JP6414374B1 - 分析方法、設計方法、製造方法、及びプログラム - Google Patents

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Abstract

鉄骨梁の横座屈耐力を評価するための分析方法であって、上フランジ(21)と下フランジ(22)とがウェブ(23)で連結された形鋼が用いられる梁(2)を対象とし、梁(2)の材軸方向Zの両端部(2a,2a)が固定されるとともに、梁(2)の材軸方向Zの中間部(2b)において、上フランジ(21)の幅方向Xの横移動が拘束されて、上フランジ(21)に上方から中間荷重が作用し、且つ梁(2)の材軸方向Zの両端部に端荷重が作用する条件下で、梁(2)の横座屈耐力Mcrを、所定の式から算出することを特徴とする分析方法、設計方法、製造方法、及びプログラムを提供する。

Description

本発明は、鉄骨梁の横座屈耐力を評価するための分析方法、鉄骨梁の設計方法、鉄骨梁の製造方法、及びプログラムに関する。
本願は、2017年2月17日に日本に出願された特願2017−028462号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
建築物の鉄骨梁における従来の横座屈耐力の評価式として下記(91)式が提案されている。また、鉄骨梁のねじりの条件に応じた2つのモーメント修正係数を使用した横座屈耐力の評価式を用いて、鉄骨梁の設計を高い精度とすることを目的として、特許文献1に開示される鉄骨梁の設計方法が提案されている。
ここで、従来の座屈の基礎方程式(たわみの微分方程式)は、多くの場合、その正解が知られていないか、あまりにも複雑であるため、座屈荷重の計算には一般的にエネルギー法が用いられる。このエネルギー法は、部材の変形を仮定して、この変形によって部材の内部に蓄えられるひずみエネルギーΔU、及び外力がなす仕事ΔTを求め、座屈荷重の下で両者が中立平衡状態(ΔU=ΔT)にあることに基づいて座屈荷重を得るものである。ただし、従来は中間荷重が作用する場合の横座屈の正しいエネルギー式は知られておらず、近似的なエネルギー式を用いて座屈荷重が計算されていたため、エネルギー法による横座屈荷重は実用に供し得ないものであった。
ところで、従来の座屈の基礎方程式では、地震時に逆対称モーメントが作用する場合の上フランジの横移動が拘束された梁の横座屈の変形が複雑であるため、梁の横座屈を数式で表してさらに横座屈耐力Mの閉形式の解を得るのは困難であった。このとき、等曲げモーメントが作用する場合の横座屈耐力Mの計算が簡単であるため、この横座屈耐力Mにモーメント修正係数Cを乗じた下記(91)式の近似式が、逆対称モーメントが作用する場合の梁の横座屈耐力Mの評価式として採用されている。
Figure 0006414374
そして、上フランジの横移動が拘束された両端固定の梁に等曲げモーメントが作用する場合の横座屈耐力Mの正解は、ワグナーねじり(反りねじり)による抵抗力及びサン・ブナンねじり(純ねじり)による抵抗力の和として、下記(92)式で与えられる。なお、下記(92)式においては、Eはヤング係数、Iは下フランジの断面二次モーメント、Gはせん断弾性係数、Jはサン・ブナンねじり定数、lは梁の長さ、dは上フランジと下フランジとの板厚中心間距離である。
Figure 0006414374
また、特許文献1に開示される設計方法は、上フランジの横移動が拘束された鉄骨梁の横座屈を防止するための鉄骨梁の設計方法である。特許文献1に開示される設計方法は、鉄骨梁の弾性横座屈耐力Mの評価式として、下記(93)式、(94)式を使用し、ワグナーねじりによる抵抗力及びサン・ブナンねじりによる抵抗力に、それぞれ別のモーメント修正係数C及びCを乗じることで、弾性横座屈耐力Mを算出することを特徴とする。なお、下記(93)式においても、Eはヤング係数、Iは下フランジの断面二次モーメント、Gはせん断弾性係数、Jはサン・ブナンねじり定数、lは梁の長さ、dは上フランジと下フランジとの板厚中心間距離である。
Figure 0006414374
しかし、上記(91)式、(92)式による梁の横座屈耐力Mの評価式では、以下のような問題があった。すなわち、上記(91)式は、等曲げモーメントが作用する場合の座屈荷重Mに、モーメント勾配の影響を加味するモーメント修正係数Cを乗じるため、実験及び解析に基づく近似解法であるが、その近似精度が低いことから、設計法として用いる場合には大きな安全率を必要としており、その点で改善の余地があった。
また、上記(91)式は、1つのモーメント修正係数Cを用いる評価式である。すなわち荷重条件を線形的な影響係数として表すことを試みたものであり、評価精度が低く経済的な構造設計を阻害する要因になっている。これに対して、上記(93)式、(94)式による梁の横座屈耐力Mの評価式は、2つのモーメント修正係数C及びCを用いる評価式であり、鉄骨梁を高い精度で設計できる。しかし、この評価式は逆対称モーメントのみに対応したものであって、鉛直荷重と水平荷重が組み合わさって種々に作用するという実建物の鉄骨梁の荷重には対応できていない。
日本国特開2016−23446号公報
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、高い精度で鉄骨梁の横座屈耐力を評価することのできる分析方法、設計方法、製造方法、及びプログラムを提供することにある。
(1)本発明の一態様に係る分析方法は、鉄骨梁の横座屈耐力を評価するための分析方法であって、
