JP4389041B2 - 挿苗機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、イグサ等の苗を育苗用の苗床に挿し込む挿苗機に関する。
【0002】
【従来の技術】
イグサの栽培に際しては、苗圃場での育苗と苗箱での育苗を交互に複数回繰り返して、分蘖による増株を行う。そして、元の親株に対し約20倍程度に分蘖させてから、適正時期(通常11月頃)に本田に移植する。上記イグサの栽培過程において、一株づつに株分けした苗を苗箱へ育苗ポットに植え替える作業を、従来はすべて人手で行っていた。しかしながら、苗床としての苗箱は小さな育苗ポットがほとんど隙間なく密に配置されているので、この育苗ポットの中心部に苗を正確に挿し込むのは難しく、作業能率が悪かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、正確かつ能率よく挿し苗を行える挿苗機の開発が待望されているが、この挿苗機はなるべく簡単な構成で、狭いスペースにも設置できることが望ましい。また、苗の姿勢が乱れないようにして挿し苗でき、かつ挿し苗する苗の補給を容易に行えるようにすることが望ましい。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明にかかる挿苗機は、苗を苗床に挿し込む挿苗機であって、苗を所定の挿苗位置まで供給する苗供給装置と、苗床を前記挿苗位置まで供給する苗床供給装置とを備え、前記挿苗位置において前記苗供給装置の苗供給路と前記苗床供給装置の苗床供給路とが互いに上下に重複するように設けられるとともに、前記苗供給装置の苗収容部により供給される苗を把持する把持ハンドが設けられ、該把持ハンドで苗を把持して該把持ハンドの下降により前記苗収容部から苗を下方へ取り出し、該把持ハンドが苗床の搬送方向上手側から下手側に移動した後苗床に挿し込むように構成されていることを特徴としている。
【0005】
上記構成においては、前記挿苗位置において前記苗供給装置の苗供給路と前記苗床供給装置の苗床供給路とが平面視で互いに交差しており、前記把持ハンドの下側位置には、苗把持時に苗の姿勢を固定するガイドプレートが設けられているのが好ましい。
また、前記苗収容部は、左右方向に並べて配置されるとともに、上端部が広く形成され、その上端開口部が各苗収容部ごとに交互に前後位置をずらせて偏位しており、さらに前記把時ハンドには、苗を把持するための左右一対のフィンガアームが数組設けられ、これら数組のフィンガアームが各苗を把持するように構成されているのが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面に表された本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1乃至図4に示す挿苗機1は、苗を保持した苗カートリッジ6を所定の挿苗位置Aへ供給する苗供給装置2と、苗床としての苗箱7を前記挿苗位置Aへ供給する苗箱供給装置(苗床供給装置)3と、前記挿苗位置Aで苗カートリッジ6から苗を取り出して苗箱7の育苗ポット内に挿し込む挿苗装置4とを備えている。
【0007】
この挿苗機1に使用される苗カートリッジ6は、図5に示すように、苗一株づつ収容することのできる8つの苗収容部61,…が苗箱の育苗ポットの間隔に対応する間隔で左右方向に並べて配置された苗収容体62を備えている。苗収容部61,…は交互に前後に位置をずらしてある。各苗収容部61は上部が広くなった漏斗状で、その上端開口部は、各苗収容部61ごと交互に苗収容部の列L1,L2を挟んで反対側に偏位していると共に、偏位方向が前記列L1,L2に対し斜めになっている。苗収容部61,…の形状を上記のようにすることにより、同じ大きさの苗収容体62に形成される苗収容部61,…の上端開口部を広くすることができ、該苗収容部への苗の補給が容易になる。苗収容体62の上端部前後両側には、後記チェーンコンベヤ11,12のチェーンに支持される支持部63,63が形成されている。また、その前後内側には、後記吊下げ体15,21が下側から係合する係合部64,64が形成されている。
