JP4362270B2 - トリオルガノシリル不飽和カルボキシレートの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合性を有するトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートの新しい製造方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、防汚塗料用樹脂、機能性高分子材料などの合成原料として有用なトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを効率よく且つ安価に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートの合成法については、米国特許4,593,055号明細書、特開昭63−215780号公報、特開平04−342593号公報に示されているように、不飽和カルボン酸とトリオルガノクロロシランと脱塩化水素剤としてトリエチルアミンなどの第三級アミンとを、トルエンまたはキシレン中で、脱塩化水素反応により反応させる方法が知られている。なお、特開平04−342593号公報には、ジオキサン中で不飽和カルボン酸に第三級アミンを反応させ、次いでトリオルガノクロロシランを反応させる方法も示される。
【0003】
また、特開平04−342594号公報、特開平04−342595号公報には、第三級アミンからなる塩基を用いないで、不飽和カルボン酸とトリオルガノクロロシランを加熱下に脱塩化水素反応により合成する方法が記載されている。
【0004】
他方、不飽和カルボン酸とトリオルガノシランとを反応させてトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを合成する方法としては、特開平10−195084号公報では銅または銅化合物を脱水素触媒として反応を行う合成方法が提案され、また特開平10−212293号公報では還元性の二重結合を有する化合物の存在下で、脱水素触媒を用いて反応を行う合成方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、第三級アミンからなる塩基を脱塩化水素剤として用いて上記の反応をさせる合成方法では、比較的高価な第三級アミンを不飽和カルボン酸に対して当量以上使用するため製造コストがかさむ。ここで、コストの節減を図るためには、第三級アミンを回収する工程が必要であるが、副生した第三級アミン塩酸塩から遊離の第三級アミンを回収するには、まず第三級アミン塩酸塩をアルカリ水溶液で処理して第三級アミンを遊離させ、それから有機溶媒で抽出、脱水、蒸留精製などの工程が必要であり、非常に煩雑な操作を要する。
【0006】
一方、加熱下に脱塩化水素反応により合成させる方法では、反応温度を高く保つ必要があり、またこの高温の条件で行なっても、トリオルガノクロロシランを消失させるまで反応を完了することは困難であり、そのため、収率も低くなる。
【0007】
他方、金属よりなる脱水素触媒を用いて不飽和カルボン酸とトリオルガノシランからトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを合成する方法でも、トリオルガノシリル 飽和カルボキシレートが生成し、満足できる品質かつ収率で、トリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを得ることができない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、不飽和カルボン酸とトリオルガノクロロシランと脱塩化水素剤とを反応させる時に、脱塩化水素剤である塩基として、工業的に安価なアンモニアを用いると、炭化水素系溶媒中あるいはエステル系溶媒中でかなり良い効率で不飽和カルボン酸とトリオルガノクロロシランとが反応してトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを生成できることを見出した。更に研究の結果、炭化水素系溶媒あるいはエステル系溶媒に代えて、エーテル系溶媒、好ましくはテトラヒドロフランを用い、エーテル系溶媒中で不飽和カルボン酸とトリオルガノクロロシランとアンモニアとを反応させると、より短時間の反応操作で副反応も少く、目的のトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを高収率で生成できることを見出した。すなわち本発明者らにより、不飽和カルボン酸とトリオルガノクロロシランと脱塩化水素剤としてのアンモニアとをエーテル系溶媒中で反応させると、トリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを良い効率で、しかも高収率かつ低コストで容易に生成し得る工業的に有利な製造方法が提供できることが見出された。
【0009】
さらに、エーテル系溶媒の単独に代えて、エーテル系溶媒の20重量%以上、好ましくは50重量%以上と、炭化水素系溶媒との混合溶媒を用いても差支えないことが見出された。
【0010】
すなわち、本発明においては、一般式(1)
R1(R2)C=C(R3)−COOH (1)
〔式中、R1は水素原子、アルキル基または−(CH2)nCOOR7基(ここで、R7は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す)を示し、R2およびR3はそれぞれ水素原子、メチル基あるいは−COOR8基(ここで、R8は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示す)を示し、しかもR2およびR3の少なくとも一方は水素原子であるが、ただし、R1がアルキル基または−(CH2)nCOOR7基のときは、R2およびR3はいずれも水素原子である〕で示される不飽和カルボン酸と、一般式(2)