上フランジと下フランジとがウェブで連結された形鋼が用いられる梁を対象とし、梁の材軸方向の両端部が固定されるとともに、梁の材軸方向の中間部において、上フランジの幅方向の横移動が拘束されて、且つ上フランジに上方から中間荷重が作用し、且つ梁の材軸方向の両端部に端荷重が作用する条件下で、梁の横座屈耐力Mcrを、下記(12)式〜(16)式から算出することを特徴とする。
Figure 0006414374
ここで、β、γは、前提となる荷重条件V、wによって下記(1)式、(2)式から決まる係数である。なお、Vは、梁の材軸方向の端部に作用するせん断力、wは、梁の材軸方向の中間部に作用する中間荷重である。
また、Lは、梁の材軸方向の長さ、Eは、ヤング係数、Iは、下フランジの弱軸まわりの断面二次モーメント、Gは、せん断弾性係数、Jは、サン・ブナンのねじり定数、dは、上フランジと下フランジとの板厚中心間距離、zは梁の材軸方向の基準となる一端部から梁の材軸方向の任意の点までの長さである。φは、横座屈によって梁に生じるねじり角である。φ’はφの一階微分、φ’’はφの二階微分を表す。tは積分のための助変数である。
Figure 0006414374
(2)本発明の他の態様に係る分析方法では、上記(1)に記載の分析方法において、β、γは、下記(3a)式、(3b)式による範囲の実数として決定される。
Figure 0006414374
(3)本発明の他の態様に係る分析方法では、上記(1)又は(2)において、梁の両端部が剛接合で固定される場合に、φを、下記(10a)式又は(10b)式により算出する。
Figure 0006414374
ここで、aは第n項目の未定係数であり、φを(10a)式又は(10b)式により表す際に、これらの級数において級数を構成する各項の重みを表すものである。
(4)本発明の一態様に係る鉄骨梁の設計方法は、上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の分析方法に基づき、Mcrを算出する工程と、Mcrに基づき鉄骨梁の断面寸法を決定する工程と、を含むことを特徴とする。
(5)本発明の一態様に係る鉄骨梁の製造方法は、上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の分析方法に基づき、Mcrを算出する工程と、Mcrに基づき鉄骨梁の断面寸法を決定する工程と、決定された鉄骨梁の前記断面寸法に基づき鉄骨梁を製造する工程と、を含むことを特徴とする。
(6)本発明の一態様に係るプログラムをCPUにより実行することで、上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の分析方法を実現することができる。
(7)本発明の一態様に係るプログラムをCPUにより実行することで、上記(4)に記載の設計方法を実現することができる。
本発明に係る、鉄骨梁の横座屈耐力を評価するための分析方法、鉄骨梁の設計方法、鉄骨梁の製造方法、並びに、プログラムでは、高い精度で鉄骨梁の横座屈耐力を評価することができ、これに基づく鉄骨梁の設計、鉄骨梁の製造を行うことができる。
図1は、本実施形態に係る分析方法の対象となる鉄骨梁を示す斜視図である。 図2(a)は、本実施形態に係る分析方法の対象となる鉄骨梁のフリーボディを示す正面図であり、図2(b)は、その側面図である。 図3Aは、本実施形態に係る分析方法の対象となる鉄骨梁の両端部が固定されて上フランジの横移動が拘束された状態を示す正面図である。 図3Bは、図3Aに示す鉄骨梁の側面図である。 図3Cは、本実施形態に係る分析方法の対象となる鉄骨梁の上方の床スラブの一部に開口が設けられた例を示す正面図である。 図4(a)は、上フランジの横移動が拘束された鉄骨梁のFEMによる線形座屈解析結果例を示す斜視図であり、図4(b)は、上フランジの横移動が拘束されない鉄骨梁のFEMによる線形座屈解析結果例を示す斜視図である。 図5(a)は、本実施形態に係る分析方法の対象となる鉄骨梁の仮想変位の一例を示す側面図であり、図5(b)は、その底面図であり、図5(c)は、図5(a)のA−A’線断面図である。 図6(a)は、本実施形態に係る分析方法の対象となる鉄骨梁で両端部が等曲げとなる場合の材軸方向の曲げモーメント分布を示す概略側面図であり、図6(b)〜図6(d)は、両端部が等曲げとならない場合の逆対称モーメント等を示す概略側面図である。 図7(a)は、本実施形態に係る分析方法で所定の級数によって近似されるφを用いた計算結果を示すグラフであり、図7(b)は、フーリエ余弦級数の第4項近似によって近似されるφを用いた計算結果を示すグラフである。 図8は、本実施形態に係る分析方法の流れを説明するためのフロー図である。 図9は、本発明の一実施形態に係る設計方法の流れを説明するためのフロー図である。
以下、本発明を適用した分析方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態に係る分析方法は、図1に例示するような、建築物等の床構造、土間構造又は骨組構造等の構造材となる鉄骨梁を対象とする。
本実施形態に係る分析方法は、鉄骨梁の横座屈耐力を評価するために用いられるものであり、主に、上フランジ21と下フランジ22とがウェブ23で連結されたH形鋼20が用いられる梁2を対象とし、梁2の横座屈耐力を高い精度で算定するためのものである。
