JP4387557B2 - 研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法および洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された載置面を有するチャックテーブルを備えた研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法および洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハを所定の厚さに形成するために、半導体ウエーハの表面を研削している。このような半導体ウエーハの表面を研削する研削装置は、被加工物である半導体ウエーハを載置面を有するチャックテーブル上に吸引保持し、このチャックテーブル上に吸引保持された半導体ウエーハの表面を研削手段によって研削する。なお、上記チャックテーブルを構成する載置面を有する吸着チャックは、一般にポーラスなセラミックスによって構成されている。このような研削装置においては、研削作業に伴う研削屑が発生し、この研削屑がチャックテーブルを構成する吸着チャックの載置面に付着する。微細なシリコン等の研削屑が吸着チャックの載置面に強固に付着した場合には、ブラシ等の洗浄具によっては研削屑を取り除くことができない。この研削屑が付着された状態の吸着チャックの載置面上に半導体ウエーハを載置して研削作業を遂行すると、半導体ウエーハが割れるという問題がある。
【0003】
上述した問題を解消するために研削装置には、研削作業で汚れた吸着チャックの載置面にセラミックスで形成された洗浄パッドを接触せしめ、該接触部を相対的に摺動させることにより吸着チャックの載置面に強固に付着した切削屑を強制的に削ぎ落とすようにしたチャックテーブルの洗浄装置が装備されている。従来用いられているチャックテーブルの洗浄装置は、セラミックスで形成された洗浄パッドと、該洗浄パッドを回転させる回転駆動部と、洗浄パッドおよび回転駆動部を支持して昇降する昇降用スライダと、昇降用スライダを水平方向に移動せしめる水平移動用スライダとによって構成されている。このように構成されたチャックテーブルの洗浄装置は、被加工物搬出位置に位置付けられているチャックテーブルを回転させつつ吸着チャックの載置面に洗浄用ノズルから洗浄水を供給し、上記水平移動用スライダを作動して洗浄パッドをチャックテーブルの真上に位置付けるとともに、回転駆動部によって洗浄パッドを回転させながら昇降用スライダを作動して吸着チャックの載置面に接触させ相対的に摺動することにより、吸着チャックの載置面を洗浄する。
【0004】
また、研削装置は、研削加工された半導体ウエーハをチャックテーブル上から搬出してスピンナ洗浄部に搬送する被加工物搬出手段を備えている。この被加工物搬出手段は、吸着パッドと該吸着パッドに吸引力を作用せしめる吸引手段を具備しており、研削加工された半導体ウエーハを吸着パッドで吸引保持してスピンナ洗浄部に搬送する。しかるに、吸着パッドに研削屑が付着した状態で半導体ウエーハを吸引保持すると、研削屑の凹凸によって半導体ウエーハが割れる虞があるので、研削装置は被加工物搬出手段の吸着パッドを洗浄するための吸着パッド洗浄装置も備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上述したチャックテーブルの洗浄装置および吸着パッド洗浄装置は、いずれも研削装置において必要なものであるが、特にチャックテーブルの洗浄装置は大がかりでありコスト高の要因の一つになっている。また、チャックテーブルの洗浄装置を装備していないタイプの研削装置を納入した後、ユーザーの要求によってチャックテーブル洗浄装置を新たに取り付けたい場合、非常に大がかりな改造が必要となり、取付けコストが増大するとともに、取付け作業期間が長期化するため研削装置の可動停止が長期に及び生産性を悪化させるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、洗浄装置が大がかりとならず安価に製作でき、かつ、チャックテーブル洗浄装置を装備していない研削装置に後で取り付ける際にも大がかりな改造を必要としないチャックテーブルの洗浄方法および洗浄装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された載置面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に吸引保持された被加工物を研削する研削手段と、被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された吸着面を有する吸着パッドを備え該吸着パッドに該チャックテーブル上の被加工物を吸引保持して搬出する被加工物搬出手段と、を具備する研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法であって、
該吸着パッドの吸着面を該チャックテーブルの載置面に接触させ、該接触部に洗浄水を供給しつつ該吸着パッドの吸着面と該チャックテーブルの載置面を接触させた状態で相対的に摺動せしめる、
