JP7047939B2 - 鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法 - Google Patents

鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄道車両用の台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld(アズウェルド)溶接部の溶接止端部に発生する応力を精度良く評価する方法に関する。
鉄道車両は、車体と該車体を支持する台車とによって構成されている。台車は、台車枠と該台車枠に取り付けられた輪軸とによって構成され、台車枠は、空気ばねを介して車体に接続されている。
一般に、上記の鉄道車両用の台車枠は、以下に述べる一連の製造工程によって製造される(例えば、特許文献1参照)。
まず、所定の形状に加工された部材(鋼材)を準備する。次に、準備した部材を組み合わせ、部材同士をガスシールドアーク溶接(例えば、MAG溶接)によって接合し、台車枠を成形する。
次に、部材間に形成された溶接部の溶接止端部(部材と溶接部との視認可能な境目)など、高い応力の発生が予想される部位について、溶接部の表面の形状をグラインダーによって手入れする。次に、台車枠に焼鈍処理を施して、残留応力を除去する。次に、台車枠にショットブラストを施して、機械加工を行い、配管座等の小物付加物を溶接し、台車枠に塗装を施す。
上記のような一連の製造工程によって台車枠は製造される。
ここで、手入れ前の溶接部の溶接止端部に発生する応力が、許容応力の上限値以下であれば、グラインダーによる溶接部の手入れを省略することができる。換言すれば、台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld溶接部(溶接したままの溶接部)を手入れすることなく、そのままの状態にすることができる。手入れを省略できれば、その分だけ台車枠の製造効率を高めることができるため、As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を、As-weld溶接部の手入れ前に精度良く評価可能な方法が望まれている。
台車枠の設計段階では、台車枠が存在しないため、疲労試験機に台車枠を取り付けることができない。このため、台車枠が有するAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を直接測定することは困難である。このため、台車枠の有限要素モデルを作成し、この有限要素モデルを用いて有限要素法解析を実行することで、As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出する方法が考えられる。
例えば、As-weld溶接部が十字型溶接継手を構成する部材間に形成されている場合、上記の有限要素モデルにおいて、図2(a)に示すように、As-weld溶接部3の断面を三角形状にモデル化することが考えられる。この場合、As-weld溶接部3の溶接止端部32a、32bは、角のある形状(接線が定まらない幾何学的な特異点(角点)を有する形状)となる。すなわち、溶接止端部32aは、部材1の縁11とAs-weld溶接部3の縁31との交差する部分であるが、直線である縁11と直線である縁31とが折れ線状に交差するために、その交差点が角点となる。溶接止端部32bについても同様である。
上記のように、溶接止端部が角のある形状となるようにAs-weld溶接部をモデル化した有限要素モデルを用いた場合、たとえ、有限要素モデルのメッシュを細かく設定しても、算出結果がメッシュサイズに強く依存するため、溶接止端部に発生する応力を精度良く算出できないという問題がある。
また、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部の断面は、上記のような単純な三角形状ではなく複雑な形状である。また、As-weld溶接部毎に個体差がある。したがい、As-weld溶接部を正確にモデル化するには、As-weld溶接部の断面外形を個別に測定する必要等が生じ、多大な手間を要するため、現実的ではない。
ここで、特許文献2には、構造物のシェルモデルを用いて有限要素法により構造物の各部の応力を演算し、この演算された応力と予め記憶した応力集中率および疲労寿命評価線図に基づいて、応力集中部の各局所形状に応じた疲労寿命をそれぞれ評価する疲労寿命評価システムが開示されている。
また、特許文献3には、車両の台車枠の強度評価方法において、台車枠についてFEMモデルを作成する工程と、FEMモデルの節点について、複合応力を演算する工程と、複合応力に基づいて安全率分布図を作成し、強度評価を行う工程とを含む台車枠の強度評価方法が開示されている。
特開2016-68593号公報 特開2003-149091号公報 特開2005-190242号公報
しかしながら、特許文献2の疲労寿命評価システムでは、シェルモデルを用いている。したがって、上記したAs-weld溶接部の断面を単純な十字形状でモデル化せざるを得ないため、個別の複雑形状はおろか、単純な三角形状も再現できない。このため、シェルモデルがソリッドモデルよりも応力の解析精度が劣ることは自明である。
また、特許文献3の台車枠の強度評価方法では、ソリッドモデルを用いているが、As-weld溶接部を前提として溶接止端を角点としたモデルと、グラインダー仕上げを前提として溶接止端部を角のない丸めた形状としたモデルをそれぞれ作成し、それぞれのモデルにおける安全率から、As-weld溶接部かグラインダー仕上げかを決定する必要があるため、設計工程上で多くの時間と手間を要する。
