JP2005163476A - 生分解性建設工事用シート及びその製造方法 - Google Patents

生分解性建設工事用シート及びその製造方法 Download PDF

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神谷  邦明
Seiji Nozaki
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Abstract

【目的】 使用後土中や堆肥中に埋設することにより、生分解して自然界に存在する 物に変換し、環境汚染を生ずることなく、優れた難燃性を示すシートを提供する。
【構成】 生分解性樹脂織編物100重量部に対して、生分解性樹脂エマルジョンを固形分0〜20重量部となるように配合した生分解性難燃剤液で処理し、該液の固形分5〜50重量部を含浸付着して、加熱乾燥した生分解性樹脂難燃化織編物100重量部に対して、生分解性難燃剤0〜50重量部を添加した生分解性樹脂エマルジョンを固形分3〜70重量部となるように浸漬付着して、表面を被覆し加熱乾燥した生分解性建設工事用シートである。
【選択図】 なし



Description

本発明は建設工事現場において、環境保全、危険防止及び火災防止のために展張したり被覆して使用される機械的特性に優れ、難燃性で生分解性を有する生分解性建築工事シート及びその製造方法に関する。
従来の建設工事用シートやメッシュシートは石油からのプラスチックであるポリエステル繊維やポリアミド繊維等の合成繊維から織編された繊維基布に塩化ビニル樹脂をコーティングしたものが使用されている。塩化ビニル樹脂でコーティングされたシートやメッシュシートは廃棄時に燃焼工程を通すとハロゲン系の物質が熱分解しダイオキシン等の発生、又は塩酸が発して焼却炉を傷める等の問題が生じる。また使用後に埋設した場合、ハロゲン系の物質は分解せず土壌に残留して土壌を汚染する。更に樹脂に含有されている環境ホルモンである可塑剤がブリードして土壌を汚染することになるという多くの問題がある。
特公昭52−41786号公報
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、地球環境浄化という世界的ニーズに対応したもので、使用後に土中や堆肥中に埋設すると生分解し、自然界に存在する物質に変換する特別の性能を有し、しかも優れた難燃性を有する建築工事用シート及びその製造方法を提供するものである。
本発明は、
「1. 生分解性樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対し、ホスファゼン系化合物エマルジョンの固形分15〜150重量部を配合してなる生分解性難燃樹脂組成物を、生分解性樹脂織編物100重量部に対して固形分として5〜80重量部浸漬付着させて、表面を被覆し加熱乾燥してなる生分解性建設工事用シート。
2. 生分解性樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対し、水分散性脂肪族ポリイソシアネート固形分0.3〜3.0重量部配合した、1項に記載された生分解性建設工事用シート。
3. 生分解性樹脂織編物と生分解性難燃樹脂組成物との固着性を改善する固着性付着剤として、エチルセルロース系生分解性樹脂エマルジョンを生分解性樹脂エマルジョンに配合した、1項または2項に記載された生分解性建設工事用シート。
4. 生分解性樹脂織編物の樹脂はポリ乳酸樹脂である、1項ないし3項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
5. 生分解性樹脂織編物の樹脂は芳香族系ポリエステル樹脂である、1項ないし3項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
6. 生分解性樹脂織編物の繊維の強度は2.6cN/dtex以上である、1項ないし5項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
7. 生分解性樹脂エマルジョンは、ポリ乳酸系樹脂である、1項ないし6項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
8. 生分解性樹脂エマルジョンはポリブチレンサクシネート又は、ポリブチレンサクシネートアジペートのいずれかの樹脂エマルジョンである、1項ないし6項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
9. 1項ないし8項のいずれか1項に記載されたシートは「JIS L 1091」のA−1法区分3、A−2法区分3、D法区分2の難燃性を有する、生分解性建設工事用シート。
10. 1項ないし9項のいずれか1項に記載されたシートがメッシュシートである、生分解性建設工事用シート。
11. 1項ないし10項のいずれか1項に記載された生分解性難燃樹脂組成物を浸漬付着した生分解性樹脂織編物を、乾燥温度70℃〜150℃で入口の温度を低くし、出口の温度を高くした加熱乾燥炉を通して加熱乾燥することを特徴とする、生分解性建設工事用シートの製造方法。」
に関する。
本発明は使用後、土中や堆肥中に埋設することにより生分解し、自然界に存在する物質に変換し、環境を汚染することがなく、しかも優れた難燃性、柔軟性及び耐摩耗性を示す優れた効果を奏する。
以下、本発明をその実施の形態を挙げて詳細に説明する。本発明で言う織編物とは織物または編物である。
本発明で使用する生分解性樹脂織編物に使用する生分解性樹脂は特に限定はないが、脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。具体的には乳酸、グリコール酸、乳酸ヒドロキシブチルカルボン酸等のヒドロキシアルキルカルボン酸、グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクトン等の脂肪族ラクトン、エチレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族ジオール、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸等の重合原料を含有した樹脂が挙げられる。これらの中で耐熱性、機械的特性等から光学異性体を有するポリ乳酸同士の組み合わせたポリ乳酸系樹脂が特に好ましい。ポリ乳酸樹脂としては Nature works(Cargill Dow Polymers LLC) テラマック(ユニチカ株式会社登録商標)、レイシア(三井化学株式会社登録商標)が挙げられる。更にテレフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールをベース原料とした高融点、高結晶化の芳香族系ポリエステル樹脂成分でTg75℃以下で加水分解性の生分解性樹脂が好ましい。例としてはバイオマックス(デュポン株式会社登録商標)が挙げられる。