ことを特徴とする研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法が提供される。
【0008】
上記チャックテーブルを回転することによりチャックテーブルの載置面と上記吸着パッドの吸着面とを相対的に摺動せしめることができる。また、上記吸着パッドを水平面内で作動せしめることによりチャックテーブルの載置面と吸着パッドの吸着面とを相対的に摺動せしめることができる。
【0009】
上記接触部への洗浄水の供給は、上記チャックテーブルの載置面から洗浄水を噴出せしめることにより遂行することができる。また、上記接触部への洗浄水の供給は、上記吸着パッドの吸着面から洗浄水を噴出せしめることにより遂行することができる。更に、上記接触部への洗浄水の供給は、上記接触部の外側から洗浄水を供給せしめることにより遂行することができる。
【0010】
上記接触部に供給する洗浄水には、超音波を付与することが望ましい。
【0011】
また、本発明によれば、被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された載置面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に吸引保持された被加工物を研削する研削手段と、被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された吸着面を有する吸着パッドを備え該吸着パッドに該チャックテーブル上の被加工物を吸引保持して搬出する被加工物搬出手段と、を具備する研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置であって、
該吸着パッドの吸着面を該チャックテーブルの載置面に接触せしめる吸着パッド接触機構と、
該チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面を接触させた状態で相対的に摺動せしめる摺動機構と、
該チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面との接触部に洗浄水を供給する洗浄水供給機構と、を具備する、
ことを特徴とする研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置が提供される。
【0012】
上記摺動機構は、上記チャックテーブルを回転する回転駆動機構によって構成され、チャックテーブルの洗浄時にチャックテーブルを回転せしめる。また、上記摺動機構は、上記吸着パッドを水平面内で作動せしめる作動機構によって構成され、チャックテーブルの洗浄時に吸着パッドを水平面内で作動せしめる。
【0013】
上記洗浄水供給機構は、上記チャックテーブルの載置面から洗浄水を噴出せしめる洗浄水噴出機構からなっている。また、上記洗浄水供給機構は、上記吸着パッドの吸着面から洗浄水を噴出せしめる洗浄水噴出機構からなっている。更に、上記洗浄水供給機構は、上記チャックテーブルの載置面と上記吸着パッドの吸着面との接触部に向けて該接触部の外側から洗浄水を供給する外部洗浄水供給機構からなっている。
【0014】
上記接触部に供給する洗浄水に超音波を付与する超音波発振手段を備えていることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された表面研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法および洗浄装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1には本発明に従って構成されたチャックテーブルの洗浄装置を装備した表面研削装置の斜視図が示されている。
図示の実施形態における研削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。装置ハウジング2の図1において右上端には、静止支持板4が立設されている。この静止支持板4の内側面には、上下方向に延びる2対の案内レール6、6および8、8が設けられている。一方の案内レール6、6には荒研削手段としての荒研削ユニット10が上下方向に移動可能に装着されており、他方の案内レール8、8には仕上げ研削手段としての仕上げ研削ユニット12が上下方向に移動可能に装着されている。
【0017】
荒研削ユニット10は、ユニットハウジング101と、該ユニットハウジング101の下端に回転自在に装着された研削ホイール102と、該ユニットハウジング101の上端に装着され研削ホイール102を矢印で示す方向に回転せしめられる回転駆動機構103と、ユニットハウジング101を装着した移動基台104とを具備している。移動基台104には被案内レール105、105が設けられており、この被案内レール105、105を上記静止支持板4に設けられた案内レール6、6に移動可能に嵌合することにより、荒研削ユニット10が上下方向に移動可能に支持される。図示の形態における荒研削ユニット10は、上記移動基台104を案内レール6、6に沿って移動させ研削ホイール102の切り込み深さを調整する送り機構11を具備している。送り機構11は、上記静止支持板4に案内レール6、6と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド111と、該雄ねじロッド111を回転駆動するためのパルスモータ112と、上記移動基台104に装着され雄ねじロッド111と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ112によって雄ねじロッド111を正転および逆転駆動することにより、荒研削ユニット10を上下方向に移動せしめる。
