JP2021001267A - ゴム組成物、トレッド、タイヤおよび製造方法 - Google Patents

ゴム組成物、トレッド、タイヤおよび製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】常温での燃費性能を維持しながら、低温環境下での燃費性能と常温環境下での燃費性能の差を縮小、すなわち燃費の温度依存性を縮小し、ウェットグリップ性能に優れ、さらに耐摩耗性能にも優れたゴム組成物、該ゴム組成物を用いて作製されたトレッド、および該トレッドを備えたタイヤ、並びに、これらの製造方法を提供すること。【解決手段】天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカ40質量部以上およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、0℃におけるtanδ0℃が0.550以下であり、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差が0.070以下であるゴム組成物であって、前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする混練工程における第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、所定のゴム組成物、これを用いて作製されたトレッド、および該トレッドを備えたタイヤ、並びに、これらの製造方法に関する。
近年、各国でタイヤラベリング制度の随行により、タイヤには各性能(転がり抵抗性能、耐摩耗性能、ウェットグリップ性能)の高い次元での両立が求められている。特に日本国内では低燃費タイヤの進歩が目覚ましく、転がり抵抗低減は今後も求められる性能である。ここで、燃費性能は、ある特定の温度条件のみで性能を発揮するのではなく、広い温度領域で性能を発揮することが求められる。すなわち、ゴムの温度依存性を極力小さくする必要がある。
特許文献1には、所定のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分と、所定量の熱可塑性樹脂と、シリカを70質量%以上含む充填剤とを含むゴム組成物において、0℃におけるtanδの値、30℃におけるtanδの値と60℃におけるtanδの値との差、および動歪1%、0℃における貯蔵弾性率(E’)の値を、それぞれ所定の値とすることにより、タイヤの常温環境下での燃費性能を維持しつつ、低温環境下での燃費性能と常温環境下での燃費性能の差を縮小し、ウェット性能を確保することが記載されている。
特許第5998310号公報
しかし、特許文献1では、耐摩耗性能については考慮されておらず、改善の余地がある。
本発明は、常温での燃費性能を維持しながら、低温環境下での燃費性能と常温環境下での燃費性能の差を縮小、すなわち燃費の温度依存性を縮小し、ウェットグリップ性能に優れ、さらに耐摩耗性能にも優れたゴム組成物、該ゴム組成物を用いて作製されたトレッド、および該トレッドを備えたタイヤ、並びに、これらの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者は、天然ゴムを所定量含むゴム成分と、所定量のシリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤(以下「メルカプト系カップリング剤」とも表記する)を含む所定のゴム組成物であって、加硫系薬品を投入する前の混練りにおいて、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを行ったものが、常温での燃費性能を維持しながら、低温環境下での燃費性能と常温環境下での燃費性能の差を縮小、すなわち燃費の温度依存性を縮小し、ウェットグリップ性能に優れ、さらに耐摩耗性能にも優れたゴム組成物であることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]天然ゴムを50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上含むゴム成分100質量部(天然ゴムの含有量はゴム成分中100質量%であってもよい)に対して、シリカ40質量部以上、好ましくは40〜150質量部、より好ましくは45〜150質量部、より好ましくは50〜140質量部、より好ましくは55〜130質量部、さらに好ましくは65〜120質量部およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、
0℃におけるtanδ0℃が0.550以下、好ましくは0.540以下、より好ましくは0.530以下であり、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差が0.070以下、好ましくは0.060以下、より好ましくは0.055以下、さらに好ましくは0.050以下であるゴム組成物であって、
前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする混練工程における第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物、
[2]下記式(I)で示されるΔG*が500以下、好ましくは450以下、より好ましくは400以下、より好ましくは350以下、さらに好ましくは300以下である、上記[1]記載のゴム組成物、
ΔG*=G*(4%)−G*(64%) (I)
式(I)中、G*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す、
[3]0℃における貯蔵弾性率E’が15MPa以下、好ましくは14.5MPa以下、より好ましくは14MPa以下である、上記[1]または[2]記載のゴム組成物、
[4]前記キープ練りの温度が130〜157℃、好ましくは132〜156℃、より好ましくは134〜155℃であり、前記キープ練りの時間が100秒以上、好ましくは100〜480秒、より好ましくは110〜480秒、さらに好ましくは120〜480秒である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴム組成物、
[5]前記メルカプト基を有するシランカップリング剤が、
下記式(1)で表される化合物、および、下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物の少なくとも一つである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のゴム組成物、
Figure 2021001267
(式中、R101〜R103は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルコキシ基、または−O−(R111−O)z−R112(z個のR111は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR111は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、または炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは、1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
Figure 2021001267
Figure 2021001267
(式中、xは0以上の整数、yは1以上の整数である。R201は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基、または該アルキル基の末端の水素原子が水酸基もしくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は、それぞれ、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基、または、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
[6]前記シリカの窒素吸着比表面積が180m2/g以上、好ましくは180〜500m2/g、より好ましくは190〜500m2/g、より好ましくは195〜500m2/g、より好ましくは200〜400m2/g、より好ましくは210〜400m2/g、より好ましくは210〜300m2/g、より好ましくは220〜280m2/g、さらに好ましくは235〜260m2/gである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のゴム組成物、
[7]0℃におけるtanδ0℃と30℃におけるtanδ30℃との差が0.300以下、好ましくは0.140〜0.300、より好ましくは0.150〜0.290、さらに好ましくは0.160〜0.280である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のゴム組成物、
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製されたトレッド、
[9]上記[8]のトレッドを備えたタイヤ、
[10]天然ゴムを50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上含むゴム成分100質量部(天然ゴムの含有量はゴム成分中100質量%であってもよい)に対して、シリカ40質量部以上、好ましくは40〜150質量部、より好ましくは45〜150質量部、より好ましくは50〜140質量部、より好ましくは55〜130質量部、さらに好ましくは65〜120質量部およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、
