JP7348509B2 - 連続梁の評価方法及び連続梁の評価プログラム - Google Patents
連続梁の評価方法及び連続梁の評価プログラム Download PDFInfo
- Publication number
- JP7348509B2 JP7348509B2 JP2019210798A JP2019210798A JP7348509B2 JP 7348509 B2 JP7348509 B2 JP 7348509B2 JP 2019210798 A JP2019210798 A JP 2019210798A JP 2019210798 A JP2019210798 A JP 2019210798A JP 7348509 B2 JP7348509 B2 JP 7348509B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fulcrum
- bending
- residual
- continuous beam
- continuous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T90/00—Enabling technologies or technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
Landscapes
- Joining Of Building Structures In Genera (AREA)
- Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
Description
両端が端支持部と剛接合された連続梁であっても、例えば端支持部が鉄骨の大梁の場合、剛接合と評価するには大梁のねじれ抵抗が不十分である。このため、剛接合を仮定してしまうと、連続梁の梁毎に大きさの異なる荷重が作用した際に、曲げモーメントやたわみ分布を過小評価して、連続梁を危険側に評価する恐れがある。
さらに、正曲げと負曲げの曲げ剛性が異なる連続梁については、これらの曲げ剛性と両端での接合状態を考慮して連続梁の曲げモーメントやたわみ分布を求める実用的な評価方法が提供されていなかった。
本発明の連続梁の評価方法は、長手方向に並べて配置されるとともに、前記長手方向に隣り合う端部同士が互いに半剛接合されて中間支点とされたn本の梁を備える連続梁であって、前記連続梁全体の両端が一対の端支点とされた前記連続梁を評価する連続梁の評価方法であって、前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の曲げモーメント、及び前記一対の端支点での複数の回転角を、与条件に基づいて求める解決定工程を行い、前記与条件は、前記n本の梁それぞれの長さ及び曲げ剛性と、前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の回転剛性と、前記n本の梁に作用する鉛直荷重と、前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の鉛直変位と、を含み、前記解決定工程では、前記複数の曲げモーメント及び前記複数の回転角を複数の未知数とし、前記複数の回転剛性、前記複数の曲げモーメント、及び前記複数の回転角の関係式と、前記複数の鉛直変位の関係式とを、前記複数の未知数の数と同数の複数の第1境界条件としたときに、前記複数の未知数が前記複数の第1境界条件を満たすように前記複数の未知数を解いて、前記連続梁の曲げモーメント及びたわみ分布を評価することを特徴としている。
そして、求めた複数の曲げモーメント及び複数の回転角から、複数の鉛直変位の関係式に基づいて複数の鉛直変位を算出することにより、例えば一対の端支点での接合状態に応じて、連続梁の曲げモーメントやたわみ分布をより適切に評価することができる。
この発明によれば、判定工程において変位残差が閾値よりも小さいか否かを判定することにより、仮設計値に基づいて算出された計算値を、設計値及び変位残差に基づいて評価することができる。
この発明によれば、判定工程において変位残差が閾値よりも小さいと判定されるまで、新たな仮設計値を与えること、及び、この新たな仮設計値に基づいて解算出工程、残差算出工程、判定工程を行うこと、を組にして繰り返すことにより、曲げモーメントを任意の精度で算出することができる。そして、この曲げモーメントに基づいて複数の回転角を求めることができる。
この発明によれば、中間支点及び一対の端支点における複数の鉛直変位を、数式を用いて精度良く評価することができる。
本発明の連続梁の評価方法及び連続梁の評価プログラムによれば、正曲げと負曲げの曲げ剛性が異なる連続梁について、これらの曲げ剛性と両端での接合状態に応じて連続梁の曲げモーメントやたわみ分布をより適切に評価することができる。
本実施形態の連続梁の評価方法(以下、単に評価方法とも言う)は、例えば、図1及び図2に示す建築物1を構成する連続梁11を評価するのに好適に用いられる。なお、図1では後述する床17を透過して示し、図2では後述する柱33を示していない。ここで言う連続梁11を評価するとは、連続梁11の曲げモーメント、回転角、及びたわみ分布等を求めて、例えば連続梁11の曲げ耐力が連続梁11の曲げモーメントに対してどの程度余裕があるかを評価することを意味する。
この例では、連続梁11は、長手方向に隣り合う端部同士が互いに半剛接合されて中間支点12aとされたn本(この例では2本)の梁(小梁)13を備えている。
この例では、梁13は、床17と、梁本体18と、を備えている。なお、梁13の構成はこの例に限定されない。
床17は、いわゆる合成スラブであり、梁本体18により下方から支持されている。床17は、デッキプレート20と、デッキプレート20上に配置されたRC(Reinforced Concrete)スラブ21と、を備えている。
デッキプレート20の凹凸形状は、水平面に沿う方向であって、梁本体18が延びる方向とは直交する方向に延びている。
RCスラブ21は、コンクリート22と、鉄筋23と、を備えている。コンクリート22は、上下方向が厚さ方向となる板状に形成されている。コンクリート22は、デッキプレート20により下方から支持されている。
鉄筋23は、水平面に沿って延びていて、コンクリート22内に埋設されている。例えば、鉄筋23は、平面視で格子状に配置されている。
n本の梁13は、梁13の長手方向に並べて配置されている。
梁本体18の端は、中間支点12aにおいて、水平面に沿って延びる第1大梁(中間支持部)27にそれぞれ半剛接合されて、上下方向に支持されている。第1大梁27は、梁本体18に直交する方向に延びている。梁本体18と第1大梁27との半剛接合は、例えばシアプレート28及びボルト29等により行われている。
建築物1は、水平面に沿うとともに第1方向に直交する第2方向に沿って延びる第3大梁32を備えている。第1大梁27及び第2大梁31と、第3大梁32と、の接続部分は、柱33により上下方向に支持されている。
〔2.1.基本式〕
