JP4369025B2 - 竪管の施工方法及び該方法に用いられる吊り上げ装置 - Google Patents

竪管の施工方法及び該方法に用いられる吊り上げ装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,複数階層建物に竪ダクトや竪パイプなど(以下,これら竪ダクトや竪パイプなどを総称して「竪管」という)を施工する方法と,この方法に用いられる吊り上げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,例えば高層建物に竪管を施工する方法として,本出願人は特公平1−56310号の高層建物の空調用竪ダクト施工法及び特許第3015229号(特開平7−34666号)の高層建物の竪管の施工方法を開示している。特公平1−56310号の施工法によれば,建方の進行と同時性を持って竪管を施工できるので,施工性に優れるといった利点がある。一方,特許第3015229号の施工方法によれば,竪管を構成するための管材を集積した直上の層階でのみ接続作業を行えばよいので,各階層へ管材を揚重する必要がなくなり,作業効率の向上をはかることが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,四角形の断面形状を有するいわゆる角ダクト部材を用いて竪管を施工する場合,角ダクト部材の上端を支持して吊り上げようとすると,角ダクト部材の上端に過度の力がかかり,圧縮によってダクトが変形する心配がある。この場合,例えばスパイラルダクト部材を利用すれば,スパイラルダクト部材は断面形状が円形であり,また製造時に形成される螺旋状のカシメ部がリブとなって強度が保証されるので,ダクトの変形を防ぐことが可能となる。
【0004】
一方,一般に竪管には大流量の流体例えば空気を流通させることが求められるが,例えばスパイラルダクト部材を大口径に製造するためには,製造機械の限界があった。また,角ダクト部材を揚重する場合,例えばフランジ周辺にH形鋼を組んで補強し,それを吊り金物として吊り上げる方法も考えられる。しかし,H形鋼やその他の補助鋼材を組み立てる材料費や労力が発生し,施工コストが高くなるため,普及するにはいたっていない。また,SGP管などの金属パイプを上端を吊り上げて揚重するには,やはりパイプ外周に吊下金具を溶接するなどの対処が必要になる。さらに上端で吊る従来法では吊り上げるに際して吊り部を中心に下方が振れて危険であり,相番クレーンにて管材下端を,所定位置に位置するまで支持するなどの対策が必要であった。
【0005】
従って本発明の目的は,角ダクト部材などの管材であっても変形させることなく揚重でき,かつ材料費および労務費を低減でき,より安全に短工期の要請に応えて施工できる竪管の施工方法を提供し,更にこの方法に用いられる吊り上げ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため,請求項1によれば,複数階層建物に竪管を施工するにあたり,上層から吊り下げたワイヤーを前記竪管を構成するための管材の中に通し,管材の下端を支持して吊り上げ,該吊り上げられた管材を建物に固定し,次いで該建物に固定された管材の中を通して吊り下げたワイヤーを次の管材の中に通し,該次の管材の下端を支持して吊り上げ,該吊り上げられた次の管材の上端を前記建物に固定された管材の下端に接合して次の管材を建物に固定し,以後同様にして建物に固定された管材の下端にワイヤーで吊り上げられた管材の上端を順次接合していくことを特徴とする,竪管の施工方法が提供される。
【0007】
この請求項1の施工方法において,複数階層建物とは例えば高層建物の如き複数の階からなる建物である。また竪管とは,そのような複数階層建物に施工される竪ダクトや竪パイプなどであり,この竪管は,ダクト部材やパイプ部材などといった複数の管材を適宜接合することにより構成される。
【0008】
この請求項1の施工方法にあっては,先ず,上層からワイヤーを吊り下げ,下層にてワイヤーを管材の中に通す。そして適当な支持部材等を介して,ワイヤーに管材の下端を支持する。その後,ワイヤーを巻き上げ等することにより,管材を吊り上げ,この吊り上げられた管材を所望の階層において建物に固定する。この場合,管材は例えば最上階などにおいて建物に固定される。
