JP2016135152A - 防草材及びその防草材を用いた防草施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
焼成した6号〜7号の粒度の砕石を対象とし、該砕石の粒子の周囲すべてを被覆して総重量割合1〜3wt%の範囲のアスファルトの層を形成した防草材1を用いる。そして、土壌5の上に透水性を有するシート4を敷設し、該シート4の上に、前記防草材1を雑草の種子7が発芽しない層厚Hに敷設する。
【選択図】 図2
Description
又、下記特許文献3には、溶融スラグ、土、セメント、砂等を用いて雑草の発生を防ぐ法面被覆材の提案もなされている。
なお、本発明者による発明の下記特許文献4には、道路舗装用なので用途は異なっているがアスファルトで骨材を被覆した技術が開示されている。
又、上記特許文献1の如く樹木片で地面を覆う場合には、樹木の材質が軽いので水溜りによる浮き、風雨による吹き寄せ、清掃時の掃き寄せ等によって敷設層の厚みにムラが生じ易く、この結果、部分的に雑草が発生しやすい場所ができてしまうおそれがある。
又、上記特許文献2の如きシートを被覆する場合には、緑地の自然的景観が大きく損なわれ、紫外線などによって合成樹脂製のシート材自体の劣化で破損したり、又強風で捲れたり、又飛来物等による鉤裂きなどの破損が生じることがあり、その破損部分には雑草が発生してしまうおそれがある。更に一旦シートが破損された場合にはその破損箇所の修復が必要となるためその管理が面倒となる。
又、上記特許文献3は、外観が土に近いため植栽場所の土壌面と大きな違和感が生じない反面、その法面被覆材は法面の土壌の流失を防止することが主目的であるのでセメントによって骨材粒子同士を強く結合させて固めるものであるため、新たな樹木等の植え込みや移植の際に、植栽する部分の被覆面を破壊することが必要となる。そして、その工事は被覆面が硬いため樹木等の模様替えによる植物の植え替え作業が困難となってしまうという問題がある。
なお、上記特許文献4の発明は、単に、含まれる油性のアスファルトの成分が植物に対する忌避作用を有することに留意したものであって、そのアスファルト成分で雑草の繁茂の防止を可能とするものであるが、これは後述する粒子間の空隙と粒子表面の撥水性との関係に着眼して雑草に繁茂を防ごうとしたのものではない。
請求項1に記載の防草材の発明にあっては、該防草材が焼成した6号〜7号の粒度の砕石の粒子が総重量割合1〜3wt%のアスファルトの撥水性を有する薄い層で被覆される。
そして、この防草材を地面に敷設すると、その粒子間にはアスファルトの面で囲われて上下左右に連通した空隙が形成される。その空隙は撥水性を有する面で周囲全面が形成されるので、水は敷設層の内部に長時間保持されることなく、アスファルトの撥水面に弾かれつつ速やかに敷設層の下へと通過して行く。
又、層内の粒子に付着した一部の残留水は、撥水性のアスファルトで被覆された砕石の粒子に浸透することができないので小さな水玉となってアスファルトの層の表面に保持され、その水玉は外部に通気した通気路から短時間で空気中に蒸発して消えていく。
一方、前記防草材の敷設層の下面においては、アスファルトの撥水面に阻まれて土壌内の水分は砕石の粒子を伝わって上昇して行くことができず、この結果、敷設層内には土壌内の水分が吸水されなくなる。
このため、該防草材を地面に敷設すると粒子間には殆どアスファルトの材料で空隙が目詰まりを起こすことなく上下に円滑に通水可能とした広い空隙が形成される。
そして、その上に水を流すと、微量の水はアスファルトの撥水面に弾かれて粒子表面に付着することで一部残留するものもあるが、殆どは空隙内に形成された雨水透水路から自重で速やかに敷設層の下側まで落下して行く。
即ち、前記防草材の敷設層上に降った雨水の殆どが速やかに下層の植栽の土壌に吸い込まれ、樹木や草花に自然の水が供給されることとなる。
一方、敷設後はアスファルトの粘性により粒子の移動が抑制され、層の敷設時の状態が長期間維持される。即ち、風雨による粒子の移動や流出を抑え、その間敷設表面層に捕らえられた雑草の種子の土壌側への移動が起こらず、雑草の発芽、成長を有効に抑えることが可能となる。