n本(スパン)の梁13を備える連続梁11において、連続梁11の一方の端支点12bから数えて任意のi本目(iは自然数で、1≦i≦n)の梁13の諸元、及び梁13に作用する曲げモーメント、外力、せん断力等を、図3から図5に示すように仮定する。
すなわち、図3に示すように、i本目の梁13iが水平面に沿って延びるとし、梁13iの長さがLi(m)であるとする。なお、各梁13iを区別しないで言うときには、梁13とも言う。
梁13iでは、正曲げ(下に凸)の曲げ剛性と負曲げ(上に凸)の曲げ剛性とが互いに異なるとする。梁13iの正曲げの曲げ剛性をEIs,i(Nm2)とし、梁13iの負曲げの曲げ剛性をEIh,i(Nm2)とする。
図3に示すように、梁13iの左端に作用する曲げモーメント(負曲げモーメント)の絶対値をMjl,i(Nm)とし、梁13iの右端に作用する曲げモーメント(負曲げモーメント)の絶対値をMjr,i(Nm)とする。梁13iには、曲線L1で示す曲げモーメントが作用する。なお、曲げモーメントは下に凸の曲げを生じる向きを正とする。梁13iにおいて、曲げモーメントが0になる座標xiを、xh,i(m),xs,i(m)(0≦xh,i<xs,i≦Li)とする。
図5に示すように、梁13iの左端が大梁27,31等により下方から支持されるせん断力(外力)をVjl,i(N)とし、梁13iの右端が大梁27,31等により下方から支持されるせん断力をVjr,i(N)とする。梁13iには、曲線L2で示すせん断力が作用する。
梁13iの曲率分布を下に凸の場合を正(+)として、ρ(xi)(1/m)、梁13iの上下方向のたわみ(変位)分布を鉛直下向きを正(+)としてδ(xi)(m)とすると、曲率分布ρ(xi)は(34)式で表せる。
座標xiが0以上xh,i以下のとき、梁13iの回転角分布をφ(xi)(rad:ラジアン)とする。水平線からの回転方向が時計回りの場合を正(+)とすると、回転角分布φ(xi)は、曲率分布ρ(xi)を(28)式及び(34)式で表し、さらに曲率分布ρ(xi)を区間[0,xi]で積分して、(35)式を用いて(36)式のように求められる。回転角分布φ(xi)を求めるときに、xi=0における境界条件である、回転角分布φ(xi=0)=φ0iを考慮する。すなわち、梁13iにおける左側(後述する第1端支点12b1側)の回転角は、φ0iである。
なお、区間[a]での回転角分布φ(xi)を、回転角分布φa(xi)とも言う。
座標xiがxh,i以上xs,i以下のとき、梁13iの回転角分布φ(xi)は、曲率分布ρ(xi)を(28)式及び(34)式で表し、区間[xh,i,xi]で積分して、(37)式のように求められる。回転角分布φ(xi)を求めるときに、xi=xh,iにおける境界条件を考慮する。
なお、区間[b]での回転角分布φ(xi)を、回転角分布φb(xi)とも言う。
座標xiがxs,i以上Li以下のとき、梁13iの回転角分布φ(xi)は、曲率分布ρ(xi)を(28)式及び(34)式で表し、区間[xs,i,xi]で積分して、(38)式のように求められる。回転角分布φ(xi)を求めるときに、xi=xs,iにおける境界条件を考慮する。
なお、区間[c]での回転角分布φ(xi)を、回転角分布φc(xi)とも言う。
〔2.3.1.区間[a]=[0,xh,i]のたわみ分布〕
座標xiが0以上xh,i以下のとき、梁13iのたわみ分布δ(xi)は、回転角分布φ(xi)を区間[0,xi]で積分して、(41)式を用いて(42)式のように求められる。たわみ分布δ(xi)を求めるときに、xi=0における境界条件である、鉛直変位δ(xi=0)=δ0iを考慮する。
なお、区間[a]でのたわみ分布δ(xi)を、たわみ分布δa(xi)とも言う。
座標xiがxh,i以上xs,i以下のとき、たわみ分布δ(xi)は、回転角分布φ(xi)を区間[xh,i,xi]で積分して、(43)式のように求められる。たわみ分布δ(xi)を求めるときに、xi=xh,iにおける境界条件を考慮する。
なお、区間[b]でのたわみ分布δ(xi)を、たわみ分布δb(xi)とも言う。
座標xiがxs,i以上Li以下のとき、たわみ分布δ(xi)は、回転角分布φ(xi)を区間[xs,i,xi]で積分して、(44)式のように求められる。たわみ分布δ(xi)を求めるときに、xi=xs,iにおける境界条件を考慮する。
なお、区間[c]でのたわみ分布δ(xi)を、たわみ分布δc(xi)とも言う。
評価方法では、中間支点12a及び一対の端支点12bでの複数の曲げモーメントMj,i、及び一対の端支点12bでの複数の回転角φ01、φcを、与条件に基づいて求める。
ここで言う与条件を説明する前に、複数の鉛直変位、複数の回転剛性について説明する。
まず、図6に示すように、一対の端支点12bのうち、左側の端支点12b(一方の端支点)を第1端支点12b1とも言う。一対の端支点12bのうち、右側の端支点12b(他方の端支点)を第2端支点12b2とも言う。なお、図6中には、座標の一例として第i梁13iの座標xiを示す。
前記座標xiは、梁13iの第1端支点12b1側の端を原点とし、第1端支点12b1から第2端支点12b2に向かう向きを正とする。以下では、n本の梁13iのうち、第1端支点12b1から第2端支点12b2に向かってi本目の梁13iを、第i梁13iとも言う。例えば、n本の梁13のうち最も第1端支点12b1側の梁13は、第1梁131である。
前記回転剛性Sjl,iは第i梁13iにおける第1端支点12b1側の端(中間支点12a)での回転剛性であり、前記回転剛性Sjr,iは第i梁13iにおける第2端支点12b2側の端(中間支点12a)での回転剛性である。
例えば、図1に示す連続梁11の中間支点12aでの鉛直変位δiは、公知の方法により第1大梁27に作用すると規定される分布荷重の範囲Rから求めてもよい。そして、その範囲R内に作用する分布荷重、及び第1大梁27の曲げ剛性等から、中間支点12aでの鉛直変位δiを求める。
なお、曲げモーメントMj,0は、第1梁131の左端に作用する曲げモーメントの絶対値Mjl,1(第1梁131における第1端支点12b1での曲げモーメント)と等しい。曲げモーメントMj,nは、第n梁13nの右端に作用する曲げモーメントの絶対値Mjr,n(第n梁13nにおける第2端支点12b2での曲げモーメント)と等しい。
ここで、第1梁131の左端の回転剛性Sjl,1をSj,0、中間支点12aの代表点における回転剛性をSj,iとする。
図6に示すように、連続梁11は、n本の梁13iを備えている。連続梁11の中間支点12aは、第1大梁27にそれぞれ半剛接合され、連続梁11の端支点12bは、第2大梁31により支持されている。
第i梁13iの左端での回転角をφjl,i(rad)とし、第i梁13iの右端での回転角をφjr,i(rad)とする。この場合、(i-1)本目の第(i-1)梁13i-1の右端での回転角は、φjr,i-1(rad)となる。水平面に対する第i梁13iの左端での回転角をφl,i(rad)とし、水平面に対する第i梁13iの右端での回転角をφr,i(rad)とする。この場合、水平面に対する第(i-1)梁13i-1の右端での回転角は、φr,i-1(rad)となる。
