JP2002034349A - 苗株挿方法、及び苗株挿装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 育苗ポットを配列した育苗器に苗を高能率に
株挿する。 【解決手段】 育苗ポットを縦横に配列した育苗機２を
搬送しながら、各育苗ポットへの土詰め、及び浸水を行
わせ、この浸水後の各育苗ポットの浸水床土に株挿装置
３により苗の株挿を行うことを特徴とする苗株挿方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、苗株挿方法、及
び苗株挿装置に関し、主としてい草苗の株挿として利用
できる。

【０００２】

【従来の技術】い草苗を育苗器の各育苗ポットに株挿し
たのちに土詰する技術が知られている（特開平９ー９７
９２号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】苗株挿では、育苗器の
各育苗ポット内に株挿しされた苗株の安定を高めること
が重要である。このため育苗器の各育苗ポットでの苗株
の付着性を良くするために、育苗ポットの床土を浸水さ
せて適度の粘性を与えて、苗株の株挿抵抗を与え、付着
性を高めて、支持姿勢を安定に維持させて、機械的株挿
の能率を高めようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、育苗ポット１を搬送しながら、各育苗ポット１への
土詰め、及び浸水を行わせ、この浸水後の育苗器２の各
育苗ポット１へ株挿装置３により苗の株挿を行うことを
特徴とする苗株挿方法とする。

【０００５】請求項２に記載の発明は、前記浸水後は、
この育苗ポット１内の浸水床土の水を滲出させたのちに
株挿を行わせることを特徴とするものである。請求項３
に記載の発明は、育苗ポット１を土詰めコンベア４の始
端部に繰出する育苗器繰出装置５この土詰コンベア４で
搬送される育苗器２の育苗ポット１に床土を供給する土
詰装置６、この土詰めされた育苗器２を搬送しながら浸
水する浸水装置７、この浸水後の育苗器２の各育苗ポッ
ト１の苗株を株挿する株挿装置３とからなる苗株挿装置
の構成とする。

【０００６】請求項４に記載の発明は、前記浸水装置７
は、浸水コンベア８で搬送する育苗ポット１を、水槽９
内の貯水に浸漬させながら、上部の灌水装置１０による
灌水を行わせることを特徴とするものである。請求項５
に記載の発明は、前記浸水装置７と株挿装置３との間に
は、育苗ポット１を搬送しながらこの育苗ポット１内の
床土から水を滲出させる水切コンベア１１を設けたこと
を特徴とするものである。

【０００７】

【発明の効果】請求項１に記載の発明は、育苗ポット１
は搬送されながら該育苗ポット１内への土詰め、及び浸
水が行われて、この浸水後の育苗ポット１内の浸水床土
に株挿装置３による株挿が行われるため、高能率の株挿
が行われると共に、育苗ポット１の床土は浸水によって
軟くなっているために、株挿された苗株の支持が安定し
易く、株挿が容易であり、折損等を生じ難く、的確な株
挿を行わせることができる。

【０００８】請求項２に記載の発明は、前記育苗ポット
１内の浸水床土は余分な水が滲出された後ちに株挿され
るため、泥土状態の減水によって土締りを生じ易くし
て、株挿された後ちの苗株の姿勢支持が行われやすく、
株挿装置３による株挿を的確に行い安定させることがで
きる。

【０００９】請求項３に記載の発明は、育苗ポット１で
は浸水によって軟くした状態で株挿を行い易くすること
ができ、株挿された苗株はこの育苗ポット１内の浸水床
土で直ちに支持されて、安定した的確な株挿を行わせる
ことができ、しかもこの育苗ポット１が縦横に配列され
ているため、株挿装置３による株挿を的確で高速に行わ
せることができ高能率の株挿を図ることができる。

【００１０】請求項４に記載の発明は、浸水コンベア８
で搬送する育苗ポット１を水槽９の貯水に浸漬させて底
部浸水させると共に、上部の灌水装置１０による上部灌
水するもので、育苗ポット１内の浸水床土は、底部と上
部との両面から浸水されて、速かに行われるため、育苗
ポット１内の床土の移動を少くして安定した浸水を行わ
せることできる。又、この浸水コンベア８の速度によっ
て床土に対する浸水の状態を適度に設定することができ
る。

