JP2010209619A - 防草構造体及び防草構造体の施工方法 - Google Patents

防草構造体及び防草構造体の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構造物に隣接する防草区域に設置される防草構造体において、防草区域からの草の生育を防止することを確実に行うことができ、意匠性に優れる防草構造体及びその施工方法を得る。
【解決手段】互いに対向する第一端部12及び第二端部13を有する防草シート10を含む防草構造体を、構造物25に隣接する防草区域20に設置するための、防草構造体の施工方法であって、構造物の側壁26と、第一端部12とが接するように防草シート10を配置する工程と、構造物25に接する防草シート10の第一端部12を固定する工程と、防草シートの第二端部13を防草区域20に固定する工程と、構造物の側壁26と、防草シート10の第一端部12とで形成される隅部に、充填材料60を配置する工程とを含む、防草構造体の施工方法である。
【選択図】図4

Description

本発明は、構造物に隣接する防草区域に設置される防草構造体及びその施工方法に関する。
道路、線路、河川、公園及び造林園など並びにこれらの周辺の地面、表面などでは、美観が損なわれるなどの理由により、雑草などの草の成育を防止する必要があることが多い。特に、構造物に隣接する防草区域においては、雑草が繁茂することにより、美観が損なわれる。そのため、それらの場所では、防草シートを主材料とする防草構造体を設置して、草の成育を防止することが行われている。
草の成育の防止のためには、例えば、特許文献1に開示されているような防草シートが用いられている。
草の成育を防止するための構造体として、例えば、特許文献2には、法面部上端の路肩部に敷設されるコンクリートブロック部と、そのコンクリートブロック部の法面側に一端部が一体的に固定された防草シート部とからなり、コンクリートブロック部を路肩部に布設した状態で、防草シート部を法面部上に展開して法面部を被覆可能とした路肩ブロックが開示されている。
また、特許文献3には、水硬性成分と改質アスファルトエマルジョンとを含む防草材であり、水硬性成分100質量部に対して、改質アスファルトエマルジョンの固形分を25〜50質量部含むことを特徴とする防草材の混練物を、アスファルト構造体とコンクリート構造体との隙間に充填及び/又は塗布する防草材の施工方法が記載されている。
また、特許文献4には、シート両面に多数の凸部を交互に形成した遮光性かつ遮水性の合成樹脂製エンボスシート(防草シート)を、除草すべき地面に敷設、固定したことを特徴とする防草構体が開示されている。この特許文献4には、路肩にガードレールがある場合には、ガードレール支柱と、エンボスシート(防草シート)に形成したガードレール支柱の挿通孔との隙間に、コーキング材を詰めることが開示されている。
特開2002−272348号公報 特開2005−307518号公報 特開2007−262861号公報 特開2006−177122号公報
本発明は、構造物に隣接する防草区域に設置される防草構造体において、防草区域からの草の生育を防止することを確実に行うことができ、意匠性に優れる防草構造体及びその施工方法を得ることを目的とする。
本発明は、互いに対向する第一端部及び第二端部を有する防草シートを含む防草構造体を、構造物に隣接する防草区域に設置するための、防草構造体の施工方法であって、構造物の側壁と、第一端部とが接するように防草シートを配置する工程と、防草シートの第二端部を防草区域に固定する工程と、構造物の側壁と、防草シートの第一端部とで形成される隅部に、充填材料を配置する工程とを含む、防草構造体の施工方法である。
本発明の防草構造体の施工方法の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)防草シートを配置する工程の前に、隅部に対応する防草区域の少なくとも一部に、構造物に接する掘削部を形成する工程を含む。
(2)充填材料が、粒子径5〜50mmの粒状材料である。
(3)充填材料が、天然石である。
(4)防草シートが、耐貫通型防草シートである。
また、本発明は、上述の施工方法により施工される防草構造体である。
本発明によって、構造物に隣接する防草区域に設置される防草構造体において、防草区域からの草の生育を防止することを確実に行うことができ、意匠性に優れる防草構造体及びその施工方法を得ることができる。
本発明の防草構造体を施工する防草区域の一例の断面模式図である。 本発明の防草構造体の施工工程を示す一例の断面模式図である。 本発明の防草構造体の施工工程を示す一例の断面模式図である。 本発明の防草構造体の一例の断面模式図である。 本発明の防草構造体の施工工程を示す別の一例の断面模式図である。 本発明の防草構造体の施工工程を示す別の一例の断面模式図である。 本発明の防草構造体の別の一例の断面模式図である。 本発明の防草構造体の平面模式図である。 耐貫通型防草シートの模式的断面図である。 合成樹脂フィルムを敷設して2ヵ月後の、チガヤの芽の貫通状態を示す平面図である。 防草シートを敷設して2ヵ月後の、チガヤの芽の貫通状態を示す平面図である。 防草シートの貫通試験の説明図であり、(A)貫通抵抗測定装置図、(B)測定用治具の断面図、(C)測定用治具を用いて防草シートの貫通試験を行った貫通状態図をそれぞれ示す。
本発明は、構造物25に隣接する防草区域20に設置される防草構造体において、防草構造体の防草シート10の構造物25に隣接する端部の固定を所定の方法により行うことによって防草区域20からの草の生育を防止することを確実に行うことができ、意匠性に優れる防草構造体及びその施工方法を得ることを目的とする。
本明細書において、「防草構造体」とは、草の生育を防止するための構造体をいう。また、「防草区域20」とは、草の生育を防止するために防草構造体を設置する区域をいう。また、「構造物25」とは、ビルや壁などの建築物等、側壁を有する人工的な構造物をいう。以下、本発明の防草構造体及びその施工方法について説明する。
<防草構造体>
図8に、本発明の防草構造体の平面模式図の一例を示す。また、図8の断面模式図を図4に示す。図4及び図8は、本発明の防草構造体を、側壁26を有する構造物25に隣接する防草区域20に設置する例を示している。本発明の防草構造体は、防草シート10を含む。
本発明の防草構造体は、構造物25の側壁26と、防草シート10の一端(第一端部12)とが接するように、防草シート10が配置される構造を有する。第一端部12の反対側の他端(第二端部13)は防草区域20に固定される。なお、「第一端部12」及び「第二端部13」は、防草シート10の所定の一端付近の領域であり、防草シート10を所定の方法によって固定するために必要な寸法を有する領域である。すなわち、防草シート10の第一端部12及び第二端部13は、互いに対向する位置にある端部である。また、「構造物の側壁」とは、防草区域20に接する側の構造物の側壁26であって、本発明の防草構造体を形成すると防草シート10の第一端部12の先端が接する部分を含む面のことをいう。
構造物25の側壁26と、防草シート10の第一端部12とで形成される隅部に、充填材料60を配置することに特徴がある。構造物25の側壁26と、防草シート10の第一端部12とで形成される隅部とは、側壁26と第一端部12とが接する部分を含み、その接する部分から、上方に向かう所定の長さの側壁26及び所定の長さの第一端部12に接する空間のことをいう。具体例としては、図4及び図8に図示している充填材料60が占めている部分をいう。充填材料60は一定の質量があるため錘の役割を果たし、また、美観に優れた充填材料60を選択することによって、意匠性に優れた防草構造体を形成することができる。充填材料60は側壁26に沿って配置されているので、充填材料60の移動に制限がある。そのため、充填材料60は配置されている位置に長期にわたって留まることができるので、錘の役割を長期間果たすことができる。充填材料60の充填量、粒径及び粒子の形状等は、意匠性及び錘効果からの要請等により、適宜、選択することができる。