第(i-1)梁13i-1の右端で回転剛性Sjr,i-1が生じる位置と、第i梁13iの左端で回転剛性Sjl,iが生じる位置との距離が、極小長さであるとする。
回転角分布の正負を考慮して、各変数の定義から(47)式及び(48)式が得られる。
ここで、i=2~(n-1)に対し、(38)式におけるφ0iは、次のように求められる。図8から、第i梁13iの左端の中間支点12aにおける回転角φ0i=φl,iは、この中間支点12aにおけるモーメントの絶対値Mj,i-1と回転剛性Sj,i-1を用いて、(49)式を用いて右端の中間支点12aにおける回転角φr,i-1と関係づけられる。さらに、φr,i-1は第(i-1)梁13i-1の右端における回転角なので、第(i-1)梁13i-1における(38)式にxi-1=Li-1を代入した値に等しい。
従って、(38)式を(49)式に代入し、(8)式が導出される。第1端支点12b1の回転角初期値φ01及び各中間支点12aと両端支点12bのモーメントが与えられると、i=2~(n-1)に対するφ0iは(8)式によって順に求められる。
連続梁11を評価するのに際し、曲げモーメントについては、0以上n以下の自然数iに対する曲げモーメントMj,i(複数の曲げモーメント)である(n+1)個の未知数がある。
第1梁131の両端での曲げモーメントMj,0,Mj,1、及び未知数である第1端支点12b1での第1梁131の回転角φ01(φjl,1)にそれぞれ初期値を与えると、x1=L1における(38)式の回転角分布φc(xi)によって第1梁131の回転角φr,1が決まる。(49)式によって、第1梁131に隣接する2本目の第2梁132の回転角φl,2が決まる。
回転角φl,2は、第2梁132に対して(38)式を適用する際の回転角分布φ(x2)のx2=0における値であるφ02に相当する。
同様に、3以上n以下であるiに対して、第(i-1)梁13i-1の両端接合部の曲げモーメントMj,i-2,Mj,i-1を与えると、xi-1=Li-1における(38)式の回転角分布φc(xi-1)によって第(i-1)梁13i-1の右端での回転角φr,i-1が決まり、(49)式によって第(i-1)梁13i-1に隣接する第i梁13iの左端での回転角φl,iが決まる。なお、第i梁13iの左端での回転角φl,iは、第i梁13iに対して(38)式を適用する際の回転角分布φ(xi)のxi=0における値であるφ0iに相当する。
なお、第2端支点12b2での第n梁13nの回転角φr,nも未知数である。すなわち、回転角については、2個の回転角φ01及び回転角φr,nが未知数である。
こうして未知数の数は、例えば、各支点12a,12bでの曲げモーメントMj,i、及び両端支点12bでの回転角の(n+3)である。
与条件である第1端支点12b1での鉛直変位δ01、及び1以上n以下のiに対するxi=Liにおける(44)式から、0以上n以下のiに対して、複数の鉛直変位δiの関係式として、複数の第1境界条件である(54-1)式から(54-(n+1))式の(n+1)個の関係式が得られる。
こうして第1境界条件の数は、(n+3)個の関係式の(n+3)である。すなわち、複数の第1境界条件の数は複数の未知数の数と同数になる。
従って、複数の未知数が複数の第1境界条件を満たすように複数の未知数を解けば、(n+1)個の曲げモーメントMj,iの組み合わせは一つに決まる。
最適化計算には、公知の差分進化法(Differential Evolution Method)等を用いることができる。
なお、連続梁11の両端支点12bでの接合状態に応じた連続梁の評価方法における計算手順については、後述する。
連続梁の評価方法を行い連続梁11を評価するには、例えば図9に示す評価装置101が用いられる。評価装置101はコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)111と、主記憶装置125と、補助記憶装置126と、入出力インタフェース(IO・I/F)131と、記録・再生装置136と、を備えている。
入出力インタフェース131は、キーボードやマウス等の入力装置132、及び表示装置133に接続される。
記録・再生装置136は、CDやDVD等のディスク型等の記録媒体137に対するデータの記録や再生を行う。
なお、これらのプログラムは、フラッシュメモリ等の携帯可能なメモリや、図示されていない通信装置を介して外部装置から補助記憶装置126に取り込まれてもよい。
CPU111は、機能的に、複数の曲げモーメント、及び複数の回転角を、与条件に基づいて求める解決定部112を備えている。さらに、解決定部112は、機能的に、第1設計部113と、第2設計部114と、仮設計部115と、記憶部116と、解算出部117と、残差算出部118と、判定部119と、解設定部120と、を備えている。
これらのCPU111の機能構成要素である第1設計部113、第2設計部114、仮設計部115、記憶部116、解算出部117、残差算出部118、判定部119、及び解設定部120は、いずれも、補助記憶装置126に格納されている評価プログラム127等をCPU111が実行することで機能する。評価プログラム127等は、評価装置101用のプログラムである。評価プログラム127は、評価装置101を解決定部112として機能させる。
次に、評価装置101の評価動作(評価方法)について説明する。なお、表1に示すように、連続梁11の一対の端支点12bでの接合状態は、第1端支点12b1がピン接合、半剛接合、剛接合の3通りあり、第2端支点12b2がピン接合、半剛接合、剛接合の3通りあるため、全部で9通りある。
図10は、連続梁11がケース1の場合の本実施形態の評価方法S11を示すフローチャートである。評価方法S11では、複数の曲げモーメント及び複数の回転角を与条件に基づいて求める解決定工程(図10に示すステップS12)を行う。
解決定工程S12では、まず、第1設計部113は第1設計工程(ステップS14)を行う。第1設計工程S14では、連続梁11の一対の端支点12b及び中間支点12aでの複数の鉛直変位δiを含む設計値を与える。複数の鉛直変位δiは、前記与条件として与えられる。第1設計工程S14では、前記設計値には、前記複数の回転剛性と、n本の梁13iそれぞれの長さLiと、n本の梁13iそれぞれの曲げ剛性と、n本の梁13iそれぞれに作用する等分布荷重wiと、を含む。
第1設計工程S14が終了すると、ステップS16に移行する。
第2設計工程S16が終了すると、ステップS18に移行する。
次に、仮設計工程S18において、仮設計部115は一対の端支点12bでの接合状態に応じて、一対の端支点12b及び中間支点12aに作用する曲げモーメントMj,iを含む仮設計値を与える。連続梁11がケース1の場合には、仮設計部115はさらに、仮設計値として第1端支点12b1での梁131の回転角φ01を与える。
仮設計工程S18が終了すると、ステップS20に移行する。
