JP2012083368A - ゴム製品の寿命予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸ばねゴムを壊れる迄の耐久試験をせず早期に、そして精度良く製品寿命を予測可能となる軸ばねゴムの寿命予測方法を実現させるとともに、有限要素法解析の出力データと寿命予測用ゴム試験体のハイト図との比較検討の容易化を図るべく、変位と平均値とによるマトリクスの作成に着目して、そのためのFEM出力データ処理方法も開発する。
【解決手段】軸ばねゴムの寿命予測方法において、鉄道台車の軸ばねゴムに作用する荷重を所定時間に亘って取得することで得られる時系列波形に基づく入力データを用いて有限要素法解析を行うFEM手順35と、FEM手順35によって得られる出力データを用いてのレインフロー法により、振幅と平均値との組合せの頻度をカウントして成るマトリクスMを作成するマトリクス作成手順37とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、防振ゴム、免震ゴム、積層ゴム、型物ゴム等のゴム製品の寿命予測方法に係り、詳しくは、有限要素法解析の出力データを寿命予測用ゴム試験体のハイト図(ヘーグ図)或いはS−N曲線(ヴェーラ曲線)と比較検討し易くすべく、変位と平均値とによるマトリクスを作成するためのFEM出力データ処理方法(ゴム製品寿命予測用のFEM出力データ処理方法)に関するものである。
ゴム製品の例としては、鉄道台車の軸ばね用としてゴム(軸ばねゴム)が使われており、その耐久性が要求されるゴムの寿命を設計段階で予測できれば便利である。即ち、毎日営業運転されるであろう鉄道車両の台車に組み込まれる懸架用ゴムは酷使される機能部品であり、寿命が分っておれば部品交換の時期を見越した車両管理ができて好都合であるとともに、不測の故障や損傷を未然に防ぐことができる等、メリットは多い。
そこで、ゴム製品の寿命予測の従来技術としては、特許文献1や特許文献2にて開示されるように、ゴムベルトの寿命予測方法並びに予測装置に関するたものが知られている。これらのゴムベルトは、強度を出すための心線が埋設されるとともに、歯部の表面強度を出すための歯布を備える等の複合ゴム材料であるから、ゴムのみの材料としての寿命予測には適用することができない。
また、前述の軸ばね用ゴムといった鉄道車両等の乗り物に使用されるゴム製品は、実機に組み込んでの耐久試験に長時間を要するものであるが、製品開発期間の短縮化に伴い、ゴム製品の寿命(信頼性)判断に要する期間をもっと短縮化させることも課題となってきている。
特開平7−332443号公報 特開平9−133592号公報
ゴム製品の寿命を予測するに当り、日本工業規格で定められる形状の試験ゴム片〔例:ダンベル状3号形(JIS.K6251)〕を用いて定伸長疲労試験を行うのが一般的である。つまり、小径の試験ゴム部が破断するまで引張る耐引張り強さ試験や、ある程度の距離での引張り負荷・除荷を周期的に繰り返し行う振動引張り試験(耐久試験)を行う。しかしながら、防振ゴム等においては、単純な引張りだけでなく圧縮、抉り、捩り、傾斜等の6自由度(三次元)的な動きをするので、引張りだけの1自由度(一次元)のテストしかできない前述のダンベル状試験ゴム片では不適格である。故に、ゴム製品の寿命予測を行うには、さらなる改善の余地が残されているものであった。
本発明は、ゴム製品を損傷するまでの長期に亘る耐久試験を行うことなく、早期に、そして精度を落とすことなくその製品寿命を予測することが可能となるゴム製品の寿命予測方法を実現させることと、有限要素法解析の出力データを寿命予測用ゴム試験体のハイト図(ヘーグ図)と比較検討することを容易化すべく、変位と平均値とのよるマトリクスを作成する点にも着目し、そのためのFEM出力データ処理方法を開発して提供することとを目的とする。
請求項1に係る発明は、ゴム製品の寿命予測方法において、装着対象9に装着された状態のゴム製品Gに作用する荷重を所定時間に亘って取得することで得られる時系列波形を、有限要素法解析に適した入力データに処理するデータ処理手順33と、
前記データ処理手順33で得られる入力データを用いて有限要素法解析を行うFEM手順35と、
前記FEM手順35によって得られる出力データを用いてのレインフロー法により、振幅と平均値との組合せの頻度をカウントして成るマトリクスMを作成するマトリクス作成手順37と、
前記マトリクス作成手順37によって作成されるマトリクスMと、前記ゴム製品Gと同じゴムを用いて作成されている寿命予測用ゴム試験体Aの耐久試験結果データとを比較して演算処理することで前記ゴム製品Gの寿命を割り出す寿命算出手順38と、
を有することを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のゴム製品の寿命予測方法において、前記FEM手順35は、FEMモデルの長方形線形要素y1〜y8を作成するとともに互いに隣合う前記長方形線形要素どうしにおける互いに隣合う積分点どうしを比較して、数的連続性があれば適合な出力データとして処理し、数的連続性がなければ数的連続性を得るための再処理を行う出力データ精査手順36を含んでいることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のゴム製品の寿命予測方法において、前記出力データ精査手順36は、前記数的連続性がない場合の再処理として、先ずFEMモデルの細分化による積分点どうしの比較を行って数的連続性を判断する細分化処理手順49と、前記細分化処理手順49の実行によっても数的連続性が得られないときには、前記時系列波形に基づく入力データの見直しを行ってから前記FEM手順35をやり直す再FEM手順50とを含んでいることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、得られた時系列波形を基にして有限要素法解析を用いるとともに、振幅と平均値との頻度をカウントして成るマトリクスと、S−N曲線(ヴェーラ曲線)だけでなくハイト図(ヘーグ図)も用いて出される寿命予測用ゴム試験体と寿命との比較及び演算によってゴム製品の寿命を予測することが可能になっている。ゴム製品の場合には負荷(荷重)の振幅だけでなく、平均負荷(中間負荷、予負荷)にも依存するので、S−N曲線(ヴェーラ曲線)だけでは不十分であり、従って、従来技術では適用できなかったゴム製品について、長時間に亘る実機や試験機による耐久テストを行うことなく短時間に、かつ、精度を落とすことなく寿命予測が行えるようになる。
そして、レインフロー法を用いてFEM出力データからマトリクスを作成させることにより、FEM手順によって決定された強度仮説量の時刻歴応答波形で、振幅と平均値との組合せ毎の頻度(回数)をカウントでき、振幅、平均値の区間は、均等分割、ログスケール分割、不均一分割の何れかを用い、損傷大の箇所は密に(細かく)、そして影響小の箇所は粗に(荒く)なるように設定することが可能になる。故に、計算数を低減させ、計算時間も短縮可能になるとともに、分割数を任意に選択することで計算精度(寿命予測信頼性)を向上させることも可能となる。その結果、ゴム製品を損傷するまでの長期に亘る耐久試験を行うことなく、早期に、そして精度を落とすことなくその製品寿命を予測することが可能となるゴム製品の寿命予測方法を実現させることができる。そして、有限要素法解析の出力データを寿命予測用ゴム試験体のハイト図(ヘーグ図)と比較検討することを容易化すべく、変位と平均値とのよるマトリクスを作成する点にも着目し、そのためのFEM出力データ処理方法を開発して提供することもできる。
