JP4810111B2 - アルコラート化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機能性材料や電子材料の原料モノマーとして有用な2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物の合成原料として有用なアルコラート化合物を製造する方法、及び該方法により得られたアルコラート化合物を用いて2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を製造する方法に関する。
アダマンタン誘導体は、優れた耐熱性及び透明性を有することから耐熱性高分子等の高機能性材料や半導体用レジスト等の電子材料への応用が期待されている。中でも、重合性不飽和炭化水素基を有するアダマンチルエステル化合物は、単独であるいは他のモノマーと共に高分子材料やレジスト材料の原料モノマーとして使用される極めて有用な化合物である(特許文献1参照)。このような重合性のアダマンチルエステル化合物をレジスト材料に使用する場合には、極性の異なる複数のモノマーを使用し、モノマー組成物の組成を変えることによりレジスト樹脂の極性を制御して各種溶媒に対する溶解性等の物性をコントロールすることが行われている。これまで知られている重合性アダマンチルエステル化合物としては、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートや3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる(特許文献1及び2参照)が、その種類はそれほど多くは無い。
特開平10−182552号公報 特開昭63−33350号公報
レジスト樹脂の物性設計の自由度を広げるという観点から、様々な種類の重合性アダマンチルエステル化合物の提供が求められている。本発明者等は、このような要求に応えるため、重合性アダマンチルエステル化合物にシアノ基を導入することを着想した。極性基であるシアノ基を導入すればその導入位置や他の置換基との組合せにより極性を広範囲で変えることができるのではないかとの考えに基づくものである。本発明者等は、既知の重合性アダマンチルエステル化合物との骨格の類似性から2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物に着目したが、このような化合物はこれまで知られていない。
従来、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートのようなアダマンタン環の2位にアルキル基及び重合性基を有する重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル化合物の製造方法としては、アダマンタン化合物とアルキルリチウム又はアルキルマグネシウムブロマイドとを反応させ、その後(メタ)アクリロイルクロライドを滴下する方法(前記特許文献1参照)が知られている。
このような方法を応用してシアノメチル基を有する前記化合物を合成するためには、アセトニトリルのメチル基の水素をアルカリ金属で置換したシアノメチルアルカリ金属塩を用いる必要があるが、前記特許文献1にはこのようなシアノメチルアルカリ金属塩は記載されていない。
また、シアノメチルアルカリ金属塩の合成方法としては、アセトニトリルとn−ブチルリチウムを−80℃で反応させる方法(例えば、The Journal of Organic Chemistry、1968年、第33巻、3402ページ)、アセトニトリルとリチウムジイソプロピルアミドを−70℃で反応させる方法(例えば、Synthesis、1979年、463ページ)が知られている。そして、このような方法で得られたシアノメチルアルカリ金属塩を用いて前者では、89%の収率でベンゾフェノンとの縮合体を得ており、後者は49%の収率でアセトンとの縮合体を得ている。恐らく金属塩が不安定であることが原因であると思われるが、上記の両反応における反応温度は−70℃以下という極低温である。このことから、シアノメチルアルカリ金属塩を反応原料として使用する場合には冷却設備などの特殊な設備が必要となることが予想される。
このような状況のもと、本発明では、新規化合物である2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を効率良く製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、アダマンタノン化合物と、アセトニトリルを、有機金属化合物存在下で反応させて得られる2−シアノメチル−2−アダマンタノール化合物のアルコラートを原料として用いることにより2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を効率良く得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、第一の本発明は、下記式(1)
Figure 0004810111
(式中、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基であり、Aはアルカリ金属である。)
で示されるアルコラート化合物を製造する方法であって、
下記式(2)
Figure 0004810111
{式中、R、R、R及びRは夫々前記式(1)におけるものと同義である。}
で示されるアダマンタノン化合物と、アセトニトリルと、下記式(3)
Figure 0004810111
(式中、R及びRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基であり、Aはアルカリ金属である。)
で示される有機金属化合物とを、−50℃〜70℃の反応温度で、アセトニトリルと前記式(2)で示されるアダマンタノン化合物の溶液に、前記式(3)で示される有機金属化合物を添加することにより反応させる工程を含むことを特徴とするアルコラート化合物の製造方法である。
また、第二の本発明は、下記式(4)
Figure 0004810111
{式中、R、R、R及びRは、各々前記式(1)におけるものと同義であり、Rは置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基である。}