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためになされたものであり、鉄道車両用の台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を、溶接部の断面形状を正確に捉えて精度良く評価でき、しかも、As-weld溶接部を模擬した溶接止端部を角点としたモデルによる有限要素法解析の工程を省略できる方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の(a)~(g)の事項を知見した。
(a)有限要素モデルの作成において3次元ソリッド要素を選択し、台車枠全体を本要素にて分割したモデル(以下、ソリッドモデル)を用いれば、溶接部の断面の隅肉形状などを正確に再現できる。したがって、ソリッドモデルを用いれば、シェルモデルを用いた場合よりも応力の解析精度を向上できる。
(b)溶接止端部が角のない滑らかな形状(接線が定まる点で構成される形状)となるようにAs-weld溶接部に手入れが施された溶接部(これを「手入れ後溶接部」という)を有する台車枠の有限要素モデルを用いて有限要素法解析を実行すれば、この手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力を精度良く算出可能である。
(c)As-weld溶接部に発生する公称応力と、このAs-weld溶接部に手入れが施された手入れ後溶接部に発生する公称応力とは同等である。
(d)As-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数と、手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数又は応力集中係数とは、試験片を用いて実験的に求めることができ、As-weld溶接部の断面外形が複雑な形状であっても、この切欠き係数は大きく変動しない。
(e)したがい、有限要素法解析によって手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出し、この応力と手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数又は応力集中係数とを用いて、手入れ後溶接部の公称応力を算出すれば、この手入れ後溶接部の公称応力は、As-weld溶接部の公称応力と同等である。すなわち、As-weld溶接部の公称応力を算出可能である。このAs-weld溶接部の公称応力と、As-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数とを用いれば、As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出可能である。
(f)上記(d)の手法を用いれば、設計工程におけるAs-weld溶接部を模擬した溶接止端部を角点としたモデルによる有限要素法解析の工程を省略できる。
(g)上記(a)~(f)の手法を、鉄道車両用の台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld溶接部に適用すれば、鉄道車両用の台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を、溶接部の断面形状を正確に捉えて精度良く評価でき、しかも、As-weld溶接部を模擬した溶接止端部を角点としたモデルによる有限要素法解析の工程を省略できる。
本発明は、上記の本発明者らの知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、鉄道車両用の台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を評価する方法であって、以下の第1~第4工程を含むことを特徴とする鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法を提供する。
(1)第1工程:前記溶接止端部が角のない滑らかな形状となるように前記As-weld溶接部に手入れが施された手入れ後溶接部を有する前記台車枠のソリッドモデルによる有限要素モデルを作成する。
(2)第2工程:前記第1工程で作成した前記有限要素モデルを用いて、有限要素法解析を実行することで、前記手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出する。
(3)第3工程:前記第2工程で算出した応力と、予め測定した前記手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数又は応力集中係数とを用いて、前記手入れ後溶接部の公称応力を算出し、該手入れ後溶接部の公称応力を前記As-weld溶接部の公称応力とみなす。
(4)第4工程:前記第3工程で得られた前記As-weld溶接部の公称応力と、予め測定した前記As-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数とを用いて、前記As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出する。
本発明によれば、第1工程において、手入れ後溶接部を有する台車枠のソリッドモデルによる有限要素モデルを作成し、第2工程において、この有限要素モデルを用いて、有限要素法解析を実行することで、手入れ後溶接部の溶接止端部の形状を忠実に再現したモデルを用いるため、当該部に発生する応力を精度良く算出可能である。そして、第3工程及び第4工程を実行することで、第2工程で算出した応力からAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を精度良く算出して評価可能である。