本発明で使用する生分解性樹脂エマルジョンとしては特に限定はないが、脂肪族ポリエステル樹脂が好ましい。その中でポリ乳酸樹脂は耐水性がよく特に好ましい。例としてランディ PL−1000(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)、プラセマ L110(第一工業製薬株式会社登録商標:固形分50%)、テラマック LAS−013N(ユニチカ株式会社製)が挙げられる。またガラス転移点が−30℃以下で柔軟な性質の脂肪族ポリエステルである、ポリブチレンサクシネート(PBS)樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)樹脂が好ましい。例としてはビオノーレEM301、ビオノーレ EM901(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)が挙げられる。製品の耐水性、柔軟性からポリ乳酸樹脂とPBS、PBSAと混合して使用するのがより好ましい。更に生分解性樹脂を織編物にコートする場合、溶剤に溶解した生分
解性樹脂溶液を使用すると基材との接着強力が向上する利点はあるが、有機溶剤を使用するので、溶剤を用いないものが要求されている。
例として、ランディ EA−100(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分30%)が挙げられる。
本発明で用いる難燃物質は、ホスファゼン系化合物である。ホスファゼン系化合物の化学式を次に示す。
Figure 2005163476
(R、R´はフェノール基、nは○〜○の整数である。)
ホスファゼン系化合物の例として、SPB−100(大塚化学株式会社製、固形分100%、融点110℃)、SPS−100(大塚化学株式会社製、固形分100%、融点110℃)がある。ホスファゼン系化合物のエマルジョンの例として、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)、AED−001、AED−002(大京化学株式会社製、固形分30%)等が挙げられる。
ホスファゼン系化合物は、固体を溶剤、例えばメチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアシドに溶解し、溶液として使用できる。また冷凍粉砕し粉末としても使用はできる。
しかし、ホスファゼン系化合物をエマルジョン化したものは生分解性樹脂エマルジョンに分散性がよく好ましい。
本発明で使用する生分解性樹脂織編物で形成したシートは織製した織物でもよく、編製した編物でもよく、両者を綴りあわせて併用したものでもよい。
本発明で用いる生分解性樹脂織編物100重量部に対して生分解性樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対し、ホスファゼン系化合物のエマルジョンを固形分15〜150重量部配合してなる生分解性難燃樹脂組成物の固形分が5〜80重量部存在する必要がある。ホスファゼン系化合物15重量部以下の生分解性難燃樹脂組成物を用いたのでは大量に使用しないと、難燃化の効果が小さい。150重量部以上では、難燃性促進の効果の向上が小さくなり、耐摩耗性が悪くなる欠点が生ずるので好ましくない。
生分解性樹脂織編物100重量部に対し、生分解性難燃樹脂組成物固形分5重量部以下では、難燃化効果が小さく、生分解性樹脂織編物の糸の樹脂固定がルーズになり、目ズレ、目曲がりが生じ易くなり製品化した場合に耳部にほつれが生じる。また表面に樹脂成分が少ないために印刷性が悪くなり好ましくない。80重量部以上では製品が硬くなり好ましくない。風合いが硬いと工事用シートの折り畳み、工事現場での展張作業が悪くなる問題が発生する。
生分解性樹脂エマルジョン固形分100重量部に対して、水分散性脂肪族ポリイソシアネートが存在すると生分解性樹脂織編物と生分解性難燃樹脂組成物との接着性向上効果がある。更に耐水性も向上する効果が奏される。
水分散性脂肪族ポリイソシアネートの例として、KBX−0501(昭和高分子株式会社製)が挙げられる。配合量は、0.3〜3重量部である。
該ポリイソシアネートの配合量が0.3重量部以下では、接着性の向上が小さく、3.0重量部以上では生分解性を妨げるので好ましくない。
更に織編物と生分解性難燃樹脂組成物との固着性を付与する生分解性樹脂エマルジョンとして、エチルセルロース系生分解性樹脂が挙げられる。例として、ランディ CP−100S(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)、ランディ CP−100(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)が挙げられる。これらを配合すると製品の耐水性及び耐油性が向上するので好ましい。
該生分解性樹脂エマルジョンを生分解性難燃樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.1〜20重量部配合するが、配合すると織編物と生分解性難燃樹脂組成物との固着性を向上し、耐水性も良くなる効果が奏されるが、20重量部を超えると製品が硬くなるので好ましくない。
生分解性樹脂織編物をホスファゼン系化合物を添加した生分解性樹脂エマルジョンで浸漬し、含浸付着させ、表面をコートした後、加熱炉で乾燥する温度は70〜150℃であって加熱炉の入口は低くし、出口は高くする。入口温度が110℃以上では樹脂に発泡が生じることがあり好ましくなく、80℃〜130℃が好ましい。また出口温度が150℃以上では生分解性樹脂織編物が収縮する傾向が発生し、シートが硬くなり好ましくない。加熱時間は数分でよい。
生分解性エマルジョンに生分解性可塑剤を添加すると製品の風合いが柔軟になり好ましい。例としてリケマールL009、リケマールL019、リケマールL710(理研ビタミン株式会社登録商標)、プラセマ S−1547(第一工業製薬株式会社登録商標)が挙げられる。
生分解性樹脂織編物に使用する繊維の強度は2.6cN/dtexを超えることが好ましい。2.6cN/dtex以下では建設用工事シートに要求される引張強度や引裂強度等の機械的物性が低くなりシートとしての機能を発揮できなくなる。好ましくは3.0cN/dtex以上である。