梁2は、図2(a)に示すように、幅方向Xに延びる上フランジ21と下フランジ22とが上下一対に設けられて、上下一対の上フランジ21と下フランジ22とがウェブ23で連結される。梁2は、例えば、上フランジ21及び下フランジ22の幅方向Xの略中央にウェブ23の上下端部が接続されることで、断面略H形状に形成された鉄骨梁となる。
梁2は、図2(b)に示すように、梁2全体が材軸方向Zに延びて所定の長さLとなる。そして、梁2は、上フランジ21の板厚の中心から下フランジ22の板厚の中心までの高さ方向Yの距離が、上フランジ21と下フランジ22との板厚中心間距離dとなる。
なお、板厚中心間距離dは、上フランジ21の上面から下フランジ22の上面までの高さ方向Yの距離、又は上フランジ21の下面から下フランジ22の下面までの高さ方向Yの距離と、略同一のものとして取り扱うこともできる。さらに、板厚中心間距離dは、上フランジ21の下面から下フランジ22の上面までの高さ方向Yの距離、又は梁2の高さ方向Yの梁成と、略同一のものとして取り扱うこともできる。
ここで、梁2は、図2に示すように、上フランジ21及び下フランジ22が幅方向Xに延びて形成されて、ウェブ23が高さ方向Yに延びて形成されることで、幅方向Xが強軸(したがって、幅方向Xを軸とした回転方向が強軸まわり)となり、高さ方向Yが弱軸(したがって、高さ方向Yを軸とした回転方向が弱軸まわり)となる。そして、梁2は、材軸方向Z及び高さ方向Yの構面に対して下フランジ22が幅方向Xにはらみだすことで、横座屈が発生するものとなる。
本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2は、図3Bに示すように、梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aが柱3等に剛接合で固定される。このとき、梁2の両端部2a,2aは、例えば、角形鋼管が柱3として用いられる場合に、角形鋼管の側面に設けられたダイアフラム30に溶接接合されることで、柱3に剛接合で固定支持されるものとなる。
また、梁2の両端部2a,2aは、鉄筋コンクリート柱又は無筋コンクリート柱が柱3として用いられる場合に、柱3の内部で互いに略直交する鉄骨梁に溶接接合されてもよい。さらに、梁2の両端部2a,2aは、鉄骨鉄筋コンクリート柱が柱3として用いられる場合に、柱3の内部で高さ方向Yに延びる鉄骨柱に溶接接合されてもよい。
梁2の両端部2a,2aは横座屈変形に対して固定端とする。すなわち梁2はその端部でY軸まわりに回転しないように柱に接合されており、かつ、梁2の上フランジ21はZ軸まわりに回転しないように柱3に接合されているものとする。この条件は、梁2の端部において上フランジ21が鋼製の柱に溶接等により接合される、あるいは、梁2の端部2aを含む一部がコンクリート製の柱に埋め込まれている状態とすることで実現される。
本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2は、梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aが柱3等に半剛接合又はピン接合で固定されてもよい。なお、半剛接合とは、柱3に対する梁2の回転移動をある程度拘束した接合形式をいい、柱3と梁2との間で伝達できる曲げ応力が、完全な剛接合と比較して小さいものをいう。また、ピン接合とは、柱3に対する梁2の回転移動を拘束しない接合形式をいい、柱3と梁2との間で伝達できる曲げ応力が皆無又は極小であるものをいう。そして、半剛接合、ピン接合及び剛接合の定義は、欧州設計基準(Eurocode3 Part1−8)に準拠するものとする。ただし、上記のように、梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aでのねじれ及び上フランジ21,下フランジ22のそりが固定された状態である必要がある。
また、本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2は、梁2の材軸方向Zの中間部2bにおいて、上フランジ21の上方にコンクリート等の床スラブ4が設けられる。床スラブ4は、コンクリートを主構造としたコンクリートスラブが用いられるほか、コンクリート及び鋼製等のデッキプレートを主構造としたデッキ合成スラブが用いられる。
以下では、床スラブ4を例示しているが、上フランジ21の上方に屋根を構成する部材の一部が設けられ、屋根の自重及び積載荷重等による中間荷重が作用し、かつ、上フランジ21の幅方向Xの横移動が拘束されてもよい。なお、本実施形態に係る分析方法では、両端部2a,2aにおける端面を除く部分を梁2の中間部と定義する。
また、本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2は、梁2の材軸方向Zの中間部2bにおいて、1又は複数の頭付きスタッド等のシヤコネクタ25が、上フランジ21の上面に所定の間隔で設けられる。シヤコネクタ25は、梁2の上フランジ21の上面から上方に突出させて設けられて、梁2の上フランジ21の上方で床スラブ4のコンクリート等に埋設等される。このとき、本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2は、シヤコネクタ25が床スラブ4に埋設等されることで、梁2の材軸方向Zの中間部2bにおいて、図3Aに示すように、上フランジ21の幅方向Xの横移動が拘束されるものとなる。