請求項2のように、FEMモデルの長方形線形要素における互いに隣合う積分点どうしを比較して数的連続性を判断する方法を採れば、有限要素法の解析データの良否を即座に判断することができ、時間的不利益なく寿命予測精度を高めることが可能となる利点がある。また、請求項3のように、FEM手順後の出力データに不適合がある場合の処理として、まず細分化による再FEMを実行し、それでも改善されない場合にのみ入力データを見直すようにすれば、時間を多く掛けないようにしながら寿命予測精度をより改善可能となるゴム製品の寿命予測方法を提供することができる。
ゴム製品の寿命予測装置を示すブロック図(実施例1) 図1の装置によるゴム製品の寿命予測方法を示すブロック図 波形整形手順における時短処理のアルゴリズムを示すフロー図 時短処理方法を示し、(a)は元波形データ、(b)は不要データの除去、(c)は時短された波形データ、(d)は(c)の時間を2倍に拡張させた波形データ データ処理手段及び波形整形手段のアルゴリズムを示すフロー図 FEM手段のアルゴリズムを示すフロー図 出力データ精査手順の原理を示し、(a)は積分点の連続性がOKの例、(b)は積分点の連続性がNGの例 マトリクス作成手順のアルゴリズムを示すフロー図 寿命予測用ゴム試験体のを示す側面図 図5の最くびれ箇所と硬質フランジ接面との径及び断面積の比較図 鉄道台車の要部を示す一部切欠きの側面図 軸ばねゴムの一例を示す断面図
以下に、本発明によるゴム製品の寿命予測方法及び装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1はゴム製品の寿命予測装置を示すブロック図、図2はゴム製品の寿命予測方法を示すブロック図、図3は波形整形手順のフロー図、図4は時短処理方法を示す作用図、図5はデータ処理手順のフロー図、図6はFEM手順のフロー図、図7は出力データ精査手順の原理作用図、図8はマトリクス作成手順のフロー図、図9,10は寿命予測用ゴム試験体の側面図と断面比較図、図11は鉄道台車要部の側面図、図12は軸ばねゴムの断面図である。
まず初めに、本発明によるゴム製品の寿命予測方法を、鉄道台車に用いられる軸ばねゴム(防振ゴム)で簡単に説明する(図2参照)。先に、鼓型形状の試験ゴム部1を有する寿命予測用ゴム試験体A(図9参照)を作り、その寿命特性を種々のゴムについて求めたライブラリを作成する。それから、軸ばねゴムG(図12参照)を実機に組付けて試験区間を走行して(又はシュミレーションして)、軸ばねゴムGに作用する荷重の時系列波形を得るとともに、その時系列波形を基にした有限要素法解析を行い、強度仮説量に変換された時系列波形によるマトリクスMを作成する。そして、作成されたマトリクスMと、軸ばねゴムGの試験ゴム部1と同じゴムによる寿命予測用ゴム試験体Aのデータとを比較し、修正マイナー法によって軸ばねゴムGの相対的な寿命を算出する、というものである。次に、構成や方法(手順)について詳細に説明する。
〔実施例1〕
まず、寿命予測用ゴム試験体A並びに軸ばねゴムGについて説明する。寿命予測用ゴム試験体Aは、図9,図10に示すように、互いに離間している一対の硬質フランジ2,3と、それら硬質フランジ2,3の間に介装される試験ゴム部1とから構成されている。各硬質フランジ2,3は、ステンレスや圧延鋼板等の厚手の金属板で形成されており、例えば、円形の硬質フランジ2,3の中央に一体装備されているボルト部4等の連結手段を備えておけば好都合である。厚み一定の金属円板で成る硬質フランジ2,3は、試験ゴム部1への張出しがないものとなるように、それらの試験ゴム部側の面、即ち内側面2A,3Aが水平面(フラット面の一例)に形成されている。
試験ゴム部1は、硬質フランジ2,3どうしを結ぶ軸心P方向における両端部での径が大で、かつ、軸心P方向の中央部での径が小となって側面視で鼓形状を呈し、軸心P方向視では円形(又は多角形)を呈する形状に形成されたゴム塊で成り、加硫接着によって上下の硬質フランジ2,3に一体化されている。そして試験ゴム部1は、その最くびれ箇所(図9では上下の中心位置)1aの径を2r、試験ゴム部の高さ(軸心P方向長さ)をH、最くびれ箇所1aの断面積をSA、試験ゴム部1の硬質フランジ2,3との接面の面積をSO、試験ゴム部1の側面視における外郭ラインLが硬質フランジ2,3に接する箇所(試験ゴム部1の外周における硬質フランジ2,3と交わる箇所)Dにおける硬質フランジ2,3に対する接線mの角度をθとすると、
1≦H/2r≦2……(1)
2≦SO/SA≦4……(2)
θ=45±10度……(3)
なる関係が成立するように構成されている。
試験ゴム部1の外郭ラインLは、軸心Pに直交し、かつ、試験ゴム部1の上下中央を通る横軸心X上に中心tを有する半径Rの円弧に形成されている。各硬質フランジ2,3と試験ゴム部1とは、試験ゴム部1の加硫工程による加硫接着で一体化されている。図10には、試験ゴム部1の最くびれ箇所1aの直径(断面積)と、硬質フランジ2,3との接面での直径(断面積)との比率を示してあり、最くびれ箇所1aでは直径が2rで断面積SA=πrであり、接面では直径が2kで断面積SO=πkである。参考に、図示の寸法比率では、前記式(2)のSO/SAは2.89になっている。つまり、試験ゴム部1の断面形状が円の場合には、接面での半径kは、√2r≦k≦2rになる。
寿命予測用ゴム試験体Aを用いての予備試験機(引張試験機、荷重試験機等)41(図1参照)による予備試験方法は、次の(1)〜(4)の手順によって行われる。まず、(1)寿命予測用ゴム試験体Aのバネ定数を測定する。(2)試験前の動特性(絶対ばね、動ばね、減衰係数、損失係数)を測定する。(3)試験を開始する。試験条件として、変位正弦波加振制御を行う、平均値を−80%〜80%(高さに対する値)に変化させる、振幅を−100%〜100%に変化させる、周波数は1Hz〜50Hzの間の任意の値とする、を採用する。(4)試験中は動特性をサーベイ(精査)し、結果を記録し、試験ゴム部1に損傷(初期クラック)が発生した時点でそれを記録してから実験を終了する。
つまり、a.予備試験機41を用いて寿命予測用ゴム試験体A(n=4)の静ばね特性・動特性を測定する。これにより、試験ゴム部1の損傷の目安を定量的に示すことができる。b.予備試験機41を用いて寿命予測用ゴム試験体A(n=1)の疲労試験を行う。この試験は試験ゴム部1に亀裂が発生するまで継続して行うものとする。ここでの加振方法は変位制御とする。何故なら、荷重制御にすると、試験ゴム部1の損傷時に試験機を壊すおそれがあるからである。c.寿命予測用ゴム試験体Aの形状は、鼓型(砂時計型)とする。これにより、ソリッド形状となって、純粋な1軸引張り圧縮時の疲労特性を計ることが可能になり、実物との整合性も取り易くなる利点がある。このように、予備試験機41を用いて各種のゴムの材料特性を取得する一連の動作を「ゴム特性取得手順47」と称するものとする(図1,2参照)。
