JP4358459B2 - エレベータ式立体駐車設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベータ式立体駐車設備に関する。さらに詳しくは、車両搬送用のエレベータの昇降路に沿って上下複数段に車両格納用のパレット収容棚が配設されたエレベータ式立体駐車設備に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、上下二台のエレベータを装備したエレベータ式立体駐車設備が知られている。これらの駐車設備は、たとえば特許第3011804号公報、特許第3011805号公報および特開平7−18902号公報に開示されている。
【0003】
特許第3011804号公報および特許第3011805号公報にそれぞれ開示された駐車設備は、車両を格納するための多数段のパレット収容棚(以下、単に棚ともいう)を上層部と下層部とに二分し、それらの間に入出庫口が配置されたものである。そして、エレベータは、上層部と入出庫口とにのみ昇降する上部搬器と、下層部と入出庫口とにのみ昇降する下部搬器とを備えている。したがって、収容車両が上層部または下層部の一方に偏ると、偏った側について搬器による処理が増える。その結果、上部搬器による入出庫準備作業と下部搬器による入出庫準備作業とを並行して実施させることによる入出庫待ち時間を短縮し得る回数が減少してしまうため、二台の搬器による効果が半減する。
【0004】
一方、特開平7−18902号公報に開示された駐車設備は、図8に示すように、車両M搭載用のパレット58を収容する多数段のパレット収容棚52の最下部が入出庫口Eとされたものであり、一昇降路53に配設された上下二台の搬器55、56が、駐車設備51の最上部から最下部の入出庫口Eまで昇降するものである。一般に搬器は後述の横送り装置を有し、また、パレットを搭載するため、その上下方向厚さは棚やパレットに比較して遙かに厚いものである。一方、各棚上の駐車空間は必要最小限にされている。かかる理由から、上部搬器55および下部搬器56の両者がともに最上の棚53に位置することはできず、上部搬器55のみが最上の棚53に位置することができる。一方、両搬器55、56はともに最下部の入出庫口Eに位置することができるようにされている。
【0005】
両搬器55、56のための駆動装置54はともに駐車設備51の最上部に配設されている。したがって、両駆動装置54によって搬器55、56を昇降させるワイヤ(またはチェーン)57は長いものとなるため、その分重量も増加する。そのため駆動装置54は出力が大きいものを使用する必要があり、さらに、巻き取り長さも多くなるので駆動装置全体の大型化が不可避となる。
【0006】
また、この駐車設備51では、二台の車両を同時に入庫させる場合には平均処理時間が短縮されるという効果が奏される。しかし、一台の車両のみを高層部のパレット収容棚に入出庫させる場合、すなわち、入出庫口から遠く離れたパレットを昇降させる場合には、現状より効率を向上させるためには搬器の昇降速度を増加する等の改善が必要となる。このためには駆動装置の大型化が不可避となる。
【0007】
また、この駐車設備では、最上段の棚およびその下の棚の入出庫については上部搬器にのみ頼らざるを得ないため、処理時間が最も長くなるこれらの棚に対しては搬器を二台にすることによる効果が得られない。さらに、前述のとおり搬器の厚さが厚いため、同一段における昇降路の両側の棚に対する入出庫、および、上下に隣接する棚に対する入出庫については、上部搬器と下部搬器上の車両との干渉があるため並行処理ができない。
【0008】
最近はビルの高層化とともにエレベータ式駐車設備が高層化して収容台数が140台等とする計画が出てきている。しかし、これら高層の駐車設備では前述のとおりワイヤ等が長くなることによる駆動装置の大型化はもとより、ワイヤ等の伸び量が増加することによるレベル調整の見直しも必要となる。
【0009】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、駆動装置の大型化やワイヤ等の長尺化を必要とすることなく、また、下部乗り入れ式、中間部乗り入れ式および上部乗り入れ式に拘わらず、一台の入出庫に対しても入出庫の待ち時間を短縮し、入出庫能力を向上させたエレベータ式立体駐車設備を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のエレベータは、
車両の入出庫口と、
車両搭載用のパレットを昇降させるための上部搬器および下部搬器と、
この両搬器が昇降する昇降路と、
この昇降路に沿って上下に離間して配設された複数段のパレット収容棚と、
昇降路の最上部に対応する位置に配設された、上部搬器を昇降させるための上部駆動装置と、
昇降路の中間部に対応する位置に配設された、下部搬器を昇降させるための下部駆動装置と、
各搬器と各パレット収容棚との間でパレットを受け渡しするための転載装置とを備えており、
上部搬器が、最上段のパレット収容棚に対応する位置と、下部駆動装置より下方であって昇降路の最下部より上方における一部のパレット収容棚に対応する位置との間を昇降可能に構成されており、上記両搬器のうち少なくとも一つが入出庫口に位置し得る車両入出用搬器とされている。
【0011】
