JP7473141B1 - 応力影響線の算出方法及び鋼床版の疲労評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1つの着目点について1度の有限要素解析を行えばよく、かつ、有限要素モデルの修正が不要な応力影響線の算出方法及び鋼床版の疲労評価方法を提供する。【解決手段】応力影響線の算出方法は、有限要素モデルの着目点における任意の応力に対応した荷重を相反定理に基づき、有限要素モデルの着目点に対応する複数位置に設定する荷重設定ステップと、荷重が設定された有限要素モデルについて、有限要素解析を行うことで、単位荷重に対する着目点の任意の応力の応力影響線を算出する影響線算出ステップとを含む。【選択図】図11

Description

特許法第30条第2項適用 令和4年11月20日公益社団法人土木学会が発行した土木学会論文集A1(構造・地震工学)Vol.78 No.3 第480~489頁で公開
特許法第30条第2項適用 令和5年2月20日公益社団法人土木学会東北支部が発行した令和4年度土木学会東北支部技術研究発表会講演概要集 第I-36頁で公開
特許法第30条第2項適用 令和5年3月4日公益社団法人土木学会東北支部主催によりウェブ開催された令和4年度土木学会東北支部技術研究発表会で発表
本発明は、応力影響線の算出方法及び鋼床版の疲労評価方法に関する。
橋梁等の構造物において、解析により疲労を推定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-189009号公報
上記のような解析においては、構造物における着目点の応力等の応答を荷重の載荷位置で表した影響線を求めることが必要不可欠となる。従来では、有限要素モデルにおいて単位荷重の載荷位置を多数設定して載荷位置毎に有限要素解析を行う手法が行われるが、この手法では、単位荷重の載荷位置を変化させた多数の解析ケースを実行する必要がある。また、有限要素モデルにおいて、タイヤモデルを模した荷重を載荷する有限要素解析を行う手法が行われるが、タイヤモデルに合わせた要素分割を実施する必要があり、タイヤモデルを変更する場合は、要素分割を変更する必要がある。さらに、いわゆるMuller-Breslauの原理に基づく解析手法が行われるが、この手法では、着目点に節点を追加し要素コネクティビティを修正(2重節点化)するといった有限要素モデルの修正が必要であり、この修正処理は着目点ごとに行う必要がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、1つの着目点について1度の有限要素解析を行えばよく、かつ、有限要素モデルの修正が不要な応力影響線の算出方法及び鋼床版の疲労評価方法を提供することを目的とする。
本発明に係る応力影響線の算出方法は、有限要素モデルの着目点における任意の応力に対応した荷重を相反定理に基づき、前記有限要素モデルの前記着目点に対応する複数位置に設定する荷重設定ステップと、前記荷重が設定された前記有限要素モデルについて、有限要素解析を行うことで、単位荷重に対する前記着目点の任意の応力の応力影響線を算出する影響線算出ステップとを含む。
本発明に係る鋼床版の疲労評価方法は、鋼床版の前記有限要素モデルを生成するステップと、生成した前記有限要素モデルの着目点を設定するステップと、前記着目点を設定した前記有限要素モデルについて、上記の応力影響線の算出方法により、単位荷重に対する前記着目点の補正した構造ホットスポット応力の応力影響線を算出するステップと、算出した前記応力影響線に基づいて、前記有限要素モデルの前記着目点に発生する応力波形を生成するステップと、生成した前記応力波形に基づいて、前記着目点の疲労を算出するステップとを含む。
本発明によれば、1つの着目点について1度の有限要素解析を行えばよく、かつ、有限要素モデルの修正が不要な応力影響線の算出方法及び鋼床版の疲労評価方法を提供することができる。
図1は、相反定理によるたわみの影響線の解析の例を示す図である。 図2は、相反定理によるたわみ角の影響線の解析の例を示す図である。 図3は、Muller-Breslauの原理による曲げモーメントの影響線の解析の例を示す図である。 図4は、要素辺におけるひずみの影響線の解析の例を示す図である。 図5は、節点におけるひずみの影響線の解析の例を示す図である。 図6は、最外縁の節点におけるひずみの影響線の解析の例を示す図である。 図7は、節点における応力の影響線の解析の例を示す図である。 図8は、節点の板表面における変位の影響線の解析の例を示す図である。 図9は、節点の板表面における応力の影響線の解析の例を示す図である。 図10は、要素辺上の点における変位の影響線の解析の例を示す図である。 図11は、本実施形態に係る応力影響線の算出方法の一例を示すフローチャートである。 図12は、本実施形態に係る鋼床版の疲労評価方法の一例を示すフローチャートである。 図13は、鋼床版の有限要素モデルの一例を示す図である。 図14は、鋼床版の有限要素モデルの一例を示す図である。 図15は、鋼床版の有限要素モデルの一部を示す図である。 図16は、鋼床版の有限要素モデルについて算出した応力影響線を模式的に示す図である。 図17は、応力波形生成ステップにおける車両の設定事項の例を示す図である。 図18は、応力波形生成ステップにおける車両の設定事項の例を示す図である。 図19は、応力波形生成ステップにおける車両の設定事項の例を示す図である。 図20は、応力波形の算出手順の一部を模式的に示す図である。 図21は、2軸車両、3軸車両及び4軸車両について着目点の応力波形の例を示す図である。 