JP4355861B2 - レンズ系及びそれを用いたプロジェクタ装置 - Google Patents

レンズ系及びそれを用いたプロジェクタ装置 Download PDF

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Description

本発明は、主にDMDなどの光の反射方向を変えて画像を形成するライトバルブからの画像をスクリーンその他に拡大投射するレンズ口径が小さいレンズ系に関するものである。
近年、微小なマイクロミラー(鏡面素子)を画素に対応させて平面上に並べ、マイクロマシン技術を用いて、それぞれの鏡面の角度を機械的に制御することによって画像を表示するDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が実用化されており、この分野で従来から広く用いられてきた液晶パネルより応答速度が速く、明るい画像が得られるという特徴が、小型で高輝度、高画質であり携帯可能としたプロジェクタ装置を実現するのに適していることから、急速に普及してきている。
プロジェクタ装置においてライトバルブとしてDMDを用いる場合、同時に使用する投射レンズに対してはDMD特有の制約が発生する。第1の制約は小型のプロジェクタ装置を開発する上で最大の制約とも考えられる投射レンズのF値に関するものである。現在、DMDにおいて、画像を生成する際にマイクロミラーのON及びOFFを表現するために旋回する角度は±12°であり、これにより有効な反射光(有効光)と無効な反射光(無効光)とを切り替えている。従って、DMDをライトバルブとしたプロジェクタ装置においては有効光をとらえる必要があると共に無効光を捉えないことが条件となり、この条件から投射レンズのF値を導くことが出来、すなわちF=2.4となる。実際にはさらに少しでも光量を取り込みたいという要望があるため、実害のない範囲でのコントラストの低下などに配慮した上で更なる小さなF値を要求されることも多い。第2の制約は光源系との配置に関するものである。小型化の為には投射レンズのイメージサークルはなるべく小さくしたい為に、DMDに投射用の光束を入力する光源系の配置は限られてしまう。前述のDMDからの有効光を投射レンズに入力するには、光源系を投射レンズとほぼ同じ方向(隣り合わせ)に設置することとなる。また投射レンズの最もライトバルブ側レンズとライトバルブとの間(すなわち一般的にはバックフォーカス)を投射系と光源系との両光学系で使用することになり、投射レンズには大きなバックフォーカスを設けなければならないと同時に、光源からの導光スペースを確保するために、ライトバルブ側のレンズ系を小さく設計する必要が生ずる。このことは投射レンズの光学設計の立場から考えると、投射レンズの後方付近にライトバルブ側の瞳位置が来るように設計するという制約となる。その一方で、投射レンズの性能を向上するためには、多数のレンズを組み合わせる必要があり、多数枚のレンズを配置すると投射レンズの全長は有る程度の長さが必要となり、投射レンズの全長が長くなれば、入射瞳位置が後方にあるレンズでは当然のことながら前方のレンズ径が大きくなってしまうという小型化とは相反する問題となる。
この様に、開発を行う上の大きな制約はあるものの、ライトバルブとしてDMDを採用するプロジェクタ装置は、小型化の上で他の方式よりも有利とされており、現在ではプレゼンテーションを行う際に便利なデータプロジェクタを中心として、携帯可能なコンパクトなものが広く普及してきている。また装置自体をコンパクトに構成するためには、当然のことながら使用される投射レンズに関しても、コンパクト化の要望は非常に強いことはもちろんのこと、相反する要望としてDMDの中心と投射レンズの光軸をずらした、いわゆるシフト構成を採用するためにイメージサークルが大きいもの、また投射時の画角の大きいものが要求されるようになってきた。このような仕様で開発された投射レンズは当然のごとく特に前群レンズの口径が要望よりどうしても大きくなり、プロジェクタ装置の厚さ寸法に大きな影響を及ぼすことになる。その一方、携帯可能であることを前提としたプロジェクタ装置において厚さ寸法を小さくすることは重要で、ノート型パーソナルコンピュータなどと共に持ち歩くことの多い使われ方をするプロジェクタ装置では、最も重要な要素であると言っても過言ではない。この問題を解決する手段として、例えば特開2003−121736号公報(特許文献1)に開示されているような投射レンズの有効径の小型化設計方法の一例があるものの、この例によれば有効径として最大のレンズは最も拡大側のもので、およそ32mm程度と考えられ、その点では薄型のプロジェクタを開発することはほぼ可能であるが、バックフォーカスが小さいことと、画角が53°程度しかないため、現在一般的に要求される投射レンズとしての要望を満たした上での薄型化を実現することが出来ない。
