JP2004182499A - 汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装用骨材およびこれを用いたアスファルト舗装方法 - Google Patents

汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装用骨材およびこれを用いたアスファルト舗装方法 Download PDF

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信夫 加藤
Tatsuo Itoya
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Abstract

【課題】下水汚泥を焼却した汚泥焼却灰から製造した成型焼成体の分級物の微粉を含めた効率的な利用を図る。
【解決手段】汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級して、フィラーの一部または全部として用いる。また、汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものをフィラーの一部または全部として含むアスファルト舗装用骨材を用いて、アスファルトコンクリート層を施工する。また、汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものをフィラーの一部または全部として用いる。汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものを、粗骨材および(または)細骨材の一部または全部として含むと共に、フィラーの一部または全部として含むアスファルト舗装用骨材を用いて、アスファルトコンクリート層を施工する。加えて、アスファルトコンクリート層を、空隙率20〜30%を有する透水性アスファルトコンクリート層としてもよい。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、粗骨材、細骨材およびフィラー等で構成されるアスファルト舗装用骨材に関し、特に、下水処理施設等から排出される汚泥を焼却した汚泥焼却灰を成型加熱して成る焼成体(「成型焼成体」)を粉砕および分級したものをフィラーの一部または全部として用いるアスファルト舗装用骨材およびこれを用いたアスファルト舗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
舗装道路用のアスファルト舗装材は、日本道路協会『アスファルト舗装要綱』に従えば、粗骨材、細骨材およびフィラーとから構成されるアスファルト舗装用骨材に、アスファルト等の瀝青材料を加えたものである。
【0003】
粗骨材とは、4.75mm以上の粒径の砕石等からなる主骨材であり、JIS規格では、道路砕石(JIS A5001) の単粒度砕石として、粒径が5mm〜13mmのもの(S−13)と、粒径が5mm以下のもの(S−5)に分けられている。 細骨材とは、0.075mm〜4.75mmの砂の他、砕石ダストを含んだ骨材である。フィラーとは、篩目0.15mm、篩目0.6mmの通過重量百分率が各々90〜100%、100%であり、石粉が全体の70〜100%を占める。
【0004】
一方、下水道処理施設等から生じる汚泥については、埋め立て処分場の用地確保はますます難しくなってきており、有用廃棄物の積極的な再利用による廃棄物処分量の低減が求められている。
【0005】
本願発明の先行技術としては、例えば、下記の特許文献1があり、下水汚泥焼却灰に水10〜20wt%を添加混練し、これを面圧0.3t/cm
以上で圧縮して適宜の形状の成形体を成形し、この成形体を1,000℃以上の焼成温度で焼成して焼成体とし、この焼成体を粒径0.5〜20mmに破砕・分級する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−262740
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アスファルト骨材に必要な砕石を採掘するには、山を切り崩すなどの大規模な環境破壊を伴うことから、砕石の需要地近郊で新たな採掘地を探すことは困難になりつつある。
【0007】
また、特許文献1に示す開示発明では、下水汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕した後、これを所定粒度に分級して、粗骨材や細骨材を製造するようにしているが、全体の3〜4割はこれらの粒度未満の微紛まで粉砕されてしまい、この微紛の有効利用を検討することなく産業廃棄物として処理しているのが現状であった。
【0008】
【目的】
本願発明は、上記問題に鑑み、下水処理施設等から排出される汚泥を焼却した汚泥焼却灰から製造した成型焼成体を破砕し、所定粒度に会わせて区々分級した後、アスファルト舗装用骨材を構成する各粒度種の配合割合に則り、分級物の微粉を含めた効率的な利用を図ることを目的とした、新規な、汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装用骨材およびこれを用いたアスファルト舗装方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明に係る汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装用骨材およびこれを用いたアスファルト舗装方法は以下のように構成している。
