JP3912570B2 - 感光性樹脂積層体 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は加工時に臭気の発生がなく、かつ接着性に優れた展示パネル、装飾用楯、ネームプレート、点字表示板等に用いられる感光性樹脂積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、表示板用感光性樹脂積層体として、感光性樹脂層によって凹凸パターンを形成し、必要によりアクリル樹脂等の塗料で被覆する方法については、特開昭57-189813 公報等ですでに提案されている。又表示板用感光性樹脂積層体で用いられる支持体としては、重量や強度の面よりフェノール板やアクリル板等のプラスチック板が使用されており、特開平9−6267号公報には特定のフェノール板を使用することが提案されている。
しかし、一般的に使用されているフェノール板は表示板加工時に使用するアセトンに対する耐溶剤性は充分あるが、表示板を加工する時に支持体より臭気が発生するという問題があり、一方、アクリル板では臭気の発生はないがアクリル板の耐溶剤性が悪いという問題があった。そこで、臭気の発生がなくかつ加工時に使用する溶剤に対する耐溶剤性に優れた支持体が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は展示パネル、装飾用楯、ネームプレート、点字表示板等に用いる感光性樹脂積層体において、支持体からの臭気の発生がなく、かつ加工時に使用する溶剤に対する耐溶剤性に優れた感光性樹脂積層体を得ることを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは、誠意、研究、検討した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、支持体上に、直接または接着層を介して感光性樹脂層を有する感光性脂積層体において、前記支持体が、厚さ1mm以上であり、ポリエチレンテレフタレート樹脂又は変成ポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする感光性樹脂積層体である。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明における支持体としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂又は変成ポリエチレンテレフタレート樹脂が用いられ、透明性が要求される用途あるいは成形加工性、特にカット性が要求される場合は、変成ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の変成方法としては、グリコール成分又はジカルボン酸成分を共重合する方法、グラフト重合やブレンドなどがあげられるが、樹脂の強度や安定性の面から共重合する方法が望ましい。具体的に共重合するグリコール成分としては、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキシルジメタノール等が挙げられ、ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等が挙げられる。本発明においては、共重合成分を5〜40モル%共重合することが好ましく、特に10〜30モル%が望ましい。
【0006】
この支持体の厚みは用途によって選ばれるが、通常1mm〜10mmの範囲で利用される。
【0007】
本発明に使用する接着層は公知の接着剤を使用すること可能であり、具体的には可溶なポリエステルを多価イソシアネートで硬化させたポリエステルウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。その中でもポリエステルウレタン系接着剤はポリエチレンテレフタレート樹脂及び変成ポリエチレンテレフタレート樹脂との接着に優れるために好ましい。接着層組成物には、他の少量成分を添加することができる。添加物としては、可塑剤、染料、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、界面活性剤、光重合性ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0008】
接着層を支持体上に設ける方法としては、接着層用組成物溶液を所定の厚みに塗布した後溶剤を除去するのが一般的である。塗布方法としては、ロールコーター、カーテンフローコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、スプレーなど公知の方法が使用可能である。支持体にコートしたのちの接着層の乾燥処理は、乾燥炉の中で熱風を吹きつける方法が一般的である。本発明の接着層を乾燥する処理条件は30℃以上120℃以下の条件で最適な時間を設定すればよいが、支持体の熱変形より50℃以下が好ましい。又処理時間は1分〜30分の間が適当である。
【0009】
接着層の厚みは、0.5μ〜100μの範囲にあることが好ましい。厚みが0.5μ以下では感光性樹脂層と接着層間の接着力が発現し難く、また接着層の厚みが100μを超えると塗工液を乾燥する時に発泡して気泡が混入する問題点が発生する。このような理由から、接着層の厚みは0.5μ〜100μの範囲にあることが好ましく、特に1μ〜50μが好ましい。
【0010】
本発明における感光性樹脂層として、用いられる感光性樹脂組成物としては公知のものを使用することが可能であり、具体的には可溶性高分子化合物(例えば、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリウレタンなど)、光重合性又は光架橋性モノマー(例えば、多価アルコールのアクリレート、多価アルコールのエポキシアクリレート、N−メチロールアクリルアミドなど)、光重合開始剤(例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインジメチルエーテル等)、必要によって熱安定剤、可塑剤、界面活性剤、染料等を配合してなる感光性樹脂組成物が挙げられる。
【0011】
本発明積層体を製造する方法としては、公知の方法で製造することができる。例えば熱プレス、注型、あるいは溶融押出し、溶液キャスト、ラミネートなどの任意方法で接着層を設けたポリエチレンテレフタレート樹脂及び変成ポリエチレンテレフタレート樹脂支持体上に積層することができる。