【0009】
次に,こうして最初に建物に固定された管材の中を通してワイヤーを吊り下げ,再び下層にてワイヤーを次の管材の中に通す。そして先と同様に,適当な支持部材等を介してワイヤーに次の管材の下端を支持する。その後,再びワイヤーを巻き上げ等することにより,管材を吊り上げ,この吊り上げられた次の管材の上端を,先に所望の階層において建物に固定された管材の下端に接合し,この次の管材を建物に固定する。
【0010】
以後同様にして,建物に固定された管材の下端にワイヤーで吊り上げられた管材の上端を順次接合していく。こうして複数の管材を順次接合することにより,複数階層建物に竪管を施工することができる。
【0011】
この請求項1の施工方法によれば,管材の下端を支持して吊り上げることにより,角ダクト部材などの管材であっても変形させることなく揚重して竪管を施工できるようになる。さらに,下端で支持して吊り上げるため,管材下方が振れることがなく,管材と人・作業機械の衝突の危険は少なく,安定した姿勢で揚重できる。
【0012】
また,この請求項1の施工方法において,請求項2に記載したように,前記管材を各階分ずつ吊り上げても良い。この請求項2の施工方法にあっては,管材を常に一つずつ揚重しているので,ワイヤー等を巻き上げる力はほぼ管材一つ分あれば足り,なるべく小さい力で竪管を施工することが可能となる。また,シャフト等の狭い場所でも容易に揚重できる。
【0013】
なお,これら請求項1,2の施工方法において,最初に建物に固定される以外の管材を,建物の各階層もしくは適当な階層において建物に固定しても良い。そうすれば,施工された竪管が建物に対して複数箇所で固定されることとなり,地震への耐性も強化され安定した竪管を構築できるようになる。
【0014】
請求項3によれば,これら請求項1,2の竪管の施工方法に用いられる吊り上げ装置であって,ワイヤーを昇降させる駆動機構と,該ワイヤーに取り付けられ,前記管材の下端を支持自在で,かつ前記管材の中を通過自在な支持部材を備えることを特徴とする,吊り上げ装置が提供される。
【0015】
この請求項3の吊り上げ装置において,ワイヤーを昇降させる駆動機構とは,例えばワイヤーを巻き上げるウインチなどである。支持部材は,長方形などの適当な形状を持った板材,フレーム,もしくは折り畳み自在な板材,フレームなどで構成される。この支持自在は,ワイヤーを吊り下げる(下降させる)際には,例えばワイヤーとほぼ平行な姿勢に傾けたり,あるいは小さく折り畳むことにより,管材の中を通過させることができる。一方この支持自在は,ワイヤーを吊り上げる(上昇させる)際には,例えばワイヤーとほぼ垂直な姿勢にしたり,あるいは広げたりすることにより,管材の下端を支持することができる。
【0016】
この請求項3の吊り上げ装置を利用すれば,前述の請求項1,2の施工方法を好適に実施することが可能となる。なお,この請求項3の吊り上げ装置において,請求項4に記載したように,前記支持部材によって支持されて吊り上げられる管材の揺れを防止するための揺れ防止部材を,前記支持部材よりも上方においてワイヤーに装着することが好ましい。そうすれば,管材を常にワイヤーとほぼ平行な姿勢を保ったまま吊り上げることができ,揚重時に管材が横振れして建物(スラブなど)を損傷したり管材自体が損傷することを防止できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は,竪管の一例としての竪ダクト2をこれから施工しようとする建物1の断面を模式的に図示している。建物1は,例えば地上部分が1階〜N階までの複数の階層を有しており,図示の形態では,1階(1F)〜6階(6F)までの複数の階層を有している。1F部分を除いて,建物1の各階(2F〜6F)には,竪ダクト2を設けるためのスペース2’〜6’が,垂直方向にそろって形成されている。この設備ではシャフトを除いて各階コンクリートスラブが打設済の,建設途中の建物での適用例である。
【0018】
後に詳しく説明するように,竪ダクト2は,管材の一例としての角ダクト部材10を複数個直列に接続して組み立てられる。図1に示すように,角ダクト部材10は,台車9などを利用して建物1の1Fに適宜搬入される。
