JP4215883B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり摩擦抵抗特性(燃費特性)、ウェットスキッド特性および耐摩耗性にとくに優れたタイヤを製造することができるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、自動車に対する安全性および低燃費性への要求にともなって、タイヤ用ゴム材料においてウェットスキッド特性、燃費特性、耐摩耗性の同時改良が望まれているが、お互いに二律背反の関係にあるという問題がある。
【0003】
従来から、このような問題を解決するポリマーを得る方法として、スチレン−ブタジエン共重合体(以下、SBRともいう)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体(以下、SIBRともいう)については、
▲1▼ベンゾフェノンによる化学変性(特開昭58−162604号公報、特開昭59−117514号公報)や芳香族チオケトンによる化学変性(米国特許第3755269号)、および
▲2▼ニトロアミノ化合物、ニトロ化合物、ニトロアルキル化合物による末端変性(特公平6−53766号公報、特公平6−57769号公報、特公平6−78450号公報)
が提案されているが、いずれの方法も充分な効果は得られていない。
【0004】
従来、SBRについては、スチレン量やブタジエンの結合の仕方(1,2−ブタジエン結合(ビニル基を有する結合)と1,4−ブタジエン結合との比率など)をかえることによって、ウェットスキッド特性、燃費特性、耐摩耗性などの二律背反する性能の両立をはかってきている。最近、これらの性能の改善を図るため、末端をカーボンブラックと結合しやすい化合物で変性する方法が提案されている。しかし、変性が末端に限られているため、変性の効果に限界がある。
【0005】
本発明は、前記従来の技術における問題を解決し、ウェットスキッド特性、燃費特性、耐摩耗性のさらなる向上を達成することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、SBRおよび(または)SIBRをアミノ基を2個有する脂肪族化合物により変性した変性ジエン系共重合体を含有するゴム組成物を使用してタイヤを製造すると、ウェットスキッド特性、燃費特性、耐摩耗性に優れた特性を有するタイヤが得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0007】
すなわち、本発明は、
スチレン−ブタジエン共重合体をアミノ基を2個有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素と反応させて得られる主鎖変性ジエン系共重合体を含有するゴム組成物であって、前記スチレン−ブタジエン共重合体におけるブタジエン単位中のシス−1,4構造が80%以上ではなく、前記スチレン−ブタジエン共重合体をアミノ基を2個有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素と反応させる際に触媒としてハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化アルキルを使用するゴム組成
関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される主鎖変性ジエン系共重合体は、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)および(または)スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体(SIBR)(以下、SBR等ともいう)を構成する主鎖を、変性剤であるアミノ基を2個有する脂肪族化合物で変性させて得られる変性ジエン系共重合体である。
【0009】
前記SBRにおけるスチレン単位とブタジエン単位との割合は、スチレン単位が20〜60重量%(以下、%という)、さらには20〜45%であり、ブタジエン単位が40〜80%、さらには55〜80%であるのが、ウェットスキッド性能と耐摩耗性とのバランスの点から好ましい。
【0010】
なお、ブタジエン単位中の1,2−結合と1,4−結合との割合は、1,2−結合が10〜80%であり、1,4−結合が20〜90%であるのが、ウェットスキッド性能と燃費特性とのバランスの点から好ましい。
【0011】
前記SIBRにおけるスチレン単位とイソプレン単位とブタジエン単位との割合は、スチレン単位が5〜50%、さらには10〜40%、イソプレン単位が15〜60%、さらには20〜50%、ブタジエン単位が5〜50%、さらには20〜40%であるのがウェットスキッド性能と耐摩耗性とのバランスの点から好ましい。
【0012】
なお、ブタジエン単位中の1,4−結合の割合は、6〜80%(のこりは1,2−結合)であるのがウェットスキッド性能と燃費特性とのバランスの点から好ましい。
【0013】
前記SBR等は、一般的に商業生産されたものを用いてもよいし、また適宜合成したものを用いてもよい。数あるジエン系共重合体のなかで、SBR等を使用するのは、SBR等が低燃費性能とウェットスキッド性能の両立の点から好ましいためである。
【0014】
前記変性剤であるアミノ基を2個有する脂肪族化合物は、SBR等と反応させて、SBR等を変性させ、SBR等にカーボンブラックなどのフィラーと化学的に結合する性質を付与するために使用される化合物である。
【0015】
前記変性剤の具体例としては、たとえばペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,7−ジアミノヘプタン、2,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの炭素数2〜12の脂肪族炭化水素であって2個のアミノ基を有するものがあげられる。これらの変性剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタンが反応が容易であり、使用量が少なくてよい点から好ましい。
