JP4373656B2 - 一輪車 - Google Patents

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Description

【0001】
【特許文献1】
特開昭63−215460号公報(第1−3頁、第2図)
【特許文献2】
特開2001―347952号公報(第1−2頁、第1図)
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工事現場等で使用される一輪車に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
上記特許文献1記載に表された一輪車は、後部に補助キャスターを備えたものである。この補助キャスターによって、一輪車の左右及び前後の傾きを防ごうとするものである。
また、上記特許文献2記載に表された一輪車は、本体脚部に補助キャスターを設け、さらに二つのハンドルを設けることによって三輪車と一輪車の機能を併用させたものである。これによって、手元に積荷の重量が片寄るのを防止し、同時に転倒を防止するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1記載に表された一輪車は、その構造が複雑でありキャスターが車体の後部に設けられているため前輪とキャスターの間隔が長い。これは、この発明の目的である車体の安定を図るための構造であり、キャスターは車体の重心より後方の離れた位置にあるのである。
また、上記特許文献2記載に表された一輪車も、上記同様にキャスターは車体の後部にあり前輪とキャスターの間隔が長い。さらに、この発明ではハンドルが二つあり、これらのハンドルを使い分けて三輪車と一輪車の機能を併用させるものであるため、使用に際し操作が面倒であるという問題点があった。
さらに、上記従来例のものでは車輪のわだちの跡などの地面の凹凸や石などの障害物があった場合、容易に乗り越えることはできないという問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は従来の一輪車の課題を解決するためになされたものであり、上部フレームの下部に基体を固定し、この基体の前方に車輪を取り付け、後方には補助輪を取り付けると共に、基体の上方には運搬物を収容する容器を備え、上記容器を、上縁中央両側に支軸を備え、この支軸を上部フレームの取付部に挿入することにより回動可能として、車体の位置にかかわらず常に水平状態を保つように構成し、上記補助輪の中心と車体の重心の連結線が車体の重心からの垂線に対し車体後方0度から30度の範囲にあり、走行中の障害物等に対しては、上部フレームの後端を押し下げて補助輪を支点として車体を後方に回動させて車輪を持ち上げ、車体の重心を、前記支軸と補助輪の中心の連結線が地面に垂直になる位置に移動させて、補助輪で前進して障害物等を通過することを特徴とする。
また、上記容器を、上縁後方を上縁前方より高い位置に構成したことを特徴とする。
また、上記補助輪を、外周面を多角形状に構成したことを特徴とする。
また、上記基体の後端に停止部材を構成したことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一輪車の一実施形態の斜視図、図2ないし図4は同作動説明図、図5(a)は容器の斜視図、(b)は容器と支持フレームの関係を示す平面図、図6は他の実施形態の容器を使用した一輪車の正面図、図7は他の実施形態の補助輪を使用した一輪車の正面図及び図8は他の実施形態の基体を使用した一輪車の正面図である。
【0007】
本発明の一実施形態を図1ないし図4に示す。
2枚の長尺の板材の前後を棒状体5a,5bで固定した基体5を構成し、この基体5の前方に1個の車輪1を回転自在に取り付け、さらに後端には前記車輪1より小径の2個の補助輪3を回転自在に取付ける。
上記基体5の先端上部には2本の前方支持体11を上方に向けて取り付け、この前方支持体11の上端は上部フレーム18の前杆18aに固定されている。
この上部フレーム18は前杆18aと側杆18b,18bからなり、平面視コ字状を形成している。側杆18b,18bの後端は取手部19、19を設けている。
【0008】
上記上部フレーム18の中央よりやや前方に半環状の取付部17を構成する。この取付部17に、砂利などを積載する容器30の後部を支持する支持フレーム15および後方支持体13の上端を固定する。この後方支持体13の下端は基体5の中央より前方で車輪1の上方近辺に固定されている。
また、上記支持フレーム15は取付部17に上端を固定した2本の側杆15bとこれらの側杆15b、15bの下端を水平に連結する連結杆15aからなるコ字状を呈している(図5(b)参照)。
これら支持フレーム15の側杆15bと後方支持体13は取付部17を中心に、逆V字形に取り付けられている。
【0009】
上記のように構成した本実施形態の一輪車の使用方法を説明する。
まず、図2の静止状態で容器30を本体に載置する。このとき容器30は、上記フレーム18、基体5、支持フレーム15等で支持されている。また、本実施形態では、図5に示すように容器30の上端中央両側に支軸31,31を設け、この支軸31,31を本体フレーム18の取付部17の間隙に挿入している。
上記容器30の形状は本実施形態に限定されず、例えば上端縁部を外側に丸めて、そこに形成される凹部を上部フレーム18に係合させることもできる。
【0010】
図3は、一輪車の走行状態を示す正面図である。すなわち作業者(図示せず)が取手部19を握って車体を持ち上げて押し進んでいる状態である。この状態では、補助輪3は接地しておらず車輪1のみで走行をしている。
【0011】
一輪車の走行途中で障害物50に遭遇し、これを乗り越えることができない場合がある。このときは図4に示すように、取手部19を押し下げて車輪1を持ち上げ、その後車体を前方に押して少し前進させて障害物50を通り越す。
上記のように車輪1を持ち上げたときは、補助輪3が車体を支えて接地点Kが車体の後方回動の支点となっている。そして、その状態で前進するときは補助輪3のみで前進するのである。また、突起した障害物50に限らず、凹溝や窪地も同様に通り越すことができる。
