JP4374159B2 - 既設ホームにおける新設床部の支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設ホームにおける新設床部の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道の営業路線の既設軌道の変更に伴ない、既設ホームを拡幅する必要が生じる。この拡幅工事は、最終電車の通過した後から始発電車が通過するまでの間に、多くの作業員によって徹夜で行われている。上記既設ホームは、盛土タイプのホームではなく、床版の裏面側の空間が広く空いているタイプのプラットホームである。
【0003】
従来の拡幅工事(図8参照)としては、レールや枕木を新しい軌道側101に移設した後に、古い軌道102のバラス整地、多数の鳥居枠103の組立て設置、設置した多数の鳥居枠103の上に大引き104、根太材105及び合板106を順次設置して行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この拡幅工事は、上記したように最終電車が通過した後、始発電車が走るまでの限られた時間内に行わねばならず、軌道バラス整地や、部材数も多く運搬や組立て設置等に手間のかかる多数の鳥居枠103を使用して行っているため、多くの作業員を必要とし、また、作業時間も短く作業員の気のあせりから不安全行動にもなりがちであり、安全上からも問題であった。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、従来に比べ作業人員を削減できて、短時間に安全に且つ容易に既設ホームを拡幅できる既設ホームにおける新設床部の支持構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を有効に達成するために、次のような構成にしてある。すなわち、請求項1記載の本発明の既設ホームにおける新設床部の支持構造は、既設ホームの床スラブより軌道側に建設される新設床部の支持構造であって、長手方向が上記床スラブから軌道側に向かう受桁を、床スラブの裏面の長さ方向に、間隔を存して複数本設けると共に、上記各受桁を軌道側方向に引き出し可能に支持する受桁支持部を上記床スラブに設け、更に新設床部の建設の際に、各受桁を床スラブより突出させて、この各受桁の突出部の上に新設床部を設けるように構成したことを特徴とする構成である。
請求項2記載の本発明の既設ホームにおける新設床部の支持構造は、請求項1記載の既設ホームにおける新設床部の支持構造において、上記各受桁には、床スラブからの突出時に、上記受桁支持部に当接する規制部材が固着されている構成である。
請求項3記載の本発明の既設ホームにおける新設床部の支持構造は、請求項2記載の既設ホームにおける新設床部の支持構造において、上記各受桁の突出長が必要長さに達したときに、上記受桁支持部に当接するようにして規制部材が各受桁に設けられている構成である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
図1〜図7は、本発明に係る既設ホームにおける新設床部の支持構造に関する図である。
【0009】
図1、図2に示すように1はRC構造からなる既設ホームの床スラブであり、2は軌道側、3は床スラブ1より軌道側2に建設された新設床部である。4は新設床部3を支持する複数本の受桁、5は受桁4を軌道側2に引き出し可能に支持する受桁支持部である。
【0010】
上記各受桁4(図1、図4参照)は、長尺な所定長さの2本のC型鋼4a,4a及び連結板7からなり、両C型鋼4a,4aの背面側6を所定の間隔を以って対峙させ、連結板7で軌道側2に相当する先端近傍を連結させた部材である。また、両C型鋼4a,4aの後端部には、連結板7と同様にして規制部材8が設けられている。
【0011】
この各受桁4(図1参照)は、長手方向を軌道側2に向け、床スラブ1の裏面の長さ方向(矢印A方向)に、所定の間隔を存して複数の上記受桁支持部5を介して設けられている。
【0012】
受桁支持部5(図1、図5参照)は、床スラブ1の上記各受桁4を設ける箇所の前後方向(矢印B方向)に所定の間隔を存して複数設けられている。この各受桁支持部5は、座金9、ナット10、通しボルト11、摺動用支持板12及びロックナット13からなる。
【0013】
この各受桁支持部5を設ける箇所には、床スラブ1に凹部14を設けると共に貫通孔15を設けてある。上端部16に座金9とナット10を設けた通しボルト11は、貫通孔15に挿通し、更に下端部17を受桁4の両C型鋼4a,4aの間を挿通させて、この下端部17に摺動用支持板12及びロックナット13を設け、両C型鋼4a,4aからなる受桁4を軌道側2に引き出し可能に吊り下げ支持している。尚、通しボルト11の上端部16は、床スラブ1の凹部14内から収まるように設けられている。
【0014】
既設ホームの床スラブ1に新設床部3を建設する際には、上記のようにして事前に床スラブ1の裏面側に収納されている各受桁4を軌道側2に引き出す。この時、各受桁4の後端部には、図示の例では規制部材8が設けてあるので、ある程度各受桁4を軌道側2に引き出した時に、受桁支持部5の摺動用支持板12に規制部材8が当たり、強制的にこれ以上引き出しできないようになっている。そのため、引き出し過ぎて受桁4が受桁支持部5から外れ落ちるといったこともなく、迅速に受桁4の引き出し作業を行うことができる。
【0015】
また、既設ホームの床スラブ1の夫々の位置に設けられる各受桁4の床スラブ1の縁(軌道側の端)からの突出長(引き出し長さ)を、事前に各受桁4を床スラブ1に設けるときに決めておき、この突出長まで各受桁4を引き出した時に、規制部材8が受桁支持部5の摺動用支持板12に当たるようにしておけば、各受桁4の端と各新規の軌道28との取り合い調整をする必要もなくなり、拡幅工事をより迅速に且つ正確に行うことができる。尚、上記床スラブ1の縁は、直線ではなく折れ線曲線のため上記突出長は場所によって異なる。