【0016】
前記SBR等の変性方法としては、前記変性剤と前記SBR等を有機溶媒中で接触・変性反応させることで行なってもよいし、SBR等の重合溶液に直接変性剤を添加して行なってもよい。また、そのほかの方法としては、押出混練機などにより直接混練変性することも可能である。
【0017】
前記変性反応を行なう際に、反応速度を大きくするために触媒としてハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化アルキルを使用してもよい。
【0018】
前記ハロゲン化アルミニウムの具体例としては、たとえば塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウムなどがあげられる。また、前記ハロゲン化アルキルの具体例としては、たとえば臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチルなどの炭素数1〜6のアルキル基を有する化合物があげられる。前記触媒のうちでは、塩化アルミニウム、臭化エチルが好ましい。
【0019】
前記触媒の使用量は、SBR等100gに対して0.01〜100ミリモル、さらには0.05〜50ミリモル、とくには0.08〜20ミリモルが好ましい。
【0020】
前記変性反応に使用する前記有機溶媒としては、SBR等と反応しないものであればとくに制限はないが、通常はSBR等を重合する際に用いられる重合溶媒と同じもの、たとえばベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テトラリン、デカリンなどの脂環式炭化水素、そのほか塩化メチレンやテトラヒドロフランなどを使用することができる。これらのうちでも、トルエンがSBR等の溶解性と反応温度(沸点)の点から好ましい。
【0021】
前記変性反応時の溶液温度は、0〜100℃、さらには室温〜70℃の範囲が好ましい。温度が低すぎると変性反応の進行が遅く、温度が高すぎると変性ジエン系共重合体がゲル化しやすくなる。
【0022】
前記変性反応の時間にはとくに制限はないが、通常は0.5〜6時間の範囲が好ましい。時間が短すぎると反応が充分に進行せず、長すぎると変性ジエン系共重合体がゲル化するおそれがある。
【0023】
前記SBR等を前記有機溶媒に溶解させるときの濃度は、有機溶媒1リットルあたりのSBR等の量が5〜500g、さらには20〜200g、とくには30〜100gであるのが、変性反応を円滑に進める点から好ましい。
【0024】
前記変性剤の使用量は、SBR等100gに対して0.01〜150ミリモル、さらには0.5〜100ミリモル、ことには1〜50ミリモルであるのが好ましい。前記使用量が0.01ミリモルより少ないと、変性の際にSBR等中に導入されるチッ素元素の量が少なくなり、充分な変性効果が得られにくくなり、150ミリモルより多いと、変性ジエン系共重合体中に残存する未反応の変性剤の量が多くなるため、その除去に手間がかかったり、そののちの加硫反応への影響が大きくなる。
【0025】
このようにして得られる本発明に使用される主鎖変性ジエン系重合体は、SBR等の主鎖にアミノ基を2個有する脂肪族化合物が結合した、チッ素含有量が10ppm以上、好ましくは10ppm以上で2000ppm以下という特性を有する主鎖変性ジエン系重合体である。
【0026】
前記変性ジエン系重合体が主鎖変性ジエン系重合体であることは、たとえばブタジエンゴムと1,3−プロパンジアミンとを反応させた場合に、13C−NMR測定で58ppm付近にブタジエンゴム中の炭素原子にアミノ基が結合したピークが観察され、1,3−プロパンジアミン中の1位の炭素原子に結合した水素原子のピークが1H−NMR測定で4ppm付近に観察されることからたしかめられている。
【0027】
なお、1,3−プロパンジアミン中の3位の炭素原子に結合したアミノ基も主鎖変性に関与する場合には、架橋構造が生じ得る。
【0028】
前記主鎖変性ジエン系重合体の具体例としては、たとえば後述する実施例で使用しているものなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明のゴム組成物は、前記主鎖変性ジエン系共重合体を単独でまたはほかのポリブタジエンゴムなどの合成ゴムもしくは天然ゴムとブレンドしたものをゴム成分とし、ゴム組成物として一般に使用される成分、たとえばカーボンブラック、シリカなどの充填剤やシリカと主鎖変性ジエン系共重合体との結合を強め、耐摩耗性を向上させるために配合されるシランカップリング剤を含有する組成物である。
【0030】
前記主鎖変性ジエン系共重合体と合成ゴムまたは天然ゴムとを併用する場合の重量の割合としては、変性ジエン系共重合体/合成ゴムまたは天然ゴムが80/20〜40/60、さらには70/30〜50/50であるのが変性ジエン系共重合体の効果が充分に現れる点から好ましい。
【0031】
前記カーボンブラックとしては、チッ素吸着比表面積(以下、N2SAという)が30〜200m2/gで圧縮ジブチルフタレート吸油量(以下、24M4DBP吸油量という)が30〜150ml/100gの範囲であるものが好ましく使用される。N2SAおよび24M4DBP吸油量が各々の下限値より小さい場合には、分散性改良効果や補強効果が小さく、また上限値をこえる場合には、分散性がよくなく、発熱性が増大する傾向がある。
【0032】
前記カーボンブラックの具体例としては、たとえばHAF、ISAF、SAFなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
