JP5424999B2 - 地震被害予測装置およびプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、地震被害予測装置およびプログラムに係り、より詳しくは、地震動による建物の被害状況を予測する地震被害予測装置およびプログラムに関する。
従来、地震動による建物の被害状況を予測する技術として、本出願人による特許文献1には、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成する地震波生成手段と、前記地震波生成手段により生成された複数の地震波を用いた建物モデルによる応答解析によって地震動による前記建物に対する被害程度を予測する予測手段と、を備えた地震被害予測装置が開示されている。
また、本出願人による特許文献2には、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を複数生成する地震波生成手段と、前記地震波生成手段により生成された複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、最大層せん断力および最大層間変形角の少なくとも一方を導出する層間変位導出手段と、前記層間変位導出手段により導出された最大層せん断力および最大層間変形角の少なくとも一方を用いて立体架構モデルによる静的弾塑性解析を行い、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態を導出し、当該損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度を予測する予測手段と、を備えた地震被害予測装置が開示されている。
なお、上記特許文献1および特許文献2に開示されている技術では、建物の価値の評価やリスク評価のための重要な指標であるPML(Probable Maximum Loss、予想最大損失率)値を地震被害の予測結果として導出している。ここで、PML値は、50年間の超過確率10%(再現期間475年)の地震により生じるであろう被害額の90%非超過値を当該建物の再調達価格に対する比で表した値であり、建物の耐震性能を示す指標として広く用いられている。
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に記載の技術では、最終的に立体架構モデルによる静的弾塑性解析により得られた部材毎の損傷状態に基づいて建物の被害程度を予測しているため、近年問題となっている長周期地震動による建物の被害程度を、必ずしも高精度に予測することができるとは限らない、という問題点があった。
すなわち、長周期地震動では、建物に対して変形やエネルギーが繰り返し何度も作用するため、構造材料の疲労を考慮する必要があるが、これは静的弾塑性解析では扱うことができない。
この問題点を解消するためには、立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行えばよいが、これには膨大な演算時間を要してしまう、という新たな問題点が生じる。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、地震動による建物の被害程度を、短時間かつ高精度で予測することができる地震被害予測装置およびプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の地震被害予測装置は、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成する地震波生成手段と、前記地震波生成手段によって生成された複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、予め定められた建物応答指標を示す物理量を導出する物理量導出手段と、前記物理量導出手段によって導出された物理量を予め定められた規則で層別化し、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波を予め定められた基準で選定する地震波選定手段と、前記地震波選定手段によって選定された地震波を用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行い、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態を導出する損傷状態導出手段と、前記損傷状態導出手段によって導出された損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度を予測する予測手段と、を備えている。
ここで、本発明の原理について説明する。
本出願人による上記特許文献1および特許文献2に開示されている技術では、被害程度の予測を高精度で行うためにモンテカルロ・シミュレーションを適用しているが、モンテカルロ・シミュレーションの効率化手法としては種々の手法が提案されており、このなかに層別化法やラテンハイパーキューブ法がある。
上記層別化法はモンテカルロ・シミュレーションで用いるパラメータを層別化して均質にサンプリングすることにより効率化を図る手法であり、ラテンハイパーキューブ法は、層別化法を複数のパラメータに拡張した場合にパラメータの組み合わせによって必要なサンプル数が過大となってしまうことを防止するための手法である。
ここで、上記特許文献1および特許文献2に開示されている技術では、ラテンハイパーキューブ法を用いて効率化することが可能であるが、一部のパラメータで効率が上がらない、という問題がある。