本発明の建設工事用シートの織編物の織組織は平・綾・朱子の三原組織及びそれらを変化したもの、混合したもの、他の特殊なものであっても差し支えないが、特に軽量で、目づれが起こりにくく、好ましいのは平組織、模紗組織、搦み織組織等である。編組織はラッセル編が好適である。
本発明でシート状織編物としてマルチフィラメント繊維で製織した織物の密度は経糸10本〜130本/10cm、緯糸10本〜130本/10cmのメッシュ状織編物を使用すると目開きしているので、風をよく通し高層ビル等の工事現場で使用する場合、風圧による支持物への負担を軽減することができ、さらに飛来落下防止効果に優れ、軽くて取扱性がよい利点がある。また、シート状織編物としてマルチフィラメント繊維で製織した織物の密度は経糸35〜60本/インチ、緯糸25〜60本/インチで平織りしたシート状織編物を使用すると目開きしていないので通気性がないので、風圧を受けるが防塵性、安全性がよく、印刷インキが均一で鮮明に印刷できる。またシートが薄くて強度が強い利点ある。シート状織編物としてスパン糸で製織した織物の密度が経糸43〜55本/インチ、緯糸35〜60本/インチのスパン糸織物を使用すると、織物と樹脂層との密着強度が強く、はためき等に耐え、樹脂層剥離が置きにくく、厚さが厚い重厚な製品が製造しやすい利点がある。
またマルチフィラメント糸を用い結節部がなくレース状のラッセル編した編物は掛目が多くとれ、風通性がよい効果があり、好ましい。
本発明では生分解性物質、無機物を種類及び量を選び、顔料、染料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、安定剤、希釈剤、増粘剤、発泡剤、分散剤、防黴剤 、防藻剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等を使用することができる。
本発明の生分解性建設工事用シートは生分解性樹脂と生分解性化学物質で構成されているので、使用後に廃棄する場合に土壌や堆肥中に埋没すると、水分、温度の相乗作用で加水分解し、その後微生物による生分解により農作物、園芸等の肥料として有効に活用できるものである。
次に、実施例をあげて具体的に説明する。
(実施例1)
プラネタリヤーミキサー(容量50リットル)に生分解性脂肪族ポリエステル樹脂エマルジョン、ビオノール EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部に難燃剤としてホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)185重量部、水200重量部を添加し、生分解性難燃樹脂組成物を調合した。該生分解性難燃樹脂エマルジョンをディップ槽に注入した。
生分解性樹脂製シート状織編物はポリ乳酸繊維1,000デニール3本からみ織りした、織物密度、経糸36本/10cm、緯糸36本/10cmのシート状織物で、重量245g/mである。該織物をガイドロールを通してピンチロールでピンチし、さらにガイドロールを通して該生分解性難燃樹脂エマルジョンの入ったディップ槽を通過浸漬付着させ、絞りロールで絞った後、エアーブローして被覆織物の目に詰まった難燃樹脂エマルジョンを除去後、80℃・100℃・120℃・135℃の温度勾配のある加熱炉を3分間で通過させ、加熱乾燥ゲル化処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量322g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表1に示す。
(実施例2)
実施例1において生分解性樹脂エマルジョン、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、ホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)185重量部、水200重量部と実施例1と同様の物を同量使用し、その中へ水分散性脂肪族ポリイソシアネート、KBX−0501(昭和高分子株式会社登録商標:固形分100%)をスターラで混合溶解し、20%溶液とし、これを12.5重量部、水200重量部添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織物を用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂製シート状織物を処理して生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量329g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表1に示す。
(実施例3)
実施例1において生分解性樹脂エマルジョン、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)を使用する代りに、ポリ乳酸樹脂エマルジョン、プラセマ L110(第一工業製薬株式会社登録商標:固形分50%)200重量部に難燃剤としてホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)342重量部、水分散性脂肪族ポリイソシアネート KBX−0501(昭和高分子株式会社登録商標:固形分100%)をスターラで混合溶解し、20%溶液としこれを3重量部、生分解性可塑剤、プラセマS−1547(第一工業製薬株式会社登録商標)15重量部、水280重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂製シート状織物を処理して生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量281g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物、難燃剤、ポリイソシアネート、可塑剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、生分解性樹脂エマルジョンとしてビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部に代えて、生分解性樹脂エマルジョン、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)130重量部、ポリ乳酸樹脂エマルジョン、テラマック