即ち、本発明でいう「サラサラ感のある状態」とは、常温で多量のアスファルトによって互いがくっ付きあって塊状となることはなく、レイキ等による均し作業が可能な程度に互いの移動が可能な状態であるが、一方、アスファルト本来の若干の粘性は残され、敷設後に風によって飛ばされたり、雨による流出等が抑えられる状態をいう。
施工に当たっては、該シートの上に前記防草材を一定の層厚に加圧せず敷き均すことで、粒子間に形成される空隙を壊さずに敷設層に高い透水性を有する広い空隙を長期間維持させることが可能となる。
本発明の防草材1は、砕石の粒子をアスファルトの層で被覆したものであり、図1に示すように、焼成した6号〜7号の粒度の砕石を対象とし、該砕石の粒子の周囲すべてを被覆して総重量割合1〜3wt%の範囲のアスファルトの層を形成したものである。
該防草材1は、図2に示すように、土壌5面に一定の層厚Hに敷設して使用する。
「砕石」については、日本工業規格院が下記の如きJIS規格でサイズを規定している。
呼び名 S−13(6号)
ふるい目の開き、粒度範囲 13〜5mm
ふるいを通るものの質量百分率
ふるい目の開き 19mm 100%
13.2mm 85〜100%
4.75mm 0〜15%
呼び名 S−5(7号)
ふるい目の開き、粒度範囲 5〜2.5mm
ふるいを通るものの質量百分率
ふるい目の開き 13.2mm 100%
4.75mm 85〜100%
2.36mm 0〜25%
1.18mm 0〜5%
特に本発明で原料として使用するアスファルトはアスファルト以外の成分が殆ど混入されていないストレート・アスファルトが性能の一定している点で最適である。
そして例えば、下記コスモ石油(株)の製品名「60−80ストレート・アスファルト」の使用が可能である。
そのストレート・アスファルトの製品の物性は次の通りである。
軟化点 :49.5°C
伸度(15°C) :100+
密度(15℃)g/cm3 :1.034
動粘度 120°C :931
同上 150°C :212
同上 180°C :71.3
そして、動粘度は120°Cで931、180°Cでは71.3であり、温度が高くなると流動性が高まる傾向がある。
その逆に、その量が3wt%より多くなると、粒子相互のサラサラ感が失われ、ベタ付いて敷き均し作業が困難となってしまう。
即ち、前記アスファルト3の最小配合量の限界は粒子の全てが被覆可能な最小量であり、最大配合量の限界は均し作業の困難性によって定めた量である。
しかも、土壌5面に敷設後は粒子が風雨による移動を抑制され、一旦敷設した層の厚みが長期間保持可能となる。
このような、敷設後の粒子の安定性と、敷設作業の容易性を考慮すると、前記ストレート・アスファルトの総重量割合は2.0wt%の配合量とすることが最適である。
7号に該当しない規格以下の小さい粒子では、粒子間に充分大きな空隙が得られず、そのような小さい粒子を敷き詰めると表面のアスファルトによって撥水性とした粒子により水が弾かれるため水は表面張力で丸く集合し、円滑な空隙通過ができなくなるので好まくはない。
又、鉄道バラス用などの大きな径の砕石の粒子のみでは、粒子間に大きい空隙が得られるがその反面、雑草の種子がその大きな空隙を通過して敷設層の下まで落下してしまい、その種子が土壌の水分及び養分を得て発芽し成長することとなるので好ましくない。
なお、前記砕石2は自然のものなので運搬中に擦れ合って粉状となった粒子が混入することもあるが少量であれば支障となるものではない。
本発明の防草材1の製造は、図3及び図5に示すように、焼成工程、混合工程、冷却工程の工程順に進められる。
炉内の焼成温度は水分を蒸発させて除去するため100°C以上とし、この工程で砕石2の粒子が乾燥状態となる。
又、例えば、焼成炉10の中の温度を160〜180°Cに調節すれば、焼成された砕石2の粒子の表面からは水分がなくなるだけではなく、該砕石2の粒子に付着していた雑草の種子や植物の成長に必要な養分などの有機物が焼却される。
このときの攪拌機内の温度は、アスファルトの流動性を高めるため180°Cとすると、このときのストレート・アスファルトの動粘度は71.3であり、その高い流動性によって、総重量割合1〜3wt%と全体量からみれば少ない量ではあるがアスファルト3が本来撥水性のない砕石2の粒子の表面に薄く全体に万遍なく被覆され、表面に撥水性を備えた粒子となる。