かかる構成を採用したことにより、上部搬器および下部搬器をそれぞれ垂下するためのワイヤ等の垂下手段の長さが従来のそれの半分強で済む。すなわち、上部搬器のワイヤ等は、上部搬器を駐車設備の最上部と昇降路の中間部より下方との間を昇降させ得る長さでよい。一方、下部搬器のワイヤ等は、下部搬器を昇降路の中間部と昇降路の最下部との間を昇降させ得る長さでよい。したがって、ワイヤ等の伸びも従来のそれより小さくなり、レベル調整の問題が生じない。また、駆動装置の巻き上げドラム等も小さいもので済む。また、駆動装置が巻胴式の場合には巻き上げドラム等も小さいもので済む。さらに、ワイヤ等の重量減によって小さい出力の駆動装置を用いることが可能となる。
【0012】
また、後述するように、上部搬器および下部搬器がともに位置することができるパレット収容棚を両搬器同士のパレットの受け渡し用棚として利用することにより、車両を入出庫させるための処理動作時間を短縮することができる。
【0013】
そして、上記車両入出用搬器が上部搬器および下部搬器のうちのいずれか一の搬器であり、この車両入出用搬器にのみ上記車両入出用搬器にパレットと入出庫口の床面とを連絡する車路部材を配設するのが好ましい。こうすることにより、他方の搬器には車路部材を配設する必要がないので軽量化が可能となるからである。
【0014】
また、上部および下部の駆動装置がそれぞれ複数個の電動モータと各電動モータによって駆動される複数個の索条とを備えており、
一の電動モータによって駆動される各索条が搬器における二つの接続点それぞれに接続されており、一の電動モータによって駆動される索条の接続点同士を結ぶ仮想直線と他の電動モータによって駆動される索条の接続点同士を結ぶ仮想直線とが平面視における搬器の外形枠範囲内において交差するようにされてなるエレベータ式立体駐車設備が好ましい。
【0015】
なぜなら、搬器の駆動装置は複数個の電動モータに分離されているので、小型化されることにより駐車設備における配置の自由度が拡大するため、駐車設備内の空間を有効利用することができるからである。すなわち、下部搬器の下部駆動装置が上部搬器の昇降に干渉しない配置を容易に行うことができる。具体的には、従来の駐車設備のように駆動装置のために駐車空間と同等のスペースをとる機械室を設ける必要がない。さらに、各搬器は複数の索条の接続点を結ぶ仮想直線同士の交差点において昇降させられることになり、また、搬器が剛性を有するので複数の電動モータによる昇降動作は搬器において機械的に同期する。一般に電動モータはそれに加わる負荷が大きいほど回転数が低下し、加わる負荷が小さいほど回転数が上昇するからである。すなわち、一の駆動系による搬器の昇降速度が他の駆動系による昇降速度より速くなろうとしたとき、当該一の駆動系の負担重量が増加するので、この電動モータの回転数は低下する。逆に他の駆動系の電動モータの回転数は上昇する。その結果、昇降速度の相違が回避され、搬送部材は水平状態を維持することができる。
【0016】
このような駆動装置を以下のごとく構成すれば駆動装置の小型化が容易に達成されるので好ましい。すなわち、上部および下部の駆動装置のそれぞれが、第一電動モータによって回転される第一駆動シーブと、第二電動モータによって回転される第二駆動シーブと、単一のカウンターウエイトとを有しており、
その一端が搬器に接続された第一索条が第一駆動シーブに巻き掛けられており、
その一端が搬器に接続された第二索条が第二駆動シーブに巻き掛けられており、
第一索条の他端と第二索条の他端とが上記カウンターウエイトに接続されてなるものである。
【0017】
または、上記各駆動装置が、複数個の電動モータと、各電動モータによって駆動される複数個の索条と、これらの全索条が連結された単一のカウンターウエイトとを備えており、
上記各搬器が平面視でほぼ矩形に形成されており、
一の電動モータによって駆動される各索条が搬器における隣接二隅に位置する接続点にそれぞれ接続されており、他の電動モータによって駆動される各索条が搬器における他の隣接二隅に位置する接続点にそれぞれ接続されており、
上記カウンターウエイトは、全索条を介して搬器を引き上げる方向にその重力が作用するように連結されてなるエレベータ式立体駐車設備が好ましい。
【0018】
本駆動装置を備えた駐車設備では、駆動装置の同期は単一のカウンターウエイトによってとられるが、前述したと同様に駆動装置が複数個の電動モータに分離されていることにより、小型化され、駐車設備における配置の自由度が拡大する。その結果、駐車設備内の空間を有効利用することができる。
【0019】
各搬器の昇降およびその停止、並びに、各搬器と各パレット収容棚との間のパレット受け渡しを制御する制御装置が配設されており、
この制御装置が、上部搬器および下部搬器がともに位置することができるパレット収容棚を受け渡し用棚とし、一の車両入出用搬器が位置し得ないパレット収容棚に車両を入出させる場合、当該一の車両入出用搬器が受け渡し用棚と入出庫口との間にパレットを移動させ、他の搬器が当該受け渡し棚と他のパレット収容棚との間にパレットを移動させるように上部駆動装置および下部駆動装置を制御するように構成されてなるエレベータ式立体駐車設備が好ましい。
【0020】
