JP4378578B2 - 感光性樹脂積層体 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、展示パネル、装飾用楯、ネームプレート、点字表示板等の標識板に好適に用いられる感光性樹脂積層体に関するものであり、曲げ加工が容易で、かつ意匠性の優れた標識板を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、感光性樹脂層をパターンを介して露光し、その後現像することによって得られる標識板用感光性樹脂積層体としては、特開昭58-55927公報や特開平9-6267号公報などに開示されており、レリーフを有する展示パネルや点字を含む標識板等に利用されている。
しかし、昨今の標識板には表示板加工時に曲げ加工を行ったり、透明な標識板を作成するなどの市場要求がある。ところが一般的に使用されているフェノール板を支持体とする感光性樹脂積層体は表識板加工時に曲げ加工を行ったり、透明な標識板を作成するには不適であった。そこで曲げ加工が容易で、かつ意匠性にすぐれた標識板に加工するのに好適な感光性樹脂積層体が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は展示パネル、装飾用楯、ネームプレート、点字表示板等に用いる感光性樹脂積層体において、表識板加工時に曲げ加工を行ったり、透明な標識板を作成することが可能な、意匠性に優れた標識板用感光性樹脂積層体を得ることを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは、誠意、研究、検討した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、支持体上に、直接または接着層を介して感光性樹脂層を有する感光性樹脂積層体において、前記支持体が、ショアーD硬さが55°以上、厚みが1mm以上であり、かつ熱変形温度が60℃〜90℃であり、且つ全光線透過率が70%以上である感光性樹脂積層体である。
【0005】
次に本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明の支持体の厚みは1mm以上であり、通常1mm〜10mmの範囲で用途・デザインに適した厚みが選ばれる。厚みが1mm未満の支持体では樹脂製板自身の反りが発生しやすく、標識板用途に不向きであり、厚みが10mmを超えると板を簡単に切りにくいことや重量が重くなるので好ましくない。
【0006】
また本発明で使用できる支持体の硬さはショアーD硬さが35°を越えることが必要であり、好ましくは55°以上、特に70°以上が望ましい。ショアーD硬さが35°未満の場合、樹脂板自身の反りが発生したり、標識板としての保持性に欠けるので好ましくない。
【0007】
本発明における支持体の熱変形温度は60℃〜90℃、好ましくは70〜80℃である。60℃未満であれば樹脂版製版工程中の現像乾燥時に変形を生じ、90℃を超えると標示板への加工時に作業性が低下するので好ましくない。
なお支持体は透明なものが好ましく、全光線透過率は70%以上、好ましくは75%以上、特に望ましくは80%以上のものが用いられる。透過率70%未満であると、標識板に加工したときの品位に欠け意匠性の優れた標識板には不適である。
【0008】
以上の特性を有する支持体として、ポリエチレンテレフタレート樹脂やアクリル樹脂などが挙げられる。またこれらの樹脂は共重合やブレンドで変性又は可塑剤などの添加剤を配合して改質した樹脂を使用した板であってもかまわない。
【0009】
本発明に使用する接着層は公知の接着剤を使用すること可能であり、具体的には可溶なポリエステルを多価イソシアネートで硬化させたポリエステルウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。その中でもポリエステルウレタン系接着剤はポリエチレンテレフタレート樹脂及び変成ポリエチレンテレフタレート樹脂との接着に優れるために好ましい。接着層組成物には、他の少量成分を添加することができる。添加物としては、可塑剤、染料、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、界面活性剤、光重合性ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0010】
接着層を支持体上に設ける方法としては、接着層用組成物溶液を所定の厚みに塗布した後溶剤を除去するのが一般的である。塗布方法としては、ロールコーター、カーテンフローコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、スプレーなど公知の方法が使用可能である。支持体にコートしたのちの接着層の乾燥処理は、乾燥炉の中で熱風を吹きつける方法が一般的である。本発明の接着層を乾燥する処理条件は30℃以上120℃以下の条件で最適な時間を設定すればよいが、支持体の熱変形より70℃以下が好ましい。又処理時間は1分〜30分の間が適当である。
【0011】
接着層の厚みは、0.5μ〜100μの範囲にあることが好ましい。厚みが0.5μ以下では感光性樹脂層と接着層間の接着力が発現し難く、また接着層の厚みが100μを超えると塗工液を乾燥する時に発泡して気泡が混入する問題点が発生する。このような理由から、接着層の厚みは0.5μ〜100μの範囲にあることが好ましく、特に1μ〜50μが好ましい。
【0012】
本発明における感光性樹脂層として、用いられる感光性樹脂組成物としては公知のものを使用することが可能であり、具体的には可溶性高分子化合物(例えば、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリウレタンなど)、光重合性又は光架橋性モノマー(例えば、多価アルコールのアクリレート、多価アルコールのエポキシアクリレート、N−メチロールアクリルアミドなど)、光重合開始剤(例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインジメチルエーテル等)、必要によって熱安定剤、可塑剤、界面活性剤、染料等を配合してなる感光性樹脂組成物が挙げられる。
【0013】
本発明積層体は、前記支持体および感光性樹脂層の他に粘着防止層およびカバーフィルムなどを設けてもよい。