特開2003−121736号公報
本発明は、前述した事情に鑑み、DMDなどの光の反射方向を変えて画像を形成するライトバルブの特性に適しており、ライトバルブからの画像をスクリーン上或いはその他の壁面等に拡大投射する用途において結像性能が高く、さらにレンズ口径が小さいレンズ系を実現し、コンパクトで明るく、小さな会議室等の限られたスペースでも大きな画面を投射可能な高画質で携帯に便利な薄型のプロジェクタ装置を提供することを目的としている。
本発明のレンズ系は、拡大側から順に、全体で略アフォーカル光学系を構成する第1レンズ群及び全体で正の屈折力を有する第2レンズ群から構成され、前記第1レンズ群は、拡大側から順に全体で負の屈折力を有する第1aレンズ群及び全体で正の屈折力を有する第1bレンズ群を配して構成され、前記第2レンズ群は、拡大側から順に全体で負の屈折力を有する第2aレンズ群及び全体で正の屈折力を有する第2bレンズ群を配して構成され、前記第1レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(1)を満足しており、前記第1レンズ群に設定されるアフォーカル倍率に関して下記条件式(2)を満足しており、前記第1aレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(3)を満足しており、前記第2aレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(4)を満足しており、前記第2bレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(5)を満足しており、前記第1レンズ群の光軸上の厚さ寸法に関して下記条件式(6)を満足しており、また、前記第1aレンズ群は、拡大側から順に、正の屈折力を有するレンズ(以下正レンズ)、拡大側に凸のメニスカス形状で負の屈折力を有するレンズ(以下負レンズ)及び負レンズの3枚を配して構成され、前記第1aレンズ群で拡大側より2番目に配置されるレンズの縮小側面の形状に関して下記条件式(7)を満足しており、また前記第1aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の屈折率に関して下記条件式(8)を満足していることを特徴とする。(請求項1)
(1) −0.5 ≦ f/fI ≦ −0.24
(2) 0.3 ≦ hIE/hIX ≦ 0.5
(3) −1.5 ≦ f/fIa ≦ −1.06
(4) −0.09 ≦ f/fIIa < 0
(5) 0.15 ≦ f/fIIb ≦ 0.57
(6) 1.6 ≦ TI/f ≦ 2.31
(7) 0.6 ≦ RIa4/f ≦ 1.1
(8) 1.65 ≦ NIa
ただし、
f :レンズ全系の合成焦点距離
I :第1レンズ群の合成焦点距離
IE :第1レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面への入射近軸光線高さ
IX :第1レンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面からの射出近軸光線高さ
Ia :第1レンズ群を構成する第1aレンズ群の合成焦点距離
IIa :第2レンズ群を構成する第2aレンズ群の合成焦点距離
IIb :第2レンズ群を構成する第2bレンズ群の合成焦点距離
I :第1レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面と第1レンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の光軸上の距離
Ia4 :第1aレンズ群で拡大側より2番目に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
Ia :第1aレンズ群を構成するレンズのd線に対する屈折率の平均値
条件式(1)は、全体で略アフォーカル光学系を構成する第1レンズ群へのパワーの適切な配分を規定するものである。上限を超えると第1レンズ群の正のパワーが過大となりバックフォーカスが短くなる。下限を超えると第1レンズ群の負のパワーが過大となり、後群の負担が増大し諸収差が悪化する。また条件式(2)では、同じ第1レンズ群のワイドコンバータとしての作用である倍率を規定しており、上限を超えると倍率が高くなりすぎて前群の収差負担が過大となり性能が劣化してしまい、下限を超えると倍率が低下して広角化に不利となる。条件式(3)は、ワイドコンバータを構成する第1レンズ群にあって発散系にあたる第1aレンズ群に設定される負のパワーに関するものである。