合モードにおける応力拡大係数Kは、エネルギー解放率Gが一定であるとの仮定の下で次式で表されるものと予測される。
=KI +KII +KIII /(1−ν) 式(8)
そこで、前記着目亀裂又は仮想移入亀裂が、開口モードと面内剪断モードと面外剪断モードのうち2つ以上が複合した混合モードであるときは、その応力拡大係数Kを求める工程では、該混合モードを構成する各モード単独の応力拡大係数KI,KII,KIIIを求め、式(8)の仮定を適用するとよい。
これによって、混合モードにおいても着目亀裂又は仮想移入亀裂の応力拡大係数K(=K又はK)を簡便に求めることができ、ひいては、着目部の疲労強度を簡便に推定することができる。
本発明によれば、構造物の疲労強度を比較的簡便に推定することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の疲労強度推定の適用対象は、例えば既設鋼橋であるが、橋梁に限らず、種々の鋼構造物に適用できる。鋼以外の材料(例えばコンクリートやFRP等)からなる構造物についても基本的に適用可能と考えられる。既設構造物が主な適用対象であるが、新設構造物にも適用可能である。
既設構造物を点検し、亀裂が発見されたときは、補強・補修を検討する。そのままにしてしばらく様子を見る場合もある。補強・補修法としては、例えば、亀裂の先端にストップホールを形成する方法、添接板を亀裂部分に被せるように当て高力ボルトで止める方法、これらストップホールと添接板の両方を施す方法等がある。どの補強・補修法が有効なのか、或いは様子見すべきなのか等を検討するにあたり、本発明の疲労強度推定法を実施する。すなわち、各補強・補修法、或いは様子見のそれぞれのケースについて、それを適用した場合の疲労強度を後記推定方法にて求める。また、現場で交通量等を観測し実荷重を求める。これらの結果から余寿命を割り出し、相応しい補強・補修法を決定する。
本発明による疲労強度の推定方法を説明する。
図1は、例えば既設鋼橋等の既設鋼構造物の継手部分を示したものである。固定系として見做された鋼製の縦部材11の側部には、鋼製の横部材12が突き当てられ、隅肉溶接13にて連結されている。縦部材11の側面と横部材12の端面の間には未溶着のルート部10aが形成されている。亀裂は、ルート部10aの端部や隅肉溶接13の止端部等の図1において実線の小円で囲んだ部分で形成されやすい。これらのうちの1箇所又は複数箇所を疲労評価の着目部20とする。図1において実線の大円で拡大して示すように、着目部20に生じた亀裂を、着目亀裂20aとする。なお、着目亀裂20aは、実際に形成されているものだけでなく、仮想的に形成したものであってもよい。
図1に付加した応力分布図に示すように、横部材12に対して例えば軸方向に荷重が加わると、通常、着目部20では応力集中すなわち応力分布の偏りが見られるが、着目部20から遠ざかるにしたがって応力分布が一様になっていく。応力分布が一様な部分における任意の箇所、例えば図1において二点鎖線の小円で囲んだ部分を公称応力部30として定める。公称応力部30の疲労強度σf2は、公称応力σf0で評価することができる。すなわち、
σf2=σf0 式(2)
とすることができる。上掲非特許文献1、2によれば、部材12がA等級であれば、その公称応力σf0は、σf0=190MPaである。したがって、公称応力部30の疲労強度σf2は、
σf2=190MPa
である。
図1において二点鎖線の大円で拡大して示すように、疲労評価の解析データ上において、公称応力部30には、着目亀裂20aと同一形状・寸法の亀裂を仮想的に入れる。この亀裂を、仮想移入亀裂30aとする。なお、仮想移入亀裂30aについて見るときは、着目亀裂20aは無いものとして扱う。(すなわち、着目亀裂20aを公称応力部30に仮想的に移入するものとする。)逆に、着目亀裂20aについて見るときは、仮想移入亀裂30aは無いものとする。