ClSiR4(R5)(R6) (2)
〔式中、R4、R5およびR6は、互いに同一であるかあるいは異なっていてもよく、アルキル基またはシクロアルキル基を示す〕で示されるトリオルガノクロロシランと脱塩化水素剤とを反応させて、一般式(3)
R1(R2)C=C(R3)−COO−SiR4(R5)(R6) (3)
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は前記と同じ意味をもち、すなわちR1は水素原子、アルキル基または−(CH2)nCOOR7基(ここで、R7は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す)を示し、R2およびR3はそれぞれ水素原子、メチル基あるいは−COOR8基(ここで、R8は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示す)を示し、しかもR2およびR3の少なくとも一方は水素原子であるが、ただし、R1がアルキル基または
−(CH2)nCOOR7基のときは、R2およびR3はいずれも水素原子である。R4、R5およびR6は互いに同一であるかあるいは異なっていてもよく、アルキル基またはシクロアルキル基を示す〕で示されるトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを製造する方法において、脱塩化水素剤として塩基であるアンモニアを用いて、エーテル系溶媒中で、あるいはエーテル系溶媒と芳香族または脂肪族炭化水素系溶媒との混合溶媒中で反応を行うことを特徴とする、一般式(3)のトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートの製造方法が提供される。
【0011】
上記した一般式(1)の不飽和カルボン酸において、R1がアルキル基である場合、R1で示されるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの(C1〜C10)アルキル基が挙げられる。
【0012】
一般式(1)において、R1が−(CH2)nCOOR7基である場合、R7で示されるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの(C1〜C10)アルキル基が挙げられる。また、R7で示されるシクロアルキル基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロヘキシル基などの(C3〜C6)シクロアルキル基が挙げられる。
【0013】
一般式(1)において、R2またはR3が−COOR8である場合、R8で示されるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの(C1〜C10)アルキル基が挙げられる。また、シクロアルキル基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロヘキシル基などの(C3〜C6)シクロアルキル基が挙げられる。
【0014】
本発明で使用される一般式(1)で示される不飽和カルボン酸の具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0015】
一般式(2)のトリオルガノクロロシランにおいて、R4、R5およびR6で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの(C1〜C10)アルキル基が挙げられる。また、シクロアルキル基としては、具体的にはシクロプロピル基、シクロヘキシル基などの(C3〜C6) シクロアルキル基が挙げられる。
【0016】
本発明で使用される一般式(2)で示されるトリオルガノクロロシランの具体例としては、例えばトリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリイソブチルクロロシラン、トリ−sec−ブチルクロロシラン、トリ−n−ヘキシルクロロシラン、メチルジエチルクロロシラン、ジメチルエチルクロロシラン、エチルジブチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシランなどが挙げられる。
【0017】
本発明方法を行うに当って、反応させられる不飽和カルボン酸とトリオルガノクロロシランの割合は、トリオルガノクロロシランに対して不飽和カルボン酸を1〜3当量とするのがよい。また、用いるアンモニアの割合は不飽和カルボン酸に対して1〜5当量とするのがよい。
【0018】
本発明の方法において、反応媒質としてエーテル系溶媒の使用またはエーテル系溶媒と芳香族または脂肪族炭化水素系溶媒との混合溶媒の使用が必要である。
【0019】
不飽和カルボン酸とトリオルガノクロロシランとアンモニアとを反応させる場合には、副反応としてアンモニアとトリオルガノクロロシランが反応して、望ましくないアミノトリオルガノシランを生成し、目的物のトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートの収率が低下することがある。
【0020】