図7に、本発明の防草構造体の別の一例の断面模式図を示す。この防草構造体の場合には、図5に示すように、防草シート10を配置する工程の前に、隅部に対応する防草区域20の少なくとも一部に、構造物25に接する掘削部22を形成する。隅部に対応する防草区域20の少なくとも一部とは、防草シート10の第一端部12の固定後に、充填材料60を配置する部分に対応する部分である。隅部に対応する防草区域20に掘削部22を形成することにより、隅部に充填材料60を配置したときに、充填材料60が概ね掘削部22内に収まることができる。すなわち、充填材料60が重力的に安定して、より長期にわたって隅部に留まることができる。したがって、本発明の防草構造体においては、隅部に対応する防草区域20に掘削部22を形成し、隅部に充填材料60を配置する構造を有することが好ましい。なお、この例においても、充填材料60の充填量、粒径及び粒子の形状等は、意匠性及び錘効果からの要請等により、適宜、選択することができる。
本発明の防草構造体において、充填材料60は、粒子径5〜50mmの粒状材料であることが、取扱性及び施工性の点から好ましい。充填材料60が、天然石であることが、意匠性の点から好ましい。
本発明の防草構造体に含まれる防草シート10は、特に限定されるものではなく、市販の防草シートから適宜選択して用いることができるが、特に、可撓性、防水性及び遮光性を有し、シート状の形状を有するものは、良好な耐久性を有することから好適に用いることができる。本発明に用いる防草シート10の具体例として、優れた可撓性、防水性及び遮光性を有する改質アスファルト系防草シート、例えば、特開2002−272348号公報(特許文献1)に開示された改質アスファルト系防草シートを好ましく用いることができる。
「改質アスファルト系防草シート」とは、改質アスファルトを材料として含む防草シートのことをいう。改質アスファルトとしては、具体的には後述する耐貫通型防草シートの(b)層及び(d)層に用いることのできる改質アスファルトと同様のものを用いることができる。改質アスファルト系防草シートは、建築用防水シート(改質アスファルト系防水シート)を転用して用いることができる。
改質アスファルト系防草シートとしては、単層の改質アスファルトと基材層とからなるシートのみならず、2層の改質アスファルト層の間に不織布等からなる基材層を含む構造のものを用いることができる。
また、改質アスファルト系防草シートは、さらに表面層及び裏面層を含むことができる。表面層には、後述する耐貫通型防草シートの(a)表面層と同様のものを用いることができる。また、裏面層には、合成樹脂フィルムを好適に用いることができる。合成樹脂フィルムとしては、具体的には、HDPEフィルム(高密度ポリエチレン)及びOPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレン)などから選択したものを好適に用いることができる。また、後述する耐貫通型防草シートの(e)裏面層と同様のものを用いることができる。
改質アスファルト系防草シートの構造の一例は、表面層、改質アスファルト層、基材層、改質アスファルト層及び裏面層をこの順番で有する構造であるが、これらの層の全てを含む必要はなく、また、さらなる層を含むこともできる。
本発明の防草構造体に含まれる防草シート10として、改質アスファルト系防草シートの1種である、後述する耐貫通型防草シートを用いることが特に好ましい。
本発明の防草構造体に含まれる防草シート10の形状は特に限定されないが、複数の防草シート10を接続して用いる場合の利便性から、長方形のものを用いることが好ましい。
本発明の防草構造体は、隅部に充填材料60を配置する構造を有するので、隅部に配置される充填材料60の錘効果によって防草シートの第一端部12は固定されることとなる。したがって、第一端部12をピンで固定する等のさらなる固定処理は必ずしも必要ではない。しかしながら、第一端部12の固定を確実にするために、本発明の防草構造体において、防草シート10の第一端部12を構造物25の側壁26に固定するために、加熱融着法、粘着材接着法及びテープ接着法から選ばれる少なくとも一つを用いることができる。また、防草シート10の第二端部13がU字溝等の他の構造物25に隣接している場合にも、同様に、第二端部13の固定のために、加熱融着法、粘着材接着法及びテープ接着法から選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
加熱融着法とは、防草シート10の端部をバーナー等で加熱することによって、防草シート10を構成する改質アスファルトを溶融させ、固化することにより、第一端部12等を構造物25などの構造物の側壁26等に熱融着する固定方法である。
粘着材接着法とは、二つの物体の間の少なくとも一部に、改質アスファルトを含む目止め材などの粘着材を塗布し、二つの物体及び粘着材塗布層を加圧し、粘着することにより、二つの物体を固定する固定方法である。
テープ接着法とは、両面に接着性のあるアスファルトテープを、第一端部12等と構造物25の側壁26等との間に挿入し、第一端部12と構造物25の側壁26との固定を行う方法である。テープ接着法は、加熱融着法とほぼ同等の接着強度を得ることができる。
住宅地近傍への設置の場合や、設置箇所近傍に下草等の可燃物が多い場合など、火気の使用が制限されているなど、火気の使用が好ましくない場合には、粘着材接着法及び/又はテープ接着法を用いることが好ましい。
また、防草シート10の第一端部12の固定は、第一端部用釘状器具14を用いて行うことができる。
防草シート10の第一端部12の構造物25の側壁26への固定のための第一端部用釘状器具14としては、オールアンカー、コンクリート釘、又は測量釘などを用いることができる。オールアンカーとは、アンカー本体、打込みピン、ナット及びワッシャーがセットになったアンカーのことである。オールアンカーの一例として、直径5mm、長さ30mmのものを用いることができる。また、オールアンカーによる固定を確実にするために、さらにオールアンカー用ディスク(例えば、厚さ1.2mm、直径45mm)を用いることができる。また、コンクリート釘による固定を効率的にかつ確実にするために、自動釘打機を用いることが好ましい。
また、防草シート10の第二端部13の固定は、第二端部用釘状器具15を用いて行うことができる。第二端部用釘状器具15は、第一端部用釘状器具14と同様なものを用いることができる。
また、防草シート10の第二端部13の固定は、上述の第一端部12の場合と同様に、充填材料60を用いて行うことができる。
防草シート10の寸法は、防草区域20の寸法やその他の施工条件によって、適宜選択することができる。例えば、図8に示す例においては、複数の防草シート10が、防草シート重ね合わせ接着部17にて接続された構造となっている。このように、適宜選択した寸法の複数の防草シート10の防草シート重ね合わせ接着部17を、粘着材接着法及び/又はテープ接着法により張り合わせて用いることにより、本発明の防草構造体を任意の寸法の防草区域20に設置することができる。
防草区域20の幅が防草シート10より狭い場合、すなわち防草区域20の幅が一般的に1m程度以下の場合には、一枚のテープ状の防草シートを防草シート10として用いて防草構造体を設置することができる。
また、防草シート10の第一端部12及び第二端部13以外の端部は、粘着材接着法及び/又はテープ接着法による固定、ピンによる固定処理などの終端処理を行うことにより、防草効果を確実にすることができる。
<防草構造体の施工方法>
次に、本発明の防草構造体の施工方法について説明する。
本発明の防草構造体の施工方法は、図1に示すような、構造物25に隣接する防草区域20に防草構造体を設置するための施工方法である。
本発明の防草構造体の施工方法は、構造物25の側壁26と、第一端部12とが接するように防草シート10を配置する工程を含む。具体的には、図2に示すように、防草シート10の第一端部12の先端が、構造物25の側壁26に接するように防草シート10を配置する。なお、第一端部12と側壁26との固定を粘着材接着法及び/又はテープ接着法等により行う場合には、防草シート10の第一端部12の先端を含む一定の領域が、構造物25の側壁26に接するように配置することができる。また、防草シート10の残りの部分は、防草区域20を覆うように配置する。