【0019】
ここで図2(a)は,本実施の形態において竪ダクト2を組み立てるための角ダクト部材10の正面図であり,図2(b)は,角ダクト部材10の平面図である。角ダクト部材10は,亜鉛鉄板などの鋼板からなり,両端が開口した中空の筒状をなしている。また角ダクト部材10は,長方形の断面形状を有しており,その内面の幅は,長辺の長さがL1,短辺の長さがL2(L1>L2)になっている。角ダクト部材10の高さは,この実施の形態においては,建物1の各階層の高さ(一階分の高さ)にほぼ等しい。
【0020】
角ダクト部材10の上端と下端には,フランジ11,11がそれぞれ形成されている。また,これらフランジ11,11の間において,角ダクト部材10の周面に補強用のリブ12が適当な箇所に形成されている。更に,この実施の形態においては,角ダクト部材10の周囲にはあらかじめ断熱材13が装着されている。
【0021】
図3に示すように,角ダクト部材10を上下に直列に配置し,上に配置した角ダクト部材10の下端のフランジ11と,下に配置した角ダクト部材10の上端のフランジ11とを,ボルト・ナット等を用いて互いに連結することにより,角ダクト部材10同士を連通させた状態で接合できるようになっている。
【0022】
図1に示すように,建物1の最上階(図示の形態では6F)には,角ダクト部材10を吊り上げるための吊り上げ装置7が配置されている。この吊り上げ装置7は,駆動機構としてのウインチ15を備えており,6Fにいるオペレーター16がスイッチ17を操作することにより,ウインチ15から垂れ下がったワイヤー18が昇降させられるようになっている。なお,ウィンチ15は鋼材をやぐら状に組んだ構造体に支持されている。屋上に吊り上げ装置7を設ける場合には,ハト小屋と称するコンクリート構造体を利用してもよい。
【0023】
ワイヤー18の下端には,角ダクト部材10を支持して吊り上げるための支持部材20が取り付けてあり,この支持部材20よりも上方には,支持部材20によって支持されて吊り上げられる角ダクト部材10の揺れを防止するための揺れ防止部材21がワイヤー18に装着されている。但し,支持部材20から揺れ防止部材21までの距離(高さ)は,先に説明した角ダクト部材10の高さ(この実施の形態においては,建物1の各階層の高さにほぼ等しい距離)よりも短く設定されている。また支持部材20の下面には,支持部材20を移動させる際に1Fで待機するオペレーター16が引っ張るためのロープ22が取り付けてある。
【0024】
ここで図4は,支持部材20を拡大して示した斜視図であり,図5は,揺れ防止部材21を拡大して示した斜視図である。支持部材20は,アングル等の部材を長方形状に接合した枠部25と,枠部25の中央に渡ってアングル等の部材を配置した補強部26を備えており,補強部26の中央には,リング27が取り付けてある。リング27には,前述のワイヤー18の下端が接続してあり,これにより,支持部材20はワイヤー18の下端に吊り下げられた状態になっている。
【0025】
枠部25は,長辺の長さがM1,短辺の長さがM2(M1>M2)に設定されている。先に図2で説明した角ダクト部材10の内面の幅との関係においては,枠部25の長辺の長さM1は角ダクト部材10の内面幅の長辺の長さL1よりも大きく(M1>L1に)設定されている。一方,枠部25の短辺の長さM2は角ダクト部材10の内面幅の短辺の長さL2よりも大きいが,長辺の長さL1よりは小さく(L1>M2>L2に)設定されている。
【0026】
従って図6に示すように,支持自在20をワイヤー18に対して傾けて,枠部25の長辺(長さM1)をワイヤー18とほぼ平行な姿勢にし,枠部25の短辺(長さM2)を角ダクト部材10の内面の長辺(長さL1)とほぼ平行な姿勢とすれば,(M2<L1であるから)角ダクト部材10の中に支持自在20を通過させることができるようになる。一方,このように角ダクト部材10の中に支持自在20を通過させた後,図7に示すように,支持自在20をワイヤー18とほぼ垂直な姿勢にすれば,(M1>L1でM2>L2であるから)角ダクト部材10の下端に枠部25を下方からあてがうことができ,これにより,角ダクト部材10を支持自在20上に載せて支持できるようになる。