すなわち、層別化法やラテンハイパーキューブ法では、パラメータを均質にとることによって効率化を図っているが、上記特許文献1および特許文献2に開示されている技術で用いているパラメータの1つである地震波の位相は、パラメータとなっている乱数初期値の値を均質にしても結果は均質にはならない。従って、地震波の位相に関しては層別化法の効果が得られず、効率化にも限界がある。
この原因は、地震波の位相を生成するための乱数初期値と予測結果との相関関係がないことにある。
ここで、本発明の発明者は、「構造設計・部材断面事例集」(日本建築防災協会,2007年)記載のS造の制振構造建物を対象に検討を行った。対象建物の概要を表1に、立体架構モデルを図9に各々示す。
この解析モデルでプッシュオーバー解析を行い、その結果から質点系解析モデルを作成した。2つの動的解析モデルのエルセントロ波による応答結果を図10に示す。両者はよく対応していることがわかる。
次に本発明の発明者は、モンテカルロ・シミュレーションを用いた立体架構モデルによる動的弾塑性解析により損失率を算出した。ここでは、位相による効果のみを見るためマグニチュードと材料強度については固定した。入力はGsを簡易に評価した第二種地盤の告示スペクトル(極稀)適合波で位相はランダムとし、1000波生成した。なお、ターゲットスペクトルとの許容誤差は5%とした。損失率の評価は本発明者らによる「三次元動的弾塑性解析を用いた地震予想最大損失率による性能設計の試み」(建築学会大会学術講演梗概集,2009年)に従い、構造部材は塑性率で、外装、間仕切りおよび設備の竪管は最大層間変形角で、天井,床仕上げ、設備の横配管と機器は最大応答加速度で、各々復旧費用を計算した。生成した地震波の応答スペクトルを図11に、損失率の分布を図12に各々示す。
図12に示すように、損失率は最小4.1%、最大14.0%で、平均は7.7%、標準偏差は1.6%であった。1000波はいずれも告示スペクトル適合波であるが、位相により損失率が広く分布することがわかった。各地震波の位相生成乱数初期値と損失率の関係を図13に示す。図13から、位相生成用乱数初期値と損失率の間には関係が無いことがわかる。
次に同じ地震波で質点系解析モデルを用いて応答解析を行い、解析結果と三次元解析で求めた損失率との相関関係を調べた。その結果を表2に示す。
この結果から、損失率は平均最大層間変形角(全層の最大層間変形角の平均値)および平均最大層せん断力との相関が高いことがわかる。なお、平均最大層間変形角と平均最大層せん断力との相関係数は0.992と大きかった。
次に、計算した1000ケースの解析結果の中から100ケースをサンプリングして最大損失率(90%非超過となる損失率)を算出する試行を10,000回実施し、ランダムにサンプリングした場合(図15)と、平均最大層間変形角(図14)を使って層別した場合(図16)とでの最大損失率の分布を比較した。最大損失率の平均値は両者とも9.7%であり、層別による偏りは見られなかった。標準偏差はランダムサンプリングの場合で0.30%、層別サンプリングの場合で0.18%となり、4割減少した。これを同じ精度を得るためのサンプリング数で換算すると、2.8倍となる。
なお、以上の応答解析では、机、椅子等の什器・備品に対する被害を考慮せずに解析を行ったため、最大層間変形角、最大層せん断力、および塑性率の相関係数が比較的高かったが、什器・備品に対する被害を考慮して応答解析を行った場合には、応答加速度や応答速度が大きく影響するため、これらのパラメータにおいても相関係数が高くなることになる。
以上の原理に基づき、請求項1記載の地震被害予測装置では、地震波生成手段により、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波が、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成される。
ここで、本発明では、物理量導出手段により、前記地震波生成手段によって生成された複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析が行われ、予め定められた建物応答指標を示す物理量が導出され、地震波選定手段により、前記物理量導出手段によって導出された物理量が予め定められた規則で層別化され、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波が予め定められた基準で選定される。
そして、本発明では、損傷状態導出手段により、前記地震波選定手段によって選定された地震波を用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析が行われて、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態が導出され、予測手段により、前記損傷状態導出手段によって導出された損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度が予測される。
すなわち、本発明では、質点系モデルによる動的弾塑性解析により、予め定められた建物応答指標を示す物理量を導出し、導出した物理量を予め定められた規則で層別化して、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波を予め定められた基準で選定して、選定した地震波のみを用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行っているため、地震波を選定しないで立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行う場合に比較して、より短時間で建物の被害程度を予測することができる。また、本発明では、立体架構モデルによる動的弾塑性解析により建物に用いられている部材の損傷状態を導出しているため、静的弾塑性解析によって上記損傷状態を導出する場合に比較して、より高精度で建物の被害程度を予測することができる。