上記の反応において反応媒質として、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒や、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒あるいはエステル系溶媒を用いると、不飽和カルボン酸とアンモニアとから生成したアンモニウム塩とトリオルガノクロロシランとの反応が遅いので、アンモニアとトリオルガノクロロシランとの副反応が起こりアミノトリオルガノシランが生成しやすい。そこで目的物のトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートの収率を低下させないために、アンモニアとトリオルガノクロロシランとの副反応を抑制することが必要であり、そのために長時間を要して徐々にアンモニアを反応系に導入したり、および(または)トリオルガノクロロシランを滴下により反応系に徐々に導入する必要がある。
【0021】
これに対して、本発明において、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒を反応媒質として用いると、不飽和カルボン酸とアンモニアとから生成するアンモニウム塩と、トリオルガノクロロシランとは、速やかに反応し、目的物のトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートが生成するので、アミノトリオルガノシランを生成する副反応がほとんど起こらない。このため、反応系中へのアンモニアの吹込み時間速度は、反応媒質としてトルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒やヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒を用いた場合に比べ早くてよく、アンモニアの吹込みを含む反応操作の所要時間が短縮される利点がある。
【0022】
本発明において使用されるエーテル系溶媒としては、フラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどが例示される。これらのうちいくつかを混合して使用してもよい。これらのエーテル系溶媒の中でも、高い反応効率を示すことなどから、テトラヒドロフランが好ましい。本発明方法では、原料の溶解などのために、エーテル系溶媒と他の溶媒との混合溶媒を反応媒質とすることも可能であり、そのような混用される溶媒としては、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒が挙げられる。使用される混合溶媒中にエーテル系溶媒を20重量%またはそれ以上、好ましくは50重量%以上の割合で含有していることが望ましい。
反応条件として、反応温度は、通常は80℃以下、好ましくは0〜60℃の温度で反応混合物中にアンモニアガスを吹込み加えていくのが望ましい。
【0023】
本発明方法で、上記の各原料を反応させる順序は、(1) エーテル系溶媒中で一般式(1)の不飽和カルボン酸に、まずアンモニアを作用させて、不飽和カルボン酸のアンモニウム塩を形成し、次いでこのアンモニウム塩に一般式(2)のトリオルガノクロロシランを作用させる方法でも、あるいは(2)エーテル系溶媒中で不飽和カルボン酸に、まずトリオルガノクロロシランを加え、得られた混合物にアンモニアを加えて反応させる方法でも、一般式(3)のトリオルガノシリル
不飽和カルボキシレートを生成できる。
【0024】
上記の反応により得られた一般式(3)の反応生成物は、ついで反応溶液から分離し、精製される。手順としては、反応溶液からまず副生成物である塩化アンモニウムをろ別したのち、反応生成物を含む有機層を水洗することもできるし、ろ別せずそのまま水洗により取り除くこともできる。その後、反応生成物を含む有機層から溶剤を留去してから残留分を蒸留する。このようにしてトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートが回収でき、高収率かつ高純度で得られる。
【0025】
また、本発明の方法においては、原料の不飽和カルボン酸や、生成物のトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートの重合を防止するために、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4−tert−ブチルカテコール、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンナトリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンカリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩などの一般的な重合防止剤を反応の事前に添加することが望ましい。
【0026】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、有用なトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを高収率、高純度かつ安価に製造することができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明によるトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートの製造方法について実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
【実施例1】
