JP4813893B2 - 付着応力度の算出方法、スタッドのせん断力の算出方法、設計方法、鋼板コンクリート構造物 - Google Patents

付着応力度の算出方法、スタッドのせん断力の算出方法、設計方法、鋼板コンクリート構造物 Download PDF

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Description

本発明は、スタッドのせん断力の算出方法に関し、特に、鋼板コンクリート構造の鋼板表面に設けられたスタッドに作用するせん断力の算出方法に関する。
鋼板コンクリート構造(以下、SC構造という)では、SC構造部材表面の鋼板と内部のコンクリートとの間でせん断力を伝達するため、鋼板のコンクリート側の表面にスタッドを設けている。非特許文献1には、このようなSC構造におけるスタッドのせん断力の算出方法として、RC構造の鉄筋付着設計で用いられていた、平面保持を仮定し、微小区間の釣合いを考える方法により導かれた次式(1)が記載されている。なお、式中、スタッドの設計用せん断力をstQ、部材に作用するスタッド1本の負担幅あたりの面外せん断力をQ、検討方向のスタッド間隔をB[mm]、検討直交方向のスタッド間隔をB[mm]、検討対象部分の幅をb[mm]、応力中心間距離をj[mm]、部材に作用する面外せん断力をQとしている。
Figure 0004813893
10電力共研、"「原子力発電所建屋の鋼板コンクリート構造に関する研究」SC構造技術指針"、平成12年3月
ここで、非特許文献1において、部材に生じる面外せん断力に対して抵抗する耐荷構造として、図2に示すシアコネクタ量に依存するトラス機構と、図3に示すせん断スパン比に依存するアーチ機構との合成を想定している。図2に示すように、トラス機構ではコンクリート部材と鋼板との間での鋼板材軸方向の応力変化が伴うためスタッドにせん断力が生じるが、図3に示すようにアーチ機構では、圧縮ストラッドが形成され、部材端で鋼板作用力と釣合うため鋼板と内部コンクリートとの間のスタッドにせん断力は作用しない。
このため、トラス機構とアーチ機構によるせん断力の負担割合を考慮に入れず、全せん断力に対するスタッドのせん断力を算出する上記の式(1)によると、スタッドに作用するせん断力は安全側ではあるが大きめの値となってしまう。このため、必要なスタッドのせん断耐力を確保するため、スタッドの本数を増やしたり、スタッドの径を大きくしたりする必要があり、施工性の悪化やコストの増大などの問題が生じていた。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、スタッドに作用するせん断力をより正確に算出することができるようにすることである。
発明の付着応力度の算出方法は、コンクリート部材と、前記コンクリート部材を挟みこむように設けられた一対の鋼板とからなる鋼板コンクリート部材に、面外せん断力が作用した際に前記鋼板のコンクリート部材側の表面に生じる付着応力度を算出する方法であって、前記鋼板のコンクリート部材側の表面に作用する付着応力度をτ、前記鋼板コンクリート部材に作用する面外せん断力をQ[N]、前記鋼板コンクリート部材の幅をb[mm]、応力中心間距離をj[mm]、トラス機構による剛性をKbond、アーチ機構による剛性をKarchとしたとき、付着応力度τを次式(2)、(3)で算出することを特徴とする。
Figure 0004813893
また、本発明のスタッドのせん断力の算出方法は、鋼板コンクリート部材に面外せん断力が作用した場合に、鋼板のコンクリート部材側表面に設けられたスタッドに生じるせん断力を算出する方法であって、スタッドに作用するせん断力をstQ[N]、前記鋼板コンクリート部材に作用する面外せん断力をQ[N]、前記鋼板コンクリート部材の軸方向のスタッド間隔をB[mm]、前記鋼板コンクリート部材の軸と直交方向のスタッド間隔をB[mm]、前記鋼板コンクリート部材の幅をb[mm]、応力中心間距離をj[mm]、トラス機構による剛性をKbond、アーチ機構による剛性をKarchとしたとき、スタッドの設計用せん断力stQを次式(4)、(5)で算出することを特徴とする。
Figure 0004813893
ここで、せん断スパン比をλ、中立軸比をxn1、コンクリートのヤング係数をEとしたとき、前記アーチ機構による剛性Karchを、次式(6)で算出してもよい。
Figure 0004813893
また、コンクリートのポアソン比をν、曲げ剛性の有効係数をφ、せん断剛性の有効係数をφとしたとき、前記トラス機構による剛性Kbondを、次式(7)で算出してもよい。
Figure 0004813893