このように、請求項1記載の地震被害予測装置によれば、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成し、生成した複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、予め定められた建物応答指標を示す物理量を導出し、導出した物理量を予め定められた規則で層別化し、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波を予め定められた基準で選定し、選定した地震波を用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行い、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態を導出し、導出した損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度を予測しているので、地震動による建物の被害程度を、短時間かつ高精度で予測することができる。
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記予め定められた規則を、前記物理量導出手段によって導出された物理量の数が同一となるように層別化するとの規則か、または予め定められた範囲毎に区分することにより層別化するとの規則であるものとしてもよい。これにより、より簡易に建物の被害程度を予測することができる。
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記予め定められた基準を、層別化された各層内の前記物理量における中央値に対応する地震波を選定するとの基準か、または層別化された各層内の前記物理量をさらに複数に層別化し、各層に属する物理量のうちの少なくとも1つの物理量に対応する地震波を選定するとの基準であるものとしてもよい。これにより、より高精度で建物の被害程度を予測することができる。
さらに、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記部材を、構造部材および非構造部材としてもよい。これにより、これらの構造部材および非構造部材の損傷状態が個別に加味された高精度な地震被害状況の予測を行うことができる。
一方、上記目的を達成するために、請求項5記載のプログラムは、コンピュータを、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成する地震波生成手段と、前記地震波生成手段によって生成された複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、予め定められた建物応答指標を示す物理量を導出する物理量導出手段と、前記物理量導出手段によって導出された物理量を予め定められた規則で層別化し、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波を予め定められた基準で選定する地震波選定手段と、前記地震波選定手段によって選定された地震波を用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行い、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態を導出する損傷状態導出手段と、前記損傷状態導出手段によって導出された損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度を予測する予測手段と、として機能させるためのものである。
従って、請求項5に記載のプログラムによれば、コンピュータに対して請求項1記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1記載の発明と同様に、地震動による建物の被害程度を、短時間かつ高精度で予測することができる。
本発明によれば、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成し、生成した複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、予め定められた建物応答指標を示す物理量を導出し、導出した物理量を予め定められた規則で層別化し、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波を予め定められた基準で選定し、選定した地震波を用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行い、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態を導出し、導出した損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度を予測しているので、地震動による建物の被害程度を、短時間かつ高精度で予測することができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。まず、図1を参照して、本発明が適用された地震被害予測システム10の構成を説明する。
同図に示すように、本実施の形態に係る地震被害予測システム10は、WWW(World Wide Web)サーバ20と、並列計算サーバ30と、を備えている。
WWWサーバ20および並列計算サーバ30は、地震被害予測システム10の提供者が所有するもので、WWWサーバ20はインターネット上に設けられており、並列計算サーバ30はWWWサーバ20からアクセス可能に設けられている。