軸ばねゴムGは、図11,図12に示すように、鉄道台車(装着対象の一例)9(図1も参照)において車輪5の車軸6を支える車軸箱7を台車枠8に懸架支持させる手段であり、主軸10とその周囲に配置された外筒11との間に、複数の中間筒12,13と複数のゴム層14とが同心状態で、かつ、径方向に交互に積層されて軸ばね部15が構成されている。尚、17は主軸10に一体化されるストッパフランジであり、18は最内側のゴム層14に一体化されるストッパゴムである。
主軸10は、金属製のものであって、円錐筒状に形成され、その下端開口部に車軸6の車箱7に固定するためのネジ19が刻設されている。この主軸10の周囲に配置される複数の中間筒12,13及び外筒11は、主軸10と同様に金属製のものであって、円錐筒状に形成されており、これらの筒は径方向で外側に向かうほど上方位置となるよう主軸10の軸心Qの方向にずれた状態で配置される。そして、外筒11の外周部には、台車枠8に嵌込むための嵌合部16が形成されている。また、ゴム層14は、主軸10、中間筒12、13、及び外筒11の間に介在され、これらに加硫成形されて一体化されている。
実施例1による軸ばねゴム(詳しくは軸ばね部15であり、ゴム製品の一例)Gの寿命予測装置J及び寿命予測方法Mは、図1,図2に示すように、波形取得手段21(波形取得手順31)と、波形整形手段22(波形整形手順32)と、データ処理手段23(手順33)と、均一化処理手段24(手順34)と、FEM手段25(手順35)と、出力データ精査手段26(手順36)と、マトリクス作成手段27(手順37)と、寿命算出手段28(手順38)と、修正手段29(手順39)と、これらに電気的に接続される制御手段20とを有して構成されている。尚、42は、複数の寿命予測用ゴム試験体Aを予備試験機41で試験することで作成される各種ゴムの寿命予測線図を集めて成るハイト図(ヘーグ図)等のライブラリである。また、43は3軸耐久試験機であり、軸ばねゴムGの実際の寿命を測るための確認用試験機として用意され、適宜の通信手段44を介して制御手段20に情報送信可能とされている。さらに、45は液晶パネル等の表示部である。
〔工程1.〕
まず波形取得手順31を実行する。鉄道台車9の軸ばねゴムGには、荷重センサ、変位センサ、歪ゲージ等の荷重検出手段(符記省略)が装着されており、その荷重検出手段の検出信号を、適宜の通信手段(インターネット、専用の通信線等)40を介して波形取得手段21に送信可能に構成されており、これを波形測定手段46(波形測定手順)と定義する。つまり、上記の状態の鉄道車両B(図1参照)を予め定められている試験区間(例:大阪〜神戸間)で走行させ、その間に軸ばねゴムGに作用する種々の荷重を所定時間に亘って測定し、その検出情報を波形取得手段21に送信することにより、荷重の時系列波形を得ることができる。この場合、実機走行に代えて、マルチボディシュミレーション等の解析モデルを用いて軸ばねゴムGに作用する荷重を所定時間に亘って想定することでも良く、その場合には想定される時系列波形の信号を、適宜の通信手段を用いて波形取得手段21に伝送し、荷重の時系列波形を得ることとなる。このように、軸ばねゴムGに作用する荷重の時系列波形を得る一連の動作が波形取得手順31である(図2参照)。
〔工程2.〕
波形整形手順32は、図1〜図4に示すように、波形取得手順31で得られる荷重に関する時系列波形を時短処理するものであって、波形整形手段22によって実行される。波形取得手段21による時系列波形は3次元成分が総合されたものであるため、図3に示すように、まずX軸、Y軸、及びZ軸に関する1次元の時系列波形〔図4(a)の「元波形データ」を参照〕をそれぞれ作成し、それら3軸方向の各入力データをレインフロー法によって時系列波形の削除予定点を算定し、それらの点をメモリする。
次いで、各種の寿命予測用ゴム試験体Aを予備試験機41で試験することで予め作成されているS−N曲線(ヴェーラ曲線)、ハイト図(ヘーグ図)〔図8参照〕等から寿命に影響しない(又は殆ど影響しない)点を算定し、その点をメモリする。それから、レインフロー法による削除予定点と寿命に影響のない点とを足し合わせたものを新たな削除予定点としてメモリする。そして、X軸Y軸Z軸それぞれ新たな削除予定点が時系列上の同時刻において現れる点を最終的な削除予定点として探し出し〔図4(b)の「長寿命成分除去の波形データ」を参照〕、それらの各点を削除する。最後に、削除された点を横軸(時系列)上で原点側(図4の左側)に詰める操作を行い、図4(c)に示すように時短された荷重に関する時系列波形を得ることができる。尚、処理し易くするため、或いは試験機のアクチュエータ稼動速度に対応するため等により、図4(d)に示すように、図4(c)の時間軸(横軸)を二倍に延ばした時系列波形としても良い。
上記の例では、X〜Zの3軸(三次元)のデータを用いたが、例えばX軸とY軸とによる2軸(二次元)のデータに同様の削除操作を行って時短する処理でも良い。つまり、波形成形手段22によって実行される波形整形手順32は、X軸、Y軸、及びZ軸のうちの二つ以上の時系列波形が得られている状態において、各軸におけるデータ省略対象部分が時間的に全て揃った場合にのみ、その省略対象部分に要する時間を除いて時短処理する方法である。
時系列波形の時短処理を行う波形整形手段22による効果としては、a.微振動省略、b.時間軸短縮、c.データ間を内挿補間、d.レインフロー処理して平均値と振幅値との組合せに場合分け、がある。まず、a.微振動省略により、ゴム損傷に影響の少ないものを除去することができるとともに、実際のアクチュエータの性能を発揮して実験精度が向上する。また、応力変化を滑らかにして計算精度の向上が可能であり、計算数が減少して計算時間の短縮も可能になる。
b.時間軸短縮によれば、試験時間、解析時間を短縮化することができる。c.データ間を内挿補間することにより、正弦多項式近似(CAEでは、応力変化をなだらかにして計算精度を向上させることができ、実験では、試験機アクチュエータの動きを滑らかにすることができる)、矩形波近似(三角波と同様の効果)、台形波形近似(実際のアクチュエータの性能を発揮し、実験精度が向上する)が得られる。d.レインフロー処理して平均値と振幅値との組合せに場合分けでは、次のイ.、ロ.、ハ.が得られる。イ.正弦波でしか動かせない試験機でも試験が可能になる。ロ.解析計算する場合の有限要素法の計算数を低減させることができる。卓越する条件とハイト図(ヘーグ図)から、机上で寿命予測を行うことができる。
〔工程3.〕
ゴム製品寿命予測方法のFEM入力データ処理方法であるデータ処理手順33は、図1,図2,図5に示すように、波形取得手段21によって(波形取得手順31によって)時系列波形が得られたら、それを有限要素法解析に適した入力データに処理するものであって、データ処理手段23によって実行される。但し、時系列波形が比較的長時間に亘っていてそのままではデータ処理手段23がやり難いと判断される場合には、時系列波形の時間を短縮(圧縮)させる波形整形手順32(前述)を波形整形手段22によって実行することが可能である。
データ処理手順33は、波形取得手順31又は波形整形手順32の実行によって得られた時系列波形に基づく入力データが所定の均一な分布状態であれば後述のFEM手順35に移行し、不均一な分布状態であれば所定の均一な分布状態になるまで入力データを細分化する均一化処理手順34を含んでいる。この場合、均一化処理手段24による入力データの細分化手段としてレインフロー法が用いられる。参考として図5に、このレインフロー法によるデータ処理手順33のアルゴリズムを示すフロー図を示す。