LAS−013N(ユニチカ株式会社製:固形分50%)70重量部を使用し、これに難燃剤としてホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)53重量部、固着付与生分解性樹脂エマルジョンとしてランデイ CP−100S(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)20重量部、水120重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織物を用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂製シート状織物を処理して生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量399g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、生分解性樹脂製シート状織物としてポリ乳酸繊維500デニール、平織密度、経糸112本/10cm、緯糸112本/10cm、重量130g/mを使用した。該生分解性樹脂シート状織物を、実施例1と同様の生分解性難燃樹脂エマルジョンを使用し、実施例1と同様にして該生分解性樹脂製シート状織物を処理して生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量178g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表1に示す
(実施例6)
実施例1において、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)を使用する代りに、ポリ乳酸樹脂エマルジョン、プラセマ L110(第一工業製薬株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、ホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)50重量部、水200重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
生分解性樹脂製シート状織物はポリ乳酸繊維500デニール、平織密度、経糸112本/10cm、緯糸112本/10cm、重量130g/mの織物を使用した。該生分解性樹脂シート状織物を、該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い実施例1と同様に処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量169g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、ホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)239重量部と、実施例1と同量使用し、水分散性脂肪族ポリイソシアネート、KBX−0501(昭和高分子株式会社登録商標:固形分100%)をスターラで混合溶解した20%溶液を15重量部、生分解性可塑剤 プラセマ S−1547(第一工業製薬株式会社登録商標)10重量部、水200重量部添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い、生分解性樹脂織物として、ポリ乳酸繊維、経糸500デニール/24フィラメント、緯糸500デニール/24フィラメント、織物密度、経糸54本/インチ、緯糸54本/インチ、重量258g/mの織物を使用した。該生分解性樹脂織物を実施例1と同様にガイドロールを通し、ピンチロールでピンチし、さらにガイドロールを通して該生分解性難燃樹脂エマルジョンの入った第一コーターで織物の表面をコートし、80℃・100℃・120℃・120℃の温度勾配のある加熱炉で乾燥後、第二コーターで裏面をコートし、80℃・100℃・120℃・125℃の温度勾配のある加熱炉を5分間で通過させ、加熱乾燥ゲル化処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量354g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いた
シート状織物、難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、生分解性樹脂エマルジョン、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、ホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)26重量部、水150重量部を添加して、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織物を用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂製シート状織物を処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量320g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物の難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表2に示す。
(比較例2) 実施例1において、生分解性樹脂エマルジョン、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、ホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)342重量部、水350重量部を添加して、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織物を用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂製シート状織物を処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量253g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物の難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、生分解性樹脂エマルジョン、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、ホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)447重量部、水50重量部を添加して、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織物を用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂製シート状織物を処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量425g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物の難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表2に示す。