並列計算サーバ30は地震被害の予測を並列処理によって高速に実行するものであり、地震被害予測システム10の核となるものである。また、WWWサーバ20は、地震被害予測システム10のユーザが所有する情報端末装置40(本実施の形態では、パーソナル・コンピュータ)と並列計算サーバ30との間の橋渡しの役割を有するものである。
本実施の形態に係る地震被害予測システム10では、ユーザにより情報端末装置40によってWWWブラウザ(Browser)を介してインターネット上のWWWサーバ20がアクセスされると、WWWサーバ20はアクセス元の情報端末装置40に対して各種データを入力するための画面データを送信する。
これに応じて情報端末装置40はWWWサーバ20から受信した画面データに基づく画面を表示するので、ユーザは当該画面上で必要なデータを入力する。
これに応じてWWWサーバ20は並列計算サーバ30に対し、ユーザによって入力されたデータを送信すると共に、当該データを用いて地震被害の予測を実行することを依頼する。
当該依頼を受けた並列計算サーバ30は、後述する地震被害予測処理プログラムを実行することにより地震被害の予測を実行し、当該予測結果をWWWサーバ20に送信する。また、並列計算サーバ30は、アクセス元の情報端末装置40の所有者であるユーザに対して、地震被害の予測が終了した旨を通知するための処理を行う。
当該通知を受け取ったユーザは、情報端末装置40によってWWWサーバ20を再びアクセスし、WWWサーバ20から上記予測結果をダウンロードする。
このように、本実施の形態に係る地震被害予測システム10は、ASP(Application Service Provider)として構成されている。
次に、本実施の形態に係る地震被害予測システム10の作用を説明する。まず、図2を参照して、WWWサーバ20において実行される地震被害予測サービス処理について説明する。なお、図2は、何れかのユーザにより情報端末装置40によって地震被害予測サービスを利用する旨が入力されたときに、これに応じてWWWサーバ20により実行される地震被害予測サービス処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、該プログラムはWWWサーバ20に内蔵された不図示のハードディスクに予め記憶されている。
まず、ステップ100では、予め定められた地震危険度解析画面を示す画面データをアクセス元の情報端末装置40にインターネットを介して送信し、次のステップ102では、当該情報端末装置40からの所定情報の入力待ちを行う。上記ステップ100の処理によって、アクセス元の情報端末装置40のディスプレイに地震危険度解析画面が表示されることになる。
図3には、当該ディスプレイ40Aに表示された地震危険度解析画面の一例が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係る地震危険度解析画面では、予測対象とする位置を示す情報(以下、「位置情報」という。)と、当該位置における地盤のタイプを示す情報(以下、「地盤タイプ情報」という。)と、が入力できるようになっている。
なお、同図に示すように、地震被害予測システム10では、上記位置情報を、予め記憶されている地点リストの地点名を当該画面に一覧表示させて、表示された地点名から所望のものを指定することにより入力することもできるし、緯度および経度を入力することにより入力することもできる。また、同図に示すように、地震被害予測システム10では、上記地盤タイプ情報として、「硬い」、「普通」、「柔らかい」、「軟弱」の4段階の地盤タイプの何れかを選択的に入力することができる。
同図に示されるような地震危険度解析画面がディスプレイ40Aに表示されると、ユーザは、情報端末装置40に設けられた不図示のマウス等のポインティング・デバイスやキーボードの操作によって位置情報および地盤タイプ情報を入力する。これによって、これらの情報がWWWサーバ20に転送され、上記ステップ102が肯定判定となってステップ104に移行する。
ステップ104では、情報端末装置40から入力された位置情報および地盤タイプ情報に基づく地震危険度解析によって、50年で10%の確率で発生する地震動を示すPME(最大速度)値を算出する。なお、PME値の算出は従来既知の技術で行うため、ここでの詳細な説明は省略する。
次のステップ106では、算出したPME値を地震危険度解析画面に表示することのできる画面データをアクセス元の情報端末装置40に送信し、次のステップ108では、当該情報端末装置40からの所定情報の入力待ちを行う。上記ステップ106の処理によって、当該情報端末装置40のディスプレイ40Aには算出したPME値が一例として図3に示すように表示されるので、ユーザは当該PME値を参照して特に問題等がなく、引き続き地震被害の予測を実行させる場合には、地震危険度解析画面に表示されている「損傷度解析へ」ボタンを不図示のマウスにて指定する。これによって、上記ステップ108が肯定判定となってステップ110に移行する。
ステップ110では、予め定められた損傷度解析画面を示す画面データをアクセス元の情報端末装置40にインターネットを介して送信し、次のステップ112では、当該情報端末装置40からの所定情報の入力待ちを行う。上記ステップ110の処理によって、アクセス元の情報端末装置40のディスプレイ40Aに損傷度解析画面が表示されることになる。
図4には、ディスプレイ40Aに表示された損傷度解析画面の一例が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係る損傷度解析画面では、後述する地震被害予測処理において地震波を生成する際に適合させる応答スペクトルを示すスペクトル情報と、複数の地震動レベルを解析対象としたい場合の各地震動レベルを示す地震動レベル情報と、1地震動レベル当たりの生成する地震動数を示す地震動数情報と、が入力できるようになっている。
