JPH1077362A - カーボンブラック用表面処理剤 - Google Patents

カーボンブラック用表面処理剤

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JPH1077362A
JPH1077362A JP9180112A JP18011297A JPH1077362A JP H1077362 A JPH1077362 A JP H1077362A JP 9180112 A JP9180112 A JP 9180112A JP 18011297 A JP18011297 A JP 18011297A JP H1077362 A JPH1077362 A JP H1077362A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補強性にすぐれ、かつ分散性が良好で加工性
がよく、しかもゴムなどのマトリックスポリマーとの結
合力の強いカーボンブラックの表面処理剤をうること。 【解決手段】 分子量1,000〜100,000の低
分子量ジエン系重合体を主鎖とし、該主鎖がジエンユニ
ットに対して0.25〜20モル%のアミノ基含有側鎖
を少なくとも主鎖の末端以外の部分に有しているアミノ
基含有低分子量ジエン系重合体からなるカーボンブラッ
ク用表面処理剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーボンブラック
用表面処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラックはプラスチックやゴム
の補強用の充填剤として従来より広く使用されている。
【0003】近年、ゴムの品質たとえば耐摩耗性に対す
る要求が高くなり、カーボンブラックも高補強性を有す
る高比表面積のものを配合するようになってきている。
【0004】しかし、高比表面積のカーボンブラックは
ゴム組成物中のゴム成分と結合しにくく、そしてカーボ
ンブラック粒子同士の凝集が起こりやすい。そのため、
ゴム成分中に均一に分散させることが容易ではなく、通
常の加工条件では目的とする補強効果が充分えられず、
また、均一に分散させようとすると大量の混練りエネル
ギーが必要となり生産性が低下してしまう。
【0005】とくにタイヤの分野では、機械的強度と同
時に低燃費性(低損失係数)が要求されるが、高比表面
積のカーボンブラックを配合してタイヤの機械的強度を
向上させるとタイヤの損失係数(tanδ)が大きくな
り燃費が高くなってしまう。
【0006】そこで高比表面積のカーボンブラックのゴ
ム成分への分散性を改善する方法として、カーボンブラ
ック粒子の表面を改質する方法が提案され、一部実施さ
れている。
【0007】たとえば特公昭45−5643号、特公昭
58−24462号および特公昭43−30417号各
公報ならびに米国特許第3282719号明細書では、
油状物質ないし高分子物質を添加してカーボンブラック
粒子同士の凝集力を低下させる技術が提案されている。
しかし、この技術は高比表面積のカーボンブラックには
効果が少なく、また、タイヤにおける機械的特性の向上
と低燃費性とを両立できない。
【0008】また高比表面積のカーボンブラック粒子の
表面に存在する極性基、たとえば水酸基、カルボキシル
基、カルボニル基などに着目し、それらの極性基と親和
性をもつ化合物で表面処理することにより、マトリック
スポリマーへの分散性を改善する試みも提案されている
(たとえば特開昭62−250042号、特開昭62−
250073号、特開平1−152165号、特開平1
−284564号各公報)。
【0009】これらのうち特開昭62−250042号
および特開昭62−250073号各公報記載の技術
は、ゴム老化防止剤であるアミン系化合物でカーボンブ
ラック粒子の表面を処理する技術であり、カーボンブラ
ックの分散性は改善され、えられるゴムの機械的特性も
幾分向上する。しかし、マトリックスポリマーとの親和
性が不充分である。さらに、タイヤの分野での低燃費性
の点でも不充分である。
【0010】特開平1−152165号および特開平1
−284564号各公報記載の技術は、カーボンブラッ
ク粒子の表面極性基と親和性を有する官能基含有飽和高
分子化合物でカーボンブラック粒子を表面処理するもの
であり、飽和高分子鎖部分でマトリックスポリマーとの
親和性の向上を図ろうとする技術である。しかし、いず
れも飽和高分子鎖部分のマトリックスポリマーへの化学
的親和性を利用するものであり、ゴムなどのマトリック
