JP4080063B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェットスキッド特性および低転がり抵抗、ならびに耐摩耗性に優れたゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からタイヤの分野においては、互いに二律背反の関係にあるウェットスキッド特性および転がり抵抗、ならびに耐摩耗性を同時に改良するために、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)のスチレン量や1,2−ブタジエンとビニルの比率を変えることが行なわれていたが、最近では、低燃費性やウェットスキッド性能の改善という理由から、ゴム分子にカーボンブラックと結合しやすい特定の官能基を導入してゴム成分を変性する方法が行なわれている。
【0003】
たとえば特開昭58−162604号および特開平59−117514号各公報には、ゴム成分をベンゾフェノンと反応させて変性する方法が記載されており、特公平6−53766号、特公平6−57769号および特公平6−78450号各公報には、ゴム成分をニトロアミノ化合物、ニトロ化合物またはニトロアルキル化合物と反応させて変性する方法が記載されている。
【0004】
しかし、前記各公報記載の方法では、充分な効果が得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、ウェットスキッド特性および低転がり抵抗、ならびに耐摩耗性に優れたゴム組成物を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体を、チッ素原子含有基およびクロロスルフェニル基またはクロロスルフォニル基を有する化合物と反応させて得られる変性ジエン系共重合体30〜100重量部、ジエン系ゴム0〜70重量部およびシリカ5〜100重量部を含み、
前記変性ジエン系共重合体において、チッ素原子含有基およびクロロスルフェニル基またはクロロスルフォニル基と結合しているジエンユニットが、全ジエンユニットの0.01〜0.5%であるゴム組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体と、チッ素原子含有基とクロロスルフェニル基(−SCl)またはクロロスルフォニル基(−SO2Cl)とを含有する化合物(以下、「変性剤」ともいう。)と反応させて得られる変性ジエン系共重合体(以下、「変性共重合体」ともいう。)を用いれば、ウェットスキッド性能および低転がり抵抗、ならびに耐摩耗性に優れたゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
ここで、本発明における「変性」とは、チッ素原子含有基とクロロスルフェニル基またはクロロスルフォニル基とを含有する化合物がジエン系ゴムと反応し、前記化合物の有する官能基がスチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体のジエンユニットと化学的に結合することをいう。
【0009】
まず、本発明において用いる変性共重合体を得る方法について説明する。
【0010】
本発明においては、変性共重合体を得るためにスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体を用いるが、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。なかでも、低燃費性能とウェットスキッド性能の両立という点からSBRを用いるのが特に好ましい。
【0011】
つぎに、本発明において変性剤として用いるチッ素原子含有基およびクロロスルフェニル基またはクロロスルフォニル基を含有する化合物について説明する。
【0012】
本発明において用いる変性剤の有するチッ素原子含有基としては、充填剤であるカーボンブラックやシリカと結合し得るものであればよく、たとえばカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、メチルアミノ基、キノリノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、アセトアミド基、イミノ基、フェニルイミノ基、オキシアミノ基、オキシイミノ基、ニトロアミノ基、ヒドラジノ基、ジアゾ基、アゾ基、アゾキシ基、ヒドラゾ基、フェニルアゾ基およびアミジノ基などがあげられる。これらのうちでも、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アセトアミド基、イミノ基、ジアゾ基、アゾ基、フェニルアゾ基が好ましい。
【0013】
前記変性剤のうち、チッ素原子含有基およびクロロスルフェニル基(−SCl)を含有する化合物としては、たとえば2,4−ジニトロベンゼンスルフェニルクロライド、4−ニトロベンゼンスルフェニルクロライドなどがあげられる。
【0014】