【0018】
上記仕上げ研削ユニット12も荒研削ユニット10と同様に構成されており、ユニットハウジング121と、該ユニットハウジング121の下端に回転自在に装着された研削ホイール122と、該ユニットハウジング121の上端に装着され研削ホイール122を矢印で示す方向に回転せしめられる回転駆動機構123と、ユニットハウジング121を装着した移動基台124とを具備している。移動基台124には被案内レール125、125が設けられており、この被案内レール125、125を上記静止支持板4に設けられた案内レール8、8に移動可能に嵌合することにより、仕上げ研削ユニット12が上下方向に移動可能に支持される。図示の形態における仕上げ研削ユニット12は、上記移動基台124を案内レール8、8に沿って移動させ研削ホイール123の切り込み深さを調整する送り機構13を具備している。この送り機構13は、上記送り手段11と実質的に同じ構成である。即ち、送り機構13は、上記静止支持板4に案内レール6、6と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド131と、該雄ねじロッド131を回転駆動するためのパルスモータ132と、上記移動基台124に装着され雄ねじロッド131と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ132によって雄ねじロッド121を正転および逆転駆動することにより、仕上げ研削ユニット12を上下方向に移動せしめる。
【0019】
図示の実施形態における研削装置は、上記静止支持板4の前側において装置ハウジング2の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル15を具備している。このターンテーブル15は、比較的大径の円盤状に形成されており、図示しない回転駆動機構によって矢印15aで示す方向に適宜回転せしめられる。ターンテーブル15には、図示の実施形態の場合それぞれ120度の位相角をもって3個のチャックテーブル20が水平面内で回転可能に配置されている。このチャックテーブル20は、図2に示すように円盤状の基台21と円盤状の吸着保持チャック22とからなっている。基台21は適宜のセラミックスによって構成され、その下面中央部には回転軸部211が突出して形成されており、この回転軸部211がターンテーブル15に軸受23、23によって回転自在に支持されている。なお、図示の実施形態においては、回転軸部211の外周中央部にはチャックテーブル20を回転駆動するための電動モータ24が装着されている。即ち、ターンテーブル15に取り付けられた電動モータ24のロータが回転軸部211と連結されている。このように電動モータ24に連結されたチャックテーブル20は、電動モータ24によって矢印で示す方向(図1参照)に回転せしめられる。
【0020】
また、基台21の上面には上方が開放された円形状の凹部212が形成されており、この凹部212は回転軸部211に設けられた連通路213、ロータリージョイント251および252、および配管261を介してバキュームタンク等の第1の吸引源27に接続されている。なお、配管261には電磁開閉弁281が配設されており、制御手段100によって開閉制御される。上記吸着保持チャック22は、ポーラスセラミック盤によって形成され、上記基台21に形成された凹部212に嵌合されている。従って、吸着保持チャック22上に被加工物を載置して電磁開閉弁281を開き、凹部212を連通路213、ロータリージョイント251および252、および配管261を介して第1の吸引源27に連通することにより、被加工物を吸着保持チャック22上に吸引保持することができる。以上のように構成されターンテーブル15に配設された3個のチャックテーブル20は、ターンテーブル15が適宜回転することにより被加工物搬入・搬出域A、荒研削加工域B、および仕上げ研削加工域Cおよび被加工物搬入・搬出域Aに順次移動せしめられる。
【0021】
図示の実施形態における研削装置は、上記チャックテーブル20を構成する吸着保持チャック22の載置面に洗浄水を供給する洗浄水供給機構30を具備している。洗浄水供給機構30は、図2に示すようにアキュームレータ等の洗浄水供給源301と、この洗浄水供給源301と上記ロータリージョイント251とを接続する配管302と、該配管302に配設され制御手段100によって開閉制御される電磁開閉弁303とを有している。従って、電磁開閉弁303を開くことにより、洗浄水供給源301から配管302、ロータリージョイント251および連通路213を介して凹部212に洗浄水が供給される。この結果、凹部212に嵌合された吸着保持チャック22がポーラスセラミック盤によって形成されているので、凹部212に供給された洗浄水は吸着保持チャック22の表面に噴出せしめられる。
