JP4390016B2 - 防草構造体およびその施工方法 - Google Patents
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(1)支柱貫通前の開口部の形状の最長寸法Dhと、支柱の断面の形状の最長寸法Dpとの比Dh/Dpが、0.5〜0.995である。
(2)防草シートが、少なくとも平面方向に伸び性を有し、防草シートの引張伸び率が、20%以上である。
(3)防草シートが、改質アスファルト系防草シートである。
(4)防草区域が、舗装面に隣接した防草区域であって、防草区域に防草シートを敷設する工程が、防草シートの第一端部を、舗装面端部に重なるように配置する工程と、防草シートの第一端部を、加熱融着またはテープ接着によって舗装面端部に固定する工程と、防草シートの第一端部を、さらに第一の釘状器具によって舗装面端部に固定する工程と、防草シートの第一端部とは反対側の第二端部を、第二の釘状器具によって地面に固定する工程とを含む。
(5)舗装面が、アスファルト舗装道路の舗装面であり、防草区域が、アスファルト舗装道路の法面である。
図1に本発明の防草構造体の上面模式図を、図2にその断面模式図を示す。図1および2に示す例は、本発明の防草構造体をアスファルト舗装道路の法面30の防草区域に配置した例である。「法面」とは、道路や線路およびこれらの周辺の斜面、切り取り、盛り土などでできた斜面、段差のある2つの地表面の間の斜面、2つの地表面の間の斜面および2つの地表面の間などを意味する。
(1)支柱貫通前の開口部の形状の最長寸法Dhと、支柱の断面の形状の最長寸法Dpとの比Dh/Dpが、0.5〜0.995である。
(2)防草シートが、少なくとも平面方向に伸び性を有し、防草シートの引張伸び率が、20%以上である。
(3)防草シートが、改質アスファルト系防草シートである。
(4)防草区域が、舗装面に隣接した防草区域であって、防草シートの第一端部が、舗装面端部に重なるように配置され、防草シートの第一端部が、加熱融着またはテープ接着によって舗装面端部に固定され、防草シートの第一端部が、さらに第一の釘状器具によって舗装面端部に固定され、防草シートの第一端部とは反対側の第二端部が、第二の釘状器具によって地面に固定される。
(5)舗装面が、アスファルト舗装道路の舗装面であり、防草区域が、アスファルト舗装道路の法面を含む。
次に、本発明の防草構造体の施工方法について説明する。
本発明の防草構造体に含まれる防草シート10としては、特に限定されるものではなく、市販の防草シートから適宜選択して用いることができるが、特に、可撓性、防水性および遮光性を有し、シート状の形状を有するものは、良好な耐久性を有することから好適に用いることができる。本発明に用いる防草シート10の具体例として、優れた可撓性、防水性および遮光性を有する改質アスファルト系防草シート、例えば、特開2002−272348号公報(特許文献1)に開示された改質アスファルト系防草シートを好ましく用いることができる。
次に、本発明の防草構造体に用いることが特に好ましい防草シートについて説明する。本明細書および特許請求の範囲では、ここで説明する防草シートのことを「耐貫通型防草シート」という。耐貫通型防草シートは、硬く鋭い雑草の芽の防草シートに対する貫通防止性に優れるため、本発明の防草構造体に用いることが特に好ましい。
耐貫通型防草シートは、(a)無機質粒子または無機質粒子を含有する合成樹脂を含む表面層、(b)改質アスファルト層、(c)基材層、(d)改質アスファルト層および(e)合成樹脂または無機質粒子を含有する合成樹脂を含む裏面層の少なくとも5層をこの順で積層した耐貫通型防草シートであって、(c)基材層が、織布、編み布および不織布からなる群より選ばれる少なくとも一つである基材Aと、スクリムを有する基材Bとを含み、基材Aの織布、編み布および不織布が、芯部と鞘部とを有する芯鞘構造の繊維を含み、芯部が融点200℃以上の繊維および鞘部が融点200℃以上の樹脂であり、(e)裏面層の合成樹脂が硬質合成樹脂である耐貫通型防草シートである。