本発明の防草構造体は、隅部に配置される充填材料60の錘効果によって防草シートの第一端部12が固定されることとなる。したがって、第一端部12をピンで固定する等のさらなる固定を行うことは必ずしも必要ではない。しかしながら、第一端部12の固定を確実にするために、図3に示すように、構造物25に接する防草シート10の第一端部12を固定することができる。第一端部12の固定は、第一端部用釘状器具14を用いて行うことができる。また、第一端部12は、粘着材接着法及び/又はテープ接着法等によって構造物25の側壁26に固定することができる。
図3に示すように、本発明の防草構造体の施工方法は、防草シート10の第二端部13を防草区域20に固定する工程を含む。第二端部13の固定は、第一端部用釘状器具14を用いて行うことができる。また、第二端部13に構造物が隣接している場合には、粘着材接着法及び/又はテープ接着法等により第二端部13を構造物に固定することができる。
図4に示すように、本発明の防草構造体の施工方法は、構造物25の側壁26と、防草シート10の第一端部12とで形成される隅部に、充填材料60を配置する工程を含む。この結果、充填材料60の錘効果により、防草シート10の第一端部12が固定される。このようにして、本発明の防草構造体を得ることができる。
本発明の防草構造体の施工方法は、防草シート10を配置する工程の前に、図5に示すように隅部に対応する防草区域20の少なくとも一部に、構造物25に接する掘削部22を形成する工程を含むことが好ましい。この工程を含む場合には、図6に示すように、第一端部12を掘削部22に配置することができる。掘削部22は隅部に対応する位置にあるので、図7に示すように、隅部に充填材料60を配置することにより、充填材料60の錘効果を重力的により安定な状態とすることができ、第一端部12の固定をより確実に行うことができる。
なお、防草シート10の第二端部13を防草区域20に固定する工程と、隅部に充填材料60を配置する工程とは、どちらを先に行ってもよい。また、本発明の防草構造体を施工することができる限りにおいて、施工場所の状況等により、本発明の防草構造体の施工工程の順番を適宜変更することができる。
上述した本発明の施工方法によって、構造物25に隣接する防草区域20に設置される防草構造体において、防草区域20からの草の生育を防止することを確実に行うことができ、意匠性に優れる防草構造体を得ることができる。得られた防草構造体は、長期にわたって良好な防草効果を発揮して、良好な景観形成に寄与できる。
<耐貫通型防草シート>
次に、本発明の防草構造体の防草シート10に用いることが特に好ましいに防草シートついて説明する。本明細書及び特許請求の範囲では、ここで説明する防草シートのことを「耐貫通型防草シート」という。耐貫通型防草シートは、硬く鋭い雑草の芽に対する貫通防止性に優れるため、本発明の防草構造体に用いることが特に好ましい。本発明の防草構造体の防草シートとして耐貫通型防草シートを用いることにより、際立った防草性能と優れた耐久性とを併せ持った防草構造体及びその施工方法を得ることができる。なお、耐貫通型防草シートは、改質アスファルト系防草シートの一種である。
<耐貫通型防草シートの態様>
耐貫通型防草シートは、(a)無機質粒子又は無機質粒子を含有する合成樹脂を含む表面層、(b)改質アスファルト層、(c)基材層、(d)改質アスファルト層及び(e)合成樹脂又は無機質粒子を含有する合成樹脂を含む裏面層の少なくとも5層をこの順で積層した耐貫通型防草シートであって、(c)基材層が、織布、編み布及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも一つである基材Aと、スクリムを有する基材Bとを含み、基材Aの織布、編み布及び不織布が、芯部と鞘部とを有する芯鞘構造の繊維を含み、芯部が融点200℃以上の繊維及び鞘部が融点200℃以上の樹脂であり、(e)裏面層の合成樹脂が硬質合成樹脂である耐貫通型防草シートである。
耐貫通型防草シートの好ましい態様を以下に示す。耐貫通型防草シートでは、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)(e)裏面層の硬質合成樹脂が、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル及びポリハロゲン化ポリビニルからなる群より選択される少なくとも一つの合成樹脂である。
(2)(e)裏面層が、厚さ10〜50μmの二軸延伸成形ポリプロピレンフィルムである。
(3)(c)基材層が、基材Aと、基材Bと、基材Aとをこの順に積層し、接着された、若しくは熱融着された三層構造を有する。
(4)芯部と鞘部とが、熱融着されている。
(5)基材Bが、複数の互いに平行な略等間隔の高強度繊維の繊維束からなる組を2組以上有し、異なった組の繊維束は、略等角度で互いに交差しあうスクリムである。
(6)基材Aと、基材Bとの接触部の少なくとも一部が、融点200℃以上の樹脂及び/又は200℃で熱分解しない接着剤により接着されている、若しくは熱融着されている。
(7)(c)基材層が、75〜500g/mの目付量を有する。
(8)(a)表面層が、天然スレート、タルク及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の、扁平状の無機質粒子を含む。
また、耐貫通型防草シートは、上記の防草シートを敷設した防草構造体に用いることができる。
<耐貫通型防草シートの効果>
耐貫通型防草シートは、本発明の防草構造体及びその施工方法に対して好適に用いることができる。耐貫通型防草シートにより、構造物に隣接する防草区域をはじめ、道路、線路、河川、公園及び造林園など並びにこれらの周辺などの地面、表面での草の成育を防止ための、遮光性を有し、耐候性、機械的特性、不透水性に優れ、さらに硬く鋭い雑草の芽の防草シートに対する貫通防止性に優れる防草シートを得ることができる。
<耐貫通型防草シートの詳細>
図9に、耐貫通型防草シートの模式的断面図を示す。耐貫通型防草シートは、(a)無機質粒子又は無機質粒子を含有する合成樹脂を含む表面層1、(b)改質アスファルト層2、(c)基材層3、(d)改質アスファルト層4及び(e)合成樹脂又は無機質粒子を含有する合成樹脂である裏面層5の少なくとも5層を、この順で積層した耐貫通型防草シートである。以下、耐貫通型防草シートを詳細に説明する。
<(c)基材層>
(c)基材層は、織布、編み布及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも一つである基材Aと、スクリムを有する基材Bとを含む。
<(c)基材層の基材A>
基材Aを構成する織布、編み布及び不織布は、芯部と鞘部とを有する芯鞘構造の繊維を含むものである。本明細書で「繊維」とは、単繊維、2本以上の繊維、2本以上の繊維の束(繊維束)、及び2本以上の繊維によりをかけたもの(糸)を包含する。
基材Aは、織布、編み布及び不織布から選ばれる基材であり、織布、編み布又は不織布を2以上組み合わせて用いることができる。基材Aとして、芯部が融点200℃以上の繊維と、鞘部が融点200℃以上の樹脂からなる芯鞘構造の繊維からなる織布、編み布及び/又は不織布を用いることができる。また、基材Aとして、その芯鞘構造の繊維からなる織布、編み布及び/又は不織布と、融点200℃以上の繊維からなる織布、編み布及び/又は不織布を組み合わせて用いることもできる。なお、繊維の融点の上限は特に限定されない。樹脂の融点の上限も特に限定されないが、製造の容易性及びコストの点から、500℃以下が好ましく、400℃以下がさらに好ましい。
<(c)基材層の基材A:芯鞘構造>
(c)基材層の基材Aとして用いることのできる芯鞘構造の繊維とは、一つの成分(鞘部)がもう一つの成分(芯部)の少なくとも一部の表面を包む状態の構造を有する繊維を意味する。芯鞘構造の繊維は、鞘部が芯部の表面を、50%以上、さらに70%以上、特に90%以上包む状態の構造であることが好ましい。特に、芯鞘構造の繊維は、鞘部が芯部の表面を完全に包む状態の構造の繊維であることが最も好ましい。