【0022】
図示の研削装置は、被加工物搬入・搬出域Aに対して一方側に配設され研削加工前の被加工物である半導体ウエーハをストックする第1のカセット31と、被加工物搬入・搬出域Aに対して他方側に配設され研削加工後の被加工物である半導体ウエーハをストックする第2のカセット32と、第1のカセット31と被加工物搬入・搬出域Aとの間に設けられた被加工物載置部33と、被加工物搬入・搬出域Aと第2のカセット32との間に配設された洗浄手段34と、第1のカセット31内に収納された被加工物である半導体ウエーハを被加工物載置部33に搬出するとともに洗浄手段34で洗浄された半導体ウエーハを第2のカセット32に搬送する被加工物搬送手段35と、被加工物載置部33上に載置された半導体ウエーハを被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル20上に搬送する被加工物搬入手段36と、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル20上に載置されている研削加工後の半導体ウエーハを洗浄手段34に搬送する被加工物搬出手段40とを具備している。
【0023】
次に、被加工物搬出手段40について図2および図3を参照して説明する。
図示の実施形態における被加工物搬出手段40は、L字状の作動アーム41を備えている。このL字状の作動アーム41は垂直部411と水平部412をからなっており、垂直部411の下端が昇降機構42に連結されている。昇降機構42は例えばエアピストン等からなっており、作動アーム41を矢印40aで示すように上下方向に作動せしめる。また、作動アーム41の垂直部411と連結した昇降手段42は、正転・逆転可能な電動モータを含む作動機構43に連結されている。従って、作動機構43を正転方向または逆転方向に駆動することにより、作動アーム41は垂直部411を中心として図3において矢印40bで示す方向に揺動せしめられる。この結果、作動アーム41の水平部412は水平面内で作動せしめられ、この水平部412の先端部に装着される後述する吸着パッド44が水平面内で作動せしめられる。なお、上記昇降機構42および作動機構43は、制御手段100によって制御される。
【0024】
上記作動アーム41の水平部412の先端部に装着される吸着パッド44は、図2に示すように円盤状の基台45とパッド46とからなっている。基台45は適宜のセラミックスによって構成され、その上面中央部には支持軸部451が突出して形成されており、この支持軸部451が作動アーム41を構成する水平部412の先端部に装着される。支持軸部451の上端には係止部452が設けられており、この係止部452が水平部412に形成された係合部413と係合するようになっている。なお、基台45の上面と作動アーム41を構成する水平部412との間には圧縮コイルばね47が配設され、基台45を下方に向けて付勢している。
【0025】
また、基台45の下面には下方が開放された円形状の凹部453が形成されており、この凹部453は支持軸部451に設けられた連通路454、作動アーム41内に配設されたフレキシブルパイプ48、および配管49を介してバキュームタンク等の第2の吸引源50に接続されている。なお、配管49には電磁開閉弁51が配設されており、この電磁開閉弁51は制御手段100によって開閉制御される。上記パッド46は、ポーラスセラミック盤によって形成され、上記基台45に形成された凹部453に嵌合されている。従って、電磁開閉弁51を開き、凹部453を連通路454、フレキシブルパイプ48、および配管49を介して第2の吸引源50に連通することにより、被加工物を吸着パッド44を構成するパッド46の吸着面(図2において下面)に吸引保持することができる。
【0026】
図示の実施形態における研削装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
先ず、上述した研削装置の加工処理動作について簡単に説明する。
第1のカセット31に収容された研削加工前の被加工物である半導体ウエーハは被加工物搬送手段35の上下動作および進退動作により搬送され、被加工物載置部33に載置され6本のピン331の中心に向かう径方向運動により中心合わせされる。被加工物載置部33に載置され中心合わせされた半導体ウエーハは、被加工物搬入手段36の旋回動作によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル20上に載置される。チャックテーブル20上に半導体ウエーハが載置されたならば、上記電磁開閉弁281を開くことにより、凹部212が連通路213、ロータリージョイント251および252、および配管261を介して第1の吸引源27に連通するので、半導体ウエーハを吸着保持チャック22上に吸引保持することができる。そして、ターンテーブル15を図示しない回転駆動機構によって矢印15aで示す方向に120度回動せしめて、半導体ウエーハを載置したチャックテーブル20を荒研削加工域Bに位置付ける。