【００１１】請求項５に記載の発明は、浸水装置７と株
挿装置３との間の水切コンベア１１によって、浸水直後
の育苗ポット１を搬送することによって、育苗ポット１
内の浸水床土から一部の水を簡単に自然に滲出させるこ
とができ、株挿乃至苗株支持を安定させるに適する床土
の土締りを得ることができ、的確な株挿を行わせること
ができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】この発明は、苗株を育苗器の育苗
ポットに株挿して移植するもので、特にい草苗の育苗に
好適に利用しうる。この発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。

【００１３】請求項１に記載の発明は、育苗ポット１を
縦横に配列した育苗機２を搬送しながら、各育苗ポット
１への土詰め、及び浸水を行わせ、この浸水後の各育苗
ポット１の浸水床土に株挿装置３により苗の株挿を行う
ことを特徴とする苗株挿方法として、高能率の株挿を行
わせると共に、株挿された苗株の支持を安定し易くし、
株挿を容易にして、苗株の折損を少くし、的確な株挿を
行わせる。さらに、請求項２に記載の発明では、前記浸
水後は、この育苗ポット１内の浸水床土の水を一部滲出
させたのちに株挿を行わせることを特徴とするもので、
育苗ポット１内の浸水床土は、泥土状態の減水によって
土締りを生じ易くして、株挿された後ちの苗株の姿勢支
持性をよくし、株挿を的確に行い、安定させることがで
きる。

【００１４】請求項３に記載の発明は、育苗ポット１を
縦横に配列した育苗器２を供給コンベア４の始端部に繰
出する育苗器繰出装置５この供給コンベア４で搬送され
る育苗器２の育苗ポット１に床土を供給する土詰装置
６、この土詰めされた育苗器２を搬送しながら浸水する
浸水装置７、この浸水後の各育苗ポット１の浸水床土に
苗株を株挿する株挿装置３とからなる苗株挿装置の構成
であり、育苗ポット１での株挿を行い易くし、株挿姿勢
を安定させて支持でき、育苗ポット１の整列配置と相俟
って、株挿装置３による株挿を的確で高速に行わせる。
又、請求項４に記載の発明は、前記浸水装置７は、浸水
コンベア８で搬送する育苗器２を、水槽９内の貯水に浸
漬させながら、上部の灌水装置１０による灌水を行わせ
ることを特徴とするもので、育苗器２を浸水コンベア８
で水槽９内を搬送させながら、育苗ポット１の底部と上
部とからの両面から床土に浸水させて、速かに浸水し、
床土の移動を少くして安定した浸水を行わせる。更に、
請求項５に記載の発明は、前記浸水装置７と株挿装置３
との間には、育苗器２を搬送しながらこの育苗ポット１
内の床土から水を 出させる水切コンベア１１を設けた
ことを特徴とするもので、育苗ポット１内の浸水床土の
水の一部を簡単に自然に滲出させることができ、株挿乃
至苗株支持を安定させるに適する床土の土締りを得るこ
とができ、的確な株挿を行わせることができる。

【００１５】ここに、育苗器２は、合成樹脂材等によっ
て小径の育苗ポット１を縦横に整列して配置形成したも
ので、矩形状育苗箱形態に構成される。この各育苗ポッ
ト１は底部にスリット状の底穴１２が形成されて、内部
には土詰装置６による床土を充填しうると共に、浸水時
にはこの底穴１２から浸水させると共に水切時には滲出
させることができ、又、育苗時の根毛を伸出させること
ができる。

【００１６】供給コンベア４の始端部の育苗器繰出装置
５は、このような育苗器２を積載しておき、下段部から
一箱毎供給コンベア４上に繰出すことができ、連続して
土詰装置６側へ搬送供給できる。土詰装置６は、床土を
収容するホッパー１３の底部に土詰ベルト１４を有し、
この土詰ベルト１４の回転によって床土を繰出して、供
給コンベア４を搬送される育苗器２の各育苗ポット１内
に床土を充填するものである。

【００１７】前記水槽９は、この供給コンベア４の下手
側にあって、浸水用の水を貯留し、該供給コンベア４か
ら送出される育苗器２を受継して搬送する浸水コンベア
８を有する。又、この搬送途中には灌水用のノズルから
なる灌水装置１０が設けられて、育苗器２の上面から灌
水する。この浸水コンベア８で搬送される育苗器２は底
面を貯留水に浸漬させて、育苗ポット１内の床土は、底
穴１２から浸水させると共に、上側からは灌水装置１０
による灌水を受けさせるものである。