また、チッ素原子含有基およびクロロスルフォニル基(−SO2Cl)を含有する化合物としては、たとえば4−ニトロベンゼンスルフォニルクロライド、2−アセトアミドベンゼンスルフォニルクロライド、1−アミノナフチル−5−スルフォニルクロライド、キノリンスルフォニルクロライド、ジメチルスルファモイルクロライド、ジメチルスルフォニルクロライド、2,4−ジニトロベンゼンスルフォニルクロライドなどがあげられる。
【0015】
これら変性剤は、それぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができるが、反応効率という点から、2,4−ジニトロベンゼンスルフォニルクロライド、2,4−ジニトロベンゼンスルフェニルクロライド、ジメチルスルファモイルクロライド、ジメチルスルフォニルクロライド、4−ニトロベンゼンスルフェニルクロライド、4−ニトロベンゼンスルフォニルクロライドを用いるのが好ましく、さらに、反応効率と安全性という点から、2−アセトアミドベンゼンスルフォニルクロライド、1−アミノナフチル−5−スルフォニルクロライド、キノリンスルフォニルクロライドを用いるのが特に好ましい。
【0016】
つぎに、スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体に前記変性剤を反応させる方法としては、特に制限はないが、たとえば(1)スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体と変性剤を有機溶媒中で接触させることにより反応させる方法、(2)スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体の重合溶液に直接変性剤を添加して反応させる方法、(3)スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体と変性剤とを混練機で混練しながら反応させる方法などがあげられる。これらのうちでも、反応効率という点から、スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体と変性剤とを有機溶媒中で接触させることにより反応させる方法(1)を用いるのが好ましい。
【0017】
前記方法(1)〜(3)は当業者であれば実施できるが、以下に特に好ましい方法(1)に代表させて本発明の変性共重合体を得る方法を説明する。
【0018】
前記方法(1)において用いる有機溶剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体と反応しないものであれば特に制限はないが、通常は、スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体を重合する際に用いる有機溶媒と同じであり、たとえばベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テトラリン、デカリンなどの脂環式炭化水素、そのほか塩化メチレン、テトラヒドロフランなどがあげられる。これらのうちでも、スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体の溶解性と反応温度(沸点)という点からトルエンを用いるのが好ましい。
【0019】
反応中の反応溶液の温度としては、0〜100℃の範囲であればよいが、25〜70℃の範囲であるのが好ましい。0℃より低いと反応の進行が遅く、100℃を超えると得られる変性共重合体がゲル化してしまうため好ましくない。
【0020】
ジエン系共重合体と変性剤の反応時間としては、特に制限はないが、通常は0.5〜6時間であればよく、1〜4時間であるのが好ましい。反応時間が0.5時間よりも短いと反応が充分に進行せず、6時間を超えると得られる変性共重合体がゲル化してしまうため好ましくない。
【0021】
また、ジエン系共重合体の使用量としては、有機溶媒への溶解度という点から、有機溶媒1リットルに対して5〜500gであればよいが、溶解度と効率という点から20〜200gであるのが好ましい。
【0022】
変性剤の使用量としては、スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体100gに対して0.01〜150ミリモルであればよいが、1〜100ミリモルであるのが好ましく、さらに、3〜50ミリモルであるのが特に好ましい。変性剤の使用量が0.001ミリモルより少ないとジエン系共重合体に導入される官能基の量が少なくなって変性の効果が不充分なものとなり、150ミリモルを超えると得られるゴム組成物の結合点が多くなりすぎて伸びなどの破壊強度が低くなるという点から好ましくない。
【0023】
この場合、反応速度を大きくするために、触媒を添加してもよい。かかる触媒としては、ジエン成分の二重結合部分を活性化するというものであればよいが特に制限はないが、たとえば塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチルなどのハロゲン化アルキルなどがあげられる。
【0024】
触媒を用いる場合の使用量としては、ジエン系共重合体100gに対して0.01〜100ミリモルであればよいが、0.05〜50ミリモルであるのが好ましく、さらに0.08〜20ミリモルであるのが特に好ましい。
【0025】
前述のようにして得られる変性ジエン系共重合体には、ジエンユニットに前記変性剤のもつチッ素原子含有基およびクロロスルフェニル基またはクロロスルフォニル基が結合している。
【0026】
本発明の変性共重合体においては、変性による物性向上という点から、前記官能基と結合しているジエンユニットの全ジエンユニットに対する割合(以下、「変性比」ともいう。)は0.01〜0.5%であればよいが、さらなる物性向上という点から0.05〜0.2%であるのが好ましい。
【0027】
また、変性比は、変性剤の使用量などによって制御することができる。
【0028】
本発明のゴム組成物は、前述のようにして得られる変性共重合体のほか、ジエン系ゴムを含んでよい。かかるジエン系ゴムとしては、従来からたとえばタイヤの分野において用いられているものであれば特に制限はなく、たとえば天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、NBR、SIBR、IRなどをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。なかでも、タイヤ用ゴムという点から、NR、IR、SBR、BR、SIBRを用いるのが好ましい。
【0029】
さらに、本発明のゴム組成物は、充填材としてシリカを含むことにより、ウェット性能と低転がり抵抗の両立という効果を奏する。シリカは、チッ素吸着比表面積が50〜300m2/gであるのが好ましい。チッ素吸着比表面積が50m2/gより小さい場合、シリカのゴム組成物に対する分散性およびゴム組成物の補強性に劣り、チッ素吸着比表面積が300m2/gより大きい場合、圧縮DBP吸着量が150ml/100gより大きい場合は、ゴム組成物への分散性に劣り、かつゴム組成物の発熱量が増大するからである。
【0030】
かかるシリカの種類としては、特に制限はないが、たとえば乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などがあげられ、加工性という点から、湿式法シリカ(含水ケイ酸)を用いるのが好ましい。市販の湿式法シリカ(含水ケイ酸)としては、たとえばデグサ社製のUltrasil VN3、日本シリカ(株)製のニップシールVN3 AQなどを本発明において好適に用いることができる。
【0031】
本発明のゴム組成物を得るための前記変性共重合体、ジエン系ゴムおよびシリカの混合割合としては、前記変性共重合体30〜100重量部、ジエン系ゴム0〜70重量部およびシリカ5〜100重量部である。ここで、シリカの混合量を前記範囲としたのは、かかる範囲においてウェットスキッド性能および耐摩耗性に優れるからである。特に100重量部を超えるとゴムが硬くなりすぎ、たとえばタイヤに適用する場合、タイヤとしての機能に劣る。また、少なすぎるとシリカの特性が充分に発現できないので、所望の効果が得られない場合がある。
【0032】
また、ウェットスキッド性能と低転がり抵抗ならびに耐摩耗性の改善という点から、前記変性共重合体30〜100重量部、ジエン系ゴム0〜70重量部およびシリカ5〜100重量部であるのが好ましく、さらにウェットスキッド性能の更なる改善効果発現という点から、前記変性共重合体40〜80重量部、ジエン系ゴム20〜60重量部およびシリカ10〜80重量部であるのが特に好ましい。
【0033】
ここで、シリカを用いる場合、通常はシランカップリング剤を用いてシリカとゴム成分を化学的に結合させ、得られるゴム組成物の耐摩耗性などを向上させている。しかし、本発明のゴム組成物は、特にシランカップリング剤を用いなくとも耐摩耗性に優れる。より充分な耐摩耗性を所望する場合にはシランカップリング剤を併用してもよい。
【0034】
かかるシランカップリング剤としては、従来からシリカと併用されているものであれば特に制限はなく、たとえばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどがあげられる。なかでも、カップリング効果とコストの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを用いるのが好ましい。
【0035】
また、シランカップリング剤の使用量としては、性能と加工性、コストという点から、シリカの0〜20重量%であればよい。
【0036】
なお、本発明のゴム組成物は、前記成分以外の成分として、たとえばカーボンブラックなどの充填材、イオウなどの加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル、酸化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などの配合剤を適宜含み得る。
【0037】