0℃におけるtanδ0℃が0.550以下、好ましくは0.540以下、より好ましくは0.530以下であり、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差が0.070以下、好ましくは0.060以下、より好ましくは0.055以下、さらに好ましくは0.050以下であるゴム組成物の製造方法であって、
混練工程を含むものであり、
前記混練工程が、前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする第一混練工程を含むものであり、
前記第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物の製造方法、
[11]前記ゴム組成物の、下記式(I)で示されるΔG*が500以下、好ましくは450以下、より好ましくは400以下、より好ましくは350以下、さらに好ましくは300以下である、上記[10]記載のゴム組成物の製造方法、
ΔG*=G*(4%)−G*(64%) (I)
式(I)中、G*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す、
[12]0℃における貯蔵弾性率E’が15MPa以下、好ましくは14.5MPa以下、より好ましくは14MPa以下である、上記[10]または[11]記載のゴム組成物の製造方法、
[13]前記キープ練りの温度が130〜157℃、好ましくは132〜156℃、より好ましくは134〜155℃であり、前記キープ練りの時間が100秒以上、好ましくは100〜480秒、より好ましくは110〜480秒、さらに好ましくは120〜480秒である、上記[10]〜[12]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、
[14]前記混練工程が、前記第一混練工程により得られた混練物を再練りする第二混練工程をさらに含むものである、上記[10]〜[13]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、
[15]前記第二混練工程の排出温度が140〜170℃、好ましくは142〜164℃、より好ましくは144〜162℃、さらに好ましくは146〜160℃である、上記[14]記載のゴム組成物の製造方法、
[16]タイヤの製造方法であって、
上記[10]〜[15]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法により、未加硫のゴム組成物を得る工程、
該未加硫のゴム組成物をトレッドの形状に押出し加工して、トレッド部材を得る工程、
該トレッド部材をタイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して、未加硫タイヤを得る工程、および、
該未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤを得る工程
を含む、タイヤの製造方法、
に関する。
本発明によれば、常温での燃費性能を維持しながら、低温環境下での燃費性能と常温環境下での燃費性能の差を縮小し、ウェットグリップ性能に優れ、さらに耐摩耗性能にも優れたゴム組成物、該ゴム組成物を用いて作製されたトレッド、および該トレッドを備えたタイヤ、並びに、これらの製造方法を提供することができる。
理論に拘束されることは意図しないが、上記効果が発揮されるメカニズムとしては以下が考えられる。すなわち、シリカは粒子間の凝集性が強く、混練りやその他配合剤、特にシランカップリング剤を用いてシリカの分散性を高める必要があるが、本発明では、(1)シランカップリング剤としてシリカと反応性の強いメルカプト基を有するシランカップリング剤を用いること、かつ、(2)混練過程において、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを行うことにより、相乗的に、シリカとシランカップリング剤の反応性が向上し、シリカの分散性が向上すると考えられる。この結果、シリカ凝集による破壊起点が減少することで、耐摩耗性能が向上するとともに、シリカの諸性能が発揮され、常温での燃費性能を維持しながら燃費の温度依存性が縮小し、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能のゴム物性がバランスよく向上するものと考える。
一の実施形態は、天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカ40質量部以上およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、0℃におけるtanδ0℃が0.550以下であり、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差が0.070以下であるゴム組成物であって、前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする混練工程における第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物である。
他の実施形態は、上記ゴム組成物を用いて作製されたトレッドである。
他の実施形態は、上記トレッドを備えたタイヤである。
他の実施形態は、天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカ40質量部以上およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、0℃におけるtanδ0℃が0.550以下であり、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差が0.070以下であるゴム組成物の製造方法であって、混練工程を含むものであり、前記混練工程が、前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする第一混練工程を含むものであり、前記第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物の製造方法である。
他の実施形態は、上記実施形態のゴム組成物の製造方法により未加硫のゴム組成物を得る工程、該未加硫のゴム組成物をトレッドの形状に押出し加工してトレッド部材を得る工程、該トレッド部材をタイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して未加硫タイヤを得る工程、および、該未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを得る工程を含む、タイヤの製造方法である。
<ゴム成分>
本開示のゴム成分は、天然ゴム(NR)を50質量%以上含む。
(天然ゴム)
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等のタイヤ工業において一般的なもの(非改質NR)を用いることができる他、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度化天然ゴムなどの改質天然ゴムなども用いることができる。NRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
NRのゴム成分中の含有量は、本開示の十分な効果の観点から、50質量%以上である。該含有量は、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。なお、NRの含有量の上限は特に限定されない。NRの含有量は、ゴム成分中、100質量%であってもよい。NRが上記含有量で含まれる場合、0℃におけるtanδ0℃が小さくなり低温燃費性能に優れるという効果が得られる。
(他のゴム成分)
ゴム組成物中のゴム成分は、上記NR以外のゴム成分(他のゴム成分)を含んでいてもよい。このような他のゴム成分は特に限定されず、NR以外のジエン系ゴムや、ブチル系ゴムなど、従来、タイヤ工業で用いられるものをいずれも好適に用いることができる。ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などがあげられる。ブチル系ゴムとしては、ブチルゴム(IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)およびフッ素化ブチルゴム(F−IIR)を含むハロゲン化ブチルゴムなどがあげられる。これらのゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、本開示の効果をより良好に発揮できるという理由から、BRおよび/またはSBRを含むものであることが好ましく、あるいは、BRおよびSBRのみからなるものであることが好ましい。
BRとしては、特に限定されず、この分野で通常使用されるものをいずれも好適に用いることができる。例えば、ハイシス−1,4−ポリブタジエンゴム(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含むブタジエンゴム(SPB含有BR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)などの各種BRを用いることができる。このようなBRとして、例えば、宇部興産(株)製のもの、日本ゼオン(株)製のもの、JSR(株)製のもの、ランクセス社製のものなどを好適に用いることができる。
ハイシスBRとは、シス−1,4結合含有率が90%以上のブタジエンゴムである。なかでも、シス−1,4結合含有率が95%以上のものが好ましく、96%以上のものがさらに好ましく、97%以上のものがさらに好ましく、98%以上のものがさらに好ましい。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。なお、BR中のシス−1,4結合含有率は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル含量(1,2結合ブタジエン単位量)が1.8%以下、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.8%以下であり、シス含量(シス−1,4結合含有率)が90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上のものを好適に用いることができる。ビニル含量およびシス含量が上記範囲内であることにより、得られるゴム組成物の破断伸びおよび耐摩耗性能が優れるという効果が得られる。なお、希土類系BRのビニル含量およびシス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される値である。
