JP3569899B2 - 橋梁の損傷推定システムおよびプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震発生直後に、その地震によって橋梁に生じた損傷の位置および程度を推定するための橋梁の損傷推定システムに関し、さらに、橋梁の損傷推定システムを構成するコンピュータを制御するための橋梁の損傷推定プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一定規模以上の地震が発生した場合には、構造物の健全度を検査している。例えば、道路橋や鉄道橋であれば、通行止めを実施したうえで、車両の通行に支障をきたすような損傷の有無を検査している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本来ならば、全ての橋桁・橋脚について詳細に検査するのが望ましいが、検査対象となる橋桁・橋脚が非常に多く、それらすべてについて詳細に検査すると多大な時間を要し、通行止めも長期間に及んでしまう。このため、監視員が自動車で巡回しつつ、適宜、目視によって簡易に検査しているのが実情であるが、橋桁の裏側や支承にまで検査が及ばないことも多く、また、地中に埋設されている基礎については、目視で検査することが不可能であることから、有害な損傷を見落とす恐れがある。
【0004】
また、設計時に行なわれる動的応答解析の結果から、構造物の損傷位置や損傷程度を予測しておくことも考えられるが、構造解析モデルに使用される剛性、質量、減衰定数などの物性値は、あくまでも設計上のものであり、入力波として用いられる模擬地震波や設計用地震波についても、その最大値や周波数特性が調節されているため、実際の地震によって構造物が損傷する位置およびその程度を推定する手段としては、必ずしも精度が高いものとはいえない。
【0005】
以上のような背景の中、近年では、地震によって構造物に生じた損傷の位置およびその程度を迅速にかつ的確に把握しうる検査体制の構築が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、このような検査体制を構築すべく、地震によって橋梁に生じた損傷の位置およびその程度を高い精度で推定できる橋梁の損傷推定システムを提供することを課題とし、さらに、このような橋梁の損傷推定システムを構成するコンピュータを制御するための橋梁の損傷推定プログラムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、地震発生直後に、その地震によって複数の橋脚を有する橋梁に生じた損傷の位置と程度とを推定するための構造物の損傷推定システムであって、前記橋脚の近傍に設置され、前記橋脚に入力される入力地震波を計測する地震計と、当該地震計で計測された入力地震波から前記地震計が設置されていない橋脚における入力地震波を計算する地震波補間手段と、前記橋梁に対応した構造解析モデルを予め記憶しておく構造解析モデル記憶手段と、前記地震計によって計測された入力地震波および前記地震波補間手段によって計算された入力地震波を前記構造解析モデルに入力するとともに、前記構造解析モデルを構成する構造要素の前記入力地震波に対する応答値を算定する解析手段と、応答値の大きさと前記橋梁を構成する部材の損傷度合との関係が規定されたデータテーブルを予め記憶しておくデータテーブル記憶手段と、前記解析手段によって算定された応答値に対応する損傷度合を、前記データテーブルから検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された損傷度合を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
かかる橋梁の損傷推定システムによると、損傷を推定すべき橋梁に対応する構造解析モデルと、応答値の大きさと橋梁を構成する部材の損傷度合との関係を規定するデータテーブルとを予め作成しておくとともに、橋梁の近傍に設置された地震計により計測された入力地震波を用いて動的応答解析を行うので、地震発生直後に、その地震による橋梁の損傷の位置と程度とを迅速に、かつ、精度よく推定することができる。そして、橋梁が損傷していると推定された位置を重点的に検査することで、信頼性の高い検査を効率よく行うことができる。なお、応答値と損傷度合との関係は、例えば、各部材の許容応力値や終局状態における応力値などを基に規定される。また、構造解析モデルの構造要素とは、橋梁をモデル化するための要素であって、例えば、シェル要素、ソリッド要素、梁要素、バネ要素などである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の橋梁の損傷推定システムであって、前記構造解析モデルを構成する構造要素の剛性、質量および減衰定数の少なくとも一つは、前記橋梁の実測された動的応答特性に基づいて設定されることを特徴とする。
【0010】