以上のように、本発明によれば、特許文献2のシェルモデルよりも溶接止端部の形状を忠実に再現できるソリッドモデルを用いることで、As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を、溶接部の断面形状を正確に捉えて精度良く評価できる。
しかも、本発明によれば、解のメッシュサイズ依存性の問題からモデル化が困難であるAs-weld溶接部について、これを直接モデル化する必要がない。すなわち、本発明によれば、特許文献3で必須である、設計工程におけるAs-weld溶接部を模擬した溶接止端部を角点としたモデルによる有限要素法解析の工程を省略できる。
なお、本発明において、「溶接止端部が角のない滑らかな形状となる」とは、手入れ後溶接部の断面において溶接止端部が、接線が定まる点で構成される形状となることを意味する。
好ましくは、前記第3工程で前記手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数を用いる場合、前記切欠き係数は、前記手入れ後溶接部に相当する溶接部が設けられた試験片を用いた疲労試験を実施することで測定され、前記第3工程で前記手入れ後溶接部の溶接止端部の応力集中係数を用いる場合、前記応力集中係数は、前記手入れ後溶接部に相当する溶接部が設けられた試験片を用いた静荷重試験を実施することで測定され、前記第4工程で用いる前記As-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数は、前記As-weld溶接部に相当する溶接部が設けられた試験片を用いた疲労試験を実施することで測定される。
上記の好ましい構成において、「As-weld溶接部に相当する溶接部が設けられた試験片」とは、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部を形成するときと同等の溶接条件で形成した溶接部が手入れされることなくそのまま設けられた試験片(以下、適宜、これを「第1試験片」という)を意味する。具体的には、第1試験片に設けられる溶接部は、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部を形成するときと同じ溶接方式、溶接材料、溶接電流等を用いて形成される。また、第1試験片に設けられる溶接部によって接合される部材の材質は、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部によって接合される部材の材質と同じものが用いられる。さらに、第1試験片に設けられる溶接部及びこの溶接部によって接合される部材によって構成される溶接継手の形式は、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部及びこのAs-weld溶接部によって接合される部材によって構成される溶接継手の形式と同じものとされる。
また、上記の好ましい構成において、「手入れ後溶接部に相当する溶接部が設けられた試験片」とは、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部を形成するときと同等の溶接条件で形成した溶接部を、実際の台車枠が有する手入れ後溶接部を手入れするときと同等の条件で手入れした試験片(以下、適宜、これを「第2試験片」という)を意味する。具体的には、例えば、実際の台車枠が有する手入れ後溶接部が十字型溶接継手を構成する部材間に形成され、手入れ後溶接部の溶接止端部の断面外形が外方に向かって凹の所定の曲率半径を有する円弧状である場合、第2試験片に設けられた溶接部も同じ曲率半径を有する円弧状に手入れされる。
本発明において、前記As-weld溶接部が、十字型溶接継手、T字型溶接継手又は斜交継手を構成する部材間に形成される場合、前記手入れ後溶接部の溶接止端部は、その断面外形が外方に向かって凹の円弧状とされるのが好ましい。
上記の好ましい方法によれば、手入れ後溶接部の溶接止端部を容易に角のない滑らかな形状とすることができる。
ここで、第2工程で算出した手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとし、第4工程で算出したAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとし、手入れ後溶接部の溶接止端部の許容応力をσとし、As-weld溶接部の溶接止端部の許容応力をσとする。この場合、本発明者らの知見によれば、σ/σ=1.3となり、σ/σ=0.6となることを例示できる。
そして、上記の場合、手入れ後溶接部の溶接止端部の安全率(手入れ後溶接部の溶接止端部の許容応力に対する安全率)をZとすると、安全率Zは以下の式(1)で表わされることになる。また、As-weld溶接部の溶接止端部の安全率(As-weld溶接部の溶接止端部の許容応力に対する安全率)をZとすると、安全率Zは以下の式(2)で表わされることになる。
=σ/σ ・・・(1)
=σ/σ ・・・(2)
上記の式(1)及び式(2)より、以下の式(3)が成立する。
=Z・(σ/σ)/(σ/σ) ・・・(3)
例えば、手入れ後溶接部の溶接止端部の安全率Z=2の場合、前述の例示の通り、σ/σ=0.6で、σ/σ=1.3であるとすれば、上記の式(3)より、As-weld溶接部の溶接止端部の安全率Z=0.92となる。すなわち、安全率Zが1.0未満となるため、As-weld溶接部を手入れする必要があると考えられる。