【0027】
図5に示すように,揺れ防止部材21は,アングル等の部材を長方形状に接合した枠部30と,枠部30の内方に渡ってアングル等の部材を配置した2本の補強部31,31を備えており,それぞれの補強部31,31とワイヤー18との間を支持ワイヤー32,32で接続することにより,揺れ防止部材21はほぼ水平な姿勢を保ちながら,支持部材20よりも上方においてワイヤー18に取り付けられている。ワイヤー18は,補強部31,31の間において,枠部30のほぼ重心位置を通って,支持ワイヤーと束ねられる形で配置されている。このように支持部材20と揺れ防止部材21が1本のワイヤー18で吊り上げられる耕造とすれば作業能率が良いが,各々にワイヤー18を取り付けて揚重しても本発明は成立する。また枠部30の外周4隅には,ゴムなどの弾性パッド33がそれぞれ装着してある。
【0028】
枠部30は,長辺の長さがN1,短辺の長さがN2(N1>N2)に設定されている。先に図2で説明した角ダクト部材10の内面の幅との関係においては,枠部30の長辺の長さN1は角ダクト部材10の内面幅の長辺の長さL1より僅かに小さく(N1<L1に)設定されている。一方,枠部30の短辺の長さN2は角ダクト部10の内面幅の短辺の長さN2よりも僅かに小さく(N2<L2に)設定されている。図8に示すように,垂直に立てられた角ダクト部材10の内部においては,この揺れ防止部材21は水平な姿勢を保つこととなり,(N1<L1でN2<L2であるから)角ダクト部材10の内面よりも僅かに内方に枠部30を位置させることが可能である。
【0029】
さて,この建物1において,1F〜6Fまで竪ダクト2を本発明の実施の形態に従って施工する場合,先ず図9に示すように,最下層である1Fに,台車9などを利用して角ダクト部材10を搬入する。また,建物1の最上階(6F)に配置された吊り上げ装置7において,オペレーター16がスイッチ17を操作してウインチ15を稼働させ,ワイヤー18を吊り下げて,ワイヤー18下端の支持部材20と揺れ防止部材21を下降させる。これにより,ワイヤー18下端の支持部材20と揺れ防止部材21は,建物1の各階(6F〜2F)に形成されたスペース6’〜2’を順次通過し,1Fに到達する。その際,1Fにいるオペレーター16は,支持部材20の下面に取り付けられたロープ22を引っ張って,支持部材20等を適宜ガイドしてやると良い。
【0030】
次に,図10に示すように,ワイヤー18を適当に緩めながら,1Fにいるオペレーター16が支持部材20を適宜移動させ,先に図6で説明したように,枠部25の短辺(長さM2)を角ダクト部材10の内面の長辺(長さL1)とほぼ平行な姿勢となるようにワイヤー18に対して傾けた支持部材20を角ダクト部材10(まだ台車9上に置かれている角ダクト部材10)の中に通し,ワイヤー18を角ダクト部材10の中に通しながら,支持部材20を角ダクト部材10の下端側(図10において,台車9上に置かれている角ダクト部材10の右端側)にまで移動させる。そして,角ダクト部材10の下端に支持部材20をあてがう。このように角ダクト部材10の下端に支持部材20をあてがう際には,先に図7で説明したように,支持自在20をワイヤー18とほぼ垂直な姿勢にすることにより,角ダクト部材10の下端に枠部25を下方からあてがい,角ダクト部材10を支持自在20上に載せて支持できる状態にする。なお,支持自在20の移動は,1Fにいるオペレーター16が支持部材20の下面に取り付けられたロープ22を引っ張ることにより,容易に行われる。
【0031】
次に,図11に示すように,6Fの吊り上げ装置7において,オペレーター16がスイッチ17を操作してウインチ15を稼働させ,ワイヤー18を吊り上げていく。これにより,ワイヤー18下端の支持部材20は上昇し,支持部材20上に支持された角ダクト部材10は,建物1の各階(2F〜1F)に形成されたスペース2’〜6’を順次通過して吊り上げられていく。
【0032】
