JP2001114938A - 変性ジエン系ゴム組成物 - Google Patents

変性ジエン系ゴム組成物

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JP2001114938A
JP2001114938A JP29216999A JP29216999A JP2001114938A JP 2001114938 A JP2001114938 A JP 2001114938A JP 29216999 A JP29216999 A JP 29216999A JP 29216999 A JP29216999 A JP 29216999A JP 2001114938 A JP2001114938 A JP 2001114938A
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silica
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diene rubber
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Noriko Yagi
則子 八木
Kiyoshige Muraoka
清繁 村岡
Tokuji Inoue
篤司 井上
Tetsuji Nakajima
哲司 中島
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Ube Corp
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性を低下させることなく、耐摩耗性、転
がり抵抗、ウェットグリップ性能に優れた変性ジエン系
ゴム組成物を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)および/または(2) Rk(R′O)lSi (1) Rm(R′O)nSiH (2) (式中、RおよびR′は、各々、同一もしくは異なる炭
素数1〜20の一価炭化水素基であり、kは0〜3の整
数、lは1〜4の整数、mは0〜2の整数、nは1〜3
の整数であって、k+l=4、m+n=3である。)で
表わされるアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物で
変性した変性ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部
に対して、シリカ5〜100重量部を配合してゴム組成
物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性を低下させ
ることなく、転がり摩擦抵抗特性(燃費特性)、ウェッ
トスキッド特性やウェットオンアイス特性(雪氷上性
能)、耐摩耗性にとくに優れた変性ジエン系ゴム組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の低燃費化の要求と、水
上、雪上および氷上における走行安全性の要求が高ま
り、自動車のタイヤトレッドゴムとして、転がり抵抗が
小さく、水上、雪上および氷上における路面グリップの
大きな材料の開発が望まれるようになってきた。
【0003】しかし、ブタジエンゴム(BR)のように
反発弾性の大きな(転がり抵抗の小さな)ゴムは、ウェ
ットスキッド抵抗が小さく、スチレンブタジエンゴム
(SBR)のように反発弾性が小さな(転がり抵抗が大
きな)ゴムは、ウェットスキッド抵抗も大きいという特
性があり、これらはお互いに二律背反の関係にあった。
【0004】従来から、このような問題を解決する手段
として、リチウム系触媒により、低シス共役ジエン系ゴ
ムを変性剤により、化学変性する方法が数多く提案され
ている。たとえば、低シスBRをベンゾフェノン化合物
で変性する方法が、特開昭58−162604号公報、
特開昭59−117514号公報に提案されており、自
動車タイヤの転がり抵抗が小さく、ウェットスキッド抵
抗が大きくなるという改善効果が認められている。ま
た、リチウム触媒で製造した低シスBRを、ケイ素また
はスズ化合物と特定のアミノシラン化合物で反応させ
て、変性ジエン系ゴムを製造する方法が特開平1−28
4503号公報に開示されており、反発弾性が高く、低
温でのJIS硬度が低く、加工性に優れることが述べら
れている。
【0005】しかしながら、低シスBRは、高シスBR
と比較して、耐摩耗性と反発弾性が不充分であり、変性
によっても、この問題点は解決することができなかっ
た。
【0006】一方、近年、低発熱化を目的としてシリカ
とシランカップリング剤を使用する方法が多数報告され
ている。シリカはその表面官能基であるシラノール基が
水素結合するために、シリカ粒子同士が凝集する傾向に
あり、シランカップリング剤はこれらのシラノール基と
結合してシリカ同士の凝集を防ぎ、加工性を改善すると
考えられている。一方、性能面においてはシリカとポリ
マーがシランカップリング剤と化学的に結合することに
より、転がり抵抗の低減や摩耗性が改善されると考えら
れている。
【0007】しかし、これらの目的を達成するためには
シリカとシランカップリング剤を混練りし、加工中に化
学的に反応させる必要があり、シリカとシランカップリ
ング剤を充分に反応させるためには高温でよく練る方が
よいとされている。ところが、シランカップリング剤中
のゴムと反応をする官能基部分が混練りなどの加工中に
かかる温度によって一部ゴムとの反応を起こしてしまう
ため、ゲル化といわれるゴム焼けの現象が起こる。一
方、ゴム焼けが起こらないような低温で混練りすると、
シリカとシランカップリング剤の反応が不充分となると
いう矛盾点が生じる。
【0008】前記問題を解決する一つの手法として、特
開昭62−50346号公報、特開昭62−6568号
公報、特開昭63−175001号公報などに記載され
ているように、ポリマー末端をあらかじめシリカと反応
しやすい官能基アルコキシシラン変性を行なう方法や、