上限を超えると負のパワーが弱くなりコンバータ系全体の焦点距離が大きくなり大型化する。下限を超えると負のパワーが過大となり小型化には有利だが収差補正には不利となる。条件式(4)、条件式(5)は第2レンズ群のパワー配置に関するものである。後群となる第2レンズ群は全系としては正のパワーを有するが、拡大側に位置する第2aレンズ群は全体で負のパワー、縮小側に位置する第2bレンズ群は集光系のため全体で正のパワーとして構成されていることを特徴とする。条件式(4)は第2aレンズ群の負パワーを規定するもので、上限を超えると、負パワーが小さくなりバックフォーカスが短くなる。逆に下限を超えると負パワーが過大となり大型化すると共に過大なパワーにより諸収差が増大する。続く条件式(5)は、第2bレンズ群の正パワーを規定するもので条件式(4)と共にレンズ全系の適切な大きさ、性能を得るためのものである。上限を超えると、正パワーが過大となり性能低下及びバックフォーカスが短くなる。下限を超えると、正パワーが小さくなり大型化する。条件式(6)は、第1レンズ群の光軸方向の厚さを規定するものである。アフォーカルコンバータとして機能している第1レンズ群は、そのアフォーカル倍率にも関係するが諸収差補正に関してある程度の軸上厚さを必要とする。上限を超える場合、性能的は有利となるが大型化してしまい、下限を超えると、小型化には有利だが第1aレンズ群、第1bレンズ群のそれぞれのパワーが過大となり諸収差が増大してしまう。
条件式(7)は、前記第1aレンズ群で拡大側より2番目に配置されるレンズの縮小側の形状に関するもので、負パワーのレンズ群において負レンズとして最も拡大側に配置されているために重要な役割を担っている。すなわち強いパワーを持たせながら、拡大側の光束に対し概ね同心的形状とし、根本的に収差の発生を抑えた形状としているのである。したがって下限を超えると、球面収差、コマ収差が補正過剰となり、上限を超えると逆に補正不足となる。条件式(8)は、特に強い負パワーを有する第1aレンズ群の屈折率の特徴に関するものである。強い負パワーを獲得することによる曲率の強さを軽減する為、なるべく高い屈折率であることが必須で、条件式において下限を超えると曲率が過大となることによって球面収差、コマ収差が過大となり、またペッツバール和も小さくなりすぎてしまい、良好な性能を得ることができない。
また、前記第1bレンズ群は、拡大側から順に、負レンズ、正レンズ、負レンズ及び縮小側に凸のメニスカス形状の正レンズの計4枚のレンズを配して構成されるか又は、拡大側から順に、負レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズ及び縮小側に凸のメニスカス形状の正レンズ又は縮小側に凸のメニスカス形状の負レンズの計5枚のレンズを配して構成され、最も縮小側に配置されるレンズに関して縮小側面の形状が下記条件式(9)を満足しており、前記第1bレンズ群を構成するレンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(10)を満足しており、前記第1bレンズ群を構成する各負レンズに使用される硝材の屈折率に関して下記条件式(11)を満足していることが好ましい。(請求項
(9) −2.8 ≦ RIbL/f ≦ −1.0
(10) VIbP−VIbN ≦ −5
(11) 1.58 ≦ NIbN
ただし、
IbL :第1bレンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
IbP :第1bレンズ群を構成する正レンズのアッベ数の平均値
IbN :第1bレンズ群を構成する負レンズのアッベ数の平均値
IbN :第1bレンズ群を構成する負レンズのd線に対する屈折率の平均値
条件式(9)は、第1bレンズ群の最も縮小側に配置されるレンズの形状に関するもので、第1aレンズ群からの発散光束を諸収差の発生を少なく維持しつつ後方に伝達する役割を担っている。上限を超えると第1bレンズ群による大きな負の歪曲収差の補正が不十分となり、下限を超えると歪曲収差の補正は有利だがメニスカス形状が強すぎて高次の球面収差及びコマ収差が発生する。条件式(10)は、第1bレンズ群の色消しに関するもので、硝材の適切なアッベ数の組合せを規定するものである。下限を超えると色収差が補正困難となる。条件式(11)は、像面湾曲及び球面収差及びコマ収差補正の制約条件になっている。ペッツバール和が負になり易いため、負レンズの屈折率を高くして補正するのが良く、合わせて高い屈折率により曲率半径を大きくして球面収差及びコマ収差も補正することを目的としている。そのため下限を超えると像面湾曲が補正困難となる。