かかる制御装置により、上記一の車両入出用搬器が位置し得る棚には当該車両入出用搬器が車両の出入を行う。一の車両入出用搬器が位置し得ない棚には、他の搬器が受け渡し棚を経由して入出庫予定の車両を一の車両入出用搬器に引き渡し、これを一の車両入出用搬器が入出庫させる。すなわち、上記他の搬器が出庫予定の車両を一の受け渡し棚へ移動させ、この受け渡し棚から当該車両を上記一の車両入出用搬器が入出庫口へ移動させて出庫させることができる。かかる処理動作により、搬器の必要移動距離が従来の駐車設備のそれに比較して平均的に短くなり、その結果、処理時間も短縮される。
【0021】
または、各搬器の昇降およびその停止、並びに、各搬器と各パレット収容棚との間のパレット受け渡しを制御する制御装置が配設されており、
この制御装置が、上部搬器および下部搬器がともに位置することができるパレット収容棚を受け渡し用棚とし、満車時に一の車両入出用搬器が位置し得ないパレット収容棚から車両を出庫させる場合、当該一の車両入出用搬器が第一の受け渡し用棚からパレットを引き出し保持し、ついで他の搬器が上記出庫させるべきパレット収容棚からパレットを第一の受け渡し用棚へ搬送し且つ第二の受け渡し用棚からパレットを引き出し保持し、ついで上記一の車両入出用搬器がその保持しているパレットを第二の受け渡し用棚へ搬送し且つ第一の受け渡し用棚からパレットを入出庫口へ搬送するように上部駆動装置および下部駆動装置を制御するように構成されてなるエレベータ式立体駐車設備が好ましい。
【0022】
一方の搬器が車両を棚に引き渡すときには他方の搬器がパレットの仮置き手段として利用されるのである。すなわち、一の車両入出用搬器が第一の受け渡し棚からパレットを引き出すことによってこの棚を空にし、他の搬器が出庫予定の車両をこの空の第一の棚に預け、第二の棚からパレットを引き出してこの棚を空にする。一の車両入出用搬器は持っているパレットを空の第二の棚に預け、第一の棚から出庫予定の車両を引き出して入出庫口へ搬送する。このように、たとえ満車であっても搬器をパレットの仮置き手段として用いることによってスムースに出庫させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照しながら本発明のエレベータ式立体駐車設備(以下、単に駐車設備という)の実施形態を説明する。
【0024】
図1は本発明の駐車設備の一実施形態を示す正面断面図である。
【0025】
図1に示す駐車設備1はエレベータ2によって車両を昇降させて収容、出庫させるものである。エレベータ2は、建物4内部の平面視中央部を昇降する車両搬送用のほぼ矩形の上部搬器5および下部搬器6と、この搬器5、6を昇降させる上部駆動装置(巻き上げ装置ともいう)7および下部駆動装置8とを備えている。そして、各駆動装置7、8はカウンターウエイト9を備えており、搬器5、6は索条としてのワイヤ(またはチェーン)10、20によってカウンターウエイト9に連結されている。各駆動装置7、8がそのモータ11、12を正逆回転してそれぞれの搬器5、6を昇降させる。この駐車設備1では最下部に車両の入出庫口Eが設置されている。しかし、本発明では入出庫口は最下部に限らず、中間部であっても最上部であってもよい。図1に示すように、入出庫口EにはターンテーブルTが配設されており、入庫してきた車両がパレットごと方向転換されて下部搬器6上に載る。ついで車両は下部搬器6によって上昇させられる。
【0026】
搬器5、6の昇降路13の両側にそれぞれ上下多数段の駐車空間3が配設されている。各駐車空間3には車両搭載用のパレット14(図1に一個のみ例示する)が載置されるパレット収容棚(以下、単に棚という)15が配設されている。搬器5、6は昇降することによって指定された棚15まで移動し、車両が搭載されたパレット14や空のパレット14を棚15との間で受け取りまたは引き渡す。すなわち、受け渡しの動作を行う。
【0027】
図1に示すように、最上部の棚15の駐車空間3の上部には上部駆動装置7が設置されており、前述した中央部より若干上方の棚15bの駐車空間3の上部に下部駆動装置8が設置されている。こうすることにより、上部搬器5は上層部の棚15を受け持ち、下部搬器6は下層部の棚15を受け持つ。本実施形態では、上層部とは最上段の棚から中央部より若干下方の棚15aまでをいい、下層部とは中央部より若干上方の棚15bから最下段の棚までをいう。また、下部搬器6のみが入出庫口Eに位置することができるようにされており、この下部搬器6が入出庫口Eにおいて車両を入出させうる車両入出用搬器とされている。このようにワイヤ10の長さが設定されている。上部搬器5と下部搬器6との担当範囲が上記棚15bと棚15aとの間の範囲でオーバーラップしている。このオーバーラップ部OLの範囲に位置する棚が受け渡し棚として指定される。受け渡し棚は、上部搬器5と下部搬器6とがパレットを受け渡すための仲介として利用される棚をいう。たとえば、下部搬器6が入出庫口Eにおいて車両を搭載したパレットを一の受け渡し棚に引き渡し、上部搬器5がこの受け渡し棚から当該パレットを搭載車両とともに受け取ってから上層部の棚に引き渡す。このような目的のために、受け渡し棚のうち少なくとも二箇所についてパレットを載置しない空棚の状態にしておくのが円滑性向上のためには好ましい。
【0028】
図2に示すように、搬器5、6には各棚15との間でパレット14を受け渡すための横送り装置16が配設されている。この横送り装置16はフォーク16aを有しており、このフォーク16aを搬器5、6から棚上のパレット14に向かって横方向に延ばし、パレット14を棚15から若干持ち上げたうえで搬器5、6の上まで持ってきて搬器5、6の上に載置するように構成されている。