(比較例4)
実施例1において、生分解性樹脂エマルジョン、ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、ホスファゼン系化合物エマルジョン、ノンネン SP−101(丸善油化工業株式会社製、固形分38%)184重量部、水0重量部として、実施例1と同様にして生分解性難燃樹脂エマルジョンを調合した。
該生分解性難燃樹脂エマルジョンを用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織物を用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂製シート状織物を処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量475g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織物の難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表2に示す。
Figure 2005163476
Figure 2005163476
諸性能の測定方法
1.燃焼試験
「JIS L 1091」に準じて測定
A−1法(45度ミクロバーナー法)
A−2法(45度メッケルバーナー法)
区分 3 合格
区分 2,1 不合格
D法(接炎法)
区分 2 合格
区分 1 不合格
2.生分解性
試料をコンポスターに投入し、80℃にて14日間放置し、試験後の各試料の残存状態を評価した。
生分解性:試験後の残渣が
ない:○
ある:×
3.重 量:「JIS L 1096」に準じて測定
4.引張試験:「JIS L 1096」に準じて測定
5.剛軟性:「JIS L 1096」に準じて測定(45度カンチレバー法)
試験片:幅1.5cm、長さ20cm
柔軟性は、剛軟性の評価による。
非常に柔軟である ◎ (10cm以下)
柔軟である ○ (10〜15cm)
硬い △ (15〜20cm)
非常に硬い × (20cm以上)
6.スコット摩耗法(B法):「JIS L 1096」に準じて測定
1(kgf) ×1000(回)
剥離なし ◎
剥離がわずかあり ○
剥離がある △
剥離が大きい ×
7.吸水試験後の重量減少
吸水試験:25(℃)×24(時間)
乾燥 乾燥:100(℃)×4(時間)
〔評価〕
比較例1は難燃剤の部数が小さく、難燃性が悪い例である。
比較例2、3、4は、織物に対する生分解性難燃樹脂組成物の付着量が本発明の範囲外であり、燃焼試験の結果が悪かったり、耐摩耗性が悪い例である。
本発明は、使用後に土中で生分解し、環境汚染を発生しない建築工事用シートであるので、従来のシートの使用される分野の他、環境汚染を発生することが許されない所でも充分使用できるシートである。

Claims (11)

  1. 生分解性樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対し、ホスファゼン系化合物エマルジョンの固形分15〜150重量部を配合してなる生分解性難燃樹脂組成物を、生分解性樹脂織編物100重量部に対して固形分として5〜80重量部浸漬付着させて、表面を被覆し加熱乾燥してなる生分解性建設工事用シート。
  2. 生分解性樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対し、水分散性脂肪族ポリイソシアネート固形分0.3〜3.0重量部配合した、請求項1に記載された生分解性建設工事用シート。
  3. 生分解性樹脂織編物と生分解性難燃樹脂組成物との固着性を改善する固着性付着剤として、エチルセルロース系生分解性樹脂エマルジョンを生分解性樹脂エマルジョンに配合した、請求項1または2に記載された生分解性建設工事用シート。
  4. 生分解性樹脂織編物の樹脂はポリ乳酸樹脂である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
  5. 生分解性樹脂織編物の樹脂は芳香族系ポリエステル樹脂である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
  6. 生分解性樹脂織編物の繊維の強度は2.6cN/dtex以上である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
  7. 生分解性樹脂エマルジョンは、ポリ乳酸系樹脂である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
  8. 生分解性樹脂エマルジョンはポリブチレンサクシネート又は、ポリブチレンサクシネートアジペートのいずれかの樹脂エマルジョンである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載されたシートが「JIS L 1091」のA−1法区分3、A−2法区分3、D法区分2の難燃性を有する、生分解性建設工事用シート。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載されたシートがメッシュシートである、生分解性建設工事用シート。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載された生分解性難燃樹脂組成物を浸漬付着した生分解性樹脂織編物を、乾燥温度70℃〜150℃で入口の温度を低くし、出口の温度を高くした加熱乾燥炉を通して加熱乾燥することを特徴とする、生分解性建設工事用シートの製造方法。
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