【0008】
苗収容体62の下方には、左右方向の軸65,65に回動自在に支持された下端位置決め体66が設けられている。この下端位置決め体66は、スプリング67によって付勢されて常態では苗収容体62の直下に位置しているが、後述する退避アクチュエータ57がピン68を押すことにより、図5(c)で鎖線で示す位置まで退避させられるようになっている。
【0009】
次に、この挿苗機1に使用される苗箱を図6及び図7に示す。苗箱7は、プラスチック製の可撓性を有するもので、複数の育苗ポット71,…が縦横に所定の間隔で並び、各ポット同士を開口部側で互いに連結している。苗箱の左右中央部にはポットとポットの間隔が広い広間隔部72が設けられ、この広間隔部を挟んで各ポットは同数づつの2群に分かれている。育苗ポットの底部には、水抜きと苗取り出しのための切れ目73が形成されている。符号75の角孔は、苗移植機で間欠送りする時に使用されるもので、ポット71,…の長手方向の間隔に合わせて設けられている。
【0010】
苗供給装置2は、一対のチェーンで前記支持部63,63を下から支持する状態で苗カートリッジ6を搬送するチェーンコンベヤ11,12が前後並列に2組設けられている。一方は供給コンベヤ11で、苗カートリッジ6を図1及び図2における右方向に搬送する。他方は戻しコンベヤ12で、苗カートリッジ6を図1及び図2における左方向に搬送する。両コンベヤ11,12の近傍には、それぞれのコンベヤ用の非常停止スイッチ13,14が設けられている。
【0011】
供給コンベヤ11の搬送終端部から戻しコンベヤ12の搬送始端部へ、苗カートリッジ6の係合部64,64に下側から係合して苗カートリッジ6を吊り下げることのできる第一吊下げ体15によって苗カートリッジ6を移載するようになっている。この第一吊下げ体15は、昇降アクチュエータ16により昇降、及び前後移動アクチュエータ17により前後移動させられる。
【0012】
また、戻しコンベヤ12の搬送終端部から供給コンベヤ11の搬送始端部へ、前記第一吊下げ体15と同様の第二吊下げ体21によって苗カートリッジ6を移載するようになっている。この第二吊下げ体21は、昇降アクチュエータ22により昇降、及び前後移動アクチュエータ23により左右移動させられる。
【0013】
供給コンベヤ11及び戻しコンベヤ12によって複数の苗カートリッジ6,…が連なる状態で搬送されている。供給コンベヤ11によって搬送される苗カートリッジ6が該コンベヤの搬送終端部に到達すると、その苗カートリッジ6の係合部64,64が供給コンベヤ11の搬送終端部で待機している第一吊下げ体15に嵌り込む。その状態で第一吊下げ体15が少し上昇し、苗カートリッジ6を吊り下げる。次いで、第一吊下げ体15が後進するとともに下降して、苗カートリッジ6を戻しコンベヤ12の搬送始端部に移載する。
【0014】
戻しコンベヤ12の搬送始端部に載置された苗カートリッジ6は、当該コンベヤの搬送終端部まで搬送される。ここで、苗カートリッジ6の係合部64,64が戻しコンベヤ12の搬送終端部で待機している第二吊下げ体21に嵌り込む。その状態で第二吊下げ体21が少し上昇し、苗カートリッジ6を吊り下げる。そして、吊下げ体21が前進するとともに下降して、苗カートリッジ6を供給コンベヤ11の搬送始端部に移載する。
【0015】
上記動作を繰り返すことにより、苗カートリッジ6は供給コンベヤ11の搬送路と戻しコンベヤ12の搬送路を循環移動する。そして、供給コンベヤ11により苗カートリッジ6が挿苗位置Aまで搬送される間に、人手により苗カートリッジ6の各苗供給部61,…に苗が一株づつ補給される。苗供給部61は上側に漏斗状であるので、苗補給を行いやすい。戻しコンベヤ12で搬送される苗カートリッジ6に苗を補給してもよい。苗の入った苗カートリッジ6が挿苗位置Aまで移動すると、挿苗装置4が後述する方法で苗カートリッジ6の各苗供給部61,…から苗を取り出す。