で示される2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を製造する方法であって、第一の本発明の方法により前記式(1)で示されるアルコラート化合物と重合性不飽和カルボン酸無水物又は重合性不飽和カルボン酸ハライドとを反応させる工程を含むことを特徴とする、2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物の製造方法である。
該方法によれば、−70℃以下の極低温を必要とせず、目的物を効率良く得ることができる。
目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物は、前記したように高極性から低極性までの広範囲の極性の有機溶媒に対する溶解性が優れるという特徴を有することの裏腹として、晶析による精製が困難であるという問題があることが判明した。本発明の製造方法においては、前記反応工程で得られた前記式(4)で示される2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物の粗体を、晶析溶媒としてアルコールと水との混合溶媒を用いた晶析により精製する精製工程を更に含むことにより、効率良く高純度の目的物を得ることができる。
第一の本発明は上記2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物の合成原料として有用なアルコラート化合物の製造方法を提供するものであり、−70℃以下の極低温を必要としない優れた製造方法である。また、該方法によって得られた化合物を用いた第二の本発明の製造方法によれば、分子量が300〜5000程度の高分子量の不純物成分(以下、該不純物成分を「オリゴマー不純物」ともいう)の生成(副生)を高度に抑えた状態で、2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を高収率で製造することが可能である。
第一の本発明では、前記式(2)で示されるアダマンタノン化合物と、アセトニトリルと、前記式(3)で示される有機金属化合物とを反応させる工程を含むことによって前記式(1)で示されるアルコラート化合物を製造する。以下、該方法で使用する反応物(reactant:反応原料、触媒等)、反応条件や反応手順等について詳しく説明する。
(アダマンタノン化合物)
本発明では、原料として下記式(2)で示されるアダマンタノン化合物(以下、2−アダマンタノン化合物ともいう)を使用する。
Figure 0004810111
なお、前記式(2)においてR、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基である。上記炭素数1〜5のアルキル基のうち好適な基を具体的に例示すれば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、イソペンチル基等が挙げられる。
本発明において、好適に使用できる2−アダマンタノン化合物を具体的に例示すれば、2−アダマンタノン、1−メチル−2−アダマンタノン、5−メチル−2−アダマンタノン、1,3−ジメチル−2−アダマンタノン、1,5−ジメチル−2−アダマンタノン、5,7−ジメチル−2−アダマンタノン、1,5,7−トリメチル−2−アダマンタノン等を挙げることができる。これらの化合物の中でも生成物の有用性の観点から、2−アダマンタノン、5,7−ジメチル−2−アダマンタノンが好ましい。
(有機金属化合物)
本発明で原料として使用する有機金属化合物は下記式(3)で示される。
Figure 0004810111
式(3)においてR及びRは、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であり、Aはアルカリ金属である。
上記炭素数1〜5のアルキル基のうち好適な基を具体的に例示すれば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、イソペンチル基等が挙げられ、これらの中でも入手の容易さと反応性の高さよりイソプロピル基が特に好ましい。また、R及びRの置換基は、異なっていても同一であっても良いが、入手の容易さから同一であるのが好ましい。
また、Aのアルカリ金属としては、公知のものが制限なく使用できるが、入手の容易さよりリチウム、ナトリウム又はカリウムであるのが好ましい。これらの中でも使用するアルカリ金属の危険性が比較的低いことから、リチウムであるのが特に好ましい。
式(3)で示される有機金属化合物として好適に用いられるものを具体的に例示すれば、リチウムアミド、リチウムモノメチルアミド、リチウムジメチルアミド、ナトリウムアミド、ナトリウムモノメチルアミド、ナトリウムジメチルアミド、カリウムアミド、カリウムモノメチルアミド、カリウムジメチルアミド、リチウムモノエチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムエチルメチルアミド、ナトリウムモノエチルアミド、ナトリウムジエチルアミド、ナトリウムエチルメチルアミド、カリウムモノエチルアミド、カリウムジエチルアミド、カリウムエチルメチルアミド、リチウムn−プロピルアミド、リチウムジn−プロピルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムn−プロピルイソプロピルアミド、リチウムイソプロピルメチルアミド、リチウムイソプロピルエチルアミド、ナトリウムn−プロピルアミド、ナトリウムジn−プロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、ナトリウムn−プロピルイソプロピルアミド、ナトリウムイソプロピルメチルアミド、ナトリウムイソプロピルエチルアミド、カリウムn−プロピルアミド、カリウムジn−プロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、カリウムn−プロピルイソプロピルアミド、カリウムイソプロピルメチルアミド、カリウムイソプロピルエチルアミド、リチウムn−ブチルアミド、リチウムsec−ブチルアミド、リチウムt−ブチルアミド、リチウムジn−ブチルアミド、リチウムジsec−ブチルアミド、リチウムジt−ブチルアミド、リチウムイソプロピルn−ブチルアミド、リチウムイソプロピルsec−ブチルアミド、リチウムイソプロピルt−ブチルアミド、ナトリウムn−ブチルアミド、ナトリウムイソブチルアミド、ナトリウムt−ブチルアミド、ナトリウムジn−ブチルアミド、ナトリウムジsec−ブチルアミド、ナトリウムジt−ブチルアミド、ナトリウムイソプロピルn−ブチルアミド、ナトリウムイソプロピルsec−ブチルアミド、ナトリウムイソプロピルt−ブチルアミド、カリウムn−ブチルアミド、カリウムsec−ブチルアミド、カリウムt−ブチルアミド、カリウムジn−ブチルアミド、カリウムジsec−ブチルアミド、カリウムジt−ブチルアミド、カリウムイソプロピルn−ブチルアミド、カリウムイソプロピルsec−ブチルアミド、カリウムイソプロピルt−ブチルアミド、リチウムn−ペンチルアミド、リチウムsec−ペンチルアミド、リチウムイソペンチルアミド、リチウムジn−ペンチルアミド、リチウムジsec−ペンチルアミド、リチウムジイソペンチルアミド、リチウムイソプロピルn−ペンチルアミド、リチウムイソプロピルsec−ペンチルアミド、リチウムイソプロピルイソペンチルアミド、ナトリウムn−ペンチルアミド、ナトリウムsec−ペンチルアミド、ナトリウムイソペンチルアミド、ナトリウムジn−ペンチルアミド、ナトリウムジsec−ペンチルアミド、ナトリウムジイソペンチルアミド、ナトリウムイソプロピルn−ペンチルアミド、ナトリウムイソプロピルsec−ペンチルアミド、ナトリウムイソプロピルイソペンチルアミド、カリウムn−ペンチルアミド、カリウムsec−ペンチルアミド、カリウムイソペンチルアミド、カリウムジn−ペンチルアミド、カリウムジsec−ペンチルアミド、カリウムジイソペンチルアミド、カリウムイソプロピルn−ペンチルアミド、カリウムイソプロピルsec−ペンチルアミド、カリウムイソプロピルイソペンチルアミド等が挙げられる。この内特に、入手の容易さと反応性の高さから、リチウムジエチルアミド、リチウムジn−プロピルアミド、リチウムジイソプロピルアミドが好ましく、特にリチウムジイソプロピルアミドが好ましい。
上記有機金属化合物は、一般に商業的に入手可能なものが特に制限無く使用できるが、自ら合成したものを使用することも勿論可能である。例えばリチウムジイソプロピルアミドを合成する場合には、リチウムとスチレンモノマー、ジイソプロピルアミンを有機溶媒中で反応させる方法(例えば、The Journal of Organic Chemistry、第58巻、1993年、1ページ)や、n−ブチルリチウムとジイソプロピルアミンを有機溶媒中で反応させる方法(例えば、Tetrahedron、第36巻、775ページ)が採用できる。このような方法によれば、ほぼ定量的に前記有機金属化合物を得ることができる。
本発明の方法における有機金属化合物の使用量は特に制限はされないが、後処理の容易さ等から、2−アダマンタノン化合物1モルに対し、1〜10モル、特に1〜5モルを使用するのが好ましい。
(アセトニトリル)
アセトニトリルの使用量は特に制限はされないが、後処理の容易さ等から、2−アダマンタノン化合物1モルに対し、1〜10モル、特に1〜5モルを使用するのが好ましい。
(反応条件および反応手順)
第一の本発明における2−アダマンタノン化合物と、アセトニトリルと、前記式(3)で示される有機金属化合物との反応は、これら原料物質を混合することにより行なわれる。反応条件の制御のし易さ及び収率の観点から、上記反応は、有機溶媒中で行なうのが好ましい。有機溶媒としては公知のものが制限なく使用できるが、入手の容易さと目的物の取得量の多さの点から、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を使用するのが好適である。これらの中でもジエチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、テトラヒドロフランよりなる群から選ばれる少なくとも一種類を使用するのが特に好ましい。これら有機溶媒は、2種類以上混合して使用しても良い。有機溶媒の使用量は、特に制限はされないが、後処理の容易さ等から2−アダマンタノン化合物の1質量部に対し1〜100質量部、特に2〜50質量部を使用するのが好ましい。
上記反応は、例えば、反応容器内に温度を制御しながら所定量の各反応物(reactant)や溶媒を導入し、攪拌することにより好適に行なうことができる。このとき各反応物の導入順序は特に限定されないが、有機金属化合物と2−アダマンタノン化合物とが高濃度で接触すると、2−アダマンタノン化合物が還元され、2−アダマンタノール化合物が副生成したり、或いは有機金属化合物と2−アダマンタノン化合物が縮合した化合物が副生成したりするため、アセトニトリルと2−アダマンタノン化合物の溶液に、有機金属化合物を添加するのが好ましい。
反応は、加圧下、減圧下、常圧下の何れの条件でも行なうことができるが、簡便性から常圧下で行なうのが好適である。なお、該反応においては、反応液中に水が混在すると副反応が起き、好ましくないため、窒素、アルゴン等の不活性ガスで十分に置換した後、該不活性ガスを通気しながら反応を行なうのが好ましい。
上記反応の反応温度は、副生成物を抑制するという観点から、−50℃〜70℃、特に−30〜40℃とするのが好適である。反応時間は、その他の反応条件に応じて反応進行程度を確認しながら適宜決定すればよいが、通常0.5時間〜24時間で十分な転化率を得ることができる。
(アルコラート化合物)
上記反応により下記式(1)で示されるアルコラート化合物を得ることができる。
Figure 0004810111
なお、式(1)において、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基であり、Aはアルカリ金属である。各置換基及びAは、原料として使用した化合物によって一義的に決定される。
前記式(1)で示されるアルコラートの内、好適な化合物を具体的に例示すれば、リチウム2−シアノメチル−2−アダマンタノラート、ナトリウム2−シアノメチル−2−アダマンタノラート、カリウム2−シアノメチル−2−アダマンタノラート、リチウム2−シアノメチル−1−メチル−2−アダマンタノラート、ナトリウム2−シアノメチル−1−メチル−2−アダマンタノラート、カリウム2−シアノメチル−1−メチル−2−アダマンタノラート、リチウム2−シアノメチル−5−メチル−2−アダマンタノラート、ナトリウム2−シアノメチル−5−メチル−2−アダマンタノラート、カリウム2−シアノメチル−5−メチル−2−アダマンタノラート、リチウム2−シアノメチル−1,3−ジメチル−2−アダマンタノラート、ナトリウム2−シアノメチル−1,3−ジメチル−2−アダマンタノラート、カリウム2−シアノメチル−1,3−ジメチル−2−アダマンタノラート、リチウム2−シアノメチル−5,7−ジメチル−2−アダマンタノラート、ナトリウム2−シアノメチル−5,7−ジメチル−2−アダマンタノラート、カリウム2−シアノメチル−5,7−ジメチル−2−アダマンタノラート、リチウム2−シアノメチル−1,5,7−トリメチル−2−アダマンタノラート、ナトリウム2−シアノメチル−1,5,7−トリメチル−2−アダマンタノラート、カリウム2−シアノメチル−1,5,7−トリメチル−2−アダマンタノラート等を挙げることができ、この内特に合成の容易さから、リチウム2−シアノメチル−2−アダマンタノラート、リチウム2−シアノメチル−5,7−ジメチル−2−アダマンタノラートが好ましい。
