JP4374136B2 - ゴムベース製品、ゴムベース製品の製造法及びゴムベース製品で造られたタイヤのローリング抵抗を減少させる方法。 - Google Patents

ゴムベース製品、ゴムベース製品の製造法及びゴムベース製品で造られたタイヤのローリング抵抗を減少させる方法。 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、ゴムベース製品、そのゴムベース製品を得る為の方法及び前記製品によって形成されるタイヤのローリング抵抗を減少させる方法に関する。
(発明の背景)
タイヤ製造における主な関心事の一つは、タイヤの寿命を増大させる事に在る。特に、ゴム組成物、金属又は繊維強化材及びこれらの混合物と強化材との間の界面の酸化処理に関して、耐久性を増加させる事が重要である。
これらの酸化現象を減少させる為の方法の一つは、インフレーション空気又は外部空気から入って来て、酸化に特に敏感なタイヤの帯域に到達する酸素の量を制限する事である。この様に、長きにわたって、酸素に対して不浸透性のブチルゴム層が、タイヤの内壁に対して使用されてきた。残念ながら、このブチルゴムは全体的には不浸透性ではなく、長期間タイヤの塊の中を通過する酸素の流れが、たとえ減少されたとしても、避ける事が望ましい酸化現象の原因となっている。
ブチルゴムよりも更に空気を通さないその他の材料は、例えば、米国特許第5,236,030号明細書、第4,874,670号明細書、第5,036,113号明細書、EPA337279号明細書、米国特許第5,040,583号明細書及び第5,156,921号明細書に開示されている様に、この目的の為に提案されている。然しながら、これらの材料は高価であり、タイヤでのそれらの使用は多くの問題を引起す。
【0002】
酸化の問題を避ける為のその他の方法は、主たる酸素源と、酸化現象から保護される事が望まれる帯域との間に配置された緩衝域として働くゴム組成物の促進熱酸化によって酸素を化学的に捕捉する事から成る。例えば、その様な緩衝組成物は、特に重量車両に取付けられるタイヤにおいては、ブチルゴムで被覆しても良いタイヤの内側面と、インフレーション空気からカーカスプライ(carcass ply)との接触の為に入ってくる酸素の量を減少させる為のカーカスプライとの間に配置されても良い。酸素の固定を促進する為に、これらの緩衝組成物中に、酸化を触媒する金属塩、特にコバルト塩を使用する事は公知である。この塩の効果は、前述の酸化現象の原因となるエージングによって生成される過酸化物の均等な分解を活性化する事に在る。この塩は、緩衝組成物中のエラストマー100質量部当りコバルトの当量で0.2〜0.3質量部の量で導入する事が好ましい。この様に、この緩衝組成物によって捕捉出来る酸素の量は、コバルト塩無しの同じ組成物と比較して、約50〜100%増加する。残念ながら、経験から、酸化に関する対応の仕方でのこの改善は、導入されるコバルト塩の著しい量の結果として、緩衝組成物のヒステリシス損失の主要な増加をもたらす事が分かった。ヒステリシス損失でのこの増加は、第一に、組成物の自己加熱と言う結果になり、従って寿命が短縮され、この事は所期の目的に反し、更に、ローリング抵抗の増加をもたらす事となり、これは又、製造業者の目的が、燃費を出来る限り減少させる為にローリング抵抗を制限する事に在る事からして避けられねばならない事である。
【0003】
これらの理由の為に、緩衝組成物の使用は、どんなに魅力的であっても、期待以上の開発が為されていなかった。
EPA507207は、パッケージ層中に含まれる緩衝エラストマー組成物の方法によって酸素を捕捉する方法を開示している。この緩衝組成物は、特に、酸素固定を活性化する為の遷移金属塩の存在を特徴とする。上述の様に、そこに開示された好ましい金属塩はコバルト塩である。補足的に、マンガン或いは鉄の様なその他の金属が考慮されるが、特定化された塩に関するものではない。
【0004】
(発明の開示)