【0029】
また、下部搬器6のワイヤ接続点17を上部搬器5の平面視で横外方に位置させることにより、下部搬器6のワイヤ20が上部搬器5と干渉することを回避している。また、下部搬器6には入出庫口Eにおいて車両が入出するため、その前後方向の一端にパレット14の床面とほぼ一致する上面を持つ車路部材18が配設されている。
【0030】
また、本駐車設備1には指定棚のパレットの呼び出し、各搬器5、6の昇降および停止、並びに、搬器5、6と棚15とのパレットの受け渡しを制御する制御装置19が配設されている。
【0031】
以上の構成により、従来の駐車設備における入出庫車の処理時間を短縮することが可能となる。以下にその例を説明する。
【0032】
図3および図4に示すのは、駐車設備1の最上段の一の棚から車両を出庫させるための搬器5、6の動作を示している。最上段の棚の車両を出庫させる動作は従来最も時間がかかる処理である。図8および図9には比較のために特開平7−18902号公報に示された従来の駐車設備51における最上段の一の棚の車両Mを出庫させる動作が示されている。本実施形態の駐車設備1と従来の駐車設備51とは、ともに搬器の昇降速度、パレットの横送り時間、旋回時間、扉の開閉時間は同一であるとして比較している。図3、4、8、9では、動作に関与しない棚および位置を示すのに利用されない棚はその図示を省略している。なお、上部搬器の動作順序は数字で示し、下部搬器の動作順序はアルファベットで示す。
【0033】
図3(a)において、上部搬器5は入出庫口Eに移動することができないので、オーバーラップ部OLの直上にパレットを有することなく待機しており、下部搬器6は受け渡し棚にあったパレットを保持した状態で入出庫口Eに待機している。これが通常の状態である。そして、制御装置19によって最上段の棚の車両Mの出庫が指示されると、上部搬器5が(1)上記待機位置から最上段まで上昇し、(2)当該パレットを車両Mとともに受け取り、(3)指定された受け渡し棚まで下降する。この指定された受け渡し棚はパレットが載置されていない棚(以下、空の棚という)である。以上の動作と並行して下部搬器6は(A)受け渡し棚のうちの他の空の棚まで上昇し、(B)この空の棚にパレットを引き渡し、(C)第二の待機位置、すなわち指定された上記受け渡し棚の直下に待機する。もちろん、下部搬器6がパレットを引き渡す棚は下層部における空の棚であればよく、とくに受け渡し棚に限定されない。以上は並行動作であり、上部搬器5の動作時間が下部搬器6の動作時間より長いので、上部搬器5の動作時間が必要時間となる。
【0034】
つぎに図3(b)において、上部搬器5は(4)車両をパレットごと指定された受け渡し棚に引き渡したのち、(5)当初の待機位置に上昇して待機する。ついで下部搬器6は(D)指定受け渡し棚に上昇し、(E)車両をパレットごと受け取り、(F)入出庫口Eまで下降する。従来の駐車設備と比較する上で車両が入出庫口Eにおいてターンテーブルで旋回したり扉を開閉する時間は共通するため、比較対象とはせずに削除した場合の所要時間は表1に示すように125秒となる。なお、かっこで囲んだ時間は並行動作を示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004358459
【0036】
図8を参照して、従来の駐車設備51において上記と同一目的の処理がなされる場合を説明する。二台の搬器55、56は、そのうちの上部搬器55が入庫車を受け入れる体勢でともに入出庫口Eに待機している。上部搬器55が(1)空の棚52まで上昇し、(2)パレット58をこの空の棚52に預け、(3)指定された最上段の棚52まで上昇し、(4)当該パレットを車両Mとともに受け取り、(5)入出庫口Eまで下降する。表2に示すごとく所要時間は130秒である。前述のとおり、車両が入出庫口Eにおいてターンテーブルで旋回したり扉を開閉する時間は上記実施形態と共通するため、比較対象とはせずに削除している。
【0037】
【表2】
Figure 0004358459
【0038】
つぎに図4を参照しつつ最上段の対向する二つの棚の車両を連続して出庫させる動作を説明する。両搬器5、6の待機位置は図3におけるものと同一である。
【0039】
図4(a)において上部搬器5は(1)待機位置から最上段まで上昇して(2)一方の棚からパレットを車両ごと受け取り、(3)指定された受け渡し棚まで下降する。この動作と並行して下部搬器6は(A)空の棚まで上昇して(B)持っているパレットを預け、(C)指定された受け渡し棚の直下の第二待機位置まで上昇して待機する。以上は並行動作であり、上部搬器5の動作時間が下部搬器6の動作時間より長いので、上部搬器5の動作時間が必要時間となる。
【0040】
つぎに図4(b)において、上部搬器5は(4)車両をパレットごと指定された受け渡し棚に引き渡したのち、(5)二台目の車両を受け取りに最上段まで上昇し(6)他方の棚からパレットを車両ごと受け取る。下部搬器6は(D)第二待機位置から指定された受け渡し棚に上昇し、(E)車両をパレットごと受け取り、(F)入出庫口Eまで下降して(G)車両を旋回させる。そして(H)扉を開いて(I)一台目の車両の出庫を完了させる。その後、(J)扉を閉める。この間に上部搬器5は(7)他の一台の車両を持って指定された受け渡し棚まで下降する。