すなわち、第一発明では汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級して、フィラーの一部または全部として用いることを特徴とする。
【0010】
また、第二発明では汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものをフィラーの一部または全部として含むアスファルト舗装用骨材を用いて、アスファルトコンクリート層を施工することを特徴とする。
【0011】
さらに、第三発明では汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級して、粗骨材および(または)細骨材の一部または全部として用いるアスファルト舗装用骨材において、汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものをフィラーの一部または全部として用いることを特徴とする。
【0012】
加えて、第四発明では汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものを、粗骨材および(または)細骨材の一部または全部として含むと共に、フィラーの一部または全部として含むアスファルト舗装用骨材を用いて、アスファルトコンクリート層を施工することを特徴とする。
【0013】
さらに加えて、第五発明では、第二発明または第四発明におけるアスファルトコンクリート層を、空隙率20〜30%を有する透水性アスファルトコンクリート層としたことを特徴とする。透水性アスファルトコンクリート層は寿命と透水性能を考慮して空隙率20〜30%が一般的に採用されており、この範囲内の空隙率を有する透水性アスファルトコンクリート層に本願発明を適用できれば、十分な透水性能が発揮される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本願発明に係る汚泥焼却灰を成型焼成して得られるアスファルト舗装用骨材およびこれを用いたアスファルト舗装方法の具体的実施形態例について説明する。
まず、下水処理施設等から排出される汚泥を焼却炉にて焼却し、得られた汚泥焼却灰を成型プレス機により圧縮して所定形状の成型体とした。次に、この成型体を1000℃以上の温度で加熱して一定時間焼成することで重金属類が溶出しない成型焼成体を得た。続いて、得られた成型焼成体を適宜既存の手法や装置で破砕し、これら粉砕物を各粒度範囲の篩いにより分級して、粗骨材および細骨材とすると共に、粗骨材および細骨材として分級した後の微粉末についてはフィラー材として留保しておき有効利用を図る。
【0015】
なお、成型焼成体から得た骨材は、アスファルト舗装要綱3−5−2の砕石の代表的な物性値である表乾比重、吸水率、すりへり減量について、汚泥焼却灰の溶融スラグと比較する材料試験を行った結果を表1に示す。
この材料試験結果から、汚泥焼却灰の成型焼成体はアスファルト舗装要綱3−5−2の砕石と同等の骨材物性であることが確認された。したがって、舗装要綱の物性をほぼ満たす成型焼成体は、粗骨材、細骨材およびフィラーを構成する砕石や砂などの一部または全部と置き換えが可能である。
【0016】
ここで、フィラーについては、粗骨材や細骨材の隙間を埋めることでアスファルト舗装の荷重安定性や熱安定性を高める等の役割があるため特に重要であるが、汚泥焼却灰の成型焼成体の微粉末はその物性値からフィラーとしての使用が可能であることが判明した。
【0017】
次に、砕石、砂、石粉などからなる砕石系の従来骨材と、上記で製造した粗骨材、細骨材およびフィラーを組み合わせて路盤上にアスファルト舗装を行い、実際のアスファルト舗装とした場合の評価を行った。なお、ここで適用するアスファルト舗装の施工における基本的手順は従来工法と同様である。
【0018】
[実施例1]
粗骨材、細骨材の全量を砕石系の従来骨材とし、汚泥焼却灰の成型焼成体の微粉末をフィラーの全量として用い、アスファルトを加えて路盤上にアスファルト層を施工した。
【0019】
[実施例2]
粗骨材、細骨材およびフィラーの各々半量を砕石系の従来骨材とし、残りの半量については汚泥焼却灰の成型焼成体から得た粗骨材、細骨材およびフィラーを用い、アスファルトを加えて路盤上にアスファルト層を施工した。
【0020】
[実施例3]
粗骨材、細骨材およびフィラーの各々全量を汚泥焼却灰の成型焼成体から得た粗骨材、細骨材およびフィラーとし、アスファルトを加えて路盤上にアスファルト層を施工した。
【0021】
[実施例4]
粗骨材、細骨材およびフィラーの各々全量を、汚泥焼却灰の成型焼成体から得た粗骨材、細骨材およびフィラーとし、アスファルトを加えて路盤上に透水アスファルト層を施工した。透水アスファルト層の空隙率を24%程度であった。
【0022】
[比較例1]
粗骨材、細骨材およびフィラーの各々全量を砕石系の従来骨材とし、アスファルトを加えて路盤上にアスファルト層を施工した。
[比較例2]