前記カーボンブラックの配合量としては、主鎖変性ジエン系共重合体(他のゴムとブレンドして使用する場合はブレンド物、以下同様)100部に対して10〜100部、さらには25〜80部であるのが、補強性および低発熱性の点から好ましい。
【0034】
前記シリカとしては、N2SAが50〜300m2/gのものが好ましく使用される。N2SAが50m2/g未満の場合、分散性改良効果や補強効果が小さくなり、300m2/gをこえると分散性がよくなく、発熱性が増大する傾向がある。
【0035】
前記シリカとしては、たとえば乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などがあげられ、とくに制限はないが、湿式法シリカが好ましい。湿式法シリカの好ましい例としては、デグッサ社製Ultrasil VN3(商品名)、日本シリカ(株)製ニップシールVN3 AQ(商品名)などがあげられる。
【0036】
前記シリカの配合量としては、主鎖変性ジエン系共重合体100部に対して5〜100部、さらには10〜85部であるのが、低発熱性および作業性の点から好ましい。
【0037】
前記シランカップリング剤の配合量は、前記シリカに対して3〜20%、さらには4〜15%が好ましい。シランカップリング剤の配合量が3%未満の場合、前記シランカップリング剤添加の効果が充分得られず、20%をこえると、コストが上がる割に前記効果が得られにくくなる。
【0038】
前記シランカップリング剤としては、従来からシリカ(充填剤)と併用して使用されているものが、とくに限定なく使用され得る。
【0039】
前記シランカップリング剤の具体例としては、たとえばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランがカップリング剤を添加することによる効果が大きく、コスト面でも優位である点から好ましい。
【0040】
本発明のゴム組成物には、前記カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤のほかに、必要に応じて一般にゴム組成物の添加剤として使用される添加物を一般に使用される範囲で添加してもよい。
【0041】
前記添加剤の具体例としては、たとえばプロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル)、加硫剤(イオウ、塩化イオウ化合物、有機イオウ化合物など)、加硫促進剤(グアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系の化合物など)、酸化防止剤ないし老化防止剤(ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系などのアミン誘導体、キノリン誘導体、ハイドロキノン誘導体、モノフェノール類、ジフェノール類、チオビスフェノール類、ヒンダードフェノール類、亜リン酸エステル類など)、加硫助剤(ステアリン酸、酸化亜鉛などの亜鉛華など)などがあげられる。
【0042】
本発明のゴム組成物は、前記主鎖変性ジエン系共重合体を単独でまたは前記合成ゴムもしくは天然ゴムとブレンドして配合し、ついで前記カーボンブラック、シリカなどの充填剤、シランカップリング剤、および必要に応じて使用される前記添加剤を加え、常法により混練することにより得られ、たとえばタイヤ、ホース、ベルトそのほかの各種工業用品などの機械的特性および耐摩耗性が要求される用途に好適に使用することができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明のゴム組成物を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
なお、実施例および比較例で使用した原材料を以下にまとめて示す。
【0045】
SBR1502:日本合成ゴム(株)製商品名、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン単位量23.5%
カーボンブラック:昭和キャボット(株)製のショウワブラックN220
酸化防止剤:日本チバガイギー社製のIrganox1010(テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
老化防止剤6C:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン)
イオウ:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド)
【0046】
また、実施例で得られた主鎖変性ジエン系共重合体の特性の評価方法および実施例および比較例で得られたゴム組成物の評価方法を以下に示す。
【0047】
[主鎖変性ジエン系共重合体の特性の評価方法]
(ムーニー粘度(ML1+4、100℃))
主鎖変性ジエン系共重合体を用いて、JIS K 6300にしたがって測定した。
【0048】
(チッ素含有量)
JIS K0102にしたがってケルダール法により、主鎖変性ジエン系共重合体のチッ素含有量を測定した。
【0049】
[ゴム組成物の評価方法]
(引張特性)
JIS K6301にしたがって所定のゴム組成物の加硫物のM300(300%引張応力)(MPa)、TB(引張り強さ)(MPa)およびEB(伸び)(%)を求めた。また、TB×EBの値も求めた。この値が大きい方が破壊特性が優れる。
【0050】
(転がり抵抗指数)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用い、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件でゴム組成物の加硫物のtanδを測定し、比較例1のtanδの値を100とし、式:
転がり抵抗指数={(比較例1の値)/(各実施例の値)}×100