このような反応により目的とするアルコラートが生成していることは、加水分解生成物として対応する構造のアルコール化合物が生成することにより間接的に確認することができる。反応系及び加水分解機構からして加水分解により対応する構造のアルコール化合物が生成していれば、前記式(1)で示されるアルコラートが生成していることは間違いない。なお、分析により目的とするアルコラートが生成していることを直接的に確認することは可能であるが、単離精製に煩雑な操作を要する。なお、前記式(1)のアルコラート体はそのまま、次の反応(第二の本発明)に使用することができる。
以下、第二の本発明について説明する。
第二の本発明では、第一の本発明で得られた前記式(1)で示されるアルコラート化合物(第一原料)と重合性不飽和カルボン酸無水物又は重合性不飽和カルボン酸ハライド(第二原料)とを反応させる工程を含むことにより前記式(4)で示される2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を製造する。
(重合性不飽和カルボン酸無水物及び重合性不飽和カルボン酸ハライド)
第二の本発明の反応で第二原料として使用される重合性不飽和カルボン酸無水物は、下記式(5)で示される。
Figure 0004810111
上記式(5)における は、置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基である。当該重合性不飽和炭化水素基のうち好適な基を具体的に例示すれば、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−プロペニル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。
本発明で好適に使用できる重合性不飽和カルボン酸無水物を具体的に例示すれば、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、ビニル酢酸無水物、クロトン酸無水物、4−ペンテン酸無水物、4−メチル−4−ペンテン酸無水物、5−ヘキセン酸無水物、2,4−ペンタジエン酸無水物等を挙げることができる。これら化合物の中でも生成物の有用性の観点から、アクリル酸無水物またはメタクリル酸無水物が特に好適である。
前記反応では、第二原料として上記重合性不飽和カルボン酸無水物に替えて下記式(6)で示される重合性不飽和カルボン酸ハライドを使用することもできる。
Figure 0004810111
上記式(6)におけるXは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。また、Rは前記式(5)におけるものと同義であり、好適な基も同じである。
本発明で好適に使用できる重合性不飽和カルボン酸ハライドを具体的に例示すれば、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、アクリル酸ヨーダイド、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸ブロマイド、メタクリル酸ヨーダイド、ビニル酢酸クロライド、ビニル酢酸ブロマイド、ビニル酢酸ヨーダイド、クロトン酸クロライド、クロトン酸ブロマイド、クロトン酸ヨーダイド、4−ペンテン酸クロライド、4−ペンテン酸ブロマイド、4−ペンテン酸ヨーダイド、4−メチル−4−ペンテン酸クロライド、4−メチル−4−ペンテン酸ブロマイド、4−メチル−4−ペンテン酸ヨーダイド、5−ヘキセン酸クロライド、5−ヘキセン酸ブロマイド、5−ヘキセン酸ヨーダイド、2,4−ペンタジエン酸クロライド、2,4−ペンタジエン酸ブロマイド、2,4−ペンタジエン酸ヨーダイド等を挙げることができる。これらの化合物の中でも生成物の有用性の観点から、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、メタクリル酸ブロマイドが好ましく、入手の容易さからアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドが特に好ましい。
第二原料として重合性不飽和カルボン酸無水物を使用する場合の使用量は、後処理の容易さ等から、第一原料(2−シアノメチル−2−アダマンタノール化合物のアルコラート)1モルに対し1〜10モル、特に1〜5モルを使用するのが好ましい。また第二原料として重合性不飽和カルボン酸ハライドを使用する場合の使用量は、後処理の容易さ等から、第一原料(2−シアノメチル−2−アダマンタノールのアルコラート)1モルに対し1〜10モル、特に1〜5モルを使用するのが好ましい。
(反応条件及び反応手順)
前記反応は、第一原料と第二原料とを混合することにより好適に行なうことができる。このとき、反応条件の制御を容易にし、効率よく目的物を得るために反応は有機溶媒中で行なうのが好適である。有機溶媒としては公知のものが制限なく使用できるが、入手の容易さと目的物の取得量の多さの観点から、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が好適に使用できる。これらの中でもジエチルエーテル、ジn−ブチルエーテル及びテトラヒドロフランよるなる群から選ばれる少なくとも一種類を使用するのが好ましい。これら有機溶媒は、2種類以上混合して使用しても良い。有機溶媒の使用量は、特に制限はされないが、後処理の容易さ等から第一原料1質量部に対して1〜100質量部、特に2〜50質量部を使用するのが好ましい。
また、上記反応では、オリゴマー不純物の生成(副生)を抑制する目的で重合禁止剤を添加しても良い。重合禁止剤としては公知の重合禁止剤が制限なく使用できる。
前記反応を行なう際の操作手順は特に限定されず、例えば温度を制御しながら反応容器内に所定量の各反応物(reactant)、必要に応じて溶媒及び添加剤を導入し、攪拌することにより好適に行なうことができる。このとき各反応物の導入順序は特に限定されないが、2−シアノメチル−2−アダマンタノール化合物のアルコラートと重合性不飽和カルボン酸無水物を反応させる場合は、オリゴマー不純物等の副生成物の生成量を低減するために、有機溶媒と重合性不飽和カルボン酸無水物の混合物を反応器に仕込んだ後に2−シアノメチル−2−アダマンタノール化合物のアルコラートの有機溶媒の溶液を滴下するのが好適である。