また、当該損傷度解析画面では、予測対象とする建物の構造に関する建物構造情報と、当該建物における各種部材の再調達価格を示す再調達価格情報と、当該建物の非構造部材に関する非構造部材情報と、も入力できるようになっている。
なお、同図に示すように、地震被害予測システム10では、上記スペクトル情報として、「告示」、「入力地震動技術指針」、「耐専」の3種類の何れかを選択的に入力することができる。また、上記建物構造情報には、予測対象とする建物の構造種別、建物用途、建物階数、延べ床面積、建築面積の各情報が含まれる。更に、上記非構造部材情報には、間仕切り壁、非構造床、天井、外装(外壁仕上げ、サッシ)、設備機器、設備配管の各々に関する情報が含まれる。
同図に示されるような損傷度解析画面がディスプレイ40Aに表示されると、ユーザは、情報端末装置40に設けられた不図示のマウス等のポインティング・デバイスやキーボードの操作によって、スペクトル情報、地震動レベル情報、地震動数情報、建物構造情報、再調達価格情報、非構造部材情報を必要に応じて入力する。これによって、入力された情報がWWWサーバ20に転送され、上記ステップ112が肯定判定となってステップ114に移行する。
ステップ114では、上記ステップ112において入力された各種情報と、上記ステップ104において算出したPME値と、当該情報を用いて地震被害の予測を実行する旨を指示する実行指示情報と、を並列計算サーバ30に送信することにより、当該並列計算サーバ30に地震被害予測処理の実行を依頼した後、本地震被害予測サービス処理プログラムを終了する。
一方、上記実行指示情報を受信すると、並列計算サーバ30では、当該実行指示情報と共に受信した各種情報を用いて地震被害予測処理を実行する。
次に、図5を参照して、本実施の形態に係る地震被害予測処理について説明する。なお、図5は、このとき並列計算サーバ30によって実行される地震被害予測処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、該プログラムは並列計算サーバ30に内蔵された不図示のハードディスクに予め記憶されている。なお、ここでは、錯綜を回避するために、上記地震動レベル情報を用いずに、上記地震被害予測サービス処理プログラムのステップ104の処理によって算出されたPME値を用いる場合について説明する。
同図のステップ200では、WWWサーバ20から入力されたPME値により示される最大速度レベルの地震波を示すデータを、地震動数情報で示される数だけ生成する。
ここで、当該地震波を示すデータは、マグニチュードの分布を考慮し、WWWサーバ20から入力されたスペクトル情報によって示される応答スペクトルに適合するように生成する。なお、この地震波を示すデータの生成に当たって、位相は乱数を用いて一様分布でランダムに生成する。また、上記マグニチュードの分布は、最大地動速度を文献「Saburoh Midorikawa,Masashi Matsuoka,and Koichi Sakugawa.Site effects on strong-motion records observed during the 1987 chiba-ken-toho-oki,japan earthquake.第9回日本地震工学シンポジウム,pp.E085−E090,1994」に従って基盤の最大加速度に変換し、文献「安中正,山崎文雄,片平冬樹.気象庁87型強震記録を用いた最大地震および応答スペクトル推定式の提案.第24回地震工学研究発表会講演論文集,pp.161−132,1997」における距離減衰式を用い、次の(1)式により設定する。
ここで、w(Mi,Vj)は最大速度VjにおけるマグニチュードMi(i=1,・・・,m)の割合を、Δ(Mi,Vj)は当該マグニチュードで最大速度Vjを発生させる距離(震央距離)を、N(Mi)はマグニチュードMiの年間の頻度を、各々表す。
なお、N(M)は、以下のGutenberg−Richterの式である(2)式に従うものとし、bの値は標準的な地域を想定して1.0とする。なお、(2)式は、地震はマグニチュードが低いものほど発生しやすい、ということを示している式である。
次のステップ202では、上記ステップ200において生成した何れかの地震波を示すデータを用いて、建物構造情報に基づいて作成される質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、建物の各層の最大加速度、最大速度、最大層せん断力、最大層間変形角および塑性率を算出する。
すなわち、ここでは、対象とする建物の立体架構モデルを作成し、荷重増分法による弾塑性解析(プッシュオーバー解析)を行う。なお、当該解析に当たっては、自重による初期応力を考慮する。そして、解析の結果得られた各層の荷重変形関係をトリリニアーに近似することで、立体架構モデルを質点系モデルに変換し、このモデルに上記ステップ200において生成した何れかの地震波を示すデータを入力して動的弾塑性解析を実行する。
この解析の過程で各層の最大加速度、最大速度、最大層せん断力、最大層間変形角および塑性率(以下、「建物応答指標」という。)を得ることができる。
そこで、次のステップ204では、上記質点系モデルによる動的弾塑性解析によって得られた建物応答指標を示す物理量を、並列計算サーバ30に内蔵されたハードディスクに記憶し、次のステップ206にて、上記ステップ200において生成した全ての地震波について上記ステップ202〜ステップ204の処理が終了したか否かを判定して、否定判定となった場合は上記ステップ202に戻って再びステップ202〜ステップ204の処理を実行し、肯定判定となった時点でステップ208に移行する。なお、上記ステップ202〜ステップ206の処理を繰り返して行う際には、それまでに適用しなかった地震波を適用する。