ここで、亀裂の応力拡大係数と疲労強度の積は、亀裂の形成場所に拘わらず、ある一定の大きさになると仮定する。すなわち、着目部20の疲労強度をσf1、着目亀裂20a先端の応力拡大係数をK、公称応力部30の仮想移入亀裂30a先端の応力拡大係数をKとすると、次式が成立すると仮定する。
σf1・K=σf2・K(=一定) 式(1)
そして、着目亀裂20a先端の応力拡大係数Kと、仮想移入亀裂30a先端の応力拡大係数Kをそれぞれ求め、式(1)より着目部20の疲労亀裂σf1を求める。(σf2は、A等級の公称応力すなわち190MPaとすることは、上述した通りである。)
着目亀裂20a先端の応力拡大係数Kは、破壊力学の公知手法を適用した有限要素法による数値解析を行うことにより算出する。このとき、仮想移入亀裂30aは無いものとして扱うことは、上述した通りである。また、溶接止端部を着目部20とするときは、ルート部10aは、未溶着ではなく剛結されている(閉じている)ものとする。破壊力学の手法としては、例えば、応力外挿法、変位外挿法、接続外挿法、特異要素法、仮想亀裂進展法、経路独立J積分法等を用いる。
仮想移入亀裂30a先端の応力拡大係数Kについても、上記着目亀裂20a先端の応力拡大係数Kと同様に、破壊力学の手法を適用した有限要素法による数値解析にて算出する。このとき、着目亀裂20aは無いものとして扱うことは、上述した通りである。また、ルート部10aは、未溶着ではなく剛結されている(閉じている)ものとして扱う。
このようにして得られたK,K,σf2の値を式1に代入することにより、着目部20の疲労強度σf1を簡便に推定することができる。
次に、着目亀裂20aが、開口モードと面内剪断モードと面外剪断モードのうち2つ以上が複合した混合モードである場合について説明する。この場合、着目亀裂20aの開口モード単独の応力拡大係数をKIとし、面内剪断モード単独の応力拡大係数をKIIとし、面外剪断モード単独の応力拡大係数をKIIIとし、ポアソン比をνとすると、着目亀裂20aの混合モードの応力拡大係数Kは、エネルギー解放率が一定との仮定の下に、次式で与えられると仮定する。
=KI +KII +KIII /(1−ν) 式(9)
そして、各構成モード単独の応力拡大係数KI,KII,KIIIを、破壊力学の手法を適用した有限要素法による数値解析にて算出する。この算出結果を式(9)の右辺に代入する。これによって、着目亀裂20aが混合モードであっても、その応力拡大係数Kを簡便な手法で求めることができる。
例えば、混合モードが、開口モードと面内剪断モードからなる場合には、KIとKIIをそれぞれ有限要素法で算出し、その2乗和をとることによりKを算出する。すなわち、次式を用いる。
=KI +KII 式(10)
公称応力部30の仮想移入亀裂30aは、通常、開口モードだけを考えればよいが、混合モードである場合でも、上記着目部20と同様にして、その応力拡大係数を簡便に求めることができる。
実施例を説明する。本発明が以下の実施形態に限定されるものでないことは当然である。
図2に示すように、縦部材11と左右一対の横部材12とからなる荷重伝達型十字隅肉溶接継手に本発明の推定方法を適用した。縦部材11の上下方向の長さは、54mmとし、厚さは、9mmとした。各横部材12の左右方向の長さは、45mmとし、厚さは、9mmとした。縦部材11の左右側面の中央部に一対の横部材12の端面をそれぞれ突き当て、4つの隅角をそれぞれ隅肉溶接13にて接続するものとした。各隅肉溶接部13の縦部材11に沿う辺の長さ及び横部材11に沿う辺の長さは、共に9mmとした。
この継手の右上の1/4部分を有限要素法の解析モデルとして取り出し、図3に示すように、この1/4モデルを要素分割した。要素の最小寸法は、0.01mmとした。そして、
(a)未溶着のルート部10aの端部に0.1mmの微小亀裂20aを縦に挿入した場合、