図22は、2径間連続梁の問題設定の一例を示す図である。 図23は、着目点付近の有限要素モデルの一例を示す図である。 図24は、有限要素モデルの変形の様子の一例を示す図である。 図25は、梁上縁での着目要素辺ひずみの影響線の一例を示すグラフである。 図26は、本実施形態に係る手法による影響線の参照点での解析結果を示す図である。 図27は、2主合成桁を参考にした対象構造の例を示す図である。 図28は、2主合成桁を参考にした対象構造の例を示す図である。 図29は、2主合成桁のモデルにおける鋼及びコンクリートの材料定数の一例を示す図である。 図30は、2主合成桁のモデルにおける着目点近傍の断面図である。 図31は、解析モデル全体図と着目点との位置を示す図である。 図32は、床版上面における着目点のx方向垂直応力の影響線コンター図である。 図33は、参照点の座標と各参照点に単位荷重を載荷したときの着目点応力と、本実施形態に係る手法による参照点における影響線の値をまとめた図である。
以下、本発明に係る応力影響線の算出方法及び鋼床版の疲労評価方法の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[原理]
本実施形態に係る応力影響線の算出方法の原理を説明する。例えば橋梁等のように不確定な移動荷重を受ける構造物を設計する際には、当該構造物における着目点の応力等の応答を荷重の載荷位置で表した関数が必要不可欠となる。有限要素モデルにおいて、例えば載荷位置が1次元の場合には、当該関数は応力影響線(又は影響線)と呼ばれる。なお、載荷位置が床版面等の2次元の場合には、当該関数は応力影響面(又は影響面)と呼ばれる場合がある。本明細書では、載荷位置の次元に関わらず統一して応力影響線(又は影響線)と呼ぶこととする。
本実施形態では、相反定理を用いた有限要素解析に基づいて応力影響線を効率的に算出するものである。相反定理は、2つの系を考え、それぞれの系において、異なる系の外力・内力をつり合い系として補仮想仕事式を考え、線形弾性体であれば2つの系の内力補仮想仕事が等しいことから、2つの系の外力補仮想仕事が等しくなる、という定理である。系iでの変位をu、外力をqとすると、相反定理は、
Figure 0007473141000002
と表される。ここに、上付きの数字はその物理量が定義される系の番号を意味する。
(1)構造解析における影響線の解析
a.たわみの影響線
例えば、梁構造におけるたわみの影響線は、以下のようにして求めることができる。図1は、相反定理によるたわみの影響線の解析の例を示す図である。図1に示すように、系1の外力を任意点ξの集中荷重P(ξ)とし、系2の外力をたわみの着目点xの集中荷重P(x)とする。また、系1のxにおけるたわみと系2のξにおけるたわみをそれぞれ、w(x;ξ)、w(ξ;x)と定義する。ここに「;」の後の変数は荷重作用点を意味する。以上から、相反定理により、
Figure 0007473141000003
を得る。集中荷重の大きさを単位とすれば、
Figure 0007473141000004
となり、任意点ξに単位荷重が作用するときのたわみw(x;ξ)、すなわち位置xにおけるたわみの影響線は、xに単位荷重が作用するときのξにおけるたわみであることが確認できる。
b.たわみ角の影響線
次に、梁構造におけるたわみ角の影響線は以下のようにして求めることができる。図2は、相反定理によるたわみ角の影響線の解析の例を示す図である。図2に示すように、系1の外力を任意点ξの集中荷重P(ξ)とし、系2の外力をたわみ角の着目点xの集中モーメント荷重M(x)とする。また、系1のxにおけるたわみ角をθ(x;ξ)、系2のξにおけるたわみをw(ξ;x)と定義する。以上から、相反定理により、
Figure 0007473141000005
を得る。P(ξ)とM(x)の大きさを単位とすれば、
Figure 0007473141000006
となり、任意点ξに単位荷重が作用するときのたわみ角θ(x;ξ)、すなわち位置xにおけるたわみ角の影響線はxに単位モーメント荷重が作用するときのξにおけるたわみであることが確認できる。これらはMuller-Breslauの原理として知られている。
c.曲げモーメントの影響線
Muller-Breslauの原理により、例えば梁構造における曲げモーメントのような内力の影響線を求めることもできる。このとき、内力の補仮想仕事を取り出すためには不連続な変形を考える必要がある。図3は、Muller-Breslauの原理による曲げモーメントの影響線の解析の例を示す図である。図3に示すように、系2の曲げモーメント着目点xに不連続な相対回転△θ(x)を考える。xにおいて不連続な変形を考えているので、θに以下のような左側極限・右側極限
Figure 0007473141000007
を定義すれば、
Figure 0007473141000008
である。Mにも同様に左側極限・右側極限を定義すれば、両系に対する相反定理が
Figure 0007473141000009
と表せる。ここで、作用反作用の法則により、
Figure 0007473141000010
となることを考慮すると、数8は、
Figure 0007473141000011
と表せ、系1の荷重が単位で、系2のxにおける不連続相対回転△θ(x)が単位、すなわち
Figure 0007473141000012
であれば、
Figure 0007473141000013
となり、系2のたわみがxにおける曲げモーメントの影響線となることが示される。
(2)有限要素解析における効率的な影響線の解析
次に、相反定理に基づく効率的な影響線の有限要素解析手法について説明する。
a.ひずみの影響線