なお,このように建物1内において角ダクト部材10を吊り上げる際には,図12に示すように,各階(例えば2F〜6F)においてオペレーター16が,ワイヤー18で吊り上げられながら上昇していく角ダクト部材10を側方から適宜押さえることにより,角ダクト部材10を案内してやると良い。そうすれば,角ダクト部材10は途中で引っかかることなく,建物1の各階(2F〜1F)に形成されたスペース2’〜6’を円滑に通過していくようになる。また,各階(例えば2F〜6F)にオペレータの墜落防止を兼ねてバリケード40などを配置して角ダクト部材10を案内することも有効である。
【0033】
また,建物1内において角ダクト部材10を吊り上げる際には,図12に示すように,支持部材20よりも上方に配置された揺れ防止部材21が,角ダクト部材10の内部において水平な姿勢を保っており,角ダクト部材10の内面よりも僅かに内方に枠部30が位置することとなる。従って,ワイヤー18下端の支持部材20上に支持された角ダクト部材10が少しでも傾くと,直ちに枠部30が角ダクト部材10の内面に接触して,角ダクト部材10が傾くことを内側から押さえることができる。これにより,角ダクト部材10を常にワイヤー18とほぼ平行な姿勢(ほぼ垂直の姿勢)に保ったまま吊り上げることができ,揚重時に管材が横振れして建物1(スラブなど)を損傷したりすることを防止できる。なお,枠部30の外周4隅には弾性パッド33が装着してあるので,角ダクト部材10の内部に配置した揺れ防止部材21によって角ダクト部材10の内面を損傷する心配もない。また,本実施の形態では断熱材をあらかじめ工場で施して現場作業の低減を図っているが,これの破損する危険も低い。
【0034】
こうして図13に示すように,最初の角ダクト部材10を最上階(6F)まで吊り上げたら,角ダクト部材10を最上階(6F)に固定する。この場合,予め最上階(6F)に,図14に示す如き固定具41を設けておくと,固定が容易である。即ち,図示の固定具41は,鋼板厚み1.2mmの蓋付きの実管スリーブであり,スラブコンクリートの打設時に箱体(図では板体だがスラブ厚さの箱体である)を埋設しておく。そして,スペース6’を挟んで配置された左右一対の固定部材45,45を備えており,これら固定部材45,45は,ヒンジ46によって,6Fの床面上に回動自在に取り付けられている。そして,これら固定部材45,45は,通常の状態では,図14中の実線45で示すように自重で6Fの床面上に密着することにより水平状態であるが,下方から突き上げると,図14中の一点鎖線45’で示すように固定部材45,45はヒンジ46を中心に互いに上方に回動する。固定部材45,45の先端には,一対の切り欠き部47,47が形成されており,固定部材45,45が自重で6Fの床面上に密着して水平状態になったときには,これら切り欠き部47,47によって角ダクト部材10を丁度受け入れできる形状の受け入れ部48が形成されるようになっている。
【0035】
このように構成された固定具41を建物1の最上階(6F)に設けておけば,図15(a)に示すように,角ダクト部材10を吊り上げる際には,固定部材45,45はヒンジ46を中心に突き上げられて上方に回動するので,角ダクト部材10を円滑に吊り上げることができる。そして,図15(b)に示すように,角ダクト部材10の周面に形成されたリブ12が固定部材45,45よりも上方になるまで移動させた後,図15(c)に示すように,角ダクト部材10を僅かに下降させると,6Fの床面上に密着して水平状態となっている固定部材45,45の上にリブ12が載った状態となる。この後必要に応じ耐震支持を施し,角ダクト部材10は建物1の最上階(6F)に容易に固定されることとなる。
【0036】
次に,図16に示すように,6Fのオペレーター16がスイッチ17を操作してウインチ15を稼働させることにより,建物1の6Fに固定された最初の角ダクト部材10の中を通してワイヤー18を再び吊り下げる。こうして,ワイヤー18下端の支持部材20と揺れ防止部材21を,建物1の各階(6F〜2F)に形成されたスペース6’〜2’に順次通過させて,1Fに到達させる。なお,このように支持部材20と揺れ防止部材21を1Fに到達させる前に,最下層である1Fに台車9などを利用して次の角ダクト部材10を搬入しておくと良い。
【0037】