また、前記第2aレンズ群は、拡大側から順に、正レンズ、正レンズ及び負レンズの3枚を配して構成され、前記第2aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の屈折率と分散特性に関して各々下記条件式(12)、(13)を満足しており、前記第2aレンズ群の最も縮小側に配置される負レンズに設定されるパワーに関して下記条件式(14)を満足し、前記第2aレンズ群の最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の形状と拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(15)を満足していることが好ましい。(請求項
(12) 0.15 ≦ NIIaN−NIIaP
(13) 10 ≦ VIIaP−VIIaN
(14) −1.5 ≦ f/fIIaN ≦ −0.4
(15) −0.75 ≦ RIIa2/RIIa3 ≦ −0.1
ただし、
IIaN:第2aレンズ群を構成する負レンズのd線に対する屈折率の平均値
IIaP:第2aレンズ群を構成する正レンズのd線に対する屈折率の平均値
IIaP:第2aレンズ群を構成する正レンズのアッベ数の平均値
IIaN:第2aレンズ群を構成する負レンズのアッベ数の平均値
IIaN:第2aレンズ群を構成する最も縮小側に配置されるレンズの焦点距離
IIa2:第2aレンズ群を構成する最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
IIa3:第2aレンズ群で拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
条件式(12)は、像面湾曲補正条件であり第2aレンズ群の強い負のパワーによる像面湾曲を補正する。すなわち負レンズには屈折率の高い材料を、正レンズには屈折率の低い材料を使用してペッツバール和が過小にならないようにするのが良い。下限を超えるとペッツバール和が過小になり像面湾曲が悪化する。条件式(13)は、第2aレンズ群の色収差補正条件である。上限を超えるとアッベ数が接近して色収差補正効果が不足する。条件式(14)も条件式(13)と共に第2aレンズ群の色収差補正条件である。色収差補正は公知のように適切なアッベ数とパワーの組合せで可能となるため、条件式(14)ではそのパワーを規定する。上限、下限を超えるとどちらも第2aレンズ群での色消しパワーが不適切になり色収差は悪化してしまう。条件式(15)は、第2aレンズ群内での球面収差及びコマ収差補正に関係する。条件式(15)により制約される範囲内で、第2aレンズ群群内の凸レンズの形状を設計することで補正が可能となる。下限を超えると球面収差がオーバーとなり、軸外光束に対するコマ収差も悪化する。上限を超えると球面収差がアンダーとなりすぎてしまう。
また、前記第2bレンズ群は、拡大側から順に、正レンズ、負レンズ及び正レンズの計3枚のレンズを配して構成され、前記第2bレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の屈折率、分散特性に関して各々下記条件式(16)、(17)を満足しており、前記第2bレンズ群の拡大側より2番目に配置されるレンズに設定されるパワーに関して下記条件式(18)を満足し、前記第2aレンズ群の最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状と縮小側面の形状に関して下記条件式(19)を満足していることが好ましい。(請求項
(16) 0.15 ≦ NIIbN−NIIbP
(17) 0 ≦ VIIbP−VIIbN
(18) −1.0 ≦ f/fIIb2 ≦ −0.2
(19) −2.0 ≦ RIIb1/RIIb2 ≦ −0.3
ただし、
IIbN:第2bレンズ群を構成する負レンズのd線に対する屈折率の平均値
IIbP:第2bレンズ群を構成する正レンズのd線に対する屈折率の平均値
IIbP:第2bレンズ群を構成する正レンズのアッベ数の平均値
IIbN:第2bレンズ群を構成する負レンズのアッベ数の平均値
IIb2:第2bレンズ群を構成する拡大側より2番目のレンズの焦点距離
IIb1:第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
IIb2:第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