芯部は、融点200℃以上の繊維である。また、芯部は、低吸水性の合成樹脂や無機物であることが、耐貫通型防草シートを製造する過程での耐熱性や長期供用時の物性の安定性に優れるために好ましい。芯部は、吸水率(24時間、23℃)が好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.9%以下、特に好ましくは0.8%未満の合成樹脂や無機物が好ましく用いることができる。具体的な芯部の材料としては、低吸水性のナイロン11やナイロン12、ポリエステルやガラスなどの合成樹脂や無機物からなる繊維を用いることが、吸水性及び機械的強度などの点から好ましい。
鞘部の材料は、融点200℃以上の樹脂であることが、耐貫通型防草シートを製造する過程での耐熱性や長期供用時の物性の安定性に優れるために好ましい。融点200℃以上の樹脂としては、融点200℃以上の天然や合成の樹脂ならどのようなものでも用いることができ、特に、融点200℃以上のポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリイミド、ポリスルホン及びポリエーテルなどから選択した1種以上の樹脂を用いることができる。特に、低吸水性のナイロン11及びナイロン12から選択した1種以上が長期供用時の物性に優れることから好適に使用できる。また、融点200℃以上の樹脂としては、部分架橋あるいは架橋したゴムを用いることもできる。
また、芯部と鞘部とは、熱融着されていることが好ましい。熱融着は、芯部の材料と鞘部の材料のうち少なくともどちらか一つの融点より高い温度を加えることによって行うことができる。芯部と鞘部とは、熱融着されていることにより、耐貫通型防草シートの製造過程で溶融状態(200℃未満)の改質アスファルト中に浸漬されても優れた形状安定性を得ることができる。
基材Aに、融点200℃以上の芯鞘構造の繊維からなる織布、編み布及び不織布を用いる場合には、芯鞘構造の繊維の、(i)一部が融点200℃以上の樹脂により接着されている織布、編み布、不織布など、(ii)一部が200℃で熱分解しない接着剤及び/又は樹脂により接着されている織布、編み布、不織布など、(iii)一部が熱融着されている織布、編み布、不織布などを用いることが好ましい。なお、樹脂の融点及び接着剤の熱分解温度の上限は特に限定されないが、製造の容易性及びコストの点から、500℃以下が好ましく、400℃以下がさらに好ましい。
基材Aとして、(i)一部が融点200℃以上の樹脂により接着されている織布、編み布、不織布を用いる場合には、融点200℃以上の樹脂としては、融点200℃以上の天然や合成の樹脂であればどのようなものでも用いることができ、特に、融点200℃以上のポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリイミド、ポリスルホン及びポリエーテルなどから選択した1種以上の樹脂を用いることができる。特に、低吸水性のナイロン11及びナイロン12から選択した1種以上を好適に使用できる。融点200℃以上の樹脂としては、部分架橋あるいは架橋したゴムを用いることもできる。
基材Aとして、(ii)一部が200℃で熱分解しない接着剤及び/又は樹脂により接着されている織布、編み布、不織布を用いることができる。200℃で熱分解しない接着剤とは、熱重量分析において、空気中、5℃/分の昇温速度の条件下で、200℃で重量減少率が1%以下、さらに0.5%以下、特に0%の天然や合成の樹脂である。
200℃で熱分解しない接着剤としては、200℃で熱分解しない無機系接着剤や有機系接着剤などを用いることができる。200℃で熱分解しない接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ナイロン/エポキシ系接着剤、エラストマー/エポキシ系接着剤、ニトリル/フェノリック系接着剤、ウレタン/エポキシ系接着剤、ポリエステル/エポキシ系接着剤、ポリイソシアネート系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤、メラミン系接着剤、尿素系接着剤、フェノール系接着剤、ポリクロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、再生ゴム系接着剤、SBR系接着剤及び天然ゴム系接着剤などから選択した1種以上を用いることができる。
200℃で熱分解しない接着剤として、エポキシ樹脂、後述する(a)表面層に用いることができる合成樹脂塗料などの架橋性を有する天然や合成の樹脂を用いることが好ましい。
<(c)基材層の基材A:芯鞘構造の繊維及び融点200℃以上の繊維を併用>
また、基材Aとして、融点200℃以上の繊維からなる織布、編み布及び/又は不織布を用いることもできる。この融点200℃以上の繊維からなる織布、編み布及び/又は不織布は、芯部が融点200℃以上の繊維と、鞘部が融点200℃以上の樹脂とからなる芯鞘構造の繊維からなる織布、編み布及び/又は不織布と組み合わせて用いることが、基材Aとして好ましい。融点200℃以上の繊維としては、融点200℃以上の天然、半合成及び合成樹脂の繊維や無機のガラスなどの融点200℃以上の有機質繊維や無機質繊維などにより構成されるものを用いることができる。
融点200℃以上の繊維としては、融点200℃以上の樹脂からなる、又は、融点200℃以上の樹脂を含む、繊維、ガラスなどの融点200℃以上の有機質繊維や無機質繊維などを用いることができる。なお、繊維の融点の上限は特に限定されない。
基材Aとして、融点200℃以上の芯鞘構造の繊維と、融点200℃以上の繊維とからなる織布、編み布及び不織布を用いる場合には、芯鞘構造の繊維及び/又は融点200℃以上の繊維の、(i)一部が融点200℃以上の樹脂により接着されている織布、編み布、不織布など、(ii)一部が200℃で熱分解しない接着剤及び/又は樹脂により接着されている織布、編み布、不織布など、(iii)一部が熱融着されている織布、編み布、不織布などを用いることが好ましい。なお、樹脂の融点及び接着剤の熱分解温度の上限は特に限定されないが、製造の容易性及びコストの点から、500℃以下が好ましく、400℃以下がさらに好ましい。
基材Aとして、(i)一部が融点200℃以上の樹脂により接着されている織布、編み布、不織布を用いる場合には、融点200℃以上の樹脂としては、融点200℃以上の天然や合成の樹脂であればどのようなものでも用いることができ、特に、融点200℃以上のポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリイミド、ポリスルホン及びポリエーテルなどから選択した1種以上の樹脂を用いることができる。特に、低吸水性のナイロン11及びナイロン12から選択した1種以上を好適に使用できる。融点200℃以上の樹脂としては、部分架橋あるいは架橋したゴムを用いることもできる。
基材Aとして、(ii)一部が200℃で熱分解しない接着剤及び/又は樹脂により接着されている織布、編み布、不織布を用いることができる。200℃で熱分解しない接着剤とは、熱重量分析において、空気中、5℃/分の昇温速度の条件下で、200℃で重量減少率が1%以下、さらに0.5%以下、特に0%の天然や合成の樹脂である。
200℃で熱分解しない接着剤としては、200℃で熱分解しない無機系接着剤や有機系接着剤などを用いることができる。200℃で熱分解しない接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ナイロン/エポキシ系接着剤、エラストマー/エポキシ系接着剤、ニトリル/フェノリック系接着剤、ウレタン/エポキシ系接着剤、ポリエステル/エポキシ系接着剤、ポリイソシアネート系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤、メラミン系接着剤、尿素系接着剤、フェノール系接着剤、ポリクロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、再生ゴム系接着剤、SBR系接着剤及び天然ゴム系接着剤などから選択した1種以上を用いることができる。