【0041】
つぎに図4(c)において、上部搬器5は(8)車両をパレットごと指定された受け渡し棚に引き渡し、(9)当初の待機位置まで上昇して待機する。この間に下部搬器6は(K)入出庫口Eから空の受け渡し棚まで上昇して(L)この棚にパレットを引き渡す。
【0042】
図4(d)において、下部搬器6は(M)指定された上記受け渡し棚から出庫すべき車両をパレットごと受け取って(N)入出庫口まで下降し、(O)車両を旋回させる。そして(P)扉を開いて一台目の車両の出庫を完了する。二台目の車両の出庫を完了させる。二台の車両を出庫させるまでの全体の所要時間は表3に示すように267秒となる。なお、複数台の車両を連続して出庫させるので車両の旋回等の時間を含めている。なお、かっこで囲んだ時間は並行動作を示す。
【0043】
【表3】
Figure 0004358459
【0044】
図9を参照して、従来の駐車設備51において上記と同一目的の処理である最上段の二台の車両の出庫がなされる場合を説明する。
【0045】
図9(a)において、上部搬器55が(1)空の棚52まで上昇して(2)パレット58をこの空の棚52に預け、(3)指定された最上段の棚52まで上昇して(4)当該パレットを車両Mとともに受け取り、(5)入出庫口Eまで下降する。そして(6)車両Mを旋回させ、(7)扉を開いて(8)出庫させたのち(9)扉を閉めて一台目の車両の出庫を完了する。ついで図9(b)に示すごとく、上部搬器55が(10)最上段まで上昇して(11)パレット58を空の棚52に預け、(12)対向する棚から二台目の車両Mをパレットごと受け取り、(13)入出庫口Eまで下降して(14)車両を旋回させたのち(15)扉を開いて二台目の車両の出庫を完了する。表4に示すごとく全体の所要時間は322秒である。この場合も、上記実施形態における所要時間と比較するために車両の旋回や扉の開閉に要する時間を含めている。
【0046】
【表4】
Figure 0004358459
【0047】
上記本実施形態においても、上部の入出庫対象の棚と受け渡し棚との距離が近い場合には、搬器の必要昇降時間が短くなって下部搬器の動作待ちとなる。このような場合の時間を有効に使うために、オーバーラップ部OLを増加すること、すなわち受け渡し棚を増加することによって解決することが可能である。
【0048】
以上説明した駐車設備1では入出庫口Eを最下段に設置したが、本発明では多数段のうちのいずれに入出庫口Eを設置してもよい。オーバーラップ部OLのいずれかに入出庫口Eを設置してもよい。また、入出庫口Eが上層部に設置されるときには上部搬器5を車両入出用搬器とする。また、入出庫口Eがオーバーラップ部OLに設置されるときには上部搬器5および下部搬器6ともに車両入出用搬器としてもよい。
【0049】
さらに、オーバーラップ部OLやその近傍の中間層に入出庫口Eが設置されたときであって、たとえば下部搬器6のみ(上部搬器5のみ)を車両入出用搬器とした場合は、受け渡し棚を増加することによって解決することが可能である。
【0050】
以上の実施形態では、受け渡し棚を有効に利用するために受け渡し棚のうちの少なくとも二つにはパレットを載置しないのが好ましい。しかし、本発明ではかかる構成に限定されない。収容台数を増加するために、たとえば全棚にパレットを載置しておいてもよい。すなわち、処理時間よりも収容台数の増加を優先するのである。この場合でも上記駐車設備1では受け渡し棚を利用して良好に入出庫処理を行うことができる。
【0051】
図5に示すように、全棚に車両が収容されている満車状態において、上層部の最上段にある一の棚の車両を出庫させる場合を例に取って説明する。
【0052】
待機状態では、上部搬器5がオーバーラップ部OLの直上にパレットを保持しないで待機している。また、満車であるため、下部搬器6はパレットを保持しないで下層部の中間の一の段に待機している。そして、図5(a)に示すように、制御装置19に対して上層部にある一の棚の車両を出庫させる指示を出すと、制御装置19の指示によって(A)下部搬器6が一の受け渡し棚まで上昇して(B)当該受け渡し棚からパレットを車両とともに受け取ることにより当該棚を空にし、(C)当該棚の直下まで下降して待機する。この動作と並行して上部搬器5は(1)指定された出庫対象の最上段の棚まで上昇して(2)このパレットを車両とともに受け取り、(3)空にされた上記棚まで下降する。
【0053】
図5(b)に示すように、上部搬器5は(4)パレットを車両とともにこの空の受け渡し棚に引き渡し、ついで(5)この段の対向する受け渡し棚からパレットを車両とともに受け取ってこの棚を空にし、(6)最上段の棚まで上昇する。一方、待機していた下部搬器6は(D)この空の受け渡し棚まで上昇する。
【0054】
図5(c)に示すように、空の受け渡し棚まで上昇した下部搬器6は(E)保持していたパレットを車両とともに上記空の受け渡し棚に引き渡し、(F)出庫させる車両が乗った対向棚から当該車両とともにパレットを受け取り、(G)入出庫口Eに下降して出庫を完了させる。最上段まで上昇した上部搬器5は(7)パレットを車両とともに最上段の空の棚に引き渡す。
【0055】