条件式(16)は、第2レンズ群を構成し、大きな正パワーを有する第2bレンズ群を構成するレンズ要素の硝材の屈折率に関するものである。正、負のレンズ要素に屈折率差を与え、発生する色収差を最小に維持しつつ接合面では球面収差の補正能力を活用し、また像面湾曲補正の効果をも期待するものである。条件式(16)において下限を超えると、像面湾曲補正過剰および球面収差補正不足に陥る。条件式(17)は、第2bレンズ群における色補正条件であるが、同時に単色収差を補正するには、各レンズのパワーが過大とならないことが必要で、そのためには条件式(17)を満たす正レンズ、負レンズのアッベ数であることが必要な条件となる。下限を超えると、色収差の補正が困難となる。条件式(18)も同様に第2bレンズ群の色収差補正条件である。上限、下限を超えるとどちらも第2bレンズ群での色消しパワーが不適切になり色収差は悪化してしまう。条件式(19)は第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの形状的な制約条件であり、球面収差及びコマ収差補正に関係する。上限を超えると球面収差が大きくアンダーとなり、下限を超えると周辺光束でのコマフレアーの発生が著しい。
また、レンズ全系の焦点調節の方法として投射レンズ全体を光軸方向に移動する方法は、移動する構造体の大きさに制限があるような場合では良い方法とは言えない。そこで、本レンズ系において部分的な光学系を移動することにより焦点調節を行う所謂インナーフォーカス方式をとる場合、前記第1レンズ群が略アフォーカルであることを考慮すると前記第レンズ群よりも縮小側に配置されているレンズ群を利用することが考えれる。また、移動するための空間的な量も十分で、距離による収差変動も最低限で抑えることが出来ることもあって、前記第2レンズ群を光軸方向に移動することにより行うことが好ましい。(請求項
またさらに、DMDからの光線束を効率良くスクリーン面に結像させるためには、照明光学系の特性に合わせてDMDを射出する光線束の主光線角度を設定しなければならないが、略テレセントリックに設定されることが多い。しかしながら、このような光線を全て取り込むように設計をしようとすると前記第2レンズ群の縮小側の有効径が巨大になり、照明光学系との配置関係において問題となることが多い。この様な場合照明光学系の配置との兼ね合いで、前記第2レンズ群の射出側近傍の有効径に制限を加えることになるが、前記第2レンズ群と縮小側像面の間の空間において像面近傍に正レンズ1枚を配して構成される第3レンズ群を設けることによって目的を達成することが好ましい。(請求項
このように本発明によるレンズ系をプロジェクタ装置に搭載することにより装置全体を薄型化することが可能となり(請求項)、携帯に便利なプロジェクタ装置を提供することが出来る。
本発明によれば、DMDなどのライトバルブの特性に適した結像性能が高く口径の小さいレンズ系を実現し、薄型で持ち運びに便利で、尚且つ明るく、高画質のプロジェクタを提供することが出来る。
以下、具体的な数値実施例について、本発明を説明する。以下の実施例1から実施例8のレンズ系では拡大側から順に、全体で略アフォーカル光学系を構成する第1レンズ群LG1及び全体で正の屈折力を有する第2レンズ群LG2から構成され、前記第1レンズ群LG1は、拡大側から順に全体で負の屈折力を有する第1aレンズ群LG1a及び全体で正の屈折力を有する第1bレンズ群LG1bを配して構成され、前記第1aレンズ群LG1aは、拡大側から順に、正レンズ(レンズ名称L111、拡大側面111、縮小側面112)、拡大側に凸のメニスカス形状の負レンズ(レンズ名称L112、拡大側面113、縮小側面114)及び負レンズ(レンズ名称L113、拡大側面115、縮小側面116)の3枚を配して構成され、続く前記第1bレンズ群LG1bは、負レンズ(レンズ名称L121、拡大側面121、縮小側面122)、正レンズ(レンズ名称L122、拡大側面123、縮小側面124、ただし接合の場合は122面と123面は同一面)、負レンズ(レンズ名称L123、拡大側面125、縮小側面126)及び縮小側に凸のメニスカス形状の正レンズ(レンズ名称L124、拡大側面127、縮小側面128)の計4枚のレンズを配して構成されるか又は、負レンズ(レンズ名称L121、拡大側面121、縮小側面122)、正レンズ(レンズ名称L122、拡大側面123、縮小側面124、ただし接合の場合は122面と123面は同一面)、負レンズ(レンズ名称L123、拡大側面125、縮小側面126)、正レンズ(レンズ名称L124、拡大側面127、縮小側面128)及び縮小側に凸のメニスカス形状の正レンズ又は縮小側に凸の負レンズ(レンズ名称L125、拡大側面129、縮小側面1210)の計5枚のレンズを配して構成され、前記第2レンズ群LG2は、拡大側から順に全体で負の屈折力を有する第2aレンズ群LG2a及び全体で正の屈折力を有する第2bレンズ群LG2bを配して構成され、前記第2aレンズ群LG2aは、正レンズ(レンズ名称L211、拡大側面211、縮小側面212)、正レンズ(レンズ名称L212、拡大側面213、縮小側面214)及び負レンズ(レンズ名称L213、拡大側面215、縮小側面216