次に,図17に示すように,ワイヤー18を適当に緩めながら,1Fにいるオペレーター16が支持部材20を適宜移動させ,先と同様の操作により,支持部材20を台車9上の次の角ダクト部材10の中に通し,角ダクト部材10の下端に支持部材20をあてがうことにより,角ダクト部材10を支持自在20上に載せて支持できる状態にする。
【0038】
その後,図18に示すように,6Fの吊り上げ装置7において,オペレーター16がスイッチ17を操作してウインチ15を稼働させ,次の角ダクト部材10を5Fまで吊り上げ,先に建物1に固定した最初の角ダクト部材10の下端に,この吊り上げた次の角ダクト部材10の上端に密着させる。そして,図3で説明したように,角ダクト部材10を上下に直列に配置してフランジ11同士をボルト・ナット等を用いて互いに連結することにより,角ダクト部材10同士を連通させた状態で接合し,最初の角ダクト部材10の下端に次の角ダクト部材10を固定する。こうして次の角ダクト部材10も,建物1に固定された状態となる。
【0039】
以後同様にして,オペレーター16がスイッチ17を操作してウインチ15を稼働させることによりワイヤー18を昇降させると共に,1Fにいるオペレーター16が支持部材20を角ダクト部材10の中に通して,角ダクト部材10の下端に支持部材20をあてがう操作を繰り返ことにより,順次一つずつ角ダクト部材10を吊り上げ,建物1に固定していく。
【0040】
こうして図19に示すように,複数の(図示の形態では5本の)角ダクト部材10を順次接合することにより,建物1内において,1F〜6Fに渡って竪ダクト2を施工することができるようになる。なお,このように竪ダクト2の施工を終了した後,吊り上げ装置7は適宜分解等して建物1の最上階(6F)から撤去すると良い。そのように吊り上げ装置7を撤去する際には,支持部材20をワイヤー18の下端から取り外した状態でワイヤー18を巻き上げるようにすれば,巻き上げる途中で引っかかることが無く,便利である。
【0041】
この実施の形態にあっては,角ダクト部材10の下端を支持部材20によって下方から支持して吊り上げるので,角ダクト部材10を変形させることなく揚重して竪ダクト2を施工できる。また角ダクト部材10は常に一つずつ揚重されるので,ウインチ15の吊り上げ能力はほぼ角ダクト部材10一つ分あれば足り,なるべく小さい設備で竪ダクト2を施工することが可能となる。
【0042】
また,この実施の形態で示したように,角ダクト部材10の高さを建物1の各階層の高さ(一階分の高さ)にほぼ等しく設定すれば,上下に接続される角ダクト部材10のフランジ11同士をボルト・ナット等を用いて連結する作業を,建物1の各階層において行うことができ,例えば建物1の各階層において,脚立などを使用せずに床上1m程度の高さにおいて行うことも可能となる。なお,角ダクト部材10同士の接合部には,接合後,フランジ部周辺に断熱材を装着すると良い。
【0043】
また,角ダクト部材10は最上階(6F)のみで固定する必要はなく,他の階(2F〜5Fの任意)においても角ダクト部材10を固定しても良い。そうすれば,施工された竪ダクト2が建物1に対して複数箇所で固定され,地震等にも考慮が図られ,安定した竪ダクト2が構築される。このほか,超高層建物では,管材立て起こしのスペースがあるならば,複数階分のダクトをあらかじめ連結して揚重することもできる。その場合,管材間の接合の作業を少なくすることができる。
【0044】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を説明したが,本発明はここに示した形態に限定されない。例えば竪パイプの如き,竪ダクト以外の竪管を建物内の複数階層に渡って形成するような場合にも本発明は適用できる。請求項1の態様では支持部材20をダクトの吊り上げられる階(例では1F)でワイヤーにとりつけてもよい。また,竪管を組み立てるための管材は,スパイラルダクトのような円形の断面形状を持つダクト部材や円パイプ,角パイプなどであっても良い。この場合は支持部材20は例えば折り曲げ可能な構造のものを採用して本発明を実施できる。また,図示の形態では1F〜6Fに渡って竪管をを施工する例を説明したが,一階から屋上までダクトを組み立てる場合に限られず,任意の階(地階も含む)からそれよりも上層の階層まで竪管を組み立てるようなものであっても良い。また,本発明は前記したような建物を新築する場合だけでなく,既設の建物での竪管の更新にも有利に適用できる。狭所への対応で従来工法にない効果を奏する。