このように、受け渡し棚を利用すれば、たとえ満車であっても搬器5、6をパレットの仮置き手段として用いることによってスムースに出庫させることができる。
【0056】
図6には上部搬器5および上部駆動装置7と下部搬器6および下部駆動装置8とが示されている。上部駆動装置7と下部駆動装置8とはそのワイヤの配索およびカウンターウエイト9の配置が線対称になっているが、その構成および作用はほぼ同一であるため、下部駆動装置8のみを説明する。
【0057】
下部搬器6の対向二隅に繋がれた二本の第一ワイヤ20aを第一電動モータ12aが操作し、他の対向二隅に繋がれた二本の第二ワイヤ20bを第二電動モータ12bが操作するものである。一般に、搬器はその平面視の図心から放射方向に重量分布はほぼ同一であるため、第一ワイヤ20aの下部搬器6への接続点(対角二隅の吊り点)同士を結ぶ仮想直線はほぼ搬器6の重心を通り、第二ワイヤ20bの搬器6への接続点同士を結ぶ仮想直線もほぼ搬器6の重心を通る。また、第一ワイヤ20aの吊り点間の中央に上記重心が位置し、第二ワイヤ20bの吊り点間の中央に上記重心が位置している。したがって、搬器6の重心は、両駆動系の搬器6への接続の共通の中心点である。したがって、第一の駆動系と第二の駆動系とはこの搬器6における第一ワイヤ20aの接続点同士を結ぶ仮想直線と第二ワイヤ20bの接続点同士を結ぶ仮想直線との交点において拘束(機械的に同期)されていることになる。
【0058】
二本の第一ワイヤ20aは複数の第一転向プーリ21aによってまとめられて第一駆動シーブ22aに巻き掛けられている。二本の第二ワイヤ20bは複数の第二転向プーリ21bによってまとめられて第二駆動シーブ22bに巻き掛けられている。そして、第一ワイヤ20aと第二ワイヤ20bとは他の第一および第二の転向プーリ21a、21bを経由して単一のカウンターウエイト9にまとめて取り付けられている。両ワイヤ20a、20bの端部はまとめてカウンターウエイト9の一個所に取り付けられているので、カウンターウエイト9が傾いても両ワイヤ20a、20bの端部のレベル(地上高さ)は相違しない。両ワイヤ20a、20bをカウンターウエイト9に取り付ける際に、ワイヤ20a、20bを緊張させた状態で搬器6が水平となるように調節すればよい。
【0059】
かかるエレベータ2では特別な制御装置によって両電動モータ12のモータの同期を取る必要がない。なぜなら、一般に電動モータはそれに加わる負荷が大きいほど回転数が低下し、加わる負荷が小さいほど回転数が上昇するからである。したがって、一点で機械的に拘束された上記二系統の駆動系では、両電動モータ12a、12bによる搬器の引き上げ速度(または下降速度)に差が生じようとしたとき、たとえば、第一電動モータ12aの引き上げ速度が第二電動モータ12bより速くなろうとしたとき、第二ワイヤ20bは負担重量が減るので搬器6と第二駆動シーブ22bとの間でたるもうとする。そうすると第二電動モータ12bの回転数が上昇しようとする。逆に、第一ワイヤ20aは負担重量が増えるので搬器6と第一駆動シーブ22aの間で張力が増加しようとする。そうすると第一電動モータ12aの回転数が低下しようとする。その結果、両電動モータ12a、12bの引き上げ速度(または下降速度)は同一となる。すなわち、両駆動系は自動的に同期し、搬器6は水平状態を維持する。かかるエレベータでは両電動モータ12a、12bの出力を同一にする必要はない。両者12a、12bの合計出力が搬器6を昇降するに足りるものであればよい。以上から設計製造の自由度が大幅に拡大する。
【0060】
搬器6を下降させるときには、カウンターウエイト9を引き上げる速度が相違しようとすると、カウンターウエイト引き上げ速度の早い方のワイヤが駆動シーブと搬器との間でたるもうとするので、上記と同じメカニズムによってカウンターウエイト9を引き上げる速度が自動的に同一になる。
【0061】
このように複数の駆動部(電動モータ)ごとに分離した駆動装置7、8を用いているので、それぞれが小型化され、駐車設備1において駆動装置の配置の自由度が拡大する。したがって、駐車設備1内の空間を有効利用することができる。具体的には、従来の駐車設備のように駆動装置のために駐車空間と同等のスペースをとる機械室を設ける必要がない。
【0062】
以上の駆動装置は二つの駆動系の拘束点が搬器6に存在するものであるが、カウンターウエイト側にこの拘束点を設けてもよい。
【0063】
図7にはかかる駆動装置27、28が示されている。上部駆動装置27と下部駆動装置28とはそのワイヤの配索およびカウンターウエイト9の配置が線対称になっているが、その構成および作用はほぼ同一であるため、下部駆動装置28のみを説明する。
【0064】
この駆動装置28は、搬器6の隣接二隅に繋がれた二本の第三ワイヤ23aを第三電動モータ24aが操作し、他の対向二隅に繋がれた二本の第四ワイヤ23bを第四電動モータ24bが操作するものである。したがって、各ワイヤ23a、23bはいずれも搬器6における各々二カ所の接続点同士を結ぶ二本の仮想直線が交差せず、エレベータ側では同期しない。両ワイヤ23a、23bが同期されてこそ搬器6を水平状態で昇降することができる。両ワイヤ23a、23bは単一のカウンターウエイト9において拘束(機械的に同期)されている。以下のごとくである。
【0065】