なお、広く一般に用いられている頭付きスタッドの他に、打ち込み鋲や床スラブ4としてデッキ合成スラブを用いる場合の焼抜き栓溶接など、梁2の上フランジ21の幅方向Xの横移動が拘束される程度に梁2の上フランジ21が床スラブに固着されるものであれば、シヤコネクタ25として用いることができる。
また、図3Cに示すように、梁2の材軸方向Zの長さLの1/3程度の長さlで床スラブ4に開口40がある場合でも、本実施形態に係る分析方法を適用することができる。この区間辺りで梁2の上フランジ21が横移動しないように、開口40の両側で梁2の上フランジ21が開口補強材41や直行梁によって適切に拘束されていることで、本実施形態に係る分析方法を好ましく用いることができる。
また、本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2には、図3Bに示すように、梁2の材軸方向Zの中間部2bにおいて、床スラブ4の自重及び積載荷重等による中間荷重が作用する。このとき、本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2には、梁2の材軸方向Zの中間部2bにおいて、上フランジ21に上方から中間荷重が等分布荷重として作用する。
また、地震等によって各柱3が傾斜した場合には、梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aに柱3から端荷重が作用する。本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2には、梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aの各々において、幅方向Xの軸まわりの曲げモーメント、高さ方向Yに沿ったせん断力又はこれらが組み合わされた荷重が作用することで、梁2の材軸方向Zに沿った内力が発生する。当然、これらの力の一つまたは複数の力の大きさは0であってもよい。
また、本実施形態に係る分析方法で対象となる梁2は、副梁などの補強部材による補強がなされていないものが対象となるが、本実施形態に係る分析方法は、補強部材による補強がなされている梁の座屈耐力を安全側に評価するものであるため、これを対象とすることもできる。なお、鉄筋は補強部材には含まれない。
本実施形態に係る分析方法は、特に、図4(a)に示すように、床スラブ4により上フランジ21の幅方向Xの横移動が拘束されているため、梁2が早期に座屈耐力に達しない。本実施形態に係る分析方法は、このような横移動の拘束を利用した梁2の横座屈抑制効果を評価するための方法である。
これに対して、梁2の幅方向Xの横移動が拘束されない場合は、図4(b)に示すように、梁2が横座屈を起こして早期に耐力劣化する。
本実施形態に係る分析方法は、図5に示すように、H形鋼20等の形鋼が用いられた梁2を対象として、梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aが固定されるとともに、梁2の材軸方向Zの中間部2bにおいて、上フランジ21の幅方向Xの横移動が拘束されて、上フランジ21に上方から中間荷重が作用し、且つ梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aに端荷重が作用する条件下で、梁2の横座屈耐力Mcrを算出するものである。
図5では、梁2の左側の端部2aで固定された局所座標系X−Y−Zを用いて、梁2の回転は右ねじの進む方向を正とする。また、図5では、実線は梁2のフリーボディを表し、破線は横座屈によって梁2のフリーボディに生じる仮想変位の一例を表す。
<幾何学的境界条件>
梁2の上フランジ21は、その中心線0−0’上でX方向の変位(横移動)が拘束されているものとする。梁2の端部2aの幾何学的境界条件は、横座屈変形を近似する級数の端末条件によって規定される。なお、梁2は、横座屈によって0−0’を既定の回転軸とする曲げねじりが生じるとともに、二次の微小変形としてたわみが生じる。この解析では、上フランジ21、下フランジ22及びウェブ23を平板として扱って、横座屈に対する梁2の強さは、上フランジ21及び下フランジ22の面内の曲げ剛性と、上フランジ21、下フランジ22及びウェブ23のねじり剛性に支配されるものとする。
<力学的境界条件>
梁2の中間部2bで0−0’上に中間荷重として鉛直等分布荷重wが作用するものとする。また、梁2の右側の端部2aに曲げモーメントMcr及びせん断力Vが作用し、梁2の左側の端部2aにこれらとつり合う曲げモーメントM及びせん断力Vが作用するものとする。このとき、McrとV及びwとの関係は、力のつり合い条件より、それぞれ、下記(1)式、(2)式で表すことができる。
Figure 0006414374
ここに、Lは梁2の材軸方向Zの長さであり、zは梁2の材軸方向Zの基準となる一端部(図5に示すものの場合、左側の端部2a)から梁2の材軸方向Zの任意の点までの長さである。β及びγは材端荷重及び中間荷重の荷重条件によって決まる係数であり、梁2の曲げモーメント分布を表す係数である。β及びγを用いることで梁の荷重条件を考慮した横座屈荷重Mcrを求めることができる。
なお、梁2の曲げモーメント分布とβ及びγとの関係を、図6において例示する。実物の梁に生じる範囲の曲げモーメント分布は、図6(a)に示すように、梁2の左右の部材端で等曲げとなる場合(対称座屈)には、βを0とし、γの値を調整することで表現することができる。