次に、解算出工程S22において、解算出部117は、仮設定値ファイル128に記憶された仮設計値に基づいて、複数の第1境界条件及び第2境界条件を満たすように、中間支点12aでの鉛直変位の計算結果δi,calcを含む計算値を算出する。計算値は、第2端支点12b2での鉛直変位の計算結果である鉛直変位の計算結果δn,calcを含む。鉛直変位の計算結果δi,calcは、(54-2)式から(54-(n+1))式における鉛直変位δ1から鉛直変位δnまでのn個の値である。
鉛直変位の計算結果δ0,calcである鉛直変位δ01(鉛直変位δ0)は、与条件として与えられる複数の鉛直変位の1つの要素であるため、解算出工程S22では値は新たに算出されない。鉛直変位の計算結果δi,calcは、δ1,calc、δ2,calc、‥、δn,calcの順に算出される。
解算出工程S22が終了すると、ステップS24に移行する。
変位残差について、より詳しく説明する。ここで、1以上(n-1)以下のiに対する、梁13(i+1)における第1端支点12b1側の中間支点12aでの鉛直変位δ0(i+1)と、梁13iにおける第2端支点12b2側の中間支点12aでの鉛直変位の計算結果δi,calcとの残差を、第i残差とする。
残差算出工程S24では、第1残差から第(i-1)残差までの和である中間残差を算出する。与条件である第2端支点12b2における鉛直変位δnと、梁13nにおける第2端支点12b2での鉛直変位の計算結果δn,calcと、の残差である第2端支点残差を算出する。このとき、変位残差は、中間残差と第2端支点残差との和になる。
なお、残差算出工程S24では、回転角分布φ(xi)、曲げモーメント分布M(xi)Mj,i、曲げ剛性EIi、曲げモーメントMj,i、回転剛性Sj,i、回転角φl,i,φr,i-1に関する(60)式及び(61)式である適合条件が成り立つか否かを判定する。曲げモーメント分布M(xi)は、(22)式から求められる。
残差算出工程S24が終了すると、ステップS26に移行する。
以上で、評価方法S11における全ての工程を終了する。
このように、判定工程S26において、変位残差が閾値以上である(No)と判定されたときには、記憶工程S20で他の新たな仮設計値を与えること、及び、この他の新たな仮設計値に基づいて、記憶工程S20、解算出工程S22、残差算出工程S24、及び判定工程S26を行うこと、を組にして、判定工程S26において変位残差が閾値よりも小さいと判定されるまで繰り返す。2回目以降の仮設計工程S18においては、例えば差分進化法に従って仮設計値を再設定し、仮設計工程S18~判定工程S26の計算を行うことで、効果的に変位残差の収斂計算を行うことができる。
この場合の評価方法S36では、複数の曲げモーメント及び複数の回転角を与条件に基づいて求める解決定工程S37を行う。
解決定工程S37では、まず、前記第1設計工程S14を行う。第1設計工程S14が終了すると、ステップS39に移行する。
次に、第2設計工程S39において、第2設計部114は一対の端支点12bでの接合状態に応じて第2境界条件を与える。ケース2の場合には、第2境界条件は、連続梁11の端支点12b1,12b2における(64)式及び(65)式である。すなわち、曲げモーメントMj,0,Mj,nは、未知数である。第2境界条件には、回転角φ01が未知数であることが含まれる。
次に、仮設計工程S41において、仮設計部115は一対の端支点12bでの接合状態に応じて、中間支点12aに作用する曲げモーメントMj,iを含む仮設計値を与える。連続梁11がケース2の場合には、さらに曲げモーメントMj,0及び回転角φjl,1の一方を仮設計値として与える。
仮設計工程S41が終了すると、記憶工程S20、解算出工程S22、残差算出工程S24、判定工程S26を行い、判定工程S26での判定に基づいて解設定工程S28又は仮設計工程S41に移行する。
この場合の評価方法S46では、複数の曲げモーメント及び複数の回転角を与条件に基づいて求める解決定工程S47を行う。
解決定工程S47では、まず、前記第1設計工程S14を行う。第1設計工程S14が終了すると、ステップS49に移行する。
次に、第2設計工程S49において、第2設計部114は一対の端支点12bでの接合状態に応じて第2境界条件を与える。ケース3の場合には、第2境界条件は、回転角φjl,1(φl,1、φ01)及び回転角φjr,n(φr,n)がそれぞれ0radであることである。すなわち、曲げモーメントMj,0,Mj,nは、未知数である。
第2設計工程S49が終了すると、ステップS51に移行する。
仮設計工程S51が終了すると、記憶工程S20、解算出工程S22、残差算出工程S24、判定工程S26を行い、判定工程S26での判定に基づいて解設定工程S28又は仮設計工程S51に移行する。
ただし、残差算出工程S24では、鉛直変位の計算結果δ0,calcは新たに計算せずに、鉛直変位の計算結果δ0,calcとして与条件で与えられる鉛直変位δ0の値であるとする。回転角φl,1は、新たに計算せずに0radであるとする。
連続梁11がケース3の場合には、残差算出工程S24において、与条件であるφr,n=0を考慮して、(38)式においてxi=Liとした(68)式から回転角φr,nを算出し、回転角φr,nの二乗に適切な重み係数(正の値)を乗じて、変位残差に加える。
この場合の評価方法S56では、複数の曲げモーメント及び複数の回転角を与条件に基づいて求める解決定工程S57を行う。
解決定工程S57では、まず、前記第1設計工程S14を行う。第1設計工程S14が終了すると、ステップS59に移行する。
次に、第2設計工程S59において、第2設計部114は一対の端支点12bでの接合状態に応じて第2境界条件を与える。ケース4Aの場合には、第2境界条件は、曲げモーメントMj,0が0Nmであることと、(65)式である。すなわち、第2境界条件には回転角φ01が未知数であることが含まれる。
第2設計工程S59が終了すると、ステップS61に移行する。
仮設計工程S61が終了すると、記憶工程S20、解算出工程S22、残差算出工程S24、判定工程S26を行い、判定工程S26での判定に基づいて解設定工程S28又は仮設計工程S61に移行する。
この場合の評価方法S66では、複数の曲げモーメント及び複数の回転角を与条件に基づいて求める解決定工程S67を行う。
解決定工程S67では、まず、前記第1設計工程S14を行う。第1設計工程S14が終了すると、ステップS69に移行する。
次に、第2設計工程S69において、第2設計部114は一対の端支点12bでの接合状態に応じて第2境界条件を与える。ケース5Aの場合には、第2境界条件は、曲げモーメントMj,0が0Nmであることと、回転角φr,nが0radであることである。すなわち、第2境界条件には回転角φ01が未知数であることが含まれる。第2設計工程S69が終了すると、前記仮設計工程S61を行う。
これ以降は、一対の端支点12bでの接合状態がケース4Aの場合と同一なので、説明を省略する。ただし、連続梁11がケース5Aの場合には、残差算出工程S24では、前記適合条件が成り立つか否かを判定する際に、残差算出工程S24において、与条件であるφr,n=0を考慮して、(38)式においてxi=Liとした(68)式から回転角φr,nを算出し、回転角φr,nの二乗に適切な重み係数(正の値)を乗じて、変位残差に加える。