希土類系BRの合成に使用される希土類元素系触媒としては、公知のものを使用でき、例えば、ランタン系列希土類元素化合物、有機アルミニウム化合物、アルミノキサン、ハロゲン含有化合物、必要に応じてルイス塩基を含む触媒があげられる。
SPB含有BRは、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、BR中に単に分散しているものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものがあげられる。前記結晶がゴム成分と化学結合したうえで分散していることにより、複素弾性率が向上する傾向がある。
変性BRとしては、末端および/または主鎖が変性された変性BR、スズ、ケイ素化合物などでカップリングされた変性BR(縮合物、分岐構造を有するものなど)、シリカと相互作用を持つ官能基により末端および/または主鎖が変性された変性BR、特に、シリル基、アミノ基、アミド基、水酸基、およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する変性BRなどがあげられる。変性BRを用いることで、充填剤との相互作用をより強固とし低燃費性に優れるという効果が得られる。
BRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、耐摩耗性能の観点から1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、BRの含有量は、成形加工性の観点から、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、28質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。
SBRとしては、特に限定されず、例えば未変性の乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)や溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)、これらを変性した変性乳化重合スチレンブタジエンゴム(変性E−SBR)や変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(変性S−SBR)などの変性SBRがあげられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性された変性SBR、スズ、ケイ素化合物などでカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するものなど)などがあげられる。またSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、伸展油を加えない非油展タイプのものとがあるが、このいずれも使用可能である。例えば、JSR(株)製のもの、旭化成ケミカルズ(株)製のもの、日本ゼオン(株)製のもの、ZSエラストマー(株)製のものなどを用いることができる。
SBRのスチレン含量は、15.0質量%〜40.0質量%であることが好ましい。スチレン含量は、ゴム強度やグリップ性能の観点から、20.0質量%以上が好ましく、25.0質量%以上がより好ましく、30.0質量%以上がより好ましく、35.0質量%以上がさらに好ましい。また、SBRのスチレン含有量は、低燃費性の観点から、39.0質量%以下が好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、1H−NMR測定により算出される値である。
SBRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、10.0〜30.0%であることが好ましい。ビニル含量は、ゴム強度やグリップ性能の観点から、13.0%以上が好ましく、15.0%以上がより好ましい。また、ビニル含量は、低燃費性の観点から、25.0%以下が好ましく、20.0%以下がより好ましい。なお、SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される値である。
SBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、本開示の効果をより良好に発揮できるという理由から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、SBRの含有量は、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、28質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。なお、SBRとして油展タイプのSBRを用いる場合は、当該油展タイプのSBR中に含まれる固形分としてのSBR自体の含有量をゴム成分中のSBRの含有量とする。
<シリカ>
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)等があげられる。なかでも、表面のシラノール基が多く、シランカップリング剤との反応点が多いという理由から、湿式法により調製されたシリカが好ましい。シリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に限定されないが、低燃費性の観点、および十分な補強性を確保し、耐摩耗性能をより向上させる観点から、180m2/g以上が好ましく、190m2/g以上がより好ましく、195m2/g以上がより好ましく、200m2/g以上がより好ましく、210m2/g以上がより好ましく、220m2/g以上がより好ましく、235m2/g以上がさらに好ましい。また、N2SAは、加工性の観点から、500m2/g以下が好ましく、400m2/g以下がより好ましく、300m2/g以下がより好ましく、280m2/g以下がより好ましく、260m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカのゴム成分100質量部に対する含有量は、40質量部以上であり、45質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、55質量部以上がより好ましく、65質量部以上がさらに好ましい。40質量部未満では低発熱性が損なわれ、低燃費性能が確保されにくい傾向がある。また、シリカの含有量は、シリカの分散性、加工性、ウェットグリップ性能の観点から、150質量部以下が好ましく、140質量部以下がより好ましく、130質量部以下がより好ましく、120質量部以下がさらに好ましい。
本開示においては、シリカとして、例えば、エボニックデグサ社製のウルトラシル9000GR等の市販品として入手することができる。
<その他の充填剤>
充填剤としては、シリカ以外に、さらにその他の充填剤を用いてもよい。そのような充填剤としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどこの分野で一般的に使用される充填剤をいずれも用いることができる。これらの充填剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。充填剤として、シリカ以外のものを用いる場合、ゴム強度の観点から、カーボンブラックが好ましい。すなわち充填剤としては、シリカおよびカーボンブラックを含むものであることが好ましく、あるいは、シリカおよびカーボンブラックのみからなるものであることが好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなど、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
カーボンブラックのN2SAは、十分な補強性および耐摩耗性が得られる点から、50m2/g以上が好ましく、70m2/g以上がより好ましく、90m2/g以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、分散性に優れ、発熱しにくいという点から、500m2/g以下が好ましく、450m2/g以下がより好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下がより好ましく、180m2/g以下がより好ましく、160m2/g以下がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定される値である。
カーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な補強性および耐摩耗性が得られる観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックの含有量は、成形加工性、低燃費性および耐摩耗性の観点から、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
<シランカップリング剤>
メルカプト基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、下記式(1)で表される化合物、および、下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物の少なくとも一つである。
Figure 2021001267