かかる橋梁の損傷推定システムによると、構造解析モデルの剛性、質量および減衰定数の少なくとも一つは、橋梁で実測された動的応答特性をもとに設定されるので、損傷の位置およびその程度の推定精度が向上する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の橋梁の損傷推定システムであって、前記橋梁上に設置され、入力地震波に対する応答地震波を計測する応答地震計と、前記解析手段によって算定された応答地震波が、前記応答地震計によって計測された応答地震波と等しくなるように前記構造解析モデルを構成する構造要素の剛性、質量および減衰定数の少なくとも一つを補正する補正手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
かかる橋梁の損傷推定システムによると、地震後に、橋梁の動的応答特性と構造解析モデルの動的応答特性との間に差異が生じた場合であっても、これらが等しくなるように、構造解析モデルの剛性、質量および減衰定数の少なくともひとつが補正されるので、精度の高い解析を行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、地震発生直後に、その地震によって複数の橋脚を有する橋梁に生じた損傷の位置と程度とを推定するために、コンピュータに、構造解析モデルが予め記憶された構造解析モデル記憶手段から、前記橋梁に対応した構造解析モデルを読み出す手順と、前記橋脚の近傍に設置された地震計で計測された入力地震波から前記地震計が設置されていない橋脚における入力地震波を計算する手順と、前記構造解析モデルと前記地震計で計測した入力地震波と計算された入力地震波とから、前記構造解析モデルを構成する構造要素の前記入力地震波に対する応答値を算定する手順と、応答値の大きさと前記橋梁を構成する部材の損傷度合との関係が規定されたデータテーブルから、前記解析手段によって算定された応答値に対応する損傷度合を検索する手順と、前記検索手段によって検索された損傷度合を表示手段に表示する手順と、を実行させるための橋梁の損傷推定プログラムである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、構造物を橋梁と想定して、本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る橋梁の損傷推定システムを示す概略構成図である。損傷推定システムは、地震発生直後に、複数の橋梁K1,K2,K3,・・・Kn(橋梁K)の地震による損傷の位置および程度を同時に推定するもので、データベースDと、コンピュータC1,C2,C3,・・・,Cn(コンピュータC)と、橋梁K1,K2,K3,・・・,Knのそれぞれの近傍に設置された地震計J1,J2,J3,・・・,Jn(地震計J)と、橋梁K1,K2,K3,・・・,Kn上のそれぞれに設置された応答地震計R1,R2,R3,・・・,Rn(応答地震計R)と、から構築されている。
【0016】
データベースDは、構造解析モデルM1,M2,M3,・・・,Mn(構造解析モデルM)を格納し、コンピュータCとアクセス可能に接続されている。また、構造解析モデルM1は、橋梁K1をモデル化したものであり、同様に、構造解析モデルM2,M3,・・・,Knは、それぞれ橋梁K2,K3,・・・,Knをモデル化したものである。なお、本実施形態では、データベースDが構造解析モデル記憶手段に相当する。
【0017】
構造解析モデルMは、通常の耐震設計に用いられる三次元骨組モデルや三次元有限要素モデルである。例えば、図5(b)に示す構造解析モデルMは、三次元骨組モデルであり、図5(a)に示す橋梁Kを梁要素と質点でモデル化したものである。また、構造解析モデルMの梁要素の剛性(弾性係数)、質量、減衰定数など(以下、物性値と総称する)は、橋梁Kを設計した際に用いたものでもよいが、解析精度をより向上させるために、橋梁Kの実測された動的応答特性に適合するように予め補正したものであってもよい。具体的には、例えば、図6(a)(b)に示すように、常時微動に対する動的応答や加振点102に加えた衝撃に対する動的応答を、橋梁Kの各所に取り付けた加速度計やひずみゲージなどの計測器101により計測し、構造解析モデルMの動的応答特性(固有周期、応答倍率など)が実測により得られた橋梁Kの動的応答特性と等しくなるように、構造解析モデルMの梁要素の物性値を補正する、といった方法がある。また、橋梁Kの損傷を推定するといった観点から、構造解析モデルMの梁要素は、材料の非線形性を考慮したものがよい。
【0018】
図2は、コンピュータCの概略構成図である。コンピュータCは、本実施形態では、ハードディスク装置1、CPU(中央演算処理装置)2、表示手段(ディスプレイ)3、メモリ4、キーボード5などで構成され、バス6により接続されている。
【0019】