温度計、還流冷却器を取付けた10リットルの4つ口フラスコに、アクリル酸396g、トリイソプロピルクロロシラン964g、テトラヒドロフラン(溶媒)2.2 kgを入れた。該フラスコ中で、得られた混合物を30〜40℃で攪拌しながら、該混合物の液面下に挿入されたガス出口をもつノズルを通して、アンモニアガスの95gを該混合物中に吹込んだ。アンモニアガスの吹込みに1.5時間を要した。アンモニアガスの吹込み直後から塩化アンモニウムの析出が観測された。得られた反応混合物中のトリイソプロピルクロロシランが消失するまでさらに30〜40℃の温度で1時間攪拌した。その後、反応溶液へトルエン2.2 kgを加え、更に水2.5 kgを滴下して水層に塩化アンモニウムを溶解させた。水性層と有機層とに分液し、有機層をさらに水2.5 kgで2回洗浄した。
【0029】
水洗された有機層からロータリーエバポレーターにて溶媒(テトラヒドロフランおよびトルエン)を留去した後、残留分を減圧下に蒸留した。蒸留圧力133 Paにて107〜109℃までの留分としてトリイソプロピルシリル アクリレートの1119gを得た。このようにして得られたトリイソプロピルシリル アクリレートは、その収率が97.5%、純度が99.5%であった。純度はガスクロマトグラフィーにより測定した。また、得られたものがトリイソプロピルシリル アクリレートであることはNMRにより確認した。
【0030】
【実施例2】
実施例1と同じ装置に、アクリル酸396g、トリイソプロピルクロロシラン964g、テトラヒドロフラン1.1 kgとトルエン1.1 kgとよりなる(50:50重量比)混合溶媒を入れて攪拌した。均質な溶液が得られた。この溶液を30〜40℃で攪拌しながら、アンモニアガスの95gを該溶液中に吹込んだ。アンモニアガスの吹込みに、1時間50分を要した。アンモニアガスの吹込み直後から塩化アンモニウムの析出が観測された。得られた反応混合物中のトリイソプロピルクロロシランが消失するまでさらに30〜40℃の温度で1時間攪拌した後、塩化アンモニウムを含む反応液へ水2.5 kgを滴下して塩化アンモニウムを溶解させた。塩化アンモニウムを溶解した水性層と有機層とを分液し、有機層をさらに水2.5kgで2回洗浄した。
【0031】
水洗された有機層をロータリーエバポレーターにて溶剤を留去した後、減圧下に蒸留した。蒸留圧力133 Paにて107〜109℃までの留分としてトリイソプロピルシリル アクリレート1118gを得た。このようにして得られたトリイソプロピルシリル アクリレートは、その収率が97.3%、純度が99.4%であった。
【0032】
【実施例3】
実施例1と同じ装置に、アクリル酸378g、tert−ブチルジメチルクロロシラン754g、テトラヒドロフラン1.1 kgとトルエン1.1 kgとよりなる混合溶媒を入れた。該フラスコ中で、得られた混合物を攪拌して均質な溶液を得た。この溶液を30〜40℃で攪拌しながら、この溶液中にアンモニアガスの95gを吹込んだ。アンモニアガスの吹込みに1時間20分を要した。吹込み直後から塩化アンモニウムの析出が観測された。得られた反応混合物中のtert−ブチルジメチルクロロシランが消失するまでさらに30〜40℃の温度で1時間攪拌した後、反応溶液へ水2.5 kgを滴下して水層中に塩化アンモニウムを溶解させた。水性層と有機層とに分液し、有機層をさらに水2.2 kgで2回洗浄した。
【0033】
水洗された有機層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去した後、残留分を減圧下に蒸留した。蒸留圧力133 Paにて92〜96℃までの留分としてtert−ブチルジメチルシリル アクリレート914gを得た。このようにして得られたtert−ブチルジメチルシリル アクリレートは、その収率が97.0%、純度が99.4%であった。
【0034】
【実施例4】
実施例1と同じ装置に、アクリル酸396g、テトラヒドロフラン(溶媒)2.2kgを入れ、30〜40℃で攪拌しながら、アンモニアガスの95gを1時間30分かけて吹込んだ。アンモニアガスの吹込み直後からアクリル酸のアンモニウム塩の析出が観測された。さらに30〜40℃の温度で30分攪拌した後、そこへトリイソプロピルクロロシラン964gを30〜40℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物中のトリイソプロピルクロロシランが消失するまで30〜40℃の温度で1時間攪拌した。その後、反応液へトルエン2.2kgを加え、更に水2.5kgを滴下して水層に塩化アンモニウムを溶解させた。水性層と有機層とに分液し、有機層を更に水2.5kgで2回洗浄した。
【0035】
水洗された有機層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去した後、残留分を減圧下に蒸留した。蒸留圧力133 Paにて107〜109℃までの留分としてトリイソプロピルシリル アクリレート1121gを得た。このようにして得られたトリイソプロピルシリル アクリレートは、その収率が97.5%、純度が99.3%であった。
【0036】
【実施例5】
実施例1と同じ装置に、アクリル酸396g、トリイソプロピルクロロシラン964g、ジオキサン1.1kgとトルエン1.1kgよりなる(50:50重量比)混合溶媒を入れて攪拌し、均質な溶液を得た。この溶液を30〜40℃で攪拌しながら、アンモニアガスの95gを1時間30分かけて吹き込んだ。アンモニアガスの吹込み直後から塩化アンモニウムの析出が観測された。得られた反応混合物中のトリイソプロピルクロロシランが消失するまでさらに30〜40℃の温度で1時間攪拌した。その後、反応液に水2.5kgを滴下して水層中の塩化アンモニウムを溶解させた。水性層と有機層に分液し、有機層をさらに水2.2kgで2回洗浄した。
【0037】
水洗された有機層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去した後、残留分を減圧下に蒸留した。蒸留圧力133 Paにて107〜109℃までの留分としてトリイソプロピルシリル アクリレート1113gを得た。このようにして得られたトリイソプロピルシリル アクリレートは、その収率が96.9%、純度が99.5%であった。