【0012】
通常車体の重心Gの位置は、図2に示すように容器30の中心である取付部17あるいはその近傍にあると考えられる。しかし、上記のように車体を後方に回動させると車体の重心Gの位置は徐々に後方に移動してきて、図4に示すように重心Gの位置と補助輪3の中心3cの連結線3Lが地面に垂直になったときに車体重量が連結線3L上の接地点Kに集中してバランスがとれるため、小さな推力で車体を前進させることができる。
【0013】
以上のような作用と効果を得るためには、車体の重心Gと補助輪3あるいは車輪1の相互の位置関係が影響を与える。本実施形態では、取手部19が通常の作業状態で作業者が握る位置であり所定の高さであることから、上記位置関係を図2に示すように重心Gからの垂線GLと重心G位置と補助輪3の中心3cの連結線3Lが作る角度aの関係で表している。この角度aは本実施形態では約15度したが、0度(連結線3Lが垂線GLと重なる位置)から30度の間で任意に選択できるものとする。
また、重心Gからの垂線GLと重心G位置と車輪1の中心1cの連結線1Lの連結線が作る角度bの関係も車体の安定等に影響を与えるため、その角度bは本実施形態では約30度したが、20度から40度の間で任意に選択できるものとする。
【0014】
上述の通り、本実施形態の一輪車は、走行中に障害物があった場合、取手部19を少し押し下げるという簡単な操作によって、安定した状態で確実、迅速に障害物を乗り越えることができる、
【0015】
また、本実施形態の容器30は図5に示すように、両側に支軸31,31を備え、この支軸31,31を上記取付部17の間隙に挿入して回動可能に支持されているため、車体が後方に回動したときには容器30は同時に回動して図4のように水平状態を保っているため、積載物である砂利などがこぼれるおそれはなくなる。
【0016】
図6に示す容器の他の実施形態は、車体の静止状態で容器39の上縁が水平でなく、進行方向の後方の縁部が高くなっていると共に前記支軸31がなく回動しないタイプである。この実施形態では、一輪車が障害物を避けるために車体を後方へ回動したときには、容器39の後方の縁部が高くなっているため積載物が後方へこぼれることを防止できる。
従って、この実施形態では支軸を必要としない簡易な構成で安定した運搬が可能となる。
【0017】
図7に補助輪の他の実施形態を示す。この補助輪3aは外周が六角形を形成している。そのため地表と六角形の一辺で接地するため、上記円形の場合より地表との接地面積が大きい。したがって、図4のように車体を後方へ回動させるときに車体がより安定する。また、障害物を乗り越えて前進するときには長い距離を必要としないため、円形の補助輪と比べて安定を欠くことはない。
また、上記補助輪3aの外周は六角形に限らず、八角形等の多角形状もしくは円形と多角形を組み合わせたもの等を採用できる。
【0018】
図8に基体5の他の実施形態を示す。これは基体5の後端に停止部材5nを構成したものである。この停止部材5nは、基体に対して直角に取り付けられている。走行状態では地表より離れるが、車体が停止したときには停止部材5nの先端が地表に接する位置にある。そのため、坂道、傾斜面などの現場で一輪車を停止させるときにブレーキの役割をして、車体がより安定すると共に作業者の負担を軽減する効果を有する。
【0019】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、構造が簡易かつ操作も容易であり、地面の凹凸や石などの障害物を安定した状態で容易に乗り越えることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一輪車の一実施形態の斜視図
【図2】本発明の一輪車の一実施形態の作動説明図
【図3】本発明の一輪車の一実施形態の作動説明図
【図4】本発明の一輪車の一実施形態の作動説明図
【図5】(a)は本発明の一輪車の一実施形態の容器の斜視図、(b)は容器と支持フレームの関係を示す平面図
【図6】他の実施形態の容器を使用した一輪車の正面図
【図7】他の実施形態の補助輪を使用した一輪車の正面図
【図8】他の実施形態の基体を使用した一輪車の正面図
【符号の説明】
1 車輪
1c 車輪の中心
1L 車体の重心位置と車輪の中心の連結線
3 補助輪
3a 補助輪
3c 補助輪の中心
3L 車体の重心位置と補助輪の中心の連結線
5 基体
5n 停止部材
11 前方支持体
13 後方支持体
15 支持フレーム
17 取付部
18 上部フレーム
30 容器
31 支軸
39 容器
50 障害物
a 角度
b 角度
GL 車体の重心からの垂線

Claims (4)

  1. 上部フレームの下部に基体を固定し、この基体の前方に車輪を取り付け、後方には補助輪を取り付けると共に、基体の上方には運搬物を収容する容器を備え、上記容器を、上縁中央両側に支軸を備え、この支軸を上部フレームの取付部に挿入することにより回動可能として、車体の位置にかかわらず常に水平状態を保つように構成し、上記補助輪の中心と車体の重心の連結線が車体の重心からの垂線に対し車体後方0度から30度の範囲にあり、
    走行中の障害物等に対しては、上部フレームの後端を押し下げて補助輪を支点として車体を後方に回動させて車輪を持ち上げ、車体の重心を、前記支軸と補助輪の中心の連結線が地面に垂直になる位置に移動させて、補助輪で前進して障害物等を通過することを特徴とする一輪車。
  2. 上記容器を、上縁後方を上縁前方より高い位置に構成したことを特徴とする請求項1記載の一輪車。
  3. 上記補助輪を、外周面を多角形状に構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の一輪車。
  4. 上記基体の後端に停止部材を構成したことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の一輪車。
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