各電動モータ24a、24bは駆動シーブを有している。二本の第三ワイヤ23aは複数の第三転向プーリ25aによってまとめられ、第三駆動シーブ26aに巻き掛けられている。二本の第四ワイヤ23bは複数の第四転向プーリ25bによってまとめられ、第四駆動シーブ26bに巻き掛けられている。そして、第三ワイヤ23aと第四ワイヤ23bとは、他の第三および第四の転向プーリ25a、25bを経由して単一のカウンターウエイト9にまとめて取り付けられている。両ワイヤ23a、23bの端部はまとめてカウンターウエイト9の一個所に取り付けられているので、カウンターウエイト9が傾いても両ワイヤ23a、23bの端部のレベルは相違しない。また、とくに両ワイヤの端部はまとめて一個所に取り付けなくても、両ワイヤの端部のレベルが相違しないようにしておけばよい。たとえば、カウンターウエイト9は鉛直のガイドレール9a等によって左右に傾かずに鉛直に昇降するようにしておく。要するに、カウンターウエイト9の変位を原因としては両ワイヤのカウンターウエイト側のレベル(高さ位置)が相違しないようにしておけばよい。そして、両ワイヤ23a、23bをカウンターウエイト9に取り付ける際に、ワイヤ23a、23bを緊張させた状態で搬器6が水平となるように調節しておく。
【0066】
単一のカウンターウエイト9における一点で機械的に拘束された上記二系統の駆動系では、両電動モータ24a、24bによる搬器の引き上げ速度に差が生じようとしたとき、たとえば、第三電動モータ24aの引き上げ速度が第四電動モータ24bより速くなろうとしたとき、第三ワイヤ23aは第三駆動シーブ26aとカウンターウエイト9との間でたるもうとする。そうすると第三電動モータ24aは搬器の引き上げに対するカウンターウエイト9の重量の助けが無くなるので負荷が増大し、第三電動モータ24aの回転数が低下しようとする。したがって、第三駆動シーブ26aとカウンターウエイト9との間における第三ワイヤ23aのたるみが無くなり、両電動モータ24a、24bの引き上げ速度は同一となる。すなわち、両駆動系は自動的に同期する。この駆動装置27においても両電動モータ24a、24bの出力を同一にする必要はない。両者24a、24bの合計出力が搬器6を昇降するに足りるものであればよい。以上から設計製造の自由度が大幅に拡大する。
【0067】
搬器6を下降させるときには、カウンターウエイト9を引き上げる速度が相違しようとすると、引き上げ速度の遅い方のワイヤが駆動シーブとカウンターウエイト9との間でたるもうとするので、上記と同じメカニズムによってカウンターウエイト9を引き上げる速度が自動的に同一になる(同期する)。その結果、搬器6は水平状態を維持する。
【0068】
上記実施形態における駆動シーブに代えて巻き上げドラムを用いてもよい。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、上部搬器および下部搬器をそれぞれ垂下するためのワイヤ等の垂下手段の長さが従来のそれの半分強で済む。したがって、ワイヤ等の伸びも従来のそれより小さくなり、レベル調整の問題が生じない。また、駆動装置の巻き上げドラム等も小さいもので済む。さらに、ワイヤ等の重量減によって小さい出力の駆動装置を用いることが可能となる。
【0070】
また、上部搬器および下部搬器がともに位置することができるパレット収容棚を両搬器同士のパレットの受け渡し用棚として利用することにより、車両を入出庫させるための処理動作時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の駐車設備の一実施形態を示す正面断面図である。
【図2】図1の駐車設備における上部搬器および下部搬器の一例を示す斜視図である。
【図3】図3(a)および図3(b)は図1の駐車設備における搬器の動作順序の一例を示す正面断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(d)は図1の駐車設備における搬器の動作順序の他の例を示す正面断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は図1の駐車設備における搬器の動作順序のさらに他の例を示す正面断面図である。
【図6】図1の駐車設備における上部搬器および上部駆動装置、並びに、下部搬器および下部駆動装置の一例を示す斜視図である。
【図7】図1の駐車設備における上部搬器および上部駆動装置、並びに、下部搬器および下部駆動装置の他の例を示す斜視図である。
【図8】従来の駐車設備における搬器の動作順序の一例を示す斜視図である。
【図9】図9(a)および図9(b)は従来の駐車設備における搬器の動作順序の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・・駐車設備
2・・・・エレベータ
3・・・・駐車空間
4・・・・建物
5・・・・上部搬器
6・・・・下部搬器
7・・・・上部駆動装置
8・・・・下部駆動装置
9・・・・カウンターウエイト
9a・・・ガイドレール
10・・・・(上部駆動装置の)ワイヤ
11・・・・(上部駆動装置の)電動モータ
12・・・・(下部駆動装置の)電動モータ
12a・・・第一電動モータ
12b・・・第二電動モータ
13・・・・昇降路
14・・・・パレット
15・・・・パレット収容棚
16・・・・横送り装置
16a・・・フォーク