特開平8−53576号公報の末端エポキシ基変性など
が提案されている。
【0009】しかし、いずれの公報もポリマー末端にこ
れらの官能基を付加する程度なので、加工性および性能
面どちらにおいても充分な効果は得られなかった。
【0010】そこで、シリカと反応しやすい官能基をあ
らかじめジエン系ゴムの二重結合部分に付加させ、官能
基を数多くもつ変性ジエン系ゴムを用いることにより、
加工性と性能を両立することを考えた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記課題を
鑑みて、ジエン系ゴムをあらかじめアルコキシ基を含有
するケイ素化合物で変性することにより、加工性を低下
させることなく、耐摩耗性、転がり抵抗、ウェットグリ
ップ性能に優れた変性ジエン系ゴム組成物を提供するこ
とを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
諸問題も改善すべく鋭意検討した結果、ジエン系ゴムを
あらかじめアルコキシ基を含有するケイ素化合物で変性
することにより、ゴム成分とシリカとの相互作用を高
め、加工性を低下させることなく、耐摩耗性、転がり抵
抗特性、グリップ性能に優れた特性を有することを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち本発明は、下記一般式(1)およ
び/または(2) Rk(R′O)lSi (1) Rm(R′O)nSiH (2) (式中、RおよびR′は、各々、同一もしくは異なる炭
素数1〜20の一価炭化水素基であり、kは0〜3の整
数、lは1〜4の整数、mは0〜2の整数、nは1〜3
の整数であって、k+l=4、m+n=3である。)で
表わされるアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物で
変性した変性ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部
に対して、シリカを5〜100重量部含むゴム組成物に
関する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。
【0015】ジエン系ゴムの具体例としては、イソプレ
ンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SB
R)、スチレン−イソプレン−ブタジエン(SIB
R)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)などがあげ
られる。一般的に商業生産されたものを用いてもよい
し、また適宜合成したものを用いてもよい。
【0016】ジエン系ゴムを変性する変性剤としては、
分子中にアルコキシ基を含有するケイ素化合物であり、
下記一般式(1)および/または(2)で表わされる。
【0017】Rk(R′O)lSi (1) Rm(R′O)nSiH (2) (式中、RおよびR′は、各々、同一もしくは異なる炭
素数1〜20の一価炭化水素基であり、kは0〜3の整
数、lは1〜4の整数、mは0〜2の整数、nは1〜3
の整数であって、k+l=4、m+n=3である。) このような変性剤でジエン系ゴムを処理することによっ
て、シリカと反応しやすい官能基をあらかじめジエン系
ゴムの二重結合部分に付加させ、官能基を数多くもつ変
性ジエン系ゴムを調製することができる。
【0018】具体的にはテトラメトキシシラン、メチル
トリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリ
メチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジ
エチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラ
ン、トリエチルエトキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジブトキシシ
ラン、トリメチルブトキシシラン、エチルトリブトキシ
シラン、ジエチルジブトキシシラン、トリエチルブトキ
シシラン、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラ
ン、ジメチルメトキシシラン、エチルジメトキシシラ
ン、ジエチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メ
チルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、エチ
ルジエトキシシラン、ジエチルエトキシシラン、トリブ
トキシシラン、メチルジブトキシシラン、ジメチルブト
キシシラン、エチルジブトキシシラン、ジエチルブトキ
シシランなどがあげられる。これらの中では、とくにテ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、メチルトリメトキシシランが好適に
使用される。変性剤は、1種類単独、または数種類、組
み合わせて使用することもできる。
【0019】前記変性剤の使用量は、共役ジエン系ゴム
100gに対して、0.01〜150ミリモル、好まし
くは1.0〜100ミリモルが好ましい。変性剤の使用
量が少ないと、変性ジエン系ゴム中に導入されるアルコ
キシ基を含有するケイ素化合物の変性量が少なくなり、
満足すべき変性効果が現れない。一方、変性剤の使用量
が多すぎると、変性ジエン系ゴム中に未反応変性剤が残
存し、その除去に手間がかかり、変性剤の無駄にもな
り、さらに顕著な物性の改善効果が現れにくい。
【0020】また、変性ジエン系ゴム中のケイ素含有量
は、10〜5000ppmであることが好ましい。10
ppm未満の場合、変性剤による変性の効果が得られ
ず、5000ppmをこえる場合、高価な変性剤を多く
使用するにもかかわらず、顕著な改善効果が現れにくい
傾向がある。
【0021】ジエン系ゴムの変性方法としては、前記変