また、コンクリート部材のヤング係数に対する鋼板のヤング係数の比をn、鋼材比(すなわち、部材せいに対する鋼板厚の比)をp、最大モーメント点と0モーメント点との間に配置されたスタッド本数をn、鋼板降伏荷重に対して必要なスタッド本数をn、断面の形状係数をκとしたとき、前記曲げ剛性の有効係数φ、及びせん断剛性の有効係数φを次式(8)、(9)で算出してもよい。
Figure 0004813893
また、前記中立軸比xn1を次式(10)で算出してもよい。
Figure 0004813893
また、前記鋼板降伏荷重に対して必要なスタッド本数nに対する最大モーメント点と0モーメント点との間に配置されたスタッド本数nの比(n/n)を次式(11)で算出してもよい。
Figure 0004813893
また、本発明は、以上のスタッドせん断力の算出方法により算出されたスタッドに作用するせん断力が、スタッドのせん断耐力以下となるように設計したことを特徴とする鋼板コンクリート構造の設計方法及びこの設計方法により設計された鋼板コンクリート構造物を含むものとする。
本発明によれば、スタッドに作用するせん断力をより正確に算出することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明のスタッドのせん断力の算出方法の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、スタッドのせん断力の算出の対象となるSC構造の梁部材の断面図である。同図に示すように、本実施形態のスタッドのせん断力の算出の対象となるSC梁部材10は、コンクリート部材13と、その表裏面に配置された一対の鋼板11と、鋼板11の表面に設置されたスタッド12と、で構成される。スタッド12は、鋼板11のコンクリート部材側表面に縦横夫々一定の間隔で設けられている。スタッド12がコンクリート部材13に埋設されることで、鋼板11とコンクリート部材13との間でせん断力が伝達される。
SC梁部材は、面外力が作用した場合に、図2に示すようなトラス機構と、図3に示すようなアーチ機構とによりこの面外力に対して抵抗する。ここで、図3に示すトラス機構では、コンクリート部材と鋼板との間でせん断力の伝達が必要となるが、図2に示すアーチ機構は、コンクリート部材の対角線方向に形成された圧縮ストラッドと、鋼板とにより面外せん断力に抵抗しており、コンクリート部材と、鋼板との間でのスタッドによるせん断力の伝達を考えていない。
本実施形態のスタッドに作用する設計用せん断力の算出方法は、上記の点に着目し、鋼板表面に生じるせん断応力度に関し、部材の全せん断力に対しトラス機構が負担する比率を乗ずることによりスタッドに作用する設計用せん断力を算出することに特徴を有する。具体的には、スタッドに作用するせん断力stQをその負担面積Bで除した平均的な鋼板面の付着応力度を次式(12)、(13)で算出するものとした。なお、鋼板面の付着応力度をτ、部材に作用する面外せん断力をQ[N]、検討対象部分の幅をb[mm]、応力中心間距離をj[mm]、トラス機構による剛性をKbond、アーチ機構による剛性をKarchとする。
Figure 0004813893
なお、梁せいDに対する応力中心間距離jの比率をj、部材の平均せん断応力度をτave、とすれば、式(12)は、次式(14)、(15)のようにも表すことができる。
Figure 0004813893
また、式(15)に基づいて、スタッド1本あたりの設計用せん断力stQは、次式(16)で算出できる。
Figure 0004813893
ここで、後に詳述するが、式(13)における、Kbond、及びKarchは次式(17)、(18)で算出できる。
Figure 0004813893
また、式(17)におけるφ、及びφは次式(19)、(20)で算出できる。
Figure 0004813893
式(19)及び式(20)の、xn1及び、合成度(n/n)は、次式(21)、(22)で算出できる。
Figure 0004813893
また、式(14)中の応力中心間距離jは、次式(23)で算出できる。
Figure 0004813893
以下、上記のせん断力の算出方法を詳細に説明する。
上述したように、SC梁部材は面外力に対し、鋼板表面に付着応力度の作用するトラス機構と、鋼板表面に付着応力度の作用しないアーチ機構とにより抵抗する。図4は、トラス機構におけるSC梁部材の微小区間に作用する荷重を示す図である。図中Qbondは、トラス構造が負担するせん断力を、τは、鋼板のコンクリート側の表面に作用する付着応力度を示す。同図に示す微小区間における荷重の釣合いを考えると、次式(24)が導かれる。
Figure 0004813893