スポリマーと化学的に結合するものではない。そのた
め、マトリックスポリマーとの結合力が不充分となるこ
とがあり、とくにタイヤの分野では低燃費性を改善する
(損失係数を低める)効果が充分とはいえない。
【0011】さらに、ゴムなどのマトリックスポリマー
と化学的に結合させることが、特開平6−100730
号公報で提案されているが、官能基が分子鎖の片末端に
しかなく、充分な改善効果がえられてはいない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来技術を検討
し、さらに研究を重ねた結果、補強性にすぐれかつ分散
性が良好で加工性がよく、しかもゴムなどのマトリック
スポリマーとの結合力の強いカーボンブラックの表面処
理剤は、(1)カーボンブラック粒子表面の酸性官能基
と相互作用をもち、カーボンブラック粒子に結合しうる
官能基を有すること、(2)カーボンブラックと強い相
互作用をうるためには該官能基の数を多くすること、
(3)マトリックスポリマー、たとえばジエン系ゴムと
強固な結合を生ずる反応性部分を有すること、(4)加
工性の点から(3)の反応性部分は混練りなどの加工時
には反応しないこと、(5)カーボンブラックとの反応
性の点から全体の分子量が比較的小さいこと、が必要で
あると考え、これらの性質を有するものとして、アミノ
基含有低分子量ジエン系重合体を見出し、本発明を完成
した。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、分子量1,0
00〜100,000の低分子量ジエン系重合体を主鎖
とし、該主鎖がジエンユニットに対して0.25〜20
モル%のアミノ基含有側鎖を少なくとも主鎖の末端以外
の部分に有しているアミノ基含有低分子量ジエン系重合
体からなるカーボンブラック用表面処理剤に関する。
【0014】また、本発明は、前記アミノ基含有低分子
量ジエン系重合体(以下、「低分子量ジエン系重合体」
ともいう)と水素結合しているカーボンブラック(以
下、「表面処理カーボンブラック」ともいう)に関す
る。
【0015】また、本発明は、ジエン系ゴムを含むゴム
成分と表面処理カーボンブラックが配合されてなるゴム
組成物に関する。
【0016】さらに、本発明は、前記カーボンブラック
用表面処理剤、ジエン系ゴムを含むゴム成分およびカー
ボンブラックが配合されてなるゴム組成物にも関する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のカーボンブラック用表面
処理剤においては、該表面処理剤を構成するアミノ基含
有低分子量ジエン系重合体が、アミノ基の部分で、水酸
基、カルボキシル基、カルボニル基および/またはキノ
ン基などの官能基をその表面に有するカーボンブラック
と水素結合する。すなわち、本発明においてカーボンブ
ラックを表面処理するということは、表面処理剤を構成
する前記低分子量ジエン系重合体をカーボンブラックと
水素結合させることをいう。
【0018】したがって、本発明における表面処理され
たカーボンブラックのもつカーボンブラック粒子同士の
凝集力は、表面処理前に比べて弱まる。そして表面処理
カーボンブラックは、カーボンブラック粒子の表面に水
素結合している低分子量ジエン系重合体と親和性を有す
るマトリックスポリマー中において良好な分散性を示
す。
【0019】また、カーボンブラックと結合した前記低
分子量ジエン系重合体はその炭素−炭素二重結合部分で
マトリックスポリマーと化学的に結合しうる。つまり、
カーボンブラックは低分子量ジエン系重合体を介してマ
トリックスポリマーと結合しうる。
【0020】このようなマトリックスポリマーとして
は、前記低分子量ジエン系重合体の炭素−炭素二重結合
部分と化学的に結合しうるものであればよく、加硫活性
基をもつ各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のほか、た
とえばスチレン−ブタジエンブロック共重合体、1,2
−ポリブタジエン、トランスポリイソプレン、各種ジエ
ン系ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、EPD
Mなどのゴムがあげられ、とくにタイヤの分野で使用さ
れている炭素−炭素二重結合をもつジエン系ゴムが表面
処理剤の低分子量ジエン系重合体鎖と親和性があり、か
つ両者の炭素−炭素二重結合部分で化学的に結合しうる
という点で適している。ジエン系ゴムとしては、たとえ