〔工程4.〕FEM手順35は、図1,図2,図6に示すように、データ処理手順33で得られる入力データを用いて有限要素法解析を行うものである。FEM手段25による有限要素法解析では、入力データとして強度仮説量(最大主応力、最大主歪、せん断応力、ラグランジュ歪、変形エネルギー密度、最大せん断応力等であり、対象となる軸ばねゴムGにより選択する)を用い、損傷を判定する物理量を決める。これにより、実機の損傷を反映し、精度の良寿命予測が可能となる利点がある。
出力データ精査手順36は、図1,図2,図7に示すように、FEMモデルの長方形線形要素を作成するとともに互いに隣合う前記長方形線形要素どうしにおける互いに隣合う積分点どうしを比較して、数的連続性があれば適合な出力データとして処理し、数的連続性がなければ数的連続性を得るための再処理を行うもの(ゴム製品寿命予測用のFEM出力データ処理方法)であって、これを行う出力データ精査手段26はFEM手段25に含まれている。
FEMモデルの長方形成形要素として、例えば図7(a)に示すように第1〜第4要素y1〜y4による前後左右2列であって左から右に向かって、かつ、前から後に向かって夫々値が低減している場合において、第1要素y1とその右隣の第2要素y2では、左から右に向かって順次積分値が減って行くもの(10→9→9→8)、(9→8→8→7)であるから適合データと判断できる。同様に、第3要素y3と第4要素y4、第1要素y1とその後隣の第3要素y3、及び第2要素y2と第4要素y4との関係も積分値が漸変しており、適合データであると判断できる。
次に、例えば図7(b)に示すように、図7(a)とは異なる箇所における前後左右2列の第5〜第8要素y5〜y8による前後左右2列であって左から右に向かって、かつ、前から後に向かって夫々値が低減している場合において、第5要素y5からその右隣の第6要素y6に進む方向の前側部分では、同等又は減るはずの積分値が9から10に上昇している箇所があり、破線の円で囲った「10」の積分値が異常値であると考えられる。また、第6要素y6からその後隣の第8要素y8に進む方向の右側部分では、同等又は減るはずの積分値が7から9に上昇している箇所があり、破線の円で囲った「9」の積分値も異常値であると考えられる。
その結果、図7(b)に示す出力データは適正でないと判断され(図6のフローにおけるいずれかの「コンタ分布」の項がNOと判断され)、例えば50以上の数に細分化してFEMをやり直す処理(後述の細分化処理手順49)が実行される。そして、細分化による再FEMを実行しても、或いは元々FEM入力データに瑕疵がある場合には、入力データ自体を変更(入力データ見直し:図6参照)をしてから再びFEMを行う再FEM手順50が実行される。
また、出力データ精査手順36は、前述した数的連続性がない場合の再処理として、先ずFEMモデルの細分化による積分点どうしの比較を行って数的連続性を判断する細分化処理手順49と、細分化処理手順49の実行によっても数的連続性が得られないときには、時系列波形に基づく入力データの見直しを行ってからFEM手順35をやり直す再FEM手順50とを含んでいる。細分化処理手順49は、長方形線形要素(y1等)を例えば20分割から50以上に分割するといった具合に細分化し、その状態で新たに有限要素法解析(FEM)を行わせるルーチンである。
〔工程5.〕マトリクス作成手順37は、図1,図2,図8に示すように、FEM手順35によって得られる出力データを用いてのレインフロー法により、振幅と平均値との組合せの頻度をカウントして成るマトリクスMを作成するものである。マトリクス作成手段27によって実行されるマトリクス作成手順37のやり方自体は、基本的にはデータ処理手段23によるデータ処理手順33と同じであり、図8のフロー図を参酌すれば十分理解できることから、詳細な説明は割愛する。
マトリクス作成手順37においては、FEM手順36によって決定された強度仮説量の時刻歴応答波形(各接点ごと)で、振幅と平均値との組合せ毎の頻度(回数)をカウントする〔図8のハイト図(ヘーグ図)を参照〕。振幅、平均値の区間は、均等分割、ログスケール分割、不均一分割の何れかを用い、損傷大の箇所は密に(細かく)、そして影響小の箇所は粗に(荒く)なるように設定する。このような区間分割により、計算数を低減させ、計算時間も短縮することが可能になるとともに、さらに分割を任意に選択することにより、計算精度(寿命予測信頼性)を向上させることも可能となる利点がある。
〔工程6.〕寿命算出手順38は、マトリクス作成手順37によって作成されるマトリクスMと、軸ばねゴムGと同じゴムを用いて作成されている寿命予測用ゴム試験体Aの耐久試験結果データとを比較しての演算処理によって軸ばねゴムGの寿命を割り出すものであって、寿命算出手段28によって実行される。寿命算出手段28は、ここでは修正マイナー法を用いて演算処理するものに構成されている。
修正マイナー法とは銅などの非鉄金属には明確な疲労限がないため、S−N曲線(ヴェーラ曲線)を延ばして疲労寿命を有限として疲労寿命を推定する手法である。寿命算出手順38では、ライブラリ作成手段42(ゴム特性取得手順47)によって得られ、CPU等による制御手段20に記憶されている比較対照ゴムの寿命j0を分母に、かつ、マトリックス作成手段27によって求められるレインフローマトリクスj1を分子とした比較値(j1/j0)を算出する。この比較値(j1/j0)が0.5(j1/j0=0.5)と算出されたとすれば、軸ばねゴムGの寿命は、同じ波形を入力したときの同じゴムによる寿命予測用ゴム試験体Aの寿命の2倍であることになる。つまり、ゴム試験体Aの寿命が3年であれば、軸ばねゴムGの寿命は6年になるという具合に算出することができる。
〔工程7.〕
この工程7.は、前述したライブラリの作成を行う手順である。即ち、鉄道台車9に装備されるゴムと同じゴム(硬度及び配合が互いに等しい)を用いた複数種の寿命予測用ゴム試験体Aを作成し、それら各寿命予測用ゴム試験体Aの予備試験機による試験データを集めてハイト図(ヘーグ図)を作成する等の前述のゴム特性取得手順47である。ゴム特性取得手順47については、寿命予測用ゴム試験体Aの説明において既述してあるので、ここでのそれ以上の説明は省略する。
〔工程8.〕
工程8.は、工程1.〜工程7.によって算出された軸ばねゴムAの予測寿命が正しいかどうかを確認する必要が生じた場合に実行される修正手順39(図2参照)である。即ち、寿命算出手順38によって割り出された軸ばねゴムAの寿命(予測寿命)と、軸ばねゴムAを実際に3軸耐久試験機43で損傷するまで耐久試験させる実耐久試験手順48(図1,2参照)による寿命とを比較して、これら両寿命どうしの整合性が無い又はあまり無い場合には、それら寿命どうしの整合性が取れるように寿命算出手順38における演算処理を修正する修正手順39を、修正手段29によって実行させることが加味される。
この修正手段29は、例えば一定期間ごと(例:1ヶ月毎)や、一定数ごと(例:軸ばねゴムAを200個生産する毎等)に行うとか、納入先から要望があったとき等に行われる。つまり、寿命予測装置Jによる予測寿命と、3軸耐久試験機43による試験結果による寿命との比率を、算出された寿命値に乗するように修正する。例えば、寿命算出手順38による寿命よりも試験結果による寿命が長い場合には、算出された寿命値に1以下の値が乗され、短い場合には算出された寿命値に1以上値が乗される。これにより、寿命予測の精度をさらに向上させることが可能になる。