この場合の評価方法S76では、複数の曲げモーメント及び複数の回転角を与条件に基づいて求める解決定工程S77を行う。
解決定工程S77では、まず、前記第1設計工程S14を行う。第1設計工程S14が終了すると、ステップS79に移行する。
次に、第2設計工程S79において、第2設計部114は一対の端支点12bでの接合状態に応じて第2境界条件を与える。ケース6Aの場合には、第2境界条件は、回転角φl,1が0radであることと、(65)式である。すなわち、曲げモーメントMj,0は、未知数である。第2設計工程S79が終了すると、ステップS81に移行する。
仮設計工程S81が終了すると、記憶工程S20、解算出工程S22、残差算出工程S24、判定工程S26を行い、判定工程S26での判定に基づいて解設定工程S28又は仮設計工程S81に移行する。ただし、連続梁11がケース6Aの場合には、残差算出工程S24では、前記適合条件が成り立つか否かを判定する際に、解算出工程S22で得られた回転角φr,nと、前記第2境界条件に含まれる(65)式と仮設計値のMj,nによって計算される回転角φr,nとの差の二乗に適切な重み係数(正の値)を乗じて、変位残差に加える。
一方で、複数の回転剛性、複数の曲げモーメント、及び複数の回転角の関係式として、(n+1)の条件式が与えられる。
(1)連続梁11の端支点12bの少なくとも一方がピン接合の場合
ピン接合されている端支点12bでの曲げモーメントが0であるため、ピン接合されている端支点12bの数(0以上2以下)だけ未知数が減る。これにより、ピン接合における回転角と曲げモーメントと回転剛性の式も、Mj=Sj×φjの式において、Mj=Sj=0のため回転角φjは不定となり、ピン接合されている端支点12bの数だけ第1境界条件による条件式が減る。
(2)連続梁11の端支点12bの少なくとも一方が剛接合の場合
剛接合されている端支点12bでの回転角が0であるため、剛接合されている端支点12bの数(0以上2以下)だけ未知数が減る。これにより、剛接合における回転角と曲げモーメントと回転剛性の式も、Mj=Sj×φjの式においてφj=0、Sj=∞(無限大)のため曲げモーメントMjは不定となり、剛接合されている端支点12bの数だけ第1境界条件による条件式が減る。
端支点12bがピン接合又は剛接合であるという第2境界条件を与えることで、第2境界条件の数だけ、複数の未知数数が減る。しかし、条件式が不定になり、第1境界条件の数が減る。
この結果、複数の未知数の数と、複数の第1条件式の数と複数の第2条件式の数との和とは同数(一定)である、という条件が保たれる。
なお、連続梁11の曲げモーメントは、(22)式において、(24)式で求めたせん断力Vjl,i、曲げモーメントMj,i等から、(70)式により得られる。
また、本実施形態の評価方法を用いて、連続梁11を設計する連続梁の設計方法を行ってもよい。
発明者らは、前記差分進化法を用いて評価方法を行い、複数の曲げモーメント及び複数の回転角を与条件に基づいて求める評価プログラムを作成した。評価プログラムの入力シートCを図11に示す。入力シートCに入力する、主な連続梁11の諸元等について説明する。
入力シートCにおいて、連続梁11の梁13の本数(Number of continuous beam span)nを、セルC1に入力する。この例では、nを5とした。収斂計算に用いる閾値(Threshold for ending convergence)を、セルC2に入力する。この例では、閾値を1.38×10-2mm2とした。
梁131から梁135の長さ(Span)Liを、それぞれセルC3に入力する。この例では、梁131から梁135の長さLiを、それぞれ13800mm(13.8m)とした。
各中間支点12aでの鉛直変位δiは、それぞれ0mとした。
この例では、スラブコンクリート及び鉄骨の自重(構造質量×重力加速度、ww_SW)を、両端支点12b及び中間支点12aにおいてピン接合された純鉄骨架構の梁13で支持すると仮定し、この値をセルC7に入力している。
そして、連続梁11の供用開始後に梁13に積載された荷重は、コンクリート硬化後に半剛接合として挙動する接合部(中間支点12a)、及び両端支点12bにおいてピン接合で支持された合成梁(梁本体18と床17が一体で挙動する梁13)が支えるものと仮定している。
実線で示した曲線L4は、コンクリート硬化後の積載荷重(等分布荷重)に対する曲げモーメント分布を表す。点線で示した曲線L5は、曲線L4で示した値に加えて、スラブコンクリート(コンクリート22)及び鉄骨(梁本体18)の自重による曲げモーメント分布を考慮した値を示している。すなわち、曲線L4は、構造体である連続梁11の質量を考慮しない場合の曲げモーメント分布を表している。
いずれの曲げモーメント分布も、梁13及び接合部の弾性限曲げ耐力以下であることが分かった。
連続梁11では、半剛接合されている中間支点12aにおいて回転剛性に応じた回転角が生じる。このため、回転角分布は、中間支点12aにおいて不連続である。例えば、図13中に、第3梁133の右端での回転角φr,3、及び第4梁134の左端での回転角φl,4を示す。回転角φr,3と回転角φl,4とは、不連続である。
なお、中間支点12aにおける隣接する梁13同士の回転角の絶対値の差は、接合部の曲げモーメントの回転剛性に対する比により生じる。具体的には、回転剛性が小さく、曲げモーメントが大きいほど、中間支点12aにおける隣接する梁13同士の回転角の絶対値の和が大きくなる。
表2から表8に示す比較例、及び実施例1から3の連続梁に対して、連続梁の評価方法を行った。
梁の長さは、比較例、実施例1及び2では、いずれの梁も15500mm(15.5m)とした。実施例3では、第1梁から第4梁の長さは、それぞれ13000mm、15500mm、14000mm、13000mmとした。
比較例及び実施例1では、梁せいは617mm、フランジ幅は230mm、ウェブ厚は13.1mm、フランジ厚は22.1mm、強軸回りの断面2次モーメントは1120000000mm4(0.00112m4)、梁の単位長さ当たりの質量は140kg/m、梁の鋼材の降伏強度は345N/mm2とした。
実施例2及び3では、梁せいは600mm、フランジ幅は250mm、ウェブ厚は9.0mm、フランジ厚は16.0mm、強軸回りの断面2次モーメントは831000000mm4、梁の単位長さ当たりの質量は104kg/m、梁の鋼材の降伏強度は355N/mm2とした。
梁が負曲げされる部分(梁の両端部)の補強筋として、比較例、実施例1及び3では、径がD10の鉄筋を100mmピッチで配置した。実施例2では、径がD16の鉄筋を100mmピッチで配置した。
梁同士が接合される接合部の補強筋として、実施例1及び3では、径がD10の鉄筋を100mmピッチで配置した。実施例2では、径がD16の鉄筋を100mmピッチで配置した。比較例では、接合部に補強筋を配置しなかった。
比較例、及び実施例1から3で用いた鉄筋の鋼材の降伏強度は、435N/mm2とした。