、ただし接合の場合は214面と215面は同一面)の3枚を配して構成され、前記第2bレンズ群LG2bは、正レンズ(レンズ名称L221、拡大側面221、縮小側面222)、負レンズ(レンズ名称L222、拡大側面223、縮小側面224)及び正レンズ(レンズ名称L223、拡大側面225、縮小側面226、ただし接合の場合は224面と225面は同一面)の計3枚のレンズを配して構成され、前記第1レンズ群LG1を構成する前記第1aレンズ群LG1a及び前記第1bレンズ群LG1bは前記第1レンズ群LG1に固定されており、前記第2レンズ群LG2を構成する前記第2aレンズ群LG2a及び前記第2bレンズ群LG2bは前記第2レンズ群LG2に固定されており、目的に応じて前記第2レンズ群LG2の縮小側でDMD等のライトバルブ近傍に1枚の正レンズ(レンズ名称をL301、拡大側面の名称を301、縮小側面の名称を302とする)を配して構成される第3レンズ群LG3を附加して構成され、前記第3レンズ群LG3の縮小側とライトバルブ面との間には僅かな空気間隔をおいてDMD等のライトバルブの構成部品であるカバーガラスCG(拡大側面をC01、縮小側面をC02)が配されている。
[実施例1]
本発明のレンズ系の第1実施例について数値例を表1に示す。また図1は、そのレンズ構成図、図2はその諸収差図である。以下の表及び図面中、fはレンズ全系の焦点距離、FnoはFナンバー、2ωはレンズの全画角を表す。また、rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、nd はd線に対する屈折率、νd はd線のアッベ数を示す。諸収差図の球面収差図におけるCA1、CA2、CA3はそれぞれCA1=550.0nm、CA2=435.8nm、CA3=640.0nmの波長における収差曲線であり、S.C.は正弦条件である。非点収差図におけるSはサジタル、Mはメリディオナルを示している。また、全般に亘り特別に記載のない限り、諸値の計算に使用している波長はCA1=550.0nmであり、諸収差図は投射レンズとして評価することの多い物体距離が1700mmのときのものである。
Figure 0004355861
[実施例2]
本発明のレンズ系には属さないが、参考例としての第2実施例について数値例を表2に示す。また図3は、そのレンズ構成図、図4はその諸収差図である。
Figure 0004355861
[実施例3]
本発明のレンズ系の第3実施例について数値例を表3に示す。また図5は、そのレンズ構成図、図6はその諸収差図である。
Figure 0004355861
[実施例4]
本発明のレンズ系には属さないが、参考例としての第4実施例について数値例を表4に示す。また図7は、そのレンズ構成図、図8はその諸収差図である。
Figure 0004355861
[実施例5]
本発明のレンズ系には属さないが、参考例としての第5実施例について数値例を表5に示す。また図9は、そのレンズ構成図、図10はその諸収差図である。
Figure 0004355861
[実施例6]
本発明のレンズ系には属さないが、参考例としての第6実施例について数値例を表6に示す。また図11は、そのレンズ構成図、図12はその諸収差図である。
Figure 0004355861
[実施例7]
本発明のレンズ系には属さないが、参考例としての第7実施例について数値例を表7に示す。また図13は、そのレンズ構成図、図14はその諸収差図である。
Figure 0004355861
[実施例8]
本発明のレンズ系の第8実施例について数値例を表8に示す。また図15は、そのレンズ構成図、図16はその諸収差図である。
Figure 0004355861
次に第1実施例から第8実施例に関して条件式(1)から条件式(19)に対応する値を、まとめて表9に示す。
Figure 0004355861
表9から明らかなように、第1実施例から第8実施例の各実施例に関する数値は条件式(1)から(19)を満足しているとともに、各実施例における収差図からも明らかなように、各収差とも良好に補正されている。
本発明によるレンズ系の第1実施例のレンズ構成図 第1実施例のレンズの諸収差図 本発明によるレンズ系の第2実施例のレンズ構成図 第2実施例のレンズの諸収差図 本発明によるレンズ系の第3実施例のレンズ構成図 第3実施例のレンズの諸収差図 本発明によるレンズ系の第4実施例のレンズ構成図 第4実施例のレンズの諸収差図 本発明によるレンズ系の第5実施例のレンズ構成図 第5実施例のレンズの諸収差図 本発明によるレンズ系の第6実施例のレンズ構成図 第6実施例のレンズの諸収差図 本発明によるレンズ系の第7実施例のレンズ構成図 第7実施例のレンズの諸収差図 本発明によるレンズ系の第8実施例のレンズ構成図 第8実施例のレンズの諸収差図