9 装着対象
33 データ処理手順
35 FEM手順
36 出力データ精査手順
37 マトリクス作成手順(FEM出力データ処理方法)
38 寿命算出手順
49 細分化処理手順
50 再FEM手順
G ゴム製品
M マトリクス
y1〜y8 長方形線形要素
本発明は、防振ゴム、免震ゴム、積層ゴム、型物ゴム等のゴム製品の寿命予測方法に係り、詳しくは、有限要素法解析の出力データを寿命予測用ゴム試験体のハイト図(ヘーグ図)或いはS−N曲線(ヴェーラ曲線)と比較検討し易くすべく、変位と平均値とによるマトリクスを作成するためのFEM出力データ処理方法(ゴム製品寿命予測用のFEM出力データ処理方法)に関するものである。
ゴム製品の例としては、鉄道台車の軸ばね用としてゴム(軸ばねゴム)が使われており、その耐久性が要求されるゴムの寿命を設計段階で予測できれば便利である。即ち、毎日営業運転されるであろう鉄道車両の台車に組み込まれる懸架用ゴムは酷使される機能部品であり、寿命が分っておれば部品交換の時期を見越した車両管理ができて好都合であるとともに、不測の故障や損傷を未然に防ぐことができる等、メリットは多い。
そこで、ゴム製品の寿命予測の従来技術としては、特許文献1や特許文献2にて開示されるように、ゴムベルトの寿命予測方法並びに予測装置に関するたものが知られている。これらのゴムベルトは、強度を出すための心線が埋設されるとともに、歯部の表面強度を出すための歯布を備える等の複合ゴム材料であるから、ゴムのみの材料としての寿命予測には適用することができない。
また、前述の軸ばね用ゴムといった鉄道車両等の乗り物に使用されるゴム製品は、実機に組み込んでの耐久試験に長時間を要するものであるが、製品開発期間の短縮化に伴い、ゴム製品の寿命(信頼性)判断に要する期間をもっと短縮化させることも課題となってきている。
特開平7−332443号公報 特開平9−133592号公報
ゴム製品の寿命を予測するに当り、日本工業規格で定められる形状の試験ゴム片〔例:ダンベル状3号形(JIS.K6251)〕を用いて定伸長疲労試験を行うのが一般的である。つまり、小径の試験ゴム部が破断するまで引張る耐引張り強さ試験や、ある程度の距離での引張り負荷・除荷を周期的に繰り返し行う振動引張り試験(耐久試験)を行う。しかしながら、防振ゴム等においては、単純な引張りだけでなく圧縮、抉り、捩り、傾斜等の6自由度(三次元)的な動きをするので、引張りだけの1自由度(一次元)のテストしかできない前述のダンベル状試験ゴム片では不適格である。故に、ゴム製品の寿命予測を行うには、さらなる改善の余地が残されているものであった。
本発明は、ゴム製品を損傷するまでの長期に亘る耐久試験を行うことなく、早期に、そして精度を落とすことなくその製品寿命を予測することが可能となるゴム製品の寿命予測方法を実現させることと、有限要素法解析の出力データを寿命予測用ゴム試験体のハイト図(ヘーグ図)と比較検討することを容易化すべく、変位と平均値とのよるマトリクスを作成する点にも着目し、そのためのFEM出力データ処理方法を開発して提供することとを目的とする。
請求項1に係る発明は、ゴム製品の寿命予測方法において、装着対象9に装着された状態のゴム製品Gに作用する荷重を所定時間に亘って取得することで得られる時系列波形を、有限要素法解析に適した入力データに処理するデータ処理手順33と、
前記データ処理手順33で得られる入力データを用いて有限要素法解析を行うFEM手順35と、
前記FEM手順35によって得られる出力データを用いてのレインフロー法により、振幅と平均値との組合せの頻度をカウントして成るマトリクスMを作成するマトリクス作成手順37と、
前記マトリクス作成手順37によって作成されるマトリクスMと、前記ゴム製品Gと同じゴムを用いて作成されている寿命予測用ゴム試験体Aの耐久試験結果データとを比較して演算処理することで前記ゴム製品Gの寿命を割り出す寿命算出手順38と、
前記寿命算出手順38によって割り出された寿命と、前記耐久試験結果データによる寿命との整合性が無い又はあまり無い場合には、それら寿命どうしの整合性が取れるように前記寿命算出手順38における演算処理を修正する修正手順39と、
を有することを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、得られた時系列波形を基にして有限要素法解析を用いるとともに、振幅と平均値との頻度をカウントして成るマトリクスと、S−N曲線(ヴェーラ曲線)だけでなくハイト図(ヘーグ図)も用いて出される寿命予測用ゴム試験体と寿命との比較及び演算によってゴム製品の寿命を予測することが可能になっている。ゴム製品の場合には負荷(荷重)の振幅だけでなく、平均負荷(中間負荷、予負荷)にも依存するので、S−N曲線(ヴェーラ曲線)だけでは不十分であり、従って、従来技術では適用できなかったゴム製品について、長時間に亘る実機や試験機による耐久テストを行うことなく短時間に、かつ、精度を落とすことなく寿命予測が行えるようになる。
そして、レインフロー法を用いてFEM出力データからマトリクスを作成させることにより、FEM手順によって決定された強度仮説量の時刻歴応答波形で、振幅と平均値との組合せ毎の頻度(回数)をカウントでき、振幅、平均値の区間は、均等分割、ログスケール分割、不均一分割の何れかを用い、損傷大の箇所は密に(細かく)、そして影響小の箇所は粗に(荒く)なるように設定することが可能になる。
故に、計算数を低減させ、計算時間も短縮可能になるとともに、分割数を任意に選択することで計算精度(寿命予測信頼性)を向上させることも可能となる。その結果、ゴム製品を損傷するまでの長期に亘る耐久試験を行うことなく、早期に、そして精度を落とすことなくその製品寿命を予測することが可能となるゴム製品の寿命予測方法を実現させることができる。
そして、有限要素法解析の出力データを寿命予測用ゴム試験体のハイト図(ヘーグ図)と比較検討することを容易化すべく、変位と平均値とのよるマトリクスを作成する点にも着目し、そのためのFEM出力データ処理方法を開発して提供することもできる。
また、寿命算出手順による寿命を、これと耐久試験結果データによる寿命との整合性が取れるように処理する修正手順を設けたことにより、寿命予測の精度をさらに向上させることが可能になる。
ゴム製品の寿命予測装置を示すブロック図(実施例1) 図1の装置によるゴム製品の寿命予測方法を示すブロック図 波形整形手順における時短処理のアルゴリズムを示すフロー図 時短処理方法を示し、(a)は元波形データ、(b)は不要データの除去、(c)は時短された波形データ、(d)は(c)の時間を2倍に拡張させた波形データ データ処理手段及び波形整形手段のアルゴリズムを示すフロー図 FEM手段のアルゴリズムを示すフロー図 出力データ精査手順の原理を示し、(a)は積分点の連続性がOKの例、(b)は積分点の連続性がNGの例 マトリクス作成手順のアルゴリズムを示すフロー図 寿命予測用ゴム試験体のを示す側面図 図5の最くびれ箇所と硬質フランジ接面との径及び断面積の比較図 鉄道台車の要部を示す一部切欠きの側面図 軸ばねゴムの一例を示す断面図