【００１８】前記水切コンベア１１は、該浸水コンベア
８から送り出された育苗器２を受継続して株挿装置３へ
搬送させるもので、この水切りコンベ１１上を搬送され
る間に、浸水された床土から底穴１２を経て一部の水を
自然滲出させて、泥土状態の浸水床土を適度の締り状態
にすることができる。又、この水切コンベア１１の長
さ、搬送速度等をこの水切りに適合させるように調節で
きる構成とするとより好適である。

【００１９】前記育苗器２は、左右両側の側縁１５に沿
って一定間隔の送穴１６を形成し、前記供給コンベア４
や浸水コンベア８等には、この送穴１６に係合して回転
するスプロケット（図面省略）を設けて、このスプロケ
ットの回転によって育苗器２を正確に搬送しうる構成と
することができる。

【００２０】前記水槽９での浸水コンベア８は、一定間
隔にラグ１７を有した無端ベルトからなり、この下側に
は育苗器２の側縁１５等を支持して摺動搬送させるガイ
ドレール１８を有する。１９はこの貯水の水位を保つた
めのオーバフローパイプである。２０はこれら各コンベ
ア４，８を伝動するモータである。

【００２１】前記株挿装置３は、水切コンベア１１から
搬送される育苗器２を受継して搬送する株挿コンベア２
１を有し、間歇的に育苗器２を搬送して、この各間歇的
停止時には、上方の株挿装置３によるい草苗Ａの苗八株
分を一条として育苗ポット１へ株挿できる。全育苗ポッ
ト１に株挿を完了した後の育苗器２は、株挿コンベア２
１の後端からはこれに接続のコンベア等に受継させる。

【００２２】前記株挿装置３は、該株挿コンベア２１の
上方を直交方向に設けられる苗供給コンベア２２，２３
と、この株挿コンベア２２で搬送される苗漏斗２４によ
って供給される苗株を把持して下方で停止している育苗
器２に株挿する株挿ハンド２５と等から構成される。各
苗漏斗２４は八株の苗株を並べて収容し、この株挿ハン
ド２５は育苗ポット１の幅方向の株数八株分を同時に保
持する八基の把持フィンガ２６を有して、各把持フィン
ガ２６で各対向の苗漏斗２４から把持した八株分の苗株
を同時に一列条の育苗ポット１に株挿することができ
る。

【００２３】前記のように苗供給コンベア２２によって
搬送される苗漏斗２４は、苗Ａを八株分毎収容しうるも
ので、各苗株を収容する毎の漏斗の底部にはこの収容苗
株を落下できる開口２７を形成して、下方に開閉するシ
ャッター２８を有する。この開口２７は各苗漏斗２４毎
に八株分が前記育苗器２の育苗ポット１の横列条に沿う
ように整列形成される。該シャッター２８はこの八株分
の開口２７全体を同時に開放し、又閉鎖できる。このシ
ャッター２８は伸縮シリンダーからなるアクチュエータ
２９によって開かれ、復帰ばね（図面省略）によって閉
じられる。

【００２４】このように苗漏斗２４は、苗供給コンベア
２２上を株挿装置３側へ搬送されて、苗株が株挿ハンド
２５により株挿されると空になって、他側の苗供給コン
ベア２３上に載替えられて、反対側へ送返えされる。こ
れら苗供給コンベア２２，２３上の空の苗漏斗２４には
苗株が人手、又は機械的に補給されて、再び株挿装置３
側へ搬送供給される。

【００２５】前記株挿ハンド２５は、先端部に八株分の
苗株を一株毎に把持する把持フィンガ２６を有するが、
これらの各把持フィンガ２６は、各開口２７部と下側の
シャッター２８との間の間隔部に後側から介入して把持
するように構成される。この苗把持を正確に行わせるた
めに、苗漏斗２４の上側には、苗押板３０がアクチュエ
ータ３１でタイミングよく下動されるように設けられ
て、シャッター２８に正確に苗株を接当させ、把持フィ
ンガ２６による把持位置を一定させる。

【００２６】又、この株挿ハンド２５には、把持フィン
ガ２６による把持域に苗株を正確に案内するためのＶ字
形態の案内縁３１を形成した案内板３２を有する。この
前側にはアクチュエータ３３によって前後動される上下
二段の位置決プレート３４が設けられて、株挿ハンド２
５が保持するときの苗株を前側から支持して、苗株の把
持を正確に行わせるものである。