本発明者は、ゴムベース製品であって、前記ゴムベース製品の少なくとも一つの感応帯を酸化から保護する為に前記ゴムベース製品に対する外部酸素を捕捉する為の少なくとも一つの緩衝域を含み、前記の又は各緩衝域が、前記組成物における酸化を活性化する為の少なくとも一種の鉄(III)塩を含む少なくとも一種のエラストマーをベースとした組成物を含むタイプのゴムベース製品を得る為に、これらの緩衝組成物中において、コバルト塩に代えて特定の鉄塩を使用する事によって上記欠点が大いに減少され得る事を予想外に見出した。更に正確には、本発明の製品は、前記塩が鉄(III)アセチルアセトネート及び式、
Fe(Cn2n23 (式中、nは6〜23である)
を有するカルボン酸の鉄(III)塩から成る群に属するものである。
【0005】
前記塩は、鉄(III)アセチルアセトネート、鉄(III)ヘキサノエート、鉄(III)2−エチルヘキサノエート又は鉄(III)ラウレートが好ましい。
この式に相当する酸の鉄(III)塩は、次のカルボン酸の塩である:ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸及びトリコサン酸。
本発明の一実施態様によれば、前記塩は、鉄(III)アセチルアセトネート及び式:
Fe(Cn2n23 (式中、nは13〜23である)
を有する脂肪酸の鉄(III)塩から成る群に属する。
更に好ましくは、前記鉄(III)塩は、鉄(III)ステアレート又は鉄(III)パルミテートである。
好ましくは、組成物中の鉄(III)化合物の量は、鉄当量で0.01〜0.02pceである。ここで、「pce」とは、組成物中に存在する全エラストマー100質量部当りの質量部を示す。
【0006】
本発明の組成物は、天然又は合成ゴム、又はこれらのゴムの二種以上のブレンドをベースとする。本発明の組成物で使用する事の出来る合成ゴムの例としては、ポリイソプレン、ポリブタジエンの様なジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリイソブチレンの様なモノオレフィンゴム、スチレン−ブタジエン又はスチレン−ブタジエン−イソプレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー及びエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーが挙げられる。合成ゴムでは、ジエンゴムが好ましく、特に、4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られるホモポリマー、一種以上の共役ジエン相互、又は8〜20個の炭素原子を有するビニル芳香族化合物との共重合によって得られるコポリマーが好ましい。
適当な共役ジエンとしては、特に、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジ(C1〜C5アルキル)−1,3−ブタジエン、例えば、2,3−ジメチル−及び2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン等が挙げられる。
【0007】
適当なビニル芳香族化合物としては、特に、スチレン、オルト−、メタ−及びパラ−メチルスチレン、市販混合物の「ビニル−トルエン」、パラ−t−ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
コポリマーは、例えば、99質量%〜20質量%のジエン単位と1質量%〜80質量%のビニル芳香族単位を含んでも良い。
ポリマーはミクロ構造を有しても良く、これは、使用される重合条件、特に、変性及び/又はランダム化剤の有無及び使用される変性及び/又はランダム化剤の量の関数である。ポリマーは、ブロック、ランダム、順次、ミクロ順次等のポリマーであっても良く、分散又は溶液中で調製されても良い。