(1)(e)裏面層の硬質合成樹脂が、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニルおよびポリハロゲン化ポリビニルからなる群より選択される少なくとも一つの合成樹脂である。
(2)(e)裏面層が、厚さ10〜50μmの二軸延伸成形ポリプロピレンフィルムである。
(3)(c)基材層が、基材Aと、基材Bと、基材Aとをこの順に積層し、接着された、もしくは熱融着された三層構造を有する。
(4)芯部と鞘部とが、熱融着されている。
(5)基材Bが、複数の互いに平行な略等間隔の高強度繊維の繊維束からなる組を2組以上有し、異なった組の繊維束は、略等角度で互いに交差しあうスクリムである。
(6)基材Aと、基材Bとの接触部の少なくとも一部が、融点200℃以上の樹脂および/または200℃で熱分解しない接着剤により接着されている、もしくは熱融着されている。
(7)(c)基材層が、75〜500g/m2の目付量を有する。
(8)(a)表面層が、天然スレート、タルクおよびマイカからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の、扁平状の無機質粒子を含む。
耐貫通型防草シートにより、道路、線路、河川、公園あるいは造林園およびこれらの周辺などの地面、表面、特に法面での草の成育を防止ための、遮光性を有し、耐候性、機械的特性、不透水性に優れ、さらに硬く鋭い雑草の芽の防草シートに対する貫通防止性に優れる防草シートを得ることができる。
図10に、耐貫通型防草シートの模式的断面図を示す。耐貫通型防草シートは、(a)無機質粒子または無機質粒子を含有する合成樹脂を含む表面層1、(b)改質アスファルト層2、(c)基材層3、(d)改質アスファルト層4および(e)合成樹脂または無機質粒子を含有する合成樹脂である裏面層5の少なくとも5層を、この順で積層した耐貫通型防草シートである。耐貫通型防草シートは、道路、線路、河川、公園あるいは造林園およびこれらの周辺などの地面、表面、特に法面での草の成育を防止するための、遮光性を有し、耐候性、機械的特性、不透水性に優れ、さらに硬く鋭い雑草の芽の防草シートに対する貫通防止性に優れる。
(c)基材層は、織布、編み布および不織布からなる群より選ばれる少なくとも一つである基材Aと、スクリムを有する基材Bとを含む。
基材Aを構成する織布、編み布および不織布は、芯部と鞘部とを有する芯鞘構造の繊維を含むものである。本明細書で「繊維」とは、単繊維、2本以上の繊維、2本以上の繊維の束(繊維束)、および2本以上の繊維によりをかけたもの(糸)を包含する。
(c)基材層の基材Aとして用いることのできる芯鞘構造の繊維とは、一つの成分(鞘部)がもう一つの成分(芯部)の少なくとも一部の表面を包む状態の構造を有する繊維を意味する。芯鞘構造の繊維は、鞘部が芯部の表面を、50%以上、さらに70%以上、特に90%以上包む状態の構造であることが好ましい。特に、芯鞘構造の繊維は、鞘部が芯部の表面を完全に包む状態の構造の繊維であることが最も好ましい。
また、基材Aとして、融点200℃以上の繊維からなる織布、編み布および/または不織布を用いることもできる。この融点200℃以上の繊維からなる織布、編み布および/または不織布は、芯部が融点200℃以上の繊維と、鞘部が融点200℃以上の樹脂とからなる芯鞘構造の繊維からなる織布、編み布および/または不織布と組み合わせて用いることが、基材Aとして好ましい。融点200℃以上の繊維としては、融点200℃以上の天然、半合成および合成樹脂の繊維や無機のガラスなどの融点200℃以上の有機質繊維や無機質繊維などにより構成されるものを用いることができる。