(式中、R101〜R103は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルコキシ基、または−O−(R111−O)z−R112(z個のR111は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR111は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、または炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは、1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
Figure 2021001267
Figure 2021001267
(式中、xは0以上の整数、yは1以上の整数である。R201は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基、または該アルキル基の末端の水素原子が水酸基もしくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は、それぞれ、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基、または、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
以下、上記式(1)で表される化合物について説明する。
101〜R103は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルコキシ基、または−O−(R111−O)z−R112で表される基を表す。本開示の効果が良好に得られるという点から、R101〜R103は、少なくとも1つが−O−(R111−O)z−R112で表される基であることが好ましく、2つが−O−(R111−O)z−R112で表される基であり、かつ、1つが直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましい。
101〜R103の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基などがあげられる。
101〜R103の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基などがあげられる。
101〜R103の−O−(R111−O)z−R112において、R111は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、例えば、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基などがあげられる。なかでも直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基が好ましい。
111の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。
111の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2または3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。
111の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2または3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。
111の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基などがあげられる。
zは、1〜30の整数であり、2〜20が好ましく、3〜7がより好ましく、5または6がさらに好ましい。
112は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数7〜30のアラルキル基を表す。なかでも直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
112の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基などがあげられる。
112の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基などがあげられる。
112の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などがあげられる。
112の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などがあげられる。
−O−(R111−O)z−R112で表される基の具体例としては、例えば、−O−(C24−O)5−C1123、−O−(C24−O)5−C1225、−O−(C24−O)5−C1327、−O−(C24−O)5−C1429、−O−(C24−O)5−C1531、−O−(C24−O)3−C1327、−O−(C24−O)4−C1327、−O−(C24−O)6−C1327、−O−(C24−O)7−C1327、などがあげられる。なかでも−O−(C24−O)5−C1123、−O−(C24−O)5−C1327、−O−(C24−O)5−C1531、−O−(C24−O)6−C1327が好ましい。
104の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基としては、例えば、R111の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基をあげることができる。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランや、下記式で表される化合物(エボニックデグザ(Evonik Degussa)社製のSi363)などがあげられ、下記式で表される化合物を好適に用いることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2021001267
次に、上記式(2)で示される結合単位Aと上記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物について説明する。
上記式(2)で示される結合単位Aと上記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物は、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは、結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C715部分が結合単位Bの−SH基を覆うため、ポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
上述した加工中の粘度上昇を抑制する効果や、スコーチ時間の短縮を抑制する効果を高めることができるという点から、上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの含有量は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、99モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましい。また、結合単位Bの含有量は、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、55モル%以下がさらに好ましい。また、結合単位AおよびBの合計含有量は、95モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(2)、(3)と対応するユニットを形成していればよい。
201のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子などがあげられる。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などがあげられる。該アルキル基の炭素数は1〜12が好ましい。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基などがあげられる。該アルケニル基の炭素数は2〜12が好ましい。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基などがあげられる。該アルキニル基の炭素数は2〜12が好ましい。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。該アルキレン基の炭素数は1〜12が好ましい。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。該アルケニレン基の炭素数は2〜12が好ましい。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。該アルキニレン基の炭素数は2〜12が好ましい。
上記式(2)で示される結合単位Aと上記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C715が覆うため、スコーチ時間が短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
上記式(2)で示される結合単位Aと上記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、モメンティブ社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60などを用いることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記メルカプト基を有するシランカップリング剤の含有量は、低燃費性などの効果を十分に確保する観点から、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。また、該含有量は、コストの増加に見合ったメルカプト基を有するシランカップリング剤の配合効果が得られる観点、ゴム強度、耐摩耗性の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下、より好ましくは17質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下である。