好ましい合成ジエンゴムは、ポリブタジエンであり、特に、4%〜80%の1,2−単位の含有量を有し、90%より多いシス−1,4結合を有するポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレンコポリマー、特に、5〜50質量%、好ましくは20〜40質量%のスチレン含有量、4%〜65%のブタジエン部分の1,2−結合含有量と30%〜80%のトランス−1,4結合含有量で、芳香族化合物の全含有量が5%〜50%でガラス転移温度(Tg)が0℃〜−80℃を有し、特に、25〜30質量%のスチレン含有量、55%〜65%のブタジエン部分のビニル結合含有量、20%〜25%のトランス−1,4単位の含有量及び−20℃〜−30℃の転移温度を有するものである。
【0008】
ブタジエン−スチレン−イソプレンコポリマーの場合は、スチレン含有量が5質量%〜50質量%、特に、10質量%〜40質量%、イソプレン含有量が15質量%〜60質量%、特に、20質量%〜50質量%、ブタジエン含有量が5質量%〜50質量%、特に、20質量%〜40質量%、ブタジエン部分の1,2単位の含有量が4%〜85%、ブタジエン部分のトランス−1,4単位の含有量が6%〜80%、イソプレン部分の1,2+3,4単位の含有量が5%〜7%、及びイソプレン部分のトランス−1,4−単位の含有量が10%〜50%のものが適当である。
合成ゴムは、カップリング及び/又は星状化又は官能化剤で、カップリング及び/又は星状化又は官能化しても良い。
これらのゴムは、例えば、硫黄、過酸化物、ビス−マレイミド等の公知の剤で加硫及び/又は網状化しても良い。
本発明の組成物は、通常の充填剤及び添加剤、例えば、カーボンブラック、シリカ、ステアリン酸、強化樹脂、珪酸、酸化亜鉛、活性剤、顔料、加硫促進剤又は遅延剤、老化防止剤、復元防止剤、耐酸化剤、オイル又は種々の加工剤、粘着樹脂、金属に対する接着促進剤、耐酸化ワックス、結合剤及び/又はシリカ用被覆剤等を含む。
【0009】
本発明の組成物は、極めて広範囲の用途で使用しても良く、多数のゴム製品、特に、例えば、タイヤにおいて、酸素源、特にインフレーション空気又は外部空気と、タイヤ中にあって保護されるべき帯域との間の緩衝組成物として使用しても良い。例えば、これらの組成物は、内側ゴムとカーカスプライとの間、カーカスプライとクラウンプライとの間、クラウンプライとトレッドとの間、カーカスプライと側壁との間の内側ゴム内で、或いは、側壁外側として使用する事が出来る。
本発明の鉄化合物の使用は、ゴム工業での鉄化合物の公知の使用、例えば、ゴムの混練(解凝固性)又はリサイクルの為の脱硫を促進する為の酸化塩の公知の使用とは非常に異なるものである。これらの用途に就いては、例えば、米国特許第3,324,100号明細書、EPA−157079及びRUA−2014339に記載されている。
本発明のゴムベース製品を得る為の方法は、前記鉄(III)塩を、前記組成物に含まれるエラストマー中に機械的作業によって混入して、前記の又は各緩衝帯域を得る事を含む。
本発明のその他の特徴によれば、前記組成物を強化する為の充填剤と同時に前記エラストマー中に前記鉄(III)塩を混入する事を含む。
タイヤのローリング抵抗を減少させる為の本発明方法は、前記タイヤを形成する一種以上のエラストマー中に、機械的作業によって上記定義の鉄(III)塩を混入する事から成る。
【0010】
本発明は、以下の非限定的実施例の助けによって容易に理解されるであろう。
これらの実施例は、本発明による実施例か、或いは、金属化合物無しの組成物又はコバルト塩を伴う組成物又は、本発明の範囲内で選ばれる群には含まれない鉄化合物を伴う組成物を使用する本発明によらない実施例のいずれかである。
鉄又はコバルト化合物の促進酸化 (pro-oxidising) の有効性は、この化合物を熱酸化エージングに掛ける事によって評価される。次いで、この酸素摂取は、元素分析によって測定され、機械的性質、例えば、弾性率、ヒステリシス損失及び破断特性が決定される。
テストは、以下の条件の下で行われる。
加硫
特に指示がある以外は、全てのテストは、150℃で10分間の硬化によって加硫されたサンプルについて行われた。