一方、手入れ後溶接部の溶接止端部の安全率Z=2.5の場合、前述の例示の通り、σ/σ=0.6で、σ/σ=1.3であるとすれば、上記の式(3)より、As-weld溶接部の溶接止端部の安全率Z=1.15となる。すなわち、安全率Zが1.0以上となるため、As-weld溶接部の手入れを不要にすることができると考えられる。
以上のように、As-weld溶接部の手入れの要否の分岐点となるのは、As-weld溶接部の溶接止端部の安全率Z=1.0であり、このときの手入れ後溶接部の溶接止端部の安全率Zを,手入れ要否を判断する境界安全率Zg,thとみなすと、上記の式(3)より、以下の式(4)が成立する。
g,th=(σ/σ)/(σ/σ) ・・・(4)
したがい、手入れ後溶接部の溶接止端部の安全率Zの値(式(1)で算出される安全率Zの値)を色又は濃淡で表現したコンター表示を作成する場合には、上記の式(4)で表わされる境界安全率Zg,thの値を色又は濃淡の境目とし、上記の式(1)で算出した安全率Zの値が、式(4)で表わされる境界安全率Zg,th以上の場合と、境界安全率未満の場合とで、コンター表示の色又は濃淡を異なるものにすればよい。これにより、作成されたコンター表示を視認することで、As-weld溶接部の手入れの要否を容易に評価可能である。
すなわち、本発明において、前記第2工程で算出した前記手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとし、前記第4工程で算出した前記As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとし、前記手入れ後溶接部の溶接止端部の許容応力をσとし、前記As-weld溶接部の溶接止端部の許容応力をσとした場合に、上記の式(1)で表わされる前記手入れ後溶接部の溶接止端部の安全率Zの値を色又は濃淡で表現したコンター表示を作成するコンター表示作成工程を更に備え、前記コンター表示作成工程において、式(3)におけるAs-weld溶接部の溶接止端部の安全率Zを1として表される前記安全率Zの値を、境界安全率Zg,thとして式(4)を導き、この式による境界安全率Zg,thの値を色又は濃淡の境目とするコンター表示を作成することが好ましい。
上記の好ましい方法によれば、作成されたコンター表示を視認することで、As-weld溶接部の手入れの要否を容易に評価可能である。前述の通り、特許文献3では、As-weld溶接部の手入れ前と手入れ後の2つのモデルを解析して得たコンター表示を視認して手入れ要否を判断しなくてはならないが、本発明では、As-weld溶接部の手入れ後の1つのモデルを解析するのみで、手入れ要否の判断が可能になる。
本発明によれば、鉄道車両用の台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を、溶接部の断面形状を正確に捉えて精度良く評価でき、しかも、As-weld溶接部を模擬した溶接止端部を角点としたモデルによる有限要素法解析の工程を省略できる。
本発明の一実施形態に係る鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法の工程を説明するフロー図である。 比較例及び本発明の一実施形態に係る応力評価方法において用いる台車枠の有限要素モデルのうち、溶接部近傍の有限要素モデル(ソリッドモデル)の一例の概略を二次元的に示す図である。 比較例及び本発明の一実施形態に係る応力評価方法において用いる台車枠の有限要素モデルのうち、溶接部近傍の有限要素モデル(ソリッドモデル)の他の例の概略を二次元的に示す図である。 実際の台車枠が有するAs-weld溶接部に相当する溶接部が設けられた第1試験片の一例を概略的に示す図である。 図1に示すコンター表示作成工程S5で作成されるコンター表示の一例を示す図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法(以下、適宜、単に「応力評価方法」という)の工程を説明するフロー図である。
図1に示すように、本実施形態に係る応力評価方法は、第1工程S1、第2工程S2、第3工程S3及び第4工程S4を含む。また、本実施形態に係る応力評価方法は、好ましい方法として、第3工程S3で用いる手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数又は応力集中係数と、第4工程S4で用いるAs-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数とを予め測定する準備工程S0を含んでいる。さらに、本実施形態に係る応力評価方法は、好ましい方法として、第2工程S2で算出した手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力を用いて計算される安全率の値を色又は濃淡で表現したコンター表示を作成するコンター表示作成工程S5を含んでいる。
以下、第1工程S1から順に各工程S1~S4について説明し、次に準備工程S0について説明し、最後にコンター表示作成工程S5について説明する。
<第1工程S1>
第1工程S1では、As-weld溶接部の溶接止端部が角のない滑らかな形状となるようにAs-weld溶接部に手入れが施された手入れ後溶接部を有する台車枠のソリッドモデルによる有限要素モデルを作成する。
図2は、比較例及び本実施形態に係る応力評価方法において用いる台車枠(台車枠の断面)の有限要素モデルのうち、溶接部(As-weld溶接部及び手入れ後溶接部)近傍の有限要素モデル(ソリッドモデル)の一例の概略を二次元的に示す図である。図2(a)は比較例の応力評価方法で用いるAs-weld溶接部近傍の有限要素モデルであり、図2(b)は本実施形態に係る応力評価方法において用いる手入れ後溶接部近傍の有限要素モデルである。図2では、溶接部が十字型溶接継手を構成する部材間に形成される場合を例示している。なお、十字型溶接継手において、実際には溶接部が4箇所形成されるが、図2では便宜上、1箇所に形成された溶接部のみを図示している。