(他のシランカップリング剤)
本開示においては、ゴム組成物は、上記メルカプト基を有するシランカップリング剤に加えてさらにその他のシランカップリング剤を含有していてもよい。その他のシランカップリング剤としては、例えば、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどがあげられる。
<その他の成分>
本開示のゴム組成物は、上記した成分に加え、ゴム組成物の製造に一般に使用される他の成分を配合することができる。一例をあげると、このような任意成分は、軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤等である。
(軟化剤)
軟化剤は特に限定されず、従来、タイヤ用ゴム組成物において汎用されている各種軟化剤から任意に選択して用いることができる。一例をあげると、軟化剤は、オイル、樹脂、液状ポリマー等である。なかでも、本開示の効果をより良好に発揮できる観点から、オイルおよび樹脂を含むものであることが好ましく、あるいは、オイルおよび樹脂のみからなるものであることが好ましい。軟化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オイルとしては、特に限定されず、ゴム工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂などがあげられる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどがあげられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油などがあげられる。また、動物油脂としては、オレイルアルコール、魚油、牛脂などがあげられる。なかでも、加工性に有利であるという理由からプロセスオイルが好ましい。オイルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、例えば、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、オイルのゴム成分100質量部に対する含有量は、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましい。オイルの含有量が上記範囲内であることにより、得られるタイヤは、ウェットグリップ性能、耐摩耗性能が優れる。なお、オイルの含有量は油展で使用されたオイルの量も含むものである。
樹脂としては、特に限定されず、芳香族系石油樹脂などの従来タイヤ用ゴム組成物で慣用される樹脂を用いることができる。芳香族系石油樹脂としては例えば、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)などがあげられる。フェノール系樹脂としては、例えば、BASF社製、田岡化学工業(株)製のものなど、クマロンインデン樹脂としては、例えば、新日鉄住金化学(株)製、JXTGエネルギー(株)製のものなど、スチレン系樹脂としては、例えば、アリゾナケミカル社製のものなどを使用することができる。テルペン系樹脂としては、例えば、アリゾナケミカル社製、ヤスハラケミカル(株)製のものなどを使用することができる。ロジン系樹脂としては、例えば、ハリマ化成(株)製、荒川化学工業(株)製のものなどを使用することができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、グリップ性能に優れるという理由から、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを用いることが好ましく、特に、ウェットグリップ性能の向上の点からスチレン系樹脂が好ましい。
スチレン系樹脂としては特に限定されないが、α−メチルスチレン系樹脂が好適に用いられる。α−メチルスチレン系樹脂としては、α−メチルスチレンのホモポリマー(ポリ−α−メチルスチレン)、α−メチルスチレンと芳香族化合物やフェノール系化合物を含む他の化合物とのコポリマーがあげられる。このコポリマーを構成し得る他の化合物としては、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどがあげられる。具体的なα−メチルスチレン系樹脂としては、アリゾナケミカル社製のものなどが好適に用いられる。
樹脂の軟化点は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。樹脂の軟化点を50℃以上とすることにより、ウェットグリップ性能が向上する傾向がある。また、樹脂の軟化点は、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。樹脂の軟化点を200℃以下とすることにより、混練中のゴムへの相溶性が向上する傾向がある。なお、本明細書における樹脂の軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
樹脂を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましい。また、樹脂のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐摩耗性の観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
(老化防止剤)
老化防止剤は特に限定されず、従来、タイヤ用ゴム組成物において汎用されている各種老化防止剤から任意に選択して用いることができる。一例をあげると、老化防止剤は、キノリン系老化防止剤、キノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤や、カルバミン酸金属塩、ワックス等である。なかでも、キノリン系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤およびワックスを好適に用いることができる。キノリン系老化防止剤としては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(TMDQ)があげられる。フェニレンジアミン系老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)があげられる。これら老化防止剤は、例えば、大内新興化学工業(株)製のもの、川口化学工業(株)製のものなどを好適に用いることができる。老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。また、老化防止剤の含有量は、7.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。老化防止剤の含有量が上記範囲内である場合、充填剤は、良好に分散されやすい。また、得られるゴム組成物は、混練されやすい。
(加硫剤)
加硫剤としては、特に限定されず、公知の加硫剤を用いることができ、例えば、有機過酸化物、硫黄系加硫剤、樹脂加硫剤、酸化マグネシウム等の金属酸化物などがあげられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を用いることができる。また、硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィド等を用いることができる。これらのなかでも、硫黄を用いることが好ましい。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などがあげられ、いずれも好適に用いられる。加硫剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、加硫剤の含有量は、5質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。加硫剤の含有量が0.5質量部以上であることにより、ゴム組成物は、良好な加硫反応が進行されやすい。また、加硫剤の含有量が5質量部以下であることにより、得られるタイヤは、グリップ性能および耐摩耗性能がバランスよく両立されやすい。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、特に限定されず、公知の加硫促進剤を用いることができ、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系もしくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤などがあげられる。なかでも、スルフェンアミド系、チウラム系、グアニジン系が好ましく、スルフェンアミド系、チウラム系がより好ましい。加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)などがあげられる。なかでも、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)等があげられる。なかでも、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどがあげられる。なかでも、加硫時間の短縮の観点から、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