よって、鋼板面に作用する付着応力度は次式(25)で算出される。
Figure 0004813893
ここで、全せん断力に対するトラス機構が負担するせん断力の割合をφとすると、式(25)は、次式(26)のように表される。
Figure 0004813893
また、せん断力の検討方向のスタッド間隔をB[mm]、検討方向と直交方向のスタッド間隔をB[mm]とすると、スタッド一本あたりに作用するせん断力stQは次式(27)で算出できる。
Figure 0004813893
ここで、φを算出する方法として、各機構の負担せん断力と剛性が比例関係にあることを用いて、次式(28)により算出するものとした。
Figure 0004813893
なお、剛性の比を用いる方法以外に、アーチ機構とトラス機構のせん断耐力比に基づいて算出する方法が考えられるが、せん断耐力は安全側に設定されているため、これらの比がせん断応力比と等しくなるとは限られないため、上式(28)では、剛性の比を用いている。
以下、式(28)のKbond、Karchの算出方法について説明する。
<曲げ付着(トラス)機構の剛性Kbond
まず、トラス機構による剛性Kbondを算出するため、図5に示す梁の変形状態を想定した。同図において、梁モデルにせん断力Qが作用した状態における曲げせん断変位δは、曲げ変位δと、せん断変位δの合計であるため次式(29)で算出できる。
δ=δB+δS …(29)
ここで、コンクリート部材のヤング係数をE、等価断面2次モーメントをIとすると、曲げ変位δは、次式(30)で算出できる。
Figure 0004813893
また、コンクリート部材のせん断弾性係数をG、等価断面積をAとすると、せん断変形の変位δは、次式(31)で算出できる。
Figure 0004813893
上記算出した式(30)及び式(31)を式(29)に代入すると、次式(32)が得られる。
Figure 0004813893
ここで、等価断面2次モーメントをI、等価断面積をAとして、曲げ及びせん断に対する断面有効係数(全コンクリート断面に対する有効等価断面の比)を次式(33)、(34)のように定める。
Figure 0004813893
式(33)、式(34)を展開すると、次式(35)、(36)が得られる。
Figure 0004813893
これらの式を、式(32)に代入すると次式(37)が得られる。
Figure 0004813893
ここで、λをせん断スパン比とすると、図2、図3に示すようなスパン内せん断力一定の逆対称せん断状態の梁部材の長さLと、梁せいDとの間には、次式(38)が成立する。
Figure 0004813893
また、コンクリートのポアソン比をνとすると、ヤング係数Eと、せん断弾性係数Gとの間には次式(39)が成立する。
Figure 0004813893
よって、式(38)及び式(39)を式(37)に代入すると、次式(40)が得られる。
Figure 0004813893
<断面有効定数φ、φの算出>
次に、式(40)の断面有効定数φ、φは、以下のように算出するものとした。
まず、等価断面2次モーメントI、等価断面積Aを算出するため、以下の仮定をした。
1.等価断面2次モーメントI、及び等価断面積Aは、ひび割れのない断面の断面2次モーメントIee、及び断面積Aeeと、ひび割れ断面の等価断面2次モーメントIec、及び等価断面積Aecとの平均値とする。
2.等価断面2次モーメントIee、Iec、及び等価断面積Aee、Aecは、合成度(n/n)に応じて低減する。等価断面2次モーメントの低減は、不完全合成ばりの断面2次モーメントの算出式(日本建築学会、“各種合成構造設計指針 同解説”、昭和60年2月、P.88)を準用した。等価断面積の低減は合成度(n/n)に比例するものとした。
なお、合成度(n/n)は、最大モーメント点と0モーメント点との間に配置されたスタッド本数nに対する、鋼板降伏荷重に対して必要なスタッド本数nの比である。
図6(A)は、ひび割れ断面を示す図であり、同図(B)はひび割れのない断面を示す図である。不完全合成ばりの断面2次モーメントの算出式を準用すると、ひび割れ断面における断面2次モーメントIecは、次式(41)により算出することができる。なお、式(41)中のIは鋼板の断面2次モーメントを、Iは完全合成ばりの断面2次モーメントを示す。
Figure 0004813893
ここで、鋼板の断面2次モーメントI及び完全合成ばりの断面2次モーメントIは、コンクリート部材のヤング係数に対する鋼板のヤング係数の比をn、鋼材比(すなわち、部材せいに対する鋼板厚)をpとすると、次式(42)、(43)で表わされる。
Figure 0004813893