本発明積層体を製造する方法としては、公知の方法で製造することができる。例えば熱プレス、注型、あるいは溶融押出し、溶液キャスト、ラミネートなどの任意方法で接着層を設けたポリエチレンテレフタレート樹脂及び変成ポリエチレンテレフタレート樹脂支持体上に積層することができる。
【0014】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
実施例1
支持体としてショアD硬さ60°、厚み1.5mm、全光線透過率80%のイソフタル酸10モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した。
接着層はポリエステルウレタン系接着材を用い、接着層用組成物溶液は次のように調整した。東洋紡績(株)製ポリエステル系樹脂「バイロンRV−200」80重量部をトルエン/メチルエチルケトン=80/20(重量比)の混合溶剤1940重量部に80℃で加熱溶解した。冷却後、イソシアヌレート型多価イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートとトルエンジイソシアネートを原料とする住友バイエルウレタン(株)製「デスモジュールHL」を20重量部、硬化触媒としてトリエチレンジアミン0.06重量部を添加し、10分攪拌した。
このようにして得られた接着層用組成物溶液を膜厚みが7μm となるように厚さ1.5mmのポリエチレンテレフタレート板の上に塗布し、50℃で15分間乾燥キュアーして接着層を塗布した支持体を得た。
【0015】
積層する感光性樹脂組成物としては、ε−カプロラクタム525部、N−(2−アミノエチル)ピペラジンとアジピン酸とのナイロン塩400部、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸とのナイロン塩75部をオートクレーブ中で溶融重縮合して共重合ナイロンを得た。得られたポリマー55部を60℃のメタノール200部に溶解した後、グリシジルメタクリレート2部を加えて3時間攪拌し、ポリマー末端にグリシジルメタクリレートを反応させた。この溶液にメタクリル酸4部を添加し、そののちトリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルとアクリル酸との開付加反応によって得られたアクリレート35部、N−エチルトルエンスルホンアミド5部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、ベンジルジメチルケタール1.0部を加え感光性樹脂組成物の溶液を得た。この溶液をポリエステルフイルム上に流延しメタノールを蒸発除去し、厚み約800μm の感光性樹脂組成物のシートを得た。
【0016】
以上のようにして得られた感光性樹脂組成物と接着層を塗布した支持体とを貼り合わせた後、その間に水を注入する。積層する厚みに合わせてギャップクリアランスを調整したゴムローラーを通して25℃の室温で感光性樹脂層の圧着を行い、感光性樹脂積層体を製造した。
感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板は、必要に応じて70℃〜80℃に加熱して曲げ加工をおこなった。又製版時にも支持体の変形も起こらず、意匠性の優れた標識板のパターンが得られた。
【0017】
比較例1
実施例1において、支持体として厚さ2mmの未晒しクラフト紙−フェノール樹脂の積層板であるフェノールボードを使用した以外は全て実施例1と同様にして感光性樹脂積層体を製造した。
得られた感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板は80℃で曲げ加工を行うことができなかった。さらに支持体を高温で加熱加工すると臭気が発生し、マスクが必要であった。
【0018】
実施例2
実施例1において、支持体としてショアーD硬さ75°、厚み3mm、全光線透過率91%のアクリル樹脂板を使用した以外は全て実施例1と同様にして感光性樹脂積層体を製造した。
得られた感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板は、必要に応じて70℃〜80℃に加熱して曲げ加工をおこなうことができた。又製版時にも支持体の変形も起こらず、意匠性の優れた標識板のパターンが得られた。
【0019】
実施例3
実施例1において、支持体としてショアーD硬さ60°、厚さ6mm、全光線透過率80%のネオペンチルグリコール20モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である変成ポエチレンテレフタレート板を使用した以外は全て実施例1と同様にして感光性樹脂積層体を製造した。
得られた感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板は、必要に応じて70℃〜80℃に加熱して曲げ加工をおこなった。又製版時にも支持体の変形も起こらず、意匠性の優れた標識板のパターンが得られた。
【0020】
【発明の効果】
以上かかる構成よりなる本発明感光性樹脂積層体は、支持体の曲げ加工が容易で、かつ支持体の厚みや透明性に特徴を有する意匠性に優れた、標識板として好適な感光性樹脂積層体を提供し、産業界に寄与すること大である。
Claims (1)
- 支持体上に、直接または接着層を介して感光性樹脂層を有する感光性樹脂積層体において、前記支持体が、ショアーD硬さが55°以上、厚みが1mm以上であり、かつ熱変形温度が60℃〜90℃であり、且つ全光線透過率が70%以上であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
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-
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- 1999-07-19 JP JP20523799A patent/JP4378578B2/ja not_active Expired - Lifetime
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