特にカーボンブラックを用いる場合は、チッ素吸着比表面積が30〜200m2/gであるのが好ましく、圧縮ジブチルフタレート(DBP)吸着量が30〜150ml/100gであるのが好ましい。チッ素吸着比表面積が30m2/gより小さい場合、圧縮DBP吸着量が30ml/100gより小さい場合は、カーボンブラックのゴム組成物に対する分散性および補強性に劣り、チッ素吸着比表面積が200m2/gより大きい場合、圧縮DBP吸着量が150ml/100gより大きい場合は、ゴム組成物への分散性に劣り、かつゴム組成物の発熱量が増大するからである。
【0038】
かかるカーボンブラックの種類としては、たとえばHAF、ISAF、SAFなどがあげられるが、特に制限されるものではない。
【0039】
本発明のゴム組成物は、変性共重合体、ジエン系ゴムおよびシリカを常法で混合したのち、必要に応じて前記配合剤を適宜混合し、常法により加硫して得ることができる。この際の混合方法としては特に制限はなく、当業者であれば実施することができる。
【0040】
前述のようにして得られる本発明のゴム組成物は、タイヤ、ホース、ベルト、そのほか、耐摩耗性、耐破壊特性などの機械的特性を必要とする各種工業製品に適用することができる。
【0041】
以下に、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
合成例1(変性共重合体Aの合成)
撹拌機および温度調節器を備えた2リットル容のガラス製セパラブルフラスコに、SBR(日本合成ゴム工業(株)製のSBR1502、スチレン含量:23.5%)100gとトルエン1リットルとを加えて、撹拌下で60℃に昇温し、SBRを完全に溶解させた。そこに、あらかじめテトラヒドロフランに溶解させた変性剤である2,4−ジニトロベンゼンスルフォニルクロライドを0.15ミリモル添加し、60℃で2時間反応させた。
【0043】
反応終了後、室温に冷却した反応溶液を3リットルのフラスコに移し、1.5リットルのメタノールを加えて、反応後のジエン系共重合体Aを沈殿させた。沈殿物を300メッシュの金網で濾過、分離したのち、再びトルエンでの溶解およびメタノールでの沈殿を繰り返して反応せずに残存している変性剤を除去し、ついで、酸化防止剤として日本チバガイギー(株)製のIrganox1010(テトラキス−(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンをSBRに対して1000ppm練り込んだのち、100℃で1時間真空乾燥させて本発明の変性共重合体Aを得た。
【0044】
[評価]
得られた変性共重合体Aについて、JIS K6300にしたがってムーニー粘度(ML1+4、100℃)を測定し、JIS K0102にしたがってケルダール法によりチッ素含有量を測定した。また、チッ素原子含有基およびクロロスルフェニル基またはクロロスルフィニル基と結合しているジエンユニットの、全ジエンユニットに対する割合(変性比)をつぎのようにして求めた。
【0045】
まず、本実施において用いたSBR 1502の場合、100g中の1,4−ブタジエン成分は58.5g(1.08モル)である。つぎに、合成例1で得た変性共重合体Aのチッ素含有量が30ppmであることから、変性共重合体Aに付加しているチッ素原子のモル数は、
【0046】
【数1】
【0047】
である。
【0048】
すなわち、変性共重合体A100g中には1.07×10-4モル/100gのチッ素原子が存在する。したがって、変性比は、
【0049】
【数2】
【0050】
となる。
【0051】
合成例2〜6(変性共重合体B〜Fの合成)
変性剤の使用量を表1に示す量にかえたほかは、合成例1と同様にして変性共重合体B〜Fを得、同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0052】
合成例7(変性共重合体Gの合成)
変性剤としてジメチルスルファモイルクロライドを10ミリモル用いたほかは合成例1と同様にして変性共重合体Gを得、同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0053】
合成例8(変性共重合体Hの合成)
反応時に触媒として塩化アルミニウムを5ミリモル添加したほかは、合成例7と同様にして変性共重合体Hを得、合成例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
ここで、以下において用いた各成分を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例1〜6
表3に示す配合割合にしたがい、250ccのバンバリータイプの混練機を用い、温調100℃、回転速度80rpmという条件で混練して本発明のゴム組成物1〜6を得た。
【0058】
ついで得られたゴム組成物1〜6を170℃20分間プレス加硫し、加硫後の本発明のゴム組成物1〜6を得た。ついで以下の評価試験を行なった。結果を表3に示す。
【0059】
[評価試験]
▲1▼引張り試験
JIS K6301にしたがってM300(MPa)、TB(MPa)およびEB(MPa)を求めた。それぞれ、値が大きいほうが破壊特性に優れる。M300は9.8MPa以上、TBは30MPa以上、EBは568MPa以上であればよい。また、TB×EBの値も求めた。この値は、ランボーン摩耗特性と相関関係を示し、大きいほど耐摩耗性に優れる。