【0045】
【発明の効果】
請求項1〜4によれば,角ダクト部材などの管材であっても変形させることなく揚重して竪管を施工できるようになる。また管材を常に一つずつ揚重しているので,ワイヤー等を巻き上げる力はほぼ管材一つ分あれば足り,なるべく小さい力で竪管を施工することが可能となる。特に請求項2によれば,管材同士を接合する作業を建物の各階層にてできるので,作業性が向上する。また請求項4によれば,管材を常にワイヤーとほぼ平行な姿勢を保ったまま吊り上げることができるので,揚重時に管材が横振れして建物(スラブなど)を損傷したりすることを防止できる。。
【図面の簡単な説明】
【図1】竪ダクトをこれから施工しようとする建物の断面を模式的に示した図面である。
【図2】(a)は角ダクト部材の正面図であり,(b)は角ダクト部材の平面図である。
【図3】直列に配置した角ダクト部材を接合させた状態の説明図である。
【図4】支持部材を拡大して示した斜視図である。
【図5】揺れ防止部材を拡大して示した斜視図である。
【図6】角ダクト部材の中に支持自在を通過させる状態の説明図である。
【図7】角ダクト部材を支持自在上に載せて支持させた状態の説明図である。
【図8】垂直に立てられた角ダクト部材の内部において水平な姿勢を保つっている揺れ防止部材を説明するための平面図である。
【図9】支持部材と揺れ防止部材を下降させる状態の説明図である。
【図10】支持部材を角ダクト部材の下端側に移動させた状態の説明図である。
【図11】角ダクト部材を吊り上げていく状態の説明図である。
【図12】角ダクト部材を案内している状態の説明図である。
【図13】最初の角ダクト部材を最上階まで吊り上げた状態の説明図である。
【図14】固定具の斜視図である。
【図15】固定具の説明図であり,(a)は角ダクト部材によって固定部材が突き上げられて上方に回動している状態,(b)は角ダクト部材周面のリブが固定部材よりも上方まで移動した状態,(c)は固定部材の上にリブが載って角ダクト部材が固定された状態を示している。
【図16】建物に固定された最初の角ダクト部材の中を通してワイヤーを再び吊り下げた状態の説明図である。
【図17】支持部材を次の角ダクト部材の下端側に移動させた状態の説明図である。
【図18】建物に固定した最初の角ダクト部材の下端に,次の角ダクト部材を接合した状態の説明図である。
【図19】建物内に施工された竪ダクトの説明図である。
【符号の説明】
1 建物
2 竪ダクト
2’〜6’ スペース
7 吊り上げ装置
10 角ダクト部材
15 ウインチ
17 スイッチ
18 ワイヤー
20 支持部材
21 揺れ防止部材
22 ロープ

Claims (4)

  1. 複数階層建物に竪管を施工するにあたり,上層から吊り下げたワイヤーを前記竪管を構成するための管材の中に通し,管材の下端を支持して吊り上げ,該吊り上げられた管材を建物に固定し,次いで該建物に固定された管材の中を通して吊り下げたワイヤーを次の管材の中に通し,該次の管材の下端を支持して吊り上げ,該吊り上げられた次の管材の上端を前記建物に固定された管材の下端に接合して次の管材を建物に固定し,以後同様にして建物に固定された管材の下端にワイヤーで吊り上げられた管材の上端を順次接合していくことを特徴とする,竪管の施工方法。
  2. 前記管材を各階分ずつ吊り上げることを特徴とする,請求項1の竪管の施工方法。
  3. 請求項1又は2の竪管の施工方法に用いられる吊り上げ装置であって,ワイヤーを昇降させる駆動機構と,該ワイヤーに取り付けられ,前記管材の下端を支持自在で,かつ前記管材の中を通過自在な支持部材を備えることを特徴とする,吊り上げ装置。
  4. 前記支持部材によって支持されて吊り上げられる管材の揺れを防止するための揺れ防止部材を,前記支持部材よりも上方においてワイヤーに装着したことを特徴とする,請求項3の吊り上げ装置。
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