前記反応の反応条件は反応系応じて適宜決定すればよいが、反応温度は、オリゴマー不純物等の副生成を抑制するという観点から、50℃以下、特に−10〜30℃とするのが好適である。このような温度範囲で反応させた場合、通常0.5時間〜24時間で十分な転化率を得ることができる。また、反応は、加圧下、減圧下、常圧下の何れの条件でも行なうことができるが、簡便性から常圧下で行なうのが好適である。なお、前記反応においては、反応液中に水が混在すると副反応が起き、好ましくないため、窒素、アルゴン等の不活性ガスで十分に置換した後、該不活性ガスを通気しながら反応を行なうのが好ましい。
(2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物)
このようにして反応を行なうことにより、反応生成物として下記式(4)で示される2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物が生成する。
Figure 0004810111
{式中、R、R、R及びRは、各々前記式(1)におけるものと同義であり、Rは置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基である。}
なお、前記式(4)における各種置換基は反応に使用する第一原料及び第二原料に応じて一義的に定まるものである。
前記式(4)で示される2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物の内、好適な化合物を具体的に例示すれば、2−シアノメチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−シアノメチル−1−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−1−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−シアノメチル−5−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−5−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−シアノメチル−1,5−ジメチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−1,5−ジメチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−シアノメチル−1,7−ジメチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−1,7−ジメチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−シアノメチル−1,5,7−トリメチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−1,5,7−トリメチル−2−アダマンチルメタクリレート等が挙げられ、この内特に、製造の容易さ等の点から2−シアノメチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−シアノメチル−5,7−ジメチル−2−アダマンチルアクリレート、2−シアノメチル−5,7−ジメチル−2−アダマンチルメタクリレートが好ましい。
(分離精製方法)
前記反応工程で得られた反応液から目的物の2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を分離する方法は特に限定されないが、例えば次のような方法により好適に分離することができる。
即ち、反応終了後、アルカリ水溶液を用いて余分な重合性不飽和カルボン酸無水物又は重合性不飽和カルボン酸ハライドを分解し、水洗、必要に応じて活性炭処理、シリカ処理、アルミナ処理等の吸着処理を行なった後に溶媒を除去して乾燥することにより分離するのが好適である。このようにして分離することにより、通常、目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物の含有量が50質量%以上であり、2−シアノメチル−2−アダマンタノール化合物を不純物として1質量%以上50質量%未満含み、更に場合によって微量のオリゴマー不純物を含む粗体を得ることができる。なお、上記水洗、吸着処理は溶媒の種類を変える溶媒交換後に行ってもよい。吸着処理を行なうことにより極微量含まれる着色成分を効率よく除去することができる。なお、目的物の純度はガスクロマトグラフィー(GC)による測定により確認することができ、オリゴマー不純物の量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により確認できる。
このようにして得られた粗体は、晶析(再結晶)、減圧蒸留、水蒸気蒸留、昇華精製等の公知の方法で、さらに精製を行なうことにより高純度な目的物を得ることができる。簡便且つ効率的に高純度の目的物を得ることができるという理由から、精製方法としては、晶析溶媒としてアルコールと水との混合溶媒を用いた晶析法を採用するのが好適である。晶析法はその操作の簡便性から汎用的な精製方法の一つとなっているが、目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物は、高極性から低極性にかけての広範囲の極性の有機溶媒に溶解するため、通常使用される有機溶媒を用いて晶析を行なった場合には取得量が少なくなる。これに対し、アルコールと水との混合溶液を晶析溶媒として使用した場合には高純度化された目的物を効率よく回収することができる。この時、晶析溶媒となる混合溶液におけるアルコールと水との混合比率(質量比)は特に制限はされないが、アルコール:水=1:0.01〜1:2、特に1:0.1〜1:1.5で使用するのが好ましい。
上記混合溶液で使用するアルコールとしては公知のものが制限なく使用できるが、入手の容易さ等から、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール及びシクロヘキサノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を使用するのが好適である。これらの中でも価格が安価であることと得られる目的物の純度の高さから、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールを使用するのが特に好ましい。