また、図6(b)〜(d)に示すように、梁2の左右の部材端で等曲げとならない場合(非対称座屈)には、βを1〜3の範囲にある実数(ただし、図6(b)〜(d)はβが1,2,3の場合をそれぞれ例示している)とし、γの値を調整することで表現することができる。本実施形態に係る分析方法では、このようにして決定したβおよびγを用いることで、すなわち、実物の梁に生じる曲げモーメント分布に対応するようにβおよびγを決定することで、実物の梁に生じる曲げモーメント分布に対応する横座屈耐力の解析解を求めている。
<一般化変位>
横座屈を線形座屈問題として扱うために、横座屈による梁2の各部の変形を材軸方向Zの座標値(つまり、梁2の左側の端部2aから梁2の材軸方向の任意の点までの長さ)zの連続関数として表しておく。このとき、横座屈によって梁2に生じる横断面のねじり角φは、図5に示すように、材軸方向Zになだらかに連続するはずである。
本実施形態に係る分析方法では、横座屈による梁2の各部の変形を級数近似することで横座屈耐力の解析解を導出する。横座屈は梁2の横断面のゆがみを伴わないため、解析解の導出に必要なその他の変形、すなわち図5に示す梁2のたわみv(下記(3)式の左辺)、梁2の右端の回転角Φ、及び梁2の右端のたわみΔは、それぞれ、下記(3)式〜(5)式で表すことができる。このように、横座屈による梁2の各部の変形は、φによって一意に表すことができる。
Figure 0006414374
ここに、dは上フランジ21と下フランジ22との板厚中心間距離である。φ’はφの一階微分を表す。tは積分のための助変数である。
<ポテンシャルエネルギー>
梁2が横座屈を生じるとき、この系の全ポテンシャルエネルギーΠは、下記(6)式で与えられる。
Figure 0006414374
ここに、ΔUは梁2のひずみエネルギー、ΔTは外力のポテンシャルエネルギーである。
次に、ΔUは、曲げねじりによるひずみエネルギーと純ねじりによるひずみエネルギーとの和として、下記(7)式で与えられる。
Figure 0006414374
ここに、Eはヤング係数、Iは下フランジ22の弱軸まわりの断面二次モーメント、Gはせん断弾性係数、Jはサン・ブナンのねじり定数である。φ’’はφの二階微分を表す。
次に、ΔTは、Mcr、V、及びwのポテンシャルエネルギーの和として、下記(8)式で与えられる。
Figure 0006414374
<横座屈変形の近似>
材軸方向Zの両端部2a,2aが固定支持された梁2に許容される任意のφは、有限級数によって任意の精度で近似することができる。
すなわち、下記(9)式で与えられるフーリエ級数展開は、大方の連続関数に適用することができ、その級数計算も簡単であることから、エネルギー法による既往の座屈研究は、何れもフーリエ級数によって座屈変形を近似している。
Figure 0006414374
さらに、本実施形態に係る分析方法では、梁2の両端部2a,2aが剛接合で固定される場合に、材軸方向Zの両端部2a,2aが固定支持された梁2の横座屈変形として、特に、下記(10a)式又は(10b)式で与えられる級数でφを近似することができる。
Figure 0006414374
ここで、aは第n項目の未定係数であり、φを(10a)式又は(10b)式により表す際に、これらの級数において級数を構成する各項の重みを表すものである。
本実施形態に係る分析方法では、両端部2a,2aを横座屈に対して固定端とした梁2を対象としており、これを表すために級数の各項に余弦関数(コサイン)を用いる。これによって、横座屈に対して固定端の条件を、aの値によらず表すことが可能となる。
<横座屈耐力の導出>
最小ポテンシャルエネルギーの原理より、下記(11)式に上記(7)式、(8)式を代入し、さらに上記(1)式〜(5)式を代入することで、横座屈耐力の基本式として、下記(12)式を得る。
Figure 0006414374
Figure 0006414374
ここに、A、B、C及びDは、下記(13)式〜(16)式に示すφの汎関数である。
Figure 0006414374
ここで、β、γは、前提となる荷重条件V、wによって下記(1)式、(2)式から決まる係数である。なお、Vは、梁2の材軸方向Zの端部2aに作用するせん断力、wは、梁2の材軸方向Zの中間部2bに作用する中間荷重である。
また、Lは、梁2の材軸方向Zの長さ、Eは、ヤング係数、Iは、下フランジ22の弱軸まわりの断面二次モーメント、Gは、せん断弾性係数、Jは、サン・ブナンのねじり定数、dは、上フランジ21と下フランジ22との板厚中心間距離、zは梁の材軸方向の基準となる一端部から梁の材軸方向の任意の点までの長さである。φは、横座屈によって梁2に生じるねじり角である。φ’はφの一階微分、φ’’はφの二階微分を表す。tは積分のための助変数である。
ところで、上記(12)式は曲げねじりに対する耐力と純ねじりに対する耐力との線形和であり、一般にB≠Aである。なお、特許文献1に開示される設計方法は、上フランジ21の横移動が拘束された梁2に逆対称の曲げモーメントが作用する場合について、この2つの耐力にそれぞれ異なる修正係数を与えることで横座屈耐力の高精度の近似解を見出している。
<最小条件>
上記(9)式や(10a)式及び(10b)式の級数によってφを近似する場合について、横座屈耐力の解析解を求める。具体的には、上記(9)式、あるいは(10a)式及び(10b)式の級数によってφを近似する場合において、停留原理に基づき上記(12)式を最小にする未定係数列(a)を求めることで横座屈の一次モードに対応する最小の解析解、すなわち横座屈耐力の解析解を求める。