図4は、要素辺におけるひずみの影響線の解析の例を示す図である。図4に示すような有限要素モデルにおける節点a、b間のx方向の垂直ひずみ(εabを考える。系1には任意位置にある節点ξにy方向単位荷重P ξ=1が作用しており、系2には節点aと節点bに互いに逆向きのx方向単位荷重P =-1、P =1が作用している。節点ξのy方向の変位をvξとし、節点a、bのx方向の変位をuα、uとすると、相反定理より、
Figure 0007473141000014
が成立する。単位荷重を考慮すると、
Figure 0007473141000015
となることから、節点a、b間の要素辺長をlとすると、
Figure 0007473141000016
となり、着目辺abの両端に逆向きの単位荷重を載荷したときの各節点のy方向の変位の1/l倍が、着目辺abの垂直ひずみ(εabの影響線となっていることが示される。これは、着目辺abの両端に逆向きに大きさ1/lの荷重を載荷したときの各節点のy方向変位が(εabの影響線となっていると言い換えることもできる。
図5は、節点におけるひずみの影響線の解析の例を示す図である。図5に示すような有限要素モデルを考える。系1には任意位置にある節点ξにy方向単位荷重P ξ=1が作用しており、系2には節点a、b、cにx方向荷重P α(α=a、b、c)が作用している。節点ξのy方向の変位をvξとし、節点a、b、cのx方向の変位をuα(α=a、b、c)とする。
構造物の設計においては、着目点での応力やひずみを問題とする。通常の有限要素法では、要素間の変位の連続性は課されるが、その導関数であるひずみは連続性を有しない。したがって、節点でのひずみは一般的に定義されないが、節点をはさむ2つの要素辺におけるひずみの何らかの平均が用いられることも多い。そこで、図5に示すように着目節点bとその両隣の節点a、cの3点の変位を有限要素法の内挿関数ではなく2次関数で内挿したときのbにおける傾きをbにおけるひずみと考えることとする。ここで、ab間の長さをlab、bc間の長さをlbcとすると、bにおける2次曲線の傾きで定義される垂直ひずみ(εは、
Figure 0007473141000017
となる。ここで、系1及び系2に相反定理を適用すると、
Figure 0007473141000018
が成り立つが、P α(α=a、b、c)が、
Figure 0007473141000019
であるとき、数17の左辺が着目点bの垂直ひずみとなる。したがって、このときの各節点のy方向変位が着目点bの垂直ひずみ(εの影響線となることが示される。なお、lab=lbc=lのときは、
Figure 0007473141000020
とすれば、各節点のy方向変位が(εの影響線となる。
図6は、最外縁の節点におけるひずみの影響線の解析の例を示す図である。図6に示すような有限要素モデルのb点のように最外縁におけるひずみや応力が問題となることが多い。この場合は、節点a、b間のx方向垂直ひずみ(εabを用いればよい。
b.応力の影響線
線形問題においては応力とひずみは線形関係にあるが、例えば平板の問題では平面応力状態であり、その構成関係は垂直応力をσ、σ、せん断応力をτxy、垂直ひずみをε、ε、せん断ひずみをεxyとすると、
Figure 0007473141000021
となる。ここで、Eはヤング率、νはポアソン比である。したがって、垂直応力の影響線を得るためには2成分の垂直ひずみの影響線が必要となる。
図7は、節点における応力の影響線の解析の例を示す図である。図7に示すような有限要素モデルにおける節点bのx方向の垂直応力(σの影響線を求める方法について考える。簡単のため、要素はすべて辺長lの正方形の双1次四辺形要素とする。これ以外の場合でも、有限要素離散化を用いる限り任意点の変位は節点変位で表現できることから、以下の手法は適用可能である。
図7における系1には、任意位置にある節点ξにy方向単位荷重P ξが作用しており、図7における系2には、節点bのx方向に隣接する節点aと節点cにx方向荷重P 、P が作用しており、節点bのy方向に隣接する節点dと節点fにy方向荷重Q 、Q が作用している。
節点ξのy方向の変位をvξとし、節点a、cのx方向の変位をu、ucとし、節点d、fのy方向の変位をv、vとする。系1及び系2に相反定理を適用すると、
Figure 0007473141000022
が成立する。
Figure 0007473141000023
のとき、相反定理は、
Figure 0007473141000024
となり、系2のy方向変位が節点bにおけるx方向垂直ひずみ(εの影響線となる。同様に、
Figure 0007473141000025
のとき、相反定理は、
Figure 0007473141000026
となり、系2の各節点のy方向変位が節点bにおけるy方向垂直ひずみ(εの影響線となる。
x方向垂直応力σは、数20で表されるように、x方向垂直ひずみ(εとy方向垂直ひずみ(εとの線形結合で表されることから、
Figure 0007473141000027
とすると、相反定理は、
Figure 0007473141000028
となり、数24の荷重を載荷した系2の各節点のy方向変位が節点bにおけるx方向垂直応力(σの影響線となる。
3次元問題においても同様の考え方で影響線を求めることができる。3次元の構成関係は垂直応力をσ、σ、σとし、せん断応力をτxy、τyz、τzxとし、垂直ひずみをε、ε、εとし、せん断ひずみをγxy、γyz、γzxとすると、
Figure 0007473141000029
となる。ここに、Eはヤング率、νはポアソン比である。したがって、垂直応力の影響線を得るためには3成分の垂直ひずみの影響線が必要となる。