ハードディスク装置1は、制御プログラム1a、動的応答解析プログラム1b、検索プログラム1c、地震波補間プログラム1d、補正プログラム1e、データテーブル1fを格納する。また、ハードディスク装置1は、データベースDから読み出された構造解析モデルMを一時的に記憶する記憶手段や地震計Jおよび応答地震計Rによって計測された地震波を一時的に格納しておく地震波記憶手段15(図3参照)としても使用される。
【0020】
制御プログラム1aは、コンピュータCの動作を制御するプログラムである。制御プログラム1aをCPU2で実行させると、動的応答解析プログラム1b、検索プログラム1c、地震波補間プログラム1dおよび補正プログラム1eが起動されるほか、構造解析モデルMのデータベースDからの読み出し、各プログラム間のデータのやり取り、表示手段3の制御などが行われる。また、制御プログラム1aは、地震計Jで計測された地震波や気象情報などから地震の規模が所定の大きさ以上になったと判断されたときに自動的に起動するようにプログラムされたものでもよいし、人間の判断により起動するように設定されたものでもよい。
【0021】
動的応答解析プログラム1bは、CPU2で実行されて解析手段11(図3参照)として機能する。解析手段11は、地震波記憶手段15に格納されている入力地震波を読み出して構造解析モデルMに入力し、動的応答解析により構造解析モデルMを構成する梁要素などの入力地震波に対する応答値Xを算定するものである。なお、動的応答解析は、公知の解析手法を利用することができるが、構造物の損傷を精度よく推定するという観点から、好適には、材料の非線形性を考慮した時刻歴応答解析によるのがよく、さらには、地震時の実際の挙動が再現できるように、3方向の入力地震波を同時に入力しうるものがよい。また、応答値Xは、例えば、応力値やひずみ量などである。
【0022】
検索プログラム1cは、CPU2で実行されて検索手段13(図3参照)として機能する。検索手段13は、解析手段11によって算定された応答値Xに対応する損傷度合Yをデータテーブル1fから検索するものである。
【0023】
地震波補間プログラム1dは、CPU2で実行されて地震波補間手段16(図3参照)として機能する。地震波補間手段16は、地震計Jがない位置における入力地震波を地震計Jで計測された入力地震波から計算によって補間するものである。例えば、図5(a)に示すように、地震計Jが橋脚Pk1,Pk4の近傍にのみ設置されている場合には、地震波補間手段16によって、橋脚Pk2,Pk3における入力地震波が補間される。これにより、構造解析モデルMにおいても、橋梁Kと同様に、その橋脚Pm1,Pm2,Pm3,Pm4から入力地震波を入力することが可能になる。
【0024】
補正プログラム1eは、CPU2で実行されて補正手段14(図3参照)として機能する。補正手段14は、解析手段11によって算定された応答地震波が、応答地震計Rによって計測された応答地震波と等しくなるように構造解析モデルMを構成する梁要素の剛性、質量および減衰定数の少なくとも一つを補正するものである。
【0025】
データテーブル1fは、応答値Xの大きさと橋梁Kを構成する部材の損傷度合Yとの関係を規定するもので、例えば、図7に示すように、応答値Xの大きさと損傷度合Yとの関係が予め規定されている。なお、応答値Xと損傷度合Yとの関係は、例えば、各部材の許容応力値や終局状態における応力値などを基に規定される。また、データテーブル1fは、必ずしもハードディスク装置1に記憶される必要はなく、例えばデータベースDに記憶されていてもよい。
【0026】
地震計Jは、橋梁Kの近傍の地盤上に設置され、入力地震波を計測する。また、応答地震計Rは、橋梁Kの上に設置され、前記の入力地震波に対する応答地震波を計測する。なお、地震計Jおよび応答地震計Rの個数および設置箇所は、図示の実施形態に限定されることはなく、橋梁Kの構造形式や周囲の状況などに応じて適宜変更しても差し支えない。また、図示は省略するが、地震計Jおよび応答地震計Rには、送信装置が備えられ、無線もしくは有線の通信回線を介してコンピュータCと接続されおり、地震が発生すると、地震計Jで計測された入力地震波および応答地震計Rで計測された応答地震波がハードディスク装置1に記憶される。なお、地震計Jおよび応答地震計Rは、3方向(N−S方向、E−W方向、U−D方向)の成分を計測できるものがよい。また、通信回線としては、一般の電話回線のほか、衛星携帯電話回線や専用回線などがある。
【0027】
次に、地震発生直後における損傷推定システムの動作を、図4に示すフローチャートにしたがって説明する。なお、コンピュータC1,C2,C3,・・・,Cnには、予め、解析すべき構造解析モデルM1,M2,M3,・・・,Mnが割り当てられており、以下で説明する動作は、コンピュータC1,C2,C3,・・・,Cnのそれぞれで並列(同時)に実行される。また、地震計Jおよび応答地震計Rによって計測された各地震波は、すでにハードディスク装置1に記憶されているものとする。
【0028】