図2(a)に示すように、比較例の応力評価方法では、十字型溶接継手100’が、部材1、2a、2bと、部材1と部材2aとの間及び部材1と部材2bとの間に形成されたAs-weld溶接部3とから構成され(図2(a)では、部材1と部材2aとの間に形成された2箇所のAs-weld溶接部3のうち1箇所のみを図示)、As-weld溶接部3の断面が三角形状にモデル化される。この場合、前述のように、As-weld溶接部3の溶接止端部32a、32bは、角のある形状(接線が定まらない幾何学的な特異点(角点)を有する形状)となる。すなわち、溶接止端部32aは、部材1の縁11とAs-weld溶接部3の縁31との交差する部分であるが、直線である縁11と直線である縁31とが折れ線状に交差するために、その交差点が角点となる。溶接止端部32bについても同様である。前述のように、溶接止端部32a、32bが角のある形状となるようにAs-weld溶接部3をモデル化した有限要素モデルを用いた場合、たとえ、有限要素モデルのメッシュを細かく設定しても、算出結果がメッシュサイズに強く依存するため、溶接止端部32a、32bに発生する応力を精度良く算出できない。
これに対し、本実施形態に係る応力評価方法の第1工程S1では、図2(a)に示すAs-weld溶接部3の溶接止端部32a、32bが角のない滑らかな形状(接線が定まる点で構成される形状)となるようにAs-weld溶接部3に手入れが施された手入れ後溶接部を有する有限要素モデルを作成する。すなわち、図2(b)に示すように、本実施形態に係る応力評価方法の第1工程S1で作成される十字型溶接継手100の有限要素モデルは、部材1、2a、2bと、部材1と部材2aとの間及び部材1と部材2bとの間に形成された手入れ後溶接部4とから構成され(図2(b)では、部材1と部材2aとの間に形成された2箇所の手入れ後溶接部4のうち1箇所のみを図示)、手入れ後溶接部4の溶接止端部42a、42bが角のない滑らかな形状となっている。具体的には、図2(b)に示す例では、手入れ後溶接部4の溶接止端部42a、42bは、その断面外形が外方に向かって凹の所定の曲率半径(例えば、曲率半径=3~10mm程度など)を有する円弧状にモデル化されている。
なお、図2(b)に示す例では、十字型溶接継手100の有限要素モデルを例に挙げて説明したが、T字型溶接継手や斜交継手の場合も同様に、手入れ後溶接部の溶接止端部の断面外形が外方に向かって凹の円弧状となるようにモデル化することで、手入れ後溶接部の溶接止端部を角のない滑らかな形状とすることができる。
図3は、比較例及び本実施形態に係る応力評価方法において用いる台車枠(台車枠の断面)の有限要素モデルのうち、溶接部(As-weld溶接部及び手入れ後溶接部)近傍の有限要素モデル(ソリッドモデル)の他の例の概略を二次元的に示す図である。図3(a)は比較例の応力評価方法で用いるAs-weld溶接部近傍の有限要素モデルであり、図3(b)は本実施形態に係る応力評価方法において用いる手入れ後溶接部近傍の有限要素モデルである。図3では、溶接部が突き合わせ溶接継手を構成する部材間に形成される場合を例示している。
図3(a)に示すように、比較例の応力評価方法では、突き合わせ溶接継手200’が、部材5、6と、部材5と部材6との間に形成されたAs-weld溶接部7とから構成され、As-weld溶接部7の断面が扇形状にモデル化される。この場合、As-weld溶接部7の溶接止端部72a、72bは、角のある形状となる。すなわち、溶接止端部72aは、部材5の縁51とAs-weld溶接部3の円弧状の縁71との交差する部分であるが、縁51と縁71とが折れ線状に交差するために、その交差点が角点となる。溶接止端部72bについても同様である。図2(a)の場合と同様に、溶接止端部72a、72bが角のある形状となるようにAs-weld溶接部7をモデル化した有限要素モデルを用いた場合、たとえ、有限要素モデルのメッシュを細かく設定しても、算出結果がメッシュサイズに強く依存するため、溶接止端部72a、72bに発生する応力を精度良く算出できない。
これに対し、本実施形態に係る応力評価方法の第1工程S1では、図3(a)に示すAs-weld溶接部7の溶接止端部72a、72bが角のない滑らかな形状となるようにAs-weld溶接部7に手入れが施された手入れ後溶接部を有する有限要素モデルを作成する。すなわち、図3(b)に示すように、本実施形態に係る応力評価方法の第1工程S1で作成される突き合わせ溶接継手200の有限要素モデルは、部材5、6と、部材5と部材6との間に形成された手入れ後溶接部8とから構成され、手入れ後溶接部8の溶接止端部82a、82bが角のない滑らかな形状となっている。具体的には、図3(b)に示す例では、手入れ後溶接部8の縁81が部材5の縁51及び部材6の縁61と共通の直線上に位置するようにモデル化されている。これにより、手入れ後溶接部8の溶接止端部82a、82bが角のない滑らかな形状となっている。
なお、本実施形態に係る応力評価方法の第1工程S1で作成する有限要素モデルのメッシュサイズ(節点間距離)は、台車の応力を実際に測定する場合にはひずみゲージとして5mmゲージを使用するため(JIS規格E4208)、これに合わせて、好ましくは、5mm程度とされる。溶接止端部等の曲率半径が小さい部位には、その形状に応じて、更に細かいメッシュサイズを適用すればよい。
<第2工程S2>