Claims (7)

  1. 拡大側から順に、全体で略アフォーカル光学系を構成する第1レンズ群及び全体で正の屈折力を有する第2レンズ群から構成され、前記第1レンズ群は、拡大側から順に全体で負の屈折力を有する第1aレンズ群及び全体で正の屈折力を有する第1bレンズ群を配して構成され、前記第2レンズ群は、拡大側から順に全体で負の屈折力を有する第2aレンズ群及び全体で正の屈折力を有する第2bレンズ群を配して構成され、前記第1レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(1)を満足しており、前記第1レンズ群に設定されるアフォーカル倍率に関して下記条件式(2)を満足しており、前記第1aレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(3)を満足しており、前記第2aレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(4)を満足しており、前記第2bレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(5)を満足しており、前記第1レンズ群の光軸上の厚さ寸法に関して下記条件式(6)を満足しており、また、前記第1aレンズ群は、拡大側から順に、正の屈折力を有するレンズ(以下正レンズ)、拡大側に凸のメニスカス形状で負の屈折力を有するレンズ(以下負レンズ)及び負レンズの3枚を配して構成され、前記第1aレンズ群で拡大側より2番目に配置されるレンズの縮小側面の形状に関して下記条件式(7)を満足しており、また前記第1aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の屈折率に関して下記条件式(8)を満足していることを特徴とするレンズ系。
    (1) −0.5 ≦ f/fI ≦ −0.24
    (2) 0.3 ≦ hIE/hIX ≦ 0.5
    (3) −1.5 ≦ f/fIa ≦ −1.06
    (4) −0.09 ≦ f/fIIa < 0
    (5) 0.15 ≦ f/fIIb ≦ 0.57
    (6) 1.6 ≦ TI/f ≦ 2.31
    (7) 0.6 ≦ RIa4/f ≦ 1.1
    (8) 1.65 ≦ NIa
    ただし、
    f :レンズ全系の合成焦点距離
    I :第1レンズ群の合成焦点距離
    IE :第1レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面への入射近軸光線高さ
    IX :第1レンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面からの射出近軸光線高さ
    Ia :第1レンズ群を構成する第1aレンズ群の合成焦点距離
    IIa :第2レンズ群を構成する第2aレンズ群の合成焦点距離
    IIb :第2レンズ群を構成する第2bレンズ群の合成焦点距離
    I :第1レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面と第1レンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の光軸上の距離
    Ia4 :第1aレンズ群で拡大側より2番目に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
    Ia :第1aレンズ群を構成するレンズのd線に対する屈折率の平均値
  2. 前記第1bレンズ群は、拡大側から順に、負レンズ、正レンズ、負レンズ及び縮小側に凸のメニスカス形状の正レンズの計4枚のレンズを配して構成されるか又は、拡大側から順に、負レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズ及び縮小側に凸のメニスカス形状の正レンズ又は縮小側に凸のメニスカス形状の負レンズの計5枚のレンズを配して構成され、最も縮小側に配置されるレンズに関して縮小側面の形状が下記条件式(9)を満足しており、前記第1bレンズ群を構成するレンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(10)を満足しており、前記第1bレンズ群を構成する各負レンズに使用される硝材の屈折率に関して下記条件式(11)を満足していることを特徴とする請求項1記載のレンズ系。
    (9) −2.8 ≦ R IbL /f ≦ −1.0
    (10) V IbP −V IbN ≦ −5
    (11) 1.58 ≦ N IbN
    ただし、