ば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソ
プレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SB
R)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)な
どがあげられる。これらは単独でまたは任意に組合せて
用いてもよい。
【0021】本発明の表面処理剤で表面処理されたカー
ボンブラックはタイヤの分野に用いると有効である。従
来、とくにジエン系ゴムをそのゴム成分とするタイヤ用
のゴム組成物に従来のカーボンブラックを添加したばあ
い、前述したように、えられるタイヤに機械的特性の向
上は認められるが燃費が高くなる。しかし、本発明の表
面処理剤で表面処理されたカーボンブラックを用いる
と、その理由は明らかではないが、機械的特性および低
燃費性の両方にすぐれたタイヤをうることができる。
【0022】また、本発明のカーボンブラック用表面処
理剤を構成するものとして炭素−炭素二重結合を有する
低分子量ジエン系重合体を選択したのは、マトリックス
ポリマーとの混練りなどの加工時には反応しにくく、良
好な加工性が確保できる点を考慮してのことである。マ
トリックスポリマーと低分子量ジエン系重合体とを化学
的に結合させる手段としては、マトリックスポリマーが
熱可塑性樹脂のばあいはイオウまたはフェノール樹脂系
加硫剤による加硫という方法など、ジエン系ゴムなどの
ばあいはイオウによる加硫などの方法があげられる。と
くに、マトリックスポリマーがジエン系ゴムであるタイ
ヤの分野では、ジエン系ゴムをイオウで加硫する際に本
発明の表面処理剤中の不飽和基とジエン系ゴムとの架橋
も生じるので、特別の反応工程を加えることなく強固な
結合がえられる。
【0023】本発明のカーボンブラック用表面処理剤を
構成するアミノ基含有低分子量ジエン系重合体の低分子
量ジエン系重合体とは、ジエン系単量体としてたとえば
ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどの
共役ジエンをそれぞれ単独でまたは任意に組合せて、ま
たはスチレン、アクリロニトリルなどを共単量体成分と
して含む低分子量の重合体である。このような低分子量
ジエン系重合体としては、液状ポリイソプレン、液状イ
ソプレン−スチレン共重合体、液状ポリブタジエン、液
状イソプレン−ブタジエン共重合体、液状スチレン−ブ
タジエン共重合体、液状アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体などがあり、ジエン系ゴムとなじむという点か
ら液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエンが好まし
く、さらに強度を出すという点から液状ポリイソプレン
がとくに好ましい。
【0024】低分子量ジエン系重合体の分子量は、分子
量が小さすぎるととくにえられるタイヤの機械的特性向
上および低燃費性の両立が図れず、大きすぎると粘度が
高くなってカーボンブラックと反応しにくくなり、カー
ボンブラックの表面処理の作業効率が低下するという点
から、1,000〜100,000、さらに粘度が適当
で作業上の取扱いがよいという点から好ましくは3,0
00〜80,000、さらにタイヤの機械的特性と低燃
費性の両立という点からとくに好ましくは5,000〜
50,000であるのがよい。
【0025】また、本発明においては、該低分子量ジエ
ン系重合体にアミノ基を導入することにより、該アミノ
基部分がカーボンブラックの有する水酸基、カルボキシ
ル基、カルボニル基および/またはキノン基などの酸性
の官能基部分と水素結合する。
【0026】本発明のアミノ基含有低分子量ジエン系重
合体は、カーボンブラックと水素結合するための官能基
の数が多いほうがいいという点、該低分子量ジエン系重
合体とジエン系ゴムなどのマトリックスポリマーとの化
学的結合を妨げない(たとえば加硫特性を低下させな
い)、またマトリックスポリマーとの混練り時の加工性
を低下させないという点から、主鎖を構成するジエンユ
ニットに対して0.25〜20モル%、とくに粘度の上
昇による加工性の低下を防ぐという点から好ましくは
0.5〜15モル%、さらにスコーチタイムをある程度
長くするという点からとくに好ましくは1〜10モル%
のアミノ基を含むのがよい。
【0027】また、構造的には、低分子量ジエン系重合
体の主鎖および/または側鎖を構成する炭素原子上の水
素原子がアミノ基で直接に置換されているばあい、炭素