この例では、例えば比較例の連続梁では、第1梁から第4梁に対するスラブの有効幅は、それぞれ3294mmとした。実施例1の連続梁では、第1梁から第4梁に対するスラブの有効幅は、3294mm、2713mm、2713mm、3294mm、とした。
実施例1から3の連続梁では、各端支点でそれぞれピン接合とし、各中間支点でそれぞれ半剛接合とした。実施例1の連続梁では、第1中間支点から第3中間支点での回転剛性はそれぞれ108kNm/mrad、116kNm/mrad、108kNm/mradとした。実施例2の連続梁では、第1中間支点から第3中間支点での回転剛性はそれぞれ192kNm/mrad、242kNm/mrad、192kNm/mradとした。実施例3の連続梁では、第1中間支点から第3中間支点での回転剛性はそれぞれ103kNm/mrad、116kNm/mrad、102kNm/mradとした。
実施例1の連続梁では、第1梁及び第4梁において、正曲げの曲げ剛性は555000kNm2、負曲げの曲げ剛性は308000kNm2とした。第2梁及び第3梁において、正曲げの曲げ剛性は525000kNm2、負曲げの曲げ剛性は292000kNm2とした。
実施例2の連続梁では、第1梁及び第4梁において、正曲げの曲げ剛性は433594kNm2、負曲げの曲げ剛性は241305kNm2とした。第2梁及び第3梁において、正曲げの曲げ剛性は413095kNm2、負曲げの曲げ剛性は232307kNm2とした。
実施例3の連続梁では、第1梁及び第4梁において、正曲げの曲げ剛性は415000kNm2、負曲げの曲げ剛性は232000kNm2とした。第2梁において、正曲げの曲げ剛性は413000kNm2、負曲げの曲げ剛性は232000kNm2とした。第3梁において、正曲げの曲げ剛性は402000kNm2、負曲げの曲げ剛性は227000kNm2とした。
積載荷重として、比較例、及び実施例1から3の連続梁のSDL(構造体を除く死荷重)はそれぞれ1.0kN/m2とし、LL(活荷重)はそれぞれ4.5kN/m2とした。
実施例1の連続梁では、第1梁に正曲げで1174kNmの曲げモーメントが作用し、負曲げで471kNmの曲げモーメントが作用した。第1中間支点には、負曲げで471kNmの曲げモーメントが作用した。
連続梁の最大たわみは、比較例の連続梁では95mmであった。実施例1から3の連続梁では、それぞれ82mm、104mm、96mmであった。
比較例の連続梁を基準とした梁の最大たわみ比は、値が100%から0%に近づくほど比較例の連続梁に対して最大たわみが小さいことを意味する。この比は、実施例1の連続梁では86%であった。実施例2の連続梁では110%であり、実施例3の連続梁では101%であった。
比較例の連続梁を基準とした梁(鋼)の質量比は、値が100%から0%に近づくほど比較例の連続梁に対して梁を形成するのに必要な鋼材の質量が小さいことを意味する。
この比は、実施例1の連続梁では100%であった。実施例2及び3の連続梁では、74%であった。
比較例の連続梁に比べて実施例2の連続梁では、連続梁の最大たわみが(104-95)/95の式から10%増え、曲げ耐力に対する発生曲げモーメントの割合が80~83%で同等であるが、梁の質量は(104-140)/140の式から26%減ることが分かった。
比較例の連続梁に比べて実施例3の連続梁では、連続梁の最大たわみが95~96mmで同等であるが、梁の質量は(104-140)/140の式から26%減ることが分かった。
従って、多くの連続梁の評価では、端支点での接合状態がピン接合あるいは剛接合と仮定している。そして、梁の剛性(スラブの合成効果)を考慮しないか、考慮したとしても精度の良い評価式がない。このため、連続梁の設計において安全率を大きくとり、連続梁の設計をする際の経済効果が得られにくい課題があった。
そして、求めた複数の曲げモーメント及び複数の回転角から、複数の鉛直変位の関係式に基づいて複数の鉛直変位を算出することにより、一対の端支点12bでの接合状態に応じて、連続梁11の曲げモーメントやたわみ分布をより適切に評価することができる。これにより、連続梁11の評価が過大評価及び過小評価になることを避けることができる。
判定工程S26において、変位残差が閾値以上であるときには、記憶工程S20で記憶された仮設計値に代えて仮設計工程で他の新たな仮設計値を与えること、及び、この新たな仮設計値に基づいて解算出工程S22、残差算出工程S24、判定工程S26を行うこと、を組にして、判定工程S26において変位残差が閾値よりも小さいと判定されるまで繰り返す。従って、曲げモーメントを精度良く算出することができ、この曲げモーメントに基づいて複数の回転角を求めることができる。
例えば、前記実施形態の評価方法では、判定工程S26における判定に基づいて、解設定工程S28又は仮設計工程に移行しなくてもよい。この場合、評価方法で記憶工程S20は行われない。
端支持部は第2大梁31であるとしたが、端支持部は他の建築物等の剛体でもよい。
12a 中間支点
12b 端支点
13 梁(小梁)
27 第1大梁(中間支持部)
31 第2大梁(端支持部)
101 評価装置
112 解決定部
S11,S36,S46,S56,S66,S76 評価方法(連続梁の評価方法)
S12,S37,S47,S57,S67,S77 解決定工程
S14 第1設計工程
S16,S39,S49,S59,S69,S79 第2設計工程
S18,S41,S51,S61,S81 仮設計工程
S20 記憶工程
S22 解算出工程
S24 残差算出工程
S26 判定工程
Claims (5)
- 長手方向に並べて配置されるとともに、前記長手方向に隣り合う端部同士が互いに半剛接合されて中間支点とされたn本の梁を備える連続梁であって、前記連続梁全体の両端が一対の端支点とされた前記連続梁を評価する連続梁の評価方法であって、
前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の曲げモーメント、及び前記一対の端支点での複数の回転角を、与条件に基づいて求める解決定工程を行い、
前記与条件は、
前記n本の梁それぞれの長さ及び曲げ剛性と、
前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の回転剛性と、
前記n本の梁に作用する鉛直荷重と、
前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の鉛直変位と、を含み、
前記解決定工程では、
前記複数の曲げモーメント及び前記複数の回転角を複数の未知数とし、
前記複数の回転剛性、前記複数の曲げモーメント、及び前記複数の回転角の関係式と、前記複数の鉛直変位の関係式とを、前記複数の未知数の数と同数の複数の第1境界条件としたときに、
前記複数の未知数が前記複数の第1境界条件を満たすように前記複数の未知数を解いて、前記連続梁の曲げモーメント及びたわみ分布を評価する連続梁の評価方法。 - 前記解決定工程では、
前記複数の鉛直変位を含む設計値を与える第1設計工程と、
前記一対の端支点での接合状態に応じて前記一対の端支点に第2境界条件を与える第2設計工程と、
前記一対の端支点での接合状態に応じて、前記一対の端支点及び前記中間支点に作用する前記曲げモーメントを含む仮設計値を与える仮設計工程と、
