JP2007163384A - 疲労損傷評価装置および疲労損傷評価方法 - Google Patents

疲労損傷評価装置および疲労損傷評価方法 Download PDF

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章秀 畑中
Akira Oki
昭 大木
Ryohei Matsuda
良平 松田
Hiroyoshi Tachikawa
博啓 立川
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Abstract

【課題】構造物の疲労損傷の診断を容易に行うことができる、疲労損傷評価装置を提供する。
【解決手段】構造物の所定の測定部位に取付けられ、疲労損傷評価を行う疲労損傷評価装置10は、測定部位の加速度データを1日分計測する加速度計21と、加速度計21の計測した変位データに基づいて、卓越振動数および日最大加速度範囲を検出し、卓越振動数および日最大加速度範囲に基づいて、応力範囲の頻度分布を推定し、推定された応力範囲の頻度分布に基づいて、構造物の疲労損傷評価を行うデータ処理部24とを含み、これらの要素が全て一体化されている。
【選択図】図4

Description

この発明は、高架橋に設置された付属構造物等、主として交通振動に曝される構造物の疲労損傷評価装置および疲労損傷評価方法に関し、特に、容易に測定が可能な疲労損傷評価装置および疲労損傷評価方法に関する。
照明柱、標識柱および監視カメラ柱などの高架道路に設置された付属構造物は高架橋上を走行する大型車両の影響により大きく振動することが知られている。特に、高架橋の固有振動数と付属構造物の固有振動数が近い場合、共振により大きな揺れとなり、その揺れが原因となって疲労損傷を起こすケースがある。
このように常に振動に曝される構造物に対しては、疲労寿命を適切に評価し、補修あるいは取り替え等の維持管理を行っていく必要がある。構造物の疲労寿命を推定する方法として,構造物本体にひずみゲージを貼り付けて、ヒストグラムレコーダーによりレインフロー法等で応力頻度を算定して、その応力頻度を用いて疲労寿命あるいは残存寿命等の評価を行うのが一般的である。
ひずみゲージを用いた応力頻度計測は、直接的で最も精度が高く、信頼性も高い方法であると考えられるが、ひずみゲージを標識柱に設置するためには、高所作業車を利用した手作業が必要となり、さらに、リード線の配線および計測小屋の設置など、かなりの労力と費用を要することになる。また、ゲージの貼り付け作業には、グラインダーによる塗膜除去およびゲージ貼り付け後の配線や防水処理など、比較的時間を要する作業を伴う。
公道にて作業を行う場合、車線規制により一般交通を長時間遮断する必要があり、社会的な経済損失も少なくない。特に、高速道路の場合、昼間での長時間の車線規制ができないために、夜間作業にて上述の配線作業を行うなど、即応性に欠ける対応にならざるを得ないのが現状である。
上記に示す計測により疲労寿命を評価する場合、比較的長期に亘る計測を行うことが一般的である。対象とする付属構造物(標識柱や照明柱)は非常に数が多いために、そのような長期計測を複数の構造物に対して実施することは労力やコスト面で現実的な方法とは言い難い。
以上のような方法に対して、高架橋に設置された付属構造物等の、交通振動に曝される構造物の簡易な疲労損傷評価方法が、たとえば、特開2004−12776号公報(特許文献1)に記載されている。同公報によれば、振動環境下にある被診断構造物の被診断部位又はそれと一体に変位する当該若しくは他の構造物の部位からなる第1部位と、この第1部位に対し相対変位する当該被診断構造物の第2部位とに振動計測器をそれぞれ設け、これらの振動計測器によって上記各部位の変位の大きさごとの発生回数を示す変位データを1週間以上の所定期間にわたって採取する。その後、上記第1部位の変位データによって上記第2部位の変位データを第1部位に対する相対変位データに修正するとともに、この相対変位データに基づいて被診断部位の疲労診断を行なっている。
特開2004−12776号公報(段落番号0006等)