200℃で熱分解しない接着剤として、エポキシ樹脂、後述する(a)表面層に用いることができる合成樹脂塗料などの架橋性を有する天然や合成の樹脂を用いることが好ましい。
<(c)基材層の基材B>
防草シートの機械的強度を増加させるという点から、耐貫通型防草シートにおいて、(c)基材層の基材Bは、融点200℃以上の繊維からなるスクリムを有していることが好ましい。スクリムとは、あらい平織り又は綾織りの織布のことを意味する。すなわち、スクリムとは、複数の互いに平行な略等間隔の繊維及び/又は糸を有する組を2組以上有し、異なった組の繊維及び/又は糸は、略等角度で互いに交差しあう形状である。一例として、2組の複数の互いに平行な略等間隔の繊維及び/又は糸が、互いにほぼ直角に交差しあう形状のスクリムを用いることができる。また、3組が互いに約60度の角度で交差しあうスクリムを用いることもできる。繊維及び/又は糸の間隔の下限は、スクリムの重量及びコストを抑制するという点から、好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは6mm以上のスクリムが好ましい。また、繊維及び/又は糸の間隔の上限は、必要な機械的強度の点から、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは20mm以下、より好ましくは18mm以下のスクリムが好ましい。
また、スクリムを構成する繊維及び/又は糸は、融点200℃以上であることが好ましい。また、高強度を有するため、スクリムを構成する繊維は、2本以上の高強度繊維の束(高強度繊維束)であることが好ましい。高強度繊維束の高強度繊維は、カーボン繊維、アラミド繊維、スチール繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維及びガラス繊維から選ばれる1種以上のものを好適に使用でき、価格と入手容易性の点からガラス繊維を好適に使用することができる。なお、繊維の融点の上限は特に限定されない。
<(c)基材層の構造>
(c)基材層は、基材Aと、基材Bと、基材Aとをこの順に積層した三層構造を有することが好ましい。「三層構造」とは、基材Aと、基材Bと、基材Aとをこの順に並べて接着した構造のことをいう。なお、基材Bはスクリムを有するため、繊維及び/又は糸が存在しない部分があるが、本明細書では、そのような部分も含めて「三層構造」という。(c)基材層が、三層構造を有することによって、中間に位置する基材Bの上面側と下面側とが均質構造となり、この(c)基材層を用いた耐貫通型防草シートを敷設した場合に良好な平面性が得られ、防草シート端部の反り返りを回避することができる。
(c)基材層は、基材Aと基材Bとの接着、及び基材Bが存在しない部分では二つの基材Aの接着を行うことにより形成される。基材の接着を確実にするという点から、(c)基材層は、基材Aと、基材Bとの接触部の少なくとも一部が、融点200℃以上の樹脂及び/又は200℃で熱分解しない接着剤により接着されていることが好ましい。又は、基材Aと、基材Bとの接触部の少なくとも一部が、200℃以上の温度で熱融着されていることが好ましい。二つの基材Aを接着又は融着する部分についても同様である。基材Aと基材Bとが、融点200℃以上の樹脂及び/又は200℃で熱分解しない接着剤により接着されている、又は、200℃以上の温度で熱融着されていることにより、(c)基材層を用いた耐貫通型防草シートの製造過程で、(c)基材層が溶融状態(200℃未満)の改質アスファルト中に浸漬されても(c)基材層の物性は損なわれることはなく、また優れた形状安定性を得ることができる。
(c)基材層の目付量(単位面積当たりの重量)の下限は、耐貫通型防草シートの強度を保つという点から、75g/m、好ましくは100g/m、さらに好ましくは120g/m、特に好ましくは140g/mである。また、(c)基材層の目付量の上限は、耐貫通型防草シートを施工する際の良好な作業性を確保するとともに、コストを抑えるという点から、500g/m以下、好ましくは400g/m、さらに好ましくは200g/mである。スクリムを含む基材層の目付量の具体例としては、155g/mのものを用いることができる。(c)基材層の目付量が下限値(75g/m)以上であると、好ましい引張強度や引き裂き強度を得ることができ、また上限値(500g/m)以下であると耐貫通型防草シートの強度特性が適正であるとともにシート重量が大きすぎず、敷設作業性が低下することがないことから好ましい。
<(a)表面層>
(a)表面層は、無機質粒子又は無機質粒子を含有する合成樹脂を含む層である。(a)表面層は、無機質粒子又は無機質粒子を含有する合成樹脂からなる層であることが好ましい。(a)表面層に用いられる無機質粒子としては、天然スレート砂、マイカ及びタルクなどの鉱物質の扁平状無機質粒子を用いることができる。無機質粒子は、一種類又は複数種を組み合わせて用いることができる。耐貫通型防草シートでは、(a)表面層に扁平状の無機質粒子を用いることによって、耐候性塗料の塗着に頼ることなく長期供用においても耐貫通型防草シート全面が剥離することなく、変色や退色も小さく、耐貫通型防草シートの施工直後の状態を維持することができる。
さらに、耐貫通型防草シートは、扁平状の無機質粒子と改質アスファルトコンパウンドとが積層された構造を有していることから、一般的な防草シートと比較し、ポイ捨てされたタバコによる穴あき等の重大な損傷が生じにくいという効果を奏する。
無機質粒子の粒子径は、使用上問題ないものであればどのようなものでもよく、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.3〜8mm、さらに好ましくは0.5〜6mm、特に好ましくは1〜5mmの範囲が好ましい。なお、「粒子径」とは、無機質粒子が扁平状等の場合には、無機質粒子の任意の二点を結ぶ直線のうち、最も長いものの長さのことをいうものとする。
無機質粒子が扁平状等の場合に、無機質粒子の任意の二点を結ぶ直線のうち最も長いものの長さをX、この直線に直交する無機質粒子の任意の二点を結ぶ直線のうち最も長いものの長さをY、扁平状の無機質粒子の最も厚い部分の厚さをZとすると、Y/Xの値が好ましくは0.2〜1の範囲であり、より好ましくは0.3〜0.9の範囲であり、さらに好ましくは0.5〜0.8の範囲のものを好適に使用できる。また、Z/Xの値は好ましくは0.002〜0.4の範囲であり、より好ましくは0.01〜0.2の範囲であり、さらに好ましくは0.02〜0.1の範囲のものを好適に使用できる。
(a)表面層において、耐貫通型防草シート表面1m当たりの無機質粒子量は、好ましくは100〜2000g/m、より好ましくは200〜1500g/m、さらに好ましくは400〜1200g/mの範囲が好ましい。
無機質粒子は、必要に応じて撥水剤、塗料、顔料、増粘剤、耐光剤及び耐候剤などから選択される1種以上を添加、吹付け、塗布又は含浸したものを用いることができる。
(a)表面層において、無機質粒子を含有する合成樹脂は、(b)改質アスファルト層に例えば貼り合わせ、塗布、吹付け及び含浸などの方法により、塗膜、シート又はフィルムとして用いることができる。無機質粒子を含有する合成樹脂は、無機質粒子及び合成樹脂塗料を含むものを用いることができる。無機質粒子を含有する合成樹脂は、合成樹脂塗料100重量部に対し、無機質粒子3〜250重量部、さらに5〜200重量部、特に10〜180重量部を配合したものを用いることが好ましい。無機質粒子を含有する合成樹脂は、必要に応じて撥水剤、顔料、増粘剤、耐光剤及び耐候剤などから選択される1種以上を添加することが好ましい。
(a)表面層において、合成樹脂に含まれる無機質粒子の量は、耐貫通型防草シート表面1m当たりの無機質粒子量が、好ましくは100〜2000g/m、より好ましくは200〜1500g/m、さらに好ましくは400〜1200g/mの範囲となることが好ましい。