ステップ208では、以上の処理によって得られた全ての地震波に対応する上記物理量(本実施の形態では、各層の最大加速度、最大速度、最大層せん断力、最大層間変形角および塑性率を示す物理量)のうちの予め定められた種類(本実施の形態では、最大層間変形角)の物理量を上記ハードディスクから読み出し、読み出した全ての物理量について、対応する地震波の各々毎に全層の平均値を算出した後、平均値化された物理量を予め定められた規則で層別化する。
本実施の形態では、上記予め定められた規則として、上記物理量の数が予め定められた数N(本実施の形態では、10)で同一となるように層別化するとの規則を適用している。この際、本実施の形態では、上記物理量を最小値から最大値にかけて順にN個ずつで区切ることにより層別化を行っているが、これに限らず、上記物理量を最大値から最小値にかけて順にN個ずつで区切ることや、上記物理量を中央値から最小値および最大値にかけて順にN個ずつで区切ること等によって層別化する形態としてもよい。
なお、上記物理量に特異な値が含まれる場合があるが、この場合には、当該特異な値を削除したうえで上記層別化を行う形態としてもよい。
このように、本実施の形態では、上記予め定められた規則として、上記物理量の数が予め定められた数で同一となるように層別化するとの規則を適用しているが、これに限らず、例えば、上記物理量を予め定められた範囲毎に区分することにより層別化するとの規則等の他の規則を適用してもよい。
また、本実施の形態では、上記予め定められた種類として最大層間変形角のみを適用しているが、これに限らず、被害予測の対象とする建物の耐震性能や、什器・備品に対する被害も加味するか否か等に応じて、適用する建物応答指標を示す物理量を決定するようにしてもよい。この場合、前述した本発明の原理より、例えば、机、椅子等の什器・備品に対する被害を考慮しない場合には、最大層せん断力、最大層間変形角および塑性率の少なくとも1つを適用し、什器・備品に対する被害を考慮する場合には、最大加速度および最大速度の少なくとも一方を適用することが好ましい。
次のステップ210では、上記ステップ208の処理によって層別化された各層毎に当該層内に含まれる上記物理量のうちの一部の物理量に対応する地震波を予め定められた基準で選定する。
なお、本実施の形態では、上記予め定められた基準として、層別化された各層内の上記物理量における中央値に対応する地震波を選定するとの基準を適用しているが、これに限らず、例えば、層別化された各層内の上記物理量をさらに複数に層別化し、各層に属する物理量のうちの少なくとも1つの物理量に対応する地震波を選定するとの基準等の他の基準を適用してもよい。
次に、以上の処理によって選定された地震波を示すデータを用いて建物の被害額(復旧費用)を推定する。
このため、まず、次のステップ212では、躯体の被害を推定するために、建物構造情報に基づいて作成した立体架構モデルに、選定した地震波を示すデータのうちの何れか1つを入力して動的弾塑性解析を行い、個々の柱、梁、壁(耐震壁)要素の損傷状態を判定する。
そして、次のステップ214にて、当該損傷状態の程度、例えば、曲げひび割れが生じたときにはエポキシ樹脂注入だが、せん断降伏したときは鉄板補強、というように補強方法を仮定し、それに基づいて復旧費用を算定する。なお、損傷状態と復旧費用については、文献「神田順.損失費用モデルを用いた最適信頼性に基づく設計用地震荷重,1998.」を参考に設定し、次の(3)式により躯体の復旧費用を算出する。
ここで、Rsは躯体復旧費用を、fsc(z)は柱被害関数を、fsb(z)は梁被害関数を、fsw(z)は壁被害関数を、zは損傷状態を、各々表す。
次のステップ216では、非構造部材の損傷状態の判定、および復旧費用の算定を次のように行う。
まず、躯体の被害に伴って発生する仕上げ(内装)の復旧費用を、算出した躯体の被害に比例して算定する。また、その他の内装の復旧費用は、各部の特性に応じて算出する。天井と非構造床は各層の加速度により、また、間仕切りは各層の各柱の層間変形角に基づいて損傷状態を判定し、各損傷状態別に設定した被害関数により再調達価格に係数を乗じた額を(4)式に示すように復旧費用とする。
ここで、Riは内装復旧費用を、Cc,Cf,Cpは各々天井,非構造床,間仕切りの再調達価格を、fc,ff、fpは各々天井,非構造床,間仕切りの被害(損傷度)関数を、Ajは各柱部の、天井の場合は上端の、非構造床の場合は下端の最大加速度を、θjは各柱部の層間変形角を、各々表す。
外装は壁面とサッシに分け、外壁に相当する柱各部の層間変形角に応じて各々の損傷状態を判定し、内装と同様に壁サッシ別各損傷状態別に設定した被害関数により再調達価格に係数を乗じた額を(5)式に示すように復旧費用とする。
ここで、Cew,Cesは各々壁面,サッシの再調達価格を、few,fesは各々壁面,サッシの被害(損傷度)関数を、θiは外壁部各柱の層間変形角である。
設備は、縦配管は層間変形角に、横配管と機器は加速度により損傷状態を判定し、同様に各損傷状態別に設定した被害関数により各層毎に再調達価格に係数を乗じた額を(6)式に示すように復旧費用とする。
ここで、Cfh(i),Cfv(i)は各層の横配管・機器,縦配管の再調達価格を、ffh,ffvは被害(損傷度)関数を、各々表す。
次のステップ218では、以上のように算出した各復旧費用に、再調達価格における割合に応じた外構復旧費を加え合わせることにより、建物全体の復旧費用を算出し、次のステップ220では、算出した建物全体の復旧費用を建物全体の再調達価格で除算することにより損失率を算出する。