    IbL :第1bレンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
    IbP :第1bレンズ群を構成する正レンズのアッベ数の平均値
    IbN :第1bレンズ群を構成する負レンズのアッベ数の平均値
    IbN :第1bレンズ群を構成する負レンズのd線に対する屈折率の平均値
  3. 前記第2aレンズ群は、拡大側から順に、正レンズ、正レンズ及び負レンズの3枚を配して構成され、前記第2aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の屈折率と分散特性に関して各々下記条件式(12)、(13)を満足しており、前記第2aレンズ群の最も縮小側に配置される負レンズに設定されるパワーに関して下記条件式(14)を満足し、前記第2aレンズ群の最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の形状と拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(15)を満足していることを特徴とする請求項1記載のレンズ系。
    (12) 0.15 ≦ N IIaN −N IIaP
    (13) 10 ≦ V IIaP −V IIaN
    (14) −1.5 ≦ f/f IIaN ≦ −0.4
    (15) −0.75 ≦ R IIa2 /R IIa3 ≦ −0.1
    ただし、
    IIaN :第2aレンズ群を構成する負レンズのd線に対する屈折率の平均値
    IIaP :第2aレンズ群を構成する正レンズのd線に対する屈折率の平均値
    IIaP :第2aレンズ群を構成する正レンズのアッベ数の平均値
    IIaN :第2aレンズ群を構成する負レンズのアッベ数の平均値
    IIaN :第2aレンズ群を構成する最も縮小側に配置されるレンズの焦点距離
    IIa2 :第2aレンズ群を構成する最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
    IIa3 :第2aレンズ群で拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
  4. 前記第2bレンズ群は、拡大側から順に、正レンズ、負レンズ及び正レンズの計3枚のレンズを配して構成され、前記第2bレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の屈折率、分散特性に関して各々下記条件式(16)、(17)を満足しており、前記第2bレンズ群の拡大側より2番目に配置されるレンズに設定されるパワーに関して下記条件式(18)を満足し、前記第2aレンズ群の最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状と縮小側面の形状に関して下記条件式(19)を満足していることを特徴とする請求項1記載のレンズ系。
    (16) 0.15 ≦ N IIbN −N IIbP
    (17) 0 ≦ V IIbP −V IIbN
    (18) −1.0 ≦ f/f IIb2 ≦ −0.2
    (19) −2.0 ≦ R IIb1 /R IIb2 ≦ −0.3
    ただし、
    IIbN :第2bレンズ群を構成する負レンズのd線に対する屈折率の平均値
    IIbP :第2bレンズ群を構成する正レンズのd線に対する屈折率の平均値
    IIbP :第2bレンズ群を構成する正レンズのアッベ数の平均値
    IIbN :第2bレンズ群を構成する負レンズのアッベ数の平均値
    IIb2 :第2bレンズ群を構成する拡大側より2番目のレンズの焦点距離
    IIb1 :第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
    IIb2 :第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
  5. レンズ全系の焦点調節を前記第2レンズ群を光軸方向に移動することにより行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載のレンズ系。
  6. 前記第2レンズ群と縮小側像面の間の空間において像面近傍に正レンズ1枚を配して構成される第3レンズ群を設けていることを特徴とする請求項1乃至請求項5記載のレンズ系。
  7. 前記請求項1から前記請求項6の少なくともいずれかの1項に記載されるレンズ系を搭載していることを特徴としたプロジェクタ装置。
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