(a)表面層の合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸誘導体などのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体などの主鎖に2重結合を2以上有するオレフィン重合体、ビニル重合体及び主鎖に2重結合を2以上有するオレフィンと主鎖に2重結合を1つ有するオレフィンとの共重合体などから選択される1種以上を用いることができる。合成樹脂としては耐候性の優れたものを使用することが好ましい。合成樹脂としては耐光性の優れたものを使用することが好ましい。合成樹脂としては柔軟性の優れたものを使用することが好ましい。
(a)表面層において、合成樹脂塗料としては、ポリウレタン、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体などから選択される1種以上を用いることができる。合成樹脂塗料としては耐候性の優れたものを使用することが好ましい。合成樹脂塗料としては柔軟性の優れたものを使用することが好ましい。特に、合成樹脂塗料としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択されるモノマーの少なくとも1種の重合体、又はモノマーの少なくとも1種とエチレンなどのα−オレフィンやスチレンなどのほかのビニル系モノマーとの共重合体が好ましい。
<(b)層及び(d)層の改質アスファルト>
(b)層及び(d)層の改質アスファルトとしては、アスファルト及びポリマーを含むもの、アスファルト、ポリマー及び無機充填材の3成分を含むものなどを用いることができる。(b)層及び(d)層の改質アスファルトとしては、アスファルト100重量部に対し、ポリマー10〜40重量部、及び無機充填材0〜20重量部を含むものを用いることが好ましい。
改質アスファルトは、アスファルト及びポリマーを含むもの、アスファルト、ポリマー及び無機充填材の3成分を含むものなどを120〜200℃で3〜30時間加熱混合して調製したものを用いることが、防水・防湿性、伸縮性などに優れているために好ましい。
改質アスファルトには、以上述べた成分のほかに、プロセスオイル、ワセリン、セレシン、石油樹脂など、一般に合成樹脂やゴムの配合で用いられる撥水剤、顔料、増粘剤、耐光剤、耐候剤などの無機や有機の配合剤を添加してもよい。
(b)層及び(d)層の改質アスファルトにおいて、アスファルトとしては、天然アスファルトやアスファルタイトなど天然に産するもの、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、カットバックアスファルト等の石油アスファルト、又はこれらのアスファルトの混合物等が好ましい。
(b)層及び(d)層の改質アスファルトにおいて、ポリマーとしては、天然ゴム、合成ゴム、天然ゴムと合成ゴムとの混合物、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸誘導体との共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル及びスチレンとブタジエンとの重合体(例えば、SBSなど、SBRなど)等から選択される1種以上を使用することができる。特にSBSなどのゴム系が好適である。
(b)層及び(d)層の改質アスファルトにおいて、無機充填材としては、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、クレー、カーボンブラック、タルク、マイカ、硫酸バリウム、珪藻土及びシリカ等の粒子状無機充填材並びに石綿及びガラス繊維などの繊維状無機充填材から選択される1種以上を用いることができる。
(b)層及び(d)層の改質アスファルトは、針入度が、好ましくは10dmm〜200dmmの範囲、さらに好ましくは15dmm〜100dmmの範囲、より好ましくは20dmm〜50dmmの範囲、特に好ましくは25dmm〜35dmmの範囲が柔軟性に優れるために好ましい。
耐貫通型防草シートでは、(b)層及び(d)層として、上記組成の改質アスファルトを用いることにより、特に法面に配置した場合には、法面上部に不透水性に優れた層を形成することができる。そのため、雑草の生育に不可欠な水分を遮断できるのみならず、法面が盛土で構築されている場合には、法面上部(法肩)からの雨水の浸透に伴う法面自体の帯水を効果的に防止することにより、集中豪雨などに伴う法面地盤の崩壊を回避することができる。また、構造物に隣接する防草区域においても優れた防草効果を奏する。
<(e)裏面層>
耐貫通型防草シートは、(e)裏面層が、合成樹脂又は無機質粒子を含有する合成樹脂を含む。(e)裏面層は、合成樹脂フィルム又は無機質粒子を含有する合成樹脂フィルムであることが好ましい。
(e)裏面層の合成樹脂は、硬質合成樹脂である。裏面層に、硬質合成樹脂を材料としたフィルムを用いることによって、チガヤなどの雑草の芽が、耐貫通型防草シートの(e)裏面層を貫くことが防止できる。また、合成樹脂フィルムの表面滑性を活かして、雑草の芽の成長方向をシート裏面と平行な方向に誘導することが可能となる。
(e)裏面層の合成樹脂フィルムの合成樹脂としては、耐光性及び耐候性に優れたものを使用することが好ましい。
(e)裏面層の合成樹脂としては、具体的には、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのポリハロゲン化ポリビニルなどの硬質合成樹脂をフィルム状にしたものを好ましく用いることができる。特に、二軸延伸成形工程を経て製造されるOPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム)を好適に使用することができる。
耐貫通型防草シートに用いる(e)裏面層としては、厚さが、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは12〜40μmであり、さらに好ましくは15〜30μmの硬質合成樹脂フィルムを好適に使用できる。(e)裏面層である硬質合成樹脂フィルムが前記範囲(10〜50μm)の上限以下の場合、耐貫通型防草シートの柔軟性が損なわれることなく、チガヤの芽が耐貫通型防草シートを貫通するのを防止する効果は高くなる。そのため、耐貫通型防草シートを製造したのちロール状に梱包するとシート表面にシワが発生するなどの問題が生じる可能性が小さく、また施工作業においても敷設時の作業性が損なわれる可能性が小さいため好ましい。また、(e)裏面層の合成樹脂フィルムが前記範囲(10〜50μm)の下限以上の場合には、硬く鋭いチガヤの芽が耐貫通型防草シートを貫通するのを防止する効果が大きくなるため好ましい。
(e)裏面層の合成樹脂には、ゴムを添加することができる。合成樹脂に添加できるゴムとしては、明確な降伏点を有しない熱可塑性の低結晶性エラストマー又は明確な融点及び降伏点を有しない熱可塑性の非晶性エラストマーが好ましく、常温でゴム弾性を有するエラストマーを用いることができる。スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー及びポリアミド系エラストマー等から選択される1種以上の熱可塑性エラストマーを用いることができる。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBSなど)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBSなど)、水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBRなど)、水添スチレン−ブタジエン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBCなど)等などのブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物、水添スチレン−イソプレン共重合体(SEPなど)、水添スチレン−ビニルイソプレン共重合体(V−SEPSなど)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SISなど)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPSなど)などのイソプレン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物などから選択される1種以上を用いることができる。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、非晶性ポリプロピレンなどの非晶性又は低結晶性α−オレフィン(共)重合体、ポリオレフィンとオレフィン系ゴムとの混合物等を用いることができる。ポリオレフィン系エラストマーとしては、エチレン−プロピレン系エラストマー(EPRなど)、エチレン・ブテン−1系エラストマー(EBMなど)を用いることができる。ポリエステル系エラストマーとしては、ポリエステル−ポリエーテル共重合体、ポリエステル−ポリエステル共重合体等からなるエラストマーを用いることができる。ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド−ポリエステル共重合体、ポリアミド−ポリエーテル共重合体等からなるエラストマー等を用いることができる。上記のエラストマーを二種以上、混合して用いてもよい。