そして、次のステップ222では、上記ステップ210において選定した全ての地震波について上記ステップ212〜ステップ220の処理が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ212に戻って再びステップ212〜ステップ220の処理を実行し、肯定判定となった時点でステップ224に移行する。なお、上記ステップ212〜ステップ222の処理を繰り返して行う際には、上記選定した地震波のうち、それまでに適用しなかった地震波を適用する。
ステップ224では、上記ステップ212〜ステップ222の処理によって得られた全ての地震波における損失率の分布を標準β分布で近似し、その90%非超過確率からPML値を算出し、次のステップ226では、算出したPML値における躯体、内装、外装、設備、および外構の内訳比率を算出する。
そして、次のステップ228にて、算出したPML値と内訳比率を示す情報をWWWサーバ20に出力し、次のステップ230にて、アクセス元の情報端末装置40の所有者であるユーザに対して、地震被害の予測が終了した旨を通知するための処理を行った後に本地震被害予測処理プログラムを終了する。
なお、ユーザは当該通知を受け取ると、情報端末装置40によってWWWサーバ20にアクセスし、WWWサーバ20から上記PML値と内訳比率を示す情報とが表示できる画面データをダウンロードする。
この結果、当該情報端末装置40のディスプレイ40Aには、一例として図6に示すように、上記PML値および内訳比率を示す画面が表示される。なお、同図に示す予測結果は、本実施の形態に係る地震被害予測システム10による、兵庫県南部地震で被災した地下1階、地上9階SRC造の事務所ビルの実被害データによるパラメータチューニングを経た後の予測結果である。
ユーザは、当該画面を参照することにより、PML値と、設備の被害の割合が大きいこと等を把握することができる。
なお、上記地震被害予測処理プログラムのステップ200による地震波を示すデータを生成する処理は並列処理で実行したとしても長時間を要するため、本実施の形態に係る並列計算サーバ30では、生成した地震波を示すデータを所定期間(ここでは、1年間)保存するようにしている。このため、予測対象とする建物が同一であり、かつ損傷度解析画面(図4参照。)で設定する各種情報を変更して再度地震被害の予測を行う際には、当該データを入力することのみによって、短時間で予測結果を得ることができる。
例えば、1回目の予測結果が図6に示すものであった場合、設備の被害の割合が大きいことが把握できたため、設備に重点的な対策を施すとして損傷度関数を変更し、再度予測を行った結果が図7に示すものとなった場合、この対策によってPML値が20以下となったことがわかり、当該対策の有効性が把握できる。
図8には、本実施の形態に係る地震被害予測システム10による予測処理の流れがまとめられている。
同図に示すように、地震被害予測システム10では、まず、PME値を算出することによって地震危険度の解析を行う(地震被害予測サービス処理プログラムのステップ100〜ステップ104の処理に対応。)。
次に、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を示すデータを、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成し、当該地震波を示すデータを用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行うことによって建物応答指標を示す物理量(本実施の形態では、最大加速度、最大速度、最大層せん断力、最大層間変形角および塑性率)を導出する(地震被害予測処理プログラムのステップ200〜ステップ206の処理に対応。)。
次に、導出した建物応答指標を示す物理量の何れかを層別化して、層別化された各層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する地震波を選定し、選定した地震波を示すデータを用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行うことにより部材毎に損傷状態を導出する(地震被害予測処理プログラムのステップ208〜212の処理に対応。)。
最後に、導出した損傷状態に応じて地震動による建物に対するPML値を導出する(地震被害予測処理プログラムのステップ214〜ステップ224の処理に対応。)。
地震被害予測処理プログラムのステップ200の処理が本発明の地震波生成手段に、ステップ202の処理が本発明の物理量導出手段に、ステップ208およびステップ210の処理が本発明の地震波選定処理に、ステップ212の処理が本発明の損傷状態導出手段に、ステップ214〜ステップ224の処理が本発明の予測手段に、各々相当する。
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成し、生成した複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、予め定められた建物応答指標を示す物理量を導出し、導出した物理量を予め定められた規則で層別化し、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波を予め定められた基準で選定し、選定した地震波を用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行い、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態を導出し、導出した損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度を予測しているので、地震動による建物の被害程度を、短時間かつ高精度で予測することができる。