【0016】
苗箱供給装置3は、長手方向が前後を向く状態に苗箱7を載せ、育苗ポットのピッチ分づつ間欠的に苗箱を搬送するようになっている。苗箱供給装置3は、挿苗位置Aにおいて苗供給装置2の下側で、これと平面視で直角に交わるように設けられている。必要に応じて、空の苗箱を苗箱供給装置3に搬入する搬入コンベヤ31と、挿苗された苗箱を苗箱供給装置3から搬出する搬出コンベヤ32とが設置される。
【0017】
挿苗装置4は、苗カートリッジ6に収容されている苗を苗箱7に挿苗するための把持ハンド41を備えている。この把持ハンド41は、挿苗位置Aの後側にあり、全体が昇降アクチュエータ43により昇降、かつ前後移動アクチュエータ45により前後移動させられるようになっている。
【0018】
把持ハンド41には、苗を把持するための左右一対で1組のフィンガアーム47L,47R,…が苗カートリッジ6の苗供給部61と同数組設けられている。各フィンガアームの内面部にはゴム等のクッション材48が取り付けられている。左側のフィンガアーム47L,…を支持する支持体、及び右側のフィンガアーム47R,…と支持する支持体はそれぞれ別の開閉アクチュエータ49L,49Rに取り付けられており、両開閉アクチュエータが互いに逆向きに作動することでフィンガアームが開閉するようになっている。
【0019】
また、把持ハンド41には、フィンガアーム47L,47R,…の下側位置に、把持ハンド41とは別に設けた前ガイドプレート52と対になって苗把持時に苗の姿勢を固定する後ガイドプレート51が設けられている。この後ガイドプレート51は、一対のフィンガアーム47L,47Rの間に苗を導くように先端が平面視で鋸刃状になっている。前ガイドプレート52は上下2枚で1組となっており、前後移動アクチュエータ54により前後移動可能に設けられている。
【0020】
また、挿苗位置Aの上方には、苗頭部押えシリンダ55によって上下動させる苗頭部押え板56が設けられている。さらに、挿苗位置A近傍の適正位置に、苗カートリッジ6の下端位置決め体66を退避位置へ退避させるための前記退避アクチュエータ57が設けられている。
【0021】
次に、挿苗装置4の動作について説明する(図8、図9参照)。
供給コンベヤ11によって搬送される苗カートリッジ6が挿苗位置Aまで移動してくると、苗頭部押え板56が苗カートリッジ6の上面に当接もしくは当接する寸前まで下降する(図8a)。これにより、葉が曲がっていたり、横に伸びた地下茎が存在する等の理由により苗Nが苗供給部61の途中に引っかかっている場合、当該苗の上端を苗頭部押え板56が上から押え、苗を下端が下端位置決め体66に当接するまで押し込む。
【0022】
次いで、苗カートリッジ6に対応する所定の高さで待機していた把持ハンド41が突出すると共に、前ガイドプレート52が突出し、把持ハンド41の後ガイドプレート51と前ガイドプレート52とで苗N,…の苗収容部61,…から下方に出ている部分を把持する(図8b)。このとき、後ガイドプレート51の鋸刃状の谷の部分に各苗が嵌合し、苗の前後位置及び左右位置が位置決めされる。また、後ガイドプレート51の上下に2枚の前ガイドプレート52が位置し、苗の姿勢が乱れないように固定される。この状態で、フィンガアーム47L,47R,…が閉じ、各苗を把持する。
【0023】
さらに、前ガイドプレート52が後退した後、退避アクチュエータ57が作動して、下端位置決め体66を苗の下端を下側から支えない位置(図3において鎖線で示す)へ退避させる(図8c)。そして、昇降アクチュエータ43が作動して把持ハンド41が下降し、苗カートリッジ6の各苗収容部61から苗を下方に取り出す(図8d)。このように、苗の葉茎の伸長方向に沿って苗を取り出すので、苗に無理な力がかからず苗が傷まない。