上記(12)式を最小にするための必要条件は、下記(17)式であり、これらの微分を行うことで横座屈耐力の解析解として下記(18)式を得る。
Figure 0006414374
上記(18)式中のfnmは下記(19)式を表す。(17)式〜(23)式中のn及びmは、計算のためのテンソル表記番号を表す。
Figure 0006414374
ここで、上記(19)式中のLnm、Mnm、Nnm、Onmは下記(20)式〜(23)式を表す。Lnm、Mnm、Nnm、Onmは、(20)式〜(23)式にφを入れて積分することによって決まる。
Figure 0006414374
ここで、φはφを近似する級数の第n番目の基底関数を表す。例えば上記(10a)式に対して、下記(24)式となる。
Figure 0006414374
ここに、φ’及びφ’’は、それぞれ、φの一階微分及び二階微分を表す。n、mはそれぞれ、(10a)式又は(10b)式による級数のn番目、m番目の項に対応する。
<解析解>
上記(17)式はN次の連立方程式を表す。上記(17)式が未定係数a、a、…、aの少なくとも1つに対して0以外の値を与えるとき、横座屈変形の可能性が生じる。すなわち、(12)式が、梁2が横座屈するときの荷重(=横座屈耐力)であるためには、上記(17)式が未定係数a、a、…、aの少なくとも1つに対して0以外の値を与える必要があり、このためには上記(17)式の係数行列の行列式は0でなければならない。
すなわち下記(25)式のn次方程式を解くことで、横座屈耐力の解析解を得ることができる。
Figure 0006414374
また、上記(9)式や(10a)式又は(10b)式の級数の第3項部分和によってφを近似する場合の横座屈耐力の解析解は、下記(26)式〜(33)式で与えられる。
Figure 0006414374
設計時の荷重条件であるβ及びγを(32)式へ代入し、梁2の諸条件である、E(ヤング係数)、I(下フランジ22の弱軸まわりの断面二次モーメント)、L(梁2の材軸方向Zの長さ)、d(上フランジ21と下フランジ22との板厚中心間距離)、G(せん断弾性係数)、J(サン・ブナンのねじり定数)を(33)式へ代入することで、横座屈耐力の解析解を算出することができる。
なお、(26)式〜(33)式中のn及びmは、計算のためのテンソル表記番号を表す。
このとき、上記(26)式の実解の中の最小の正値が、梁2の1次の横座屈耐力となる。本実施形態に係る分析方法は、上フランジ21と下フランジ22とがウェブ23で連結された形鋼が用いられる梁2を対象とし、梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aが固定されるとともに、梁2の材軸方向Zの中間部2bにおいて、上フランジ21の幅方向Xの横移動が拘束されて、上フランジ21に上方から中間荷重が作用し、且つ梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aに端荷重が作用する条件下で、梁2の横座屈耐力Mcrを、下記(12)式〜(16)式から算出するものである。
Figure 0006414374
ここで、β、γは、前提となる荷重条件V、wによって下記(1)式、(2)式から決まる係数である。なお、Vは、梁2の材軸方向Zの端部2aに作用するせん断力、wは、梁2の材軸方向Zの中間部2bに作用する中間荷重である。
また、Lは、梁2の材軸方向Zの長さ、Eは、ヤング係数、Iは、下フランジ22の弱軸まわりの断面二次モーメント、Gは、せん断弾性係数、Jは、サン・ブナンのねじり定数、dは、上フランジ21と下フランジ22との板厚中心間距離zは梁の材軸方向の基準となる一端部から梁の材軸方向の任意の点までの長さである。φは、横座屈によって梁2に生じるねじり角である。φ’はφの一階微分、φ’’はφの二階微分を表す。tは積分のための助変数である。
本実施形態に係る分析方法では、横移動が拘束された梁2の横座屈変形が複雑となるにもかかわらず、梁2の横移動が拘束されて、上フランジ21に上方から中間荷重が作用し、且つ梁2の材軸方向Zの両端部2a,2aに端荷重が作用する条件下で、梁2の横座屈耐力Mcrを上記(12)式〜(16)式から算出することで、このような鉄骨梁の横座屈耐力を高い精度で評価することが可能となる。
本実施形態に係る分析方法では、β、γを、(3a)式、(3b)式による実数として決定する。
本実施形態に係る分析方法では、梁2の材軸方向Zで中間荷重が等曲げとなる場合(対称座屈)にβを0とし、梁2の材軸方向Zで中間荷重が等曲げとならない場合(非対称座屈)に、βを1〜3の範囲の実数とすることで、中間荷重が等曲げとなる等曲げモーメントの場合及び中間荷重が等曲げとならない逆対称モーメント等の場合の何れの場合においても、上記(12)式〜(16)式を用いて対応し、実物の鉄骨梁に想定される様々な荷重条件を考慮しながら、鉄骨梁の横座屈耐力を評価することが可能となる。
本実施形態に係る分析方法では、梁の両端部が剛接合で固定される場合に、φを近似する場合は、上記(10a)式又は(10b)式の級数によって近似することがより好ましい。
本実施形態に係る分析方法では、上記(9)式、あるいは(10a)式又は(10b)式の級数の第3項部分和によってφを近似する場合に、横座屈耐力を全塑性曲げモーメントで除した無次元化横座屈耐力(=Mcr/M)を縦軸とし、細長比λ(=(Mcr/M0.5)を横軸とすると、横座屈耐力の解析解の一例が、図7(a)又は図7(b)に示すものとなる。図7(a)及び図7(b)は、断面、長さ、荷重条件を変えた解析結果をプロットしたものである。