数1〜6のアルキレン基を介してアミノ基を有するばあ
い、イオウ原子および/または酸素原子と炭素数1〜6
のアルキレン基とを介してアミノ基を有するばあいなど
が考えられる。
【0028】低分子量ジエン系重合体へのアミノ基の導
入方法としては、通常用いられる方法であればよく、何
ら限定されないが、低分子量ジエン系重合体にアミノ基
を有する化合物を結合させてもよいし、アンモニアなど
を作用させてアミノ基を導入してもよい。
【0029】具体的には、たとえば、まず低分子量ジエ
ン系重合体をキシレンまたはトルエンなどの有機溶媒に
溶解させてえられる溶液に、システアミンまたはアミノ
チオフェノールなどの第1級アミン、エチルチオ尿素な
どの第2級アミン、ジエチルチオ尿素などの第3級アミ
ンを単独でまたは任意に組合せて混合する。この混合液
を窒素またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中、60
〜160℃で30〜120分間攪拌して低分子量ジエン
系重合体とアミンとを付加反応させる。ついで、反応後
の溶液を自然放冷などにより室温にまで冷却した後、水
の中にあけてギ酸、塩酸または炭酸水素ナトリウムなど
の酸で中和し、再度水洗する。さらに、真空加熱乾燥で
有機溶媒を除去して目的の化合物をうるという方法があ
る。
【0030】低分子量ジエン系重合体へのアミノ基の他
の導入方法としては、水酸基含有低分子量ジエン系重合
体をキシレンまたはトルエンなどの有機溶媒に溶解させ
てえられる溶液にチオニルクロライドなどを添加し、該
混合液を80〜140℃で30〜120分間還流させ
る。ついで該混合液を自然放冷などにより室温にまで冷
却した後、水の中にあけて水洗を数回繰返す。つぎに、
洗浄後の混合液から分液漏斗で分取した有機層に、アン
モニアガスをアンモニア水から発生させるという方法で
通し、低分子量ジエン系重合体とアンモニアとを反応さ
せた後、該混合液を水の中にあけて前記酸、水の順に洗
浄する。さらに、真空加熱乾燥で有機溶媒を除去して目
的の化合物をうるという方法もある。
【0031】本発明に用いるカーボンブラックとして
は、前記表面処理剤を構成するアミノ基含有低分子量ジ
エン系重合体のアミノ基部分と化学的に結合する水酸
基、カルボキシル基、カルボニル基および/またはキノ
ン基などの官能基部分を有していればよく、ファーネス
ブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、
サーマルブラック、ランプブラックのいずれかの種類の
ものを、単独でまたは任意に組合わせて用いてよい。
【0032】本発明によれば、比較的高比表面積のカー
ボンブラックも表面処理の対象としており、そのBET
比表面積は20〜200m2/g、表面処理されたカー
ボンブラックのマトリックスポリマー中での分散性がよ
いという点から好ましくは100〜200m2/g、さ
らに、表面処理されたカーボンブラックを含むゴム組成
物の機械的特性の向上という点からとくに好ましくは1
30〜200m2/gであるのがよい。BET比表面積
について、20〜200m2/gのカーボンブラックと
してはたとえばGPF、FEF、HAF、ISAF、S
AFなど、100〜200m2/gのカーボンブラック
としてはたとえばISAF、SAFなど、130〜20
0m2/gのカーボンブラックとしてはたとえばSAF
などがあげられる。
【0033】ヨウ素吸着量については30〜160mg
/g、好ましくは表面処理剤の効果が大きいという点か
ら80〜160mg/g、さらに好ましくは表面処理さ
れたカーボンブラックを含むゴム組成物の機械的特性の
向上という点から110〜160mg/gであるのがよ
い。ヨウ素吸着量について、30〜160mg/gのカ
ーボンブラックとしてはたとえばFEF、HAF、IS
AF、SAFなど、80〜160mg/gのカーボンク
ラックとしてはたとえばISAF、SAFなど、110
〜160mg/gのカーボンクラックとしてはたとえば
SAFなどがあげられる。
【0034】本発明の表面処理剤によるカーボンブラッ
クの表面処理の方法としては、表面処理剤をキシレンま
たはトルエンなどに溶解した溶液に、カーボンブラック
を添加し、攪拌、混合し、ついで真空乾燥により有機溶
媒を除去して沈殿物を乾燥させ、表面処理カーボンブラ
ックをうるという方法がある。また、ゴム組成物をうる
ことを前提にするなら、予めカーボンブラックを表面処
理しなくても、カーボンブラックおよび表面処理剤を別
々にゴム成分に配合し、混練りしながらカーボンブラッ