熱的酸化エージング
65℃〜85℃の温度の換気オーブンが使用された。これらの温度は、タイヤの作動中の温度範囲を代表するものである。
ヒステリシス損失
ヒステリシス損失又はヒステリシス(HI)の測定は、6回の衝撃において、測定されて課せられたエネルギーに関する回復による、60℃でのエネルギー損失である。この値は%で表示され、供給されたエネルギーと、供給されたエネルギーに関する回復されたエネルギーとの間の差である。測定される損失の為の変形は40%である。
【0011】
引張りテスト
10%伸び(M10)及び100%伸び(M100)での伸びの弾性率は、ISO標準37により測定された。
スコット破断指数
破断応力(Bs)は、MPa及び破断点伸び(Eb)%で測定された。全てこれらの引張り測定は、ISO標準37による温度及び湿度の標準条件下で行われた。
【0012】
実施例
以下の実施例で、密閉式ミキサーと外部ミキサーとでそれ自体公知の方法で製造された次のベース組成物が使用され、表中の数字は全て質量部であり、鉄(III)塩は、密閉式ミキサー、例えばバンバリーに、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸及び6PPDと同時に導入された。
【0013】
【表1】
Figure 0004374136
DCBS:N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド。
6PPD:N−1,3−ジメチルブチル−N′−フェニル−パラフェニレンジアミン。
このベース組成物を出発材料として、次の組成物を調製した。
対照の組成物:
組成物T1:金属誘導体無しのベース組成物。
組成物T2:更に、コバルトナフテネートを、コバルトの当量で0.25pce含有するベース組成物。
組成物T3:更に、鉄(III)フマレートを、鉄の当量で0.25pce含有するベース組成物。
組成物T4:更に、鉄(III)グルコネートを、鉄の当量で0.25pce含有するベース組成物。
組成物T5:更に、鉄(III)シトレートを、鉄の当量で0.25pce含有するベース組成物。
【0014】
本発明の組成物:
組成物I1:更に、アセチルアセトネート第二鉄を、鉄の当量で0.02pce含有するベース組成物。
組成物I2:更に、ステアレート第二鉄を、鉄の当量で0.01pce含有するベース組成物。
組成物I3:更に、2−エチルヘキサノエート第二鉄を、鉄の当量で0.02pce含有するベース組成物。
組成物I4:更に、ラウレート第二鉄を、鉄の当量で0.02pce含有するベース組成物。
組成物I5:更に、パルミテート第二鉄を、鉄の当量で0.02pce含有するベース組成物。
組成物I6:更に、ヘキサノエート第二鉄を、鉄の当量で0.02pce含有するベース組成物。
【0015】
実施例1
これらの組成物を用いて、M10とM100の伸び弾性率を、ヒステリシス損失(又はヒステリシス)と同様に決定した。結果は以下の表1で与えられる。
【0016】
【表2】
表1
Figure 0004374136
この表は、鉄塩は、本発明の組成物においては、コバルト化合物よりもベース組成物の特性の変更が少なく、ヒステリシス損失は、コバルト化合物を含む対照組成物T2では著しく高い事を示す。
【0017】
実施例2
この実施例の目的は、対照組成物のT1とT2との比較において、65℃で10週間又は85℃で2週間の熱的酸化後に、酸素を固定する為の本発明の組成物I1、I2、I3、I4、I5及びI6の適性を証明する為のものである。
これらの熱的酸化テストの結果は、以下の表2で示され、各熱的酸化温度に対して固定された酸素が質量%で与えられる。
【0018】
【表3】
表2
Figure 0004374136
表2は、本発明の組成物は、公知のコバルト組成物(T2)で得られる酸素固定と同様の酸素固定を可能とし、この酸素固定は、鉄無しの又はコバルト化合物(T1)の対照の組成物よりも顕著に大きい事を示す。