このとき、上記(10a)式又は(10b)式の級数を用いるときは、図7(a)に示すように、様々な条件に対する横座屈耐力の解析解が略1線に並んで、鉄骨梁の横座屈耐力をより高い精度で評価できることがわかる。
また、図7(b)に示すように、上記(9)式のフーリエ余弦級数の第4項部分和を用いるときは、横座屈耐力の解析解にばらつきが生じる。
梁2の端部2aの曲げモーメントが、建物が受ける曲げモーメントより大きければ梁は座屈しない。そのため、現実的な設計としては、建物にかかる荷重より十分に高いMcrを設定することで安全な設計とすることができる。なお、上記(9)式のフーリエ級数を用いて横座屈耐力を高い精度で評価するためには、例えば、第10項部分和によってφを近似する。
このように、本実施形態に係る分析方法は、上記(10a)式又は(10b)式の級数によってφを近似することで、横座屈耐力の解析計算が必要以上に複雑化することを回避しながら、鉄骨梁の横座屈耐力をより高い精度で評価することが可能となる。例えば、上記(10a)式又は(10b)式の級数によってφを近似することで、複雑な計算をせずとも、鉄骨梁の横座屈耐力をより高い精度で評価することが可能となる。
本実施形態に係る分析方法によれば、横移動が拘束された梁の横座屈変形が複雑となるにもかかわらず、梁の両端部が固定され、梁の横移動が拘束されて、上フランジに上方から中間荷重が作用し、且つ前記梁の材軸方向の両端部に端荷重が作用する条件下で、梁の横座屈耐力Mcrを上記(12)式〜(16)式から算出することで、このような鉄骨梁の横座屈耐力を高い精度で評価することが可能となる。
(他の実施形態)
本発明によれば、上記の実施形態に係る分析方法に基づき、Mcrを算出する工程を含み、さらにこの分析方法で得られたMcrに基づき鉄骨梁を設計する工程を含む鉄骨梁の設計方法が提供される。
鉄骨梁の設計方法によれば、横移動が拘束された梁の横座屈変形が複雑となるにもかかわらず、梁の両端部が固定され、梁の横移動が拘束されて、上フランジに上方から中間荷重が作用し、且つ前記梁の材軸方向の両端部に端荷重が作用する条件下で、梁の横座屈耐力Mcrを上記(12)式〜(16)式から算出することで、このような鉄骨梁の横座屈耐力を高い精度で評価することが可能となる。
そのため、鉄骨梁を設計する工程において、横座屈耐力Mcrに基づいて、梁の諸条件である、E(ヤング係数)、I(下フランジの弱軸まわりの断面二次モーメント)、L(梁の材軸方向Zの長さ)、d(上フランジと下フランジとの板厚中心間距離)などを決定することで、基本設計で与えられた荷重条件のものとで横座屈を生じないようにするための最適な断面を選択することができる。これによって梁の重量や断面が必要以上に大きくなることを防ぐことができ、建物の居住性や経済性を損なうことなく鉄骨梁の設計を行うことができる。
また本発明によれば、上記の実施形態に係る分析方法に基づき、Mcrを算出する工程と、Mcrに基づき鉄骨梁の断面寸法を決定する工程とを含み、これらの工程で決定された梁の断面寸法を基に鉄骨梁を製造する工程を含む鉄骨梁の製造方法が提供される。
鉄骨梁を設計する工程において上記の諸条件に係る決定事項に基づいて鉄骨梁を製造することで、適切な鉄骨梁の設計を行うことができる。
図8に、上記実施形態に係る分析方法の流れを説明するためのフロー図を示す。また、図9に、本発明の一実施形態に係る設計方法の流れを説明するためのフロー図を示す。
図8のフロー図に沿って、上記実施形態に係る分析方法の一連の流れを説明する。先ず、上記実施形態に係る分析方法では、対象とする建築物の構造計画を行う。すなわち、柱、梁、壁、床等の配置およびこれらの接合方法を決定する(S801)。また、積載荷重、並びに風荷重、地震荷重、雪荷重等の想定外力の設定を行う(S802)。また、柱や梁、壁、床などの断面を仮定する(S803)。
次いで、S801〜S803の情報を基に、フレーム解析を行い、対象とする梁に作用する端荷重を算出する基本設計を行う(S804)。なお、S801〜S803の順序は問わない。
そして、上記実施形態に係る分析方法を実施することで、S803で仮定された梁の断面形状を基にI(下フランジの弱軸まわりの断面二次モーメント)、L(梁の材軸方向Zの長さ)、d(上フランジと下フランジとの板厚中心間距離)を求め、これらの数値を用いてMcrを算出する(S805)。
図9のフロー図に沿って、本発明の一実施形態に係る設計方法の一連の流れを説明する。先ず、上記分析方法と同様に、対象とする建築物の構造計画を行う。すなわち、柱、梁、壁、床等の配置およびこれらの接合方法を決定する(S901)。また、積載荷重、並びに風荷重、地震荷重、雪荷重等の想定外力の設定を行う(S902)。また、柱や梁、壁、床などの断面を仮定する(S903)。
次いで、S901〜S903の情報を基に、フレーム解析を行い、対象とする梁に作用する端荷重を算出する基本設計を行う(S904)。なお、S901〜S903の順序は問わない。
そして、上記実施形態に係る分析方法を実施することで、S903で仮定された梁の断面のMcrを算出する(S905)。
次いで、S904で得られた端荷重としての曲げモーメントMとS905で得られたMcrとを比較して、判定を行う(S906)。この判定では、MとMcrとを比較して、判定が「YES(McrがMを少し上回る)」である場合には、設定値として、梁の断面寸法を決定する(S907)。