防草シートの機械的強度を増加させるという点から、耐貫通型防草シートにおいて、(c)基材層の基材Bは、融点200℃以上の繊維からなるスクリムを有していることが好ましい。スクリムとは、あらい平織りまたは綾織りの織布のことを意味する。すなわち、スクリムとは、複数の互いに平行な略等間隔の繊維および/または糸を有する組を2組以上有し、異なった組の繊維および/または糸は、略等角度で互いに交差しあう形状である。一例として、2組の複数の互いに平行な略等間隔の繊維および/または糸が、互いにほぼ直角に交差しあう形状のスクリムを用いることができる。また、3組が互いに約60度の角度で交差しあうスクリムを用いることもできる。繊維および/または糸の間隔の下限は、スクリムの重量およびコストを抑制するという点から、好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは6mm以上のスクリムが好ましい。また、繊維および/または糸の間隔の上限は、必要な機械的強度の点から、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは20mm以下、より好ましくは18mm以下のスクリムが好ましい。
(c)基材層は、基材Aと、基材Bと、基材Aとをこの順に積層した三層構造を有することが好ましい。「三層構造」とは、基材Aと、基材Bと、基材Aとをこの順に並べて接着した構造のことをいう。なお、基材Bはスクリムを有するため、繊維および/または糸が存在しない部分があるが、本明細書では、そのような部分も含めて「三層構造」という。(c)基材層が、三層構造を有することによって、中間に位置する基材Bの上面側と下面側とが均質構造となり、この(c)基材層を用いた耐貫通型防草シートを敷設した場合に良好な平面性が得られ、シート端部の反り返りを回避することができる。
(a)表面層は、無機質粒子または無機質粒子を含有する合成樹脂を含む層である。(a)表面層は、無機質粒子または無機質粒子を含有する合成樹脂からなる層であることが好ましい。(a)表面層に用いられる無機質粒子としては、天然スレート砂、マイカおよびタルクなどの鉱物質の扁平状無機質粒子を用いることができる。無機質粒子は、一種類または複数種を組み合わせて用いることができる。耐貫通型防草シートでは、(a)表面層に扁平状の無機質粒子を用いることによって、耐候性塗料の塗着に頼ることなく長期供用においても耐貫通型防草シート全面が剥離することなく、変色や退色も小さく、耐貫通型防草シートの施工直後の状態を維持することができる。
(b)層および(d)層の改質アスファルトとしては、アスファルトおよびポリマーを含むもの、アスファルト、ポリマーおよび無機充填材の3成分を含むものなどを用いることができる。(b)層および(d)層の改質アスファルトとしては、アスファルト100重量部に対し、ポリマー10〜40重量部、および無機充填材0〜20重量部を含むものを用いることが好ましい。
耐貫通型防草シートは、(e)裏面層が、合成樹脂または無機質粒子を含有する合成樹脂を含む。(e)裏面層は、合成樹脂フィルムまたは無機質粒子を含有する合成樹脂フィルムであることが好ましい。
次に、耐貫通型防草シートの製造方法について説明する。
本発明に用いる耐貫通型防草シートおよびその他の防草シートは、下記の特性を有することが好ましい。
以下に参考例として実験例を挙げて耐貫通型防草シートを説明するが、本発明に用いることのできる耐貫通型防草シートはこれにより何ら限定されるものではない。
1.引張強度、引張伸び率、引裂強度:JIS・A6013に準拠して、万能材料試験機[オリエンテック(株)製UTM−10T]を用い、引張速度100mm/分、サンプル幅50mm、チャック間100mm、試験温度22℃の条件下で一軸引張強度を測定した。
雑草を刈り取った地面の表面に、下記の合成樹脂フィルムを敷設して2ヵ月後に防草効果を確認した。
1)合成樹脂フィルム
・合成樹脂フィルムa : PEフィルム(ポリエチレンフィルム)、厚さ=30μm、1m×1m。
・合成樹脂フィルムb : OPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム)、厚さ=20μm、1m×1m。
・合成樹脂フィルムc : OPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム)、厚さ=60μm、1m×1m。