アルコール類の使用量は特に制限はされないが、回収効率の観点から反応工程で使用した第一原料(2−シアノメチル−2−アダマンタノール化合物のアルコラート)1質量部に対して0.25〜20質量部、特に0.5〜10質量部を使用するのが好ましい。また、水の使用量は、同様の理由から、反応工程で使用した第一原料(2−シアノメチル−2−アダマンタノール化合物のアルコラート)1質量部に対して0.01〜20質量部、特に0.1〜10質量部を使用するのが好ましい。
上記晶析溶媒を用いた晶析は、前記粗体或いは該粗体に吸着処理等の簡易的な精製処理を行なって得られた1次精製品(以下、粗体等ともいう)と晶析溶媒とを混合する、或いは粗体等と晶析溶媒の一成分とを混合して粗体を溶解せしめた後に晶析溶媒の残りの成分を添加する、又は粗体等と晶析溶媒の一成分とを混合して粗体を一度溶解、冷却して結晶を析出させた後に晶析溶媒の残りの成分を添加する、又は粗体等の溶液と晶析溶媒とを混合するといった方法により溶液から目的物の結晶を析出させることにより行なわれる。このとき、アルコールと水の添加方法は特に制限はされず、予め混合して使用しても、アルコールと水を別々に添加しても構わないが、場合によっては2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物が結晶化せずオイル状となる可能性があるため、先にアルコールを添加し、冷却して結晶を析出させた後に水を添加するのが、高収率且つ高純度で目的物が得られるため好ましい。この場合、水を添加する時間は特に制限はされないが、結晶析出が認められれば、いつ添加しても良い。
晶析を行なう際の温度は特に制限はされないが、取得される目的物が多いという理由から、20℃以下、特に10℃以下で行なうのが好ましく、晶析を行う時間も特に制限はないが、通常0.5〜24時間で高収率且つ高純度で目的物を取得することができる。例えば、粗体等にメタノールを加えた後に、10℃以下に冷却し結晶を析出させた後、1〜2時間ほど熟成させてから液温が10℃を超えないようにして水を加え、更に1〜2時間熟成することにより目的物結晶を析出させ、得られた結晶をろ過等により回収することにより純度が95質量%以上の2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
比較例1
500mlの四つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換し、通気した。次いで該フラスコ内にリチウムジイソプロピルアミド(Aldrich社製、濃度2.0mol/l)55ml(0.11mol、使用する2−アダマンタノンの1.1モル倍)およびテトラヒドロフラン90g(使用する2−アダマンタノンの6重量倍)を入れ、0℃に冷却した。5分攪拌後、アセトニトリル4.56g(0.11mol、使用する2−アダマンタノンの1.1モル倍)を、5℃を越えないように添加した。溶液は茶色の均一溶液から茶色のスラリー状となった。5分攪拌後、2−アダマンタノン15.0g(0.10mol)とテトラヒドロフラン45g(2−アダマンタノンの3質量倍)の混合溶液を、反応液が5℃を越えないように滴下した。30分熟成後、溶液は緑色の均一状態を呈していた。サンプリングを行い、GC分析を行なった結果、2−シアノメチル−2−アダマンタノール含有量はGC純度82%であり、原料の2−アダマンタノンが10%、2−シアノメチレンアダマンタンが8%含まれていた。
比較例2
500mlの四つ口フラスコ内を十分にアルゴンガスで置換し、通気した。次いで該フラスコ内にリチウム0.76g(0.11mol、使用する2−アダマンタノンの1.1モル倍)、テトラヒドロフラン20g(使用する2−アダマンタノンの1.33質量倍)、ヘプタン10g(使用する2−アダマンタノンの0.67質量倍)入れ、室温で攪拌した。5分後、ジイソプロピルアミン11.13g(0.11mol、使用する2−アダマンタノンの1.1モル倍)とスチレンモノマー5.73g(0.055mol、使用する2−アダマンタノンの0.55モル倍)との混合溶液を反応溶液の温度が30℃を越えないように滴下した。滴下終了後、反応溶液はオレンジ色の均一溶液であった。その後、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル4.56g(0.11mol、使用する2−アダマンタノンの1.1モル倍)を、5℃を越えないように添加した。溶液は茶色の均一溶液から茶色のスラリー状となった。5分攪拌後、2−アダマンタノン15.0g(0.10mol)とテトラヒドロフラン45g(2−アダマンタノンの3質量倍の)の混合溶液を、反応液が5℃を越えないように滴下した。30分熟成後、溶液は緑色の均一状態を呈していた。サンプリングを行い、GC分析を行なった結果、2−シアノメチル−2−アダマンタノール含有量はGC純度60%であり、原料の2−アダマンタノンが30%、2−アダマンタノールが2%、2−シアノメチレンアダマンタンが10%含まれていた。
比較例3
500mlの四つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換し、通気した。次いで該フラスコ内にテトラヒドロフラン90g、ジイソプロピルアミン11.13g(0.11mol)投入し、−10℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム(和光純薬工業株式会社製1.6mol/l)を68.75ml(0.11mol)を、反応溶液が−10℃を越えないように添加した。溶液は淡黄色の均一溶液であった。5分攪拌後、アセトニトリル4.56g(0.11mol)を、反応溶液が−10℃を越えないように添加した。添加終了後、反応溶液は白色スラリー状を呈していた。5分攪拌後、2−アダマンタノン15.0g(0.10mol)とテトラヒドロフラン45gの混合溶液を、反応液が−10℃を越えないように滴下した。30分熟成後、溶液は黄色の均一状態を呈していた。サンプリングを行い、GC分析を行なった結果、2−シアノメチル−2−アダマンタノール含有量はGC純度90%であり、原料の2−アダマンタノンが9%、2−シアノメチレンアダマンタンが1%含まれていた。
比較例4