【0016】
床スラブ1の裏面から各受桁4の引き出しが完了したら、各受桁4の突出部18の上に新設床部3を載置する。
【0017】
この新設床部3(図1、図2参照)は、複数本の大引き19と、複数本の根太材20と、複数枚の合板21とからなる。上記突出部18に新設床部3を設ける場合は、先ず各受桁4の上に、各受桁4と交差するようにして所定の間隔を以って大引き19を設け、この各大引き19と交差するようにして根太材20を設け、更にこの各根太材20の上に合板21を設ける。各合板21の上面は、床スラブ1の上面と面一にする。
【0018】
更に各受桁4の先端部及び後端部を下から支持杆22で支持する。勿論、支持杆22は、各受桁4の先端部及び後端部と、これらの箇所以外の箇所を支持するように設けるも、或いは各受桁4の先端部のみに設けるようにするも自由である。尚、支持杆22は下部にジャッキボルト23(図2参照)を設け、支持杆長さを任意に調節できるようにしておけば、場所毎に微妙に異なる地面から各受桁4までの高さに迅速に対応して各受桁4を確実に支持することができる。
【0019】
図6及び図7は、他の例の受桁4及び受桁支持部5及び規制部材8を示す図であって、この例の受桁4としては角筒部材が使用されている。また、受桁支持部5は、上記受桁4である角筒部材を摺動可能に受ける吊下げ受け部材24と、吊下げ受け部材24の両側上部を床スラブ1に固定する通しボルト25、座金26、ナット27とからなる。また、規制部材8は、受桁4である角筒部材の後部両側に設けてあり、床スラブ1から受桁4を引き出したときに吊下げ受け部材24に当たって、受桁4の引き出し長さを規制できるようにしてある。
【0020】
上記のような構成からなる本発明の既設ホームにおける新設床部の支持構造においては、例えば前日までに営業路線の拡幅する既設ホームの床スラブ1の裏側に、規制部材8を設けた各受桁4を受桁支持部5によって設けておく。そして翌日の終電車が通過した後に、図3に示すように古い軌道29を撤去して新規の軌道28を所定の箇所に敷設し、その後に、規制部材8が受桁支持部5の摺動用支持板12に当たるまで上記各受桁4を新規の軌道28(図2参照)側に引き出す。次に各受桁4の上に複数本の大引き19及び根太材20、複数枚の合板21を設ける。最後に各支持杆22を設けて各受桁4を下から支える。勿論、各支持杆22は、大引き19等を設ける前に各受桁4を支えるようにして設けてもよい。
【0021】
【発明の効果】
このように本発明の既設ホームにおける新設床部の支持構造によれば、従来のような施工時における旧軌道敷きのバラスの整地が不要となり、受桁の引き出し作業も一人でできるため、施工作業時間を大幅に短縮ができ、安全に作業を行うことができる。また作業人員の削減を図ることもできる。
【0022】
また、各受桁には、床スラブからの突出時に、受桁支持部に当接する規制部材が固着されているので、受桁支持部からの受桁の抜け落ちを防止でき、安全に施工作業を行うことができる。
【0023】
また、各受桁の突出長が必要長さに達したときに、受桁支持部に当接するようにして規制部材が各受桁に設けられているので、必要寸法の突出長を簡単に決めることができ、施工時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体概略図である。
【図2】本発明の既設ホーム拡幅の説明図である。
【図3】既設ホーム拡幅の簡略な説明図である。
【図4】受桁支持部で受桁を支持した底面側から見た説明図である。
【図5】新設床部における受桁支持部の箇所を示す説明図である。
【図6】他の例の受桁及び受桁支持部等の構成を示す説明図である。
【図7】図6の受桁支持部での横断面を示す説明図である。
【図8】従来の既設ホーム拡幅の説明図である。
【符号の説明】
1 床スラブ
2 軌道側
3 新設床部
4 受桁
5 受桁支持部
8 規制部材
18 突出部
Claims (2)
- 既設ホームの床スラブより軌道側に建設される新設床部の支持構造において、長手方向が上記床スラブから軌道側に向かう受桁を、床スラブの裏面の長さ方向に、間隔を存して複数本設けると共に、上記各受桁を軌道側方向に引き出し可能に支持する受桁支持部を床スラブの上記各受桁を設ける箇所の受桁長さ方向に所定の間隔を存して複数設け、更に新設床部の建設の際に、各受桁を床スラブより突出させて、この各受桁の突出部の上に新設床部を設けるように構成した既設ホームにおける新設床部の支持構造であって、
上記各受桁は、所定長さの2本のC型鋼の背面側を所定の間隔を以って対峙させ、この2本のC型鋼の軌道側に対応する先端近傍の底面を連結板で連結すると共に後端部の底面を規制部材で連結してなり、
上記受桁支持部は、床スラブの貫通孔及び受桁の2本のC型鋼間を挿通してなる通しボルトと、通しボルトの上端部に設けられて通しボルトを床スラブ上に固定する座金及びナットと、通しボルトの下端部に設けられて受桁を軌道側に引き出し可能に支持する摺動用支持板及びロックナットとからなり、
上記床スラブからの上記各受桁の突出長が必要長さに達したときに、上記受桁の規制部材が受桁支持部の摺動用支持板に当接するように構成され、かつ上記各受桁の先端部が、地面に立設された支持杆によって支持されることを特徴とする既設ホームにおける新設床部の支持構造。 - 上記床スラブの受桁支持部が設けられる箇所には、通しボルトの上端部を座金及びナットと共に隠蔽するための凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の既設ホームにおける新設床部の支持構造。
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