したがってひび割れ断面における等価断面2次モーメントIecは、次式(44)で表される。
Figure 0004813893
また、ひび割れのない断面の等価断面2次モーメントIeeは、式(44)において、xn1=1とすれば次式(45)で算出できる。
Figure 0004813893
φは、コンクリート断面の断面2次モーメントbD/12に対する、等価断面2次モーメントIの比であり、等価断面2次モーメントIは、式(45)により算出したひび割れのない断面の等価断面2次モーメントIeeと、式(44)により算出したひび割れ断面の等価断面2次モーメントIecとの平均値であるため、φは、次式(46)で算出される。
Figure 0004813893
次に、等価断面積Aは、圧縮側コンクリートのみ有効とし、形状係数κを考慮して求めるものとする。また、合成度(n/n)に比例するものとした。図6(A)に示すようにひび割れ断面において有効なコンクリート断面の断面積はb・xn1・Dであるので、合成度及び形状による低減を考慮した有効断面積Aecは次式(47)となる。
Figure 0004813893
同様に、ひび割れのない断面における有効断面積Aeeは以下の式に示すようになる。なお、式中におけるκは形状係数を示し、矩形断面の場合は1.2である。
Figure 0004813893
φは、コンクリートの断面積に対する、有効断面積Aの比であり、有効断面積Aは、式(48)により算出したひび割れのない断面の有効断面積Aeeと、式(47)により算出したひび割れ断面の有効断面積Aecとの平均値であるため、φは、次式(49)で算出できる。
Figure 0004813893
<中立軸比xn1の算出>
次に、上記の式中の中立軸比xn1を算出するため、図7に示す断面に作用する軸力の釣合いを考える。引張り側鋼板の応力度をσとすると、圧縮側鋼板の応力度σは次式(50)で算出できる。
Figure 0004813893
また、圧縮側のコンクリートの応力度σccは次式(51)で算出できる。
Figure 0004813893
よって、軸力の釣合いに基づき、次式(52)が得られる。
Figure 0004813893
式(52)における括弧内が0であるので、次式(53)が得られる。
Figure 0004813893
よって、式(53)を解くことにより中立軸比xn1は、次式(54)で算出できる。
Figure 0004813893
<梁せいDに対する応力中心間距離jの比率jの算出>
次に、梁せいDに対する応力中心間距離jの比率jを算出する。
図8は、SC梁部材の断面に作用する軸方向の応力分布を示す図である。まず、圧縮合力が作用する点の圧縮側の表面からの距離をy・Dとし、圧縮合力の作用する点を算出する。同図に示すように、圧縮側コンクリートに作用する荷重の合力をC、圧縮側鋼板に作用する荷重をCとすると、C、Cは次式(55)、(56)で算出できる。
Figure 0004813893
また、圧縮縁でのモーメントの釣合いより次式(57)が得られる。
Figure 0004813893
式(55)、及び式(56)を式(57)に代入し、展開すると次式(58)が得られる。
Figure 0004813893
ここで、式(53)より、xn1 =2n・p(1−2xn1)であるので式(58)は、次式(59)となる。
Figure 0004813893
よって、梁せいDに対する応力中心間距離jの比率jは、次式(60)で算出できる。
Figure 0004813893
また、応力中心間距離jは次式(61)で算出できる。
Figure 0004813893
<スタッドによる合成度(n/n)の算出>
次に、スタッドによる合成度(n/n)を算出する。せん断荷重による逆対称荷重下において、全塑性モーメント(Mp)端部において、圧縮応力度σが鋼板の降伏強度に達しているため、全塑性モーメント端部と0モーメント点の中央との間で伝達すべき力Tは次式(62)により算出される。
Figure 0004813893
また、この区間内のスタッドの最大せん断耐力Tは、次式(63)で算出できる。
Figure 0004813893
よって、合成度(n/n)は、式(63)を式(62)で除することにより算出でき、次式(64)のようになる。
Figure 0004813893
<アーチ機構の剛性Karchの算出>
次に、アーチ機構による剛性Karchを算出する。図9(A)は、アーチ機構による梁部材の変形を示す図であり、同図(B)は圧縮ストラットを示す図である。同図(A)に示すように、アーチ機構による梁の荷重方向変位をδとすると、梁断面の圧縮ストラットの方向(すなわち対角線方向)の荷重変位関係の釣合いの式は次式(65)の通りである。なお、δは、せん断力による部材対角線方向の変位を示す。