17・・・・ワイヤ接続点
18・・・・車路部材
19・・・・制御装置
20・・・・(下部駆動装置の)ワイヤ
20a・・・第一ワイヤ
20b・・・第二ワイヤ
21a・・・第一転向プーリ
21b・・・第二転向プーリ
22a・・・第一駆動シーブ
22b・・・第二駆動シーブ
23a・・・第三ワイヤ
23b・・・第四ワイヤ
24a・・・第三電動モータ
24b・・・第四電動モータ
25a・・・第三転向プーリ
25b・・・第四転向プーリ
26a・・・第三駆動シーブ
26b・・・第四駆動シーブ
27・・・・上部駆動装置
28・・・・下部駆動装置
OL・・・・オーバーラップ部
E・・・・入出庫口

Claims (7)

  1. 車両の入出庫口と、
    車両搭載用のパレットを昇降させるための上部搬器および下部搬器と、
    該両搬器が昇降する昇降路と、
    該昇降路に沿って上下に離間して配設された複数段のパレット収容棚と、
    昇降路の最上部に対応する位置に配設された、上部搬器を昇降させるための上部駆動装置と、
    昇降路の中間部に対応する位置に配設された、下部搬器を昇降させるための下部駆動装置と、
    各搬器と各パレット収容棚との間でパレットを受け渡しするための転載装置とを備えており、
    上部搬器が、最上段のパレット収容棚に対応する位置と、下部駆動装置より下方であって昇降路の最下部より上方における一部のパレット収容棚に対応する位置との間を昇降可能に構成されており、上記下部駆動装置の位置より下方に、上部搬器および下部搬器がともに位置することができるパレット収容棚が存在するオーバーラップ部が設けられており、上記両搬器のうち少なくとも一つが入出庫口に位置し得る車両入出用搬器とされてなるエレベータ式立体駐車設備。
  2. 上記車両入出用搬器が上部搬器および下部搬器のうちのいずれか一の搬器であり、この車両入出用搬器にのみパレットと入出庫口の床面とを連絡する車路部材が配設されてなる請求項1記載のエレベータ式立体駐車設備。
  3. 各駆動装置が、複数個の電動モータと、各電動モータによって駆動される複数個の索条とを備えており、
    一の電動モータによって駆動される各索条が搬器における二つの接続点それぞれに接続されており、一の電動モータによって駆動される索条の接続点同士を結ぶ仮想直線と他の電動モータによって駆動される索条の接続点同士を結ぶ仮想直線とが平面視における搬器の外形枠範囲内において交差するようにされてなる請求項1記載のエレベータ式立体駐車設備。
  4. 各駆動装置が、第一電動モータによって回転される第一駆動シーブと、第二電動モータによって回転される第二駆動シーブと、単一のカウンターウエイトとを有しており、
    その一端が搬器に接続された第一索条が第一駆動シーブに巻き掛けられており、
    その一端が搬器に接続された第二索条が第二駆動シーブに巻き掛けられており、
    第一索条の他端と第二索条の他端とが上記カウンターウエイトに接続されてなる請求項3記載のエレベータ。
  5. 各駆動装置が、複数個の電動モータと、各電動モータによって駆動される複数個の索条と、これらの全索条が連結された単一のカウンターウエイトとを備えており、
    上記各搬器が平面視でほぼ矩形に形成されており、
    一の電動モータによって駆動される各索条が搬器における隣接二隅に位置する接続点にそれぞれ接続されており、他の電動モータによって駆動される各索条が搬器における他の隣接二隅に位置する接続点にそれぞれ接続されており、
    上記カウンターウエイトは、全索条を介して搬器を引き上げる方向にその重力が作用するように連結されてなる請求項1記載のエレベータ式立体駐車設備。
  6. 各搬器の昇降およびその停止、並びに、各搬器と各パレット収容棚との間のパレット受け渡しを制御する制御装置が配設されており、
    該制御装置が、上部搬器および下部搬器がともに位置することができるパレット収容棚を受け渡し用棚とし、一の車両入出用搬器が位置し得ないパレット収容棚に車両を入出させる場合、当該一の車両入出用搬器が受け渡し用棚と入出庫口との間にパレットを移動させ、他の搬器が当該受け渡し棚と他のパレット収容棚との間にパレットを移動させるように上部駆動装置および下部駆動装置を制御するように構成されてなる請求項1記載のエレベータ式立体駐車設備。
  7. 各搬器の昇降およびその停止、並びに、各搬器と各パレット収容棚との間のパレット受け渡しを制御する制御装置が配設されており、
    該制御装置が、上部搬器および下部搬器がともに位置することができるパレット収容棚を受け渡し用棚とし、満車時に一の車両入出用搬器が位置し得ないパレット収容棚から車両を出庫させる場合、当該一の車両入出用搬器が第一の受け渡し用棚からパレットを引き出して保持し、ついで他の搬器が上記出庫させるべきパレット収容棚からパレットを第一の受け渡し用棚へ搬送し且つ第二の受け渡し用棚からパレットを引き出して保持し、ついで上記一の車両入出用搬器がその保持しているパレットを第二の受け渡し用棚へ搬送し且つ第一の受け渡し用棚からパレットを入出庫口へ搬送するように上部駆動装置および下部駆動装置を制御するように構成されてなる請求項1記載のエレベータ式立体駐車設備。
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