前記仮設計値に基づいて、前記複数の第1境界条件及び前記第2境界条件を満たすように、前記中間支点での鉛直変位の計算結果を含む計算値を算出する解算出工程と、
前記設計値と前記計算値との残差である変位残差を求める残差算出工程と、
前記変位残差が、予め定められた閾値よりも小さいか否かを判定する判定工程と、
を行う請求項1に記載の連続梁の評価方法。 - 前記解決定工程では、前記仮設計工程の後で、前記仮設計値を記憶する記憶工程を行い、
前記判定工程において、前記変位残差が前記閾値以上であるときには、前記記憶工程で記憶された前記仮設計値に代えて前記仮設計工程で他の新たな仮設計値を与えること、及び、この新たな仮設計値に基づいて前記解算出工程、前記残差算出工程、前記判定工程を行うこと、を組にして、前記判定工程において前記変位残差が前記閾値よりも小さいと判定されるまで繰り返し、
前記判定工程において前記変位残差が前記閾値よりも小さいと判定されたときの前記仮設計値の前記曲げモーメントを、前記中間支点に作用する前記曲げモーメントとして、この曲げモーメントに基づいて前記複数の回転角を求める請求項2に記載の連続梁の評価方法。 - 前記解算出工程では、前記n本の梁のうち、前記連続梁の一方の前記端支点である第1端支点から前記連続梁の他方の前記端支点である第2端支点に向かって、1以上n以下のiに対して、i本目の前記梁における前記第1端支点側の前記中間支点又は前記端支点での前記鉛直変位δ0i(m)を前記与条件とし、i本目の前記梁における前記第2端支点側の前記中間支点又は前記端支点での前記鉛直変位の計算結果δi,calc(m)を、(1)式から(8)式を用いて(9)式により前記計算値として算出し、
1以上(n-1)以下のiに対する、(i+1)本目の前記梁における前記第1端支点側の前記中間支点での前記鉛直変位δ0(i+1)と、i本目の前記梁における前記第2端支点側の前記中間支点での前記鉛直変位の計算結果δi,calcと、の残差を第i残差としたときに、
前記残差算出工程では、
前記第1残差から前記第(i-1)残差までの和である中間残差を算出し、
前記与条件である前記第2端支点における前記鉛直変位δnと、n本目の前記梁における前記第2端支点での前記鉛直変位の計算結果δn,calcと、の残差である第2端支点残差を算出し、
前記中間残差と前記第2端支点残差との和である前記変位残差を算出する請求項2又は3に記載の連続梁の評価方法。
- 長手方向に並べて配置されるとともに、前記長手方向に隣り合う端部同士が互いに半剛接合されて中間支点とされたn本の梁を備える連続梁であって、前記連続梁全体の両端が一対の端支点とされた前記連続梁を評価する評価装置用の連続梁の評価プログラムであって、前記評価装置を、
前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の曲げモーメント、及び前記一対の端支点での複数の回転角を、与条件に基づいて求める解決定部として機能させ、
前記与条件は、
前記n本の梁それぞれの長さ及び曲げ剛性と、
前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の回転剛性と、
前記n本の梁に作用する鉛直荷重と、
前記中間支点及び前記一対の端支点での複数の鉛直変位と、を含み、
前記解決定部は、
前記複数の曲げモーメント及び前記複数の回転角を複数の未知数とし、
前記複数の回転剛性、前記複数の曲げモーメント、及び前記複数の回転角の関係式と、前記複数の鉛直変位の関係式とを、前記複数の未知数の数と同数の複数の第1境界条件としたときに、
前記複数の未知数が前記複数の第1境界条件を満たすように前記複数の未知数を解いて、前記連続梁の曲げモーメント及びたわみ分布を評価する連続梁の評価プログラム。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019210798A JP7348509B2 (ja) | 2019-11-21 | 2019-11-21 | 連続梁の評価方法及び連続梁の評価プログラム |
CN202080093437.8A CN114945923A (zh) | 2019-11-21 | 2020-11-17 | 连续梁的评价方法、连续梁的评价程序及组合梁的评价方法 |
PCT/JP2020/042755 WO2021100693A1 (ja) | 2019-11-21 | 2020-11-17 | 連続梁の評価方法、連続梁の評価プログラム、及び合成梁の評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019210798A JP7348509B2 (ja) | 2019-11-21 | 2019-11-21 | 連続梁の評価方法及び連続梁の評価プログラム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021082152A JP2021082152A (ja) | 2021-05-27 |
JP7348509B2 true JP7348509B2 (ja) | 2023-09-21 |
Family
ID=75965338
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019210798A Active JP7348509B2 (ja) | 2019-11-21 | 2019-11-21 | 連続梁の評価方法及び連続梁の評価プログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7348509B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114044105B (zh) * | 2021-10-28 | 2022-10-14 | 中国船舶工业集团公司第七0八研究所 | 面向实际应用的集装箱船静水垂向弯矩极值设计方法 |
CN114235375B (zh) * | 2021-12-22 | 2023-08-18 | 中国飞机强度研究所 | 一种无人机机翼主梁强度试验结构 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001195444A (ja) | 1999-10-29 | 2001-07-19 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | 構造物の設計方法及び記録媒体 |
JP2005294195A (ja) | 2004-04-05 | 2005-10-20 | Yazaki Corp | 線条構造物の配線設計支援方法、その装置及びそのプログラム |
JP2018168630A (ja) | 2017-03-30 | 2018-11-01 | トヨタホーム株式会社 | 応力又はたわみの算出システム |
-
2019