(b)隅肉溶接13の止端部に0.1mmの微小亀裂20aを縦に挿入した場合、
(c)公称応力部30に0.1mmの微小亀裂30aを縦に挿入した場合、
の3つのケースを設定した。各ケース(a)〜(c)において、該当部位以外の部位には亀裂が無いものとした。ケース(b)(c)においては、ルート部10aは、剛結されている(閉じている)ものとした。
そして、各ケース(a)〜(c)について、亀裂20a,30aの先端の開口モードの応力拡大係数を接続外挿法により算出した。ケース(a)については、面内剪断モードの応力拡大係数も併せて算出し、上記式2’により混合モードの応力拡大係数をも算出することにした。そして、式1によりケース(a)(b)の疲労強度をそれぞれ算出した。なお、公称応力部30の疲労強度σf2は、σf2=σf0=190MPa(A等級)とした。
ケース(a)の応力拡大係数をKa、疲労強度をσf1aとし、ケース(b)の応力拡大係数をKb、疲労強度をσf1bとし、ケース(c)の応力拡大係数をKとすると、結果は以下の通りであった。
/Ka=3.54(開口モード)、3.57(混合モード)
σf1a=54MPa(開口モード)、53MPa(混合モード)
/Kb=2.28
σf1b=83MPa
ケース(a)は、G等級、ケース(b)は、E等級と見做すことができる。ケース(b)は、溶接止端部の疲労強度としてほぼ予想通りの結果であり、本推定方法が妥当であることが確認された。ケース(a)については、ルート破壊のH等級ではなく、G等級となっているが、ルート部10aの疲労強度は溶け込み深さに影響を受けることを考慮すると、妥当な結果と考えられる。
本発明は、鋼橋等の鋼構造物、その他の構造物の継手や構造部材の疲労強度を推定するのに利用できる。
本発明の一実施形態に係る既設鋼構造物の継手部分を、応力分布を付加するとともに一部を拡大して示す解説図である。 本発明の実施例に用いた荷重伝達型十字隅肉溶接継手の平面図であり、解析モデルとした上記継手の1/4部分を併せて示す。 図2の1/4モデルの要素分割例を示す解説図であり、未溶着のルート部に微小亀裂を挿入したケース(a)と、溶接止端部に微小亀裂を挿入したケース(b)と、公称応力部に微小亀裂を挿入したケース(c)について要素分割例をそれぞれ拡大して示す。
符号の説明
10a ルート部
11 縦部材
12 横部材
13 隅肉溶接部
20 着目部
20a 着目亀裂
30 公称応力部
30a 仮想移入亀裂

Claims (2)

  1. (イ)疲労評価の着目部に実際に形成され又は仮想的に形成した着目亀裂の応力拡大係数を求める工程と、
    (ロ)前記着目部に作用するのと同じ荷重による応力分布が略一様で疲労強度を公称応力で評価可能な部位を公称応力部として定め、前記着目亀裂を前記公称応力部に仮想的に移入したときの該仮想移入亀裂の応力拡大係数を求める工程と、
    (ハ)前記着目部の疲労強度と応力拡大係数の積と、前記公称応力部の疲労強度と応力拡大係数の積とが、互いに等しい一定の大きさになるとの仮定に基づいて、前記着目部の疲労強度を推定する工程と、
    を実行することを特徴とする構造物の疲労強度推定方法。
  2. 前記着目亀裂又は仮想移入亀裂が、開口モードと面内剪断モードと面外剪断モードのうち2つ以上が複合した混合モードであるとき、その応力拡大係数を求める工程では、該混合モードを構成する各モード単独の応力拡大係数を求め、次式の仮定を適用することを特徴とする請求項1に記載の構造物の疲労強度推定方法。
    =KI +KII +KIII /(1−ν)
    ここで、K:混合モードの応力拡大係数
    I:開口モード単独の応力拡大係数
    II:面内剪断モード単独の応力拡大係数
    III:面外剪断モード単独の応力拡大係数
    ν:ポアソン比
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