【0038】
【比較例1】
実施例1と同じ装置に、アクリル酸396g、トリイソプロピルクロロシラン964g、トルエン(比較の溶媒)2.2kgを入れた。得られた混合物を30〜40℃で攪拌しながら、アンモニア95gをアミノトリイソプロピルシランが生成しないような吹込み速度で吹込んだ。アンモニアガスの吹込みに5時間を要した。吹込み直後から塩化アンモニウムの析出が観測された。得られた反応混合物中のトリイソプロピルクロロシランが消失するまで30〜40℃の温度で3時間攪拌した。その後、反応溶液へ水2.5 kgを滴下して塩化アンモニウムを溶解させた。これを水層と有機層とに分液し、有機層をさらに水2.5 kgで2回洗浄した。
【0039】
得られた有機層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去した後、減圧下蒸留した。圧力133 Paにて107〜109℃までの留分として1113gを得た。このようにして得られたトリイソプロピルシリル アクリレートは、その収率が97.0%、純度が99.5%であった。
【0040】
【比較例2】
実施例1で用いた温度計、還流冷却器を取付けた10リットルの4つ口フラスコに、トリイソプロピルクロロシラン1.9 kg、トリエチルアミン(比較の脱塩化水素剤)1.0 kg、トルエン(溶媒)4.3 kgを入れ、得られた混合物を50℃以下で攪拌しながら、アクリル酸720gを3時間かけて滴下した。滴下直後からトリエチルアミン塩酸塩の析出が観測された。得られた反応混合物中のトリイソプロピルクロロシランが消失するまでさらに50℃以下で1時間攪拌した。その後、反応溶媒へ水2.0 kgを滴下してトリエチルアミン塩酸塩を水層中に溶解させた。水性層と有機層とに分液し、有機層をさらに水2.0 kgで洗浄した。
【0041】
得られた有機層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去した後、残留分を減圧下に蒸留した。蒸留圧力133 Paにて107〜109℃までの留分としてトリイソプロピルシリル アクリレート1054gを得た。このようにして得られたトリイソプロピルシリル アクリレートは、その収率が91.7%、純度が99.4%であった。

Claims (4)

  1. 一般式(1)
    R1(R2)C=C(R3)−COOH (1)
    〔式中、R1は水素原子、アルキル基または−(CH2)nCOOR7基(ここで、R7は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す)を示し、R2およびR3はそれぞれ水素原子、メチル基あるいは−COOR8基(ここで、R8は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示す)を示し、しかもR2およびR3の少なくとも一方は水素原子であるが、ただし、R1がアルキル基または−(CH2)nCOOR7基のときは、R2およびR3はいずれも水素原子である〕で示される不飽和カルボン酸と、一般式(2)
    ClSiR4(R5)(R6) (2)
    〔式中、R4、R5およびR6は、互いに同一であるかあるいは異なっていてもよく、アルキル基またはシクロアルキル基を示す〕で示されるトリオルガノクロロシランと脱塩化水素剤とを反応させて、一般式(3)
    R1(R2)C=C(R3)−COO−SiR4(R5)(R6) (3)
    〔式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は前記と同じ意味をもち、すなわちR1は水素原子、アルキル基または−(CH2)nCOOR7基(ここで、R7は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す)を示し、R2およびR3はそれぞれ水素原子、メチル基あるいは−COOR8基(ここで、R8は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示す)を示し、しかもR2およびR3の少なくとも一方は水素原子であるが、ただし、R1がアルキル基または−(CH2)nCOOR7基のときは、R2およびR3はいずれも水素原子である。R4、R5およびR6は互いに同一であるかあるいは異なっていてもよく、アルキル基またはシクロアルキル基を示す〕で示されるトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートを製造する方法において、脱塩化水素剤として塩基であるアンモニアを用いて、エーテル系溶媒中で、あるいはエーテル系溶媒と芳香族または脂肪族炭化水素系溶媒との混合溶媒中で反応を行うことを特徴とする、一般式(3)のトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートの製造法。
  2. 用いられるエーテル系溶媒としてテトラヒドロフランの単独中で反応を行う、請求項1に記載の方法。
  3. エーテル系溶媒と、芳香族炭化水素系溶媒あるいは脂肪族炭化水素系溶媒との混合溶媒を用い、該混合溶媒は20重量%またはそれ以上のエーテル系溶媒を含有するものである、請求項1に記載の方法。
  4. 一般式(3)のトリオルガノシリル 不飽和カルボキシレートが、トリイソプロピルシリル (メタ)アクリレートあるいはtert−ブチルジメチルシリル (メタ)アクリレートである、請求項1に記載の方法。
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