性剤とジエン系ゴムを有機溶媒中で接触・変性反応させ
ることによって行なってもよいし、ジエン系ゴムの重合
溶液に直接変性剤を添加して行なうこともできる。その
他の方法としては、押し出し混練り機などにより直接混
練り変性することも可能である。
【0022】変性反応が遅い場合には、反応速度を大き
くするために、ハロゲン化アルミニウムやハロゲン化ア
ルキルを触媒として使用することができる。ハロゲン化
アルミニウムとしては塩化アルミニウム、臭化アルミニ
ウム、ヨウ化アルミニウムなどがあげられる。ハロゲン
化アルキルとしては臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化ブ
チル、臭化ブチル、ヨウ化ブチルなどの炭素原子数1〜
6のアルキルハロゲン化物があげられる。とくに塩化ア
ルミニウム、臭化エチルが好適に用いられる。
【0023】また、触媒の添加量は、共役ジエン系ゴム
100gに対して、0.01〜100ミリモルであるこ
とが好ましい。0.01ミリモル未満の場合、反応性が
低く時間がかかり、100ミリモルをこえる場合、残存
する触媒の量が多くなりゴム物性に悪影響を与える傾向
がある。
【0024】変性反応に使用する有機溶剤としては、そ
れ自身がジエン系ゴムと反応しないものであれば自由に
使用できる。通常はジエン系ゴムの重合溶媒と同じもの
が用いられ、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キ
シレンなどの芳香族炭化水素やn−ヘプタン、n−ヘキ
サン、n−ペンタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水
素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テトラリ
ン、デカリンなどの脂肪族炭化水素などが好適に使用さ
れる。また、塩化メチレンやテトラヒドロフランなども
使用することができる。
【0025】変性反応の温度は0〜100℃の範囲が好
ましく、とくに室温〜70℃の範囲がよリ好ましい。温
度が低すぎると変性反応の進行が遅く、温度が高すぎる
と重合体がゲル化するので好ましくない。
【0026】変性反応時間はとくに制限はないが、通常
は0.5〜6時間の範囲が好ましい。変性時間が短かす
ぎると反応が充分に進行せず、時間が長すぎると重合体
がゲル化するおそれがあるの好ましくない。
【0027】変性反応溶液におけるジエン系ゴムの量
は、溶媒1リットル当たり5〜500g、好ましくは2
0〜200g、さらに好ましくは30〜100gの範囲
である。
【0028】本発明により得られる変性ジエン系ゴム
は、単独でまたは他の合成ゴムおよび/または天然ゴム
とブレンドして使用してもよい。また、必要ならばプロ
セスオイルで油展の形で用いてもよい。
【0029】前記他の合成ゴムとしては、たとえばブタ
ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴ
ム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴムや、エチレ
ン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アク
リロニトリル−ブタジエンゴムなどがあげられる。
【0030】なお、ゴム成分中の前記変性ジエン系ゴム
の含有量は、ゴム成分中5重量%以上であることが好ま
しい。5重量%未満の場合、変性ジエン系ゴム添加の効
果が得られない傾向がある。
【0031】つぎに、本発明のゴム組成物は、シリカを
含有する。かかるシリカのチッ素吸着比表面積(N2
A)は50〜300m2/gであることが好ましい。シ
リカのチッ素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g未
満では分散性改良効果や補強効果が小さくなり、300
2/gを越えると分散性が悪く、発熱性が増大するた
めに好ましくない。
【0032】本発明のゴム組成物に使用できるシリカと
しては、とくに制限はないが、乾式法シリカ(無水ケイ
酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などがあげられ、湿
式法シリカがとくに好ましい。湿式法シリカの好適例と
しては、テグサ社製Ultrasil NV3(商品
名)、日本シリカ社製ニップシールVN3 AQ(商品
名)などがあげられる。
【0033】かかるシリカの配合量は、前記ゴム成分1
00重量部に対して5〜100重量部であるが、好まし
くは10〜85重量部、さらに好ましくは20〜65重
量部である。シリカの配合量が5重量部未満では、補強
効果が小さく、100重量部をこえると、作業性が悪化
するために好ましくない。低発熱性、作業性の面から
は、シリカの配合量は20〜65重量部が好ましい。
【0034】本発明のゴム組成物は、シランカップリン
グ剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤はシリ
カとゴム成分の結合を強め、耐摩耗性を向上させる作用
を有している。前記シランカップリング剤としては、従
来からシリカ充填剤と併用される任意のシランカップリ
ング剤があげられる。具体的には、ビス(3−トリエト
キシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−ト
リエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3
−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビ
ス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィ
ド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプ
トエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルト
リエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシ
ラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−ク
ロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピル
トリメトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシ
ラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリ
メトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバ
モイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロ
ピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフ
ィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチ
ルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキ
シシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、
3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテト
ラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタク
リレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロ
ピルメタクリレートモノスルフィドなどがあげられる。
これらの中では、カップリング剤添加効果とコストの両
立の観点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピ
ル)テトラスルフィドなどが好ましい。
【0035】シランカップリング剤の配合量は前記シリ
カに対して0〜15重量%が好ましい。シランカップリ
ング剤の配合量が15重量%を越えると、コストが上が
る割にカップリング効果が得られず好ましくない。分散
効果、カップリング効果の面から、シランカップリング
剤の配合量は0.5〜12重量%であることが望まし
い。
【0036】さらに、本発明のゴム組成物は、チッ素吸
着比表面積(N2SA)が30〜200m2/g、圧縮ジ
ブチルフタレート吸油量(24M4DBP吸油量)が3
0〜150ml/100gの範囲であるカーボンブラッ
クを含んでいてもよい。チッ素吸着比表面積(N2
A)および圧縮ジブチルフタレート吸油量(24M4D
BP吸油量)が各々の下限値より小さい場合には、分散
性改良効果や補強効果が小さく、また上限値を超える場
合には、分散性が悪く、発熱性が増大するため好ましく
ない。使用できるカーボンブラックの例としては、HA
F、ISAF、SAFなどがあげられるが、とくに限定
されるものではない。
【0037】なお、本発明のゴム組成物においては、前
記のゴム成分、シリカ、シランカップリング剤、カーボ
ンブラック以外に、必要に応じて、軟化剤、老化防止
剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤などの通常のゴ
ム工業で使用される配合剤を適宜配合することができ、
タイヤ、ホース、ベルトその他の各種工業用品などの機
械的特性および耐摩耗性が要求されるゴム組成物として
適用される。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、これらは本発明の目的を限定するものではな
い。
【0039】アルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物
で変性した変性ジエン系ゴムの製造方法について説明す
る。
【0040】製造例1(ポリマー1) 2リットルの撹拌機および温度調節器付きガラス製セパ
ラブルフラスコに、スチレン−ブタジエンゴム1502
(日本合成ゴム(株)製、SBR1502、スチレン含
量23.5重量%)100gとトルエン1.0リットル
を加えて撹拌下に60℃に昇温して、スチレン−ブタジ
エンゴムを完全に溶解させた。つぎに、あらかじめテト
ラヒドロフランに溶解させた変性剤テトラメトキシシラ
ン2.0ミリモル、触媒として塩化アルミニウム20ミ
リモルを添加して60℃、2時間変性反応させた。
【0041】反応終了後、室温に冷却して、この反応液
を250メッシュの金網で濾過し、メタノール2リット
ルを加え変性SBRを沈殿させた。その後、再度トルエ
ンによる溶解、メタノールによる沈殿の操作を繰り返し
て残存の変性剤を除去し、酸化防止剤としてテトラキス
−(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−
4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン
(日本チバガイギー(株)製、Irganox101
0)を、SBRに対して1000ppm練り込んで10
0℃で1時間真空乾燥させて変性スチレン−ブタジエン
ゴム(ポリマー1)を得た。 ML1+4、100℃=55 ケイ素含有量=75ppm
【0042】製造例2(ポリマー2) 変性剤をメチルトリエトキシシランに代えた以外は、製
造例1と同様にして、変性SBR(ポリマー2)を製造
した。 ML1+4、100℃=56 ケイ素含有量=64ppm
【0043】製造例3(ポリマー3) 変性剤をテトラエトキシシランに代えた以外は、製造例
1と同様にして、変性SBR(ポリマー3)を製造し
た。 ML1+4、100℃=56 ケイ素含有量=70ppm
【0044】製造例4(ポリマー4) 変性剤であるテトラメトキシシランの添加量を3ミリモ