により転がり抵抗指数として表わした。指数の値が大きい方が転がり抵抗が低い。
【0051】
(摩耗指数)
ランボーン摩耗試験機を用い、温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分間の条件で所定のゴム組成物の加硫物の摩耗量(容積損失)を測定し、比較例1の損失量を100とし、式:
摩耗指数={(比較例1の損失量)/(各実施例の損失量)}×100
により摩耗指数として表わした。指数の値が大きい方が耐摩耗性に優れる。
【0052】
(ウェットスキッド指数)
スタンレー社製のポータブルスキッドテスターを用いてASTM E303−83の方法にしたがって所定のゴム組成物の加硫物のウェットスキッド性能を測定し、比較例1の数値を100とし、式:
ウェットスキッド指数={各実施例の数値/比較例1の数値}×100
によりウェットスキッド指数として表わした。指数の値が大きい方がウェットスキッド性能に優れる。
【0053】
実施例1
撹拌機および温度調節器を備えた2リットル容のガラス製セパラブルフラスコに、SBR1502 100gとトルエン1リットルとを加えて、撹拌下で60℃に昇温し、SBR1502を完全に溶解させた。そこに、変性剤としてあらかじめテトラヒドロフランに溶解させておいた1,3−プロパンジアミンを1ミリモル、触媒として塩化アルミニウムを10ミリモル添加し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、室温に冷却し、反応液を250メッシュの金鋼でろ過して、メタノール2リットルを加えて、主鎖変性ジエン系共重合体を沈殿させた。そののち、再びトルエンでの溶解およびメタノールでの沈殿を繰り返し、反応せずに残存している変性剤を除去し、ついで、酸化防止剤を前記主鎖変性ジエン系共重合体に対して1000ppm練り込んだのち、100℃で1時間真空乾燥させて本発明に使用する主鎖変性ジエン系共重合体(I)を得た。
【0054】
得られた主鎖変性ジエン系共重合体(I)について、前記[主鎖変性ジエン系共重合体の特性の評価方法]にしたがって評価した。
【0055】
つぎに、前記主鎖変性ジエン系共重合体(I)および表1に示す組成にしたがって他の原料を250ccバンバリータイプの混練り機を用いて混練りし、供試ゴム組成物を得た。得られた供試ゴム組成物を170℃で20分間プレス加硫して加硫物(I)を得、前記[ゴム組成物の評価方法]にしたがって評価した。結果を表1に示す。
【0056】
実施例2
触媒として臭化エチル20ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行なって主鎖変性ジエン系共重合体(II)および加硫物(II)を得、各々について同様に評価した。結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
変性剤として1,4−ジアミノブタン5ミリモル、触媒として塩化アルミニウム10ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行なって主鎖変性ジエン系共重合体(III)および加硫物(III)を得、各々について同様に評価した。結果を表1に示す。
【0058】
実施例4
変性剤として1,4−ジアミノブタン5ミリモル、触媒として臭化エチル10ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行なって主鎖変性ジエン系共重合体(IV)および加硫物(IV)を得、各々について同様に評価した。結果を表1に示す。
【0059】
実施例5
変性剤として1,2−プロパンジアミン20ミリモル、触媒として塩化アルミニウム20ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行なって主鎖変性ジエン系共重合体(V)および加硫物(V)を得、各々について同様に評価した。結果を表1に示す。
【0060】
実施例6
変性剤として1,2−プロパンジアミン20ミリモル、触媒として臭化アルミニウム20ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行なって主鎖変性ジエン系共重合体(VI)および加硫物(VI)を得、各々について同様に評価した。結果を表1に示す。
【0061】
比較例1
主鎖変性ジエン系共重合体のかわりにSBR1502を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行なって加硫物を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0004215883
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、ウェットスキッド特性、低転がり抵抗および耐摩耗性に優れたゴム組成物を得ることができる。

Claims (1)

  1. スチレン−ブタジエン共重合体をアミノ基を2個有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素と反応させて得られる主鎖変性ジエン系共重合体を含有するゴム組成物であって、
    前記スチレン−ブタジエン共重合体におけるブタジエン単位中のシス−1,4構造が80%以上ではなく、
    前記スチレン−ブタジエン共重合体をアミノ基を2個有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素と反応させる際に触媒としてハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化アルキルを使用するゴム組成物
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