【００２７】前記株挿ハンド２５は、把持フィンガ２６
と案内板３２とを一体として前後方向及び上下方向へ移
動させるために、前後アクチュエータ３５と上下アクチ
ュエータ３６とを有する。そして、苗漏斗２４内の苗株
を把持する行程では、前後アクチュエータ３５の伸縮作
動で前後移動され、この各把持フィンガ２６で把持した
苗株を下部の育苗ポット１内へ株挿するときは上下アク
チュエータ３６の伸縮によって昇降される。

【００２８】更に、この把持フィンガ２６は各々前後一
対が前後に開閉でき、株挿ハンド２５のフレーム部の前
後に配設した把持アクチュエータ３７によって作動され
る。これら各株挿コンベア２１、苗供給コンベア２２，
２３、各アクチュエータ２９，３１，３３，３５，３
６，３７等は、コントローラによるプログラム設定のも
とに一定のタイミングのもとに出力作動される。

【００２９】図５、図６においては、更にこの株挿作動
行程を示すが、（ａ）の行程は、苗漏斗２４が株挿装置
３の直下に供給された場合であり、上方の苗押板３０が
下動して、開口２７の苗Ａを下側のシャッター２８上面
に押し当てて揃えようとするものである。（ｂ）の行程
は、このシャッター２８上に揃えられた苗Ａを、株挿ハ
ンド２５の前進と位置決めプレート３４の前進とによっ
て把持する。（ｃ）の行程は、位置決プレート３４を後
退させシャッター２９を開いて、株挿ハンド２５が把持
した苗Ａを下方へ移行しうる状態とするものである。
（ｄ）の行程は、株挿ハンド２５の下動によって各開口
２７部の苗Ａを取出して、下方の育苗ポット１内の床土
へ挿込むものである。

【００３０】この育苗器２における株挿ハンド２５によ
る株挿作動行程は、（ｅ）の行程のように下動の株挿ハ
ンド２５の位置が、既に株挿済の育苗器２の既株挿苗Ｂ
よりも手前の位置になるように設定される。（ｆ）の行
程では、下降した株挿ハンド２５が前進されて既株挿苗
Ｂに接近させる。（ｇ）の行程では、株挿ハンド２５が
更に下動されて、苗Ａの株元部を育苗ポット１内の浸水
された軟い床土面に挿込んで植付ける。（ｈ）の行程で
は、株挿した苗株から把持フィンガ２６を開放して後退
して、株挿を完了すると共に、株挿ハンド２５を（ａ）
の行程に上昇させる。これと同時に育苗器２は一列条分
の育苗ポット１分だけ前側へ間歇送りされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗株挿装置の側面図。

【図２】その平面図。

【図３】その株挿装置部の側面図。

【図４】その平面図。

【図５】その一部の株挿状態を示す側面図。

【図６】その育苗器における株挿状態を示す側面図。

【図７】その育苗器の平面図。

【図８】その側面図。

【符号の説明】

１ 育苗ポット ２ 育苗器 ３ 株挿装置 ４ 供給コンベア ５ 育苗器繰出装置 ６ 土詰装置 ７ 浸水装置 ８ 浸水コンベア ９ 水槽 １０ 灌水装置 １１ 水切コンベア

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 育苗ポット１を搬送しながら、各育苗ポ
   ット１への土詰め、及び浸水を行わせ、この浸水後の各
   育苗ポット１の浸水床土に株挿装置３により苗の株挿を
   行うことを特徴とする苗株挿方法。
2. 【請求項２】前記浸水後は、この育苗ポット１内の浸水
   床土の水を滲出させたのちに株挿を行わせることを特徴
   とする請求項１に記載の苗株挿方法。
3. 【請求項３】育苗ポット１を供給コンベア４の始端部に
   繰出する育苗器繰出装置５、この供給コンベア４で搬送
   される育苗器２の育苗ポット１に床土を供給する土詰装
   置６、この土詰めされた育苗器２を搬送しながら浸水す
   る浸水装置７、この浸水後の各育苗ポット１の浸水床土
   に苗株を株挿する株挿装置３とからなる苗株挿装置。
4. 【請求項４】前記浸水装置７は、浸水コンベア８で搬送
   する育苗ポット１を、水槽９内の貯水に浸漬させなが
   ら、上部の灌水装置１０による灌水を行わせることを特
   徴とする請求項３に記載の苗株挿装置。
5. 【請求項５】前記浸水装置７と株挿装置３との間には、
   育苗ポット１を搬送しながらこの育苗ポット１内の浸水
   床土から水を滲出させる水切コンベア１１を設けたこと
   を特徴とする請求項３、又は４に記載の苗株挿装置。