【0012】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0013】
実施例1
支持体として厚さ1.5mmのポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した。
接着層はポリエステルウレタン系接着材を用い、接着層用組成物溶液は次のように調整した。東洋紡績(株)製ポリエステル系樹脂「バイロンRV−200」80重量部をトルエン/メチルエチルケトン=80/20(重量比)の混合溶剤1940重量部に80℃で加熱溶解した。冷却後、イソシアヌレート型多価イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートとトルエンジイソシアネートを原料とする住友バイエルウレタン(株)製「デスモジュールHL」を20重量部、硬化触媒としてトリエチレンジアミン0.06重量部を添加し、10分攪拌した。
このようにして得られた接着層用組成物溶液を膜厚みが7μm となるように厚さ1.5mmのポリエチレンテレフタレート板の上に塗布し、50℃で15分間乾燥キュアーして接着層を塗布した支持体を得た。
【0014】
積層する感光性樹脂組成物としては、ε−カプロラクタム525部、N−(2−アミノエチル)ピペラジンとアジピン酸とのナイロン塩400部、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸とのナイロン塩75部をオートクレーブ中で溶融重縮合して共重合ナイロンを得た。得られたポリマー55部を60℃のメタノール200部に溶解した後、グリシジルメタクリレート2部を加えて3時間攪拌し、ポリマー末端にグリシジルメタクリレートを反応させた。この溶液にメタクリル酸4部を添加し、そののちトリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルとアクリル酸との開付加反応によって得られたアクリレート35部、N−エチルトルエンスルホンアミド5部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、ベンジルジメチルケタール1.0部を加え感光性樹脂組成物の溶液を得た。この溶液をポリエステルフイルム上に流延しメタノールを蒸発除去し、厚み約800μm の感光性樹脂組成物のシートを得た。
【0015】
以上のようにして得られた感光性樹脂組成物と接着層を塗布した支持体との貼せ方法は、感光性樹脂組成物面と支持体面位置を合わせた後、その間に水を注入する。積層する厚みに合わせてギャップクリアランスを調整したゴムローラーを通して25℃の室温で感光性樹脂層の圧着を行い、感光性樹脂積層体を製造した。
感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板は、加工時に発生する臭気はなく、加工時に使用するアセトンに10分間浸漬しても問題なかった。又製版時にも支持体の変形も起こらず、平面性の良好な表示板のパターンが得られた。
【0016】
比較例1
支持体として厚さ2mmの未晒しクラフト紙−フェノール樹脂の積層板であるフェノールボードを使用した。
支持体以外を実施例1と同様の接着層を用いて実施例1と同様の方法で感光性樹脂積層体を製造した。
感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板の10分浸漬のアセトン耐性は充分であったが、所定のサイズにカットする時や表示板のパターン形成工程において臭気が発生し、マスクが必要であった。
【0017】
比較例2
支持体として厚さ2mmのアクリル板を使用した。支持体以外を実施例1と同様の接着層を用いて実施例1と同様の方法で感光性樹脂積層体を製造した。
感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板は、所定のサイズにカットする時や表示板のパターン形成工程において臭気の発生は無かったが、10分間のアセトン浸漬でアクリル板表面が溶解しためにアセトン耐性は不充分であった。
【0018】
実施例2
支持体として厚さ4mmのイソフタル酸10モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である変成ポエチレンテレフタレート板を使用した。
支持体以外を実施例1と同様の接着層を用いて実施例1と同様の方法で感光性樹脂積層体を製造した。
感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板は、所定のサイズにカットする時や表示板のパターン形成工程において臭気の発生は無く、又10分間のアセトン浸漬でも問題はなかった。
【0019】
実施例3
支持体として厚さ6mmのネオペンチルグリコール20モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である変成ポエチレンテレフタレート板を使用した。
支持体以外を実施例1と同様の接着層を用いて実施例1と同様の方法で感光性樹脂積層体を製造した。
感光性樹脂積層体を1日放置した後、丸ノコ歯方式のカッターで所定のサイズにカットし、ネガをのせて露光、現像、乾燥及び後露光処理を行い、表示板のパターンを形成した。得られた表示板は、所定のサイズにカットする時や表示板のパターン形成工程において臭気の発生は無く、又10分間のアセトン浸漬でも問題はなかった。
【0020】
【発明の効果】
以上かかる構成よりなる本発明感光性樹脂積層体は、支持体にポリエチレンテレフタレート樹脂又は変成ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることにより支持体からの臭気の発生がなく、かつ支持体の耐溶剤性に優れた優れた感光性樹脂組成物積層体を得るものであり、特に点字表示板に適した感光性樹脂積層体を提供し、産業界に寄与すること大である。
Claims (1)
- 支持体上に、直接または接着層を介して感光性樹脂層を有する感光性脂積層体において、前記支持体が、厚さ1mm以上であり、ポリエチレンテレフタレート樹脂又は変成ポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
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