クを表面処理してもよい。
【0035】本発明のゴム組成物はジエン系ゴムを含む
ゴム成分を配合してなるが、そのジエン系ゴムの種類は
とくに限定されず、すべてのジエン系ゴムに対して本発
明の効果が奏される。一般的にタイヤ用ゴム組成物に用
いられるジエン系ゴム、たとえば前記のNR、BR、I
R、SBR、NBRなどの1種または2種以上があげら
れる。
【0036】また、本発明のゴム組成物には、通常用い
られるゴム用の添加剤、たとえばイオウなどの加硫剤、
加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛および/ま
たはステアリン酸などの添加剤などを、本発明の効果を
損なわない範囲で含んでよい。
【0037】本発明のゴム組成物は通常の方法で調製お
よび加硫されてもよい。
【0038】本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッド
用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物として用い
るとき、低燃費性、耐摩耗性に優れたタイヤを提供でき
る。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいて説明する
がこれらに限定されるわけではない。
【0040】製造例1(表面処理剤の調製) 低分子量ジエン系重合体として(株)クラレ製のLIR
−30(液状ポリイソプレン、分子量29,000)1
00gをキシレンに溶解させて10重量%の溶液をえ
た。該溶液にシステアミン11.7gを混合し、えられ
た混合液を窒素雰囲気中130℃で2時間攪拌して付加
反応をさせた。該混合液を自然放冷で室温にまで冷却し
た後、水の中にあけてギ酸で中和し再度水洗した。分液
漏斗を用いて有機層と水層を分離し、有機溶媒を除去し
て本発明の表面処理剤1をえた。
【0041】表面処理剤1のアミノ基含有量はそのジエ
ンユニットに対して2モル%であった。アミノ基含有量
の測定方法としては、プロトンNMRにおけるNH2
Hとポリイソプレン部のCH3のHの強度比より求める
という方法を用いた。
【0042】えられた表面処理剤の赤外スペクトル測定
および示差熱分析を行なった。赤外スペクトルでは16
00cm-1にアミノ基に起因する吸収がみられた。示差
熱分析では、システアミン単独のばあいは98℃付近に
融点に起因するピークがみられるが、本発明の表面処理
剤については98℃付近のピークが消失していた。した
がって、アミノ基が低分子量ジエン系重合体に導入され
たことが確認された。
【0043】製造例2(表面処理剤の調製) 用いたシステアミンの量を87.8gにしたほかは、製
造例1と同様にして本発明の表面処理剤2をえた。
【0044】表面処理剤2のアミノ基含有量はそのジエ
ンユニットに対して15モル%であった。アミノ基含有
量の測定は製造例1と同様にして行なった。
【0045】えられた表面処理剤の赤外スペクトル測定
および示差熱分析を行なった。赤外スペクトルでは16
00cm-1にアミノ基に起因する吸収がみられ、アミノ
基が低分子量ジエン系重合体に導入されたことが確認さ
れた。
【0046】製造例3(表面処理剤の調製) 低分子量ジエン系重合体として(株)クラレ製のLIR
−506(ヒドロキシル化液状ポリイソプレン、分子量
25,000、官能基数5.9 OH/1分子)100
gをキシレンに溶解させて10重量%の溶液をえた。該
溶液にチオニルクロライドを2.8g混合し、えられた
混合液を130℃で2時間還流させた。ついで前記混合
液を自然放冷で室温にまで冷却した後、水の中にあけ2
回水洗を行った。有機層を分取し、アンモニア水(28
%)からアンモニアを発生させて有機層にみちびき、1
30℃で2時間反応させた。ついで該混合液を水の中に
あけ、炭酸水素ナトリウムで中和し、水で洗浄し、分液
漏斗で水層と有機層を分離した。そして分取した有機層
から真空乾燥により有機溶媒を除去し、本発明の表面処
理剤3をえた。
【0047】表面処理剤3のアミノ基含有量はそのジエ
ンユニットに対して約6モル%であった。アミノ基含有
量の測定は製造例1と同様にして行なった。
【0048】えられた表面処理剤の赤外スペクトル測定
および示差熱分析を行なった。赤外スペクトルでは16
00cm-1にアミノ基に起因する吸収がみられ、アミノ
基が低分子量ジエン系重合体に導入されたことが確認さ
れた。
【0049】製造例4(表面処理剤の調製) 低分子量ジエン系重合体として(株)クラレ製のクラレ