【0024】
苗を把持した把持ハンド41は、苗の下端が苗箱搬送装置3で搬送される苗箱7の上面よりも少しだけ上位となる高さまで下降する(図9a)。次いで、把持ハンド41が前進(図9b)した後、少し下動して把持している苗N,…を苗箱7の左右一列の育苗ポット71,…内に挿し込む(図9c)。把持ハンド41は苗箱搬送上手側から下手側へ移動するので、把持ハンド41が既に挿苗されている苗と干渉しない。フィンガアーム47L,47R,…が開いて苗N,…を解放した後、把持ハンド41は後退してから(図9d)、初期位置へ戻る。
【0025】
以上の各動作は図示しない制御装置で制御されている。苗カートリッジ6に苗を補給する作業者の人数、経験、疲労度等に応じて、各部の作動速度を任意に調節することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明にかかる挿苗機は、苗供給装置で供給される苗を苗床供給装置で供給される苗床に挿苗位置で挿苗するように構成することにより、挿し苗を正確かつ能率よく行えるようにしたものであり、前記挿苗位置において前記苗供給装置の苗供給路と前記苗床供給装置の苗床供給路とを互いに上下に重複させることにより、苗供給装置から苗床搬送装置までの苗の移動距離を短くできるので、構成が簡略で、狭いスペースにも設置可能となる。また、請求項2に記載のように、ガイドプレートを設けることにより、把持ハンドが苗を把持するとき、苗の姿勢が乱れないようにすることができる。さらに、請求項3に記載のように、苗収容部の上端部を広く形成することにより、苗収容部への苗の補給が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】挿苗機の正面図である。
【図2】挿苗機の平面図である。
【図3】挿苗機の側面図である。
【図4】挿苗装置の平面図である。
【図5】苗カートリッジの(a)正面図、(b)平面図、及び(c)側面図である。
【図6】苗箱の平面図である。
【図7】図6の(a)A1矢視図、及び(b)A2矢視図である。
【図8】苗カートリッジから苗を取り出す工程を示す説明図その1である。
【図9】苗カートリッジから苗を取り出す工程を示す説明図その2である。
【符号の説明】
A 挿苗位置
1 挿苗機
2 苗供給装置
3 苗箱搬送装置
4 挿苗装置
6 苗カートリッジ
7 苗箱(苗床)
11 供給コンベヤ
12 戻しコンベヤ
41 把持ハンド
Claims (3)
- 苗を苗床に挿し込む挿苗機であって、苗を所定の挿苗位置まで供給する苗供給装置と、苗床を前記挿苗位置まで供給する苗床供給装置とを備え、前記挿苗位置において前記苗供給装置の苗供給路と前記苗床供給装置の苗床供給路とが互いに上下に重複するように設けられるとともに、前記苗供給装置の苗収容部により供給される苗を把持する把持ハンドが設けられ、該把持ハンドで苗を把持して該把持ハンドの下降により前記苗収容部から苗を下方へ取り出し、該把持ハンドが苗床の搬送方向上手側から下手側に移動した後苗床に挿し込むように構成されていることを特徴とする挿苗機。
- 前記挿苗位置において前記苗供給装置の苗供給路と前記苗床供給装置の苗床供給路とが平面視で互いに交差しており、前記把持ハンドの下側位置には、苗把持時に苗の姿勢を固定するガイドプレートが設けられている請求項1に記載の挿苗機。
- 前記苗収容部は、左右方向に並べて配置されるとともに、上端部が広く形成され、その上端開口部が各苗収容部ごとに交互に前後位置をずらせて偏位しており、さらに前記把時ハンドには、苗を把持するための左右一対のフィンガアームが数組設けられ、これら数組のフィンガアームが各苗を把持するように構成されている請求項1または2に記載の挿苗機。
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