【0060】
▲2▼粘弾性試験
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用い、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件でtanδを測定し、下記の式により転がり抵抗指数として表わした。指数の値が大きいほうが転がり抵抗が低い。転がり抵抗指数は100以上であればよい。
【0061】
転がり抵抗指数={(各実施例の値)/(比較例1の値)}×100
【0062】
▲3▼摩耗試験
ランボーン摩耗試験機を用い、温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分間の条件で摩耗量(容積)を測定し、下記の式により指数として表わした。指数の値が大きいほうが耐摩耗性に優れる。摩耗指数は100以上であればよい。
【0063】
摩耗指数={(比較例1の損失量)/(各実施例の損失量)}×100
【0064】
▲4▼ウェットスキッド試験
スタンレー社製のポータブルスキッドテスターを用いて、ASTM E303−83の方法にしたがってウェットスキッド値を求め、下記の式により指数として表わした。指数の値が大きいほうがウェットスキッド性能に優れる。ウェットスキッド指数は100以上であればよい。
【0065】
ウェットスキッド指数={(各実施例の値)/(比較例1の値)}×100
【0066】
比較例1〜3
表3に示す配合割合にかえたほかは実施例1と同様にして加硫後の比較ゴム組成物を得、評価試験を行なった。結果を表3に示す。なお、前記評価試験の▲2▼〜▲4▼においては、比較例1の結果を基準にして評価した。
【0067】
【表3】
【0068】
表3に示す結果から、全ジエンユニットに対して変性率が0.01〜0.5%である実施例1〜6は、シランカップリング剤を用いなくとも、ウェットスキッド特性、低転がり抵抗、耐摩耗性のすべてにおいて、比較例1〜3のゴム組成物に比し明らかに優れているということがわかる。
【0069】
実施例7〜11
表4に示す配合割合にかえたほかは実施例1と同様にして加硫後のゴム組成物を得、評価試験を行なった。結果を表4に示す。なお、前記評価試験の▲2▼〜▲4▼においては、比較例1の結果を基準にして評価した。
【0070】
【表4】
【0071】
表4に示す結果から、本発明の変性共重合体は任意にシランカップリング剤を用いてもよく、シランカップリング剤を用いた実施例7〜11のゴム組成物においては、比較例1に比して非常に優れた特性を示すということがわかる。
【0072】
実施例12〜15
表5に示す配合割合にかえたほかは実施例1と同様にして加硫後のゴム組成物を得、評価試験を行なった。結果を表5に示す。なお、前記評価試験の▲2▼〜▲4▼においては、比較例1の結果を基準にして評価した。
【0073】
比較例4〜7
表5に示す配合割合にかえたほかは実施例1と同様にして加硫後のゴム組成物を得、評価試験を行なった。結果を表5に示す。なお、前記評価試験の▲2▼〜▲4▼においては、比較例1の結果を基準にして評価した。
【0074】
【表5】
【0075】
表5に示す結果から、シリカの配合量が5〜100重量部の上下限付近の実施例13および14のゴム組成物においては、比較例5および6に比してウェットスキッド特性および低転がり抵抗および耐摩耗性に優れているということがわかる。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、ウェットスキッド特性および低転がり抵抗、ならびに耐摩耗性に優れたゴム組成物を得ることができる。
Claims (1)
- スチレン−ブタジエン共重合体および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体を、チッ素原子含有基およびクロロスルフェニル基またはクロロスルフォニル基を有する化合物と反応させて得られる変性ジエン系共重合体30〜100重量部、ジエン系ゴム0〜70重量部およびシリカ5〜100重量部を含み、
前記変性ジエン系共重合体において、チッ素原子含有基およびクロロスルフェニル基またはクロロスルフォニル基と結合しているジエンユニットが、全ジエンユニットの0.01〜0.5%であるゴム組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16723598A JP4080063B2 (ja) | 1998-06-15 | 1998-06-15 | ゴム組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16723598A JP4080063B2 (ja) | 1998-06-15 | 1998-06-15 | ゴム組成物 |
Publications (2)
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