上記では、垂直ひずみ及び垂直応力の影響線について説明したが、同様の考え方でせん断ひずみ及びせん断応力の影響線についても適用することが可能である。
c.平面シェル要素における影響線
平面シェル要素で離散化された有限要素モデルを考える。平面シェル要素では、曲げの影響を考慮するために板表面における応力やひずみを求める必要がある。
図8は、節点の板表面における変位の影響線の解析の例を示す図である。図8に示す有限要素モデルにおいて、節点aの板表面におけるx方向変位u a,surfaceの影響線を求める方法について考える。系1には任意位置にある節点ξにy方向単位荷重P ξ=1が作用しており、系2には節点aにx方向荷重P とy軸まわり曲げモーメントM が作用している。節点ξのy方向の変位をvξとし、節点aのx方向変位をu、y軸まわり回転角をθとする。板厚をtとすると、板表面における変位ua,surfaceは、
Figure 0007473141000030
となる。このことと、相反定理
Figure 0007473141000031
より、節点aに以下の荷重
Figure 0007473141000032
を与えたときの各節点のy方向変位が着目点aの板表面における変位ua,surfaceの影響線となることが示される。
節点の板表面におけるひずみや応力においても、上記項目a、bと同様の考え方で影響線を求めることができる。図9は、節点の板表面における応力の影響線の解析の例を示す図である。図9に示すような有限要素モデルで、節点bの板表面におけるx方向の垂直応力(σb,surfaceの影響線を求める方法を示す。簡単のため、要素はすべて辺長lの正方形で板厚tの平面シェル要素とする。これ以外の場合でも、有限要素離散化を用いる限り任意点の変位は節点変位で表現できることから、以下の手法は適用可能である。系1には任意位置にある節点ξにy方向単位荷重P ξ=1が作用しており、系2には節点bのx方向に隣接する節点aと節点cにx方向荷重P 、P 、y軸まわり曲げモーメントM 、M が作用しており、節点bのy方向に隣接する節点dと節点fにy方向荷重P 、P 、x軸まわり曲げモーメントM 、M が作用している。節点ξのy方向の変位をvξとし、節点a、cのx方向の変位をu、u、y軸まわりの回転角をθa、θc、節点d、fのy方向の変位をv、v、x軸回りの回転角をθ、θとする。系1と系2とに相反定理を利用すると、
Figure 0007473141000033
が成立する。数20に示した平面応力の構成関係を考慮して、
Figure 0007473141000034
とすると、相反定理は数29より、
Figure 0007473141000035
Figure 0007473141000036
となり、数33の荷重を載荷した系2の各節点のy方向変位が節点bの板表面におけるx方向垂直応力(σb,surfaceの影響線となる。
d.要素辺上の点における変位の影響線
図10は、要素辺上の点における変位の影響線の解析の例を示す図である。図10に示すような有限要素モデルにおける節点dのx方向の垂直ひずみ(εの影響線を求める場合を考える。簡単のため、要素はすべて双1次四辺形要素とする。これ以外の場合でも、有限要素離散化を用いる限り任意点の変位は節点変位で表現できることから、以下の手法は適用可能である。節点dを原点としてx軸正の方向に隣接する節点はないが、このような場合には、節点dに隣接する要素辺上の点bにおけるx方向変位uを用いる。
まず、要素辺上の点bにおけるx方向変位uの影響線を求める方法について考える。図10に示すような有限要素モデルにおいて、系1には任意位置にある節点ξにy方向単位荷重P ξ=1が作用しており、系2には節点bを含む要素辺を形成する節点aと節点cにx方向荷重P 、P が作用している。節点ξのy方向の変位をvξとし、節点a、b、cのx方向の変位をuα(α=a、b、c)とする。ab間の長さをlab、bc間の長さをlbcとすると、点bのx方向変位uは、
Figure 0007473141000037
となる。このことと、相反定理
Figure 0007473141000038
より、節点a、cそれぞれに以下の荷重
Figure 0007473141000039
を与えたときの各節点のy方向変位が点bのx方向変位uの影響線となることが示される。したがって、節点dのx方向の垂直ひずみ(εの影響線も、要素辺上の点bにおけるx方向変位uを用いて求められる。
[応力影響線の算出方法]
次に、本実施形態に係る応力影響線の算出方法について説明する。図11は、本実施形態に係る応力影響線の算出方法の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、本実施形態に係る応力影響線の算出方法は、荷重設定ステップS101と、影響線算出ステップS102とを含む。
荷重設定ステップS101は、有限要素モデルに設定された着目点の任意の応力に対応した荷重を当該着目点の近傍に設定する。荷重設定ステップS101では、例えば上記の図4から図10に示す有限要素モデルにおいて着目点を設定し、設定した着目点の近傍となる節点に、任意の応力に対応する荷重を設定する。
影響線算出ステップS102は、荷重設定ステップS101により荷重が設定された有限要素モデルの有限要素解析を行うことで、単位荷重に対する着目点の任意の応力の応力影響線を算出する。影響線算出ステップS102で行う有限要素解析は、相反定理を利用することにより、1つの着目点について1回の解析を行うだけで影響線を算出することができる。また、荷重モデルに限定されない任意の応力の応力影響線を算出することができ、荷重作用面の要素分割に制限を受けないため、任意の分布荷重による着目点の応答を求めることができる。このため、荷重モデル等の変更に対しても有限要素モデルの修正や追加が不要となる。
[鋼床版の疲労評価方法]
次に、本実施形態に係る鋼床版の疲労評価方法について説明する。図12は、本実施形態に係る鋼床版の疲労評価方法の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、本実施形態に係る鋼床版の疲労評価方法は、モデル生成ステップS201と、着目点設定ステップS202と、影響線算出ステップS203と、応力波形生成ステップS204と、疲労算出ステップS205とを含む。
モデル生成ステップS201は、鋼床版の有限要素モデルを生成する。図13及び図14は、鋼床版の有限要素モデルの一例を示す図である。図13及び図14に示す鋼床版の有限要素モデル100は、デッキプレート10と、主桁20と、横リブ(横板)30と、縦リブ(縦板)40とを有し、横リブ30と縦リブ40とが溶接部50によって全周溶接された構成である。図13では、一部の溶接部50を破線で示している。
着目点設定ステップS202は、生成した有限要素モデルの着目点を設定する。図15は、鋼床版の有限要素モデルの一部を示す図である。上記した鋼床版の有限要素モデルの例では、図15に示すように、例えば横リブと縦リブとの交差部分における溶接部の横リブ側の止端部に着目点を設定することができる。
影響線算出ステップS203は、着目点を設定した有限要素モデルについて、上記した応力影響線の算出方法(ステップS101、S102を含む)により、単位荷重に対する着目点の「補正した構造ホットスポット応力(以下、応力σ´hと表記する)」の応力影響線を算出する。
具体的には、まず、着目点を設定した鋼床版の有限要素モデルについて、着目点における応力σ´hに対応した荷重を当該有限要素モデルの複数位置に設定する(荷重設定ステップS101に対応)。
ここで、応力σ´hの影響線を求めるための荷重について説明する。簡単のために、着目点付近の要素は図15に示すように長さlの正方形要素で要素分割されているとする。
構造ホットスポット応力は、
Figure 0007473141000040
で定義される。ここで、右辺のσは鋼板表面の溶接止端直角方向の垂直応力を表し、その添え字は止端から応力参照点までの距離を表し、tは横リブの板厚を表す。
曲げ応力の低減補正と板厚増加による強度低下の補正を考慮した構造ホットスポット応力(補正した構造ホットスポット応力:応力σ´h)は、
Figure 0007473141000041
と定義される。ここで、σh,m、σh,bはそれぞれ構造ホットスポット応力の膜応力成分、曲げ応力成分である。
以上から、補正した構造ホットスポット応力は、
Figure 0007473141000042
と表される。
鉛直方向の膜応力の影響線を求めるための荷重は、図15の0.4tを例にとると、a点及びb点の水平(y)方向荷重
Figure 0007473141000043
及びc点及びd点の鉛直(z)方向荷重
Figure 0007473141000044
となる(数33参照)。
鉛直方向の曲げ応力の影響線を求めるための荷重は、図15の0.4tを例にとると、a点及びb点の鉛直(z)軸まわりのモーメント
Figure 0007473141000045
及びc点及びd点の水平(y)軸まわりのモーメント
Figure 0007473141000046
である(数33参照)。
図15の1.0t位置における応力の影響線を求めるための荷重も同様に考え、上記数41の係数を考慮すると、修正された構造ホットスポット応力の影響線を求めるための荷重は、
Figure 0007473141000047
Figure 0007473141000048
Figure 0007473141000049
Figure 0007473141000050
Figure 0007473141000051
Figure 0007473141000052
Figure 0007473141000053
Figure 0007473141000054
となる。
次に、荷重が設定された鋼床版の有限要素モデルについて、相反定理を利用した有限要素解析を行うことで、単位荷重に対する着目点の応力σ´hの応力影響線を算出する(影響線算出ステップS203に対応)。
図16は、鋼床版の有限要素モデルについて算出した応力影響線を模式的に示す図である。影響線算出ステップS203では、有限要素解析で相反定理を利用することにより、1つの着目点について1回の解析を行うだけで、図16に示すような影響線を算出することができる。
応力波形生成ステップS204は、算出した応力影響線に基づいて、有限要素モデルの着目点に発生する応力波形を生成する。
応力波形生成ステップS204では、鋼床版を走行する車両について、車両モデル、車両重量を設定すると共に、有限要素モデルにおける車両走行位置を設定し、これらの設定に基づいて応力波形を生成する。図17から図19は、応力波形生成ステップS204における車両の設定事項の例を示す図である。図17から図19は、車両モデルごとの軸間距離と各軸の軸重比及び車両重量の設定例を示している。図17は2軸車両、図18は3軸車両、図19は4軸車両の例をそれぞれ示している。また、車両重量を示すグラフにおいて、横軸が車両重量(tf)、縦軸が台数(72時間当たりの走行台数)を示している。
図20は、応力波形の算出手順の一部を模式的に示す図である。図20では、車両として4軸車両を車両モデルとした場合の例を示している。図20に示すように、本実施形態では、着目点の応力σ´hの単位荷重に対応する応力影響線が算出されているため、シングルタイヤ、ダブルタイヤ等の任意のタイヤモデルに対応することができる。図20に示す例では、シングルタイヤについてはタイヤ範囲T1で示し、ダブルタイヤについてはタイヤ範囲T2で示している。なお、図20では、図16で示す応力影響線に車両のタイヤ範囲を重ねた状態を示している。この例では、タイヤ範囲T1、T2の面積分を橋軸方向に位置をずらしながら実施することで、着目点の応力波形を算出することができる。
図21は、2軸車両、3軸車両及び4軸車両について着目点の応力波形の例を示す図である。図21の横軸は走行距離(mm)を示し、縦軸は応力(N/mm)を示す。2軸車両、3軸車両及び4軸車両のそれぞれについて、タイヤ範囲の面積分を橋軸方向に位置をずらしながら実施することで、図21に示すような応力波形をそれぞれ算出することができる。
疲労算出ステップS206は、生成した応力波形に基づいて、着目点の疲労を算出する。具体的には、まず、生成した応力波形に基づいて、着目点についての応力範囲頻度分布を算出する。応力範囲頻度分布は、例えば連続する応力波形をレインフロー処理することにより算出することができる。次に、算出された応力範囲頻度分布に基づいて、着目点の累積疲労損傷比を算出する。例えば、累積疲労損傷比については、マイナー則に従い、設計寿命100年の累積疲労損傷比Dを算出することができる。
[平面応力問題への適用例]
有限要素モデルとして、平面応力モデルに適用する場合について説明する。以下、平面応力モデルとして、2径間連続梁のモデルを例に挙げて説明する。図22は、2径間連続梁の問題設定の一例を示す図である。図22に示す2径間連続梁の平面応力問題を考える。梁は高さ2000mm、支間30000+40000mmとし、100mm四方の双1次四辺形要素で分割した。このとき総要素数は14000、総節点数は14742となった。材質は均質でヤング率E=2×10(N/mm)、ポアソン比ν=0.3の等方線形弾性体とした。座標xを左支点から右向きにとり、座標yを梁上縁から下向きに取る。着目点をx=10000mmとした。
図23は、着目点付近の有限要素モデルの一例を示す図である。図23に示すような有限要素モデルにおいて、要素辺abのx方向垂直ひずみの影響線で本実施形態に係る手法の妥当性を確認する。上記したように、節点a及び節点bにそれぞれ以下のx方向荷重
Figure 0007473141000055
を与えて解析を行った。ここに、lは要素長100mmである。
図24は、このときの有限要素モデルの変形の様子を示している。図25は、梁上縁での着目要素辺ひずみの影響線の一例を示すグラフである。図25の縦軸はy方向変位の大きさ、横軸はx方向の位置を示している。橋梁のような構造物では、床版上にのみ鉛直方向外力が作用するので、図25では、梁上縁のy方向変位を任意のxについて連続的に示した。図25は、骨組の構造解析における影響線に相当する。この影響線を通常の境界値問題における単位荷重に対する着目点ひずみと比較することで、本解析の妥当性を確認する。x=10000mm、20000mm、50000mmの上縁をそれぞれ参照点A、B、Cとして、単位荷重を載荷した。図26(a)は、このときの要素辺abのひずみ(εabと、本実施形態に係る手法による影響線の参照点での値をまとめて示す図である。なお、単位荷重を載荷したときの要素辺ひずみは、節点a、節点bの相対変位に基づき算出した。両者の差は相対誤差で比較したが、単位荷重による解も近似解であることから相対差と表現した。相対差の定義は、
Figure 0007473141000056
である。図26(a)に示すように、本実施形態に係る手法は単位荷重を載荷する従来の解法による解と比較し、10-3%程度の精度で一致している。
次に、節点におけるひずみの影響線について、本実施形態に係る手法の妥当性を確認する。図23における節点bのx方向垂直ひずみの影響線を得るために上記の数19で与えられる荷重を載荷して解析を行った。このときの有限要素モデルの変形と上縁鉛直変位の分布はそれぞれ図24及び図25と同様である。図26(b)は、参照点A、B、Cに単位荷重を載荷したときのひずみと本実施形態に係るひずみの影響線の参照点での値をまとめた図である。なお、単位荷重を載荷したときの節点におけるひずみは上記数16により節点変位から求めた。図26(b)に示すように、本実施形態に係る手法は、単位荷重を載荷する従来の解法による解と比較し、10-3%程度の精度で一致している。
次に、節点における応力の影響線について本実施形態に係る手法の妥当性を確認する。図23における節点bのx方向垂直応力の影響線を得るために上記の数26で与えられる荷重を載荷して解析を行った。このときの有限要素モデルの変形と上縁鉛直変位の分布はそれぞれ図24及び図25と同様である。図26(c)は、参照点A、B、Cに単位荷重を載荷したときの応力と本実施形態に係る応力の影響線の参照点での値をまとめた図である。なお、単位荷重を載荷したときの節点における応力は節点変位から求めた節点bにおけるx方向垂直ひずみとy方向垂直ひずみと平面応力との構成関係から求めた。図26(c)に示すように、本実施形態に係る手法は、単位荷重を載荷する従来の解法による解と比較し、10-3%程度の精度で一致している。
次に、分布荷重による応力について、本実施形態に係る手法の妥当性を確認する。図22に示す梁において、左支間x=0からx=10000mmまで、単位奥行当たりの等分布荷重q=1N/mmを載荷した。このときの節点bのx方向垂直応力は1.13428×10N/mmであった。本実施形態に係る手法による応力の影響線と等分布荷重の積を載荷範囲で積分すると、1.13436×10N/mmとなり、相対差は6.6×10-3%となった。
構造物の設計においては、図23のf点のように最外縁における応力が問題となることが多い。この場合は節点g、節点f、節点hの変位からx方向垂直ひずみを定義し、節点b、節点fの変位からy方向垂直ひずみを定義することで、節点bの応力と同様に節点fの応力の影響線を求めることができる。具体的には、節点g、節点hにx方向荷重Pを、節点b、節点fにy方向荷重Qを
Figure 0007473141000057
と与えれば、そのときの各節点の変位が節点fの応力の影響線となる。図26(d)は、参照点A、B、Cに単位荷重を載荷したときの応力と本実施形態の応力の影響線の参照点での値をまとめた図である。なお、単位荷重を載荷したときの節点における応力は節点変位から求めた節点fにおけるx方向垂直ひずみとy方向垂直ひずみと平面応力との構成関係から求めた。図26(d)に示すように、本実施形態に係る手法は、単位荷重を載荷する従来の解法による解と比較し、10-2%程度の精度で一致している。
[3次元問題への適用例]
有限要素モデルとして、3次元有限要素モデルに適用する場合について説明する。以下、3次元有限要素モデルとして、2主合成桁のモデルを例に挙げて説明する。図27及び図28は、2主合成桁を参考にした対象構造の例を示す図である。図27は断面図、図28は桁断面図をそれぞれ示している。図27及び図28の斜線ハッチング部分がコンクリート、それ以外の部分が鋼で形成され、上フランジ上面で一体化しているものとしてモデル化し、鉄筋やずれ止め、横桁等はモデル化していない。鋼、コンクリートはともに等方線形弾性体とする。図29は、2主合成桁のモデルにおける鋼及びコンクリートの材料定数の一例を示す図である。断面を1770要素、軸方向要素長を100mmとし、計1239000要素の1次6面体要素によりモデル化した。なお、総節点数は1610898である。
上記した平面問題と同様に30000mmと40000mmの2径間連続梁とし、30000mm支間側の端支点を原点とし、原点から逆側の端支点に向かう軸をx軸、断面の曲げ中立軸を原点に鉛直下向きをz軸、床版中央を原点に軸直角水平方向をy軸とする。支点では下フランジ下面をz方向に線支持し、他の方向の拘束は剛体運動を拘束する最低限の拘束とした。図30は、2主合成桁のモデルにおける着目点近傍の断面図である。x=10000mmの図30に丸印で示す点を着目点とした。図31は、解析モデル全体図と着目点との位置を示す図である。3次元の構成関係を考慮し、着目点のx方向の隣接する各節点にx方向の荷重Pを、y方向の隣接する各節点にy方向の荷重Pをそれぞれ互いに逆向きに作用させた。また、着目点は、z方向の端点であるため、着目点とz方向に隣接する節点にz方向の荷重Pを互いに逆向きに作用させた。これらの荷重は、
Figure 0007473141000058
Figure 0007473141000059
Figure 0007473141000060
である。ここに、l、l、lは各方向の要素長であり、
Figure 0007473141000061
である。
図32は、床版上面における着目点のx方向垂直応力の影響線コンター図である。図32には主桁位置と支点位置も示している。この結果の妥当性を確認するため、図32に示すA、B、Cの3点を参照点として選び、従来の単位荷重載荷の解析を行い、着目点応力との比較を行う。図33は、参照点の座標と各参照点に単位荷重を載荷したときの着目点応力と、本実施形態に係る手法による参照点における影響線の値をまとめた図である。図33に示すように、本実施形態に係る手法は、単位荷重を載荷する従来の解法による解と比較し、10-1%程度の精度で一致している。
以上のように、本実施形態の第1態様に係る応力影響線の算出方法は、有限要素モデルの着目点における任意の応力に対応した荷重を相反定理に基づき、複数位置に設定する荷重設定ステップと、荷重が設定された有限要素モデルについて、有限要素解析を行うことで、単位荷重に対する着目点の任意の応力影響線を算出する影響線算出ステップとを含む。
この構成によれば、有限要素解析に相反定理を利用することにより、1つの着目点について1回の解析を行うだけで影響線を算出することができる。また、応力影響線の解析のためにモデルに与える荷重は、要素長と材料定数から容易に決定できるため、汎用有限要素解析コードへの実装が容易となる。
本実施形態の第2態様に係る応力影響線の算出方法は、第1態様において、有限要素モデルは、鋼床版の有限要素モデルが用いられる。
この構成によれば、鋼床版の有限要素モデルについて応力影響線を算出する場合、1つの着目点について1度の有限要素解析を行えばよく、かつ、有限要素モデルの修正が不要となる。
本実施形態の第3態様に係る応力影響線の算出方法は、第1態様において、有限要素モデルは、平面応力モデルが用いられる。
この構成によれば、平面応力モデルについて応力影響線の算出する場合、1つの着目点について1度の有限要素解析を行えばよく、かつ、有限要素モデルの修正が不要となる。
本実施形態の第4態様に係る応力影響線の算出方法は、第1態様において、有限要素モデルは、3次元有限要素モデルが用いられる。
この構成によれば、3次元有限要素モデルについて応力影響線の算出する場合、1つの着目点について1度の有限要素解析を行えばよく、かつ、有限要素モデルの修正が不要となる。
本実施形態の第5態様に係る鋼床版の疲労評価方法は、鋼床版の有限要素モデルを生成するステップと、生成した有限要素モデルの着目点を設定するステップと、着目点を設定した有限要素モデルについて、上記の応力影響線の算出方法により、単位荷重に対する着目点の補正した構造ホットスポット応力の応力影響線を算出するステップと、算出した応力影響線に基づいて、有限要素モデルの着目点に発生する応力波形を生成するステップと、生成した応力波形に基づいて、着目点の疲労を算出するステップとを含む。
この構成によれば、有限要素解析に相反定理を利用することにより、1つの着目点について1回の解析を行うだけで補正した構造ホットスポット応力の影響線を算出することができる。また、荷重作用面の要素分割に制限を受けないため、任意の分布荷重による着目点の応答を求めることができる。このため、荷重モデル等の変更に対しても有限要素モデルの修正や追加が不要となる。また、着目点の応答を床版面に関連付けるポストプロセスが不要となる。また、応力影響面の解析のためにモデルに与える荷重は、要素長と材料定数から容易に決定できるため、汎用有限要素解析コードへの実装が容易となる。
本実施形態の第6態様に係る鋼床版の疲労評価方法は、第5態様において、応力波形を生成するステップでは、鋼床版を走行する車両について、車両モデル、車両重量及び有限要素モデルにおける車両走行位置の設定を行い、設定に基づいて応力波形を生成する。
この構成によれば、荷重モデルによらない、単位荷重に対する応力影響面が算出できるため、鋼床版を走行する車両について設定した任意の荷重モデルに対する応答を容易に求めることが可能である。
本実施形態の第7態様に係る鋼床版の疲労評価方法は、第5態様において、着目点の疲労を算出するステップでは、生成した応力波形に基づいて、着目点についての応力範囲頻度分布を算出し、算出された応力範囲頻度分布に基づいて、着目点の累積疲労損傷比を算出する。
この構成によれば、着目点の累積疲労損傷比を効率的に算出できる。
本実施形態の第8態様に係る鋼床版の疲労評価方法は、第5態様において、鋼床版は、デッキプレートと、デッキプレートの下面に接合され、第1方向に延びる横板と、第1方向に直交する第2方向に延び、横板を第2方向に貫通するようにデッキプレートの下面に接合された縦板と、横板と縦板とを接合する溶接部とを備え、着目点は、溶接部の止端部の点である。
この構成によれば、溶接部の止端部の点を着目点とした場合の影響線を容易かつ効率的に算出できる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態に記載の手法は、有限要素解析に用いる要素の種類(ソリッド、シェル等)や、応力の成分に制限なく用いることができる。
上記実施形態に記載の手法は、荷重モデルによらない、単位荷重に対する応力影響面が算出できるため、任意の荷重モデルに対する応答を求めることが可能である。
上記実施形態に記載の手法は、橋梁の種別(新設橋梁、既設橋梁、改築橋梁(床版取り換え等)、道路橋、鉄道橋)は問わずに用いることができる。
10 デッキプレート
20 主桁
30 横リブ
40 縦リブ
50 溶接部
100 有限要素モデル

Claims (8)

  1. コンピュータが、
    有限要素モデルの着目点における任意の応力に対応した荷重を相反定理に基づき、前記有限要素モデルの前記着目点に対応する複数位置に設定する荷重設定ステップと、
    前記荷重が設定された前記有限要素モデルについて、有限要素解析を行うことで、単位荷重に対する前記着目点の任意の応力の応力影響線を算出する影響線算出ステップと
    行う応力影響線の算出方法。
  2. 前記有限要素モデルは、鋼床版の有限要素モデルが用いられる
    請求項1に記載の応力影響線の算出方法。
  3. 前記有限要素モデルは、平面応力モデルが用いられる
    請求項1に記載の応力影響線の算出方法。
  4. 前記有限要素モデルは、3次元有限要素モデルが用いられる
    請求項1に記載の応力影響線の算出方法。
  5. コンピュータが、
    鋼床版の前記有限要素モデルを生成するステップと、
    生成した前記有限要素モデルの着目点を設定するステップと、
    前記着目点を設定した前記有限要素モデルについて、請求項1に記載の応力影響線の算出方法により、単位荷重に対する前記着目点の補正した構造ホットスポット応力の応力影響線を算出するステップと、
    算出した前記応力影響線に基づいて、前記有限要素モデルの前記着目点に発生する応力波形を生成するステップと、
    生成した前記応力波形に基づいて、前記着目点の疲労を算出するステップと
    行う鋼床版の疲労評価方法。
  6. 前記応力波形を生成するステップでは、前記鋼床版を走行する車両について、車両モデル、車両重量及び前記有限要素モデルにおける車両走行位置の設定を行い、前記車両走行位置の設定に基づいて前記応力波形を生成する
    請求項5に記載の鋼床版の疲労評価方法。
  7. 前記着目点の疲労を算出するステップでは、生成した前記応力波形に基づいて、前記着目点についての応力範囲頻度分布を算出し、算出された応力範囲頻度分布に基づいて、前記着目点の累積疲労損傷比を算出する
    請求項5に記載の鋼床版の疲労評価方法。
  8. 前記鋼床版は、
    デッキプレートと、
    前記デッキプレートの下面に接合され、第1方向に延びる横板と、
    前記第1方向に直交する第2方向に延び、前記横板を前記第2方向に貫通するように前記デッキプレートの下面に接合された縦板と、
    前記横板と前記縦板とを接合する溶接部と
    を備え、
    前記着目点は、前記溶接部の止端部の点である
    請求項5に記載の鋼床版の疲労評価方法。
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