そして、前記冷却工程では、アスファルト3の層で被覆された砕石2を前記攪拌機9から容器内に移して、図3の(ハ)に示すように、それを常温下に置くなどして冷却し、前記アスファルト3の層を固化させる。
なお、原料のアスファルト3には顔料を加えることで、容易に緑色や茶色など任意の色に着色するとも可能である。
その層の上面に水を流すと、アスファルト3の撥水面によって水は弾かれて滞留することなく空隙Sに形成される雨水透水路6を通りそのままストレートに落下する。
この表面に雑草の種子7が飛来した場合、図2に示すように、表面に落下しても土埃と共に表層中のアスファルト3の層で囲われた撥水面の空隙Sに入り込んで、空隙幅が小さく、又アスファルト表面の粘性によって種子が捕らえられ、その下の土壌にまでには落下して行くことはない。
このため、雨水はその雨水透水路6から下に円滑に流れ落ち、雨水の水分は雑草の種子7へは殆ど供給されなくなる。
他方、敷設層の下側では土壌5からの水分が、アスファルト3の層の撥水面に弾かれて上昇できず、水に含まれる養分も敷設層内には入り込まないため、種子7の発芽および成長の条件である水と養分が敷設層内には保持されなくなる。
この結果、土壌5面に雑草が生えなくなり、たとえ生えたとしてもすぐ枯れてしまう。
施工対象場所は、人によって踏み固められる通路ではなく、公園や広場の緑地や道路の植栽帯等の土壌5面である。
その施工は、図6の防草施工方法(1)に示すように、土壌5面に透水性を有するシート4を敷設するシート敷設工程と、そのシート4上に防草材1を敷設する防草材敷設工程とで行われる。
その施工場所において、先ず、図2に示すように、表面が平坦となるよう整地した土壌5の上に前記シート4が敷設される。
本発明で使用する透水性の有るシート4とは、雨水を速やかに透過させることが可能なシート4のことであり、合成樹脂製の布、不織布、合成樹脂製の網目シート等である。紙のように濡れて容易に破れてしまうシート状のものは、表面の平坦性が損なわれる可能性があるので、対象とはしない。
該シート4の上には前記防草材1を雑草の種子7が発芽しない層厚Hで平坦に敷設する。その際、上から加圧せず敷き均すことで、空隙の圧壊が防がれて、粒子間に広い空隙が確保される。
なお、敷設する前記防草材1の層厚は雑草の種子7が発芽しない層厚Hとする。
砕石2の粒子のふるい目の開きの粒度範囲が、6号では13〜5mm、7号では5〜2.5mmであり、13mm〜2.5mmの範囲にあるので、どの粒度の砕石2を使用するかによって最適な敷設層の厚みを選択できる。好適な敷設層の厚みは、例えば、30〜70mmである。
又、層厚はたとえ10cmであっても20cmであっても施工は可能なので、施工の上限は特に定めるものではないが、確実な防草効果が得られればそれ以上厚くする必要がなくなり、同時に、前記防草材1を多く使用すればその材料費や施工手間などの費用が増加するのでその経済性を考慮すると50mmを最適な標準敷設層厚とすることができる。
そして、縁石10との境の土壌5を60mm程度に深く掘り下げ、その上に平坦部の土壌5面と共に前記シート4を敷設し、前記平坦部のシート4の上に前記防草材1を雑草の種子7が発芽しない層厚に敷設し、縁石10との境の掘り下げ部分11のシート4の上には前記防草材1を充填してその上面を前記平坦部と面一に敷設する。
前記平坦部の雑草の種子7が発芽しない層厚については、上記防草施工方法(1)と同様に50mmが最適である。
なお、図4中に符号12は縁石10で隔てられた道路面舗装層12である。
この形態では、縁石10との境の土壌部分に集まった雨水で敷設された前記防草材1の表層の一部が流されたとしても、前記防草材1の厚い層により、雑草の種子7は発芽することができない。このことで、平坦部はもとより雑草が生えやすい縁石10際においても雑草の発生を確実に防ぐことが可能となる。
製造に使用した原料は、砕石2として下記7号の砕石を使用した。
通常砕石は重量比1%程度の水を含んでいる。
製造に当たっては、図5に示すように、焼成工程、混合工程、冷却工程の各工程を順に行った。
図3に示す製造工程では、焼成炉10と攪拌機9とを使用する態様を示したが、本実施例では攪拌と焼成とが可能なバーナーを備えた焼成攪拌機を使用した。