以下の手順にしたがって、表2に示す条件で防草シートを製造した。なお、実験例3〜7は、耐貫通型防草シートに該当する。
2)複合不織布
・複合不織布A : AKZO・NOBEL社製、製品名:colback;品種:SNS155(不織布−スクリム−不織布の三層構造)、上層および下層の不織布:芯鞘構造、鞘部:ナイロン、芯部:ポリエステル、中間層:ガラス繊維束のスクリム(シートの長さ方向と、長さ方向の垂直方向に2方向補強)、目付量=155g/m2、1m×6m。
・複合不織布B : AKZO・NOBEL社製、製品名:colback;品種:SNS125(不織布−スクリム−不織布の三層構造)、上層および下層の不織布:芯鞘構造、鞘部:ナイロン、芯部:ポリエステル、中間層:ガラス繊維束のスクリム(シートの長さ方向と、長さ方向の垂直方向に2方向補強)、目付量=125g/m2、1m×6m。
・複合不織布C : フロイデンベルグ社製、製品名:TERBOND・R150(不織布−ガラス繊維束の2層構造)、上層の不織布:芯鞘構造、鞘部:ナイロン、芯部:ポリエステル、下層:ガラス繊維束(シートの長さ方向に1方向補強)、目付量=150g/m2、1m×6m。
3)合成樹脂フィルム
・合成樹脂フィルムd : HDPEフィルム(高密度ポリエチレン)、厚さ=20μm。
・合成樹脂フィルムe : OPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレン)、厚さ=20μm。
2 : 改質アスファルト層
3 : 基材層
4 : 改質アスファルト層
5 : 裏面層
6 : 測定用治具
7 : 測定用治具の先端部
8、10 : 防草シート
11 : 開口部
12 : 第一端部
13 : 第二端部
14 : 第一の釘状器具
15 : 第二の釘状器具
16 : 鉄筋
17 : 防草シート重ね合わせ融着部
18 : 横方向端部(融着処理)
19 : 横方向端部(ピン固定処理)
21 : 舗装面
22 : 舗装面端部
23 : 支柱
24 : メッシュ状押さえ具
30 : 法面
31 : 法面掘削部
32 : 法面埋設部
33 : 防草シートと支柱との密着部
Dh : 支柱貫通前の開口部の形状の最長寸法
Dp : 支柱の断面の形状の最長寸法
L1 : 防草シートの長さ
L2 : 防草シート融着部の長さ
Claims (5)
- 支柱を有する防草区域に施工する、防草シートを含む防草構造体の施工方法であって、
支柱位置に対応する防草シートの位置に開口部を形成する工程と、
開口部に支柱を貫通させて防草区域に防草シートを敷設する工程とを含み、
開口部と、防草シートの端部との間に切欠部がなく、
支柱貫通前の開口部の形状が、支柱の断面の形状の相似形状であり、かつ支柱の断面の形状より小さく、
支柱貫通前の開口部の形状の最長寸法Dhと、支柱の断面の形状の最長寸法Dpとの比Dh/Dpが、0.5〜0.995であり、
防草シートが、少なくとも平面方向に伸び性を有し、防草シートの引張伸び率が、20%以上である、防草構造体の施工方法。 - 防草シートが、改質アスファルト系防草シートである、請求項1記載の施工方法。
- 防草区域が、舗装面に隣接した防草区域であって、
防草区域に防草シートを敷設する工程が、
防草シートの第一端部を、舗装面端部に重なるように配置する工程と、
防草シートの第一端部を、加熱融着またはテープ接着によって舗装面端部に固定する工程と、
防草シートの第一端部を、さらに第一の釘状器具によって舗装面端部に固定する工程と、
防草シートの第一端部とは反対側の第二端部を、第二の釘状器具によって地面に固定する工程とを含む、請求項1または2記載の施工方法。 - 舗装面が、アスファルト舗装道路の舗装面であり、防草区域が、アスファルト舗装道路の法面である、請求項3記載の施工方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の施工方法により施工された、防草構造体。
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