以下に、本発明によるゴム製品の寿命予測方法及び装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1はゴム製品の寿命予測装置を示すブロック図、図2はゴム製品の寿命予測方法を示すブロック図、図3は波形整形手順のフロー図、図4は時短処理方法を示す作用図、図5はデータ処理手順のフロー図、図6はFEM手順のフロー図、図7は出力データ精査手順の原理作用図、図8はマトリクス作成手順のフロー図、図9,10は寿命予測用ゴム試験体の側面図と断面比較図、図11は鉄道台車要部の側面図、図12は軸ばねゴムの断面図である。
まず初めに、本発明によるゴム製品の寿命予測方法を、鉄道台車に用いられる軸ばねゴム(防振ゴム)で簡単に説明する(図2参照)。先に、鼓型形状の試験ゴム部1を有する寿命予測用ゴム試験体A(図9参照)を作り、その寿命特性を種々のゴムについて求めたライブラリを作成する。それから、軸ばねゴムG(図12参照)を実機に組付けて試験区間を走行して(又はシュミレーションして)、軸ばねゴムGに作用する荷重の時系列波形を得るとともに、その時系列波形を基にした有限要素法解析を行い、強度仮説量に変換された時系列波形によるマトリクスMを作成する。そして、作成されたマトリクスMと、軸ばねゴムGの試験ゴム部1と同じゴムによる寿命予測用ゴム試験体Aのデータとを比較し、修正マイナー法によって軸ばねゴムGの相対的な寿命を算出する、というものである。次に、構成や方法(手順)について詳細に説明する。
〔実施例1〕
まず、寿命予測用ゴム試験体A並びに軸ばねゴムGについて説明する。寿命予測用ゴム試験体Aは、図9,図10に示すように、互いに離間している一対の硬質フランジ2,3と、それら硬質フランジ2,3の間に介装される試験ゴム部1とから構成されている。各硬質フランジ2,3は、ステンレスや圧延鋼板等の厚手の金属板で形成されており、例えば、円形の硬質フランジ2,3の中央に一体装備されているボルト部4等の連結手段を備えておけば好都合である。厚み一定の金属円板で成る硬質フランジ2,3は、試験ゴム部1への張出しがないものとなるように、それらの試験ゴム部側の面、即ち内側面2A,3Aが水平面(フラット面の一例)に形成されている。
試験ゴム部1は、硬質フランジ2,3どうしを結ぶ軸心P方向における両端部での径が大で、かつ、軸心P方向の中央部での径が小となって側面視で鼓形状を呈し、軸心P方向視では円形(又は多角形)を呈する形状に形成されたゴム塊で成り、加硫接着によって上下の硬質フランジ2,3に一体化されている。そして試験ゴム部1は、その最くびれ箇所(図9では上下の中心位置)1aの径を2r、試験ゴム部の高さ(軸心P方向長さ)をH、最くびれ箇所1aの断面積をSA、試験ゴム部1の硬質フランジ2,3との接面の面積をSO、試験ゴム部1の側面視における外郭ラインLが硬質フランジ2,3に接する箇所(試験ゴム部1の外周における硬質フランジ2,3と交わる箇所)Dにおける硬質フランジ2,3に対する接線mの角度をθとすると、
1≦H/2r≦2……(1)
2≦SO/SA≦4……(2)
θ=45±10度……(3)
なる関係が成立するように構成されている。
試験ゴム部1の外郭ラインLは、軸心Pに直交し、かつ、試験ゴム部1の上下中央を通る横軸心X上に中心tを有する半径Rの円弧に形成されている。各硬質フランジ2,3と試験ゴム部1とは、試験ゴム部1の加硫工程による加硫接着で一体化されている。図10には、試験ゴム部1の最くびれ箇所1aの直径(断面積)と、硬質フランジ2,3との接面での直径(断面積)との比率を示してあり、最くびれ箇所1aでは直径が2rで断面積SA=πrであり、接面では直径が2kで断面積SO=πkである。参考に、図示の寸法比率では、前記式(2)のSO/SAは2.89になっている。つまり、試験ゴム部1の断面形状が円の場合には、接面での半径kは、√2r≦k≦2rになる。
寿命予測用ゴム試験体Aを用いての予備試験機(引張試験機、荷重試験機等)41(図1参照)による予備試験方法は、次の(1)〜(4)の手順によって行われる。まず、(1)寿命予測用ゴム試験体Aのバネ定数を測定する。(2)試験前の動特性(絶対ばね、動ばね、減衰係数、損失係数)を測定する。(3)試験を開始する。試験条件として、変位正弦波加振制御を行う、平均値を−80%〜80%(高さに対する値)に変化させる、振幅を−100%〜100%に変化させる、周波数は1Hz〜50Hzの間の任意の値とする、を採用する。(4)試験中は動特性をサーベイ(精査)し、結果を記録し、試験ゴム部1に損傷(初期クラック)が発生した時点でそれを記録してから実験を終了する。
つまり、a.予備試験機41を用いて寿命予測用ゴム試験体A(n=4)の静ばね特性・動特性を測定する。これにより、試験ゴム部1の損傷の目安を定量的に示すことができる。b.予備試験機41を用いて寿命予測用ゴム試験体A(n=1)の疲労試験を行う。この試験は試験ゴム部1に亀裂が発生するまで継続して行うものとする。ここでの加振方法は変位制御とする。何故なら、荷重制御にすると、試験ゴム部1の損傷時に試験機を壊すおそれがあるからである。c.寿命予測用ゴム試験体Aの形状は、鼓型(砂時計型)とする。これにより、ソリッド形状となって、純粋な1軸引張り圧縮時の疲労特性を計ることが可能になり、実物との整合性も取り易くなる利点がある。このように、予備試験機41を用いて各種のゴムの材料特性を取得する一連の動作を「ゴム特性取得手順47」と称するものとする(図1,2参照)。
軸ばねゴムGは、図11,図12に示すように、鉄道台車(装着対象の一例)9(図1も参照)において車輪5の車軸6を支える車軸箱7を台車枠8に懸架支持させる手段であり、主軸10とその周囲に配置された外筒11との間に、複数の中間筒12,13と複数のゴム層14とが同心状態で、かつ、径方向に交互に積層されて軸ばね部15が構成されている。尚、17は主軸10に一体化されるストッパフランジであり、18は最内側のゴム層14に一体化されるストッパゴムである。
主軸10は、金属製のものであって、円錐筒状に形成され、その下端開口部に車軸6の車箱7に固定するためのネジ19が刻設されている。この主軸10の周囲に配置される複数の中間筒12,13及び外筒11は、主軸10と同様に金属製のものであって、円錐筒状に形成されており、これらの筒は径方向で外側に向かうほど上方位置となるよう主軸10の軸心Qの方向にずれた状態で配置される。そして、外筒11の外周部には、台車枠8に嵌込むための嵌合部16が形成されている。また、ゴム層14は、主軸10、中間筒12、13、及び外筒11の間に介在され、これらに加硫成形されて一体化されている。
実施例1による軸ばねゴム(詳しくは軸ばね部15であり、ゴム製品の一例)Gの寿命予測装置J及び寿命予測方法Mは、図1,図2に示すように、波形取得手段21(波形取得手順31)と、波形整形手段22(波形整形手順32)と、データ処理手段23(手順33)と、均一化処理手段24(手順34)と、FEM手段25(手順35)と、出力データ精査手段26(手順36)と、マトリクス作成手段27(手順37)と、寿命算出手段28(手順38)と、修正手段29(手順39)と、これらに電気的に接続される制御手段20とを有して構成されている。尚、42は、複数の寿命予測用ゴム試験体Aを予備試験機41で試験することで作成される各種ゴムの寿命予測線図を集めて成るハイト図(ヘーグ図)等のライブラリである。また、43は3軸耐久試験機であり、軸ばねゴムGの実際の寿命を測るための確認用試験機として用意され、適宜の通信手段44を介して制御手段20に情報送信可能とされている。さらに、45は液晶パネル等の表示部である。
〔工程1.〕
まず波形取得手順31を実行する。鉄道台車9の軸ばねゴムGには、荷重センサ、変位センサ、歪ゲージ等の荷重検出手段(符記省略)が装着されており、その荷重検出手段の検出信号を、適宜の通信手段(インターネット、専用の通信線等)40を介して波形取得手段21に送信可能に構成されており、これを波形測定手段46(波形測定手順)と定義する。つまり、上記の状態の鉄道車両B(図1参照)を予め定められている試験区間(例:大阪〜神戸間)で走行させ、その間に軸ばねゴムGに作用する種々の荷重を所定時間に亘って測定し、その検出情報を波形取得手段21に送信することにより、荷重の時系列波形を得ることができる。この場合、実機走行に代えて、マルチボディシュミレーション等の解析モデルを用いて軸ばねゴムGに作用する荷重を所定時間に亘って想定することでも良く、その場合には想定される時系列波形の信号を、適宜の通信手段を用いて波形取得手段21に伝送し、荷重の時系列波形を得ることとなる。このように、軸ばねゴムGに作用する荷重の時系列波形を得る一連の動作が波形取得手順31である(図2参照)。
〔工程2.〕
波形整形手順32は、図1〜図4に示すように、波形取得手順31で得られる荷重に関する時系列波形を時短処理するものであって、波形整形手段22によって実行される。波形取得手段21による時系列波形は3次元成分が総合されたものであるため、図3に示すように、まずX軸、Y軸、及びZ軸に関する1次元の時系列波形〔図4(a)の「元波形データ」を参照〕をそれぞれ作成し、それら3軸方向の各入力データをレインフロー法によって時系列波形の削除予定点を算定し、それらの点をメモリする。
次いで、各種の寿命予測用ゴム試験体Aを予備試験機41で試験することで予め作成されているS−N曲線(ヴェーラ曲線)、ハイト図(ヘーグ図)〔図8参照〕等から寿命に影響しない(又は殆ど影響しない)点を算定し、その点をメモリする。それから、レインフロー法による削除予定点と寿命に影響のない点とを足し合わせたものを新たな削除予定点としてメモリする。そして、X軸Y軸Z軸それぞれ新たな削除予定点が時系列上の同時刻において現れる点を最終的な削除予定点として探し出し〔図4(b)の「長寿命成分除去の波形データ」を参照〕、それらの各点を削除する。最後に、削除された点を横軸(時系列)上で原点側(図4の左側)に詰める操作を行い、図4(c)に示すように時短された荷重に関する時系列波形を得ることができる。尚、処理し易くするため、或いは試験機のアクチュエータ稼動速度に対応するため等により、図4(d)に示すように、図4(c)の時間軸(横軸)を二倍に延ばした時系列波形としても良い。
上記の例では、X〜Zの3軸(三次元)のデータを用いたが、例えばX軸とY軸とによる2軸(二次元)のデータに同様の削除操作を行って時短する処理でも良い。つまり、波形成形手段22によって実行される波形整形手順32は、X軸、Y軸、及びZ軸のうちの二つ以上の時系列波形が得られている状態において、各軸におけるデータ省略対象部分が時間的に全て揃った場合にのみ、その省略対象部分に要する時間を除いて時短処理する方法である。
時系列波形の時短処理を行う波形整形手段22による効果としては、a.微振動省略、b.時間軸短縮、c.データ間を内挿補間、d.レインフロー処理して平均値と振幅値との組合せに場合分け、がある。まず、a.微振動省略により、ゴム損傷に影響の少ないものを除去することができるとともに、実際のアクチュエータの性能を発揮して実験精度が向上する。また、応力変化を滑らかにして計算精度の向上が可能であり、計算数が減少して計算時間の短縮も可能になる。
b.時間軸短縮によれば、試験時間、解析時間を短縮化することができる。c.データ間を内挿補間することにより、正弦多項式近似(CAEでは、応力変化をなだらかにして計算精度を向上させることができ、実験では、試験機アクチュエータの動きを滑らかにすることができる)、矩形波近似(三角波と同様の効果)、台形波形近似(実際のアクチュエータの性能を発揮し、実験精度が向上する)が得られる。d.レインフロー処理して平均値と振幅値との組合せに場合分けでは、次のイ.、ロ.、ハ.が得られる。イ.正弦波でしか動かせない試験機でも試験が可能になる。ロ.解析計算する場合の有限要素法の計算数を低減させることができる。卓越する条件とハイト図(ヘーグ図)から、机上で寿命予測を行うことができる。
〔工程3.〕
ゴム製品寿命予測方法のFEM入力データ処理方法であるデータ処理手順33は、図1,図2,図5に示すように、波形取得手段21によって(波形取得手順31によって)時系列波形が得られたら、それを有限要素法解析に適した入力データに処理するものであって、データ処理手段23によって実行される。但し、時系列波形が比較的長時間に亘っていてそのままではデータ処理手段23がやり難いと判断される場合には、時系列波形の時間を短縮(圧縮)させる波形整形手順32(前述)を波形整形手段22によって実行することが可能である。
データ処理手順33は、波形取得手順31又は波形整形手順32の実行によって得られた時系列波形に基づく入力データが所定の均一な分布状態であれば後述のFEM手順35に移行し、不均一な分布状態であれば所定の均一な分布状態になるまで入力データを細分化する均一化処理手順34を含んでいる。この場合、均一化処理手段24による入力データの細分化手段としてレインフロー法が用いられる。参考として図5に、このレインフロー法によるデータ処理手順33のアルゴリズムを示すフロー図を示す。
〔工程4.〕FEM手順35は、図1,図2,図6に示すように、データ処理手順33で得られる入力データを用いて有限要素法解析を行うものである。FEM手段25による有限要素法解析では、入力データとして強度仮説量(最大主応力、最大主歪、せん断応力、ラグランジュ歪、変形エネルギー密度、最大せん断応力等であり、対象となる軸ばねゴムGにより選択する)を用い、損傷を判定する物理量を決める。これにより、実機の損傷を反映し、精度の良寿命予測が可能となる利点がある。
出力データ精査手順36は、図1,図2,図7に示すように、FEMモデルの長方形線形要素を作成するとともに互いに隣合う前記長方形線形要素どうしにおける互いに隣合う積分点どうしを比較して、数的連続性があれば適合な出力データとして処理し、数的連続性がなければ数的連続性を得るための再処理を行うもの(ゴム製品寿命予測用のFEM出力データ処理方法)であって、これを行う出力データ精査手段26はFEM手段25に含まれている。
FEMモデルの長方形成形要素として、例えば図7(a)に示すように第1〜第4要素y1〜y4による前後左右2列であって左から右に向かって、かつ、前から後に向かって夫々値が低減している場合において、第1要素y1とその右隣の第2要素y2では、左から右に向かって順次積分値が減って行くもの(10→9→9→8)、(9→8→8→7)であるから適合データと判断できる。同様に、第3要素y3と第4要素y4、第1要素y1とその後隣の第3要素y3、及び第2要素y2と第4要素y4との関係も積分値が漸変しており、適合データであると判断できる。