(e)裏面層の合成樹脂に添加できるゴムとしては、具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソブチレン、クロロプレンゴム及びニトリルゴムなどから選択される1種以上を用いることができる。
(e)裏面層が、無機質粒子を含有する合成樹脂を含む場合には、無機質粒子として、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、クレー、カーボンブラック、タルク、マイカ、硫酸バリウム、珪藻土及びシリカ等から選択される1種以上を用いることができる。
<耐貫通型防草シートの製造方法>
次に、耐貫通型防草シートの製造方法について説明する。
所定の芯部の表面に、所定の鞘部を熱融着し、芯鞘構造の繊維を作製する。この芯鞘構造の繊維を用いて織布、編み布及び/又は不織布を作製することにより、基材Aを得る。次に、所定のスクリムを有する基材Bを、2つの基材Aの間に挟む。基材Aと、基材Bと、基材Aとをこの順に積層したものを、融点200℃以上の樹脂及び/又は200℃で熱分解しない接着剤により接着する、若しくは熱融着することにより、シート状の(c)基材層を得ることができる。
次に、上記のように製造した(c)基材層を、170℃以上で200℃未満に加熱溶融混合した所定の改質アスファルト中に浸漬して通過させ、(c)基材層の両面に所定の(b)層及び(d)層の改質アスファルト層を設けた3層シートを作製する。この3層シートの一方の面(表面)に、所定の無機質粒子又は所定の無機質粒子を含有する合成樹脂を付着することにより(a)表面層を形成する。また、もう一方の面(裏面)には、所定の合成樹脂又は無機質粒子を含有する合成樹脂を含むシートを貼り合わせて(e)裏面層を形成することにより、耐貫通型防草シートを得ることができる。
<耐貫通型防草シートの特性>
本発明に用いる耐貫通型防草シート及びその他の防草シートは、下記の特性を有することが好ましい。
本発明に用いる防草シートの光線透過率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは0%であることが好ましい。光線透過率が上記範囲内では、雑草の生育を有効に防止することができるため好ましい。
本発明に用いる防草シートの貫通抵抗力は、好ましくは100N以上、より好ましくは150N以上、さらに好ましくは200N以上、特に好ましくは250N以上が好ましい。貫通抵抗力が上記範囲では、雑草の生育を有効に防止・抑制することができるため好ましい。「貫通抵抗」とは、ASTM・D4833に準拠した測定値である。
本発明に用いる防草シートの引張強度は、好ましくは50N/cm以上、より好ましくは80N/cm以上、さらに好ましくは120N/cm以上、特に好ましくは135N/cm以上であることが好ましい。「引張強度」とは、JIS・A6013に準拠した測定値である。防草シートが上記範囲の引張強度を有することにより、防草シートの製造過程では良好な連続生産性が得られ、防草シートの施工過程では優れた取扱性が得られ、施工後の供用においては優れた耐久性を得ることができる。
本発明に用いる防草シートの引張伸び率は、好ましくは15%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上が好ましい。「引張伸び率」とは、JIS・A6013に準拠した測定値である。上記範囲では、適度の柔軟性により下地の不陸になじむため、施工時の取扱性に優れ、耐久性に優れる。また、防草シートを製造する過程での連続生産性に優れるために好ましい。
本発明に用いる防草シートの引裂強度は、好ましくは50N以上、より好ましくは70N以上、さらに好ましくは90N/cm以上、特に好ましくは110N/cm以上であることが好ましい。「引裂強度」とは、JIS・A6013に準拠した測定値である。防草シートが上記範囲の引裂強度を有することにより、防草シートの製造過程では良好な連続生産性が得られ、防草シートの施工過程では優れた取扱性が得られ、施工後の供用においては優れた耐久性を得ることができる。また、防草シートの引裂強度が前記範囲であれば、防草シートの端部を、固定ピンを用いて固定した場合にも、固定箇所(応力が集中する箇所)の耐久性を充分に確保することができる。
本発明に用いる防草シートは、(a)表面層から(e)裏面層までの5層全体の厚みが、好ましくは1mm〜10mmの範囲、より好ましくは1.5mm〜8mmの範囲、さらに好ましくは2mm〜6mmの範囲、特に好ましくは3mm〜5mmの範囲であることが、施工時の取り扱い易さや、隣り合う防草シートの熱融着部分の品質を充分に安定して確保できることから好ましい。
本発明に用いる防草シートは、引張強度の縦方向と横方向との比が、好ましくは0.60〜1.60の範囲、より好ましくは0.72〜1.40の範囲、さらに好ましくは0.74〜1.35の範囲、特に好ましくは0.75〜1.30の範囲であることが、引張強度や引裂強度などの物性がシートの方向性に依存せず、安定した耐久性が得られることから好ましい。
本発明に用いる防草シートは、引裂強度の縦方向と横方向との比が、好ましくは0.50〜2.00の範囲、より好ましくは0.80〜1.20の範囲、さらに好ましくは0.83〜1.18の範囲、特に好ましくは0.86〜1.16の範囲であることが、引張強度や引裂強度などの物性がシートの方向性に依存せず、安定した耐久性が得られることから好ましい。
機械的強度の一例として、(e)裏面層として厚さ20μmの二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム及び目付量155g/mの基材層を用い、全体の厚さを3mmとした耐貫通型防草シートの場合には、引張強度110〜190N/cm程度、引張伸び率50〜70%程度、引裂強度85〜140N/cm程度の値を得ることできる。
以上述べたように、耐貫通型防草シートでは、織布、編み布及び不織布から選ばれる少なくとも一つである基材Aと、スクリムを有する基材Bとを含む基材層を用い、さらに裏面層に特定の樹脂フィルムを選択して用いるため、引裂強度及び引張強度に優れ、寸法安定性が優れる耐貫通型防草シートを得ることができる。また、耐貫通型防草シートを用いれば、構造物に隣接する防草区域をはじめ、道路、線路、河川、公園及び造林園など並びにこれらの周辺などの地面、表面での草の成育を防止する遮光性と、非透水性とを有するとともに、集中豪雨などによる法面の帯水をも防止でき、特に、硬く鋭い雑草の芽の防草シートに対する貫通防止性に優れる防草構造体を得ることができる。
<参考実施例>
以下に参考実施例として実験例を挙げて耐貫通型防草シートを説明するが、本発明に用いることのできる耐貫通型防草シートはこれにより何ら限定されるものではない。
<評価方法>
1.引張強度、引張伸び率、引裂強度:JIS・A6013に準拠して、万能材料試験機[オリエンテック(株)製UTM−10T]を用い、引張速度100mm/分、サンプル幅50mm、チャック間100mm、試験温度22℃の条件下で一軸引張強度を測定した。