500mlの四つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換し、通気した。次いで該フラスコ内にテトラヒドロフラン90gおよびジイソプロピルアミン11.13g(0.11mol)投入し、0℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム(和光純薬工業株式会社製1.6mol/l)68.75ml(0.11mol)を、反応溶液が5℃を越えないように添加した。溶液は淡黄色の均一溶液であった。次いで、該溶液に2−アダマンタノン15g(0.11mol)、アセトニトリル4.56g(0.11mol)、テトラヒドロフラン45gの混合溶液を反応温度が5℃を越えないように滴下した。4時間熟成後、溶液は黄色の均一状態を呈していた。サンプリングを行い、GC分析を行なった結果、2−シアノメチル−2−アダマンタノール含有量はGC純度90%であり、原料の2−アダマンタノンが7%、2−シアノメチレンアダマンタンが3%含まれていた。
実施例5
500mlの四つ口フラスコ(「釜1」とする)内を十分に窒素ガスで置換し、通気した。次いで該フラスコ内にテトラヒドロフラン90g及びジイソプロピルアミン11.13g(0.11mol)投入し、0℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム(和光純薬工業株式会社製1.6mol/l)68.75ml(0.11mol)を、反応溶液が5℃を越えないように添加した。溶液は淡黄色の均一溶液であった。別に用意した500ml四つ口フラスコ(「釜2」とする)内を十分に窒素ガスで置換し、通気した後、該フラスコに、2−アダマンタノン15g(0.11mol)、アセトニトリル4.56g(0.11mol)及びテトラヒドロフラン45gを導入し0℃で攪拌した。釜2へ釜1の有機金属化合物の溶液を反応温度が5℃を越えないように滴下した。2時間熟成後、溶液は黄色の均一状態を呈していた。サンプリングを行い、GC分析を行なった結果、2−シアノメチル−2−アダマンタノール含有量はGC純度98%であり、原料の2−アダマンタノンが1%、2−シアノメチレンアダマンタンが1%含まれていた。
比較例5
500mlの四つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換し、通気した。次いで該フラスコ内にメタクリル酸無水物(純度95質量%)を純分で19.5g(0.12mol、比較例4で使用した2−アダマンタノンの1.2モル倍)、テトラヒドロフランをメタクリル酸無水物と同量の19.5g加え攪拌し、0℃に冷却した。そこへ、実施例4で得られたリチウム2−シアノメチル−2−アダマンタノラートを含有する溶液を反応液が10℃を越えないように滴下した。1時間攪拌後、5%水酸化ナトリウム水溶液40gで2回洗浄し、有機層を減圧濃縮後、25gの粘稠体を得た。この粘稠体についてGC分析を行なった結果、該粘稠体は、目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレート67%、2−シアノメチル−2−アダマンタノール18%、2−アダマンタノン7%、2−シアノメチレンアダマンタン8%を含有していた。
比較例6
比較例5において、メタクリル酸無水物の代わりにアクリル酸無水物(純度95質量%)を15.8g(0.12mol)使用した以外は同様に反応を行なった。濃縮後、23gの粘稠体を得た。GC分析を行なった結果、該粘稠体は目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルアクリレート68%、2−シアノメチル−2−アダマンタノールを17%、2−アダマンタノンを7%、2−シアノメチレンアダマンタン8%を含有していた。
実施例8
500mlの四つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換し、通気した。次いで該フラスコ内にメタクリル酸無水物(純度95質量%)を純分で19.5g(0.12mol、実施例5で使用した2−アダマンタノンの1.2モル倍)及びテトラヒドロフラン19.5g加え攪拌し、0℃に冷却した。そこへ、実施例5で得られたリチウム2−シアノメチル−2−アダマンタノラートを含有する溶液を反応液が10℃を越えないように滴下した。1時間攪拌後、5%水酸化ナトリウム水溶液40gで2回洗浄し、有機層を減圧濃縮後、28gの粘稠体を得た。GC分析を行なった結果、該粘稠体は、目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレートの91%、2−シアノメチル−2−アダマンタノール6%、2−アダマンタノン1%、2−シアノメチレンアダマンタン2%を含有していた。
実施例9
実施例8において、メタクリル酸無水物の代わりにアクリル酸無水物(純度95質量%)を15.8g(0.12mol)使用した以外は同様に反応を行なった。濃縮後、24gの粘稠体を得た。GC分析を行なった結果、得られた粘稠体は、目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルアクリレート90%、2−シアノメチル−2−アダマンタノール7%、2−アダマンタノン1%、2−シアノメチレンアダマンタン2%を含有していた。
実施例10
実施例8において、メタクリル酸無水物の代わりにメタクリル酸クロライド12.5g(0.12mol)使用した以外は同様に反応を行なった。濃縮後、28gの粘稠体を得た。GC分析を行なった結果、得られた粘稠体は、目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレート91%、2−シアノメチル−2−アダマンタノール6%、2−アダマンタノン1%、2−シアノメチレンアダマンタン2%を含有していた。
実施例11
実施例9において、アクリル酸無水物の代わりにアクリル酸クロライドを10.9g(0.12mol)使用した以外は同様に反応を行なった。濃縮後、24gの粘稠体を得た。GC分析を行なった結果、得られた粘稠体は、目的物である2−シアノメチル−2−アダマンチルアクリレート90%、2−シアノメチル−2−アダマンタノール7%、2−アダマンタノン1%、2−シアノメチレンアダマンタン2%を含有していた。
実施例12