本開示においては、本開示の効果をより良好に発揮できるという理由から、加硫促進剤として、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)およびテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)のみを用いることがより好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましい。また、加硫促進剤の含有量は、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.5質量部以下がさらに好ましい。このような範囲とすることで、本開示の効果をより良好に発揮できる。
<ゴム組成物の物性>
本開示のゴム組成物は、0℃におけるtanδ0℃が、低温燃費性能の観点から、0.550以下であり、0.540以下が好ましく、0.530以下がより好ましい。なお、0℃におけるtanδ0℃の下限は特に限定されないが、通常0.150以上である。
本開示のゴム組成物は、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差(以下「tanδ30℃−tanδ60℃」とも表記する)が、燃費の温度依存性の観点から、0.070以下であり、0.060以下が好ましく、0.055以下がより好ましく、0.050以下がさらに好ましい。なお、tanδ30℃−tanδ60℃の下限は特に限定されない。tanδ30℃−tanδ60℃は0であってもよい。
本開示のゴム組成物の0℃におけるtanδ0℃と30℃におけるtanδ30℃との差(以下「tanδ0℃−tanδ30℃」とも表記する)は、特に限定されないが、ウェットグリップ性能、燃費の温度依存性の観点から、0.300以下が好ましく、0.290以下がより好ましく、0.280以下がさらに好ましい。また、tanδ0℃−tanδ30℃は、0.140以上が好ましく、0.150以上がより好ましく、0.160以上がさらに好ましい。
本明細書中のtanδは、粘弾性スペクトロメーターにより動的歪振幅1%、周波数10Hz、各温度の条件で測定された伸長時の損失正接を示す。損失正接tanδは、歪みが与えられる過程で消費されたエネルギーの大きさを示し、この消費されたエネルギーは熱に変わる。つまりtanδの値が小さいほど、優れた低発熱性を示し、低燃費性が優れていることを表す。
本開示のゴム組成物の0℃における貯蔵弾性率E’は、特に限定されないが、ウェットグリップ性能の観点から、15MPa以下が好ましく、14.5MPa以下がより好ましく、14MPa以下がさらに好ましい。また、0℃における貯蔵弾性率E’は、3MPa以上が好ましく、5MPa以上がより好ましい。なお、0℃における貯蔵弾性率E’は、粘弾性スペクトロメーターにより動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度0℃の条件で測定された伸長時の動的弾性率を示す。
本開示のゴム組成物は、式(I)で示されるΔG*が500以下であることが好ましく、450以下であることがより好ましく、400以下であることがより好ましく、350以下であることがより好ましく、300以下であることがさらに好ましい。シリカとシランカップリング剤との反応が促進されると、シリカ表面が疎水化されシリカの分散性が向上する。シリカの分散性を評価できる物性として、低歪み領域のG*と高歪み領域のG*との差で定義されるΔG*(ペイン効果)があり、この値が小さいほど、ゴム組成物中の大きなフィラー凝集体の割合が少なく、シリカ分散状態が良好であるといえる。なお、G*は、未加硫ゴム組成物についてのゴム試験片の歪4%〜64%までの歪せん断力G*(kPa)を、試験温度100℃でαテクノロジー社製RPA2000を用いて測定される値である。未加硫状態のゴム組成物におけるG*を測定することで、純粋なシリカの分散の影響を抽出することができる。
<キープ練り>
本開示のゴム組成物は、天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分と、シリカ40質量部以上と、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする混練工程における第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物である。
ここで、本明細書において「キープ練り」とは、所定の範囲の温度を保持したまま所定の範囲の時間混練りする混練り方法をいい、一点の温度を保持したまま一定の範囲の時間混練りする方法や、一定の温度範囲において温度の変動を許容しながら一定の範囲の時間混練りする方法も含むものである。また、本明細書におけるキープ練りの温度は、混練機により設定される混練機内の設定温度である。
なお、本明細書において「混練工程」とは、原料を混合して練る工程である。混練工程は、少なくとも第一混練工程と最終混練工程を含むものである。「第一混練工程」とは、ゴム組成物の調製に際して各原料を混練りするときに、まず、加硫系薬品(加硫剤および加硫促進剤)以外の原料を混練りし、混練物を得る工程をいう。また、「最終混練工程」とは、第一混練工程で得られた混練物(第一混練工程の後に第二混練工程を行う場合は第二混練工程で得られた混練物)に、加硫剤および加硫促進剤を加えてさらに混練りし、未加硫ゴム組成物を得る、混練工程の最終段階の工程をいう。
キープ練りにおける「所定の範囲の温度および所定の範囲の時間」とは、「シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるために十分な温度および時間」であればよいものである。かかる温度および時間は、用いるメルカプト基を有するシランカップリング剤の種類、その他用いる原料の種類等により異なり得るが、当業者であれば、上記目的の下、適宜設定可能である。シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを行うことにより、シリカ分散を向上させることができるため、フィラー凝集による破壊起点が減少し、耐摩耗性能が向上する。さらに、フィラー同士のこすれ合いによる発熱性も緩和されるため、燃費性能も向上する。同時に、シリカを配合することによるウェットグリップ性能が発揮される。また、加工性の向上にもつながる。
所定の範囲の温度は、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるための温度である限り特に限定されないが、130〜157℃であることが好ましい。下限としては、132℃以上がより好ましく、134℃以上がより好ましい。上限としては、156℃以下がより好ましく、155℃以下がより好ましい。このような範囲にあることが、メルカプト基を有するシランカップリング剤の反応温度領域となり、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めることができる上で好ましい。
所定の範囲の時間は、上記所定の範囲の温度設定や、混練りに用いる混練機の種類などに応じて適宜設定すればよいが、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を十分に高める観点から、通常、100秒以上が好ましく、110秒以上がより好ましく、120秒以上がさらに好ましい。なお、所定の範囲の時間の上限は特に限定されないが、混練機のマシンオイル流入を防ぐ観点から、通常、長くても480秒以下である。
<製造方法>
ゴム組成物、タイヤ部材(例えば、トレッド)およびタイヤの製造方法について説明する。
(ゴム組成物の製造方法)
天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカ40質量部以上およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、0℃におけるtanδ0℃が0.550以下であり、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差が0.070以下であるゴム組成物の製造方法であって、混練工程を含むものであり、前記混練工程が、前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする第一混練工程を含むものであり、前記第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物の製造方法である。
混練工程は、タイヤゴム工業の分野における一般的な方法に則り、実施することができる。
(第一混練工程)
第一混練工程はキープ練りを含むものである。「第一混練工程」および「キープ練り」は上記に定義される。また、キープ練りにおける「所定の範囲の時間および所定の範囲の温度」は、上記で説明したものと同様である。
第一混練工程では、天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカ40質量部以上およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含む原料が混練される。ゴム組成物に配合する原料として、これら以外のものが存在する場合、加硫系薬品以外のものはすべて、この第一混練工程で混練される。
第一混練工程は、上記した所定の原料を配合して所定のキープ練りを含むものであれば、キープ練り以外の条件は、本開示の効果が損なわれない限り特に限定されず、従来のいわゆるベース練り工程における回転数および排出温度とすることができる。ここで、キープ練りは、第一混練工程において常法によって混練りを行った後に(好ましくは、第一混練工程の最後の段階で)行うことが、シリカとメルカプト系シランカップリング剤の反応効率を高めることができる上で好ましい。また、第一混練工程における混練りは、キープ練りが終了した時点で終了することが好ましい。キープ練りが終了した時点で混練物を排出することにより、第一混練工程が終了する。なお、混練りの回転数は、通常、20〜60rpm、好ましくは30〜50rpmである。
なお、第一混練工程における排出温度は、キープ練りが終了した時点で混練物が排出されることから、キープ練りの温度と同じである。
(第二混練工程)