2.貫通抵抗:ASTM・D4833に準拠して行った。具体的には、防草シートの貫通抵抗力は、図12(A)及び図12(B)に示されているように、下端に先端部7を有する測定用治具6を用い、図12(C)のように展張、固定された試験用防草シート8を測定用治具6が貫通する際の抵抗力を、貫通速度300mm/分、試験温度22℃の条件下で測定した。
<実験1〜3>
雑草を刈り取った地面の表面に、下記の合成樹脂フィルムを敷設して2ヵ月後に防草効果を確認した。
1)合成樹脂フィルム
・合成樹脂フィルムa : PEフィルム(ポリエチレンフィルム)、厚さ=30μm、1m×1m。
・合成樹脂フィルムb : OPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム)、厚さ=20μm、1m×1m。
・合成樹脂フィルムc : OPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム)、厚さ=60μm、1m×1m。
表1及び図10に、実験1〜3のチガヤの芽の貫通状態を観察した結果を示す。
厚さ=30μmのPEフィルム(ポリエチレンフィルム)を敷設した実験3の場合、チガヤの芽がフィルムを貫通して20mm以上に成長している箇所が15箇所観察された。一方、厚さ=20μmのOPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム)を敷設した実験1の場合、チガヤの芽がフィルムを貫通して20mm以上に成長している箇所は1箇所のみであり、厚さ=60μmのOPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム)を敷設した実験2の場合、チガヤの芽は全くフィルムを貫通していなかった。
上記の結果から、PEフィルム(ポリエチレンフィルム)を用いた場合には防草効果を奏するといえる。また、OPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレンフィルム)を用いた場合には、より優れた防草効果を奏することができるといえる。
<実験例1〜7>
以下の手順にしたがって、表2に示す条件で防草シートを製造した。なお、実験例3〜7は、耐貫通型防草シートに該当する。
複合不織布を、190℃に加熱溶融混合した改質アスファルト中を通過させ、複合不織布の両面に改質アスファルトの層を設けた3層シートを作製した。
複合不織布(基材層)として、以下の3種類のものを用いた。
2)複合不織布
・複合不織布A : AKZO・NOBEL社製、製品名:colback;品種:SNS155(不織布−スクリム−不織布の三層構造)、上層及び下層の不織布:芯鞘構造、鞘部:ナイロン、芯部:ポリエステル、中間層:ガラス繊維束のスクリム(シートの長さ方向と、長さ方向の垂直方向に2方向補強)、目付量=155g/m、1m×6m。
・複合不織布B : AKZO・NOBEL社製、製品名:colback;品種:SNS125(不織布−スクリム−不織布の三層構造)、上層及び下層の不織布:芯鞘構造、鞘部:ナイロン、芯部:ポリエステル、中間層:ガラス繊維束のスクリム(シートの長さ方向と、長さ方向の垂直方向に2方向補強)、目付量=125g/m、1m×6m。
・複合不織布C : フロイデンベルグ社製、製品名:TERBOND・R150(不織布−ガラス繊維束の2層構造)、上層の不織布:芯鞘構造、鞘部:ナイロン、芯部:ポリエステル、下層:ガラス繊維束(シートの長さ方向に1方向補強)、目付量=150g/m、1m×6m。
ここで、製品名:colback−品種:SNS155、及び、製品名:colback−品種:SNS125は、芯鞘構造(鞘部:ナイロン、芯部:ポリエステル;PET)の繊維からなる不織布とガラス繊維のスクリムとを、不織布−スクリム−不織布の順に積層して、不織布の鞘部のナイロンの熱融着により一体に成形したものである。
改質アスファルトは、SBS改質タイプの針入度30dmm、又は、APP改質タイプの針入度29dmmのものを用いた。
3層シートの改質アスファルト層の片面(表面側)には、扁平状のスレートチップを500g/m〜1000g/mの範囲で付着させた。
他方の面(裏面側)には、下記の合成樹脂フィルムを貼り合わせ、厚さ3.2mmの5層シートを作製し、ボール紙の芯材にロール状に巻き付けて防草シートを製造した。
3)合成樹脂フィルム
・合成樹脂フィルムd : HDPEフィルム(高密度ポリエチレン)、厚さ=20μm。
・合成樹脂フィルムe : OPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレン)、厚さ=20μm。
防草シートは、連続して生産することができた。また、いずれの防草シートの光線透過率も0%で、光を透過しなかった。
得られた防草シートについて、引張強度など物性評価を行った結果を表3に示す。雑草を刈り取った地面の表面に、得られた防草シートを敷設して2ヵ月後に防草効果を評価した。また、図11に、チガヤの芽の貫通状態を観察した結果を示す。なお、表3中の「施工性」とは、シートの重量、柔軟性やシワの発生状況等、防草シートの施工作業おける取扱性及び容易性を総合的に判断したものである。
これらの結果から明らかなように、実験例1〜7のいずれの防草シートにおいても良好な防草効果が得られたが、特に、裏面層として、硬質合成樹脂の一種である二軸延伸成形ポリプロピレンを用いた場合には、高密度ポリエチレンを用いた場合と比較して、チガヤの芽の貫通数を低減し、より高い防草効果を得ることができた。
また、二軸延伸成形ポリプロピレンを用いるとともに、基材層として目付量が155g/mの複合不織布を使用した場合には、チガヤの芽が全く貫通しない(実験例6)、又は、チガヤの芽が貫通したとしてもその貫通数は極僅かであり(実験例4、実験例5及び実験例7)、貫通した目の長さも20mm未満であった。貫通したチガヤの芽が、裏面の合成樹脂フィルムを貫通したのち、20mm以上にさらに大きく成長できなかったのは、目付量の大きい複合不織布の繊維構造と、複合不織布に含浸した改質アスファルト層とが、芽の成長にとって大きな障害となったことによるものと推考される。
1 : 表面層(無機質粒子)
2 : 改質アスファルト層
3 : 基材層
4 : 改質アスファルト層
5 : 裏面層
6 : 測定用治具
7 : 測定用治具の先端部
8 : 防草シート
10 : 防草シート
12 : 第一端部
13 : 第二端部
14 : 第一端部用釘状器具
15 : 第二端部用釘状器具
17 : 重ね合わせ接着部
20 : 防草区域
21 : 地面
22 : 掘削部
25 : 構造物
26 : 構造物の側壁(防草区域に隣接する側壁)
60 : 充填材料

Claims (6)

  1. 互いに対向する第一端部及び第二端部を有する防草シートを含む防草構造体を、構造物に隣接する防草区域に設置するための、防草構造体の施工方法であって、
    構造物の側壁と、第一端部とが接するように防草シートを配置する工程と、
    防草シートの第二端部を防草区域に固定する工程と、
    構造物の側壁と、防草シートの第一端部とで形成される隅部に、充填材料を配置する工程と
    を含む、防草構造体の施工方法。
  2. 防草シートを配置する工程の前に、隅部に対応する防草区域の少なくとも一部に、構造物に接する掘削部を形成する工程を含む、請求項1記載の防草構造体の施工方法。
  3. 充填材料が、粒子径5〜50mmの粒状材料である、請求項1又は2記載の防草構造体の施工方法。
  4. 充填材料が、天然石である、請求項1〜3のいずれか1項記載の防草構造体の施工方法。
  5. 防草シートが、耐貫通型防草シートである、請求項1〜4のいずれか1項記載の防草構造体の施工方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の施工方法により施工される防草構造体。
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