次に、例えば図7(b)に示すように、図7(a)とは異なる箇所における前後左右2列の第5〜第8要素y5〜y8による前後左右2列であって左から右に向かって、かつ、前から後に向かって夫々値が低減している場合において、第5要素y5からその右隣の第6要素y6に進む方向の前側部分では、同等又は減るはずの積分値が9から10に上昇している箇所があり、破線の円で囲った「10」の積分値が異常値であると考えられる。また、第6要素y6からその後隣の第8要素y8に進む方向の右側部分では、同等又は減るはずの積分値が7から9に上昇している箇所があり、破線の円で囲った「9」の積分値も異常値であると考えられる。
その結果、図7(b)に示す出力データは適正でないと判断され(図6のフローにおけるいずれかの「コンタ分布」の項がNOと判断され)、例えば50以上の数に細分化してFEMをやり直す処理(後述の細分化処理手順49)が実行される。そして、細分化による再FEMを実行しても、或いは元々FEM入力データに瑕疵がある場合には、入力データ自体を変更(入力データ見直し:図6参照)をしてから再びFEMを行う再FEM手順50が実行される。
また、出力データ精査手順36は、前述した数的連続性がない場合の再処理として、先ずFEMモデルの細分化による積分点どうしの比較を行って数的連続性を判断する細分化処理手順49と、細分化処理手順49の実行によっても数的連続性が得られないときには、時系列波形に基づく入力データの見直しを行ってからFEM手順35をやり直す再FEM手順50とを含んでいる。細分化処理手順49は、長方形線形要素(y1等)を例えば20分割から50以上に分割するといった具合に細分化し、その状態で新たに有限要素法解析(FEM)を行わせるルーチンである。
〔工程5.〕マトリクス作成手順37は、図1,図2,図8に示すように、FEM手順35によって得られる出力データを用いてのレインフロー法により、振幅と平均値との組合せの頻度をカウントして成るマトリクスMを作成するものである。マトリクス作成手段27によって実行されるマトリクス作成手順37のやり方自体は、基本的にはデータ処理手段23によるデータ処理手順33と同じであり、図8のフロー図を参酌すれば十分理解できることから、詳細な説明は割愛する。
マトリクス作成手順37においては、FEM手順36によって決定された強度仮説量の時刻歴応答波形(各接点ごと)で、振幅と平均値との組合せ毎の頻度(回数)をカウントする〔図8のハイト図(ヘーグ図)を参照〕。振幅、平均値の区間は、均等分割、ログスケール分割、不均一分割の何れかを用い、損傷大の箇所は密に(細かく)、そして影響小の箇所は粗に(荒く)なるように設定する。このような区間分割により、計算数を低減させ、計算時間も短縮することが可能になるとともに、さらに分割を任意に選択することにより、計算精度(寿命予測信頼性)を向上させることも可能となる利点がある。
〔工程6.〕寿命算出手順38は、マトリクス作成手順37によって作成されるマトリクスMと、軸ばねゴムGと同じゴムを用いて作成されている寿命予測用ゴム試験体Aの耐久試験結果データとを比較しての演算処理によって軸ばねゴムGの寿命を割り出すものであって、寿命算出手段28によって実行される。寿命算出手段28は、ここでは修正マイナー法を用いて演算処理するものに構成されている。
修正マイナー法とは銅などの非鉄金属には明確な疲労限がないため、S−N曲線(ヴェーラ曲線)を延ばして疲労寿命を有限として疲労寿命を推定する手法である。寿命算出手順38では、ライブラリ作成手段42(ゴム特性取得手順47)によって得られ、CPU等による制御手段20に記憶されている比較対照ゴムの寿命j0を分母に、かつ、マトリックス作成手段27によって求められるレインフローマトリクスj1を分子とした比較値(j1/j0)を算出する。この比較値(j1/j0)が0.5(j1/j0=0.5)と算出されたとすれば、軸ばねゴムGの寿命は、同じ波形を入力したときの同じゴムによる寿命予測用ゴム試験体Aの寿命の2倍であることになる。つまり、ゴム試験体Aの寿命が3年であれば、軸ばねゴムGの寿命は6年になるという具合に算出することができる。
〔工程7.〕
この工程7.は、前述したライブラリの作成を行う手順である。即ち、鉄道台車9に装備されるゴムと同じゴム(硬度及び配合が互いに等しい)を用いた複数種の寿命予測用ゴム試験体Aを作成し、それら各寿命予測用ゴム試験体Aの予備試験機による試験データを集めてハイト図(ヘーグ図)を作成する等の前述のゴム特性取得手順47である。ゴム特性取得手順47については、寿命予測用ゴム試験体Aの説明において既述してあるので、ここでのそれ以上の説明は省略する。
〔工程8.〕
工程8.は、工程1.〜工程7.によって算出された軸ばねゴムAの予測寿命が正しいかどうかを確認する必要が生じた場合に実行される修正手順39(図2参照)である。即ち、寿命算出手順38によって割り出された軸ばねゴムAの寿命(予測寿命)と、軸ばねゴムAを実際に3軸耐久試験機43で損傷するまで耐久試験させる実耐久試験手順48(図1,2参照)による寿命とを比較して、これら両寿命どうしの整合性が無い又はあまり無い場合には、それら寿命どうしの整合性が取れるように寿命算出手順38における演算処理を修正する修正手順39を、修正手段29によって実行させることが加味される。
この修正手段29は、例えば一定期間ごと(例:1ヶ月毎)や、一定数ごと(例:軸ばねゴムAを200個生産する毎等)に行うとか、納入先から要望があったとき等に行われる。つまり、寿命予測装置Jによる予測寿命と、3軸耐久試験機43による試験結果による寿命との比率を、算出された寿命値に乗するように修正する。例えば、寿命算出手順38による寿命よりも試験結果による寿命が長い場合には、算出された寿命値に1以上の値が乗され、短い場合には算出された寿命値に1以下の値が乗される。これにより、寿命予測の精度をさらに向上させることが可能になる。
9 装着対象
33 データ処理手順
35 FEM手順
36 出力データ精査手順
37 マトリクス作成手順(FEM出力データ処理方法)
38 寿命算出手順
39 修正手順
49 細分化処理手順
50 再FEM手順
G ゴム製品
M マトリクス
y1〜y8 長方形線形要素

Claims (1)

  1. 装着対象に装着された状態のゴム製品に作用する荷重を所定時間に亘って取得することで得られる時系列波形を、有限要素法解析に適した入力データに処理するデータ処理手順と、
    前記データ処理手順で得られる入力データを用いて有限要素法解析を行うFEM手順と、
    前記FEM手順によって得られる出力データを用いてのレインフロー法により、振幅と平均値との組合せの頻度をカウントして成るマトリクスを作成するマトリクス作成手順と、
    前記マトリクス作成手順によって作成されるマトリクスと、前記ゴム製品と同じゴムを用いて作成されている寿命予測用ゴム試験体の耐久試験結果データとを比較して演算処理することで前記ゴム製品の寿命を割り出す寿命算出手順と、
    前記寿命算出手順によって割り出された寿命と、前記耐久試験結果データによる寿命との整合性が無い又はあまり無い場合には、それら寿命どうしの整合性が取れるように前記寿命算出手順における演算処理を修正する修正手順と、
    を有するゴム製品の寿命予測方法。
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