第2工程S2では、第1工程S1で作成した有限要素モデルを用いて、有限要素法解析を実行することで、手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出する。図2(b)に示す例では、手入れ後溶接部4の溶接止端部42a、42bに発生する応力(最大応力)を算出することになる。
なお、第2工程S2で実行する有限要素法解析の具体的内容については、公知の有限要素法解析を適用可能であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
以上に説明したように、本実施形態に係る応力評価方法によれば、第1工程S1において、溶接止端部が角のない滑らかな形状となるようにAs-weld溶接部に手入れが施された手入れ後溶接部を有する台車枠の有限要素モデルを作成し、第2工程S2において、この有限要素モデルを用いて有限要素法解析を実行するため、手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力を精度良く算出可能である。
<第3工程S3>
第3工程S3では、第2工程S2で算出した応力(手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力)と、準備工程S0で予め測定した手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数又は応力集中係数とを用いて、As-weld溶接部の公称応力を算出する。
具体的には、第2工程S2で算出した応力をσとし、手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数をβとし、As-weld溶接部の公称応力をσとすれば、第3工程S3では、以下の式(5)によってAs-weld溶接部の公称応力σを算出する。
σ=σ/β・・・(5)
なお、上記の式(5)によって直接的に算出されるのは手入れ後溶接部の公称応力であるが、手入れ後溶接部の公称応力は、As-weld溶接部の公称応力と同等である。このため、上記の式(5)によって、手入れ後溶接部の公称応力を算出し、該手入れ後溶接部の公称応力をAs-weld溶接部の公称応力とみなすことで、As-weld溶接部の公称応力を算出可能である。
応力集中係数を用いる場合も、上記の式(5)の切欠き係数βの項に、予め測定した応力集中係数の値を代入することで、手入れ後溶接部の公称応力σを算出可能である。なお、As-weld溶接部の手入れの要否を安全サイドで判断するのであれば、公称応力σの算出に用いる切欠き係数βや応力集中係数の値は、実際に測定することなく、1を設定することも可能である。
<第4工程S4>
第4工程S4では、第3工程S3で得られたAs-weld溶接部の公称応力σと、準備工程S0で予め測定したAs-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数とを用いて、As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出する。
具体的には、As-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数をβとし、As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとすれば、第4工程S4では、以下の式(6)によってAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力σを算出する。
σ=σ×β・・・(6)
以上に説明した第3工程S3及び第4工程S4を実行することで、第2工程Sで算出した応力σからAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力σを精度良く算出可能である。そして、例えば、算出したAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力σが、許容応力の上限値を超えれば、通常の製造工程通りにAs-weld溶接部をグラインダーで手入れする一方、許容応力の上限値以下であれば、手入れを省略可能であるという評価が可能である。
以上のように、本実施形態に係る応力評価方法によれば、鉄道車両用の台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を、溶接部の断面形状を正確に捉えて精度良く評価でき、しかも、As-weld溶接部を模擬した溶接止端部を角点としたモデルによる有限要素法解析の工程を省略できる。
<準備工程S0>
準備工程S0では、第4工程S4で用いるAs-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数βを測定する。具体的には、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部に相当する溶接部が設けられた第1試験片を用意し、この第1試験片を用いた疲労試験を実施することで、切欠き係数βを測定する。
また、準備工程S0では、第3工程S3で手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数βを用いる場合、この切欠き係数βを測定する。具体的には、実際の台車枠が有する手入れ後溶接部に相当する溶接部が設けられた第2試験片を用意し、この第2試験片を用いた疲労試験を実施することで、切欠き係数βを測定する。なお、第3工程S3で手入れ後溶接部の溶接止端部の応力手中係数を用いる場合には、上記の第2試験片を用いた静荷重試験を実施することで、応力集中係数を測定する。