実施例8において得られた28gの粘稠体にヘプタンを45g、活性炭を1.5g加え、室温で1時間攪拌した。その後活性炭をろ別し、有機層を減圧濃縮し、イオン交換水45gで、pHが中性になるまで洗浄した。メタノールを実施例5で原料として使用した2−アダマンタノンの1.5質量倍の22.5g(2−シアノメチル−2−アダマンタノールのアルコキシド化合物換算で1.3重量倍)を加え、室温で攪拌し、均一な溶液とした後に、5℃まで冷却して結晶を析出させ、1時間熟成した。その後、イオン交換水を実施例5で原料として使用した2−アダマンタノンの0.5重量倍の7.5g(2−シアノメチル−2−アダマンタノールのアルコキシド化合物換算で0.4質量倍)を、10℃を超えないように滴下した。滴下後、5℃で1時間熟成、ろ過し、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレートの白色固体を20g(2−アダマンタノン換算の収率77%)で得た。得られた固体をGC及びGPCにより分析した結果、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレートの含有量はGC純度98%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.2質量%であった。
実施例13〜17
実施例12において、使用したアルコールと水の量を表1に変更した以外は同様に行なった。結果を表1に示す。溶媒の使用量は、実施例5で使用した2−アダマンタノンを基準として示す。
Figure 0004810111
実施例18
実施例10において得られた28gの粘稠体を実施例12と同様にして後処理、晶析を行い、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレートの白色固体を20.0g(2−アダマンタノン換算の収率77%)で得た。得られた固体をGC及びGPCにより分析した結果、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレートの含有量はGC純度98%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.2質量%であった。
実施例19〜23
実施例18において使用したアルコールと水の量を表2に変更した以外は同様に行なった。結果を表2に示す。溶媒の使用量は、実施例5で使用した2−アダマンタノンを基準として示す。
Figure 0004810111
参考例1
500mlの四つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換し、通気した。テトラヒドロフラン60g(使用する2−アダマンタノンの4重量倍)投入し、0℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(和光純薬工業株式会社製1.6mol/l)68.75ml(0.11mol、使用する2−アダマンタノンの1.1モル倍)を、反応溶液が5℃を越えないように添加した。溶液は淡黄色の均一溶液であった。5分攪拌後、アセトニトリル4.56g(0.11mol、使用する2−アダマンタノンの1.1モル倍)を反応溶液が5℃を越えないように添加した。添加後、反応溶液は白色スラリー状を呈していた。30分攪拌後、2−アダマンタノン15g(0.11mol)とテトラヒドロフラン45g(使用する2−アダマンタノンの3重量倍)の溶液を反応溶液が5℃を越えないように滴下した。滴下終了後反応溶液は、均一の黄色溶液であった。1時間熟成後、サンプリングを行い、GC分析を行なった結果、2−シアノメチル−2−アダマンタノール含有量はGC純度45%であり、原料の2−アダマンタノンが43%、2−シアノメチレンアダマンタンが2%含まれていた。
参考例2
実施例12において、晶析溶媒としてメタノールとイオン交換水の代わりに、オクタンを実施例5で使用した2−アダマンタノンの3質量倍の45g(2−シアノメチル−2−アダマンタノールのアルコキシド換算で2.6倍)を加え、室温で攪拌し、均一な溶液とした後に、5℃まで冷却して結晶を析出させ、1時間熟成した。その後ろ過し、5.8g(2−アダマンタノン換算の収率25%)で得た。得られた固体をGC及びGPCにより分析した結果、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレートの含有量はGC純度92%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.9質量%であった。

Claims (3)

  1. 下記式(1)
    Figure 0004810111
    (式中、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基であり、Aはアルカリ金属である。)
    で示されるアルコラート化合物を製造する方法であって、
    下記式(2)
    Figure 0004810111
    {式中、R、R、R及びRは夫々前記式(1)におけるものと同義である。}
    で示されるアダマンタノン化合物と、アセトニトリルと、下記式(3)
    Figure 0004810111
    (式中、R及びRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基であり、Aはアルカリ金属である。)
    で示される有機金属化合物とを、−50℃〜70℃の反応温度で、アセトニトリルと前記式(2)で示されるアダマンタノン化合物の溶液に、前記式(3)で示される有機金属化合物を添加することにより反応させる工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 下記式(4)
    Figure 0004810111
    {式中、R、R、R及びRは、各々前記式(1)におけるものと同義であり、Rは置換基を有していてもよい重合性不飽和炭化水素基である。}
    で示される2−シアノメチル−2−アダマンチルエステル化合物を製造する方法であって、請求項1に記載の方法により前記式(1)で示されるアルコラート化合物を得る工程、及び該工程で得られたアルコラート化合物と重合性不飽和カルボン酸無水物又は重合性不飽和カルボン酸ハライドとを反応させる工程を含むことを特徴とする方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、前記アルコラート化合物と重合性不飽和カルボン酸無水物又は重合性不飽和カルボン酸ハライドとの反応を、該重合性不飽和カルボン酸無水物又は該重合性不飽和カルボン酸ハライドを含む溶液に前記アルコラート化合物を添加することにより行なうことを特徴とする方法。
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