また、本実施の形態では、前記部材を、構造部材および非構造部材として適用しているので、構造部材および非構造部材の損傷状態が個別に加味された高精度な地震被害状況の予測が行える。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
例えば、上記実施の形態において示した(1)式〜(6)式は各々一例であり、各数式とも本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で示した地震被害予測システム(図1参照。)の構成も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることも言うまでもない。
例えば、上記実施の形態では、地震被害予測システムをインターネット上のサービスとして実現した場合について説明したが、インターネットを介さず、地震被害の予測を直接行うサービスとして実現することもできる。また、上記実施の形態では、WWWサーバ20と並列計算サーバ30による分散処理によって地震被害の予測を実行した場合について説明したが、1台のコンピュータ単体によって予測を行う形態とすることもできる。この場合の形態としては、当該コンピュータにより、地震被害予測サービス処理プログラムで行っていたPME値の算出も含めた形で地震被害予測処理プログラムを実行する形態を例示することができる。これらの場合にも、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、地震被害の予測をソフトウェアの処理によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハードウェア構成により実現する形態や、ソフトウェアおよびハードウェア構成の組み合わせで実現する形態としてもよい。
さらに、上記実施の形態で示した地震被害予測サービス処理プログラム(図2参照。)および地震被害予測処理プログラム(図5参照。)の各処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な処理ステップを削除したり、新たな処理ステップを追加したり、処理ステップの順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
10 地震被害予測システム
20 WWWサーバ
30 並列計算サーバ
40 情報端末装置
40A ディスプレイ
20 WWWサーバ
30 並列計算サーバ
40 情報端末装置
40A ディスプレイ
Claims (5)
- 被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成する地震波生成手段と、
前記地震波生成手段によって生成された複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、予め定められた建物応答指標を示す物理量を導出する物理量導出手段と、
前記物理量導出手段によって導出された物理量を予め定められた規則で層別化し、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波を予め定められた基準で選定する地震波選定手段と、
前記地震波選定手段によって選定された地震波を用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行い、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態を導出する損傷状態導出手段と、
前記損傷状態導出手段によって導出された損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度を予測する予測手段と、
を備えた地震被害予測装置。 - 前記予め定められた規則は、前記物理量導出手段によって導出された物理量の数が同一となるように層別化するとの規則か、または予め定められた範囲毎に区分することにより層別化するとの規則である
請求項1記載の地震被害予測装置。 - 前記予め定められた基準は、層別化された各層内の前記物理量における中央値に対応する地震波を選定するとの基準か、または層別化された各層内の前記物理量をさらに複数に層別化し、各層に属する物理量のうちの少なくとも1つの物理量に対応する地震波を選定するとの基準である
請求項1または請求項2記載の地震被害予測装置。 - 前記部材を、構造部材および非構造部材とした
請求項1から請求項3の何れか1項記載の地震被害予測装置。 - コンピュータを、
被害予測の対象とする建物が建てられている地域の地震波を、複数のマグニチュード毎に乱数を用いて位相を変化させることにより複数生成する地震波生成手段と、
前記地震波生成手段によって生成された複数の地震波を用いて質点系モデルによる動的弾塑性解析を行い、予め定められた建物応答指標を示す物理量を導出する物理量導出手段と、
前記物理量導出手段によって導出された物理量を予め定められた規則で層別化し、層別化された各層毎に当該層内に含まれる物理量のうちの一部の物理量に対応する前記地震波を予め定められた基準で選定する地震波選定手段と、
前記地震波選定手段によって選定された地震波を用いて立体架構モデルによる動的弾塑性解析を行い、前記建物に用いられている部材毎に損傷状態を導出する損傷状態導出手段と、
前記損傷状態導出手段によって導出された損傷状態に基づいて地震動による前記建物に対する被害程度を予測する予測手段と、
として機能させるためのプログラム。
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