そして焼成工程では、180°Cの温度に設定した焼成攪拌機の中で砕石2を約15分間焼成した。この結果、焼成された砕石2の粒子には水分が殆ど含まれない程度に除去された。
次の、混合工程では、焼成攪拌機内の温度を180°Cに設定したまま、乾燥した砕石2に対して、総重量割合2.0wt%の配合量となるように計量したストレート・アスファルト3を前記焼成攪拌機に入れた。
そして、180°Cの温度のままで砕石2の周囲がアスファルト3の層で被覆されるまで充分に攪拌混合した。攪拌時間は約7分であった。
その後、前記焼成攪拌機から中の粒子を取り出した。
粒子は、アスファルト3の層で砕石2の全表面が水に濡らしたように黒くなり、砕石の粒子は薄く満遍なく被覆されていることを確認した。
そして、次の冷却工程では、前記焼成攪拌機から取り出した粒子を一旦容器に移し入れて常温にて自然冷却させた。
この結果、表面を覆ったアスファルト3が固化され、黒い粒状の防草材1が得られた。
その際、透水性のある厚さ0.3mmの合成繊維製の不織布を用いてこれを先に敷き、その上に前記防草材1を層厚50mmで該防草材1を加圧せずに敷き均した。
前記不織布等の透水性を有するシート4を敷くのは、土壌5の表面を平坦化し、その平坦性を安定的に保持させることと、土壌5中に含まれた水分や養分をシート面で遮断し、その上の前記防草材1の層へはできるだけ届かないようにするためのものである。
雑草の種子7は、図2に示すように、空隙Sの上面開口部付近に留まり、表面から見えない処にまで入ったものもあったが、敷設層を一部崩してみたところ、それらは空隙Sの表層の途中に止まっており、敷設層を下まで通り抜けた種子はなかった。
数ヶ月間そのまま自然に放置しておいたところ、周囲の敷設していない部分の剥き出しの土壌には雑草が成長していたが、防草材1の敷設面には雑草の発生が見られなかった。
砕石に単粒度砕石7号を及びアスファルトにストレートアスファルトを用い、それぞれ単粒度砕石7号を0.144m3、ストレートアスファルトを11.25kgとし、上記実施例に示す製法に従って本発明防草材を製作した。
一方、培土として園芸用黒土を選択し、500×500×210mm(これを1桝)が4列に並ぶ木箱を3個用意し、底に培土を平らに敷設した。該培土の上に前記防草材をa)50mm、b)30mm、c)0mm(無処理)の厚みで平らに敷設した。
対象とする雑草としてメヒシバ、コセンダングサを選択し、それぞれ1枡に対し2グラムの量を混合させて播種した。播種の仕方は、メヒシバ、コセンダングサ、を対象としては、2グラムのうち1グラムづつを表面と下面に分けて播種した。その播種の状況の概略については図8に示した通りである。
施工後1〜2ヶ月毎に発芽状況を観察してその経過を追った。
施工日は平成25年4月中旬に播種し、136日後に生育状況の最終確認をした。
その結果は、下表の通りであった。
一方、7号砕石30mm厚においては、メヒシバでは発芽及び生育がゼロであったが、コセンダングサで中枠に2本、右枠に1本の発芽・生育が観察された。しかし、これも前述の無処理(培土のみ)のメヒシバ23本、コセンダングサ16本と比較すると、平均6.3%の割合であり、ここにおいても本発明に基づく施工の有効性が確認された。
尚、図9における写真は、施工後約60日経過後の上記施工試験結果の状況を示したものである。
2 6号〜7号の粒度の砕石
3 アスファルト
4 透水性を有するシート
5 土壌
6 雨水透水路
7 雑草の種子
8 焼成炉
9 攪拌機
10 縁石
11 掘り下げ部分
12 道路面舗装層
S 空隙
H 防草材の敷設層厚
Claims (2)
- 焼成した6号〜7号の粒度の砕石を対象とし、該砕石の粒子の周囲すべてを被覆して総重量割合1〜3wt%の範囲のアスファルトの層を形成したことを特徴とする防草材。
- 請求項1に記載の防草材を用いた防草施工方法であって、植栽地の土壌の上に透水性を有するシートを敷設し、該シートの上に前記防草材を雑草の種子が発芽しない層厚に敷設することを特徴とする防草施工方法。
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