【0027】
半導体ウエーハを載置したチャックテーブル20は荒研削加工域Bに位置付けられると図示しない回転駆動機構によって矢印で示す方向に回転せしめられ、一方、荒研削ユニット10の研削ホイール102が矢印で示す方向に回転せしめられつつ送り機構11によって所定量下降することにより、チャックテーブル20上の半導体ウエーハに荒研削加工が施される。なお、この間に被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル20上には、上述したように研削加工前の半導体ウエーハが載置される。次に、ターンテーブル15を矢印15aで示す方向に120度回動せしめて、荒研削加工した半導体ウエーハを載置したチャックテーブル20を仕上げ研削加工域Cに位置付ける。なお、このとき被加工物搬入・搬出域Aにおいて半導体ウエーハが載置された次のチャックテーブル20は荒研削加工域Bに位置付けられ、次の次のチャックテーブル20が被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられる。
【0028】
このようにして、荒研削加工域Bに位置付けられたチャックテーブル20上に載置された荒研削加工前の半導体ウエーハには荒研削ユニット10によって荒研削加工が施され、仕上げ研削加工域Cに位置付けられたチャックテーブル20上に載置され荒研削加工された半導体ウエーハには仕上げ研削ユニット12によって仕上げ研削加工が施される。次に、ターンテーブル15を矢印15aで示す方向に120度回動せしめて、仕上げ研削加工した半導体ウエーハを載置したチャックテーブル20を被加工物搬入・搬出域Aに位置付ける。なお、荒研削加工域Bにおいて荒研削加工された半導体ウエーハを載置したチャックテーブル20は仕上げ研削加工域Cに、被加工物搬入・搬出域Aにおいて研削加工前の半導体ウエーハが載置されたチャックテーブル20は荒研削加工域Bにそれぞれ移動せしめられる。
【0029】
なお、荒研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cを経由して被加工物搬入・搬出域Aに戻ったチャックテーブル20は、ここで仕上げ研削加工された半導体ウエーハの吸着保持を解除する。即ち、上記電磁開閉弁281を閉じ凹部212と第1の吸引源27との連通を遮断する。そして、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル20上の仕上げ研削加工された半導体ウエーハは、被加工物搬出手段40によって洗浄手段34に搬送される。即ち、上記昇降機構42および作動機構43を作動せしめて吸着パッド44を被加工物搬入・搬出域Aに戻ったチャックテーブル20に載置された被加工物の上面に位置付ける。次に、上記電磁開閉弁51を開き吸着パッド44の凹部453を第2の吸引源50に連通することにより、チャックテーブル20に載置された半導体ウエーハを吸着パッド44によって吸引保持する。このようにして、吸着パッド44に半導体ウエーハを吸引保持したならば、昇降機構42および作動機構43を作動せしめて半導体ウエーハを洗浄手段34に搬送する。洗浄手段34に搬送された半導体ウエーハは、ここで洗浄された後、被加工物搬送手段35よって第2のカセット32の所定位置に収納される。なお、図示の実施形態においては、被加工物載置部33に載置された半導体ウエーハを被加工物搬入手段36によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル20上に載置する例を示したが、この被加工物の搬入を被加工物搬出手段40によって実行するように構成してもよい。
【0030】
上述した研削作業に伴い研削屑が発生し、この研削屑がチャックテーブル20を構成する吸着チャック22の載置面に付着する。次に、研削屑が付着した吸着チャック22の洗浄について説明する。
先ず、吸着チャック22を洗浄するチャックテーブル20を被加工物搬入・搬出域Aに位置付ける。次に、上記昇降機構42および作動機構43を作動せしめて、被加工物搬送手段40を構成する吸着パッド44のパッド46の吸着面をチャックテーブル20の吸着チャック22の載置面に接触せしめる。このとき、吸着パッド44の基台45と作動アーム41の水平部412との間に配設された圧縮コイルばね47によって、吸着チャック22の載置面と吸着パッド44の吸着面とが密着する。従って、上記昇降機構42および作動機構43は吸着パッドの吸着面をチャックテーブルの載置面に接触せしめる吸着パッド接触機構として機能する。吸着パッド44の吸着面を吸着チャック22の載置面に接触せしめたならば、洗浄水供給機構30の電磁開閉弁303を開きチャックテーブル20の凹部212を洗浄水供給源301に連通することにより、洗浄水が吸着保持チャック22の表面に噴出せしめられる。この結果、吸着チャック22の載置面と吸着パッド44の吸着面との接触部に洗浄水が供給される。このようにして吸着チャック22の載置面と吸着パッド44の吸着面との接触部に洗浄水を供給させつつ、吸着チャック22の載置面と吸着パッド44の吸着面とを接触させた状態で相対的に摺動せしめる。即ち、上記電動モータ24を駆動してチャックテーブル20を矢印で示す方向に回転することにより、吸着チャック22の載置面と吸着パッド44の吸着面とを接触させた状態で相対的に摺動させることができる。従って、電動モータ24はチャックテーブルの載置面と吸着パッドの吸着面を接触させた状態で相対的に摺動せしめる摺動機構として機能する。