促進酸化用として文献に記載されているその他の金属塩を含むベース組成物であって、対照組成物T2に関して等モル量の金属が存在する量で、例えば、マンガン(II)又は(III)塩、特に、マンガン(II)のカーボネート、アセテート又はアセチルアセトネート、マンガン(III)のアセチルアセトネート、モリブデン(IV)塩、特に、モリブデン(IV)硫化物及び酸化物、銅(II)塩、特に、銅(II)の水酸化物、カーボネート、ステアレ−ト、アセテート又はアセチルアセトネート、クロム(III)塩、特にクロムのアセチルアセトネート、硫酸セリウム(IV)が導入されたベース組成物は、金属塩無しの対照組成物T1と同様の結果、即ち、85℃で1.0〜1.3質量%の酸素固定を示した。
【0019】
実施例3
この実施例の目的は、コバルト化合物を含有する対照組成物のT2との比較において、実施例2に記載の熱的酸化処理後に、本発明の組成物I1、I3、I4、I5及びI6の弾性率及び破断特性並びにヒステリシスを検証する為のものである。
結果は表3及び4で与えられ、各組成物に対して、熱的酸化処理前の同じ組成物に関して異なるパラメーターの値の評価を示す。表3は、65℃での処理に対する評価を与え、表4は85℃での処理に対する評価を与える。
【0020】
【表4】
表3
Figure 0004374136
【0021】
【表5】
表4
Figure 0004374136
これらの表は、本発明の組成物(I1)と公知の組成物(T2)の評価がほぼ同じ程度であるが、本発明の組成物のヒステリシス損失は、対照のT2よりはなお改善されている事を示す。
【0022】
実施例4
この実施例は、本発明の組成物(I2)が、組成物(I1)の代りに使用された以外は実施例3と同様に行われた。結果は表5で、65℃での処理及び85℃での処理として与えられ。
【0023】
【表6】
表5
Figure 0004374136
【0024】
【表7】
表6
Figure 0004374136
この実施例からの結論は、実施例3と同じである。
【0025】
実施例5
この実施例の目的は、鉄化合物を含有する、本発明の組成物ではない組成物で固定された酸素の量を検証するものである。
酸素固定テストは、対照組成物のT1〜T5について実施例2と同じ条件下で行われた。結果を以下の表7において、表2の結果と同様の表示で示す。
【0026】
【表8】
表7
Figure 0004374136
この結果から、本発明のものではない鉄化合物を含有する対照組成物T3〜T5は、コバルト誘導体を含有する対照組成物T2よりも少ない酸素固定能力を有し、金属塩無しの組成物T1の能力と同水準である事が認められる。
【0027】
実施例6
この比較実施例の目的は、タイヤでの本発明の組成物の使用の利点を証明するものである。
寸法が315/80R22.5の重量車両用のタイヤの内側から外側を、公知の方法で製造した。
加圧空気を含ませる為の内側キャビティーを形成するゴム層であって、タイヤの静止に対して空気の出口を制限する為に空気に対して低浸透性であるゴム層で、これを「内側ゴム」と称する;
内側キャビティーからやってくる酸素を捕捉する為のゴムの緩衝組成物;
カーカスプライ;
トレッド。
カーボンブラックN326に代えてカーボンブラックN772を使用した以外は、先の実施例のベース組成物をこの緩衝組成物の為に使用した。
このベース組成物を出発材料として、次の組成物を製造した:
対照組成物T6:更に、コバルトナフテネートの、コバルト当量で0.25pceを含有するベース組成物。
本発明I3の組成物:更に、第二鉄アセチルアセトネートの、鉄当量で0.02pceを含有するベース組成物。
これらの組成物を、それ自身公知の方法で加硫し、二つの組成物のM10、M100の伸び弾性率及びヒステリシス損失を決めた。結果は表8で与えられる。
【0028】
【表9】
表8
Figure 0004374136
以前に示した通り、本発明は、ヒステリシス損失の減少を実質的に可能とする。