まず、制御プログラム1aを起動させる。制御プログラム1aが実行されると、データベースDから構造解析モデルMが読み出され、コンピュータC内のハードディスク装置1に記憶される(ステップS1)。また、必要に応じて地震波補間プログラム1dが起動され、地震計Jが設置されていない橋脚Pk2,Pk3における入力地震波が計算される。計算された入力地震波は、構造解析モデルMの橋脚Pm2,Pm3に入力される。
【0029】
次に、動的応答解析プログラム1bが起動され、構造解析モデルMと地震波記憶手段15に記憶された入力地震波とから、所定の解析方法によって入力地震波に対する構造解析モデルMの応答値Xが算出される(ステップS2)。
【0030】
次に、補正プログラム1eが起動され、ステップS2によって算定された応答地震波(解析値)と応答地震計Rによって実測された応答地震波(実測値)とが比較され、構造解析モデルMの物性値を補正するか否かが判断される(ステップS3)。
【0031】
ステップS3によって、構造解析モデルMの物性値の補正を行う必要があると判断された場合(解析値と実測値との差が許容範囲を超える場合)には、補正手段14によって、構造解析モデルMの物性値が補正され(ステップS7)、構造解析モデルMが更新される(ステップS8)。そして、動的応答解析プログラム1bが再び起動され、すなわち、補正された構造解析モデルMの応答地震波が解析手段11により算出される(ステップS2)。なお、構造解析モデルMの物性値の補正は、必要に応じて人間が行ってもよい。
【0032】
一方、ステップS3によって、構造解析モデルMの物性値の補正を行う必要がないと判断された場合(解析値と実測値とが等しい、もしくは、その差が許容範囲以内の場合)には、検索プログラム1cが起動され、データテーブル1fに基づいてステップS2で算出された応答値Xに対応する損傷度合Yが検索される(ステップS4)。例えば、図7に示すように、構造解析モデルMの橋脚Pm2の応答値Xが0.73であれば、橋梁Kの橋脚Pk2の損傷度合Yとして「検査要」が、橋脚Pm4の応答値Xが1.2であれば、橋脚Pk4の損傷度合Yとして「崩壊(大)」がそれぞれ検索される。
【0033】
そして、ステップS4で検索された損傷度合Yが、表示手段3に表示される(ステップS5)。例えば、図8に示すように、橋脚の位置と検査の要、不要あるいは崩壊の規模が一目でわかるように表示される。
【0034】
最後に、データベースDに記憶された構造解析モデルMの物性値を更新するか否かが判断される(ステップS6)。そして、データベースDに記憶された構造解析モデルMの物性値を更新する必要がない場合には、損傷推定システムが終了される。
【0035】
一方、データベースDに記憶された構造解析モデルMの物性値を更新する必要があると判断された場合には、データベースDに記憶された構造解析モデルMの物性値をその動的応答解析解析の終了時点の物性値に更新し(ステップS9)、その後に損傷推定システムが終了される。この場合には、次の地震で動的応答解析を行う場合の構造解析モデルMの物性値の初期値は、動的応答解析解析の終了時点における構造解析モデルMの物性値となる。
【0036】
このように、損傷を推定すべき橋梁Kに対応する構造解析モデルMと、構造解析モデルMの応答値Xと橋梁Kを構成する部材の損傷度合Yとの関係を規定するデータテーブル1fとを予め作成しておくとともに、橋梁Kの近傍に設置された地震計Jにより実際に計測された入力地震波を用いて動的応答解析を行うので、地震発生直後に、その地震による橋梁Kの損傷の位置と程度とを精度よく、かつ、迅速に推定することができる。さらに、コンピュータC1,C2,C3,・・・,Cnに、解析すべき構造解析モデルM1,M2,M3,・・・,Mnを予め割り当て、複数台のコンピュータで並列に処理を行わせることで、各コンピュータの負担が軽減され、解析時間の短縮を図ることもできる。そして、橋梁が損傷していると推定された位置を重点的に検査することで、信頼性の高い検査を効率よく行うことができる。
【0037】
また、解析手段11によって算定された応答地震波(解析値)が応答地震計Rによって実測された応答地震波(実測値)と等しくなるように、構造解析モデルMの物性値を補正することで、橋梁Kの損傷の位置と程度とを精度よく推定することができる。
【0038】
なお、図1に示す実施形態では、1台のコンピュータCにひとつの構造解析モデルM(橋梁K)が割り当てられているが、これに限定されることはなく、1台のコンピュータCに複数の構造解析モデルMが割り当てられていてもよい。これは、コンピュータCの台数および性能と、構造解析モデルM(橋梁K)の個数に応じて、適宜設定すればよい。
【0039】