- 2019-11-21 JP JP2019210798A patent/JP7348509B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001195444A (ja) | 1999-10-29 | 2001-07-19 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | 構造物の設計方法及び記録媒体 |
JP2005294195A (ja) | 2004-04-05 | 2005-10-20 | Yazaki Corp | 線条構造物の配線設計支援方法、その装置及びそのプログラム |
JP2018168630A (ja) | 2017-03-30 | 2018-11-01 | トヨタホーム株式会社 | 応力又はたわみの算出システム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021082152A (ja) | 2021-05-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6414374B1 (ja) | 分析方法、設計方法、製造方法、及びプログラム | |
Adeoti et al. | Stability of 6082-T6 aluminium alloy columns with H-section and rectangular hollow sections | |
Moon et al. | Moment gradient correction factor and inelastic flexural–torsional buckling of I-girder with corrugated steel webs | |
JP7348509B2 (ja) | 連続梁の評価方法及び連続梁の評価プログラム | |
CN110852012A (zh) | 轴压加筋板极限强度预测方法 | |
WO2021100693A1 (ja) | 連続梁の評価方法、連続梁の評価プログラム、及び合成梁の評価方法 | |
CN110837690A (zh) | 蜂窝结构非线性本构关系的建立方法、介质和设备 | |
Wu et al. | Experimental study and numerical simulation on the seismic behavior of diagonally stiffened stainless steel plate shear walls under low cyclic loading | |
Santana et al. | Stability and load capacity of an elasto-plastic pyramidal truss | |
Zhang et al. | Experimental investigation and numerical simulation of pallet-rack stub columns under compression load | |
Kang et al. | A new technique for calculating the effective length factor of the tower in cable-stayed bridge | |
CN110889159A (zh) | 一种外包波纹侧板混凝土组合梁的抗剪承载力计算方法 | |
CN113343424A (zh) | 一种弯剪扭组合荷载作用下薄壁梁极限强度计算方法 | |
Šakalys et al. | Numerical investigation on web crippling behaviour of cold-formed C-section beam with vertical stiffeners | |
Koo et al. | A study on the stability of the single-layer latticed dome during erection using the step-up method | |
JP7436849B2 (ja) | 分析方法、設計方法、製造方法、及びプログラム | |
Wang et al. | Ultimate analysis of steel structures based on fiber hinge model and time-varying structure theory | |
JP7024753B2 (ja) | 床構造に用いる鉄骨梁の設計方法、床構造 | |
Deâ et al. | Parametrical study of lateral torsional buckling behaviour for triangular web profile steel section | |
Bozdogan et al. | Vibration analysis of asymmetric shear wall structures using the transfer matrix method | |
Firouzbakhsh et al. | Reducing the cost of calculations for stability analysis of tall buildings using a new approach | |
Sarah et al. | A review of optimization of plate girders with corrugated webs | |
Hattori et al. | Study on the effects by de-bond on structural behavior of hinge position guaranteed RC beams | |
Vacev et al. | Analysis of stressed skin behaviour of a steel façade frame under varying structural conditions | |
Blum et al. | Design method for columns with intermediate elastic torsional restraint |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220706 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230307 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20230418 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230808 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230821 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7348509 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |