JP4368017B2 - メッシュシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工事用メッシュシート、飛散防止シート及びブラインドシート等に使用可能なメッシュシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、メッシュシートである工事用メッシュシートや飛散防止メッシュシートについてはよく知られている。これらはビニロン、ポリアミド、ポリエステル、アラミド等の紡績糸、又は長繊維糸を用いて製編織した布帛に、ディッピング、コーティング等の方法で主に塩化ビニル系樹脂を被覆加工することにより製造されている。
メッシュシートとしての必要な特性は、引張強力、引裂強力、タフネス、防炎性、耐候性、耐摩耗性、耐水性、防汚性、ウェルダー接着性等である。これらの特性は、強力を除けば主にその被覆樹脂である塩化ビニル系樹脂及びそこへ添加もしくは後加工で付与される難燃剤、耐候剤、撥水剤、防汚剤等に依存するところが大きい。
しかしながら、塩化ビニル系樹脂を含有している製品は、特殊な焼却工程を経なければ、焼却時に塩素が発生し、環境問題の元凶とされているダイオキシン、あるいは焼却炉を傷める塩化水素ガス等の発生要因物質として近年問題視されている。また塩化ビニル系樹脂に限らず難燃剤等で利用されるハロゲン元素含有物質でも同様の危険性があるとされている。
また塩化ビニル系樹脂で被覆する製品は、その柔軟性を調整するために大量の可塑剤が添加される。しかしこれらの可塑剤は使用中に樹脂表面への移行(ブリード)を起こし、現場での作業性、防汚性等の問題のみならず、環境に対する悪影響も問題視されている。
【0003】
以上の環境的な危険性や可塑剤の問題を指摘されながらも未だに塩化ビニル系樹脂が繊維製品の被覆樹脂として用いられている理由は、加工性に優れていること、製品の柔軟性を調整できること、低価格であること、塩化ビニル系樹脂の炭素−塩素結合の極性に由来するウェルダー縫製が可能であること等が挙げられる。
この問題に対処すべく非塩ビ樹脂として従来より検討されている、ポリオレフィン系、アクリル系、エチレン−ビニル酢酸共重合体系等を用いた場合、ポリエステル繊維と燃焼挙動が異なるため難燃化が困難であり、ハロゲン含有の難燃剤を大量に使用しなくてはならなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、必要とされる物性を備えていて、加工時から産業廃棄物として処理されるまでの環境問題が従来の塩化ビニル系樹脂で被覆されたものよりも非常に少ないメッシュシートを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、
1.ポリエステル繊維からなる充実率が50〜95%のメッシュ状織物が、テレフタル酸とイソフタル酸又は脂肪族ジカルボン酸である酸成分と、炭素数2〜6個の直鎖グリコールと炭素数2〜6個の側鎖グリコール又はエーテルグリコールであるアルコール成分からなる分子量が10000〜80000、ガラス転移点温度が−50℃〜70℃の共重合ポリエステルにより被覆されており、前記共重合ポリエステルは、ハロゲン元素を含まない難燃剤が共重合ポリエステルの固形分に対して5〜30重量%添加された共重合ポリエステルであり、かつ織物に対する樹脂付着量が40〜200重量%であることを特徴とするメッシュシート。
2.ポリエステル繊維が難燃ポリエステル繊維であることを特徴とする上記のメッシュシート。
を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のメッシュシートは、充実率が50〜95%で、ポリエステル繊維からなるメッシュ状織物が共重合ポリエステルにより被覆されたものである。
本発明のメッシュシートに用いられるポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンテレフタレートを主たる成分としポリエチレンテレフタレートの特性を保持する程度に第3成分を共重合もしくは混合したポリエステルを溶融紡糸して作られる繊維糸条であり、長繊維糸もしくは短繊維の紡績糸のいずれであってもよい。ポリエステル繊維は帯電防止剤、難燃剤、顔料等が重合時あるいは紡糸時に添加された繊維であってもよく、より安定した難燃性を要求される用途に用いるメッシュシートの場合には、難燃剤を添加した難燃性ポリエステル繊維であるのが好ましい。また該ポリエステル繊維は、相対粘度が1.30以上であるのが好ましく、より好ましくは1.35以上である。相対粘度が1.30未満であると産業資材用途のメッシュシートとしての強度および過酷な条件下における耐久性が劣りメッシュシートに求められる引張強力、引裂強力、タフネス、及び耐摩耗性等の基本的物性を得られない恐れがある。本発明でポリエステル繊維を用いる理由として、被覆樹脂及び繊維がポリエステルであることからリサイクル性も考慮に入れているからである。
【0007】
また、本発明のメッシュシートを構成する織物は、充実率が50〜95%であるメッシュ状織物である。その組織は平組織、綾組織、朱子組織の3原組織及びそれらを変化したもの、混合したもの、他の特殊な組織であっても差し支えないが、好ましいのは模紗組織である。
本発明における織物の充実率Kは、織物の拡大写真を撮り、その拡大写真の重量aと、織物組織の空隙部を除去した写真の重量bとから下式で求める。
K(%)=(b×100)/a
織物の充実率は、小さくするほど通風性はよくなるが、織物に目ずれ等の欠点発生しやすくなるので、織物の組織と糸の種類を選定して、メッシュシートの用途に応じて要求される充実率の織物を設計すればよい。
【0008】
本発明において、織物を被覆する樹脂は共重合ポリエステルである。近年、非塩ビ化の技術としては、塩化ビニル系以外の樹脂、例えばポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、アクリル系、ポリオレフィン系等の樹脂を用いられている例が多い。しかしながら、これらの樹脂はポリエステル繊維との接着性、密着性が弱く、耐摩耗性に問題が生じるか、ウェルダー接着性が弱いといった産業資材用途に用いられる繊維製品においての要件を満たさないことが多い。その為、架橋剤、帯電防止剤等を添加することでその性能を補っている。共重合ポリエステルはポリエステル繊維に対する接着性に優れ、また樹脂特性として耐摩耗性に優れる。
【0009】
本発明において用いる共重合ポリエステルは、フェノール/四塩化炭素(6/4)中で測定した極限粘度が0.4〜1.5であり、テレフタル酸とイソフタル酸または脂肪族ジカルボン酸である酸成分を用い、炭素数2〜6個の直鎖グリコールと炭素数2〜6個の側鎖グリコールまたはエーテルグリコールをアルコール成分として用いて共重合したポリエステルである。脂肪族ジカルボン酸としてはアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸またはそれらの低級アルキルエステルが使用される。また炭素数2〜6個の直鎖グリコールとしてはエチレングリコール、1,4ブタジオール等が挙げられ、炭素数2〜6個の側鎖グリコールとしては1,2プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2ブタンジオール等が挙げられ、さらに炭素数2〜6個のエーテルグリコールとしてはジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
これらの酸成分の共重合割合は、テレフタル酸成分と他の酸成分とがモル比で80:20〜20:80、またアルコール成分の共重合割合は、直鎖グリコールと他のグリコール成分とがモル比で80:20〜20:80であるのが好適である。
【0010】
本発明において、テレフタル酸とイソフタル酸または脂肪族ジカルボン酸を酸成分として用い、炭素数2〜6個の直鎖グリコールと炭素数2〜6個の側鎖グリコールまたはエーテルグリコールをアルコール成分として用いて共重合したポリエステルを被覆用樹脂として用いるのは、酸成分の中にテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸をポリマー内部に存在させることにより機械的物性を保持させ、脂肪族ジカルボン酸を同時に重合させることによりポリマー自体に柔軟性を付与することができ、その柔軟性はアルコール成分の炭素数により調整可能になるからであり、また比較的安価で原料が入手できる。
【0011】
本発明で用いる共重合ポリエステルは、分子量が10000〜80000の範囲であることが好ましい。分子量が10000未満では樹脂の凝集力が弱く、樹脂の機械的物性が劣り、80000を越えると溶液粘度が高くなり加工作業性が悪くなる。また製品の柔軟性は共重合成分を調整してガラス転移点温度を調整すればよく、従来の塩化ビニル系樹脂加工のメッシュシートと同等の柔軟性を得るには、アルコール成分の炭素数を調整して、ガラス転移点温度を−50℃〜70℃程度にするのが好ましい。−50℃未満であると、製品は非常に柔らかいが、表面にかなりのべとつき感(タック)が生じ、実際の展張等の作業性、防汚性が悪化し、50℃を超えると硬い風合いとなり折り畳んで収納するなどの作業性、繊維への接着性が悪化する。該共重合ポリエステルは特に可塑剤を添加することなく加工できるため、可塑剤のブリードによる経時変化がなく、表面のタックが長期にわたって発生しないため、防汚剤による後加工工程を必要とせず、従来より使用されているフッ素系、即ちハロゲン系の防汚剤を用いないといった利点も有する。
【0012】
本発明で用いる共重合ポリエステルは、水分散体として加工することが好ましい。水分散体であれば、加工作業上、有機溶剤系と比較して加工作業上、環境上安全で、加工機は防爆型でなくても良く、加工機選択の幅が広がることとなる。また、水分散体は官能基として親水基の水酸基を分子内に有し、その有する極性が、高周波の照射により分子に振動もしくは回転といった作用につながり、発熱・融解する。これにより共重合ポリエステル水分散体を用いた本発明のメッシュシートは従来の塩化ビニル系樹脂で被覆加工したものと同様にウェルダー接着性にも優れている。
【0013】
本発明のメッシュシートの樹脂付着量は織物に対して40〜200重量%とする。この樹脂付着量は使用されるメッシュシートに要求される性能により異なるが、40重量%未満であれば織物に対する樹脂の付着量が少なく繊維を保護するのに不十分である。200重量%を超えると目付が重い、風合いが硬い等、実際の作業上の困難を生じる。
【0014】
本発明において、被覆する共重合ポリエステルを難燃化する場合に用いる難燃剤としては、本発明の目的からもハロゲン元素を含まない難燃剤である必要があり、リン系(リン酸アンモニウム、リン酸メラミン等)、アンチモン系(三酸化アンチモン等)、ホウ素系、シリコーン系等の難燃剤が挙げられる。また難燃助剤として金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を用いるのが好ましい。これらの難燃剤及び難燃助剤の樹脂に対する添加量は、樹脂の固形分に対して5〜30重量%とすることが必要である。5重量%未満であれば十分な難燃性が得られず、30重量%を超えれば樹脂被膜の強度が弱くなってしまうおそれがある。また、ポリエステル繊維とポリエステル樹脂は燃焼挙動が同じであるため、他の樹脂を使用した場合に比べ非常に少ない使用量で難燃化が可能である。
【0015】
本発明において、溶液粘度の調整や製品性能向上、美観のために、共重合ポリエステルの性能を十分に保持できる程度に粘度調整剤、顔料、耐候剤等を添加しても良い。
本発明のメッシュシートの樹脂加工方法は特に限定しないが、コーティング、ディッピング、ラミネート加工等の通常の樹脂加工法で加工することが可能である。しかし、織物に対する樹脂の接着性を良くし、樹脂付着量を調整しやすく、加工コストの低減を考慮するとディッピング加工が好ましい。
【0016】
【作用】
本発明によると、従来の塩化ビニル系樹脂で被覆した製品の性能を維持した上で、加工作業時に始まり最終の廃棄処分に至るまで、環境への負担が大幅に減少し、かつリサイクル性も考慮したメッシュシートを提供することができる。
【0017】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する.実施例における性能の評価は、次の方法によって行った。
(1)目付
JIS L−1096に準じて目付(g/m2 )を測定した。
(2)引張強力
JIS L−1096に準じて引張強力(N/3cm)を測定した。
(3)切断伸度
JIS L−1096に準じて切断伸度(%)を測定した。
(4)引裂強力
JIS L−1096に準じて引裂強力(N)を測定した。
(5)難燃性試験
JIS L−1091 A−1法(45°ミクロバーナー法)に準じて評価し、合格するものを○、不合格のものを×とした。
(6)耐摩耗性
JIS L−1096 6.17 B法(スコット形法)に準じて摩耗試験し、異常のないものを○、剥離したものを×で評価した。
(7)ウェルダー接着強力
高周波ウェルダー接着機にLW−4000A(クイーンライト電子精工株式会社製)を用い、出力4kW、電流値0.3アンペア圧力2kgf/m2 、高周波発信時間3秒、融着時間3秒、冷却時間3秒の条件で3cm×10cmの金属バーを使用してウェルダー接着加工を行い、ウェルダー接合部(3cm長)を含む3cm巾の試料を用い、JIS K−6854のT型剥離試験法に準じ、接着部の剥離強力(N/3cm)を測定した。
(8)耐候性
試料をデューパネルウェザーメーター(63℃)に96時間照射させた後、試料の引張強力を測定し、照射前の引張強力との強力保持率を評価した。
【0018】
実施例1
ジメチルテレフタレート388部、1,2−プロピレングリコール280部、トリメチロールプロパン5部、イルガノックス−1330(酸化防止剤、チバガイギー株式会社製)0.5部、テトラブチルチタネート0.068部をオートクレーブに仕込み、170〜200℃で5時間エステル交換反応を実施した後、数平均分子量1200の2官能ポリプロピレングリコールを10部仕込み次いで反応系を20分かけて665KPa まで減圧し、この間250℃まで昇温した。更に13.3KPa 、250℃で重縮合反応を60分間行った。得られた共重合ポリエステルの数平均分子量はTHF溶液でのゲル浸透クロマトグラフィーによる分析では21000であった。また熱分析の結果、ガラス転移点温度は−40℃であった。得られた共重合ポリエステルをブチルセルソルブ溶剤中で加熱し、分散させた後、常温のモノエタノールアミンの1%水溶液60部中に撹拌しながら滴下した。この分散液は半透明で粘度は10cpsであった。また該分散液に粘度調整剤として、SN−シックナーA−818(アニオン系及び非イオン系特殊界面活性剤、サンノプコ株式会社製)を10部添加し、固形分濃度40%、溶液粘度8Pa・ s の共重合ポリエステル分散液Aを得た。
経糸、緯糸共にポリエステルマルチフィラメント830dtex/70fを用い、経糸密度が33本/吋、緯糸密度が33本/吋の6本1完全の模紗組織の織物(以下、基布1という。目付220g/m2 )を製織し、この基布1を基布とし、上記の共重合ポリエステル分散液Aを含む下記組成−1の共重合ポリエステル系樹脂組成物によりディッピング加工(塗布量200g/m2 、難燃剤の固形分割合28重量%、乾燥温度150℃)を施し、180℃でキュアを行って、本発明の実施例1のメッシュシートを得た。
[組成−1]
共重合ポリエステル分散液A 100重量部
K−19−A 8重量部
(リン酸エステル系難燃剤、有効成分100%、
明成化学工業株式会社製)
水酸化アルミニウム 3重量部
チバファスト P(耐候剤) 4重量部
炭酸カルシウム(粉末) 1重量部
顔料 1重量部
【0019】
実施例2
テレフタル酸とエチレングリコールをエステル化して得たビスβ−ヒドロキシテレフタレート、及びその低重合体100部に、難燃剤として〔2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル〕メチルホスフィン酸0.5部と三酸化アンチモン0.03部を添加して79.8kpA に減圧し、280℃にて重合反応を行い、固有粘度0.78のポリマーを得た。このポリマーを溶融し、着色剤としてシアニン系ブルーとカーボンを重量比で2.0:0.1の割合で混合し、ポリマーに対して10重量%添加してブルーのマスターチップを得た。このブルーポリエステルマスターチップを前期0.78のベースポリエステルチップと1:45の割合で混合し、円形の吐出孔から押し出して300℃で溶融紡糸を行い、延伸して、融点255℃の750デニール70フィラメントの難燃原着ポリエステルマルチフィラメント糸を得た。
経糸、緯糸共に上記難燃原着ポリエステルマルチフィラメントを用い、密度が経33本/吋、緯33本/吋の6本1完全の模写組織の織物(以下、基布2と称す。目付250g/m2 )を製織し、この基布2を基布として実施例1で用いた組成−1の共重合ポリエステル系樹脂組成物によりディッピング加工(塗布量200g/m2 、難燃剤の固形分割合28重量%、乾燥温度150℃)を施し、180℃でキュアを行って、本発明の実施例2のメッシュシートを得た。
【0020】
比較例1
基布1に対し、下記組成−2の共重合ポリエステル系樹脂組成物(難燃剤の固形分割合50重量%)によりディッピング加工を実施例1と同様に行って比較例1のメッシュシートを得た。
[組成−2]
共重合ポリエステル分散液A 100重量部
K−19−A 15重量部
(リン酸エステル系難燃剤、有効成分100%、明成化学工業株式会社)
水酸化アルミニウム 5重量部
チバファストP(耐候剤) 4重量部
炭酸カルシウム(粉末) 1重量部
顔料 1重量部
【0021】
比較例2
基布1に対し、下記組成−3の共重合ポリエステル系樹脂組成物(難燃剤の固形分割合4重量%)によりディッピング加工を実施例1と同様に行って比較例2のメッシュシートを得た。
[組成−3]
共重合ポリエステル分散液A 100重量部
K−19−A 1重量部
(リン酸エステル系難燃剤、有効成分100%、明成化学工業株式会社製)
水酸化アルミニウム 0.5重量部
チバファストP(耐候剤) 4重量部
炭酸カルシウム(粉末) 1重量部
顔料 1重量部
【0022】
比較例3
実施例1の重縮合反応の反応時間を30分にすることで得た、数平均分子量8000、ガラス転移点温度−55℃の共重合ポリエステルを用い、実施例1と同様に水分散化した固形分濃度40%の共重合ポリエステル分散液Bを用い、実施例1と同様に基布1に樹脂加工し、比較例3のメッシュシートを得た。
【0023】
比較例4
実施例1の重縮合反応の反応時間を120分にすることで得た、数平均分子量100000、ガラス転移点温度75℃の共重合ポリエステルを用い、実施例1と同様に水分散化した固形分濃度40%の共重合ポリエステル分散液Cを用い、実施例1と同様に基布1に樹脂加工し、比較例4のメッシュシートを得た。
【0024】
比較例5
実施例1と同様に加工する際、樹脂付着量を50g/mにしたものを作成し、比較例5のメッシュシートを得た。また、比較例として樹脂付着量の200重量%よりも多いものを作成しようと試みたが、メッシュシートの空隙が得られなかった。
【0025】
比較例6
基布1に対して下記組成よりなる組成−4のアクリルエマルジョンのディッピング加工(塗布量200g/m、難燃剤の固形分割合22重量%、乾燥温度150℃)を施し、180℃でキュアを行って、比較例6のメッシュシートを得た。
[組成−4]
ニューコート9100 100重量部
(アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、固形分50%、新中村化学工業株式会社製)
K−19−A 8重量部
(リン酸エステル系難燃剤、有効成分100%、明成化学工業株式会社製)
水酸化アルミニウム 3重量部
チバファストP(耐候剤) 4重量部
炭酸カルシウム(粉末) 1重量部
顔料 1重量部
【0026】
比較例7
基布1に対して下記組成よりなる組成−6のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンのディッピング加工(塗布量200g/m、難燃剤の固形分割合22重量%、乾燥温度150℃)を施し、180℃でキュアを行って、比較例7のメッシュシートを得た。
[組成−6]
スミカフレックス S−752 100重量部
(エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、固形分50%、住友化学工業株式会社製)
K−19−A 8重量部
(リン酸エステル系難燃剤、有効成分100%、明成化学工業株式会社製)
水酸化アルミニウム 3重量部
チバファストP(耐候剤) 4重量部
炭酸カルシウム(粉末) 1重量部
顔料 1重量部
【0027】
比較例8
基布1に対して下記組成よりなる組成−5塩化ビニルペーストのディッピング加工(塗布量200g/m、難燃剤の固形分割合7重量%、乾燥温度150℃)を施し、180℃でキュアを行って、比較例8のメッシュシートを得た。
[組成−5]
ゼオン121 50重量部
(塩化ビニルペースト、日本ゼオン株式会社製)
DOP 15重量部
(可塑剤、三菱モンサイト株式会社製)
DINP 15重量部
(可塑剤、三菱モンサイト株式会社製)
アデカ−O−130P 3重量部
(アデカアーガス株式会社製)
KV−62B−4 3重量部
(安定剤、共立薬品株式会社製)
三酸化アンチモン 7重量部
炭酸カルシウム 7重量部
顔料 1重量部
実施例1〜2及び比較例1〜8の評価結果を併せて表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004368017
【0029】
表1より明らかなように、実施例1、2は、塩化ビニル系樹脂で加工した比較例8とほぼ同等の性能を有しており、かつ目付において100g/m以上軽いものとなった。さらに実施例2においては耐候性が比較例8よりも優れていた。
難燃剤の添加量が大きい比較例1は、燃焼性においては問題ないが、被膜強度が弱く耐摩耗性試験で剥離の傾向が見られ、難燃剤の添加量が少ない比較例2では燃焼性が不合格であった。
共重合ポリエステルの分子量が低く、ガラス転移点温度Tgが低い比較例3のメッシュシートはタック感があり、耐摩耗性が悪く、ウェルダー接着力がほとんどなく、耐候性も良くなかった。共重合ポリエステルの分子量が大きく、ガラス転移点温度Tgが高い比較例4のメッシュシートは風合いが硬く、耐摩耗性が悪く、ウェルダー接着力がほとんどなく、耐候性も良くなかった。
また、樹脂付着量が少ない比較例5は耐摩耗性、燃焼性、耐候性など耐久性において劣るものであった。さらに、アクリル系樹脂を用いた比較例6及びエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた比較例7は燃焼性、耐摩耗性において劣るものであった。
【0030】
【発明の効果】
本発明によると、従来の塩化ビニル系樹脂で加工されたものと同等の性能を有した上で、加工時から廃棄処分されるまでの環境負荷が従来の塩化ビニル系樹脂を使用したものより非常に小さく、かつ軽量なメッシュシートを提供することができる。

Claims (2)

  1. ポリエステル繊維からなる充実率が50〜95%のメッシュ状織物が、テレフタル酸とイソフタル酸又は脂肪族ジカルボン酸である酸成分と、炭素数2〜6個の直鎖グリコールと炭素数2〜6個の側鎖グリコール又はエーテルグリコールであるアルコール成分からなる分子量が10000〜80000、ガラス転移点温度が−50℃〜70℃の共重合ポリエステルにより被覆されており、前記共重合ポリエステルは、ハロゲン元素を含まない難燃剤が共重合ポリエステルの固形分に対して5〜30重量%添加された共重合ポリエステルであり、かつ織物に対する樹脂付着量が40〜200重量%であることを特徴とするメッシュシート。
  2. ポリエステル繊維が難燃ポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1記載のメッシュシート。
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