また、上記の実施形態では、入力地震波を記憶しておく地震波記憶手段15および入力地震波の補間を行う地震波補間手段16などが、コンピュータCによって実現され、すなわち、地震波の記憶と補間、損傷推定結果の表示などがコンピュータごとに行われる場合を例示したが、これに限定されることはなく、例えば、データベースD、検索手段13、地震波記憶手段15、表示手段3などを備えた図示しない制御コンピュータを配置し、コンピュータCに動的応答解析だけを実行させるような構成であってもよい。すなわち、地震計Jおよび応答地震計Rによって計測された地震波の記憶と補間、損傷度合の検索などを制御コンピュータに実行させてもよい。
【0040】
また、上記の実施形態では、ステップS3(図4参照)で構造解析モデルMの物性値を補正するか否かが判断されたが、短時間で損傷箇所および程度を推定する場合には、このような補正を行わず、すなわち、スッテプS3を省略して、ステップS4に進んでもよい。この場合には、例えば、損傷度合を表示(ステップS5)した後に、構造解析モデルMの物性値の補正およびデータベースDの更新を行ってもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、地震発生直後に、その地震による橋梁の損傷の位置と程度とを精度よく、かつ、迅速に推定することができる。そして、橋梁が損傷していると推定された位置を重点的に検査することで、信頼性の高い検査を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る橋梁の損傷推定システムを示す概略構成図である。
【図2】コンピュータの概略構成図である。
【図3】本発明に係る橋梁の損傷推定システムを示す機能ブロック図である。
【図4】橋梁の損傷推定システムの処理を示すフローチャートである。
【図5】(a)(b)構造解析モデルを説明する概略斜視図である。
【図6】(a)は橋梁の動的応答特性を計測するときの計測器の配置を示す概略側面図、(b)は同じく正面図である。
【図7】データテーブルの内容を示す模式図である。
【図8】表示手段に表示される内容の一例を示す模式図である。
Claims (4)
- 地震発生直後に、その地震によって複数の橋脚を有する橋梁に生じた損傷の位置と程度とを推定するための構造物の損傷推定システムであって、
前記橋脚の近傍に設置され、前記橋脚に入力される入力地震波を計測する地震計と、
当該地震計で計測された入力地震波から前記地震計が設置されていない橋脚における入力地震波を計算する地震波補間手段と、
前記橋梁に対応した構造解析モデルを予め記憶しておく構造解析モデル記憶手段と、
前記地震計によって計測された入力地震波および前記地震波補間手段によって計算された入力地震波を前記構造解析モデルに入力するとともに、前記構造解析モデルを構成する構造要素の前記入力地震波に対する応答値を算定する解析手段と、
応答値の大きさと前記橋梁を構成する部材の損傷度合との関係が規定されたデータテーブルを予め記憶しておくデータテーブル記憶手段と、
前記解析手段によって算定された応答値に対応する損傷度合を、前記データテーブルから検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された損傷度合を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする橋梁の損傷推定システム。 - 前記構造解析モデルを構成する構造要素の剛性、質量および減衰定数の少なくとも一つは、
前記橋梁の実測された動的応答特性に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の橋梁の損傷推定システム。 - 前記橋梁上に設置され、入力地震波に対する応答地震波を計測する応答地震計と、
前記解析手段によって算定された応答地震波が、前記応答地震計によって計測された応答地震波と等しくなるように前記構造解析モデルを構成する構造要素の剛性、質量および減衰定数の少なくとも一つを補正する補正手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の橋梁の損傷推定システム。 - 地震発生直後に、その地震によって複数の橋脚を有する橋梁に生じた損傷の位置と程度とを推定するために、
コンピュータに、
構造解析モデルが予め記憶された構造解析モデル記憶手段から、前記橋梁に対応した構造解析モデルを読み出す手順と、
前記橋脚の近傍に設置された地震計で計測された入力地震波から前記地震計が設置されていない橋脚における入力地震波を計算する手順と、
前記構造解析モデルと前記地震計で計測した入力地震波と計算された入力地震波とから、前記構造解析モデルを構成する構造要素の前記入力地震波に対する応答値を算定する手順と、
応答値の大きさと前記橋梁を構成する部材の損傷度合との関係が規定されたデータテーブルから、前記解析手段によって算定された応答値に対応する損傷度合を検索する手順と、
前記検索手段によって検索された損傷度合を表示手段に表示する手順と、を実行させるための橋梁の損傷推定プログラム。
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