ルに代えた以外は、製造例1と同様にして、変性SBR
(ポリマー4)を製造した。 ML1+4、100℃=57 ケイ素含有量=110ppm
【0045】実施例1〜5および比較例1〜2 下記の表1に示す配合成分とその添加量を基本配合割合
とした。60ccのバンバリータイプのプラストミルを
用いて、表2に示す配合内容で各成分を混練りし(加硫
剤はロールを用いて混練りした)、170℃で20分間
プレス加硫して各種ゴム組成物を調製した。
【0046】 各種薬品の説明 SBR :SBR1502(日本合成ゴム(株)製) シリカ :Ultrasil VN3(テグッサ製) チッ素吸着比表面積(N2SA)210m2/g シランカップリング剤:Si69(テグッサ製) (化学名:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド) 老化防止剤 :ノクラック 6C(大内新興化学工業(株)製) (化学名:N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレ ンジアミン) 加硫促進剤A :ノクセラー NS(大内新興化学工業(株)製) (化学名:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド) 加硫促進剤B :ノクセラー D(大内新興化学工業(株)製) (化学名:N,N′−ジフェニル・グアニジン)
【0047】なお、下記の実施例において得られた変性
ジエン系ゴムのムーニー粘度、ケイ素含有量は下記の方
法により測定した。
【0048】(ムーニー粘度(ML1+4、100℃))
JIS K6300にしたがい実施した。100℃で1
分予熱した後、4分間測定してゴムのムーニー粘度(M
1+4、100℃)として表示した。
【0049】(ケイ素含有量)白金るつぼに試料約1g
を採取し、硫酸を加えた後、ホットプレート上で加熱、
溶解、分解させ、乾固した。それを、ブンゼンバーナー
で加熱し、炭化させた後、電気炉で灰化させ、炭酸ナト
リウムを添加した。再び電気炉中でアルカリ溶融させた
後、純水を加え、ホットプレート上で加熱溶出させた試
料を適当な濃度に希釈し、ICP測定により変性ジエン
系ゴム中のケイ素元素含有量を求めた。
【0050】以下の実施例および比較例において、ゴム
組成物の引張強度(M300)、転がり抵抗指数、ラン
ボーン摩耗指数およびウェットスキッド指数を以下の方
法により測定した。その結果を表2に示す。
【0051】(引張試験)JIS K6251に準拠し
て測定し、300%のモジュラスで示した。数値が大き
いほど反発弾性に優れる。
【0052】(転がり抵抗指数)粘弾性試験 粘弾性スペクトロメーターVES(岩本製作所(株)
製)を用いて、測定温度70℃、初期歪み10%、動歪
み2%の条件で各配合のtanδを測定し、比較例1の
tanδを100とし、下記計算式で指数表示した。指
数が大きいほど、転がり抵抗特性が優れることを示す。 (転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合の
tanδ)×100
【0053】(ランボーン摩耗指数)ランボーン摩耗試
験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%、試験時
間5分間の測定条件で各組成物の容積損失を計算し、比
較例1の損失量を100として、下記計算式で指数表示
した。指数が大きいほど、耐摩耗性が優れていることを
示す。 (摩耗指数)=(比較例1の損失量)/(各配合の損失量)×
100
【0054】(ウェットスキッド指数)スタンレー社製
のポータブルスッキドテスターを用いてASTM E3
03−83の方法にしたがって測定し、下記計算式で指
数表示した。指数が大きいほど、ウェットスキッド性能
が優れることを示す。 (ウェットスキッド指数)=(各配合の数値)/(比較例1
の数値)×100
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、ジエン系ゴムをあらか
じめアルコキシ基を含有するケイ素化合物で変性してい
るため、ゴム成分とシリカとの相互作用を高め、加工性
を低下させることなく、耐摩耗性、転がり抵抗特性、グ
リップ性能に優れた特性を有するジエン系ゴム組成物が
得られる。
フロントページの続き (72)発明者 井上 篤司 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社千葉石油化学工場内 (72)発明者 中島 哲司 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社千葉石油化学工場内 Fターム(参考) 4J002 AC111 DJ016 FD010 FD200 FD206 GC00 GM01 GN01 4J100 AB02Q AB02R AM02Q AS02P AS03P AS03Q BA77H CA01 CA04 CA31 HC78 HC79 JA29

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)および/または(2) Rk(R′O)lSi (1) Rm(R′O)nSiH (2) (式中、RおよびR′は、各々、同一もしくは異なる炭
    素数1〜20の一価炭化水素基であり、kは0〜3の整
    数、lは1〜4の整数、mは0〜2の整数、nは1〜3
    の整数であって、k+l=4、m+n=3である。)で
    表わされるアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物で
    変性した変性ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部
    に対して、シリカを5〜100重量部含有するゴム組成
    物。
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