JP4318329B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、タイヤ用ゴム組成物には、シリカを配合して低燃費、ウェット性能および耐摩耗性のバランスを図るために、多量のシランカップリング剤が配合されていた。そして、この場合、シリカ表面のシラノール基とシランカップリング剤とを効率良く反応させるために、シランカップリング剤の配合量はシリカの数重量%で良いとされている。
【0003】
しかし、混練りのために密閉式混練り機を用いる場合、反応効率に劣るため、シランカップリング剤の配合量をシリカの5〜15重量%とする必要があり、未反応のままゴム組成物中に残るシランカップリング剤が、加工中のゴム焼け、加硫ゴムの破壊特性の低下を招くという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の事実に鑑み、本発明の目的は、シリカとシランカップリング剤との反応効率を高めることにより、シリカの分散性に優れ、加工性および加硫後の破壊特性に優れたトレッド用ゴム組成物を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジエン系ゴム、シリカ、シランカップリング剤、炭素数が3〜18であるn−アルキルアミンおよびポリエチレングリコールからなるタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
この場合、シランカップリング剤とポリエチレングリコールは、1:1の配合比率で配合されるのが好ましい。
【0007】
また、n−アルキルアミンの配合量がジエン系ゴム100重量部に対して0.2〜10重量部であるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、シリカおよびシランカップリング剤を配合してなるゴム組成物に、n−アルキルアミンを配合したところ、得られるゴム組成物中においてシリカとシランカップリング剤の反応効率が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
これは、n−アルキルアミンが、シリカとシランカップリング剤のアルコール縮合反応の速度を速くする触媒として働くためであると考えられる。
【0010】
本発明において用いるジエン系ゴムとしては、従来からタイヤの分野において用いられているものであれば特に制限はないが、たとえば天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。なかでも、ゴムの強度という点から、NR、SBR、IR、BRを用いるのが好ましい。
【0011】
つぎに、本発明において用いるシリカとしては、従来からタイヤの分野において用いられているものであれば特に制限はないが、たとえばチッ素吸着比表面積が50m2/g未満であると補強効果が小さく、300m2/gを超えるとシリカの分散性に劣り発熱が増大するという点から50〜300m2/gであるのが好ましく、さらに補強性という点から100〜250m2/gであるのが好ましい。
【0012】
かかるシリカについて市販されているものとしては、たとえば日本シリカ工業(株)製のニプシルVN3、ニプシルAQ、デグサ社製のウルトラシルVN3などがあげられる。
【0013】
本発明におけるシリカの配合量としては、前記ジエン系ゴム100重量部に対して10〜150重量部であればよいが、タイヤの摩耗、グリップという点から、20〜90重量部であるのが特に好ましい。
【0014】
つぎに、本発明のゴム組成物にはカーボンブラックを配合してもよく、従来からタイヤの分野において用いられているものであれば特に制限はないが、たとえば分散性という点からチッ素吸着比表面積が30〜200m2/gであり、圧縮ジブチルフタレート(24M4DBP)吸油量が30〜150ml/100gであるものが好ましく、さらに、補強性という点からチッ素吸着比表面積が50〜200m2/gであり、24M4DBP吸油量が50〜150ml/100gであるものが特に好ましい。
【0015】
本発明におけるカーボンブラックの配合量としては、前記ジエン系ゴム100重量部に対して0〜150重量部であればよいが、タイヤの摩耗、グリップという点から、20〜90重量部であるのが特に好ましい。
【0016】
つぎに、本発明のゴム組成物において配合するシランカップリング剤としては、従来からタイヤの分野において用いられているものであれば特に制限はないが、たとえばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。なかでも、カップリング剤の補強効果と加工性という点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを用いるのが好ましい。
【0017】
ここで、シランカップリング剤の配合量については、カップリング効果という点から、シリカの配合量の2〜20重量%であればよく、加工性という点から、2〜15重量%であるのが好ましい。
【0018】
つぎに、本発明においては、シリカとシランカップリング剤との反応効率を改善させるために、n−アルキルアミンを配合する。
【0019】
本発明において用いるn−アルキルアミンは、触媒効果が充分に発揮されるという点から、炭素数が3〜18であればよいが、炭素数が3〜12であるのが好ましく、さらに炭素数が3〜6であるのが特に好ましい。
【0020】
具体的には、炭素数が3〜18のものとして、n−プロピルアミン(炭素数3)、n−ブチルアミン(炭素数4)、n−ペンチルアミン(炭素数5)、n−ヘキシルアミン(炭素数6)、n−ヘプチルアミン(炭素数7)、n−オクチルアミン(炭素数8)、n−ノニルアミン(炭素数9)、n−デシルアミン(炭素数10)、n−ウンデシルアミン(炭素数11)、n−ドデシルアミン(炭素数12)、n−テトラデシルアミン(14)、n−セチルアミン(炭素数16)、n−オクタデシルアミン(炭素数18)などがあげられ、それぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。なかでも、触媒効果が高いという点から、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミンなど(炭素数3〜6)を用いるのが好ましい。