「第二混練工程」とは、第一混練工程により得られた混練物を再度混練り(再練り)し、混練物を得る工程をいう。本開示の製造方法においては、第一混練工程の後に、第二混練工程を行うことが、シリカとメルカプト系シランカップリング剤の反応効率をより高めることができる上で好ましい。
第二混練工程における排出温度は、140〜170℃であることが好ましい。下限としては、シリカとメルカプト系シランカップリング剤の反応効率をより高める観点から、142℃以上がより好ましく、144℃以上がより好ましく、146℃以上がさらに好ましい。上限としては、ポリマーとメルカプト系シランカップリング剤の反応の進行を抑制して、シリカ分散性の向上効果をより発揮させる観点から、164℃以下がより好ましく、162℃以下がより好ましく、160℃以下がさらに好ましい。第二混練工程における混練時間は、排出温度に応じて調節すればよいが、通常、1〜6分、好ましくは2〜5分である。
(最終混練工程)
「最終混練工程」は上記に定義される。
最終混練工程における排出温度は、特に限定されないが、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。排出温度を70℃以上とすることにより、各成分が良好に分散した混練物を効率よく得ることができる傾向がある。また、最終混練工程における排出温度は、特に限定されないが、120℃以下が好ましく、115℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。混練りの排出温度を120℃以下とすることにより、スコーチ(ゴム焼け)を防止できる傾向がある。
混練りは、いずれも、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の、ゴム工業において一般的な公知の混練機を使用して実施することができる。なかでも、作業性や生産性に優れるという理由から密閉型のバンバリーミキサーが好ましい。バンバリーミキサーのローターの形状は、接線式、噛み合い式のいずれであってもよい。
(タイヤ部材(例えば、トレッド)およびタイヤの製造方法)
本開示のゴム組成物は、各種タイヤ部材(例えば、トレッド、サイドウォール、カーカス被覆ゴム、クリンチ、チェーファー、ビードなど)に好適に用いることができる。なかでも、ウェットグリップ性能や耐摩耗性能などのゴム物性に優れることから、トレッドに用いることが好ましい。
上記製造方法により得られたゴム組成物を用いて作製されるタイヤ部材(例えば、トレッド)および該タイヤ部材を備えたタイヤは、ゴム工業における常法により製造することができる。
例えば、該タイヤ部材の製造方法は、
(1)上記第一混練工程を含んでなるゴム組成物の製造方法により未加硫のゴム組成物を得る工程、
(2)こうして得た未加硫のゴム組成物をタイヤ部材(例えば、トレッド)の形状に押出し加工して、タイヤ部材(例えば、トレッド)を得る工程、
を含むものである。
また、該タイヤの製造方法は、上記(1)および(2)の工程に加えて、
(3)上記(2)で得たタイヤ部材(例えば、トレッド)を、タイヤ成型機上で、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して未加硫タイヤを得る工程、および、
(4)こうして得た未加硫タイヤを、加硫機中で、加熱加圧してタイヤを得る工程
を含むものである。
本開示のタイヤは、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤを問わないが、空気入りタイヤであることが好ましい。また、空気入りタイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤなどの高性能タイヤ、ランフラットタイヤなど各種タイヤに用いることができる。
<その他>
本願請求項1は、ゴム組成物に関する物の発明であるが、「前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする混練工程における第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むもの」である。このような本願請求項1に係る発明は、後記実施例に示すとおり、同じ配合を用いながらも、本願所定のキープ練りを行うか否かによって、得られるゴム組成物の物性が異なるものである。このことは、同じ配合であっても、本願所定のキープ練りを行うことが、ゴム組成物の物性に影響を与え、本願所定のキープ練りを行うことによって、燃費の温度依存性、低温燃費性能、常温燃費性能、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の異なるゴム組成物が製造されていることを示している。
しかし、このようなゴム組成物間の差異を、その構造または特性により直接特定しようとしても、どのような指標・パラメータを用いれば必要かつ十分な特定となるのか明らかでない。したがって、そのような特定を強いるのは、先願主義を採用する我が国において、少なくともおよそ実際的ではない。よって、本願請求項1は、不明確な発明には当たらない。
実施例に基づいて本開示を具体的に説明する。本開示は、これら実施例に限定されない。
<実施例および比較例で使用した各種薬品>
NR:TSR20
SBR:NS616(S−SBR、スチレン含有量:21質量%、非油展、ZSエラストマー(株)から入手可能)
BR:BR730(シス1,4結合含有率:95%、JSR(株)から入手可能)
カーボンブラック:N220(N2SA:114m2/g、キャボットジャパン(株)から入手可能)
シリカ:ウルトラシル9000GR(N2SA:235m2/g、エボニックデグサ社から入手可能)
シランカップリング剤1(スルフィド系カップリング剤):Si266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、エボニックデグサ社から入手可能)
シランカップリング剤2(メルカプト系カップリング剤):NXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%)、モメンティブ社から入手可能)
シランカップリング剤3(メルカプト系カップリング剤):Si363(エボニックデグサ社から入手可能)
樹脂:SYLVATRAXX4401(α−メチルスチレン系樹脂、軟化点:85℃、SP値:9.1、アリゾナケミカル社から入手可能)
オイル:ダイアナプロセスオイルPA32(出光興産(株)から入手可能)
老化防止剤1:ノクラック6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
老化防止剤2:アンテージRD(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(TMDQ)、川口化学工業(株)から入手可能)
ワックス:サンノックN(大内新興化学工業(株)から入手可能)
ステアリン酸:ビーズステアリン酸つばき(日油(株)から入手可能)
酸化亜鉛:酸化亜鉛2種(三井金属鉱業(株)から入手可能)
硫黄:粉末硫黄(軽井沢硫黄(株)から入手可能)
加硫促進剤1:ノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
加硫促進剤2:サンセラーTBZTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、三新化学工業(株)から入手可能)
実施例1〜5および比較例1〜9
<未加硫ゴム組成物>
(第一混練工程)
以下の表1に示される配合処方にしたがい、第一混練工程でキープ練りを行う場合(表中の「キープ」)は、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を混練温度155℃以下の温度で2分間混練りした後、表1に示す所定の温度で所定の時間キープ練りを行い、表1に示す排出温度にしたがい排出し、混練物を得た。第一混練工程でキープ練りを行わない場合(表中の「通常」)は、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度155℃で3分間混練りし、混練物を得た。
(第二混練工程)
第一混練工程で得られた混練物を、バンバリーミキサーにより、排出温度155℃の条件下で3分間、再練りし、混練物を得た。
(最終混練工程)
第二混練工程で得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、バンバリーミキサーを用いて、排出温度110℃以下の条件下で3分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。
<加硫ゴム組成物>
上記で得た未加硫ゴム組成物を、170℃の条件下で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を製造した。
<試験用タイヤ>
上記で得た未加硫ゴム組成物を所定の形状の口金を備えた押し出し機でタイヤトレッドの形状に押し出し成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で15分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
<評価>
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物および試験用タイヤについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(ペイン効果ΔG*
未加硫ゴム組成物についての各ゴム試験片の歪4%〜64%までの歪せん断力G*(kPa)を、αテクノロジー社製RPA2000を用いて測定した(試験温度100℃)。そして、下記計算式により、ペイン効果ΔG*を求めた。この値が小さいほどシリカ分散性に優れることを示す。
ΔG*=G*(4%)−G*(64%)
*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