プレンLIR−50(液状ポリイソプレン、分子量47
000)を用いたほかは、製造例1と同様にして本発明
の表面処理剤4をえた。
【0050】表面処理剤4のアミノ基含有量はそのジエ
ンユニットに対して2モル%であった。アミノ基含有量
の測定は製造例1と同様にして行なった。
【0051】えられた表面処理剤の赤外スペクトル測定
および示差熱分析を行なった。赤外スペクトルでは16
00cm-1にアミノ基に起因する吸収がみられ、アミノ
基が低分子量ジエン系重合体に導入されたことが確認さ
れた。
【0052】製造例5(表面処理剤の調製) 低分子量ジエン系重合体として出光石油化学(株)製の
LBR:Poly−bd R45M(液状ポリブタジエ
ン、分子量3000)を用いたほかは、製造例2と同様
にして本発明の表面処理剤5をえた。
【0053】表面処理剤5のアミノ基含有量はそのジエ
ンユニットに対して2モル%であった。アミノ基含有量
の測定は製造例1と同様にして行なった。
【0054】えられた表面処理剤の赤外スペクトル測定
および示差熱分析を行なった。赤外スペクトルでは16
00cm-1にアミノ基に起因する吸収がみられ、アミノ
基が低分子量ジエン系重合体に導入されたことが確認さ
れた。
【0055】表面処理剤1〜5の製造に用いた低分子量
ジエン系重合体、アミンおよび表面処理剤のアミノ基含
有量を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】比較製造例1(比較表面処理剤の調製) イソプレンモノマーをn−ブチルリチウムを開始剤とし
てn−ヘキサン中で重合させることにより、リビングポ
リマーを製造した後、重合活性末端に対して、10倍モ
ルの炭酸ガスを添加することにより、分子鎖の片末端に
COOLiを有するポリイソプレン(I)をえた。
【0058】えられた分子鎖の片末端にCOOLiを有
するポリイソプレン(I)を塩酸で洗浄して、片末端に
COOHを有するポリイソプレン(II)をえた。
【0059】ついで片末端にCOOHを有するポリイソ
プレン(II)をトルエンに溶解し、末端COOHに対し
て100倍モルのヒドラジンを反応させることにより、
分子鎖の片末端にNH2を有するポリイソプレン(比較
表面処理剤)をえた。
【0060】COOHからNH2への変換は、赤外吸収
スペクトルにより確認した。
【0061】実験例1 (表面処理カーボンブラックの製造)製造例1〜5でえ
た表面処理剤1〜5およびカーボンブラックとして三菱
化学(株)製のN110(SAFクラス:BET比表面
積163m2/g、ヨウ素吸着量140mg/g)を用
い、表面処理カーボンブラック1〜5をえた。表面処理
剤1〜5をキシレンにとかし、N110をその溶液につ
けたのち、室温で1日放置後、溶媒を真空乾燥してとば
して表面処理カーボンブラック1〜5をえた。
【0062】(ゴム組成物の製造)つぎに、天然ゴム8
0重量部および表2に示す配合割合で表面処理カーボン
ブラック1〜5を用い、イオウを除く他の配合剤ととも
にBR型バンバリーを用いて100℃で4分間の条件で
混練し、本発明のゴム組成物1〜5をえた。えられたゴ
ム組成物1〜5をオープンロール中に移し、イオウを混
合した後に150℃で30分間プレス加硫を行なった。
加硫後ゴム組成物1〜5をえた。
【0063】なお、前記混練時、すべてのゴム組成物に
他の配合剤としてステアリン酸を2重量部、酸化亜鉛を
3重量部、イオウを1.5重量部、および加硫促進剤と
して大内新興化学(株)製のノクセラー NS((N−
t−ブチル−2)−ベンゾチアゾリルスルフェンアミ
ド)を1重量部混練した。
【0064】ついで、本発明のゴム組成物1〜5を加硫
した加硫ゴム組成物1〜5について加工性、機械的特性
および低燃費性を調べるために以下の評価を行なった。
【0065】[評価方法]ムーニーテスト 130℃の条件でムーニー粘度(ML(1+4))およ
びスコーチ時間(分)を測定した。結果を表2に示す。
ムーニー粘度が小さければ小さいほど加工性が良好であ
り、スコーチ時間が短ければ短いほど未加硫ゴムの取扱
いがむずかしくなる。
【0066】引張り試験 JIS K6301の規格にもとづいて300%伸び時
の引張応力(M300)(MPa)、引張強さ(Tb)
(MPa)および破断伸び(Eb)(%)を測定した。
結果を表2に示す。
【0067】硬さ試験 JIS K6301の規格にもとづいて、硬さを測定し
た。結果を表2に示す。
【0068】粘弾性試験 岩本製作所(株)製の粘弾性スペクトロメーター VE