Figure 0004813893
式(65)を展開することにより、アーチ機構の剛性Karchは、次式(66)で算出できる。
Figure 0004813893
また、図9(B)より圧縮ストラットの断面積Aは、次式(67)で算出できる。
Figure 0004813893
式(67)を式(66)に代入すると、次式(68)が導かれる。
Figure 0004813893
上記説明したスタッドに作用するせん断力の算出方法によれば、SC構造部材に作用する面外せん断力に対する耐荷構造を考慮し、トラス機構の負担する面外せん断力に基づき、スタッドに作用するせん断力を算出することができるため、より正確にスタッドに作用するせん断力を算出できる。これにより、安全側の範囲内で従来に比べてスタッドの本数を減らしたり、スタッドの径を小さくしたりすることが可能となり、コストの削減及び施工性の向上が可能となる。
ここで、上記説明したスタッドに作用するせん断力の算出方法の妥当性の検討を行ったので説明する。
本検討では、SC梁部材を模した解析モデルを用いて行った数値解析シミュレーションの結果と、解析モデルの上述したせん断力の設計法により算出したせん断力とを比較した。
図10は、数値解析をおこなった試験体の主要な解析データの緒元を示す表である。同図に示す、試験体♯3〜10、S1〜6、A1〜6、B1〜2について、試験体を2次元平面モデルでモデル化し、FEM非線形解析をおこなった。
また、図11は、各試験体のスタッド量、せん断スパン比λ、鋼板厚tに対する部材厚Tの比を示す表である。SC構造は、発電所等に用いられるため、せん断スパン比の大きい構造物に用いられることは少ないが、同図に示すように、せん断スパン比が大きい試験体についても検討の対象に含めることとした。
図12及び図13は、夫々試験体♯5及び試験体S6の鋼板面に作用する付着応力度τの部材せん断応力度τaveに対する比率φと、荷重レベルQ/(bD√σ)との関係を示すグラフである。また、図中の破線は、試験体♯5及び試験体S6について、上述のせん断力の算出式により設計用のせん断応力を算出し、このせん断応力に基づき算出したφを示す。なお、φと、φの間には、次式(69)が成立する。
φ=φ/j …(69)
また、図12及び図13には、数値解析の結果に重ねて、既往の研究(阿部他、“鋼板コンクリート構造に関する実験的研究その1〜43”、日本建築学会大会梗概集、1992年2月他、及び、日本電気協会、“JEAG4618 鋼板コンクリート構造耐震設計技術指針 建物・構築物編(制定案)、2005)に記載された実験結果も重ねて示している。
図12に示すように、せん断スパン比の小さい(λ=1.0)試験体♯5の場合には、本実施形態のスタッドのせん断評価式により算出されたφは、実験値及び解析値以上となっており、安全側であることがわかる。
また、図13に示すように、せん断スパン比の大きい(λ=2.6)の試験体S6場合には、数値解析により得られたφが、本実施形態のスタッドのせん断評価式により算出されたφ以上となることがあるが概ね下回っており、実験により得られたφは、本実施形態のスタッドのせん断評価式により算出されたφ以下となっている。
数値解析により得られたφが、本実施形態のスタッドのせん断評価式により算出されたφ以上となる部分についても、数値解析により算出されたφは概ね実験により得られたφよりも大きい値が得られることが多いこと、及び、SC構造は発電所等のλの小さい構造に用いられることが多いため、本実施形態のせん断力の算出方法を用いても問題がないといえる。
図14は、全条件について、上記のせん断力の算出式により算出されたφと、実験または解析により得られたφとを比較するグラフである。図14からわかるように、上記のせん断力の算出式により算出した計算値と解析値は高精度で適合(すなわち、グラフ対角線上に位置)しており、実験値よりも大きめ(すなわち、グラフ右下側に位置)であった。これにより、上記のせん断力の算出式は、安全側であり、かつ従来よりも正確にせん断力を算出することができることが確認された。この時、φの値は、0.2以上、かつ0.8以下であり、その平均値は約0.5である。