(損失正接tanδおよび貯蔵弾性率E’)
スペクトロメーター((株)上島製作所製)を用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度0℃、30℃および60℃の条件下で加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ0℃、tanδ30℃、tanδ60℃)、ならびに、0℃における貯蔵弾性率E’(MPa)を測定し、tanδ0℃−tanδ30℃およびtanδ30℃−tanδ60℃を求めた。tanδが小さいほど転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示し、tanδ30℃−tanδ60℃が小さいほど燃費の温度依存性が小さいことを示す。また、0℃における貯蔵弾性率E’が小さいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(低温燃費性能/常温燃費性能)
転がり抵抗試験機のタイヤチャンバの雰囲気温度を、低温燃費性能の評価では0℃、常温燃費性能の評価では30℃に設定し、転がり抵抗を測定した。転がり抵抗は、転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100として指数表示した。転がり抵抗は小さい程低燃費性に優れる。指数は大きいほど低燃費性が良好であることを示す。低温域における燃費性能指数は130以上であること、常温域における燃費性能指数は130以上であることが、それぞれ、目標値である。
(ウェットグリップ性能)
各試験用タイヤを試験用実車(国産FF車)の全輪に装着し、湿潤アスファルト路面において初速度100km/hからの制動距離を測定した。下記式により基準比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。なお、当該指数の目標値は108以上である。
(ウェットグリップ性能指数)=
{(基準比較例のタイヤの制動距離)/(各試験用タイヤの制動距離)}×100
(耐摩耗性能)
各試験用タイヤを試験用実車(国産FF車)の全輪に装着し、ドライアスファルト路面上を8000km走行させ、タイヤトレッド部の溝深さを測定し、全輪における溝深さの相加平均値から、タイヤトレッド部の溝深さが1mm減るときの走行距離を算出した。結果は、下記式により基準比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性能が良好であることを示す。当該指数の目標値は115以上である。
(耐摩耗性能指数)={(各試験用タイヤのタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)/(基準比較例のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)}×100
Figure 2021001267
表1の結果より、実施例のゴム組成物は比較例のものと比べて、シリカの分散性に優れ、常温での燃費性能を維持しながら燃費の温度依存性が縮小し、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能に優れることがわかる。

Claims (16)

  1. 天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカ40質量部以上およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、
    0℃におけるtanδ0℃が0.550以下であり、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差が0.070以下であるゴム組成物であって、
    前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする混練工程における第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物。
  2. 下記式(I)で示されるΔG*が500以下である、請求項1記載のゴム組成物。
    ΔG*=G*(4%)−G*(64%) (I)
    式(I)中、G*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
  3. 0℃における貯蔵弾性率E’が15MPa以下である、請求項1または2記載のゴム組成物。
  4. 前記キープ練りの温度が130〜157℃であり、前記キープ練りの時間が100秒以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 前記メルカプト基を有するシランカップリング剤が、
    下記式(1)で表される化合物、および、下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物の少なくとも一つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
    Figure 2021001267
    (式中、R101〜R103は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルコキシ基、または−O−(R111−O)z−R112(z個のR111は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR111は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、または炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは、1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
    Figure 2021001267
    Figure 2021001267
    (式中、xは0以上の整数、yは1以上の整数である。R201は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基、または該アルキル基の末端の水素原子が水酸基もしくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は、それぞれ、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基、または、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
  6. 前記シリカの窒素吸着比表面積が180m2/g以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 0℃におけるtanδ0℃と30℃におけるtanδ30℃との差が0.300以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて作製されたトレッド。
  9. 請求項8のトレッドを備えたタイヤ。
  10. 天然ゴムを50質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカ40質量部以上およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、
    0℃におけるtanδ0℃が0.550以下であり、30℃におけるtanδ30℃と60℃におけるtanδ60℃との差が0.070以下であるゴム組成物の製造方法であって、
    混練工程を含むものであり、
    前記混練工程が、前記ゴム成分と、前記シリカと、前記メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む原料(加硫系薬品は含まない)を混練りする第一混練工程を含むものであり、
    前記第一混練工程が、シリカとメルカプト基を有するシランカップリング剤の反応効率を高めるキープ練りを含むものである、ゴム組成物の製造方法。
  11. 前記ゴム組成物の、下記式(I)で示されるΔG*が500以下である、請求項10記載のゴム組成物の製造方法。
    ΔG*=G*(4%)−G*(64%) (I)
    式(I)中、G*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
  12. 0℃における貯蔵弾性率E’が15MPa以下である、請求項10または11記載のゴム組成物の製造方法。
  13. 前記キープ練りの温度が130〜157℃であり、前記キープ練りの時間が100秒以上である、請求項10〜12のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  14. 前記混練工程が、前記第一混練工程により得られた混練物を再練りする第二混練工程をさらに含むものである、請求項10〜13のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  15. 前記第二混練工程の排出温度が140〜170℃である、請求項14記載のゴム組成物の製造方法。
  16. タイヤの製造方法であって、
    請求項10〜15のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法により、未加硫のゴム組成物を得る工程、
    該未加硫のゴム組成物をトレッドの形状に押出し加工して、トレッド部材を得る工程、
    該トレッド部材をタイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して、未加硫タイヤを得る工程、および、
    該未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤを得る工程
    を含む、タイヤの製造方法。
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