図4は、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部に相当する溶接部が設けられた第1試験片の一例を概略的に示す図である。図4(a)は正面図であり、図4(b)は平面図である。図4に示す第1試験片100Aは、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部が十字型溶接継手を構成する部材間に形成されている場合に用意される試験片の例である。なお、図4では、便宜上、溶接部3Aを三角形状で図示しているが、実際には単純な三角形状ではなく複雑な形状である。
図4に示すように、実際の台車枠が有する十字型溶接継手と同様に、第1試験片100Aは、部材1A、2Aa、2Abと、部材1Aと部材2Aaとの間及び部材1Aと部材2Abとの間に形成された溶接部3Aとから構成された十字型溶接継手の形式である。第1試験片100Aには、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部を形成するときと同等の溶接条件で形成した溶接部3Aが手入れされることなくそのまま設けられている。具体的には、第1試験片100Aに設けられる溶接部3Aは、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部を形成するときと同じ溶接方式、溶接材料、溶接電流等を用いて形成される。また、第1試験片100Aに設けられる溶接部3Aによって接合される部材1A、2Aa、2Abの材質は、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部によって接合される部材の材質と同じものが用いられる。
なお、図示を省略するが、実際の台車枠が有する手入れ後溶接部に相当する溶接部が設けられた第2試験片も、図4に示す第1試験片100Aと同様の構造を有する。第2試験片に設けられる溶接部は、実際の台車枠が有するAs-weld溶接部を形成するときと同等の溶接条件で形成した溶接部を、実際の台車枠が有する手入れ後溶接部を手入れするときと同等の条件で手入れする。具体的には、例えば、実際の台車枠が有する手入れ後溶接部の溶接止端部の断面外形が外方に向かって凹の所定の曲率半径を有する円弧状である場合、第2試験片に設けられる溶接部も同じ曲率半径を有する円弧状に手入れされる。
第3工程S3で手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数βを用いる場合、準備工程S0では、これら第1試験片100A及び第2試験片を用いた疲労試験を実施することで、切欠き係数β及び切欠き係数βを測定する。
具体的には、第1試験片100Aを疲労試験機に取り付け、溶接部3Aの溶接止端部にひずみゲージを貼り付けて、第1試験片100Aの長手方向(図4(a)に矢符Xで示す方向)に繰り返し荷重を付加する疲労試験を実施しながら、ひずみを測定する。測定したひずみに、部材1A、2Aa、2Abの材質によって決まるヤング率を乗算することで応力に換算する。一方、疲労試験で付加した荷重を第1試験片100Aの断面積(図4(b)に示す断面積が略一定である領域Aの断面積)で除算することで、公称応力を算出する。また、図4(b)に示すように、溶接部3Aの止端部から所定距離L(L=20~30mm)だけ離れた第1試験片100Aの幅方向中央の位置にひずみゲージ9を貼り付けて算出した応力を公称応力とすることも可能である。この公称応力と、上記のようにひずみゲージを貼り付けて算出した応力との比から切欠き係数βを算出する。切欠き係数βについても同様に、第2試験片を用いて算出可能である。
第3工程S3で手入れ後溶接部の溶接止端部の応力集中係数を用いる場合には、準備工程S0では、切欠き係数βを測定する場合の疲労試験に代えて、第2試験片を用いた静荷重試験を実施することで、応力集中係数を測定すればよい。
第2試験片に設けられる溶接部(手入れ後溶接部)が曲率半径10mm程度の円弧状に手入れされている場合、手入れ後溶接部の溶接止端部の応力集中係数は小さくなり、切欠き係数βは、この応力集中係数と同等の値になる。
なお、以上の説明では、応力で整理して切欠き係数β及び切欠き係数β(又は応力集中係数)を算出する手順について例示したが、応力はひずみとヤング率との積であることから、応力をヤング率で除したひずみで整理して切欠き係数β及び切欠き係数β(又は応力集中係数)を算出することも可能である。
なお、準備工程S0では、後述のコンター表示作成工程S5で用いるAs-weld溶接部の溶接止端部の許容応力σと、手入れ後溶接部の溶接止端部の許容応力σとを算出することが好ましい。具体的には、第1試験片100Aを用いた疲労試験を実施してAs-weld溶接部の溶接止端部の許容応力σを算出することが可能である。また、第2試験片を用いた疲労試験を実施して手入れ後溶接部の溶接止端部の許容応力σを算出することが可能である。
ただし、本発明は、これに限るものではなく、許容応力σ及びσを所定の定数に設定することも可能である。
<コンター表示作成工程S5>
コンター表示作成工程S5では、前述のように、第2工程S2で算出した手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとし、第4工程S4で算出したAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとし、手入れ後溶接部の溶接止端部の許容応力をσとし、As-weld溶接部の溶接止端部の許容応力をσとした場合に、以下の式(1)で表わされる手入れ後溶接部の溶接止端部の安全率Zの値を色又は濃淡で表現したコンター表示を作成する。