スタッドのせん断力の算出の対象となるSC構造の梁部材の断面図である。 トラス機構における応力を示す図である。 アーチ機構における応力を示す図である。 トラス機構におけるSC梁部材の微小区間に作用する荷重の釣合いを示す図である。 トラス機構による剛性を算出するために想定した梁の変形状態を示す図である。 (A)は、ひび割れ断面を示す図であり、同図(B)はひび割れのない断面を示す図である。 SC梁部材の断面に作用する軸力の釣合いを示す図である。 SC梁部材の断面の軸方向の応力分布を示す図である。 (A)は、アーチ機構によるSC梁部材の変形を示す図であり、同図(B)は圧縮ストラットを示す図である。 数値解析を行った試験体の各種パラメータを示す表である。 数値解析を行った試験体の主要な解析データの緒元を示す図である。 試験体♯5の鋼板面に作用する付着応力度τの部材せん断応力度τaveに対する比率φの荷重レベルに応じた推移を示すグラフである。 試験体S6の鋼板面に作用する付着応力度τの部材せん断応力度τaveに対する比率φの荷重レベルに応じた推移を示すグラフである。 全条件について、上記のせん断力の算出式により算出されたφと、実験または解析により得られたφとを比較するグラフである。
符号の説明
10 SC梁部材
11 鋼板
12 スタッド
13 コンクリート部材

Claims (9)

  1. コンクリート部材と、前記コンクリート部材を挟みこむように設けられた一対の鋼板とからなる鋼板コンクリート部材に、面外せん断力が作用した際に前記鋼板のコンクリート部材側の表面に生じる付着応力度を算出する方法であって、
    前記鋼板のコンクリート部材側の表面に作用する付着応力度をτb、前記鋼板コンクリート部材に作用する面外せん断力をQ[N]、前記鋼板コンクリート部材の幅をb[mm]、応力中心間距離をj[mm]、トラス機構による剛性をKbond、アーチ機構による剛性をKarchとしたとき、
    付着応力度τを次式(1)、(2)で算出することを特徴とする付着応力度の算出方法。
    Figure 0004813893
  2. 鋼板コンクリート部材に面外せん断力が作用した場合に、鋼板のコンクリート部材側表面に設けられたスタッドに生じるせん断力を算出する方法であって、
    スタッドに作用するせん断力をstQ[N]、前記鋼板コンクリート部材に作用する面外せん断力をQ[N]、前記鋼板コンクリート部材の軸方向のスタッド間隔をB[mm]、前記鋼板コンクリート部材の軸と直交方向のスタッド間隔をB[mm]、前記鋼板コンクリート部材の幅をb[mm]、応力中心間距離をj[mm]、トラス機構による剛性をKbond、アーチ機構による剛性をKarchとしたとき、
    スタッドの設計用せん断力stQを次式(3)、(4)で算出することを特徴とするスタッドのせん断力の算出方法。
    Figure 0004813893
  3. 請求項記載のスタッドのせん断力の算出方法であって、
    せん断スパン比をλ、中立軸比をxn1、コンクリート部材のヤング係数をEとしたとき、前記アーチ機構による剛性Karchを、次式(5)で算出することを特徴とするスタッドのせん断力の算出方法。
    Figure 0004813893
  4. 請求項又は記載のスタッドのせん断力の算出方法であって、
    コンクリート部材のポアソン比をν、曲げ剛性の有効係数をφ、せん断剛性の有効係数をφとしたとき、前記トラス機構による剛性Kbondを、次式(6)で算出することを特徴とするスタッドのせん断力の算出方法。
    Figure 0004813893
  5. 請求項記載のスタッドのせん断力の算出方法であって、
    コンクリート部材のヤング係数に対する鋼板のヤング係数の比をn、鋼材比(すなわち、部材せいに対する鋼板厚の比)をp、最大モーメント点と0モーメント点との間に配置されたスタッド本数をn、鋼板降伏荷重に対して必要なスタッド本数をn、断面の形状係数をκとしたとき、前記曲げ剛性の有効係数φ、及びせん断剛性の有効係数φを次式(7)、(8)で算出することを特徴とするスタッドのせん断力の算出方法。
    Figure 0004813893
  6. 前記中立軸比xn1を次式(9)で算出することを特徴とする請求項記載のスタッドのせん断力の算出方法。
    Figure 0004813893
  7. 前記鋼板降伏荷重に対して必要なスタッド本数nに対する最大モーメント点と0モーメント点との間に配置されたスタッド本数nの比(n/n)を次式(10)で算出することを特徴とする請求項又は記載のスタッドのせん断力の算出方法。
    Figure 0004813893
  8. 請求項から7の何れか1項に記載のスタッドせん断力の算出方法により算出されたスタッドに作用するせん断力が、スタッドのせん断耐力を超えないように設計したことを特徴とする鋼板コンクリート構造物の設計方法。
  9. 請求項記載の設計方法により設計されたことを特徴とする鋼板コンクリート構造物。
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