【0031】
なお、上述したチャックテーブルの載置面と吸着パッドの吸着面を接触させた状態で相対的に摺動せしめる摺動作用は、上記被加工物搬出手段40を構成する作動アーム41を図3において矢印40bで示す方向に揺動作動し、この作動アーム41に装着された吸着パッド44をチャックテーブル20に対して水平面内で作動することにとって遂行してもよい。また、この摺動作用はチャックテーブル20の回転とともに遂行してもよい。上述した作動アーム41の図3において矢印40bで示す方向に揺動作動は、正転・逆転可能な電動モータを含む作動機構43の正転駆動と逆転駆動を繰り返し実行することによって遂行する。従って、作動機構43はチャックテーブルの載置面と吸着パッドの吸着面を接触させた状態で相対的に摺動せしめる摺動機構として機能する。
【0032】
以上のように、図示の実施形態におけるチャックテーブルの洗浄装置は、セラミックスによって形成された吸着チャック22の載置面とセラミックスによって形成された吸着パッド44の吸着面とを接触させ、該接触部に洗浄水を供給しつつ吸着チャック22の載置面と吸着パッド44の吸着面とを接触させた状態で相対的に摺動せしめるので、吸着チャック22の載置面および吸着パッド44の吸着面に強固に付着した切削屑を強制的に削ぎ落として洗浄することができる。しかも、図示の実施形態におけるチャックテーブルの洗浄装置は、吸着パッド44を備えた被加工物搬送手段40を利用しているので、洗浄装置を構成する特別な機構を必要としないので、極めて安価に構成することができる。また、上述したように、吸着パッド44の吸着面に付着した切削屑も同時に洗浄することができるので、生産性が向上するとともに、吸着パッド44の洗浄装置が不要となり大幅なコスト低減を図ることができる。なお、図示の実施形態におけるチャックテーブルの洗浄装置は、上記のように洗浄装置を構成する特別な機構を必要としないので、既に稼働中の研削装置にユーザーの要望により新たに洗浄装置を装備する場合にも、大幅な改造が不要であり、被加工物搬送手段とチャックテーブルと洗浄水供給機構の制御ソフトを組み込むだけで容易に洗浄装置を装備せしめることができる。従って、洗浄装置の取付けコストが著しく安価であるとともに、洗浄装置の取付け時間が短縮できるので非稼働時間が短縮され生産性を向上することができる。
【0033】
次に、上述したチャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面との接触部に洗浄水を供給する洗浄水供給機構の他の実施形態について、図4を参照して説明する。図4に示す洗浄水供給機構30aは、上記被加工物搬出手段40の吸着パッド44の吸着面から洗浄水を噴出せしめるように構成したもので、被加工物搬出手段40そのものの構成は上記実施形態と実質的に同一でよく、従って、上記実施形態と同一部品には同一符号を付してその説明を省略する。
図4に示す洗浄水供給機構30aは、アキュームレータ等の洗浄水供給源301aと、この洗浄水供給源301aと吸着パッド44の凹部453に連通したフレキシブルパイプ48に接続された配管49とを接続する配管302aと、該配管302aに配設され上記制御手段100によって開閉制御される電磁開閉弁303aとを有している。このように構成された洗浄水供給機構30aは、電磁開閉弁303aを開くことにより、洗浄水供給源301aから配管302a、配管49、フレキシブルパイプ48および連通路454を介して凹部453に洗浄水を供給することができる。この結果、凹部453に嵌合されたパッド46がポーラスセラミック盤によって形成されているので、凹部453に供給された洗浄水はパッド46の表面(吸着面)に噴出せしめられる。
【0034】
次に、上述したチャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面との接触部に洗浄水を供給する洗浄水供給機構の更に他の実施形態について、図5を参照して説明する。図5に示す洗浄水供給機構は、上記チャックテーブル20の載置面と吸着パッド6の吸着面との接触部に向けて該接触部の外側から洗浄水を供給する外部洗浄水供給機構30bとして機能する。
図5に示す外部洗浄水供給機構30bは、チャックテーブル20の載置面と吸着パッド44の吸着面との接触部に向けて洗浄水を噴出する洗浄水供給ノズル300bと、アキュームレータ等の洗浄水供給源301bと、この洗浄水供給源301bと上記洗浄水供給ノズル300bとを接続する配管302bと、該配管302bに配設され上記制御手段100によって開閉制御される電磁開閉弁303bとを有している。このように構成された外部洗浄水供給機構30bは、電磁開閉弁303bを開くことにより、洗浄水供給源301bから配管302aおよび洗浄水供給ノズル300bを通して洗浄水をチャックテーブル20の載置面と吸着パッド44の吸着面との接触部に供給することができる。