粗骨材、細骨材およびフィラーの各々全量を砕石や砂などからなる従来骨材を用い、アスファルトを加えて路盤上に透水アスファルト層を施工した。透水アスファルト層の空隙率を26%程度であった。
【0023】
[結果考察]
表2には、上記実施例における骨材毎の砕石系および汚泥系の混合率を比較例とともに示す。表3には、上記実施例で施工したアスファルト舗装の試験結果について比較例と比較した結果を示す。
実施例1〜3については、アスファルト層の耐流動性の指標である動的安定度を示すホイールトラッキング試験、アスファルト層の破壊強度の最大荷重および変形量を示すマーシャル試験について、比較例1と同等の試験結果を得ることができた。実施例4については比較例2と同等のホイールトラッキング試験およびマーシャル試験の結果であり従来の透水舗装と同等の舗装強度を示した。また、実施例4および比較例2では、透水性アスファルトコンクリート層として一般的な空隙率20〜30%としたが、十分な透水性能を有していた。
【0024】
したがって、従来骨材または成型焼成体から得た粗骨材、細骨材によらず、フィラーの一部または全部を、汚泥焼却灰の成型焼成体から得た微粉末に置き換えることが可能である。
【0025】
また、施工方法は人力、機械式のいずれも採用可能であり、施工対象は歩道と車道の双方に適用可能である。加えて、骨材自体が茶系色であるため脱色アスファルトと組み合わせることで着色材等を用いることなく茶系カラー舗装を施工することも容易にできる。
さらに、本願発明のアスファルトに蓄光材を添加して施工するか施工後に蓄光材を塗布することで、街灯がない夜道でも識別が容易となる。
【0026】
【効果】
以上述べたように、本願発明によれば、吸水率、すり減り減量、硬度等において、砕石と同等の骨材物性を有しており、粗骨材、細骨材、さらに従来産業廃棄物として処分せざるを得なかった微粉材をフィラーとして有効に利用することが可能である。これにより、舗装骨材を大量かつ安価に提供できると共に、透水舗装や排水舗装にも対応可能であり、施工性においても砕石と何ら変わるところがない。さらに、骨材自体が茶系色であるため着色材等を用いることなく茶系カラー舗装を施工することも容易にできる。加えて、本願発明のアスファルト骨材に蓄光材を添加して施工するかアスファルト舗装施工後に蓄光材を塗布することで夜間の識別が容易となる。特に、災害等による夜間停電が生じて街灯が消えた場合であっても避難誘導路として機能して地域住民を避難所まで安全に誘導することが可能となる。
【0027】
このように、成型焼成体の粉砕物の効率的利用としては、従来汚泥焼却灰の再利用を模索すべくブロック状の成型焼成体を製造していたが、目立った利用促進が図られていない現状において、さらなる再利用と大量消費が図られる本願発明は、資源の有効利用と再利用という社会的要求にも十分応えるものであり、その産業上の利用性は極めて顕著なものである。
【表1】
Figure 2004182499
【表2】
Figure 2004182499
【表3】
Figure 2004182499

Claims (5)

  1. 汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級して、フィラーの一部または全部として用いることを特徴とする汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装用骨材。
  2. 汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものをフィラーの一部または全部として含むアスファルト舗装用骨材を用いて、アスファルトコンクリート層を施工することを特徴とする汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装方法。
  3. 汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級して、粗骨材および(または)細骨材の一部または全部として用いるアスファルト舗装用骨材において、
    汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものをフィラーの一部または全部として用いることを特徴とする汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装用骨材。
  4. 汚泥焼却灰の成型焼成体を破砕および分級したものを、粗骨材および(または)細骨材の一部または全部として含むと共に、フィラーの一部または全部として含むアスファルト舗装用骨材を用いて、アスファルトコンクリート層を施工することを特徴とする汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装方法。
  5. アスファルトコンクリート層を、
    空隙率20〜30%を有する透水性アスファルトコンクリート層としたことを特徴とする請求項2または4記載の汚泥焼却灰の成型焼成体を利用したアスファルト舗装方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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