Sを用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%
の測定条件で粘弾性(E*)(MPa)および損失係数
(tanδ)を測定した。結果を表2に示す。損失係数
が小さいほど低燃費性である。
【0069】摩耗性試験 ランボーン試験機を用いて、温度23℃、スリップ率2
0%、試験時間5分間の測定条件で摩耗量を測定し、後
述する比較ゴム組成物1の摩耗量を100としたときの
指数で表した。結果を表2に示す。指数が大きいほど耐
摩耗性にすぐれている。
【0070】トルエン膨潤度 40℃のトルエン中に、加硫ゴム組成物を48時間浸漬
し、膨潤前後の体積変化を調べ、次式によりトルエン膨
潤度を求めた。
【0071】トルエン膨潤度(%)=(膨潤後の体積/
膨潤前の体積)×100 結果を表2に示す。トルエン膨潤度が低ければ低いほど
架橋密度が高く、良好である。
【0072】(比較ゴム組成物の製造)80重量部の天
然ゴムおよび前記本発明のゴム組成物に用いたものと同
じ配合剤を用い、表2に示す配合および配合割合で、ま
ずイオウを除く成分をBR型バンバリーを用いて100
℃で4分間という条件で混練りした。えられた混練物を
オープンロール中に移した後、イオウを加えて150℃
で30分間加硫を行ない、比較加硫ゴム組成物1〜5を
えた。
【0073】ついで、比較加硫ゴム組成物1〜5につい
て、前記ゴム組成物と同様の評価を行なった。結果を表
2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】実験例2 (表面処理カーボンブラックおよびゴム組成物の製造)
製造例1でえた表面処理剤1およびカーボンブラックと
して三菱化学(株)製のN110(SAFクラス:BE
T比表面積163m2/g、ヨウ素吸着量140mg/
g)、N220(ISAFクラス:BET比表面積12
1m2/g、ヨウ素吸着量119mg/g)、N330
(HAFクラス:BET比表面積82m2/g、ヨウ素
吸着量83mg/g)、N550(FEFクラス:BE
T比表面積43m2/g、ヨウ素吸着量42mg/g)
を用い、実験例1と同様にして表面処理カーボンブラッ
ク1および6〜8をえ、さらに実験例1と同様にして本
発明のゴム組成物1および6〜8ならびに加硫ゴム組成
物1および6〜8をえた。
【0076】ついで、実験例1と同様の評価を行なっ
た。結果を表3に示す。
【0077】(比較ゴム組成物の製造)表3に示す配合
および配合割合で、実験例1と同様にして比較加硫ゴム
組成物2および6〜8をえた。ついで、実験例1と同様
の評価を行なった。結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】表2および3からわかるように本発明のカ
ーボンブラック用表面処理剤で表面処理したカーボンブ
ラックからなるゴム組成物が提供する加硫ゴム組成物
は、いずれも、比較加硫ゴム組成物に比べてすぐれた加
工性、機械的特性および低燃費性を有する。
【0080】実施例で用いた成分に代えて、本明細書中
に示した他の成分を用いて実質的に同様の結果をうるこ
とができる。
【0081】
【発明の効果】本発明のカーボンブラック用表面処理剤
で表面処理したカーボンブラックをとくにジエン系ゴム
などのマトリックスポリマーに配合したばあい、たとえ
ばタイヤに用いられうる、加工性、機械的特性および低
燃費性にすぐれたゴム組成物を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量1,000〜100,000の低
    分子量ジエン系重合体を主鎖とし、該主鎖がジエンユニ
    ットに対して0.25〜20モル%のアミノ基含有側鎖
    を少なくとも主鎖の末端以外の部分に有しているアミノ
    基含有低分子量ジエン系重合体からなるカーボンブラッ
    ク用表面処理剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアミノ基含有低分子量ジ
    エン系重合体と水素結合しているカーボンブラック。
  3. 【請求項3】 ジエン系ゴムを含むゴム成分と請求項2
    記載のカーボンブラックが配合されてなるゴム組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の表面処理剤、ジエン系ゴ
    ムを含むゴム成分およびカーボンブラックが配合されて
    なるゴム組成物。
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