組成物T6を含有する三つの対照タイヤと組成物I3を含有する三つのタイヤを製造し、それら全てのタイヤのローリング抵抗をISO標準9948によって評価した。以下の結果は(kg/tonneで表示される)、各範疇のタイヤの三回測定の平均である。
Figure 0004374136
この結果から、本発明のI3組成物は、タイヤのローリング抵抗を実質的に減少させる事が出来る事が認められる。
要するに、本発明は、
実質的に同じ酸素固定特性を維持しながら、ゴム組成物中の金属含有量を著しく減少させる;
ゴム組成物のヒステリシス損失を顕著に減少させ、特に、タイヤのロ−リング抵抗を減少させ、耐久性を改善する、
事を可能とする。
勿論、本発明は先に記載された実施例に限定されるものではない。

Claims (13)

  1. 少なくとも一つのゴムベース製品で形成されたタイヤであって、前記ゴムベース製品が、前記製品の少なくとも一つの感応帯を酸化から保護する為に、前記製品に対して外部の酸素の捕捉を提供する少なくとも一つの緩衝帯を含み、前記の又は各緩衝帯が、少なくとも一種のエラストマーをベースとした組成物を含み、該エラストマーが前記組成物中での酸化を活性化する為の少なくとも一種の鉄(III)塩を含有し、前記塩が、鉄(III)アセチルアセトネート及び式、
    Fe(Cn2n23(式中、nは6〜23である)
    を有するカルボン酸の鉄(III)塩から成る群に属する事を特徴とするタイヤ
  2. 前記塩が、鉄(III)アセチルアセトネート及び式、
    Fe(Cn2n23(式中、nは13〜23である)
    を有する鉄(III)脂肪酸塩から成る群に属する、請求項1に記載のタイヤ
  3. 前記塩が、鉄(III)アセチルアセトネートである請求項1に記載のタイヤ
  4. 前記塩が、鉄(III)ヘキサノエートである請求項1に記載のタイヤ
  5. 前記塩が、鉄(III)2−エチルヘキサノエートである請求項1に記載のタイヤ
  6. 前記塩が、鉄(III)ラウレートである請求項1に記載のタイヤ
  7. 前記塩が、鉄(III)ステアレートである請求項2に記載のタイヤ
  8. 前記塩が、鉄(III)パルミテートである請求項2に記載のタイヤ
  9. 前記組成物中の前記鉄(III)塩の量が、鉄当量で0.01〜0.02pceである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のタイヤ
  10. 請求項1に記載のタイヤであって、前記タイヤが、内側ゴム、ビードワイヤーからビードワイヤーへと伸びるカーカスプライ、クラウンプライ、少なくとも一つのビードワイヤーを含むビード中で終わる側壁及びトレッドを含むタイヤであって、前記又は各緩衝帯を含む前記組成物が、次の位置の少なくとも一つを占める事を特徴とするタイヤ:
    1)前記内側ゴムの内側に放射状に、2)前記内側ゴムと前記カーカスプライとの間、3)前記カーカスプライと前記クラウンプライとの間、4)前記クラウンプライと前記トレッドとの間、5)前記カーカスプライと前記側壁との間、6)前記側壁の外側の中又は上、又は7)前記トレッドの外側の中又は上の位置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の少なくとも一つのゴムベース製品で形成されたタイヤの製造方法であって、前記鉄(III)塩を、前記組成物まれるエラストマー中に機械的作業によって混入し、前記の又は各緩衝帯を得る事を特徴とする方法。
  12. 前記製品が強化充填剤を含み、前記組成物を強化する為の充填剤と同時に前記鉄(III)を前記エラストマーに混入する、請求項11に記載の方法。
  13. タイヤのローリング抵抗を減少させる方法であって、前記タイヤを形成する一種以上のエラストマーに、請求項1〜9のいずれか一項に定義された鉄(III)塩を、機械的作業によって混入する事を特徴とする方法。
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