このコンター表示作成工程S5においては、式(3)におけるAs-weld溶接部の溶接止端部の安全率Zを1として表される前記安全率Zの値を,境界安全率Zg,thとして式(4)を導き、この式による境界安全率Zg,thの値を色又は濃淡の境目とするコンター表示を作成する
=σ/σ ・・・(1)
=Z・(σ/σ)/(σ/σ) ・・・(3)
g,th=(σ/σ)/(σ/σ) ・・・(4)
以上に説明したコンター表示作成工程S5によれば、上記の式(1)で算出した安全率Zの値が、式(4)で表わされる境界安全率以上の場合と、境界安全率未満の場合とで、コンター表示の色又は濃淡が異なるものになる。したがい、作成されたコンター表示を視認することで、As-weld溶接部の手入れの要否を容易に評価可能である。
図5は、コンター表示作成工程S5で作成されるコンター表示の一例を示す図である。図5に示すコンター表示では、上記の式(1)で算出した安全率Zの値が、式(4)で表わされる境界安全率以上の領域には、ハッチングを施さず(白色)、境界安全率未満の領域には、ハッチングを施して濃淡を暗くしている。つまり、図5のハッチング領域は、Z<Zg,thであることを示している。なお、図5に示す例では、同じ境界安全率未満の領域でも、安全率Zの値に応じてハッチング種類を変更している。
図5に示すコンター表示を視認すれば、ハッチングが施されていない領域は、As-weld溶接部の手入れが不要であり、ハッチングが施されている領域は、As-weld溶接部の手入れが必要であることを容易に評価可能である。

Claims (4)

  1. 鉄道車両用の台車枠を構成する部材間に形成されたAs-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を評価する方法であって、
    前記溶接止端部が角のない滑らかな形状となるように前記As-weld溶接部に手入れが施された手入れ後溶接部を有する前記台車枠のソリッドモデルによる有限要素モデルを作成する第1工程と、
    前記第1工程で作成した前記有限要素モデルを用いて、有限要素法解析を実行することで、前記手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出する第2工程と、
    前記第2工程で算出した応力と、予め測定した前記手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数又は応力集中係数とを用いて、前記手入れ後溶接部の公称応力を算出し、該手入れ後溶接部の公称応力を前記As-weld溶接部の公称応力とみなす第3工程と、
    前記第3工程で得られた前記As-weld溶接部の公称応力と、予め測定した前記As-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数とを用いて、前記As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力を算出する第4工程と、
    を含むことを特徴とする鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法。
  2. 前記第3工程で前記手入れ後溶接部の溶接止端部の切欠き係数を用いる場合、前記切欠き係数は、前記手入れ後溶接部に相当する溶接部が設けられた試験片を用いた疲労試験を実施することで測定され、
    前記第3工程で前記手入れ後溶接部の溶接止端部の応力集中係数を用いる場合、前記応力集中係数は、前記手入れ後溶接部に相当する溶接部が設けられた試験片を用いた静荷重試験を実施することで測定され、
    前記第4工程で用いる前記As-weld溶接部の溶接止端部の切欠き係数は、前記As-weld溶接部に相当する溶接部が設けられた試験片を用いた疲労試験を実施することで測定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法。
  3. 前記As-weld溶接部は、十字型溶接継手、T字型溶接継手又は斜交継手を構成する部材間に形成され、
    前記手入れ後溶接部の溶接止端部は、その断面外形が外方に向かって凹の円弧状である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法。
  4. 前記第2工程で算出した前記手入れ後溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとし、前記第4工程で算出した前記As-weld溶接部の溶接止端部に発生する応力をσとし、前記手入れ後溶接部の溶接止端部の許容応力をσとし、前記As-weld溶接部の溶接止端部の許容応力をσとした場合に、以下の式(1)で表わされる前記手入れ後溶接部の溶接止端部の安全率Zの値を色又は濃淡で表現したコンター表示を作成するコンター表示作成工程を更に備え、
    前記コンター表示作成工程において、式(3)におけるAs-weld溶接部の溶接止端部の安全率Zを1として表される前記安全率Zの値を、境界安全率Zg,thとして式(4)を導き、この式による境界安全率Zg,thの値を色又は濃淡の境目とするコンター表示を作成する、
    ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の鉄道車両用台車枠のAs-weld溶接部の応力評価方法。
    =σ/σ ・・・(1)
    =Z・(σ/σ)/(σ/σ) ・・・(3)
    g,th=(σ/σ)/(σ/σ) ・・・(4)
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