従来の構造物の疲労損傷の診断は上記のように行われていた。構造物の疲労損傷の診断を行う場合には、構造物の2箇所に計測器をおいて、1週間〜2ヶ月以上の長期に亘って振動を計測する必要があった。したがって、個々の計測器自体が大型になるとともに、2箇所に設けた計測器によって計測されたデータは、別に設けられたパーソナルコンピュータのような解析装置に接続して解析する必要があり、そのための時間が必要で、計測後直ちに疲労損傷の有無がわからないという問題もあった。
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、構造物の疲労損傷の診断を短時間で、且つ小型の装置を用いて行うことができる、疲労損傷評価装置および方法を提供することを目的とする。
この発明の他の目的は、計測後直ちに疲労損傷の有無がわかる、疲労損傷評価装置および方法を提供することである。
この発明にかかる、構造物の所定の測定部位に取付けられ、疲労損傷評価を行う疲労損傷評価装置は、測定部位の加速度データを、1日分計測するデータ計測手段と、データ計測手段の計測した加速度データに基づいて、卓越振動数を検出する卓越振動数検出手段と、データ計測手段の計測した加速度データに基づいて、日最大加速度振幅範囲とを検出する加速度振幅範囲検出手段と、卓越振動数検出手段および加速度振幅範囲検出手段が検出した卓越振動数および日最大加速度振幅範囲とに基づいて、前記構造物の応力範囲の頻度分布を推定する推定手段と、推定手段によって推定された応力範囲の頻度分布に基づいて、構造物の特定の箇所における疲労損傷評価を行う評価手段とを含む。
測定部位の加速度データを1日分計測し、その中から卓越振動数と、日最大加速度振幅範囲とを検出し、それらに基づいて、応力範囲の頻度分布を推定し、推定された応力範囲の頻度分布に基づいて、構造物の疲労損傷評価を行うため、1日分という少ないデータのみで構造物の疲労損傷評価が可能になる。
その結果、小型の装置を用いてしかも短時間で、構造物の疲労損傷の診断を行うことができる疲労損傷評価装置を提供できる。
好ましくは、データ計測手段と、卓越振動数計測手段と、加速度振幅範囲検出手段と、推定手段と、評価手段とを収納する筐体と、筐体を構造物の所定の測定部位に取付ける取付け部材とを含む。
疲労損傷評価に必要な全ての要素が1つの筐体に含まれ、それを構造物の所定の位置に取付けるだけで構造物の疲労損傷評価が可能であるため、容易に構造物の疲労損傷評価が可能であるとともに、計測後直ちに疲労損傷の有無がわかる、疲労損傷評価装置を提供できる。
さらに好ましくは、推定手段は、応力範囲の頻度分布の確率分布として、指数分布を推定する。
この発明の他の局面においては、構造物の所定部位の疲労損傷評価を行う疲労損傷評価方法は、所定部位に影響を及ぼす測定部位の加速度データを、1日分計測するステップと、計測した加速度データに基づいて、卓越振動数と、日最大加速度振幅範囲とを検出するステップと、卓越振動数および日最大加速度振幅範囲とに基づいて、応力範囲の頻度分布を推定するステップと、推定された応力範囲の頻度分布に基づいて、構造物の前記所定部位の疲労損傷評価を行うステップとを含む。
好ましくは、上記疲労損傷評価方法を自動的に実行する、一体化された疲労損傷評価装置を準備するステップと、疲労損傷評価装置を構造物の有意な振動を計測することが可能な位置に取付けるステップとを含む。
この発明のさらに他の局面においては、構造物の所定の測定部位に取付けられ、疲労損傷評価を行う疲労損傷評価装置は、測定部位の変位データを1日分計測するデータ計測手段と、データ計測手段の計測したデータに基づいて、卓越振動数を検出する卓越振動数検出手段と、データ計測手段の計測した加速度データに基づいて、日最大加速度振幅範囲とを検出する加速度振幅範囲検出手段と、卓越振動数検出手段および加速度振幅範囲検出手段が検出した卓越振動数および日最大加速度振幅範囲とに基づいて、応力範囲の頻度分布を推定する推定手段と、推定手段によって推定された応力範囲の頻度分布に基づいて、構造物の疲労損傷評価を行う評価手段とを含む。
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る疲労損傷評価装置について説明する。図1は、この発明の一実施の形態にかかる疲労損傷評価装置によって評価が行なわれる構造物と、その構造物に振動を与える要素等を示す図である。
図1を参照して、ここでは、構造物として両端部において支承32a,32bによって支持された高架橋31およびその高架橋31に設置された照明柱33を示している。まず、車両34の矢印a方向への走行に伴う図中矢印bで示す方向への振動により、車両と橋梁本体との連成振動が生じる.橋梁本体の振動により、橋梁部材の疲労損傷に加えて、低周波空気振動や、支承32a,32bを介した地盤振動の伝播などの周辺環境への影響を引き起こす。さらに、高架橋31に設置された照明柱33等も、桁の振動に誘起された強制振動(図中矢印cで示す)が生じ、共振した場合には振動振幅が大きく、疲労損傷等の問題が生じる。
ここで、振動モードについて説明する。振動モードとは、柱が振動する時の変形形状のことをいう。図1に示す照明柱33では、柱の先端部分が大きく揺れているが、柱の中間地点が大きく揺れたり、柱がねじれたり、というように、色々な振動モードが存在する。しかしながら、実際には照明柱33のような柱が高架橋31の振動と共振するような場合は、このように色々な振動モードが等しく現れるのではなく、ある卓越した振動モードで揺れる。このような、測定対象物に特有の振動パターンのことを卓越振動モードという。
次に、この発明において、1日分の加速度データを被測定物の所定の1箇所に取付けて計測するだけで、構造物の疲労損傷評価ができる理由について説明する。図1に示した、高架橋31に設けられた照明柱33のような構造物においては、高架橋における交通量は、土曜日や日曜日のような週末を除くと、ほぼ同じ確率特性を有する荷重を繰り返し受けることとなる。したがって、このような構造物においては、日単位の応力頻度がわかれば、概ね疲労損傷度を評価できると考えられる。また、被測定物の主たる振動モードによっては、被測定物の取付け部の影響は少ないと考えられるとともに、もともと評価する疲労損傷自体、ある程度の誤差を含むことから、それほど精度良く算定できるものではなく、数値そのものよりも、複数の構造物の相対比較を行なうという考えであれば、簡易な測定でも問題はない。この発明の発明者は、これらの点に着目して、以下に説明する発明を行なった。
図2は上記のような状態に曝される照明柱等の構造物の疲労損傷評価を行なう、疲労損傷評価装置の外観を示す図である。図2を参照して、疲労損傷評価装置10は、縦×横×高さ=160mm×120mm×90mmの直方体形状の筐体に以下に説明する全ての要素が含まれている。
疲労損傷評価装置10は、本体部11と、本体部11に対して図中矢印で示すように開閉可能な蓋部12とを有し、本体部11の下端部には、構造物の任意の位置に取付けるための4つの取付け部13が設けられている。取付け部13には孔が設けられており、この孔にボルト等を通して図示のない構造物に取付ける。これ以外に、可撓性のあるバンドや磁石を用いて測定箇所に取付けてもよい。
このように、簡単に測定対象物に取付けが可能であるため、公共道路等においても、交通規制をほとんどすることなく、疲労損傷評価装置10を測定対象物に取付け可能である。
図3は、図2において蓋部12を開いた状態の本体部11の平面図である。図3に示すように、本体部11の表面には、任意の情報を表示可能な液晶表示部15と、疲労損傷評価装置10を作動するための電源スイッチ16と、表示の切り換えを行うための表示切り換えスイッチ17と、疲労損傷評価装置10に所望の動作を実行させるための複数のキー18とが設けられている。表示切り換えスイッチ17は、MEAS(液晶表示部への表示が消え、連続計測を実施する)モードと、Standby(現在の計測値をリアルタイムに液晶表示部に表示する)モードとのいずれかに測定モードを切り換える。図2および図3に示すように、疲労損傷評価装置10は一体化されており、構造物に装置を取付けるだけで計測からデータの記録、疲労損傷の程度の判断までが可能である。
図4は、図3に示した疲労損傷評価装置10の構成を示すブロック図である。図4を参照して、疲労損傷評価装置10は、X軸、Y軸およびZ軸の3軸の加速度を検出可能な加速度センサ21(データ計測手段)と、加速度センサ21からの出力を増幅する増幅回路22と、増幅回路で増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器23と、AD変換器23で変換されたデジタル信号を処理するデータ処理部24と、データ処理部24で処理されたデータを格納するためのフラッシュカード25と、処理されたデータを表示するための液晶表示部15と、疲労損傷評価装置全体を駆動するための電源26と、疲労損傷評価装置のオンオフを行なう電源スイッチ16とを含む。
ここで、加速度センサ21は、図1に示した照明柱33の柱部に設置する場合は水平2方向における加速度を主に測定するが、取付け箇所によっては、3軸方向の計測も可能である。
次に、データ処理部24の行なう動作について説明する。ここでは、図1に示すような高架橋31に設置される標識柱あるいは照明柱33の振動を測定するために、これらの柱に疲労損傷評価装置10を取付けた場合について説明する。なお、疲労損傷評価装置10を標識柱のような構造物に取付けるときは、その構造物の有意な振動を計測することが可能な位置に取付ける。ここで、有意な振動を計測することが可能な位置とは、卓越振動モードのモード振幅が最大となる最も大きな加速度が検出できる位置をいう。
図5は、データ処理部24が行なう処理内容を示すフローチャートである。図5を参照して、まず、加速度計21を用いて、1日分の照明柱の加速度データを計測し、それを基に、卓越振動数f(卓越振動モードが持つ固有振動数)と、日最大加速度振幅範囲ΔAccmaxとを検出する(S11)。したがって、データ処理部24は、卓越振動数検出手段および加速度振幅範囲検出手段として機能する。
ここで、卓越振動モードとは、上記したように、測定対象物に特有の振動パターンのことをいい、ここでは、先端部が大きく振動する振動モードのことであり、卓越振動モードが持つ固有振動数とは、その振幅モードで振動する測定対象物の固有振動数である。また、日最大加速度振幅範囲ΔAccmaxは、1日の加速度変動の倍振幅値を意味する。なお、片振幅の場合は、単に日最大加速度振幅と表現する。
なお、公知のレインフロー法等のプログラムを組み込めば、疲労損傷評価装置10から加速度あるいは変位の頻度分布を算定することができる。この頻度分布を基に、疲労寿命解析を行なうことができる。しかし、ここではあくまでも手計算でも疲労寿命解析が行えることを念頭において、上述の2つのパラメータを検出する。
次に、検出された卓越振動数fと日最大加速度振幅範囲ΔAccmaxを用いて応力範囲の頻度分布(応力範囲の生起確率密度関数)を推定する(S12)。したがって、データ処理部24は、推定手段として機能する。
日本鋼構造協会編「鋼構造物の疲労設計指針・同解説」によると、道路橋の場合、応力範囲の頻度分布は指数関数に従うとされており、ここでは、振動計測から得られている情報を用いることができることと、計算が簡略化されること等を考慮して、式(1)で示される指数分布を適用する。
Figure 2007163384
ここに、Δσmax:最大応力範囲、T:評価時間(ここでは24時間)である。
また、ここで、入力パラメータとしては、次のとおりである。
振動発生回数:N=T×f
=3600秒×24時間=86,400秒
日最大応力範囲:Δσmax=β×Δηmax
β:疲労損傷評価装置を設置するポイントの単位モード変位(倍振幅で1cm)に対する応力範囲であり、3次元骨組み解析により予め算定しておく
Δηmax:日最大変位振幅範囲
ここで、Δηmaxについては、次のようにして求める。図6はある構造物の加速度波形からレインフロー法により加速度振幅範囲(24時間計測結果)を算定した例である。図中の直線は指数分布により回帰曲線を示したものであるが、概ね指数分布で近似できることがわかる。この図から日最大加速度振幅範囲ΔAccmax(累積頻度n=1に相当する値)を得ることができるが、卓越振動数fも同時計測するので、日最大変位振幅範囲ΔηmaxもΔηmax=ΔAccmax/(2πfにより概略計算可能である。
すなわち、Δσmax=β×ΔAccmax/(2πfにより最大応力範囲を計算できる。
指数分布の入力パラメータの一つに評価時間内の最大応力範囲Δσmaxがあるが、予め3次元骨組解析あるいは有限要素解析等により変位振幅範囲Δηと応力範囲Δσの関係を把握することで日最大変位振幅範囲Δηmaxから推定することができる。
照明柱と、対象とした有限要素解析モデルと解析例を図7および図8に示す。図7に照明柱の概念図を示す。図7を参照して、照明柱のポール本体は板厚4.5mmの鋼管で構成され、ヤング率、ポアソン比、質量密度および総質量は、それぞれ、21000kg/mm、0.3、7.85×10−6kg/mm、140kgであり、その先端部に14kgの照明器具が取付けられているものとする。
図8のΔηは疲労損傷評価装置10の取付け位置における変位であり、Δσは疲労照査部位(例えば、支柱基部のリブの先端部分など)の応力を示している。強制変位を与えたときのΔηとそのときのΔσの関係をこのような解析により求めておけば、現地の振動計測データから応力を算定することができる。
なお、実構造物は複数の振動モードが励起されて振動するために、厳密には、ΔηからΔσへの変換に際しては、励起される振動モードごとの寄与率とその寄与率に応じた応力の重ね合わせを行なう必要がある。しかし、ここで想定している高架橋に設置される付属構造物の場合、高架橋自身が交通振動によりある固有振動数で振動することから、付属構造物もその固有振動近傍の振動モードによる変形状態を考慮して、ΔηとΔσの関係式を求めればよい。
当然、他の振動モードによる寄与を無視しているために、後述する疲労寿命解析において誤差が生じることになる。この点については、例えば、調査対象の構造物のうち、数箇所について詳細な調査を行い、他の振動モード寄与による影響等を補正する係数を算定することで対処できる。なお、これは、図5のS13で示したεに対応する。
以上から、応力範囲の頻度分布が確定できれば、マイナー則に従い、式(2)および式(3)により構造物の疲労寿命(疲労損傷評価)を推定することができる(S13)。したがって、データ処理部24は、評価手段として機能する。
その後、同種、同形式の構造物に対する点検を実施し、それに基づいてデータベースを構築し、疲労寿命解析の精度の確認を行なう(S14)。なお、このデータベースは、疲労損傷評価装置10とは別のパソコン等に設けても良い。
Figure 2007163384
ここで、γは累積疲労損傷度を、Tは疲労寿命を、εは補正係数を表わす。Δσは、日本構造協会(JSSC)の疲労設計曲線から決定する。
また、応力頻度の確率分布を指数分布と仮定しているので、累積疲労損傷度は式(4)のような解析解を与えることができ、電卓を用いる程度の簡易な計算で求められる。
なお、式(4)は、森口繁一ほか著「岩波 数学公式I 微分積分・平面曲線」(岩波書店),第IV編 初等超函数の不定積分に基づいて計算したものである。
図9は、疲労寿命の算定例を数値解(式(2)の数値積分)と解析解(式(4))について示した図である。図9を参照して、数値解と解析解とは良く一致していることがわかる。
もしも、ΔσとΔηの関係式から、図9の横軸を日最大変位振幅範囲Δηmaxで表記しておけば、以後は同種・同形式の標識柱に対してΔηmaxを計算すれば、疲労損傷度を概ね把握することができる。調査対象の構造物のうち、数箇所について詳細な調査を行ない、ここで提案する簡易手法との整合性を確認しておけば、後はデータベースを分析して、例えば、損傷度合いに応じて、維持管理の度合いや頻度に優劣を付けることも維持管理の効率化や低コスト化に寄与する。
以上のように、この発明によれば、疲労損傷評価装置を測定対象物に取付けて、1日分加速度データを採るだけで、測定対象物の疲労損傷を評価できるため、低コストで、非常に簡単に、しかも短時間で測定対象物の疲労損傷を評価できる。
また、1日分のデータを採取するだけで良いため、疲労損傷評価装置10を駆動するバッテリを小型化でき、その結果、装置のさらなる小型化が可能になり、測定が容易になる。
なお、上記実施の形態においては、データ処理部24によって自動的にデータ収録から解析まで一連の計算を行う場合について説明したが、これに限らず、計測データの時系列そのものを保存しておけば、オフラインで、すなわち疲労損傷評価装置10ではデータ収録までを行い、そのデータを別のパソコンで解析してもよい。
なお、上記実施の形態においては、加速度計を用いて卓越振動数と日最大加速度振幅範囲とから変位の最大値を求め、それを予め求められた、変位と応力との関係式を用いて最大応力範囲を求めたが、これに限らず、変位計を用いて、1日の変位の最大値を求め、それと、予め求められた変位と応力との関係式を用いて応力範囲分布を求めてもよい。
この場合、加速度計を用いて加速度を計測し、計測された加速度を2回積分回路用いて加速度を変位に変換した変位データを得てもよい。
また、上記実施の形態においては、卓越振動パターンとして、先端部の振幅が大きい構造物の例をあげて説明したが、これに限らず、計測対象物によっては、卓越振動パターンは異なる。そのような場合の他の例を図10に示す。図10を参照して、ここでは、標識柱35の先端部35aに片持ち梁状に設けられた梁先端部36を示している。梁先端部36は、ここでは鉛直方向に振動し、これが卓越振動パターンとなる。このような、異なる卓越振動パターンに応じて計測部位の変位Δηと疲労損傷評価部位Δσの関係を解析により求めておけば同じ疲労損傷評価装置を用いて同様に疲労損傷を評価することができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明の一実施の形態に係る疲労損傷評価装置が適用される構造物と、その構造物が受ける振動等を示す図である。 疲労損傷評価装置の外観を示す図である。 疲労損傷評価装置の要部を示す平面図である。 疲労損傷評価装置の要部を示すブロック図である。 データ処理部の行なう動作を示すフローチャートである。 加速度振幅範囲が指数分布と整合している状態を示す図である。 照明柱の振動解析モデルである。 照明柱の変形計算例を示す図である。 解析解と数値解とによる疲労寿命の算定例を示す図である。 卓越振動モードの他の例を示す図である。
符号の説明
10 疲労損傷評価装置、11 本体部、12 蓋部、13 取付け部、16 電源スイッチ、21 加速度センサ、22 増幅回路、23 AD変換器、24 データ処理部、25 フラッシュカード、26 電源、31 高架橋、32 支承、33 照明柱 35 標識柱。

Claims (6)

  1. 構造物の所定の測定部位に取り付けられ、疲労損傷評価を行う疲労損傷評価装置であって、
    前記測定部位の加速度データを、1日分計測するデータ計測手段と、
    前記データ計測手段の計測した加速度データに基づいて、卓越振動数を検出する卓越振動数検出手段と、
    前記データ計測手段の計測した加速度データに基づいて、日最大加速度振幅範囲とを検出する加速度振幅範囲検出手段と、
    前記卓越振動数検出手段および前記加速度振幅範囲検出手段が検出した卓越振動数および日最大加速度振幅範囲とに基づいて、前記構造物の応力範囲の頻度分布を推定する推定手段と、
    前記推定手段によって推定された応力範囲の頻度分布に基づいて、前記構造物の特定の箇所における疲労損傷評価を行う評価手段とを含む、疲労損傷評価装置。
  2. 前記データ計測手段と、前記最大振幅範囲検出手段と、前記推定手段と、前記評価手段推定手段とを収納する筐体と、
    前記筐体を前記構造物の所定の測定部位に取り付ける取付け部材とを含む、請求項1に記載の疲労損傷評価装置。
  3. 前記推定手段は、前記応力範囲の頻度分布の確率分布として、指数分布を推定する、請求項1または2に記載の疲労損傷評価装置。
  4. 構造物の所定部位の疲労損傷評価を行う疲労損傷評価方法であって、
    前記所定部位に影響を及ぼす測定部位の加速度データを、1日分計測するステップと、
    計測した加速度データに基づいて、卓越振動数と、日最大加速度振幅範囲とを検出するステップと、
    卓越振動数および日最大加速度振幅範囲とに基づいて、応力範囲の頻度分布を推定するステップと、
    推定された応力範囲の頻度分布に基づいて、構造物の前記所定部位の疲労損傷評価を行うステップとを含む、疲労損傷評価方法。
  5. 請求項4に記載された疲労損傷評価方法を自動的に実行する、一体化された疲労損傷評価装置を準備するステップと、
    前記疲労損傷評価装置を前記構造物の有意な振動を計測することが可能な位置に取り付けるステップとを含む、疲労損傷評価方法。
  6. 構造物の所定の測定部位に取り付けられ、疲労損傷評価を行う疲労損傷評価装置であって、
    前記測定部位の変位データを、1日分計測するデータ計測手段と、
    前記データ計測手段の計測したデータに基づいて、卓越振動数を検出する卓越振動数検出手段と、
    前記データ計測手段の計測した加速度データに基づいて、日最大加速度振幅範囲とを検出する加速度振幅範囲検出手段と、
    前記卓越振動数検出手段および前記加速度振幅範囲検出手段が検出した卓越振動数および日最大加速度振幅範囲とに基づいて、応力範囲の頻度分布を推定する推定手段と、
    前記推定手段によって推定された応力範囲の頻度分布に基づいて、前記構造物の疲労損傷評価を行う評価手段とを含む、疲労損傷評価装置。
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