判定が「NO(McrがMより小さい)」である場合、又は、判定が「過剰(McrがMより大きすぎる)」である場合には、S903に戻り、梁の断面を再度仮定する。
なお、S906では、安全率を考慮してMcrに安全率を乗じた(あるいは安全率を加算した)値とMとを比較して判定が行われてもよい。
上述した分析方法又は設計方法は、一時的ではない有形の記録媒体(図示なし)に記録されたプログラムをCPU(図示なし)により実行するコンピュータ装置(図示なし)によって実現されることが好ましい。この場合、コンピュータ装置は、作業者により操作される入力装置からの指令に応じて、上述した分析方法を実行し、図8のS805にて算出されたMcrを分析結果として出力することが好ましい。
又は、コンピュータ装置は、作業者により操作される入力装置からの指令に応じて、上述した設計方法を実行し、図9のS906の判定の比較結果を設計結果として出力することが好ましい。あるいは、図9のS907の梁の断面寸法が設計結果として出力されることが好ましい。
分析結果又は出力された設計結果は、出力装置(図示なし)を介して視認可能に出力されることが好ましい。
上述した設計方法を実行することで設定された設計結果(梁の断面寸法)に従って、既存の技術により、鉄骨梁を製造することが好ましい。これにより、上述した設計方法で設定された設計結果に応じた構造(配置、寸法)のH形鋼を得ることができる。
上記の実施形態に係る分析方法、設計方法、製造方法、及びプログラムは、住宅、学校、事務所若しくは病院施設等の建築物、又は低層ビル、高層ビル若しくは超高層ビル等の建築物等において、建築物等の床構造、土間構造又は骨組構造等の構造材となる鉄骨梁を対象とすることができる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
例えば、本実施形態に係る分析方法は、上フランジと下フランジとが、幅方向Xの略中央でウェブに連結されたH形鋼が用いられる鉄骨梁のほか、I型鋼にも好ましく適用できる。
本発明によれば、実物の鉄骨梁に想定される様々な荷重条件を考慮しながら、高い精度で鉄骨梁の横座屈耐力を評価することのできる分析方法、鉄骨梁の設計方法、鉄骨梁の製造方法、及びプログラムを提供できるため、産業上有用である。
2 :梁
2a :端部
2b :中間部
20 :H形鋼
21 :上フランジ
22 :下フランジ
23 :ウェブ
25 :シヤコネクタ
3 :柱
30 :ダイアフラム
4 :床スラブ
40 :開口
41 :開口補強材
X :幅方向
Y :高さ方向
Z :材軸方向

Claims (7)

  1. 鉄骨梁の横座屈耐力を評価するための分析方法であって、
    上フランジと下フランジとがウェブで連結された形鋼が用いられる梁を対象とし、前記梁の材軸方向の両端部が固定されるとともに、前記梁の材軸方向の中間部において、前記上フランジの幅方向の横移動が拘束されて、且つ前記上フランジに上方から中間荷重が作用し、且つ前記梁の材軸方向の両端部に端荷重が作用する条件下で、前記梁の横座屈耐力Mcrを、下記(12)式〜(16)式から算出すること
    を特徴とする分析方法。
    Figure 0006414374
    ここで、β、γは、前提となる荷重条件V、wによって下記(1)式、(2)式から決まる係数である。なお、Vは、梁の材軸方向の端部に作用するせん断力、wは、梁の材軸方向の中間部に作用する中間荷重である。
    また、Lは、梁の材軸方向の長さ、Eは、ヤング係数、Iは、下フランジの弱軸まわりの断面二次モーメント、Gは、せん断弾性係数、Jは、サン・ブナンのねじり定数、dは、上フランジと下フランジとの板厚中心間距離、zは梁の材軸方向の基準となる一端部から梁の材軸方向の任意の点までの長さである。φは、横座屈によって梁に生じるねじり角である。φ’はφの一階微分、φ’’はφの二階微分を表す。tは積分のための助変数である。
    Figure 0006414374
  2. 前記β、γを、下記(3a)式、(3b)式による範囲の実数として決定すること
    を特徴とする請求項1に記載の分析方法。
    Figure 0006414374
  3. 前記梁の両端部が剛接合で固定される場合に、前記φを、下記(10a)又は(10b)式により算出すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の分析方法。
    Figure 0006414374
    ここで、aは第n項目の未定係数である。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の分析方法に基づき、前記Mcrを算出する工程と、
    前記Mcrに基づき鉄骨梁の断面寸法を決定する工程と、
    を含むことを特徴とする鉄骨梁の設計方法。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載の分析方法に基づき、前記Mcrを算出する工程と、
    前記Mcrに基づき鉄骨梁の断面寸法を決定する工程と、
    決定された鉄骨梁の前記断面寸法に基づき鉄骨梁を製造する工程と、
    を含むことを特徴とする鉄骨梁の製造方法。
  6. コンピュータ装置に請求項1から3のいずれか一項に記載の分析方法を実行させるためのプログラム。
  7. コンピュータ装置に請求項4に記載の設計方法を実行させるためのプログラム。
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