【0035】
上述したチャックテーブルの洗浄装置においては、チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面との接触部に供給する洗浄水に超音波を付与して、研削屑を流動させることが望ましい。図6および図7には、洗浄水に超音波を付与する超音波発振手段の各実施形態が示されている。
図6に示す実施形態は、上記図2に示す実施形態におけるチャックテーブル20を構成する基台21の回転軸部211に、連通路213を囲むように超音波発振器60を配設したものである。
また、図7に示す実施形態は、上記図4に示す実施形態における被加工物搬出手段40の作動アーム41に装着された吸着パッド44を構成する基台45の支持軸部451に超音波発振器60aを配設したものである。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法および洗浄装置は以上のように構成されているで、次の作用効果を奏する。
【0037】
即ち、本発明によれば、セラミックスによって形成された吸着チャックの載置面とセラミックスによって形成された吸着パッドの吸着面とを接触させ、該接触部に洗浄水を供給しつつ吸着チャックの載置面と吸着パッドの吸着面とを接触させた状態で相対的に摺動せしめるので、吸着チャックの載置面および吸着パッドの吸着面に強固に付着した切削屑を強制的に削ぎ落として洗浄することができる。また、本発明によるチャックテーブルの洗浄装置は、吸着パッドを備えた被加工物搬送手段を利用しているので、洗浄装置を構成する特別な機構を必要としないので、極めて安価に構成することができる。更に、吸着パッドの吸着面に付着した切削屑も同時に洗浄することができるので、生産性が向上するとともに、吸着パッドの洗浄装置が不要となり大幅なコスト低減を図ることができる。また、上記のように洗浄装置を構成する特別な機構を必要としないので、既に稼働中の研削装置にユーザーの要望により新たに洗浄装置を装備する場合にも、大幅な改造が不要であり、被加工物搬送手段とチャックテーブルと洗浄水供給機構の制御ソフトを組み込むだけで容易に洗浄装置を装備せしめることができる。従って、洗浄装置の取付けコストが著しく安価であるとともに、洗浄装置の取付け時間が短縮できるので非稼働時間が短縮され生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって構成されたチャックテーブルの洗浄装置を装備して表面研削装置の斜視図。
【図2】図1に示す表面研削装置に装備されるチャックテーブルの洗浄装置の概略構成図。
【図3】図1に示す表面研削装置に装備される被加工物搬出機構の要部斜視図。
【図4】チャックテーブル洗浄装置を構成する洗浄水供給機構の他の実施形態を示す概略構成図。
【図5】チャックテーブル洗浄装置を構成する洗浄水供給機構の更に他の実施形態を示す概略構成図。
【図6】洗浄水に超音波を付与する超音波発振器を備えたチャックテーブルの一実施形態を示す断面図。
【図7】洗浄水に超音波を付与する超音波発振器を備えた被加工物搬出機構の作動アームの要部を破断して示す正面図。
【符号の説明】
2:装置ハウジング
4:静止支持板4
6:案内レール
8:案内レール
10:荒研削ユニット
101:ユニットハウジング
102:研削ホイール
103:回転駆動機構
104:移動基台
105:被案内レール
11:送り機構
111:雄ねじロッド
112:パルスモータ
12:仕上げ研削ユニット
121:ユニットハウジング
122:研削ホイール
123:回転駆動機構
124:移動基台
125:被案内レール
13:送り機構
131:雄ねじロッド
132:パルスモータ
15:ターンテーブル
20:チャックテーブル
21:チャックテーブルの基台
22:チャックテーブルの吸着保持チャック
24:電動モータ
27:第1の吸引源27
281:電磁開閉弁
30:洗浄水供給機構
301:洗浄水供給源
303:電磁開閉弁
31:第1のカセット
32:第2のカセット
33:被加工物載置部
34:洗浄手段
35:被加工物搬送手段
36:被加工物搬入手段
40:被加工物搬出手段
41:作動アーム
42:昇降機構
43:作動機構
44:吸着パッド
45:吸着パッドの基台
46:吸着パッドのパッド
47:圧縮コイルばね
48:フレキシブルパイプ
50:第2の吸引源
51:電磁開閉弁
100:制御手段
Claims (14)
- 被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された載置面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に吸引保持された被加工物を研削する研削手段と、被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された吸着面を有する吸着パッドを備え該吸着パッドに該チャックテーブル上の被加工物を吸引保持して搬出する被加工物搬出手段と、を具備する研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法であって、