【0021】
本発明におけるn−アルキルアミンの配合量としては、触媒効果を充分に発揮させ、かつゴム焼けを起こさせないという点から、ジエン系ゴム100重量部に対して0.2〜10重量部であればよいが、加工性を維持するという点から、0.2〜5重量部であるのが好ましく、さらに、経済性という点から、0.2〜3重量部であるのが特に好ましい。
【0022】
本発明のゴム組成物には、前記成分のほかに、たとえばタルク、クレーなどの充填剤、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系のプロセスオイルなどの軟化剤、クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂などの粘着付与剤、イオウ、過酸化物などの加硫剤、加硫促進剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫助剤、老化防止剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて適宜配合することができる。
【0023】
本発明のゴム組成物は、たとえばバンバリーミキサー、ニーダーなどの密閉式の混練り機、およびオープンロールなどを用いて、常法により得ることができる。特に、密閉式の混練り機を用いても、本発明のゴム組成物においてはシランカップリング剤の使用量を少なくすることができる。
【0024】
以上のようにして得られる本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドに好適に用いることができる。
【0025】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
【0026】
【実施例】
参考例1〜4
に示す配合割合にしたがって、まず、イオウおよび加硫促進剤(NSおよびDPG)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、160℃の排出温度で混合物を得、ついで得られた混合物とイオウおよび加硫促進剤とをオープンロールで混合して未加硫のゴム組成物を得た。この未加硫のゴム組成物を170℃で15分間加硫することによって、加硫後の参考ゴム組成物1〜4を得た。
【0027】
なお、ジエン系ゴムとしては日本合成ゴム(株)製のSBR1502、シリカとしてはデグサ社製のウルトラジルVN3グラニュールタイプ、シランカップリング剤としてはデグサ社製のSi69、加硫促進剤NSとしては大内振興化学工業(株)製のノクセラーNS、加硫促進剤DPGとしては住友化学工業(株)製のソクシノールDを用いた。
【0028】
[試験方法]
▲1▼ムーニー粘度:JIS K6300にしたがって、L形ローターを用い130℃にて測定した。表中のムーニー粘度(a)130℃はML(1+4)130℃のことを示す。
【0029】
▲2▼引張り試験:JIS K6301にしたがって、3号ダンベルの形状のサンプルを作製し、引張り速度500mm/minで引張り試験を行ない、M100、M300、TB 、EB およびHs を測定した。
【0030】
▲3▼損失正接(tanδ):岩本製作所(株)製のVES−FIII2を用いて、周波数10Hzで0℃(歪み±0.25%)と70℃(歪み±1%)におけるtanδを測定した。0℃におけるtanδの値が大きいほどウェット性能に優れており、70℃におけるtanδの値が小さいほど低転がり抵抗性に優れている。
【0031】
前記試験の結果を表1にまとめて示す。
【0032】
比較例1〜2
表1に示す配合割合にかえたほかは、参考例1と同様にして比較ゴム組成物1〜2を得、参考例1と同様の試験を行なった。結果を表1に示す。なお、比較例2においては、n−エイコシルアルコールをK2Cr27を用いてC1939CHOとし、ついでN3、H2、Ni触媒を用いて反応させて得られたn−エイコシルアミン(炭素数20)を用いた。
【0033】
【表1】
Figure 0004318329
【0034】
表1に示す結果より、n−アルキルアミンを配合することにより、ムーニー粘度が低下して加工性が向上することが分かる。また、M100も低下し、0℃におけるtanδが増加し、70℃におけるtanδが低下し、良好であることがわかる。
【0035】
実施例1〜3および比較例3
表2に示す配合割合にしたがい、参考例1と同様にしてゴム組成物1〜3、比較ゴム組成物3を得、参考例1と同様の試験を行なった。結果を表2に示す。なお、シランカップリング剤の量を減らすためにポリエチレングリコール(平均分子量4000)を配合させた。
【0036】
【表2】
Figure 0004318329
【0037】
表2に示す結果より、n−ブチルアミンの量をふやすと、さらにムーニー粘度が低下して加工性が向上することが分かる。また、M100も低下し、0℃におけるtanδおよび70℃におけるtanδが低下し、良好であることがわかる。しかし、配合量が10重量部をこえると、混練中にゴムが焼けてしまう。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、シリカの分散性に優れ、シリカとシランカップリング剤との反応効率を高めることにより、低転がり抵抗性(低燃費性)およびウェット性能に優れたタイヤトレッド用ゴム組成物を得ることができる。

Claims (1)

  1. スチレンブタジエンゴム、シリカ、シランカップリング剤、炭素数が3〜18であるn−アルキルアミンおよびポリエチレングリコールからなるタイヤトレッド用ゴム組成物であって、
    スチレンブタジエンゴム100重量部に対して、
    シリカを20〜90重量部配合し、
    シランカップリング剤を前記シリカの配合量の2〜15重量%で配合し、
    炭素数が3〜18であるn−アルキルアミンを0.2〜10重量部配合し、および
    ポリエチレングリコールをシランカップリング剤とポリエチレングリコールの配合比率が1:1となるように配合するタイヤトレッド用ゴム組成物
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