該吸着パッドの吸着面を該チャックテーブルの載置面に接触させ、該接触部に洗浄水を供給しつつ該チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面とを接触させた状態で相対的に摺動せしめる、
ことを特徴とする研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法。 - 該チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面との相対的摺動は、該チャックテーブルを回転することにより遂行する、請求項1記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法。
- 該チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面との相対的摺動は、該吸着パッドを水平面内で作動せしめることにより遂行する、請求項1又は2記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法。
- 該接触部への洗浄水の供給は、該チャックテーブルの載置面から洗浄水を噴出せしめることにより遂行する、請求項1から3のいずれかに記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法。
- 該接触部への洗浄水の供給は、該吸着パッドの吸着面から洗浄水を噴出せしめることにより遂行する、請求項1から3のいずれかに記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法。
- 該接触部への洗浄水の供給は、該接触部の外側から洗浄水を供給せしめることにより遂行する、請求項1から3のいずれかに記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法。
- 該接触部に供給する洗浄水に超音波を付与する、請求項1から6のいずれかに記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄方法。
- 被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された載置面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に吸引保持された被加工物を研削する研削手段と、被加工物を吸引保持するセラミックスで形成された吸着面を有する吸着パッドを備え該吸着パッドに該チャックテーブル上の被加工物を吸引保持して搬出する被加工物搬出手段と、を具備する研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置であって、
該吸着パッドの吸着面を該チャックテーブルの載置面に接触せしめる吸着パッド接触機構と、
該チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面を接触させた状態で相対的に摺動せしめる摺動機構と、
該チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面との接触部に洗浄水を供給する洗浄水供給機構と、を具備する、
ことを特徴とする研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置。 - 該摺動機構は、該チャックテーブルを回転する回転駆動機構によって構成され、該チャックテーブルの洗浄時に該チャックテーブルを回転せしめる、請求項8記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置。
- 該摺動機構は、該吸着パッドを水平面内で作動せしめる作動機構によって構成され、該チャックテーブルの洗浄時に該吸着パッドを水平面内で作動せしめる、請求項8又は9記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置。
- 該洗浄水供給機構は、該チャックテーブルの載置面から洗浄水を噴出せしめる洗浄水噴出機構からなっている、請求項8から10のいずれかに記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置。
- 該洗浄水供給機構は、該吸着パッドの吸着面から洗浄水を噴出せしめる洗浄水噴出機構からなっている、請求項8から10のいずれかに記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置。
- 該洗浄水供給機構は、該チャックテーブルの載置面と該吸着パッドの吸着面との接触部に向けて該接触部の外側から洗浄水を供給する外部洗浄水供給機構からなっている、請求項8から10のいずれかに記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置。
- 該接触部に供給する洗浄水に超音波を付与する超音波発振手段を備えている、請求項8から13のいずれかに記載の研削装置におけるチャックテーブルの洗浄装置。
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